(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6772425
(24)【登録日】2020年10月5日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】走行型トンネル覆工撮影装置、及び走行型トンネル覆工撮影方法
(51)【国際特許分類】
H04N 5/225 20060101AFI20201012BHJP
G01N 21/954 20060101ALI20201012BHJP
G03B 15/05 20060101ALI20201012BHJP
G03B 17/56 20060101ALI20201012BHJP
H04N 5/222 20060101ALI20201012BHJP
H04N 5/232 20060101ALI20201012BHJP
【FI】
H04N5/225 600
G01N21/954 A
G03B15/05
G03B17/56 A
H04N5/222 100
H04N5/225 100
H04N5/232 220
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-32864(P2017-32864)
(22)【出願日】2017年2月24日
(65)【公開番号】特開2018-136285(P2018-136285A)
(43)【公開日】2018年8月30日
【審査請求日】2020年1月10日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390023249
【氏名又は名称】国際航業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591248223
【氏名又は名称】株式会社計測リサーチコンサルタント
(74)【代理人】
【識別番号】100158883
【弁理士】
【氏名又は名称】甲斐 哲平
(72)【発明者】
【氏名】東田 正樹
(72)【発明者】
【氏名】加藤 淳
【審査官】
佐藤 直樹
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−218725(JP,A)
【文献】
特開2004−012152(JP,A)
【文献】
特開2011−117788(JP,A)
【文献】
特開2000−331168(JP,A)
【文献】
特開2004−347585(JP,A)
【文献】
特開2016−031249(JP,A)
【文献】
特開2014−095627(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/225
G01N 21/954
G03B 15/05
G03B 17/56
H04N 5/222
H04N 5/232
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行しながらトンネル覆工を撮影する装置において、
走行体と、
前記走行体に設置された複数の照明手段と、
前記走行体に、異なる方向に向いて設置された複数の画像取得手段と、
前記照明手段と前記画像取得手段が取り付けられた設置架台と、
前記設置架台を収容する収納ハウスと、
制御手段と、を備え、
前記照明手段は、前記画像取得手段と前記画像取得手段の間に配置され、
前記制御手段からトリガ信号が送られると、前記照明手段によってフラッシュ照明が行われるとともに、前記画像取得手段によってトンネル覆工表面の画像を取得し、
前記設置架台は、レール上をスライドしながら前記収納ハウスに出し入れ可能である、
ことを特徴とする走行型トンネル覆工撮影装置。
【請求項2】
前記制御手段は、あらかじめ設定された時間間隔でトリガ信号を送信する、
ことを特徴とする請求項1記載の走行型トンネル覆工撮影装置。
【請求項3】
前記画像取得手段が、近赤外線カメラであり、
前記照明手段は、近赤外線光を照射する、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の走行型トンネル覆工撮影装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の走行型トンネル覆工撮影装置を用いて、トンネル覆工を撮影する方法において、
前記走行体で走行しながら、前記照明手段によってフラッシュ照明を行う照明工程と、
前記走行体で走行しながら、前記画像取得手段によってトンネル覆工表面の画像を取得する画像取得工程と、を備え、
前記照明工程と前記画像取得工程は、前記制御手段から送信されるトリガ信号に応じ同期して行われる、
ことを特徴とする走行型トンネル覆工撮影方法。
【請求項5】
前記画像取得工程では、近赤外線カメラによってトンネル覆工表面の画像を取得し、
前記画像取得工程で取得した画像に基づいて、トンネル覆工面全体の3次元モデルを作成するとともに画像展開図を作成する、
ことを特徴とする請求項4記載の走行型トンネル覆工撮影方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、トンネルの点検に関するものであり、より具体的には、点検のため走行しながらトンネル覆工の画像を取得する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高度経済成長期に集中的に整備されてきた建設インフラストラクチャー(以下、「建設インフラ」という。)は、既に相当な老朽化が進んでいることが指摘されている。平成26年には「道路の老朽化対策の本格実施に関する提言(社会資本整備審議会)」がとりまとめられ、平成24年の笹子トンネルの例を挙げて「近い将来、橋梁の崩落など人命や社会装置に関わる致命的な事態を招くであろう」と警鐘を鳴らし、建設インフラの維持管理の重要性を強く唱えている。
【0003】
我が国の国土はその2/3が山地であり、したがって道路や線路などは必ずといっていいほど山地を通過する区間があり、国内の山岳トンネルの数は10,000を超えるといわれている。もちろんこの山岳トンネルも他の建設インフラの例外ではなく、やはり老朽化が進んでいる。特にトンネルの覆工コンクリート(以下、単に「トンネル覆工」という。)に生じるひび割れ、うき、はく離、はく落、漏水といった変状は、代表的な老朽化の症状として挙げることができる。
【0004】
トンネル覆工に生ずる変状は、緩み土圧や偏土圧、水圧、凍上圧といった外力に起因するものと、温度応力や乾燥収縮、アルカリ骨材反応など材料等に起因するものに大別される。外力による変状としては引張によるひび割れや、圧縮による圧ざ、せん断によるひび割れ等が挙げられ、材料等による変状としては主にひび割れが挙げられる。このうち外力による変状は、進行性があるものも少なくなく、この場合トンネル構造に影響を及ぼすおそれもある。一方、材料等による変状は、外力によるものほど進行性はないものの、天端からコンクリート片が落下すると大事故につながることを考えると、当然ながら看過することはできない。
【0005】
このような背景のもと、国は道路法施行規則の一部を改正する省令を公布し、具体的な建設インフラの点検方法、主な変状の着目箇所、判定事例写真などを示した定期点検要領を策定している。特に山岳トンネルに関しては、安全で円滑な交通の確保や第三者への被害を防止することを目的として、「道路トンネル定期点検要領」が提示された。
【0006】
この道路トンネル定期点検要領では、メンテナンスサイクル(点検、診断、措置、記録)を定期的に実施することがトンネルの維持管理にとって重要であるとしており、メンテナンスサイクルのうち特に定期点検についてその要領を示している。定期点検は文字どおり定められた頻度で繰り返し実施される点検であり、トンネル建設(トンネル覆工打設)後1〜2年の間に行われる初期点検の後、5年に1回の頻度で実施される。そして、初期点検ではトンネル全延長に対して近接目視と打音検査を行い、その後の定期点検ではトンネル全延長に対する近接目視と必要箇所の打音検査を行うよう定められている。つまり近接目視は、初期点検、定期点検にかかわらず常にトンネル全延長に対して実施しなければならない。
【0007】
近接目視は、「肉眼により部材の変状等の状態を把握し評価が行える距離まで接近して目視を行う」とされていることから、原則として人によって実施される。そのため多大な労力と時間を要するうえに、高所作業車の使用が避けられないため通行規制を伴うこともある。そこで道路トンネル定期点検要領では、「今後、調査技術者が近接目視によって行う評価と同等の評価が行えると判断できる新技術が開発された場合は、新技術の併用を妨げるものではない。」とし、人による作業を改善するような新たな点検技術を期待しており、これまでも種々の提案がなされてきた。例えば特許文献1では、トンネルを移動しながらビデオカメラ等でトンネル覆工面を撮影し、その画像からひび割れを抽出する技術について提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−141660号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
既述したとおり近接目視は人によって行われ、また当然ながらその記録も人の手で行われる。つまり、高所作業車などを利用しながらトンネル覆工に接近し、ひび割れを目視で検出するとともに、そのひび割れの位置や寸法等をあらかじめ用意した図面等にその場で記入していくわけである。しかしながら、検出したひび割れの位置と図面を照らし合わせる作業は想像以上に難しく、さらに人による作業であることから、検出したひび割れの位置や寸法の誤記入や記入漏れも考えられる。ひび割れの位置等の誤記入は次回の定期点検で混乱を招くこともあり、変状の進展に関する誤った判断にもつながりかねない。またひび割れの記入漏れはすなわち変状を放置することとなり対策が遅れる結果事故につながるおそれもある。
【0010】
そこで発明者らは、トンネル覆工の画像を利用して画像展開図を作成し、この画像展開図を参照しながら近接目視を行うという着想を得た。画像展開図に示されたひび割れを確認することで、検出したひび割れ位置の誤記入や記入漏れを防ぐことができるわけである。
【0011】
ところで、一般的なトンネル内では光量が十分ではないため、鮮明な画像を得るには照明が必要となる。また、一般車両の走行を阻害しないためには、相当の速度で移動しながら撮影していくことが望ましい。したがって通常は、特許文献1のようにビデオカメラ等で連続的に撮影するのが主流であり、そのため照明も走行中は継続的に行われていた。しかしながら、従来の手法ではそれほど鮮明にトンネル覆工の画像が取得できなかった。そして発明者らは、その大きな原因が継続的な照明(以下、「常時照明」という。)にあることを見出した。同じ照明器具でも、単発的な照明(以下、「フラッシュ照明」という。)に比べると、常時照明の方が少ない光量となるため鮮明な画像が取得できないわけである。
【0012】
本願発明の課題は、従来技術が抱える問題を解決することであり、すなわち従来技術よりも鮮明なトンネル覆工画像を取得することができる走行型トンネル覆工撮影装置、及び走行型トンネル覆工撮影方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願発明は、フラッシュ照明を利用するとともに、トリガ信号に応じ照明と撮影を同期して行うことでトンネル覆工画像を取得するという点に着目したものであり、従来にはなかった発想に基づいてなされた発明である。
【0014】
本願発明の走行型トンネル覆工撮影装置は、走行しながらトンネル覆工を撮影する装置であり、走行体と、照明手段(走行体に設置)、画像取得手段(走行体に設置)、制御手段を備えたものである。制御手段からトリガ信号が送られると、照明手段によってフラッシュ照明が行われるとともに、画像取得手段によってトンネル覆工表面の画像が取得される。
【0015】
本願発明の走行型トンネル覆工撮影装置は、距離計(走行体に設置)をさらに備えたものとすることもできる。この場合の制御手段は、距離計で計測された距離に基づいてトリガ信号を送信する。
【0016】
本願発明の走行型トンネル覆工撮影装置は、制御手段があらかじめ設定された時間間隔でトリガ信号を送信するものとすることもできる。
【0017】
本願発明の走行型トンネル覆工撮影装置は、画像取得手段として近赤外線カメラを備えたものとすることもできる。この場合の照明手段は、近赤外線光を照射する。
【0018】
本願発明の走行型トンネル覆工撮影方法は、本願発明の走行型トンネル覆工撮影装置を用いてトンネル覆工を撮影する方法であり、照明工程と画像取得工程を備た方法である。照明工程では、走行体で走行しながら照明手段によってフラッシュ照明を行い、画像取得工程では、走行体で走行しながら画像取得手段によってトンネル覆工表面の画像を取得する。なお照明工程と画像取得工程は、制御手段から送信されるトリガ信号に応じ同期して行われる。この場合、近赤外線カメラによってトンネル覆工表面の画像を取得し、その画像に基づいて、トンネル覆工面全体の3次元モデルを作成するとともに画像展開図を作成することもできる。
【発明の効果】
【0019】
本願発明の走行型トンネル覆工撮影装置、及び走行型トンネル覆工撮影方法には、次のような効果がある。
(1)撮影時の照明をフラッシュ照明とするため、常時照明に比して光の量が多くなり、この結果鮮明な画像を取得することができる。
(2)鮮明な画像が取得されることから、トンネル覆工の画ひび割れを明瞭に把握することができる。
(3)鮮明な画像に基づく画像展開図が得られ、これを参照することで近接目視が効率的に実施できるうえ、誤記入や記入漏れを回避することができる。
(4)近赤外線カメラ(画像取得手段)を利用すれば、煤等で汚れたトンネル覆工のひび割れも把握することができる(発明者らは、煤けたトンネルで0.2mm幅のひび割れが取得できることを確認している)。
(5)近赤外線カメラを利用すればフラッシュ照明も不可視光となり、画像取得作業中でも対向車に影響を与えることがなく、また距離確保用のパトロール車に追尾させる必要もない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本願発明の走行型トンネル覆工撮影装置を示すブロック図。
【
図2】(a)は画像取得手段と照明手段を収納ハウスに収納した状態の走行型トンネル覆工撮影装置を示す側面図、(b)は画像取得手段と照明手段を収納ハウスから引き出した状態の走行型トンネル覆工撮影装置を示す側面図。
【
図3】本願発明の走行型トンネル覆工撮影方法の主な工程の流れを示すフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本願発明の走行型トンネル覆工撮影装置、及び走行型トンネル覆工撮影方法の実施形態の例を図に基づいて説明する。なお、本願発明の走行型トンネル覆工撮影装置は、本願発明の走行型トンネル覆工撮影方法に使用されるものでる。したがって、まずは走行型トンネル覆工撮影装置について説明し、その後に走行型トンネル覆工撮影方法について説明することとする。
【0022】
1.走行型トンネル覆工撮影装置
図1は、本願発明の走行型トンネル覆工撮影装置100を示すブロック図である。この図に示すように走行型トンネル覆工撮影装置100は、画像取得手段101と、照明手段102、制御手段103、走行体104を備えたものであり、さらに距離計105や、画像記憶手段106、ディスプレイやプリンタといった出力手段107、これらの機器に電気を供給する発電機108を備えたものとすることもできる。
【0023】
図2は、本願発明の走行型トンネル覆工撮影装置100を示す図であり、(a)は画像取得手段101と照明手段102を収納ハウス109に収納した状態を示す側面図、(a)は画像取得手段101と照明手段102を収納ハウス109から引き出した状態を示す側面図である。この図に示すように、画像取得手段101や照明手段102など走行型トンネル覆工撮影装置100を構成する各手段は、トラック等の走行体104に搭載される。例えば、画像取得手段101と照明手段102は荷台上に設置された収納ハウス109内に格納され、制御手段103は乗車室(キャビン)内に置かれる。また、発電機108は収納ハウス109と同様荷台上に設置され、距離計105は荷台下面に取り付けられ、画像記憶手段106と出力手段107は制御手段103と同様キャビン内に置かれる。
【0024】
(画像取得手段と照明手段)
走行型トンネル覆工撮影装置100は、移動しながらトンネル覆工の画像を取得するものであり、より詳しくは、例えば道路トンネル内を走行体104で走行しながらトンネル覆工の片側断面の画像を画像取得手段101で取得していくものである。したがって、異なる方向に向いた複数の画像取得手段101で画像を取得するのがよく、
図2に示すように複数の画像取得手段101を設置するとよい。なお、
図2では側方に向いた4つの画像取得手段101のみを表しているが、実際には上方を向いた複数の画像取得手段101も設置されている。
【0025】
照明手段102は、画像取得手段101で撮影する際にトンネル覆工面に光を投じるものであるから、画像取得手段101と同様やはり複数設置し、さらに画像取得手段101の近傍であって同じ方向に向く姿勢で設置される。例えば
図2に示すように、画像取得手段101と画像取得手段101の間に照明手段102を配置するとよい。
【0026】
画像取得手段101と照明手段102は、設置架台110に取り付けられる。そしてこの設置架台110は、例えばレール上をスライドしながら収納ハウス109に出し入れできるように設置される。現地までの輸送中は、
図2(a)に示すように設置架台110(つまり、画像取得手段101と照明手段102)を収納ハウス109に収納することで風雨等を防護し、撮影作業中は、
図2(b)に示すように設置架台110を収納ハウス109から引き出すわけである。
【0027】
画像取得手段101は、通常の可視光カメラとすることもできるし、赤外線カメラなど可視光以外のカメラを利用することもできる。特に近赤外線カメラは、トンネル覆工面に付着した煤等も透過して画像化することが出来るため、本願発明の走行型トンネル覆工撮影装置100にとっては好適である。発明者らは、近赤外線カメラで煤けたトンネル覆工面を撮影したところ、0.2mm幅のひび割れまで認識できることを確認している。なお、画像取得手段101を可視光カメラとした場合は、当然ながら照明手段102は可視光線を照射するものが採用され、画像取得手段101を近赤外線カメラとした場合は、当然ながら照明手段102は近赤外線を照射するものが採用される。
【0028】
(制御手段)
制御手段103は、画像取得手段101と照明手段102に対して処理を行う命令信号(以下、「トリガ信号」という。)を送信するものである。換言すれば、画像取得手段101は制御手段103からのトリガ信号を受けることで撮影し(シャッターを押し)、照明手段102は制御手段103からのトリガ信号を受けることで近赤外線等を照射するわけである。また制御手段103は、画像取得手段101と照明手段102が同時に処理するようにトリガ信号を送信するものであり、つまりトリガ信号応じて画像取得手段101と照明手段102が同期して撮影かつ照射する。このように照明手段102による照明は、常時照明ではなく単発的なフラッシュ照明であることから、比較的(常時照明より)光量が多くなり、この結果鮮明な画像を取得することができる。
【0029】
制御手段103からのトリガ信号は、オペレータによる手動送信とすることもできるし、あらかじめ定めた時刻(定期的又は不定期的)に自動送信させることができる。あるいは、あらかじめ定めた距離間隔で、制御手段103にトリガ信号を自動送信させることもできる。この場合、レーザー距離計やDMI(Distance Measuring Instrument)といった距離計105を走行体104に設置し、この距離計105が測定した距離情報に応じて制御手段103にトリガ信号を自動送信させるわけである。したがって距離計105の距離情報は、リアルタイムで制御手段103に伝達される。
【0030】
画像記憶手段106は、画像取得手段101が取得した画像を記憶するものであり、画像取得手段101の情報(どのカメラで撮影したか)と取得した時刻情報、あるいは取得した位置(距離計105の距離情報)などと関連付けて(紐付けて)画像を記憶するものである。また出力手段107は、画像取得手段101が取得した画像をその場で表示するディスプレイであり、あるいは画像を印刷するプリンタである。
【0031】
制御手段103は、専用のものとして製造することもできるが、汎用的なコンピュータ装置を利用することもできる。このコンピュータ装置は、パーソナルコンピュータ(PC)や、iPad(登録商標)といったタブレットPC、スマートフォン、あるいはPDA(PersonalData Assistance)などによって構成することができる。コンピュータ装置は、CPU等のプロセッサ、ROMやRAMといったメモリを具備しており、さらにマウスやキーボード等の入力手段やディスプレイ(表示手段600)を含むものもある。なお、一般的なPCであればマウスやキーボード等のデバイスから入力するが、タブレットPCやスマートフォンではタッチパネルを用いた操作(タップ、ピンチイン/アウト、スライド等)で入力することが多い。制御手段103としてPCを利用した場合、画像記憶手段106や出力手段107(ディスプレイ)もこのPCを利用して構築することができる。
【0032】
2.走行型トンネル覆工撮影方法
続いて、本願発明の走行型トンネル覆工撮影方法について
図3を参照しながら説明する。なお、本願発明の走行型トンネル覆工撮影方法は、本願発明の走行型トンネル覆工撮影装置100を使用する方法であり、したがって「1.走行型トンネル覆工撮影装置」で説明した内容と重複する説明はここでは避け、走行型トンネル覆工撮影方法特有の内容のみ説明することとする。すなわち、ここに記載されていない内容は、「1.走行型トンネル覆工撮影装置」で説明したものと同様である。
【0033】
図3は、本願発明の走行型トンネル覆工撮影方法の主な工程の流れを示すフロー図である。通常トンネル覆工を撮影する場合は、この図に示すように往路(左側車線)と復路(右側車線)で2回の走行に分けて撮影される。
図3を参照しながら詳しく説明する。まず、走行体104で左側車線を走行しながら一方の側面(この場合は左側壁面)と天端を撮影する(Step100A)。このとき、例えば距離計105が測定した距離情報に応じて、制御手段103がトリガ信号を自動送信し、このトリガ信号に応じて照明手段102が近赤外線等を照射するとともに(Step101)、赤外線カメラなどの画像取得手段101が撮影する(Step102)。そして左側車線側の撮影(走行)が終わると、今度は右側車線を走行しながら他方の側面(この場合は右側壁面)と天端を撮影する(Step100B)。
【0034】
なお、トンネル覆工を撮影した画像は、隣接する画像と相当程度重複(ラップ)するように取得される。具体的には、延長方向(トンネル軸方向)に隣接する画像どうしは相当程度ラップし、断面方向に隣接する画像どうしも相当程度ラップしている。このようにラップしていることから、例えばSFM(Structure from Motion)といった従来から用いられている画像解析技術を使用することで、トンネル覆工面全体の3次元モデルを作成することができ、この3次元モデルをもとに画像展開図を作成することができる(Step200)。この場合、近赤外線カメラで撮影した画像をもとにSFM等の画像解析技術を用いてトンネル覆工面全体の3次元モデルを作成し、これにより画像展開図を作成することもできる。また、距離計105による距離情報が取得されていれば、この画像展開図に距離標を付与することもできる。
【0035】
対象とするトンネルの画像展開図が得られると、この画像展開図を参照しながら実際に近接目視を行う(Step300)。既述のとおり、本願発明の走行型トンネル覆工撮影装置100を使用すれば比較的(常時照明より)光量が多い状態で画像を取得することができ、すなわち鮮明な画像に基づく画像展開図が得ることができる。また、道路トンネル定期点検要領で規定する「トンネル全体変状展開図」あるいは「覆工スパン別変状詳細展開図」はトンネル背面側(内空側の反対側)から見た展開図であるため誤記入が生じやすいが、本願発明による画像展開図は容易に反転できることから、反転した画像展開図(すなわち、トンネル全体変状展開図等)を参照することで近接目視が効率的に実施できるうえ、誤記入や記入漏れを回避することができる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本願発明の走行型トンネル覆工撮影装置、及び走行型トンネル覆工撮影方法は、道路トンネルのほか鉄道トンネルや、共同溝など比較的大きな埋設管にも利用することができる。本願発明によれば、供用中のトンネル覆工の劣化状況が把握でき、その劣化状況に応じた補修、補強対策が可能となり、ひいてはトンネルの長寿命化につながることを考えれば、産業上利用できるばかりでなく社会的にも大きな貢献を期待し得る発明といえる。
【符号の説明】
【0037】
100 本願発明の走行型トンネル覆工撮影装置
101 画像取得手段
102 照明手段
103 制御手段
104 走行体
105 距離計
106 画像記憶手段
107 出力手段
108 発電機
109 収納ハウス
110 設置架台