特許第6772440号(P6772440)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6772440シール構造、回転駆動装置、搬送装置、工作機械および半導体製造装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6772440
(24)【登録日】2020年10月5日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】シール構造、回転駆動装置、搬送装置、工作機械および半導体製造装置
(51)【国際特許分類】
   F16J 15/18 20060101AFI20201012BHJP
   F16C 33/76 20060101ALI20201012BHJP
   F16J 15/3204 20160101ALI20201012BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20201012BHJP
   B65G 49/07 20060101ALI20201012BHJP
【FI】
   F16J15/18 C
   F16C33/76 A
   F16J15/18 A
   F16J15/3204
   H01L21/68 N
   B65G49/07 Z
【請求項の数】10
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-170851(P2015-170851)
(22)【出願日】2015年8月31日
(65)【公開番号】特開2017-48819(P2017-48819A)
(43)【公開日】2017年3月9日
【審査請求日】2018年8月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】中村 剛
(72)【発明者】
【氏名】樋口 英也
(72)【発明者】
【氏名】金 秀樹
【審査官】 的場 眞夢
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−132379(JP,A)
【文献】 特表2004−536444(JP,A)
【文献】 特開平11−037300(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 33/72−33/82
F16J 15/16−15/3296
15/46−15/53
H01L 21/67−21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力の異なる2つの空間を隔てるシール構造であって、前記圧力の異なる2つの空間のうち高圧側の空間に配置される筒状のハウジングと、前記ハウジングに挿入されるシャフトと、前記シャフトの一端部に固定されて前記シャフトの回転とともに回転し、かつ前記シャフトの軸方向の移動とともに移動し、前記ハウジングに接して、前記シャフトの外径面と前記シャフトが挿入される前記ハウジングの貫通穴との間の隙間である第1隙間を密封する環状の第1シール部材と、を備え
前記第1シール部材は、前記シャフトの径方向内側に向かって突出し、前記シャフトの一端部と、前記シャフトの一端部に固定されて前記シャフトとともに回転する回転部材との間に挟まれて固定されるシールフランジ部を備えることを特徴とするシール構造。
【請求項2】
前記第1シール部材は、前記シャフトに接する固定部と、前記ハウジングに接するリップ部と、前記固定部と前記リップとを連結する環状連結部と、を備えることを特徴とする請求項1に記載のシール構造。
【請求項3】
前記リップ部と、前記環状連結部と、前記固定部とで囲まれる空間に設けられて、前記リップ部を前記ハウジングに押し付ける付勢部材を備えることを特徴とする請求項2に記載のシール構造。
【請求項4】
前記リップ部と、前記環状連結部と、前記固定部とで囲まれる空間は、前記圧力の異なる2つの空間のうち、高圧側の空間に向かって開口していることを特徴とする請求項2または3に記載のシール構造。
【請求項5】
前記第1シール部材と軸方向に所定の間隔を有して前記シャフトに固定されて前記シャフトとともに回転し、かつ側面が所定の大きさの隙間である前記第1隙間を有して前記ハウジングの内壁と対向するシール固定部材と、前記シール固定部材に固定されて前記シール固定部材とともに回転し、前記ハウジングに接して、前記第1隙間を密封する環状の第2シール部材を、さらに備えることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載のシール構造。
【請求項6】
前記ハウジング内周面と、前記第1シール部材と、前記第2シール部材と、前記シャフト外周面とで囲まれる空間を排気するための排気孔が前記ハウジングに形成されることを特徴とする請求項5に記載のシール構造。
【請求項7】
請求項1からのいずれか1項に記載のシール構造と、前記シャフトを回転させる電動機とを備える、回転駆動装置。
【請求項8】
請求項1からのいずれか1項に記載のシール構造と、被搬送物を移動させる可動部材を備え、前記シャフトの回転と、前記可動部材とが連動する、搬送装置。
【請求項9】
請求項1からのいずれか1項に記載のシール構造を備える、工作機械。
【請求項10】
請求項1からのいずれか1項に記載のシール構造を備える、半導体製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力の異なる2つの空間を隔てるシール構造、回転−直動駆動装置、搬送装置、工作機械および半導体製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
搬送装置、半導体製造装置または工作機械等の製造装置には、真空チャンバなどのプロセス室内と外部環境とを隔離させつつ、回転ステージを回転させたり、半導体基板、工作物または工具を回転又は直線移動させたりするシール構造が用いられる。このようなシール構造として、例えば、特許文献1には、位置決め装置(図1図2参照)が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−9939号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された技術は、シール溝内に接触式シールであるOリングが収容されていることで、真空チャンバなどのプロセス室内と外部環境とを隔離させつつ、回転軸を回転させたり、平板を移動させたりするものである。しかし、特許文献1における接触式シールは、密封性を高めるものの、回転軸または平板との接触部分で摩擦を生じるので、摩耗を生じる可能性がある。さらに、摩擦熱により接触式シールの温度が上昇すると、接触式シールが熱膨張し接触式シールの回転軸または平板に対する接触圧が大きくなるので、接触式シールの摩耗が進みやすくなる。このため、接触式シールの寿命が短くなり、部品交換の頻度が高くなる可能性があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、接触式シールの交換頻度を低減することができるシール構造、回転−直動駆動装置、搬送装置、工作機械および半導体製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係るシール構造は、圧力の異なる2つの空間を隔てるシール構造であって、前記圧力の異なる2つの空間のうち高圧側の空間に配置される筒状のハウジングと、前記ハウジングに挿入されるシャフトと、前記シャフトの一端部に固定されて前記シャフトの回転とともに回転し、かつ前記シャフトの軸方向の移動とともに移動し、前記ハウジングに接して、前記シャフトの外径面と前記シャフトが挿入される前記ハウジングの貫通穴との間の隙間である第1隙間を密封する環状の第1シール部材と、を備えることを特徴とする。
【0007】
これにより、シャフトが回転または軸方向に移動すると、第1シール部材とハウジングとの間で摩擦が生じる。密封部材である第1シール部材の熱伝導率は、他の部材と比較して小さい。したがって、第1シール部材およびハウジングの間で生じた摩擦熱の大部分は、ハウジング側に伝わり、シャフトの温度上昇は抑制される。そして、ハウジングの熱は、異なる2つの空間のうち高圧側の空間に伝熱する。高圧側の空間では、低圧側の空間と比較して空気の対流が大きいため、高圧側の空間の空気とハウジングの外表面との間で熱伝達が生じやすい。これにより、第1シール部材との摩擦によってハウジングに生じた熱の放熱が促進される。このため、第1シール部材の温度上昇が抑制されるので、第1シール部材の熱膨張が抑制される。したがって、第1シール部材のハウジングに対する接触圧の増加が抑制されることで、第1シール部材の摩耗の進行が抑制される。よって、本発明に係るシール構造は、接触式シールである第1シール部材の交換頻度を低減することができる。
【0008】
本発明の望ましい態様として、前記第1シール部材は、前記シャフトの径方向内側に向かって突出し、前記シャフトおよび前記シャフトの一端部に固定されて、前記シャフトとともに回転する回転部材に挟まれて固定されるシールフランジ部を備えることが好ましい。
【0009】
これにより、シャフトがハウジングに対して回転する際、第1シール部材のシャフトに対する相対的な回転が抑制される。すなわち、第1シール部材は、シャフトとともに回転しやすくなる。このため、シール構造は、第1シール部材がハウジングとの摩擦により滑る可能性を低減できる。よって、シール構造は、第1シール部材とシャフトとの間に摩擦が生じる可能性を抑制することができる。
【0010】
本発明の望ましい態様として、前記第1シール部材は、前記シャフトに接する固定部と、前記ハウジングに接するリップ部と、前記固定部と前記リップ部とを連結する環状連結部と、を備えることが好ましい。
【0011】
これにより、リップ部の弾性変形による弾性力により、第1シール部材はハウジングに押し付けられる。このため、シール構造は、ハウジングに対する第1シール部材の押圧力を高め、第1隙間の密封性を向上させることができる。そして、第1シール部材は、Oリング等である場合に比較して、ハウジングとシャフトとの間のヒートブリッジとなる部分が小さいため、ハウジングとの間で生じる摩擦熱をシャフト側へ熱伝導しにくくしている。これにより、シール構造は、摩擦熱の外部空間側への放熱をより促進することができる。このため、シール構造は、第1シール部材の摩耗を抑制することができる。
【0012】
本発明の望ましい態様として、前記リップ部と、前記環状連結部と、前記固定部とで囲まれる空間に設けられて、前記リップ部を前記ハウジングに押し付ける付勢部材を備えることが好ましい。
【0013】
これにより、第1シール部材は、リップ部の弾性変形による弾性力および付勢部材の弾性変形による弾性力により、ハウジングに押し付けられる。このため、シール構造は、ハウジングに対する第1シール部材の押圧力を高め、第1隙間の密封性を向上させることができる。そして、リップ部に摩耗が生じても、付勢部材は、ハウジングに対する第1シール部材の押圧力を維持するように作用する。このため、シール構造は、接触式シールである第1シール部材の交換頻度を低減することができる。
【0014】
本発明の望ましい態様として、前記リップ部と、前記環状連結部と、前記固定部とで囲まれる空間は、前記圧力の異なる2つの空間のうち、高圧側の空間に向かって開口していることが好ましい。
【0015】
これにより、リップ部と、環状連結部と、固定部とで囲まれる空間に、圧力の異なる2つの空間のうち高圧側の空間の空気が流入することで、リップ部と、環状連結部と、固定部とで囲まれる空間が膨張する。このため、圧力の異なる2つの空間の圧力差によって、ハウジングに対する第1シール部材の押圧力が高められる。これにより、シール構造は、圧力の異なる2つの空間のうち低圧側を高真空環境としても、高い密封性を維持できる。
【0016】
本発明の望ましい態様として、前記第1シール部材と軸方向に所定の間隔を有して前記シャフトに固定されて前記シャフトとともに回転し、かつ側面が所定の大きさの隙間である第1隙間を有して前記ハウジングの内壁(内周面)と対向するシール固定部材と、前記シール固定部材に固定されて前記シール固定部材とともに回転し、前記ハウジングに接して、前記第1隙間を密封する環状の第2シール部材を、さらに備えることが好ましい。
【0017】
これにより、第1シール部材と、第2シール部材が、それぞれ第1隙間を密封することで、圧力の異なる2つの空間を2重に密封し、さらに高い密封性能を維持できる。
【0018】
本発明の望ましい態様として、前記ハウジング内周面と、前記第1シール部材と、前記第2シール部材と、前記シャフト外周面とで囲まれる空間を排気するための排気孔が前記ハウジングに形成されることが望ましい。
【0019】
これにより、第1シール部材と第2シール部材との間を排気することで、さらに高い密封性能を維持できる。
【0020】
本発明の望ましい態様として、ハウジングに上述したシール構造とを備えるとともに、第2ハウジングに前記シャフトを回転させる電動機とを備える、回転駆動装置であることが好ましい。この構造により、回転駆動装置は、高い密封性を実現でき、かつ接触式シールの交換頻度を低減することができる。
【0021】
本発明の望ましい態様として、上述したシール構造と、被搬送物を移動させる可動部材を備え、前記シャフトの回転及び軸方向移動と、前記可動部材とが連動する、搬送装置であることが好ましい。この構造により、搬送装置は、高い密封性を実現でき、かつ接触式シールの交換頻度を低減することができる。
【0022】
本発明の望ましい態様として、上述したシール構造を備える、工作機械であることが好ましい。この構造により、工作機械は、高い密封性を実現することができ、かつ接触式シールの交換頻度を低減することができる。その結果、工作機械は、工作の品質を高めることができる。
【0023】
本発明の望ましい態様として、上述したシール構造を備える、半導体製造装置であることが好ましい。この構造により、半導体製造装置は、高い密封性を実現することができ、かつ接触式シールの交換頻度を低減することができる。その結果、半導体製造装置は、製造物である半導体の品質を高めることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、接触式シールの交換頻度を低減することができるシール構造、回転−直動駆動装置、搬送装置、工作機械および半導体製造装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、実施形態1に係るシール構造を備えた半導体製造装置を模式的に示す断面図である。
図2図2は、実施形態1に係るシール構造を模式的に示す断面図である。
図3図3は、実施形態1に係る第1シール部材の周辺部分の拡大図である。
図4図4は、実施形態2に係るシール構造を模式的に示す断面図である。
図5図5は、実施形態3に係るシール構造を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施形態という)につき、図面を参照しつつ説明する。なお、下記の実施形態により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0027】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係るシール構造を備えた半導体製造装置を模式的に示す断面図である。図2は、実施形態1に係るシール構造を模式的に示す断面図である。図1および図2は、回転部材3の回転中心軸Zrを含み、かつ回転中心軸Zrと平行な平面でシール構造1を切った断面を示している。なお、実施形態1において、軸方向とは、回転中心軸Zrと平行な方向であり、径方向とは、回転中心軸Zrに対して直交する方向である。図3は、実施形態1に係る第1シール部材の周辺部分の拡大図である。シール構造1は、例えば、真空環境、減圧環境、プロセスガス充填環境等の特殊環境下におかれる内部空間Vの密閉を保ちながら回転を伝達する機械要素である。内部空間Vと隔てられた外部空間Eは、内部空間Vに対して高圧である空間または大気雰囲気の空間である。シール構造1は、半導体製造または工作機械製造等の製造装置、搬送装置、回転駆動装置に適用される。ここでは、一例として、半導体製造のための製造装置において、スピンドルを回転軸として備える回転駆動装置(スピンドルユニット)にシール構造1を適用する場合を説明するが、シール構造1の適用対象はこれに限定されるものではない。
【0028】
図1に示すように、例えば半導体製造に用いられる半導体製造装置100は、シール構造1と、筐体10と、電動機8と、直動機構7と、電動機8及び直動機構7を制御する制御装置91を含む。シール構造1と、電動機8と、直動機構7とは、回転−直動駆動装置6として、電動機8の回転を伝達して、搬送テーブルとしての可動部材33を回転させるとともに、直動機構7の軸方向の運動を伝達して可動部材33を軸方向に移動させる。半導体製造装置100は、筐体10の内部空間Vを真空環境、減圧環境、プロセスガス充填環境にした上で、内部空間Vにある被搬送物(例えば、半導体基板、工作物または工具)を可動部材33に搭載して移動させる。被搬送物を移動させる場合、電動機8及び、直動機構7を内部空間Vに設置すると、電動機8及び、直動機構7の動作により異物が発生する可能性がある。そこで、半導体製造装置100は、内部空間Vに可動部材33を残したまま、電動機8及び、直動機構7を外部空間Eに設置する。そして、シール構造1は、内部空間Vと外部空間Eを隔てて密封性を高めながら、外部空間Eに設置された電動機8及び、直動機構7の動力を内部空間Vに伝える。電動機8は、例えば、ダイレクトドライブモータ、ベルトドライブを用いた駆動装置、リニアモータ、サーボモータなどである。直動機構7は、例えば、モータ、ねじ機構、直動案内機構を用いた駆動装置である。制御装置91は、入力回路と、中央演算処理装置であるCPU(Central Processing Unit)と、記憶装置であるメモリと、出力回路とを含む。メモリに記憶させるプログラムに応じて、電動機8及び、直動機構7を制御し、内部空間Vにある被搬送物(例えば、半導体基板、工作物または工具)を搬送テーブル(可動部材)33に搭載して移動させ、半導体製造装置100は、所望の製品を製造することができる。
【0029】
シール構造1は、ハウジング2と、回転部材3とを含む。実施形態1において、ハウジング2は、例えばアルミニウム合金、鉄またはステンレス鋼等の金属で形成されており、軸方向に貫通する貫通穴22を有する筒状部21Aと、筒状部21Aの軸方向中間に形成されるフランジ部21Bを備える。
【0030】
フランジ部21Bは、板状の鍔部材である。実施形態1において、フランジ部21Bの形状は、平面視が円形であるが、これらの形状は円形に限定されない。ハウジング2は、フランジ部21Bを筐体10の外部から筐体10の開口部10eを覆うようにあてがい、フランジ部21Bと筐体10の壁面とをボルト27で締結することで筐体10に固定されている。これにより、ハウジング2は、筐体10の開口部10eを筐体10の外部から塞ぐことができる。このため、ハウジング2の一端からフランジ部21Bまでの外壁は外部空間Eに曝されている。フランジ部21Bは、平面視で筐体10と重なり合う部分に環状溝21cがあり、この環状溝にOリング11がはめ込まれている。Oリング11は、フランジ部21Bと筐体10との間の隙間を密封し、シール構造1の密封性を向上させている。
【0031】
回転部材3は、例えばアルミニウム合金、鉄またはステンレス鋼等の金属で形成されており、シャフト81と、可動部材33とを備えている。シャフト81の外径は、ハウジングの貫通孔22の内径よりも小さくなっている。シャフト81の一端部は、ハウジング2の貫通孔22に挿入されている。シャフト81の他端部は、電動機8の出力シャフト81に接続されている。実施形態1において、シャフト81は、電動機8の出力シャフトと一体に形成されているが、シャフト81と電動機8の出力シャフトとの間にカップリングを介しても良い。可動部材33は、シャフト81の一端部に固定されている。
【0032】
可動部材33は、シャフト81とともに回転する。可動部材33は、シャフト81の一端部に接する円柱状の胴部331と、胴部331のシャフト81側とは反対側の一端部に設けられる載置部332とを有する。胴部331の外径は、シャフト81と同様、ハウジングの貫通孔22の内径よりも小さくなっている。実施形態1において、載置部332は、胴部331と一体に形成される板状の部材であって、平面視が円形である。載置部332の外径は、胴部331の外径よりも大きくなっている。載置部332の胴部331側とは反対側の面に被搬送物が載置される。なお、胴部331および載置部332は、別部材で構成されてもよい。
【0033】
なお、上述した本実施形態において、可動部材33は電動機8によって回転運動し、直動機構7によって軸方向に直線運動させられているが、可動部材33の動作は必ずしも回転運動または直線運動のいずれか一方である必要はない。例えば、可動部材33が電動機8によって回転運動しながら、直動機構7で直線運動してもよい。
【0034】
シャフト81の一端にはシール固定部32が形成されている。シール固定部32は、回転中心軸Zrを中心とした環状の切り欠きであるシール固定凹部32bを有する。
【0035】
図2に示すように、本実施形態において、シャフト81と可動部材33とは、シャフト81の一端に形成されたねじ部81aと、可動部材33の形成されたねじ穴331aによって互いに固定されるが、シャフト81と可動部材33との固定方法はこれに限定されない。例えば、シャフト81にねじ穴を、可動部材33に貫通孔を形成し、ボルトによって両者を締結固定してもよい。また、複数のボルトを用いても良い。
【0036】
シール固定部32には、第1シール部材5が備えられている。第1シール部材5は、例えば、樹脂またはゴム等の非金属材料で形成されている。第1シール部材5は、回転中心軸Zrを中心とした環状の弾性部材であり、ハウジングの貫通孔22の内径面に接するようにシャフト81のシール固定凹部32bに嵌められるとともに、シャフト81のシール固定部32と可動部材33の胴部331の端面とで挟まれて固定されている。これにより、第1シール部材5は、シャフト81及び可動部材33とともに回転中心軸Zrを中心として回転する。第1シール部材5は、シャフト81の外径面82bとハウジング2の貫通穴22との間の隙間(第1隙間)15を密封する。
【0037】
図3に示すように、第1シール部材5は、弾性部材であり、リップ部51と、固定部52と、環状連結部53と、シールフランジ部54とを備える。リップ部51は、ハウジング2が有する貫通孔22の内壁に沿った環状部材であり、貫通孔22の内壁に接する。固定部52は、シャフト81の外径面82bに沿った環状部材であり、シャフト81の外径面82bに接する。環状連結部53は、リップ部51と固定部52とを連結している。この構造により、リップ部51、固定部52および環状連結部53の一体としての断面形状が略U字形状となっている。これにより、リップ部51の弾性変形による圧力により、ハウジング2に対する第1シール部材5の押圧力が高められる。このため、第1隙間15の密封性が向上する。また、リップ部51と、環状連結部53と、固定部52とで囲まれる空間は、圧力の異なる2つの空間のうち、高圧側となる外部空間Eに向かって開口している。
【0038】
シールフランジ部54は、固定部52から径方向内側に向かって突出する部材である。シールフランジ部54は、例えば、環状で板状の部材であり、シール固定部32のシール固定凹部32bに挿入されている。可動部材33がシャフト81にねじ固定されると、シャフト81および可動部材33は、シール固定凹部32bに挿入されたシールフランジ部54を挟み込み固定する。これにより、第1シール部材5のシャフト81に対する相対的な回転が抑制される。すなわち、第1シール部材5は、シャフト81とともに回転しやすくなる。このため、シール構造1は、第1シール部材5がハウジング2との摩擦により、シャフト81に対して滑る可能性を低減できる。よって、シール構造1は、第1シール部材5とシャフト81との間に摩擦が生じる可能性を抑制することができる。
【0039】
実施形態1において、可動部材33は、搬送テーブルであるとともに、シール押え部材でもある。この構造により、シール構造1は、部品点数を削減することができ、製造コストを抑制できる。なお、搬送テーブルとシール押え部材とは、別部材であってもよい。
【0040】
図3に示すように、リップ部51と、環状連結部53と、固定部52とで囲まれる空間には、付勢部材56が配置されている。付勢部材56は、例えばステンレス鋼等であり、平板状の板状部56aおよび板状部56bを屈曲部56cで折り曲げた、断面視でV字状となる弾性体である。付勢部材56には、板状部56aおよび56bの先端同士が広がるように弾性力が生じている。これにより、付勢部材56は、リップ部51をハウジング2の貫通孔22に押し付けることができる。
【0041】
第1シール部材5は、リップ部51の弾性変形による圧力および付勢部材56の弾性変形による圧力により、貫通孔22に押し付けられる。このため、シール構造1は、貫通孔22に対する第1シール部材5の押圧力を高めることができる。さらに、リップ部51と、環状連結部53と、固定部52とで囲まれる空間は、圧力の異なる2つの空間のうち、高圧側となる外部空間Eに向かって開口しているので、当該空間に外部空間Eの空気が流入することで当該空間が膨張する。このため、圧力の異なる2つの空間の圧力差によって、貫通孔22に対する第1シール部材5の押圧力が高められる。これにより、シール構造1は、内部空間Vを高真空環境としても、高い密封性を維持できる。
【0042】
また、図3に示すように、第1シール部材5のリップ部51においては、先端部51aが貫通孔22に接触している。一方、リップ部51の基部51bは、貫通孔22に接触しておらず、貫通孔22との間に隙間をあけて対向している。これにより、第1シール部材5は、リップ部51の先端部51aにて線状に貫通孔22に接触するので、密封性を向上させることができる。
【0043】
ところで、特許文献1のような従来技術においては、接触式シールは、ハウジングに固定されてシャフトに接している。このため、シャフトが回転すると、接触式シールとシャフトとの間で摩擦が生じることになる。したがって、摩擦熱によって接触式シールおよびシャフトの温度が上昇する。特に、シャフトの接触式シールと接触する面において、回転中心軸Zrに対して直交する接線方向の速度が0.5m/s以上である場合、接触式シールの温度が上昇しやすい。樹脂またはゴムで形成される接触式シールは、金属で形成される他の部材と比較して熱膨張係数が大きいため、接触式シールが熱膨張すると、接触式シールのシャフトに対する接触圧が大きくなる。これにより、接触式シールの摩耗が進みやすくなる可能性がある。このため、接触式シールの温度上昇は抑制されるのが望ましい。そのために、従来の技術のシール構造は、接触式シールとともに高温となるシャフトの温度上昇を抑える必要がある。しかし、シャフトの一端部は高真空環境であるプロセス室に位置しているため、シャフトに蓄積した熱は、プロセス室側に放熱されない。このため、シャフトに蓄積した熱は、駆動源側に伝熱するが、駆動源側も発熱しているため、駆動源側への放熱量も限定される。
【0044】
これに対して、実施形態1においては、シャフト81が回転すると、接触式シールである第1シール部材5とハウジング2の貫通孔22との間で摩擦が生じる。第1シール部材5は上述したように樹脂またはゴムで形成されているため、第1シール部材5の熱伝導率は、金属で形成された他の部材と比較して1/1000から1/100程度である。したがって、第1シール部材5および貫通孔22の間で生じた摩擦熱の大部分は、貫通孔22側に伝わり、回転部材3の温度上昇は抑制される。可動部材33と貫通孔22との間には、高真空環境である内部空間Vに繋がる隙間が設けられているため、実施形態1における貫通孔22の熱は、可動部材33側へ伝熱しにくくなっている。一方、貫通孔22の熱は、フランジ部21Bから筒状部21Aに伝熱する。外部空間Eでは、高真空環境である内部空間Vと異なり空気の対流があるため、外部空間Eの空気と外側部材21の外表面との間で熱伝達が生じやすい。これにより、第1シール部材5との摩擦によってハウジング2の貫通孔の内壁22bに生じた熱の放熱が促進される。このため、第1シール部材5の温度上昇が抑制されるので、第1シール部材5の熱膨張が抑制される。したがって、第1シール部材5の貫通孔22に対する接触圧の増加が抑制されることで、第1シール部材5の摩耗の進行が抑制される。よって、シール構造1は、接触式シールである第1シール部材5の交換頻度を低減することができる。
【0045】
なお、シール構造1は、シャフト81がハウジング2に対して回転運動するとともに、軸方向に移動するため、ハウジング2の貫通孔22の、第1シール部材との摺接面の軸方向長さを、シャフト81のハウジング2に対する軸方向ストロークよりも大きくする必要がある。これにより、シャフト81が軸方向に所定の距離移動する全域において第1シール部材5によって内部空間Vを外部空間Eに対して密封することができる。
【0046】
上述したように、第1シール部材5は、リップ部51と、固定部52と、環状連結部53と、を備える。これにより、第1シール部材5は、例えばOリング等である場合に比較して、貫通孔22とシャフト81との間のヒートブリッジとなる部分が小さいため、貫通孔22との間で生じる摩擦熱をシャフト81側へ熱伝導しにくくしている。これにより、シール構造1は、摩擦熱の外部空間E側への放熱をより促進することができる。このため、シール構造1は、第1シール部材5の摩耗を抑制することができる。
【0047】
なお、第1シール部材5は、例えば、シールフランジ部54に相当する部分でシャフト81および可動部材33によって固定されるOリング等であってもよい。第1シール部材5がOリングである場合であっても、第1シール部材5とハウジング2の貫通孔22との間で摩擦が生じることに変わりなく、第1シール部材5との摩擦によって貫通孔22に生じた熱は、外部空間Eに放熱される。ただし、第1シール部材5は、上述したようにリップ部51と、固定部52と、環状連結部53と、を備える方が摩擦熱をシール固定部材32側へ熱伝導しにくくできる点で好ましい。
【0048】
また、実施形態1においては、リップ部51に摩耗が生じても、付勢部材56が接触圧を維持するように作用する。このため、シール構造1は、接触式シールである第1シール部材5の交換頻度を低減することができる。
【0049】
第1シール部材5の材質は、ポリエチレンまたはポリテトラフルオロエチレンであるとより好ましい。ポリエチレンまたはポリテトラフルオロエチレンは、第1シール部材5の材質として、耐摩耗性、耐薬品性に優れ、ハウジング2の貫通孔22との潤滑に好適である。
【0050】
第1シール部材5が接触するシャフト81およびハウジング2の貫通孔22の材質は、高炭素クロム軸受鋼鋼材、マルテンサイト系ステンレス鋼、析出硬化系ステンレス鋼、Siを3.4質量%以上含む析出硬化性ステンレスの高珪素合金のいずれか1つが好ましい。この構造により、第1シール部材5の摩耗が抑制され、実施形態1においてシール構造1は、接触式シールである第1シール部材5の交換頻度を低減することができる。
【0051】
以上説明したように、シール構造1は、圧力の異なる2つの内部空間Vと外部空間Eとを隔てることができる。シール構造1は、圧力の異なる2つの空間のうち高圧側である外部空間Eに配置される筒状のハウジング2と、ハウジング2に挿入されるシャフト81と、を備える。また、シール構造1は、シャフト81の一端部に形成されシャフト81とともに回転し、かつシャフト81の外径面が所定の大きさの隙間である第1隙間15を有してハウジング2が有する貫通孔の内壁22bと対向するシール固定部32と、シール固定部32に固定されてシール固定部32とともに回転し、ハウジング2が有する貫通孔22の内壁22bに接して、第1隙間15を密封する環状の第1シール部材5とを備える。
【0052】
これにより、シャフト81が回転すると、第1シール部材5とハウジング2の貫通孔22との間で摩擦が生じる。上述したように、樹脂またはゴムで形成された第1シール部材5の熱伝導率は、金属で形成された他の部材と比較して小さい。したがって、第1シール部材5および貫通孔22の間で生じた摩擦熱の大部分は、貫通孔22側に伝わり、回転部材3の温度上昇は抑制される。そして、貫通孔22の熱は、ハウジング2を介して外部空間E側に伝熱する。外部空間Eでは、高真空環境である内部空間Vと異なり空気の対流があるため、外部空間Eの空気とハウジング2の外表面との間で熱伝達が生じやすい。これにより、第1シール部材5との摩擦によって貫通孔22に生じた熱の放熱が促進される。このため、第1シール部材5の温度上昇が抑制されるので、第1シール部材5の熱膨張が抑制される。したがって、第1シール部材5の貫通孔22に対する接触圧の増加が抑制されることで、第1シール部材5の摩耗の進行が抑制される。よって、シール構造1は、接触式シールである第1シール部材5の交換頻度を低減することができる。
【0053】
実施形態1に係るシール構造1は、シャフト81に固定されてシャフト81とともに回転する可動部材(シール押え部材)33を備える。また、第1シール部材5は、シャフト81の径方向内側に向かって突出しシール固定部32および可動部材(シール押え部材)33に挟まれて固定されるシールフランジ部54を備える。
【0054】
これにより、第1シール部材5のシャフト81に対する相対的な回転が抑制される。すなわち、第1シール部材5は、シャフト81とともに回転しやすくなる。このため、シール構造1は、第1シール部材5が貫通孔22との摩擦により滑る可能性を低減できる。よって、実施形態1に係るシール構造1は、第1シール部材5とシャフト81との間に摩擦が生じる可能性を抑制することができる。
【0055】
実施形態1に係るシール構造1において、第1シール部材5は、シール固定部32に接する固定部52と、ハウジング2が有する貫通孔22の内壁22bに接するリップ部51と、固定部52とリップ部51とを連結する環状連結部53と、を備える。
【0056】
これにより、リップ部51の弾性変形による弾性力により、第1シール部材5はハウジング2の貫通孔22に押し付けられる。このため、シール構造1は、貫通孔22に対する第1シール部材5の押圧力を高め、第1隙間15の密封性を向上させることができる。そして、第1シール部材5は、例えばOリング等である場合に比較して、貫通孔22(ハウジング2)とシャフト81との間のヒートブリッジとなる部分が小さいため、貫通孔22との間で生じる摩擦熱をシャフト81側へ熱伝導しにくくしている。これにより、シール構造1は、摩擦熱の外部空間E側への放熱をより促進することができる。このため、シール構造1は、第1シール部材5の摩耗を抑制することができる。
【0057】
実施形態1に係るシール構造1において、リップ部51と、環状連結部53と、固定部52とで囲まれる空間に設けられて、リップ部51をハウジング2が有する貫通孔22の内壁に押し付ける付勢部材56を備える。
【0058】
これにより、第1シール部材5は、リップ部51の弾性変形による弾性力および付勢部材56の弾性変形による弾性力により、貫通孔22に押し付けられる。このため、シール構造1は、貫通孔22に対する第1シール部材5の押圧力を高め、第1隙間15の密封性を向上させることができる。そして、リップ部51に摩耗が生じても、付勢部材56は、貫通孔22に対する第1シール部材5の押圧力を維持するように作用する。このため、シール構造1は、接触式シールである第1シール部材5の交換頻度を低減することができる。
【0059】
実施形態1に係るシール構造1において、リップ部51と、環状連結部53と、固定部52とで囲まれる空間は、圧力の異なる2つの空間のうち高圧側の空間である外部空間Eに向かって開口している。
【0060】
これにより、リップ部51と、環状連結部53と、固定部52とで囲まれる空間に外部空間Eの空気が流入することで、当該空間が膨張する。このため、圧力の異なる2つの空間の圧力差によって、貫通孔22に対する第1シール部材5の押圧力が高められる。これにより、シール構造1は、内部空間Vを高真空環境としても、高い密封性を維持できる。
【0061】
実施形態1に係るシール構造1において、ハウジング2は、筒状の部材である筒状部21Aと、筒状部21Aの軸方向中間に形成されるフランジ部21Bと、を備え、第1シール部材5は、貫通孔22の内壁に接する。そして、貫通孔22の、第1シール部材との摺接面の軸方向長さは、シャフト81のハウジング2に対する軸方向ストロークよりも長くなっている。
【0062】
これにより、シャフトが直動機構7によってハウジング2に対して軸方向に所定のストロークの範囲で往復移動しても、第1シール部材5は貫通穴22の内壁22bから外れることなく摺接しつづけることができ、シャフトが軸方向に移動できる範囲において内部空間Vを外部空間Eに対して密封することができる。
【0063】
(実施形態2)
図4は、実施形態2に係るシール構造を模式的に示す断面図である。上述した実施形態1と同じ構成要素には、同じ構造を付して、説明を省略する。実施形態2に係るシール構造1は、シール部材5を軸方向に2つ備える点が上述した実施形態1とは異なる。
【0064】
第2実施形態では、シャフト81と可動部材33との間に、シール固定部材35が設けられる。シール固定部材35は、軸方向両端に形成されたねじ部35aと、シャフト81及び可動部材33に形成されたねじ穴331a、35aによって互いに固定される。シール固定部材35のシャフト81側端面は、シャフト81のシール固定凹部32bに挿入された第1シール部材5のシールフランジ部54を挟み込み固定する。シール固定部材35の軸方向端面側端部にはシール固定凹部35bが形成されており、そこに挿入された第2シール部材50のフランジ部540を、可動部材33の軸方向端面で挟み込み固定する。
本実施例では、第2シール部材50は、第1シール部材5と同一のものを用いているが、同様の構成であれば、形状や大きさは異なっていても良い。例えば、シャフト81に対して、可動部材33の外径を大きく、又は小さく形成し、それに合わせて第1シール部材5に対して大きい、又は小さい第2シール部材50を使用しても良い。
【0065】
上記実施形態によれば、ハウジング2とシャフト81、可動部材33及びシール固定部材35との間の隙間を第1シール部材5及び第2シール部材50で2重に密封することができるので、よりシール性能を向上させることができる。
【0066】
(実施形態3)
図5は、実施形態3に係るシール構造を模式的に示す断面図である。上述した実施形態2とは、ハウジング2の軸方向中間に形成された気体通路22bから、シャフト81、貫通孔22の内壁第1シール部材5、及び、第2シール部材50で囲まれた空間Sの気体を排気する点が異なる。
【0067】
気体通路22bは、ハウジング2の筒状部21Aの軸方向中間位置に形成される。
筒状部21Aの貫通孔22の内壁には環状溝22aが形成され、環状溝22aの底部に気体通路22bが開口している。環状溝22aは、シャフト81のハウジング2に対する軸方向移動の範囲において、常に第1シール部材5と、第2シール部材50との間に位置する様な位置に形成される。
【0068】
上記実施形態によれば、ハウジング2とシャフト81、可動部材33及びシール固定部材35と、第1シール部材5と、第2シール部材50で囲まれる空間を気体通路22bから排気することによって、よりシール性能を向上させることができる。
【0069】
以上、実施形態1、実施形態2および実施形態3を説明したが、前述した内容により限定されるものではない。また、実施形態1から実施形態3の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換および変更のうち少なくとも1つを行うことができる。
【符号の説明】
【0070】
1,1A,1B シール構造
10 筐体
11 Oリング
15 第1隙間
2 ハウジング
21A 筒状部
21Bフランジ部
22 貫通孔
22a 環状溝
22b 貫通孔
3 回転部材
32 シール固定部材
32b シール固定凹部
33 可動部材(搬送テーブル、シール押え部材)
331 胴部
332 載置部
5 第1シール部材
51 リップ部
52 固定部
53 環状連結部
54 シールフランジ部
56 付勢部材
6 回転−直動駆動装置
7 直動機構
8 電動機
91 制御装置
100 半導体製造装置
E 外部空間
V 内部空間
図1
図2
図3
図4
図5