(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6772398
(24)【登録日】2020年10月2日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】マットレス、ベッド及びベッドのメイキング方法
(51)【国際特許分類】
A47C 27/00 20060101AFI20201012BHJP
【FI】
A47C27/00 Z
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2020-80661(P2020-80661)
(22)【出願日】2020年4月30日
【審査請求日】2020年4月30日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520055098
【氏名又は名称】株式会社SENTASS
(74)【代理人】
【識別番号】100180426
【弁理士】
【氏名又は名称】剱物 英貴
(72)【発明者】
【氏名】長澤 孝司
【審査官】
杉▲崎▼ 覚
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−215620(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3208087(JP,U)
【文献】
特開2018−201832(JP,A)
【文献】
特開2018−079374(JP,A)
【文献】
特開2000−262357(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
略矩形の中央マットレスと、前記中央マットレスの表面に縫合された略矩形の表面マットレスと、を備えるマットレスであって、
前記表面マットレスは、
前記表面マットレスを表面から裏面に向かって見た際に、矩形は長辺及び短辺で構成され、長辺方向の一端が縫合されていない部位を備え、前記部位を短辺近傍部分とし、前記短辺近傍部分が開閉自在に前記中央マットレスに縫合されており、
前記中央マットレスの板厚方向において、前記中央マットレスから離れる方向を開口方向とするとともに前記中央マットレスに近づく方向を閉口方向とした時に、前記短辺近傍部分は、前記閉口方向の曲げ剛性より前記開口方向の曲げ剛性が大きい
ことを特徴とするマットレス。
【請求項2】
前記中央マットレスの裏面に裏面マットレスが縫合されており、
前記裏面マットレスは、
前記裏面マットレスを表面から裏面に向かって見た際に、矩形は長辺及び短辺で構成され、長辺方向の一端が縫合されていない部位を備え、前記部位を短辺近傍部分とし、前記短辺近傍部分が開閉自在に前記中央マットレスに縫合されており、
前記中央マットレスの板厚方向において、前記中央マットレスから離れる方向を開口方向とするとともに前記中央マットレスに近づく方向を閉口方向とした時に、前記短辺近傍部分は、前記閉口方向の曲げ剛性より前記開口方向の曲げ剛性が大きい、請求項1に記載のマットレス。
【請求項3】
前記表面マットレスおよび/または前記裏面マットレスは、各々の両短辺近傍部分が開閉自在に前記中央マットレスに縫合されている、請求項1または2に記載のマットレス。
【請求項4】
前記短辺近傍部分と前記中央マットレスとで構成される挟持部において、前記短辺近傍部分の前記中央マットレスと対向する面、および前記中央マットレスの前記短辺近傍部分と対向する面の少なくとも一方に滑り止め材を備える、請求項1〜3のいずれか1項に記載のマットレス。
【請求項5】
前記マットレスの側面には、前記短辺近傍部分を前記中央マットレスに係止する係止部が設けられている、請求項1〜4いずれか1項に記載のマットレス。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のマットレスと、前記マットレスが載置されるとともに長手方向の一方の短辺にヘッドボードを備えるベッドフレームと、前記マットレスの表面を覆うシーツと、を備えるベッド。
【請求項7】
請求項6に記載のベッドを用いたベッドメイキング方法であって、
前記表面マットレスと前記中央マットレスで構成される挟持部のうち、前記ヘッドボード側であるとともに前記マットレスの上側に位置する挟持部の短辺近傍部分を開口し、シーツの一端を前記開口した前記挟持部に挟入し、前記挟持部の前記短辺近傍部分を閉口することにより前記挟持部で前記シーツの一端部を挟持し、前記シーツにおいて前記挟持部に挟持されていない部分の端部を前記マットレスと前記ベッドフレームとの間に挟入することを特徴とするベッドメイキング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも3層構造のマットレス、ベッド及びベッドのメイキング方法である。
【背景技術】
【0002】
マットレスには、ウレタンマットレスやコイルマットレスなど、種々のマットレスが使用されている。業務用としては、耐久性や通気性の観点からコイルマットレスが多く使用されている。コイルマットレスはクッションとして機能するために多数のコイルが外装体に内装されている。そして、コイルによる質感の低下を補うため、コイルと外装体の間には不織布などの弾性シートが介在されている。そして、更にクッション性や寝心地が向上するように、コイルなどが内蔵されているマットレスには、ウレタンやフェルトなどの弾性を有するクッション材と外装体とで構成されるマットレスが積層されている。
このように、マットレスは、クッション性や寝心地を向上させるためにマットレスを2層以上積層することがあり、その重量はクッション性を向上させようとするほど重くなっていく。
【0003】
ここで、ベッドメイキングは、通常、頭端部にヘッドボードを備えるベッドフレームにマットレスを載置し、シーツでマットレスを覆い、マットレスを少しだけ持ち上げつつシーツの端部をベッドフレームとマットレスとの間にたくし込む。特に、マットレスの一端はヘッドボードに当接しており、シーツの端部をたくし込むためにはマットレスをある程度の高さまで持ち上げるか、もしくはマットレスとヘッドボードが離れるようにマットレスを移動しなければならない。また、大きなホテルでは数十〜数百のベッドをベッドメイキングしなければならず、従来のベッドメイキングは大変な重労働である。
【0004】
そこで、このような重労働を緩和するため、例えば特許文献1には、シーツを挟持する部材をマットレスに装着して使用するシーツ止め用マット装着具が開示されている。同文献に記載のシーツ止め用マットレス装着具は、マットレスの長手方向端部に装着するための長方体状のカバー本体と、カバー本体の上側面に、開口部側において固定され弾性によってカバー本体上面側に復帰密着するシーツ挟着部材と備える。同文献には、シーツの端部がマットレスの表面に露出するシーツ挟着部材に挟着されるため、前述のような重労働をする必要がない、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭59−101854号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、同文献に記載のシーツ止め用マット装着具は、マットレスをベッドフレームに載置する前に、マットレスの端部に装着しなければならない。マットレスが載置されているベッドに装着具を装着するためには、マットレスをベッドフレームから移動しなければならず、依然として重労働であることに変わりはない。また、このシーツ止め用マット装着具は、表面にシーツ挟着部材を備えるため、シーツが平らにならない。さらに、頭部が持ち上がるために寝心地が阻害される懸念がある。
【0007】
マットレスは、経時使用劣化を抑えるため、定期的にマットレスの表裏を反転させて使用されている。特許文献1に記載のシーツ止め用マット装着具では、その都度装着具の着脱を行う必要が生じるため、むしろ重労働が促進されてしまう。
【0008】
これに加えて、マットレスの幅や厚みは千差万別であるため、同文献に記載のシーツ止め用マット装着具を用いる場合には、マットレスに応じて種々のサイズを準備しなければならず、実用的ではない。さらに言えば、同文献に記載のシーツ止め用マット装着具では、シーツ挟着部材をケース本体に縫い付け、接着などの適宜な手段で固定しなければならない。ベッドメイキングは毎日行われるため、長年の使用により縫合部がほどけてしまうことがあり、耐久性の観点からも、装着具を別途装着することは実用的ではない。
【0009】
上記とは別に、ピロートップのマットレスを用いてもよいとも思われる。ピロートップでは、下部マットレスと上部マットレスは、デザイン性の観点から敢えて端部に隙間が設けられるように縫合されている。ただ、この隙間は常に開口しておりシーツを挟むことができないため、ピロートップのマットレスにてシーツを挟持することは困難である。
【0010】
一方で、シーツ止めが装着されていない従来のマットレスでのベッドメイキングでは、通常、シーツの一端をベッドフレームとマットレスの間に挟めた後、シーツに皺が生じないようにシーツの他端を引っ張りながら行う。このように、従来のマットレスでは、シーツの面積はマットレス全体を覆うことができるように広い面積が必要になる。しかし、前述のようにシーツ止めが装着された場合にはシーツの一端がマットレスの表面で挟持されるため、マットレスのベッドフレーム側の面を覆う必要がなく、シーツの面積はシーツ止めを装着した方が小さくて済む。
【0011】
ここで、従来のシーツの面積とシーツ止めを装着した場合に対応可能なシーツの面積とを比較すると、各々の面積の差は大きくないとも思われる。しかし、シーツの使用量はホテルの規模が大きくなるほど増加する。月間のシーツの洗濯量は1トン以上になることがある。このため、シーツの面積が少しでも減少すれば、洗濯費用は大幅に削減される。このような現状を鑑み、近年では面積が少しでも小さいシーツの使用が求められている。
【0012】
そこで、本発明の課題は、シーツの面積を小さくでき、容易にベッドメイキングを行うことができるマットレス、ベッド、およびベッドのベッドメイキング方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
まず、本発明者らは、少しでも小さい面積のシーツを使用することができるように、マットレスをベッドフレームに載置した際に、上面側にシーツ挟持部材を設けることに着目した。そして、ベッドメイキングを行うユーザーの視点から、特許文献1に記載のように別の装置を用いるのではなく、実用的なマットレスが提供されるように、シーツ挟持部材が一体的に構成されるマットレスの実現に向けて検討が行われた。スプリングを内蔵する中央マットレスの表面に弾性材で構成された表面マットレスが各々の端部で縫合された2層構造のマットレスにおいて、各々のマットレスでシーツを挟持することができる構成であれば、マットレス全体を持ち上げる必要がなくなる。
【0014】
そこで、シーツを挟持する挟持部がマットレスと一体的に構成されるようにするため、例えば
図14に示すように、上部マットレス2と下部マットレス3とが、ピロートップのように各々の端部より内側の縫い目4で縫合されていることが挙げられる。こうすれば、マットレス1の側面の全周に渡り3〜5cm程度の幅を備える挟持部5が形成される。
【0015】
しかし、縫い目4がピロートップと同じような配置であると、挟持部5の幅が狭く、シーツを挟持したとしても挟持後にシーツを引っ張ると挟持されたシーツの端部が簡単に脱離してしまい、ベッドメイキングを行うことができない。挟持部5の幅を大きくしたとしても、そもそも挟持部5はクッション性に優れたマットレスが使用されているため、使用者の寝返りなどによりシーツを挟持し続けることが困難である。また、
図14に示す2層構造では、マットレスの経年使用劣化を抑制するために反転したとしても、下部マットレス3が使用者の直下に位置することになり、使用感が劣ることになる。
【0016】
そこで、本発明では、中央マットレスの上下の各々に表面マットレスおよび裏面マットレスを設けることにより3層構造とした上で、表面マットレスと裏面マットレスの少なくとも一方のマットレスにおいて、ヘッドボードと当接する短辺近傍部分が縫合されずに開閉可能な状態にする構成が採用された。ただ、これでは従来のマットレスと同様にシーツを挟持し続けることが難しい。そこで、従来ではクッション性が向上するように弾性を有するとともに可撓性をも有するマットレスが採用されていたが、敢えて、従来とは逆に、開口する方向に
高い曲げ剛性を有するマットレスを採用した。その結果、偶然にも、ベッドメイキングを行う際にシーツを引っ張ってもシーツが脱離することなく挟持され続ける知見が得られ、本発明は完成された。
【0017】
これにより、本発明では、ベッドメイキングの際、ヘッドボード側のマットレスを持ち上げる必要がなく容易にシーツの端部を挟持することができる。また、挟持したシーツが脱離することがないため、皺が残らないベッドメイキングを容易に行うことができる知見が得られた。さらに、挟持部がマットレスに一体的に設けられることにより、実用性に優れる知見も得られた。これに加えて、本発明を採用したマットレスでは、従来使用されてきたシーツより小さい面積のものを使用することができるため、シーツの洗濯費用を大幅に削減することができる知見も得られた。
これらの知見により完成した本発明は以下のとおりである。
【0018】
(1)略矩形の中央マットレスと、中央マットレスの
表面に縫合された略矩形の表面マットレ
スと、を備えるマットレスであって、表面マットレ
スは、
表面マットレスを表面から裏面に向かって見た際に、矩形は長辺及び短辺で構成され、長辺方向の一端が縫合されていない部位を備え、部位を短辺近傍部分とし、短辺近傍部分が開閉自在に中央マットレスに縫合されており、
中央マットレスの板厚方向において、中央マットレスから離れる方向を開口方向とするとともに中央マットレスに近づく方向を閉口方向とした時に、短辺近傍部分は、閉口方向の曲げ剛性より前記開口方向の曲げ剛性が大きいことを特徴とするマットレス。
【0019】
(2)中央マットレスの裏面に裏面マットレスが縫合されており、裏面マットレスは、裏面マットレスを表面から裏面に向かって見た際に、矩形は長辺及び短辺で構成され、長辺方向の一端が縫合されていない部位を備え、部位を短辺近傍部分とし、短辺近傍部分が開閉自在に前記中央マットレスに縫合されており、中央マットレスの板厚方向において、中央マットレスから離れる方向を開口方向とするとともに中央マットレスに近づく方向を閉口方向とした時に、短辺近傍部分は、閉口方向の曲げ剛性より開口方向の曲げ剛性が大きい、上記(1)に記載のマットレス。
(
3)表面マットレスおよび
/または裏面マットレスは、各々の両短辺近傍部分が開閉自在に中央マットレスに縫合されている、上記(1)
または上記(2)に記載のマットレス。
【0020】
(
4)短辺近傍部分と中央マットレスとで構成される挟持部において、短辺近傍部分の中央マットレスと対向する面、および中央マットレスの短辺近傍部分と対向する面の少なくとも一方に滑り止め材を備える、上記(1)
〜上記(
3)
のいずれか1項に記載のマットレス。
【0021】
(
5)マットレスの側面には、短辺近傍部分を中央マットレスに係止する係止部が設けられている、上記(1)〜上記(
4)のいずれか1項に記載のマットレス。
【0023】
(6)上記(1)〜上記(5)のいずれか1項に記載のマットレスと、マットレスが載置されるとともに長手方向の一方の短辺にヘッドボードを備えるベッドフレームと、マットレスの表面を覆うシーツと、を備えるベッド。
【0024】
(7)上記(6)に記載のベッドを用いたベッドメイキング方法であって、表面マットレスと中央マットレストとで構成される挟持部のうち、ヘッドボード側であるとともにマットレスの上側に位置する挟持部の短辺近傍部分を開口し、シーツの一端を開口した挟持部に挟入し、挟持部の短辺近傍部分を閉口することにより挟持部でシーツの一端部を挟持し、シーツにおいて挟持部に挟持されていない部分の端部をマットレスとベッドフレームとの間に挟入することを特徴とするベッドメイキング方法。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、本発明に係るマットレスの斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明に係るマットレスにおいて、短辺近傍部分を開口した時の斜視図である。
【
図8】
図8は、
図2に示す短辺近傍部分を開口したマットレスの平面図である。
【
図9】
図9は、
図2に示す短辺近傍部分を開口したマットレスの底面図である。
【
図12】
図12は、
図2に示す短辺近傍部分を開口したマットレスの右側面図である。
【
図13】
図13は、
図2に示す短辺近傍部分を開口したマットレスの左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明を図を用いて詳しく説明する。本発明は本実施形態に限定されるものではない。
図1に示すように、本発明に係るマットレス10は、略矩形の中央マットレス11と、中央マットレス11の表裏面に縫合された略矩形の表面マットレス12および裏面マットレス13と、を備える。本実施形態に係るマットレス10は3層構造である。各層について詳述する。
【0027】
1.中央マットレス
本発明の中央マットレス11は、不図示の多数のコイルが外装体に内装されている従来のマットレスを採用する。コイルによる質感の低下を補うため、コイルと外装体の間には不織布などの弾性シートが介在されている。また、中央マットレス11は、ベッドに用いることから略矩形であればよい。ダブルベッドのように略正方形であってもよい。角はR面など丸みを帯びた形状であってもよい。
【0028】
2.表面マットレスおよび裏面マットレス
表面マットレス12および裏面マットレス13は、各々中央マットレス11に縫合されている。また、表面マットレス12および裏面マットレス13は、中央マットレス11と同様に略矩形であればよい。各マットレスを上から見たときの面積は、各々が中央マットレス11に積層されることから中央マットレスと同じ面積かつ同じ形状であることが好ましい。ダブルベッドのように略正方形であってもよいが、この場合には、ベッドフレームのヘッドボード側を短辺とし、その短辺と直角方向の辺を長辺とする。
【0029】
図1に示すマットレス10は、表面マットレス12の一方の短辺近傍部分12a、および裏面マットレス13において短辺近傍部分12aとは反対側の短辺近傍部分13aを備える。
図1中、破線は縫い目17および18を示し、また、点線で表された破線は縫い目17および18が
図1に示す斜視図において裏側に位置することを表す。
図1から明らかなように、この部分は中央マットレス11に縫合されていないため、表面マットレス12および裏面マットレス13は短辺近傍部分12aおよび13aが引き上げ可能な状態で中央マットレス11に縫合されている。より具体的には、
図1に示すように、表面マットレス12は、対向する長辺の各々の一部と、短辺近傍部分12aが設けられている短辺とは反対側の短辺と、で連続する縫い目17で中央マットレス11と縫合されている。
【0030】
短辺近傍部分12aは中央マットレス11と縫合されていないため、開閉自在の状態になり、短辺近傍部分12aと中央マットレス11とで挟持部14が構成される。短辺近傍部分12aがベッドメイキングの際に引き上げられることにより、
図2に示すように挟持部14が開口し、シーツを挟持することができる。
【0031】
裏面マットレス13も同様に、
図1に示すように、対向する長辺の各々の一部と、短辺近傍部分13aとは反対側の短辺と、で連続する縫い目18で中央マットレス11と縫合されている。マットレスの経時使用劣化を抑制するためにはマットレスを表裏に反転させることが好ましく、マットレス10の表裏面に短辺近傍部分12aおよび13aを備えることで、容易にベッドメイキングを行うことが可能となる。
【0032】
本実施形態の好ましい態様としては、表裏を反転させることに加えてマットレスの長手方向において左右を反転させることが好ましい。マットレスには使用者の頭部と臀部に負荷が加わることから、負荷が加わる部分は左右非対称となる。このため、表裏に加えて左右にも反転させた方がマットレスの劣化を更に抑制することができる。このような反転により、
図1に示すマットレスでは、裏面マットレス13の短辺近傍部分13aと中央マットレス11とで構成される挟持部15が不図示のベッドフレームのヘッドボード側に位置することになる。
【0033】
本実施形態の別の好ましい態様としては、表裏反転や左右反転のいずれにも対応できるように、表面マットレス12および裏面マットレス13は、各々の両短辺近傍部分が開閉自在に中央マットレスに縫合されていることが好ましい。つまり、表面マットレス12および裏面マットレス13の両端部に短辺近傍部分を設けることで、マットレスが経時使用劣化を抑制するためにどのように反転されたとしても、常に短辺近傍部分がヘッドボード側に位置することになる。このため、マットレスの反転を柔軟に対処することが可能となる。
【0034】
また、本発明に係るマットレスは、
図2に示すように短辺近傍部分12aを開口方向に引き上げて挟持部14を開口させることができる。ただ、開口方向に可撓性を示す場合には、シーツを挟持したとしてもベッドメイキングの際にシーツが容易に脱離してしまう。そこで、表面マットレス12および裏面マットレス13には、各々短辺近傍部分12aまたは13aを引き上げて開口する方向に
高い曲げ剛性を有する材質を用いる必要がある。これにより、ベッドメイキングの際、もしくはベッドの使用者が寝返りをしたとしても短辺近傍部分12aまたは13aが開口方向に
曲がり難いため、挟持部14または15に挟持されたシーツがマットレスから剥がれ落ちることを抑制することができる。また、本発明に係るマットレス10で用いる上述の材質は、
開口方向に高い曲げ剛性
を有するとともに多少の弾性を備えていてもよい。
図2に示すように開口方向にわずかに撓んでもシーツが容易に脱離することはない。
このような材質としては、例えば竹ひご等を用いることができる。
【0035】
挟持したシーツが更にマットレスから剥がれないようにする観点から、短辺近傍部分の開口方向に
高い曲げ剛性を有する材質は、
図2に示す短辺近傍部分12aまたは13aの
開口方向
の曲げ剛性が閉口方向の曲げ剛性より大きい。
開口方向
の曲げ剛性が大きい場合には、挟持部14または15において挟持したシーツの保持力が向上
する。また、
短辺近傍部分12aまたは13aの閉口方向の曲げ剛性が開口方向の曲げ剛性より小さく、短辺近傍部分12aまたは13aがシーツを挟持する方向に曲が
りやすいために作業性が向上する。例えば、モノフィラメント繊維の連結糸により編んだ網構造体であれば、開口方向には
高い曲げ剛性を有するとともに閉口方向には
開口方向より小さい曲げ剛性を有することができる。
【0036】
表面マットレス12および裏面マットレス13は、従来のマットレスと同様に、外装体の中に各々複数の材質を積層してもよい。各マットレスが複数の材質で構成される場合には、寝心地や質感を向上させる観点から、開口方向に
高い曲げ剛性を有する材質は、最下層、すなわち中央マットレス側に配置することが好ましい。また、
曲げ剛性を有する材質が最下層に配置されていることにより、挟持したシーツの離脱を十分に抑制することができる。この場合には、
曲げ剛性を有する材質の上にウレタンなどの弾力性が高い材質を積層してもよい。これにより、
曲げ剛性を有する材質の質感が使用者に伝わりにくくなり、寝心地が損なわれない。
【0037】
本実施形態の好ましい態様として、短辺近傍部分12aおよび13aと中央マットレス11とで構成される挟持部14および15において、短辺近傍部分12aおよび13aの中央マットレス11と対向する面、および中央マットレス11の短辺近傍部分12aおよび13aと対向する面の少なくとも一方に滑り止め材を備えてもよい。これにより、挟持したシーツがなるべく離脱しないようにすることができる。また、その滑り止め材がシート状であることが好ましい。滑り止め材としては、ゴムシートやマジックテープ(登録商標)などが挙げられる。
【0038】
本実施形態の好ましい態様として、マットレス10の側面には、
図1に示すように、短辺近傍部分12aおよび13aを中央マットレス11に係止する係止部16が設けられていてもよい。これにより、挟持したシーツの保持力が更に向上するため、シーツがマットレス10から離脱し難くなる。また、不図示のヘッドボードには当接しない側面において、シーツを不図示のベッドフレームとマットレス10との間に挟入する際にマットレス10を持ち上げる必要があるが、持ち上げた際に短辺近傍部分13aが開くことがなく、シーツを容易に挟入することができる。
【0039】
係止部16は、布、プラスチックなどであればよく、ベッドメイキングの障害にならないように薄肉体であればよい。また、ボタンなどで各々に接続されていてもよい。
【0040】
本実施形態の好ましい態様として、質感を高めるため、表面マットレス12および裏面マットレス13に、更に従来用いられているクッション性に優れるマットレスを積層してもよい。
【0041】
2.ベッド
本発明に係るベッドは、本発明に係るマットレス10と、本発明に係るマットレスが載置されるとともに長手方向の一方の短辺にヘッドボードを備えるベッドフレームと、本発明に係るマットレス10の表面を覆うシーツと、を備える。本発明に用いるベッドフレームは、従来用いられているものと同様に、使用者の頭端部側に位置する長手方向の一方の短辺にヘッドボードを備える。ベッドフレームにおいてマットレス10を載置する部分はマットレス10と同じ大きさであればよい。本発明に係るマットレス10は、挟持部14および15のいずれかがヘッドボードに当接するように載置される。
シーツは通常用いるものより小さい面積のものを用いることができるが、その大きさはマットレス10の大きさに合わせて適宜選択することができる。
【0042】
3.ベッドメイキング方法
本発明に係るベッドメイキング方法を、
図2を用いて説明する。
図2において、マットレス10の上側方向が開口方向であり、下側方向が閉口方向である。
【0043】
本発明に係るベッドメイキング方法は、挟持部14および15のうち、不図示のヘッドボード側であるとともにマットレス10の上側に位置する挟持部14の短辺近傍部分12aを開口方向に開口し、不図示のシーツの一端を開口した挟持部14に挟入する。その後、挟持部14の短辺近傍部分12aを閉口方向に閉口することにより挟持部14でシーツの一端部を挟持する。シーツにおいて挟持部14に挟持されていない部分の端部をマットレス10と不図示のベッドフレームとの間に挟入する。
【0044】
本発明に係るベッドメイキング方法は、マットレス10と一体的に構成される挟持部14および15を備えるため、実用的であり、極めて容易にシーツを挟持することができる。より詳細には、ベッドメイキングの際、マットレス10のヘッドボード側を持ち上げる必要がないために容易にシーツの端部を挟持することができる。また、シーツを引っ張ってもシーツが挟持部14または15から引き出されることがなく、皺がないきれいなベッドメイキングを簡単に行うことができる。さらには、挟持部14または15が常に上側に位置するため、従来より面積の小さいシーツを用いることができる。
【0045】
なお、本実施形態において、
図3〜
図7は
図1に示すように短辺近傍部分が閉口している状態であるマットレスの平面、正面、背面、右側面、左側面を示す図である。底面は平面と同一であるため、図を省略している。
図3は、
図1に示すマットレスの平面図であり、
図4は、
図1に示すマットレスの正面図であり、
図5は、
図1に示すマットレスの背面図であり、
図6は、
図1に示すマットレスの右側面図であり、
図7は、
図1に示すマットレスの左側面図である。
【0046】
また、
図8〜13は
図2に示すように短辺近傍部分が開口している状態であるマットレスの6面図である。
図8は、
図2に示す短辺近傍部分を開口したマットレスの平面図であり、
図9は、
図2に示す短辺近傍部分を開口したマットレスの底面図であり、
図10は、
図2に示す短辺近傍部分を開口したマットレスの正面図であり、
図11は、
図2に示す短辺近傍部分を開口したマットレスの背面図であり、
図12は、
図2に示す短辺近傍部分を開口したマットレスの右側面図であり、
図13は、
図2に示す短辺近傍部分を開口したマットレスの左側面図である。
各図面において、破線は縫い目を表す。
【符号の説明】
【0047】
1、10 マットレス
2 上部マットレス
3 下部マットレス
4、17、18 縫い目
5、14、15 挟持部
11 中央マットレス
12 表面マットレス
12a、13a 短辺近傍部分
13 裏面マットレス
16 係止部
【要約】 (修正有)
【課題】容易にベッドメイキングを行うことができるマットレス、ベッド、およびベッドのベッドメイキング方法を提供する。
【解決手段】マットレス10は、略矩形の中央マットレス11と、中央マットレス11の表裏面に縫合された略矩形の表面マットレス12および略矩形の裏面マットレス13と、を備える。表面マットレス12および裏面マットレス13は、各々少なくとも一方の短辺近傍部分が開閉自在に中央マットレス11に縫合されており、表面マットレス12および裏面マットレス13は、少なくとも短辺近傍部分の開口方向に剛性を有する材質を用いてなる。
【選択図】
図2