特許第6772396号(P6772396)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6772396-エレキギターのトレモロ構造 図000002
  • 特許6772396-エレキギターのトレモロ構造 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6772396
(24)【登録日】2020年10月2日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】エレキギターのトレモロ構造
(51)【国際特許分類】
   G10D 3/153 20200101AFI20201012BHJP
   G10D 1/08 20060101ALI20201012BHJP
【FI】
   G10D3/153
   G10D1/08 100
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2020-16252(P2020-16252)
(22)【出願日】2020年2月3日
【審査請求日】2020年2月6日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520040681
【氏名又は名称】山縣 紀夫
(74)【代理人】
【識別番号】100093115
【弁理士】
【氏名又は名称】佐渡 昇
(72)【発明者】
【氏名】山縣紀夫
【審査官】 上田 雄
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第05305675(US,A)
【文献】 米国特許第07838751(US,B2)
【文献】 特開2011−221333(JP,A)
【文献】 特表平07−504995(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10D 1/00−3/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレキギターのボディー(10)に対してアーム(21)とともに揺動可能に取り付けられ、弦(30)の一端に設けられたエンドピン(31)が入れられる穴(22)を有し、この穴(22)に入れられたエンドピン(31)と係合することで弦(30)に張力を付与する弦支持体(20)を有するエレキギターのトレモロ構造であって、
前記エンドピン(31)が入れられた穴(22)に圧入され、先端(42)がエンドピン(31)に当接することでエンドピン(31)を固定する圧入部材(40)を備え、
この圧入部材(40)は、前記エンドピン(31)を前記弦(30)が引っ張る側と反対側から前記穴(22)に入れられることを特徴とするエレキギターのトレモロ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレキギターのトレモロ構造に関するものである。特に、チューニングの狂いを軽減する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、図2(a)に示すように、
エレキギターのボディー10に対してアーム21とともに揺動可能に取り付けられ、弦30の一端に設けられたエンドピン31が入れられる穴22を有し、この穴22に入れられたエンドピン31と係合することで弦30に張力を付与する弦支持体20を有するエレキギターのトレモロ構造が知られている。
【0003】
このような構造は、例えば特許文献1にも開示されている。
【0004】
このようなトレモロ構造によれば、周知のように、アーム21で弦支持体20を揺動させることで、一時的に弦30の張力を変えて音程を変えることができる。
【0005】
しかし、従来のエレキギターのトレモロ構造では、弦30の張力を弱める方向(図2において矢印D方向)にアーム21を揺動させるアームダウンによるチューニングの狂いが頻繁に起きるという難点がある。
【0006】
これは、アームダウンにより、例えば図2(b)に示すように、エンドピン31が穴22の端部(エンドピン31との接触部分)22tから離れることがあり、一旦エンドピン31が穴22の端部22tから離れてしまうと、その後、エンドピン31が元の位置に戻ったとしても、弦30の張力が適正状態(本来のチューニングされた状態)に戻らなくなってしまうからであると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開昭58−138989号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、チューニングの狂いを軽減することができるエレキギターのトレモロ構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明のエレキギターのトレモロ構造は、
エレキギターのボディーに対してアームとともに揺動可能に取り付けられ、弦の一端に設けられたエンドピンが入れられる穴を有し、この穴に入れられたエンドピンと係合することで弦に張力を付与する弦支持体を有するエレキギターのトレモロ構造であって、
前記エンドピンが入れられた穴に圧入され、先端がエンドピンに当接することでエンドピンを固定する圧入部材を備え
この圧入部材は、前記エンドピンを前記弦が引っ張る側と反対側から前記穴に入れられることを特徴とする。
【0010】
このエレキギターのトレモロ構造によれば、
圧入部材が、エンドピンが入れられた穴に、エンドピンを弦が引っ張る側と反対側から圧入され、圧入部材の先端がエンドピンに当接することでエンドピンを固定しているので、
アームの操作で弦支持体が揺動しても、エンドピンは、該エンドピンが係合している穴の端部(エンドピンとの接触部分)から離れなくなる。
したがって、チューニングの狂いが生じ難くなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係るエレキギターのトレモロ構造の実施の形態を示す図で、(a)は腰部断面図、(b)は作用説明図、(c)は圧入部材40の正面図。
図2】(a)(b)はそれぞれ従来技術の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係るエレキギターのトレモロ構造の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、各図において、同一部分ないし相当する部分には、同一の符号を付してある。
【0015】
図1に示すように、この実施の形態のエレキギターのトレモロ構造1は、
エレキギターのボディー10に対してアーム21とともに揺動可能に取り付けられ、弦30の一端に設けられたエンドピン31が入れられる穴22を有し、この穴22に入れられたエンドピン31と係合することで弦30に張力を付与する弦支持体20を有している。
【0016】
そしてこの実施の形態のエレキギターのトレモロ構造1は、
エンドピン31が入れられた穴22に圧入され、先端42がエンドピン31に当接することでエンドピン31を固定する圧入部材40を備えている。
【0017】
圧入部材40は、エンドピン31が入れられた穴22に圧入される圧入部41と、エンドピン31に当接する先端部42とを有している。
【0018】
このようなエレキギターのトレモロ構造によれば、
圧入部材40が、エンドピン31が入れられた穴22に圧入され、圧入部材40の先端42がエンドピン31に当接することでエンドピン31を固定しているので、
アーム21の操作で弦支持体20が例えば図1(b)に示すように揺動しても、エンドピン31は、該エンドピン31が係合している穴22の端部(エンドピン31との接触部分)22tから離れなくなる。
したがって、チューニングの狂いが生じ難くなる。
【0019】
また、図1(c)に示すように、圧入部材40は、エンドピン31が入れられた穴22に圧入される圧入部41と、エンドピン31に当接する先端部42とを有しているので、図1(a)に示すように、エンドピン31が入れられた穴22に圧入部41を圧入し、先端部42をエンドピン31に当接させることでエンドピン31を固定することができる。
【0020】
したがって、アーム21の操作で弦支持体20が揺動しても、エンドピン31は、該エンドピン31が係合している穴22の端部(エンドピン31との接触部分)22tから離れなくなり、結果として、チューニングの狂いが生じ難くなる。
【0021】
なお、本願発明により、トレモロ構造を有するエレキギターのチューニングの狂いが低減されることは、本願発明者により、実証されている。
【0022】
穴22は、弦30の本数と同数設けられている。弦の本数が6本の場合、6個設けられており、それぞれの穴22に圧入部材40が圧入される。
【0023】
圧入部材40は、公知の適宜の材料で構成できる。例えば木材、金属、プラスチック、等の材料で構成できる。
【0024】
圧入部材40の形状は、穴22に圧入できて先端部42でエンドピン31を固定できる(エンドピン31が穴22内を下動しないように固定できる)構造であれば任意である。
図示の圧入部材40は、棒状(ピン形状)に構成されている。
圧入部材40は、その頭部43が、トレモロを組み込んであるボディ10の穴11から突出しない長さとすることが望ましい。
【0025】
図において、12は、弦支持体20をボディ10に揺動可能に支持しているピン、13は、弦支持体20を、弦の張り方向に付勢しているスプリングである。
【0026】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において適宜変形実施可能である。
【符号の説明】
【0027】
10: エレキギターのボディー
20: 弦支持体
21: アーム
22: 穴
30: 弦
31: エンドピン
40: 圧入部材
41: 圧入部
42: 先端
【要約】
【課題】チューニングの狂いを軽減することができるエレキギターのトレモロ構造およびその構造に用いる圧入部材を提供する。
【解決手段】エレキギターのボディー10に対してアーム21とともに揺動可能に取り付けられ、弦30の一端に設けられたエンドピン31が入れられる穴22を有し、この穴22に入れられたエンドピン3131と係合することで弦31に張力を付与する弦支持体20を有するエレキギターのトレモロ構造であって、エンドピン31が入れられた穴22に圧入され、先端42がエンドピン31に当接することでエンドピン31を固定する圧入部材40を備えている。
【選択図】図1
図1
図2