(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記一方の付勢機構部および前記他方の付勢機構部は、前記振分駆動手段の前記振分駆動機構部に対してそれぞれ一対の装着姿勢のいずれかをとるように該装着姿勢の切替えおよび着脱が可能であり、
前記一方の付勢機構部および前記他方の付勢機構部が、それぞれの前記装着姿勢の切換えによって、前記第1および第2の振分け部材のうち前記いずれか一方または他方を前記通過許容姿勢に復帰させるとともに前記いずれか他方または一方を前記排出誘導姿勢に復帰させることを特徴とする請求項1に記載の物品振分装置。
前記一方の付勢機構部および前記他方の付勢機構部は、前記一方の弾性部材および前記他方の弾性部材を互いに結合するユニット基板を介してユニット化されており、前記ユニット基板を反転させることで、前記振分駆動機構部に対する前記一方の付勢機構部および前記他方の付勢機構部の組付け位置を逆転させることができることを特徴とする請求項3に記載の物品振分装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のような従来の物品振分装置においては、物品振分装置の運転停止中に各振分け部材の手動による回動操作が容易に可能であることが要求される場合がある。例えば、振分部材と搬送路との間に物品等が不意に挟まったり、あるいは搬送面(ベルト等)の清掃を行うときに、手動により振分け部材を回動させたりすることがある。その場合、物品振分装置の運転停止中に、例えば各振分け部材を駆動するエアシリンダの作動流体圧を大気側に解放する等して各振分け部材を回動自在にすることができるようになっている。
【0006】
しかしながら、このように運転停止中に各振分け部材を回動自在にすると、物品振分装置の運転開始(再開)時に複数の振分けアーム等の振分け部材の停止位置が不確定の状態となることがあった。
【0007】
これに対し、振分け部材を搬送路の外側の待避位置に復帰させる弱い復帰ばねを設けるものがあるが、搬送開始を伴う運転開始時に不良品が誤って下流側に流出するのを防止すること(いわゆるフェールセーフ)が困難になる場合があった。
【0008】
また、エアシリンダ等のアクチュエータの制御により、振分け部材のいずれかが搬送路を斜めに横切る排出方向の振分け姿勢となるようにその初期姿勢を設定することも考えられるが、運転開始時に搬送路を挟んで隣り合う振分け部材同士がそれらの先端側で相互に干渉してしまい、振分け部材等の振分け部材の損傷、あるいはアクチュエータの過負荷による寿命低下といった問題が発生してしまう。
【0009】
本発明は、かかる従来の問題を解消するものであり、運転停止中に各振分け部材の手動による回動操作が容易に可能であり、しかも、運転開始時における振分け部材同士の相互干渉を確実に回避することができる物品振分装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)本発明に係る物品振分装置は、上記目的達成のため、物品を所定の搬送方向に搬送する搬送路を有する搬送手段と、前記搬送路の幅員方向の両側に配置され、それぞれ前記搬送路上の物品が前記搬送方向に通過するのを許容するよう前記搬送方向に延びる通過許容姿勢と前記搬送路上の物品を前記搬送路外への排出方向に案内するよう前記搬送方向に対し斜めに交差する排出誘導姿勢とをとることができる揺動可能な第1および第2の振分け部材と、前記第1および第2の振分け部材を独立に駆動し、両振分け部材の双方を前記通過許容姿勢として前記搬送路上の物品を前記搬送方向に通過させる第1の振分け動作と、両振分け部材のいずれか一方を前記通過許容姿勢としつつ両振分け部材のいずれか他方を前記排出誘導姿勢に制御する第2の振分け動作と、両振分け部材のいずれか他方を前記通過許容姿勢としつつ両振分け部材のいずれか一方を前記排出誘導姿勢に制御する第3の振分け動作とを択一的に実行させる振分駆動手段と、を備えた物品振分装置であって、前記振分駆動手段が、外部からの動力により作動して前記第1および第2の振分け部材を独立に駆動する振分駆動機構部と、前記第1および第2の振分け部材のうちいずれか片方を前記通過許容姿勢に付勢する一方の付勢機構部と、前記第1および第2の振分け部材のうち他の片方を前記排出誘導姿勢に付勢する他方の付勢機構部と、を含んで構成されており、前記一方の付勢機構部および前記他方の付勢機構部は、前記振分駆動機構部への前記外部からの動力の供給が停止されたとき、前記第1および第2の振分け部材を前記通過許容姿勢と前記排出誘導姿勢とに復帰させることを特徴とする。
【0011】
この構成により、一方の付勢機構部および他方の付勢機構部の付勢力をある程度抑えておくだけで、運転停止中に各振分け部材の手動による回動操作が容易に可能で、しかも、運転開始時における振分け部材同士の相互干渉を確実に回避し、不良品が誤って下流側に流出するのを防止することができる物品振分装置となる。
【0012】
(2)本発明においては、前記一方の付勢機構部および前記他方の付勢機構部は、前記振分駆動手段の前記振分駆動機構部に対してそれぞれ一対の装着姿勢のいずれかをとるように該装着姿勢の切替えおよび着脱が可能であり、前記一方の付勢機構部および前記他方の付勢機構部が、それぞれの前記装着姿勢の切換えによって、前記第1および第2の振分け部材のうち前記いずれか一方または他方を前記通過許容姿勢に復帰させるとともに前記いずれか他方または一方を前記排出誘導姿勢に復帰させる構成とすることができる。
【0013】
すなわち、各付勢機構部に対して、装着姿勢の切替えおよび着脱が可能な一対の装着部位が設けられ、各付勢機構部が対応する一対のうちいずれかに着脱可能に装着されることで、対応する振分け部材のうち復帰位置も切換え可能となる。
【0014】
(3)本発明においては、前記一方の付勢機構部が、前記第1および第2の振分け部材のうちいずれか片方を前記通過許容姿勢に付勢する一方の弾性部材を有するとともに、前記他方の付勢機構部が、前記第1および第2の振分け部材のうち他の片方を前記排出誘導姿勢に付勢する他方の弾性部材を有しており、前記一方の弾性部材および前記他方の弾性部材は、前記一方の付勢機構部および前記他方の付勢機構部への組付け状態下での最小撓みから最大撓みまでの撓み量範囲に対応するそれぞれの組付け姿勢の変動範囲が互いに共通する一方で、前記組付け状態下での付勢方向が互いに逆向きに相違している構成とすることもできる。
【0015】
このようにすると、振分駆動機構部側に対する各付勢機構部の装着部位の形状を共通にしながらも、一方の付勢機構部および他方の付勢機構部の付勢方向を逆向きに相違させ、しかも、その方向の切換えを容易化できることになる。
【0016】
(4)前記一方の付勢機構部および前記他方の付勢機構部は、前記一方の弾性部材および前記他方の弾性部材を互いに結合するユニット基板を介してユニット化されており、前記ユニット基板を反転させることで、前記振分駆動機構部に対する前記一方の付勢機構部および前記他方の付勢機構部の組付け位置を逆転させることができるように構成されてもよい。
【0017】
この場合、ユニット化された一方の付勢機構部および他方の付勢機構部の反転配置が容易に可能となるとともに、ユニット基板側により予め一方の弾性部材および他方の弾性部材をそれぞれの初期組付け形状に保持させておくといったことも可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、運転停止中に各振分け部材の手動による回動操作が容易に可能であり、しかも、運転開始時における振分け部材同士の相互干渉を確実に回避することができる物品振分装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を引用しつつ説明する。
【0021】
(第1実施形態)
図1ないし
図3は、本発明の第1実施形態に係る物品振分装置を示している。
【0023】
図1および
図2に示すように、本実施形態の物品振分装置10は、前段の物品検査装置から検査済みの物品Wが搬入されるコンベア付のもので、特定の検査結果の物品Wを下流側のコンベアに搬出するようになっている。
【0024】
前段の物品検査装置は、例えば計量装置で、その制御部から、許容範囲内の重量を有する物品Wを良品とし、重量に過不足がある物品Wを不良品として、異なる搬送先に振り分けるための振分制御信号(ランク分けのための複数種の振分制御信号等でもよい)を出力するようになっている。
【0025】
物品振分装置10は、この前段の物品検査装置からの振分制御信号に従って、例えば良品と不良品を異なる搬送先に振り分ける振分け動作を実行するようになっている。
【0026】
この物品振分装置10は、筐体11と、筐体11の所定高さ位置に支持されたベルトコンベア12(搬送手段)と、ベルトコンベア12の所定の選別搬送区間内に設けられたフリッパ方式の振分け機構13と、振分け機構13を駆動および制御する振分駆動制御部15とを含んで構成されている。
【0027】
ベルトコンベア12は、図示しないフレームにより互いに平行に保持された駆動側ローラ21および従動側ローラ22の間に無端ベルト23を掛け渡したもので、無端ベルト23の上送区間に対応する搬送路12aを有している。
【0028】
また、駆動側ローラ21は、筐体11に支持された図示しない搬送モータにより回転駆動させるようになっており、ベルトコンベア12は、前段の物品検査装置からの搬送指令信号に従って搬送モータが作動するとき、駆動側ローラ21によって無端ベルト23を走行回転させる搬送駆動状態となるようになっている。
【0029】
このベルトコンベア12は、前述の搬送駆動中、前段の物品検査装置での検査がなされた後に搬送路12aの上流側(
図1中の左端側)から搬入される検査済みの物品Wを、下流側へと所定速度で所定搬送方向に搬送することができる。
【0030】
なお、前段の物品検査装置には、搬送中の物品Wを検出する物品検知センサが設けられており、この物品検知センサからの物品検出信号に基づいて検査済み物品Wが物品振分け装置10に搬入されるとき、前述の搬送指令信号に加えてその物品Wに対応する振分制御信号が前段の物品検査装置の制御部から振分駆動制御部15に出力されるようになっている。
【0031】
振分け機構13は、搬送路12a内に搬入された検査済みの物品Wを、
図1に示す複数の振分け方向D1、D2、D3のうちその物品Wの検査結果に対応するいずれかに方向付けて搬出する(搬送経路外への排出を含む)振分け動作を実行することができる。
【0032】
振分け方向D1〜D3は、例えば物品Wの重量が基準値に対し許容範囲内にある良品の通過方向であるD1方向と、物品Wの重量が基準値に対し許容範囲を上回る重量過多品の搬送路12a外への排出方向であるD2方向と、物品Wの重量が基準値に対し許容範囲を下回る重量不足品の搬送路12a外への排出方向であるD3方向となっている。
【0033】
この振分け機構13は、ベルトコンベア12の搬送路12aの幅員方向(
図1中の上下方向)の両側に、複数、例えば一対のアーム状の振分け部材31、32を有している。
【0034】
図1中で上方側に位置する第1の振分け部材31は、その基端側で回動支持軸33に支持されており、この回動支持軸33を介して筐体11に対し揺動可能に支持されている。そして、回動支持軸33が回動するとき、第1の振分け部材31は、その先端側を搬送路12aの上面に沿って移動させるように揺動(角度変位)することができ、回動支持軸33がその回転を停止させているとき、第1の振分け部材31は、その角度位置が一定に保持されるようになっている。
【0035】
これにより、第1の振分け部材31は、同図中に点線で示すようにD1方向に略平行となって搬送中の物品Wに当接することなくその物品WのD1方向への通過を許容する通過許容姿勢[P1]と、同図中に実線で示すように搬送路12a上で搬送方向に対し幅員方向に傾斜して搬送中の物品Wの搬送方向をD1方向からD2方向に変化させる排出誘導姿勢[P2]とに姿勢変化することが可能である。そして、第1の振分け部材31がその排出誘導姿勢[P2]にて搬送中の物品Wに係合することにより、搬送力を受ける物品Wが第1の振分け部材31に案内されてあるいは弾かれて、搬送路12a外へとD2方向に排出されるようになっている。
【0036】
同様に、
図1中で下方側に位置する第2の振分け部材32は、その基端側で回動支持軸34に支持されており、この回動支持軸34を介して筐体11に対し揺動可能に支持されている。そして、回動支持軸34が回動するとき、第2の振分け部材32は、その先端側を搬送路12aの上面に沿って移動させるように揺動することができ、回動支持軸34が停止しているとき、その角度位置が一定に保持されるようになっている。
【0037】
これにより、第2の振分け部材32は、同図中に実線で示すようにD1方向に略平行となって搬送中の物品Wに当接することなくその物品WのD1方向への通過を許容する通過許容姿勢[P3]と、同図中に二点鎖線で示すように搬送路12a上で搬送方向に対し幅員方向に傾斜して搬送中の物品Wの搬送方向をD1方向からD3方向に変化させる排出誘導姿勢[P4]とに姿勢変化することが可能である。そして、第2の振分け部材32がその排出誘導姿勢[P4]にて搬送中の物品Wに係合することにより、搬送力を受ける物品Wが第2の振分け部材32に案内されてあるいは弾かれて、搬送路12a外へとD3方向排出されるようになっている。
【0038】
図2に示すように、一方の回動支持軸33は、軸方向に離間する2箇所で軸受35、36を介して筐体11に対し回転自在に支持されており、第1の振分け部材31を搬送路12aの上面に対し平行な姿勢に支持している。また、この回動支持軸33には、前端側の連結ピン37aおよび基端側の円筒部37bを有する回動レバー37が図示しない回り止めピンやキー等によって回転方向一体に結合されている。同様に、他方の回動支持軸34は、軸方向に離間する2箇所で軸受35、36を介して筐体11に対し回転自在に支持されるとともに、第2の振分け部材32を搬送路12aの上面に対し平行な姿勢に支持しており、この回動支持軸34には、前端側の連結ピン38aおよび基端側の円筒部38bを有する回動レバー38が図示しない回り止めピン等によって回転方向一体に結合されている。
【0039】
一方、振分駆動制御部15は、第1および第2の振分け部材31、32をそれぞれ独立に駆動可能な第1および第2の駆動シリンダ51、52と、これら駆動シリンダ51、52の伸張および収縮動作を制御する振分け制御部53とを備えた振分駆動手段となっている。
【0040】
第1および第2の駆動シリンダ51、52は、それぞれの出力ロッド部分51a、52aを中間リンク51b、52bを介して対応する回動レバー37、38の連結ピン37a、38aに結合した状態で、回動レバー37、38および回動支持軸33、34を介して第1および第2の振分け部材31、32を回動変位させたり所定角度位置に保持したりするようになっている。
【0041】
図2に示すように、各駆動シリンダ51、52は、例えばそれぞれ外部の流体圧源60からの圧搾空気(流体圧)により作動するエアシリンダとして構成されており、各駆動シリンダ51、52へ流体圧の給排による伸張および収縮動作と、各駆動シリンダ51、52内の流体圧室を大気に開放する実質的に無抵抗な大気開放状態とが、電磁切換弁54、55によって切換え可能となっている。
【0042】
また、第1および第2の駆動シリンダ51、52は、それぞれの軸線方向が搬送路12aによる物品搬送方向と平行になるような装着姿勢で、対応するベース板56A、56Bを介して筐体11に支持されている。この場合、振分け制御部53が、電磁切換弁54、55やそれらのコントローラを含んで構成されることとなる。なお、各駆動シリンダ51、52は、エアシリンダ等の流体圧作動シリンダに限らず、他のアクチュエータ、例えばソレノイド等の電動アクチュエータであってもよく、振分け制御部53は、駆動シリンダ51、52に対応する制御手段としての構成を有していればよい。
【0043】
第1および第2の駆動シリンダ51、52は、外部の流体圧源60(あるいは外部の電源その他の動力源)からの動力により作動して第1および第2の振分け部材31、32を独立に駆動する振分駆動機構部を構成している。
【0044】
振分け制御部53は、これら第1および第2の駆動シリンダ51、52の伸張および収縮動作を独立に制御することで、第1および第2の振分け部材31、32によってそれらの姿勢の組合せが異なる第1ないし第3の振分け動作を実行させることができるようになっている。
【0045】
具体的には、振分け制御部53は、第1および第2の振分け部材31、32の双方をそれらの通過許容姿勢[P1]および[P3]として搬送路12a上の物品Wを搬送方向に通過させる第1の振分け動作と、両振分け部材31、32のいずれか一方、例えば第2の振分け部材32を通過許容姿勢[P3]としつつ両振分け部材31、32のいずれか他方、例えば第1の振分け部材31を排出誘導姿勢[P2]に制御する第2の振分け動作と、第1の振分け部材31を通過許容姿勢[P1]としつつ第2の振分け部材32を排出誘導姿勢[P4]に制御する第3の振分け動作とを、択一的に実行させることができる。
【0046】
振分駆動制御部15は、また、外部の流体圧源60からの動力により作動する前述の第1および第2の駆動シリンダ51、52で構成される振分駆動機構部とは別に、一方の付勢機構部71と他方の付勢機構部72とを含んで構成されている。
【0047】
ここで、一方の付勢機構部71は、第1および第2の振分け部材31、32のうち任意の片方(他の片方)、例えば第1の振分け部材31を排出誘導姿勢[P2]に付勢するようになっており、他方の付勢機構部72は、第1および第2の振分け部材31、32のうち残るいずれか片方、例えば第2の振分け部材32を通過許容姿勢[P3]に付勢するようになっている。そして、一方の付勢機構部71および他方の付勢機構部72は、
図2に示すように振分駆動機構部への外部の流体圧源60からの圧搾空気(動力)の供給が停止されたとき、
図1にそれぞれ実線で示すように、一方の第2の振分け部材32を通過許容姿勢[P3]に復帰させるとともに、他方の第1の振分け部材31を排出誘導姿勢[P2]に復帰させることができるようになっている。
【0048】
一方の付勢機構部71は、弾性部材、例えば押しばね(圧縮ばね)となるコイルばね73sの両端部に取付け穴付きの略T字形または略L字形(縦断面形状)の取付け板73a、73bを固着した第1ばね要素73と、第1ばね要素73の基端側の取付け板73bを筐体11に枢結(回動可能に結合)するための枢結用ブラケット75とを備えている。そして、第1ばね要素73の先端側の取付け板73aの取付け穴部分を回動レバー37の連結ピン37aに、第1ばね要素73の基端側の取付け板73bの取付け穴部分を枢結用ブラケット75のピン部75pに、それぞれ嵌合させて枢結するようになっている。
【0049】
また、
図1に示すように、第1ばね要素73の基端側の取付け板73bを枢結用ブラケット75に結合させるとき、第1ばね要素73は、回動レバー37および回動支持軸33を介して第1の振分け部材31を同図中の反時計方向に付勢することができる。なお、第1ばね要素73は、押しばねに引張用治具を組み込んだ押し引きばねであってもよいし、従来知られた他の押し引き可能なばね要素(例えば特開2001−082426号公報、特開2013−130240号公報等参照)であってもよい。
【0050】
また、他方の付勢機構部72は、弾性部材、例えば引きばね(引張ばね)となるコイルばね74sの両端部に略T字形または略L字形の取付け穴付きの取付け板74a、74bが固着された第2ばね要素74と、この第2ばね要素74の基端側の取付け板74bを筐体11に枢結するための枢結用ブラケット76とを備えており、第2ばね要素74の先端側の取付け板74aの取付け穴部分を回動レバー38の連結ピン38aに嵌合させて枢結するようになっている。
【0051】
また、
図1に示すように、第2ばね要素74の基端側の取付け板74bを枢結用ブラケット76に結合させるとき、第2ばね要素74は、回動レバー38および回動支持軸34を介して第2の振分け部材32を同図中の反時計方向に付勢するようになっており、一方、
図4に示すように、第2ばね要素74の基端側の取付け板74bを同図中左右の枢結用ブラケット76L、76Rのうち左側の枢結用ブラケット76Lに結合させるとき、第2ばね要素74は、回動レバー38および回動支持軸34を介して第2の振分け部材32を同図中の時計方向に付勢するようになっている。
【0052】
これら第1ばね要素73および第2ばね要素74は、一方の付勢機構部71および他方の付勢機構部72への組付け状態下での最小撓みから最大撓みまでの撓み量範囲に対応するそれぞれの組付け姿勢の変動範囲が互いに共通する一方で、それらの組付け状態下での駆動シリンダ51、52に対する付勢方向が互いに逆向きに相違する一方および他方の弾性部材となっている。
【0053】
具体的には、
図3(a)に示すように、第1ばね要素73は、押しばねとなるコイルばね73sが自然長(自由長)となる自由形状における取付け穴の中心間距離(以下、非組付け状態を含めて、ここでは取付け長さという)がLa1で、最大の長さとなるのに対して、
図1に実線で示す復帰状態(最小撓み時)の取付け長さがLf11となり、駆動シリンダ51が伸張し第1の振分け部材31が
図1中に点線で示す通過許容姿勢[P1]となる状態(最大撓み時)の取付け長さがLf12で、最小になる。
【0054】
また、
図3(b)に示すように、第2ばね要素74は、引きばねとなるコイルばね74sが自然長(自由長)となる自由形状における取付け長さがLa2で、最小の長さとなるのに対して、
図1に実線で示す復帰状態(最小撓み時)の取付け長さがLf21となり、駆動シリンダ51が収縮し第2の振分け部材32が
図1中に仮想線で示す排出誘導姿勢[P4]となる状態(最大撓み時)の取付け長さがLf22で、最大となる。
【0055】
ここで、第1ばね要素73の最小(圧縮)撓み時の取付け長さLf11と第2ばね要素74の最大(引張)撓み時の取付け長さLf22が略同一に設定され、第1ばね要素73の最大撓み時の取付け長さLf12と第2ばね要素74の最小撓み時の取付け長さLf21が略同一に設定されている。
【0056】
したがって、本実施形態においては、第1ばね要素73および第2ばね要素74を、
図1における上下に反転するように入れ替えた配置形態で一方の付勢機構部71および他方の付勢機構部72に組み付けると、
図1中に示す復帰状態での排出方向とは逆に、第1の振分け部材31の復帰状態での姿勢が通過許容姿勢[P1]となり、第2の振分け部材32の復帰状態での姿勢が排出誘導姿勢[P4]となるように、復帰状態の排出方向を反転させることができる。なお、振分け部材31、32を駆動するアクチュエータ自体に初期位置復帰のための付勢機構が内蔵されている場合には、この内蔵された付勢機構の付勢力に抗するに十分な弾性力となるように、各ばね要素73、74のコイルばね73s,74s(弾性部材)を選択するのがよく、これによりアクチュエータを駆動するためのエネルギー源に不意な異常が生じてもフェールセーフをより確実に実現できる。
【0058】
上述のように構成された本実施形態の物品振分け装置10においては、一方の付勢機構部71および他方の付勢機構部72の付勢力をある程度抑えるように、第1および第2の振分け部材31、32の復帰状態において第1ばね要素73および第2ばね要素74が最小撓み状態となり、第1ばね要素73および第2ばね要素74の付勢力が要求される最大撓みとなるので、第1および第2の振分け部材31、32の付勢力をある程度抑えて、運転停止中に復帰状態にある各振分け部材31、32を手動により容易に回動操作可能にすることができ、しかも、運転開始時における振分け部材31、32同士の相互干渉を確実に回避し、不良品が誤って下流側に流出するのを防止することができることになる。
【0059】
また、本実施形態においては、一方の付勢機構部71および他方の付勢機構部72は、振分駆動制御部15の第1および第2の駆動シリンダ51、52と回動レバー37、38および回動支持軸33、34とに対して、それらの一対の配置場所のいずれかをとるように装着姿勢の切替えおよび着脱が可能となっているので、第1および第2の振分け部材31、32のうちいずれか一方または他方を通過許容姿勢[P3]または[P1]に復帰させるとともに、第1および第2の振分け部材31、32のうちいずれか他方または一方を排出誘導姿勢[P2]または[P4]に復帰させることができる。
【0060】
さらに、本実施形態では、一方のばね要素73および他方のばね要素74は、一方の付勢機構部71および他方の付勢機構部72への組付け状態下での最小撓みから最大撓みまでの撓み量範囲に対応するそれぞれの組付け姿勢の変動範囲が互いに共通する一方、その組付け状態下での付勢方向が互いに逆向きに相違している。したがって、振分駆動制御部15の振分駆動機構部(駆動シリンダ51、52)に対する各付勢機構部71、72の形状を共通にしながらも、一方の付勢機構部71および他方の付勢機構部72の付勢方向を逆向きに相違させ、しかも、その方向の切換えを容易化できることになる。
【0061】
このような本実施形態においては、運転停止中に各振分け部材31、32の手動による回動操作が容易に可能であり、しかも、運転開始時における振分け部材31、32同士の相互干渉を確実に回避することができる。
【0062】
(第2実施形態)
図4および
図5は、本発明の第2実施形態に係る物品振分装置を示している。
【0063】
なお、以下に述べる各実施形態は、前述の第1実施形態と主要な構成が共通するものであるので、以下の各実施形態については、第1実施形態との相違点を主に説明する。
【0064】
図4および
図5に示すように、本実施形態の物品振分装置20においては、第1ばね要素73の基端側の取付け板73bを筐体11に切替え可能に枢結するための一対の枢結用ブラケット75L、75Rと、第2ばね要素74の基端側の取付け板74bを筐体11に切替え可能に枢結するための一対の枢結用ブラケット76L、76Rと、が設けられている。
【0065】
図4に示すように、第1ばね要素73の基端側の取付け板73bを同図中で左側の枢結用ブラケット75Lに結合させるときには、第1ばね要素73は、回動レバー37および回動支持軸33を介して第1の振分け部材31を同図中の時計方向に付勢することができる。
【0066】
一方、第1ばね要素73の基端側の取付け板73bを
図5に示すように同図中で右側の枢結用ブラケット75Rに結合させるときには、第1実施形態の場合と同様に、第1ばね要素73は、回動レバー37および回動支持軸33を介して第1の振分け部材31を同図中の反時計方向に付勢することができる。
【0067】
また、第2ばね要素74の基端側の取付け板74bを同図中で左側の枢結用ブラケット76Lに結合させるときには、第2ばね要素74は、回動レバー38および回動支持軸34を介して第2の振分け部材32を同図中の時計方向に付勢することができる。
【0068】
この第2ばね要素74の基端側の取付け板74bを
図4中で右側の枢結用ブラケット76Rに結合させるときには、第1実施形態の場合と同様に、第2ばね要素74は、回動レバー38および回動支持軸34を介して第2の振分け部材32を同図中の反時計方向に付勢することができる。
【0069】
さらに、本実施形態では、
図5に示すように、一方の付勢機構部71および他方の付勢機構部72を回動レバー37、38に対し搬送方向の一方側と他方側(同図中の左右)に配置するとともに、両付勢機構部71、72にそれぞれ押しばねである第1ばね要素73を設けることができる。勿論、一方の付勢機構部71および他方の付勢機構部72を回動レバー37、38に対し搬送方向の一方側と他方側に配置するとともに、両付勢機構部71、72にそれぞれ引きばねである第2ばね要素74を設けるようにしてもよい。いずれの場合も、ばね要素を共通仕様にしながらも、一方の付勢機構部71および他方の付勢機構部72による第1および第2の振分け部材31、32のゲート開閉状態を逆にすることができる。
【0070】
このように、本実施形態においては、一方の付勢機構部71および他方の付勢機構部72は、振分駆動手段である振分駆動制御部15の振分駆動機構部(駆動シリンダ51、52)に対して対称的なそれぞれ一対の姿勢のうちいずれかをとるように、それらの装着姿勢の切替えおよび着脱が可能となっている。
【0071】
このような本実施形態の一方の付勢機構部71および他方の付勢機構部72は、それぞれの装着姿勢の切換えによって、第1および第2の振分け部材31、32のうちいずれか一方または他方を通過許容姿勢[P3]または[P1]に復帰させるとともに、第1および第2の振分け部材31、32のうちいずれか他方または一方を排出誘導姿勢[P2]または[P4]に復帰させることができる。
【0072】
また、第1ばね要素73および第2ばね要素74は、一方の付勢機構部71および他方の付勢機構部72への組付け状態下での最小撓みから最大撓みまでの撓み量範囲に対応するそれぞれの組付け姿勢の変動範囲が互いに共通する一方で、それらの組付け状態下での付勢方向が互いに逆向きに相違しているので、第1実施形態と同様な反転配置も可能である。
【0073】
本実施形態においても、運転停止中に各振分け部材31、32の手動による回動操作が容易に可能であり、しかも、運転開始時における振分け部材31、32同士の相互干渉を確実に回避し、不良品が誤って下流側に流出するのを防止することができる。
【0074】
(第3実施形態)
図6および
図7は、本発明の第3実施形態に係る物品振分装置を示している。
【0075】
図6に示すように、本実施形態の物品振分装置30においては、振分け機構13を駆動および制御する振分駆動制御部15が、ベルトコンベア12の下方側に位置するように内側配置されている。
【0076】
この振分駆動制御部15は、第1および第2の駆動シリンダ51、52と、これら駆動シリンダ51、52の伸張および収縮動作を制御する振分け制御部53とを備えた振分駆動手段となっている。
【0077】
第1および第2の駆動シリンダ51、52は、それぞれの出力ロッド部分51a、52aを対応する回動レバー37、38(
図1に示す第1実施形態に対し内外に反転している)に結合した状態で、回動レバー37、38および回動支持軸33、34を介して第1および第2の振分け部材31、32を回動変位させたり所定角度位置に保持したりするようになっている。
【0078】
図7(a)に示すように、本実施形態における一方の付勢機構部71および他方の付勢機構部72は、一方のばね要素73および他方のばね要素74を基端側の取付け板73b、73b側でユニット基板81に連結し、ユニット基板81を介して互いに結合することによりユニット化されている。
【0079】
したがって、ユニット基板81を反転させることで、振分駆動機構部を構成する第1および第2の駆動シリンダ51、52に対する一方の付勢機構部71および他方の付勢機構部72の組付け位置を逆転させることができる。
【0080】
勿論、ユニット基板81に対する一方のばね要素73および他方のばね要素74の連結姿勢を一定範囲内に制限するために、凹凸や切欠き等によるガイドを設けてもよい。
【0081】
図7(b)に示すように、一方の付勢機構部71および他方の付勢機構部72は、押しばねや引きばねとなる一方のばね要素73および他方のばね要素74でなく、捩りばね、例えば捩りコイルばねである一方のばね要素83および他方のばね要素84として、これらを支持軸部82a、82bで保持し互いに結合するユニット基板82を介して単一ユニット化するようにしてもよい。この場合も、ユニット基板81を反転させることで、振分駆動機構部を構成する第1および第2の駆動シリンダ51、52に対する一方の付勢機構部71および他方の付勢機構部72の組付け位置を容易に逆転させることができる。
【0082】
本実施形態においても、運転停止中に各振分け部材31、32の手動による回動操作が容易に可能であり、しかも、運転開始時における振分け部材31、32同士の相互干渉を確実に回避し、不良品が誤って下流側に流出するのを防止することができる。
【0083】
しかも、本実施形態では、ユニット基板81(または82)の装着姿勢の反転程度で、ユニット化された一方の付勢機構部71および他方の付勢機構部72の付勢方向を容易に逆向きに相違させることができる。
【0084】
なお、上述の第1実施形態においては、第1の振分け部材31および第2の振分け部材32は、真直なアーム状の部材としたが、板状のものや底板を有するもの、あるいは、振分け部材の回動に応じて搬送方向と直交する方向に往復移動するような部材と組み合されたものであってもよい。
【0085】
また、上述の各実施形態では、一方のばね要素73および他方のばね要素74の基端側を筐体11側のブラケット75、76等に枢結し、両ばね要素73、74を揺動できるようにするとともに、復帰状態における両ばね要素73、74と回動レバー37、38のなす角度(挟角)を小さくすることで、復帰状態における第1および第2の振分け部材31、32の操作抵抗を抑えるようにしていたが、そのような取付け部や他の取付け板等との組合せによる低ばね定数化の手法は任意である。一方および他方のばね要素73、74のばね部分が従来知られた任意のばねで構成され得るのはいうまでもない。
【0086】
以上説明したように、本発明の物品振分装置は、エネルギー源を必要としない弾性体としてのばね要素を用いることにより、運転停止中に各振分け部材の手動による回動操作が容易に可能であり、しかも、運転開始時における振分け部材同士の相互干渉を確実に回避し、不良品が誤って下流側に流出するのを防止することができる物品振分装置を提供できるものである。かかる本発明は、検査済みの搬送物品を振分制御信号に応じた搬送先に振り分ける動作を実行する物品振分装置全般に有用である。