特許第6772384号(P6772384)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6772384フィルタリングされた画像データを使った超音波品質管理
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6772384
(24)【登録日】2020年10月2日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】フィルタリングされた画像データを使った超音波品質管理
(51)【国際特許分類】
   G01N 29/40 20060101AFI20201012BHJP
   G01N 29/04 20060101ALI20201012BHJP
【FI】
   G01N29/40
   G01N29/04
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-530546(P2019-530546)
(86)(22)【出願日】2016年11月29日
(65)【公表番号】特表2019-526814(P2019-526814A)
(43)【公表日】2019年9月19日
(86)【国際出願番号】FI2016050838
(87)【国際公開番号】WO2018100225
(87)【国際公開日】20180607
【審査請求日】2019年2月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】503129903
【氏名又は名称】ワルトシラ フィンランド オサケユキチュア
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】ハッカライネン,トニ
【審査官】 小澤 瞬
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−163805(JP,A)
【文献】 特開平05−080034(JP,A)
【文献】 特開昭61−128162(JP,A)
【文献】 特表2009−541765(JP,A)
【文献】 特表2010−535343(JP,A)
【文献】 特開昭62−261955(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/118367(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 − A61B 8/15
G01N 29/00 − G01N 29/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピースの品質を管理する超音波品質管理方法であって、
少なくとも一つの超音波プローブを利用して前記ピースをスキャンする段階(101)と、
前記スキャンから少なくとも一つの画像を形成する段階(102)とを含み、
当該方法がさらに、
少なくとも一つの超音波プローブを利用して参照ピースをスキャンする段階(103)と、
前記参照ピースの前記スキャンから少なくとも一つの参照画像を形成する段階(104)と、
前記少なくとも一つの参照画像の少なくとも一つの陰画像を形成する段階(105)と、
前記少なくとも一つの画像および前記陰画像を利用することによって少なくとも一つの徴候画像を生成する段階(106)と、
いくつかの画像フィルタを利用することによって少なくとも一つの徴候画像をフィルタリングする段階であって、各画像フィルタは、画像フィルタ固有の徴候レベル・データのほかは前記徴候画像のすべてのデータをフィルタリングする、段階(107)と、
前記画像フィルタからいくつかの徴候レベル・データを提供する段階(108)と、
前記いくつかの徴候レベル・データを利用して、前記ピースを受け容れられるまたは拒否されるものとして分類する段階(109)とを含
前記分類する段階(109)は、
徴候画像エリア固有の仕方で前記徴候画像からフィルタリングされた前記いくつかの徴候レベル・データを利用するサブ段階を含み、それにより、前記徴候画像は少なくとも二つのエリアをもち、前記分類はエリア固有の仕方で前記いくつかの徴候レベル・データを利用し、
前記徴候画像エリアは応力要求に基づいて定義される、
方法。
【請求項2】
前記分類する段階(109)がさらに、いくつかの受け容れレベルおよびいくつかの拒否レベルを利用して前記ピースを分類するよう構成されることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記分類する段階(109)がさらに、前記ピースを、受け容れおよび拒否の前記分類の間では、代替的に、境界ピースであると分類するよう構成されることを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
当該方法がさらに、
前記分類を、前記徴候画像(単数または複数)に対応する画像フォーマット(単数または複数)において分類固有色で示す段階と、
前記画像フォーマットを表示する段階とを含む、
請求項1ないしのうちいずれか一項記載の方法。
【請求項5】
プロセッサ装置(114)および超音波プローブを有する超音波検査装置であって、前記超音波プローブが、請求項1記載の方法のスキャンする諸段階を実行するよう構成されたソフトウェアまたは回路基板を有し、前記プロセッサ装置が、請求項1記載の方法の他の段階を実行するよう構成されたソフトウェアまたは回路基板(単数または複数)を有することを特徴とする、超音波検査装置。
【請求項6】
前記ソフトウェアまたは回路基板(単数または複数)が、請求項2ないしのうちいずれか一項記載の方法の段階を実行するようにも構成されていることを特徴とする、請求項記載の超音波検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はピースの超音波品質管理に関する。超音波プローブ(単数または複数)によって検査されるピースは、金属鋳造片のような金属ピースであることができる。超音波試験は比較方法であり、材料内部または試験されるオブジェクトの表面上の欠陥の徴候および正常な幾何学的形状の反射を検出する。よって、異なる音響インピーダンスの界面によって引き起こされる超音波信号の反射は徴候と称される。徴候は、受け容れ可能または拒否可能であることができる。手前壁面エコーおよび後方壁面エコーのようなオブジェクト幾何形状によって引き起こされる徴候は、受け容れ可能な幾何学的徴候と称される。
【背景技術】
【0002】
超音波は、金属の鋳造または鍛造された加工品のようなピースを、何らかの欠陥があるかどうか検査する既知の手段である。ピースを貫通する高周波数音波を利用するために、超音波プローブが、手動でまたは自動化された装置を用いてピースのまわりで動かされる。音波はピース内を伝搬し、音波の一部はピースの表面およびピースの欠陥から反射する。反射された音波は検出されることができ、よって欠陥を検出するために使われることができる。欠陥の位置、サイズおよび形状は反射波から推定できる。検査のために二つ以上の超音波プローブを利用することも知られている。
【0003】
反射波は、検査のために使われる装置/システムのディスプレイ上に呈示される。検査者が、ディスプレイ上で、欠陥によって引き起こされた徴候をチェックする。そうするために、検査者は、適正な分析を行なうために多大な専門技能および経験をもつ必要がある。徴候が軽微であれば、検査者はピースを受け容れられるものとして分類できる。ピースが受け容れられない欠陥または多すぎる欠陥をもつ場合には、検査者は、規定されている基準により、そのピースを拒否されるものとして分類するべきである。
【0004】
超音波スキャンは多くの金属と一緒に使うために好適であるが、粒径の大きなオーステナイト鋼のように、いくつかの金属材料は、超音波スキャンによって検査されるためには限界があることがある。
【0005】
よって、結果的には、検査者の技量が、検査結果の適正さに影響する。これは、検査者がまだあまり多くの経験をもたない場合には特に、正常な実行または挙動における身体的および心理的混乱のため、問題になりうる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、上記の問題要因を軽減、あるいはさらには解消することである。この目的は、独立請求項に記載するようにして達成される。従属請求項は本発明の種々の実施形態を例示する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に基づくピースの品質を管理する超音波品質管理方法は、少なくとも一つの超音波プローブを利用してピースをスキャンする段階101と;前記スキャンから少なくとも一つの画像を形成する段階102と;少なくとも一つの超音波プローブを利用して参照ピースをスキャンする段階103と;参照ピースの前記スキャンから少なくとも一つの参照画像を形成する段階104とを含む。さらに、本方法は、前記少なくとも一つの参照画像の少なくとも一つの陰画像を形成する段階105と;前記少なくとも一つの画像および前記陰画像を利用することによって少なくとも一つの徴候画像を生成する段階106と;いくつかの画像フィルタを利用することによって少なくとも一つの徴候画像をフィルタリングする段階であって、各画像フィルタは、画像フィルタ固有の徴候レベル・データのほかは前記徴候画像のすべてのデータをフィルタリングする、段階107とをもつ。本方法はさらに、前記画像フィルタ固有の徴候レベル・データからいくつかの徴候レベル・データを提供する段階108と;前記いくつかの徴候レベル・データを利用して、前記ピースを受け容れられるまたは拒否されるものとして分類する段階109とをもつ。
【発明の効果】
【0008】
本発明を利用することによって、検査されるべきピースの分類が、自動的に実行されるよう構成されることができる。さらに、この分類は、既知の分類方法を使うよりもずっと高速である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
下記では、付属の図面を参照することによって本発明がより詳細に記載される。
図1】超音波デスキャンされるべきものと同様の参照ピースの例を示す図である。
図2】参照ピースからの参照画像の例を示す図である。
図3】参照画像からの陰画像の例を示す図である。
図4】超音波によってスキャンされるべきピースの例を示す図である。
図5】ピースからの画像の例を示す図である。
図6】徴候画像の例を示す図である。
図7】徴候を含む徴候画像のフィルタリングおよびいくつかの徴候レベル・データの適用の例を示す図である。
図8】例示的なピースの徴候の分類を示す表の例を示す図である。
図9】異なる分類基準が使われる二つのエリアをもつピースの例を示す図である。
図10】本発明の方法を示すフローチャートの例を示す図である。
図11】本発明に基づく装置の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
上記ですでに述べたように、超音波プローブまたはいくつかの超音波プローブによって検査されるべきピースはそれ自身としては既知である。図4は、検査されるべきピース9の例を示している。図4のピースは、より複雑なピースを使うよりもこの呈示を一層明確にするために、概略的なピースとなっていることを注意しておく。いずれにせよ、本発明は、超音波スキャンによって検査されることのできる任意のピースと一緒に使用できる。
【0011】
図4のピースは、前方表面94、後方表面95、長方形穴96、楕円穴97およびL字形をもつ突起98を有する。このピースは、穴および割れ目のようないくつかの内部欠陥10をもつ。ピース9のスキャン後、超音波スキャンの反射を示す画像9Rが形成され、図5に示されるように呈示されることができる。図5は、前方表面からの反射94R、後方表面からの反射95R、楕円穴からの反射97R、長方形穴からの反射96R、突起からの反射98Rおよび欠陥からの反射10Rを示している。
【0012】
図4および図5に示されるこのスキャン例において、超音波プローブは前方表面94の上方において位置するまたは動かされる。見て取れるように、図5の反射画像は、それが意味するものを理解するためにはあまり明瞭でないことがある。よって、上述したように、図5から正しい情報を見出すためには、検査者の経験および技量が良好なレベルである必要がある。検査者に経験がある場合でも、反射画像の検査はかなり長期間続くことがあり、人的要因が解釈結果に影響することがありうる。
【0013】
図1は、図4に示されるピースの参照ピース1を示している。参照ピース1も前方表面4、後方表面5、長方形穴6、楕円穴7およびL字形をもつ突起8を有する。だが参照ピースは欠陥をもたない、あるいは参照ピースの欠陥は受け容れられることのできる軽微な欠陥のみである。換言すれば、参照ピースは、欠陥のないまたは軽微な欠陥しかない、検査されるべきピースと同様のピースである。参照ピース1も、検査されるべきピースのようにスキャンされる。よって、参照ピースのためのスキャン装置は、検査されるべきピースのために使われた超音波装置と同じまたは同様である。結果として、超音波反射の参照画像2は、前方表面からの反射4R、後方表面からの反射5R、楕円穴からの反射7R、長方形穴からの反射6Rおよび突起からの反射8Rを示す。
【0014】
参照画像2から陰画像が形成される。図3は、陰画像3を示している。この段階では、実際の反射画像を単純な仕方で示すために、図2図3および図5に示される反射が単純なグレースケール・フォーマットで呈示されていることに注意しておくべきである。見て取れるように、陰画像3のグレースケール・レベルは図2のグレースケール・レベルに対して反対である。よって、陰画像3も、前方表面からの反射4N、後方表面からの反射5N、楕円穴からの反射7N、長方形穴からの反射6Nおよび突起からの反射8Nを示すが、参照画像2に関してネガになっている。
【0015】
陰画像3は、検査されるピースの反射画像9Rと一緒に使用されて、図6に示される徴候画像を生成することができる。検査されるべきピースからの陰画像および反射画像は重ねられる。重なり合う画像の順序はどちらでもよい。結果として、徴候画像9Fが生成される。重なり合う陰画像および反射画像はピースの幾何学的な反射、すなわち前方表面からの反射94、後方表面からの反射95、長方形穴からの反射96、楕円穴からの反射97および突起からの反射98を除去する。欠陥からの反射10Rは徴候画像9Fに残る。
【0016】
よって、この段階では、ピース9の徴候情報のみを含む画像またはデータが提供される。どのような欠陥が問題になっているのかをより正確に判別するために、いくつかのフィルタが使用されることができる。図7は、フィルタF1、F2、F3、F4およびF5の使用を示している。各フィルタは、画像フィルタ固有の徴候レベル・データのほかは、徴候画像9Fのすべてのデータをフィルタリングする。たとえば、フィルタは、サイズが直径5mm以上の平底穴を通過させることができる。他のフィルタは、サイズが直径4mmであるまたは5mm未満である平底穴を通過させてもよい。さらに他のフィルタは、サイズが直径3mmであるまたは4mm未満である平底穴を通過させてもよい。さらに他の基準が、平底穴の前記サイズとともに、あるいはその代わりに使われることができる。徴候画像のフィルタリングは、エコー応答強さ/パワー/エネルギー(装置画面および/または収集されたデータにおけるエコー高さ)に基づく。少量のパワー/エネルギー反射はF1のようなより低位のフィルタを通過する一方、より高いパワー/エネルギーはF4またはF5のようなより高位のフィルタを通過する。よって、成分受け容れ可能性のための基準は、各フィルタによって提供される情報に基づく。さらに、各フィルタは、そのフィルタを通過する反射を扱う特定の仕方をもつことがある。たとえば、フィルタは、通過する複数の反射が互いに近ければ一つのものとして組み合わせてもよい。よって、F4およびF5のような高位のフィルタは、F1のような低位のフィルタよりも大きなエリアからの反射データを組み合わせてもよい。この種の扱いは、それらのフィルタ後の徴候の扱いを明確にすることができる。
【0017】
よって、ピースの受け容れ可能性は、徴候の量、徴候の寸法(サイズ)、徴候の組み合わされたエリア・サイズとしての徴候の量、あるいは受け容れ可能な組み合わせ規則をもって互いに近接している徴候の検出に基づくことができる/基づく。これらの徴候は少なくとも一つのフィルタを通過したものであり、ディスプレイ上に示される場合、該フィルタ(単数または複数)後にも見えるものである。組み合わせ規則は、フィルタ後の一つの徴候が徴候またはエリアとして検出される場合、ある寸法、たとえば0.20mm以内の近傍に別の徴候/徴候エリアが存在することは許されないよう、定義されることができる。画像データは画像フォーマットまたは別のデータ・フォーマットであることができる。このコンテキストにおいて、画像はデータとして理解されるべきである。データは、画像として表現されることができるが、他のいかなる好適なフォーマットで表現されてもよい。同じことはフィルタにも当てはまる。
【0018】
図7の例は、画像9F1、9F2、9F3、9F4および9F5として示されているいくつかの徴候レベル・データをも示している。各徴候レベル・データは、その特定のフィルタを通過した徴候を示す。たとえば、フィルタF1は直径1mmあるまたは2mm未満のサイズをもつ平底穴を通過させるよう構成されている。さらに、穴の数は最大でたとえば16であり、全部で45mm2のような分類画像の、ある面積のみをカバーしているべきであり、二つの徴候の離間はたとえば互いから10mmより大きくなければならない。通過した穴は徴候10R1として表現される。フィルタF2は直径2mmあるまたは3mm未満のサイズをもつ平底穴を通過させるよう構成されていてもよい。さらに、穴の数は最大でたとえば8であるべきであり、エリア・サイズおよび離間距離について、フィルタ10Fについて定義されたのと同様のまたは変更された規則をもつ。通過した穴は徴候10R2として表現される。フィルタF3は直径3mmあるまたは4mm未満のサイズをもつ平底穴を通過させるよう構成されていてもよい。さらに、穴の数は最大でたとえば4であるべきであり、エリア・サイズおよび離間距離について、フィルタ10Fについて定義されたのと同様のまたは変更された規則をもつ。通過した穴は徴候10R3として表現される。フィルタF4は直径4mmあるまたは5mm未満である平底穴を通過させるよう構成されていてもよい。さらに、穴の数は最大でたとえば2であるべきであり、エリア・サイズおよび離間距離について、フィルタ10Fについて定義されたのと同様のまたは変更された規則をもつ。通過した穴は徴候10R4として表現される。フィルタF5は直径5mm以上の平底穴を通過させるよう構成されていてもよい。ここで、サイズであれ、量であれ、カバーされる面積であれ、このフィルタ・レベルを通過する徴候は、受け容れられないと定義される。通過した穴は、徴候10R5として表現される。この型の諸フィルタは、徴候反射率サイズについて異なる規則をもつことができ、検査されるエリアの重要性に依存して、いくつかの受け容れ不能なフィルタ・レベルがありうる。
【0019】
見て取れるように、画像として示される徴候データは、人間の検査者のための明瞭なビューを与えるが、それは実は、まだ本発明のゴールではない。このレベルでは、やはりたとえば画像フォーマットで調べられることのできるいくつかの徴候レベルが達成される。前記のように、それぞれの徴候レベルは、穴および割れ目のサイズおよび徴候および徴候の近傍によってカバーされる徴候エリアの数のような徴候の深刻さを示す。よって、徴候レベル・データは、徴候のある種の型の情報、可能性としてはそれらの徴候の数および該徴候を記述する他のパラメータである。徴候の型は長さ、深さ、形状および/またはサイズなどに依存することができる。ある種の型の徴候は、ピースの品質に対して、ある影響をもつ。
【0020】
さらに、本発明は、前記徴候レベル・データを利用して、検査されたピースを、受け容れられるまたは拒否されるものとして分類をもする。図7の例を参照するに、ピースは、フィルタF1を通過した徴候10R1のみを有する場合に、受け容れられることができる。ピースは、フィルタF2を通過した、より大きな徴候10R2を有する場合にも、受け容れられてもよい。
【0021】
ピース9は、受け容れられるピースと拒否されるピースの間の境界ピースとして分類されることもできる。境界ピースは、それほど高い品質を要求しない、何らかのより低レベルの実装で使用できることがありうる。この例では、ピースは、フィルタF3を通過した徴候10R3を有し、かつ、より大きな、または量、面積および/または徴候近接性において、より深刻な徴候を有さない場合に、境界ピースとして分類されることができる。
【0022】
ピース9は、フィルタ5を通過する徴候(単数または複数)10R5を有する場合に、拒否されることができる。ピースは、フィルタ4を通過した徴候10R4のような、フィルタ5を通過したものよりも軽微な徴候を有する場合にも拒否されることができる。
【0023】
図8および図9は、前記分類がどのようにも構成されることができるかの可能な例を示している。図9は、二つのエリアA1およびA2をもつ検査されるピース9を示している。図9における破線は、両エリアの間の境界を記述する。この例では、エリアA1は低応力エリアであり、エリアA2は高応力エリアである。品質要求は高応力のほうが高く、よって、エリアA1よりもエリアA2のほうが許容できる徴候は少ない。図8におけるテーブル80は、エリアA2およびエリアA1についての受け容れ基準を示している。ピースのエリアA1は、フィルタF1を通過した徴候のみを有する場合、受け容れられることができる。ピースは、エリアA1においてフィルタF2を通過した、より大きな徴候を有する場合にも受け容れられてもよい。ピース9のエリアA1は、フィルタF3を通過した徴候を有し、より大きなまたはより深刻な徴候を有さない場合、境界ピースとして分類される。ピース9のエリアA1は、フィルタ5を通過する徴候(単数または複数)を有する場合、拒否される。ピースのエリアA1は、フィルタ4を通過した徴候のような、フィルタ5を通過したものよりも軽微な徴候を有する場合にも拒否されることができる。
【0024】
ピース9の高応力エリアA2は、フィルタ3を通過する徴候(単数または複数)を有する場合に拒否される。ピースは、フィルタ2を通過した徴候のような、フィルタ3を通過したものよりも軽微な徴候を有する場合にも拒否されることができる。ピース9のエリアA2は、フィルタF1を通過した徴候を有し、より大きなまたはより深刻な徴候を有さない場合、境界ピースとして分類される。
【0025】
ピース9の全体は、拒否されるエリアを一つでも有する場合には、拒否される。換言すれば、ピースは、拒否されるエリアを、あるいは可能性としては境界ケースも全く有さない場合に受け容れられる。ピースが、高応力エリアであると決定される二つ以上のエリアおよび/または低応力エリアであると決定される二つ以上のエリアを有していてもよいことも留意できる。高応力および低応力エリアに加えて、ピースは、通常応力エリアのような他の型のエリア(単数または複数)をさらに(あるいは代わりに)有していてもよい。
【0026】
見て取れるように、ピースは異なる応力要求のいくつかのエリアに分割されることができる。この分割情報は、スキャンされた画像から徴候画像へ、最後にはピースの分類へと続く。
【0027】
図10は、本発明に基づく方法を示すフローチャートの例を示している。ピース9の品質を管理する超音波品質管理方法は、少なくとも一つの超音波プローブを利用してピースをスキャンする段階101と;前記スキャンから少なくとも一つの画像を形成する段階102とを含む。すでに述べたように、スキャン・プローブ(単数または複数)およびスキャン装置ならびに検査データ呈示フォーマットが使用されることができる。さらに、本方法は、少なくとも一つの超音波プローブを利用して参照ピースをスキャンする段階103と;参照ピースの前記スキャンから少なくとも一つの参照画像を形成する段階104とを含む。参照ピース9のスキャンおよび参照画像の形成は、ピースのスキャン101および画像の形成102の段階と同様になされる。さらに、本方法は、前記少なくとも一つの参照画像の少なくとも一つの陰画像を形成する段階105をもつ。この段階は、上記ですでに論じたようにできる。
【0028】
段階103、104および105は、段階101および102より後に、あるいは図10において破線110によって示されるように段階101および102より前に、実行できる。いくつかの解決策では、二つの同様の超音波プローブおよび装置が使用できるのであれば、段階101および102を段階103、104および105と同時にまたは部分的に同時に実行することが可能であることがありうる。
【0029】
さらに、本方法は、前記少なくとも一つの画像および前記陰画像を利用することによって少なくとも一つの徴候画像を生成する段階106をもつ。上記のように、陰画像および検査されるべきピースの画像は、徴候情報のみをもつ画像を有するために、互いに重ねられる。
【0030】
本方法はまた、いくつかの画像フィルタを利用することによって少なくとも一つの徴候画像をフィルタリングする段階であって、各画像フィルタは、画像フィルタ固有の徴候レベル・データのほかは前記徴候画像のすべてのデータをフィルタリングする、段階107をももつ。よって、このようにして、本方法は、前記画像フィルタ固有の徴候レベル・データからいくつかの徴候レベル・データを提供する段階108をももつ。
【0031】
最後に、本方法は、前記いくつかのまたは一つの徴候レベル・データを利用して、前記ピースを受け容れられるまたは拒否されるものとして分類する段階109をもつ。分類段階はたとえば、徴候レベル・データが分類レベルに対応するよう配列されているテーブルを利用することができる。分類レベルは、最低限では、受け容れられるレベルおよび拒否されるレベルであるが、必要であれば、より多くの分類レベルが形成されることもできる。よって、分類段階109はさらに、いくつかの受け容れレベルおよびいくつかの拒否レベルを利用して前記ピースを分類するよう構成されることができ、および/または分類段階109はさらに、前記ピースを、受け容れおよび拒否の前記分類の間では、代わりに境界ピースであると分類するよう構成されることができる。
【0032】
さらに、分類段階109は、徴候画像エリア固有の仕方で徴候画像からフィルタリングされた前記いくつかの徴候レベル・データを利用するサブ段階を有していてもよい。それにより、徴候画像は少なくとも二つのエリアをもち、分類はエリア固有の仕方で前記いくつかの徴候レベル・データを利用する。図9参照。
【0033】
ピースの分類を人間にとって、より可視にするために、本方法はさらに、前記分類を、前記徴候画像(単数または複数)に対応する画像フォーマット(単数または複数)において分類固有色で示し、前記画像フォーマットを表示する段階を含んでいてもよい。たとえば、図7の徴候レベル画像9F1、9F2、9F3、9F4、9F5は異なる色または色の組み合わせで表現されることができる。画像9F1は淡青、画像9F2は青、画像9F3は緑、画像9F4は黄色、画像9F5は赤であることができる。よって、それぞれの色がある徴候レベル・データ(たとえばあるサイズ/反射率の徴候)を表わしうる。さらに、それぞれの色はある分類レベルをも示しうる。たとえば、図8の場合、拒否レベルは、低応力エリアおよび低応力エリアの両方について赤であってもよい。より小さな徴候拒否レベルについては、色は黄色であることができ、境界ピース・レベルについては、両方のエリア・カテゴリーにおいて緑であることができる。さらに、受け容れられるレベルおよびより大きな徴候受け容れレベルは、ピースの低応力エリアにおいて青および淡青として示されることができる。
【0034】
前記のように、画像は、たとえばディスプレイにおいて示されることのできるデータである。画像データは別のフォーマットで扱われることもできることを理解しておくべきである。これは、画像データをプロセッサ、コンピュータおよび他の好適な装置において処理することを可能にする。前記フィルタも、もとのデータからのデータをフィルタリングして、ある型の徴候に関係するデータのようなある型のデータのみを通過させることができる。
【0035】
図11は、本発明に基づく超音波検査装置の例を概略的に示している。
【0036】
本発明に基づく超音波検査装置は、少なくとも一つのプローブ111と、該プローブを動かすためのロボット装置112とを有することができる。プローブは、少なくとも一つの超音波源装置113に接続される。超音波源装置は、検査装置のいかなる好適な位置に位置されることもできる。プローブからの受領された超音波情報から検査データを提供するため、ある種のソフトウェアもしくは回路基板(単数または複数)115を有するコンピュータのようなプロセッサ装置114もある。検査データは画像(単数または複数)として表現できる。本検査装置は、上記および請求項1において記載された方法の段階103〜109を実行するためのソフトウェアもしくは回路基板(単数または複数)116をも有しており、該ソフトウェアまたは回路基板も、請求項2〜5に記載され散る段階/タスクを実行するよう構成されることができる。前記回路基板はたとえば集積回路(IC)であることができる。前記ソフトウェアまたは回路基板115、116が一つのエンティティーとして統合できることも可能である。
【0037】
さらに、超音波検査装置は、検査されるべきピース(単数または複数)が位置されるプールを有していてもよく、プールは液体で満たされる。さらに、検査装置は、ピースのためのラック、ラックのためのレール、ピースを識別するためのコンピュータ・ビジョン装置、ピースのシリアル番号を読み取るためのリーダー装置、ピースをプールに入れる前に洗うための洗浄機、プール後にピースを乾かすための乾燥機およびピースを検査済みとしてマークするためのマーク機のような他の要素(単数または複数)をも有していてもよい。
【0038】
本発明に基づく超音波品質管理は、多くの異なる実施形態において使用できる。本発明は、使用される超音波スキャン技法に依存しない。本発明が使用できるいくつかの異なるスキャン技法がある。たとえば、Aスキャン、Bスキャン、Cスキャン、フェーズドアレイ線形スキャンおよびフェーズドアレイ・セクター・スキャンである。一つの画像、一つの参照画像、一つの陰画像および一つの徴候画像が、ピースを分類するためには十分でありうるが、必要であればいくつかの画像を撮ることも可能である。対応する画像、すなわち前記画像、参照画像、陰画像および徴候画像は実際にはピースからの同じビューであるが異なる情報を含んでいるということを理解しておくべきである。よって、たとえば、いくつかの参照画像からいくつかの陰画像を形成するとき、形成されるそれぞれの陰画像は、ピースからのあるビューをもつ参照画像に固有である。陰画像は、いくつかの参照ピース・スキャン画像から構成されることができる。つまり、それぞれのスキャン・ネガ情報が一つの陰画像に組み合わされる。この場合、陰画像が使われる画像は、同様にいくつかのスキャン画像で構成されることができる。
【0039】
本発明の方法は、超音波スキャンについて使用される好適な装置で実行されることができる。装置は、本発明の方法の段階を実行するようプログラムされることのできるプログラム可能なユニット(単数または複数)を有していてもよい。もう一つの可能な解決策は、装置が本発明の方法を実行することに専用のプリント回路基板(単数または複数)を有するというものである。
【0040】
上記から、本発明が本稿に記載される実施形態に限定されず、独立請求項の範囲内で他の多くの異なる実施形態で実装されることができることが明白である。
いくつかの態様を記載しておく。
〔態様1〕
ピースの品質を管理する超音波品質管理方法であって、
少なくとも一つの超音波プローブを利用して前記ピースをスキャンする段階(101)と、
前記スキャンから少なくとも一つの画像を形成する段階(102)とを含み、
当該方法がさらに、
少なくとも一つの超音波プローブを利用して参照ピースをスキャンする段階(103)と、
前記参照ピースの前記スキャンから少なくとも一つの参照画像を形成する段階(104)と、
前記少なくとも一つの参照画像の少なくとも一つの陰画像を形成する段階(105)と、
前記少なくとも一つの画像および前記陰画像を利用することによって少なくとも一つの徴候画像を生成する段階(106)と、
いくつかの画像フィルタを利用することによって少なくとも一つの徴候画像をフィルタリングする段階であって、各画像フィルタは、画像フィルタ固有の徴候レベル・データのほかは前記徴候画像のすべてのデータをフィルタリングする、段階(107)と、
前記画像フィルタからいくつかの徴候レベル・データを提供する段階(108)と、
前記いくつかの徴候レベル・データを利用して、前記ピースを受け容れられるまたは拒否されるものとして分類する段階(109)とを含むことを特徴とする、
方法。
〔態様2〕
前記分類する段階(109)がさらに、いくつかの受け容れレベルおよびいくつかの拒否レベルを利用して前記ピースを分類するよう構成されることを特徴とする、態様1記載の方法。
〔態様3〕
前記分類する段階(109)がさらに、前記ピースを、受け容れおよび拒否の前記分類の間では、代替的に、境界ピースであると分類するよう構成されることを特徴とする、態様1または2記載の方法。
〔態様4〕
前記分類する段階(109)が、
徴候画像エリア固有の仕方で前記徴候画像からフィルタリングされた前記いくつかの徴候レベル・データを利用するサブ段階を含み、それにより、前記徴候画像は少なくとも二つのエリアをもち、前記分類はエリア固有の仕方で前記いくつかの徴候レベル・データを利用することを特徴とする、態様1ないし3のうちいずれか一項記載の方法。
〔態様5〕
当該方法がさらに、
前記分類を、前記徴候画像(単数または複数)に対応する画像フォーマット(単数または複数)において分類固有色で示す段階と、
前記画像フォーマットを表示する段階とを含む、
態様1ないし4のうちいずれか一項記載の方法。
〔態様6〕
プロセッサ装置(114)を有する超音波検査装置であって、前記プロセッサ装置が、態様1記載の方法の段階を実行するよう構成されたソフトウェアまたは回路基板(単数または複数)を有することを特徴とする、超音波検査装置。
〔態様7〕
前記ソフトウェアまたは回路基板(単数または複数)が、態様2ないし5のうちいずれか一項記載の方法の段階を実行するようにも構成されていることを特徴とする、態様6記載の超音波検査装置。
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