(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
おでんの具材,出し汁を収納する容器を加熱部により加熱して煮込むとともに保温するおでん加熱・保温器を収容して展示するショーケースタイプのケース本体を備えたおでん供給装置であって、前記ケース本体はおでん加熱・保温器を取り囲む態様で閉塞した展示空間を形成する左右側板,前面板,天板,背面扉を有し、少なくとも左右側板,前面板を透明部材で形成するとともに前記背面扉を開閉しておでんを取り出すように形成されてなるおでん供給装置において、ケース本体の展示空間の空気を循環気流として循環させて前面板の内面を洗流する送風手段を設け、前記送風手段による循環経路は前記循環気流がおでん加熱・保温器の容器に沿って通過する際に除湿されるようにおでん加熱・保温器の容器の周囲を含むことを特徴とするおでん供給装置。
【背景技術】
【0002】
コンビエンスストアに設置された調理済みのおでんを加熱・保温して販売に供するおでん加熱・保温器の一例を
図7に示す。
図7において、100は、容器101、コンロ本体102、蓋103からなるおでん加熱・保温器である。容器101は、おでんの具材や出し汁を収容する有底のものであり、フェライト系のステンレスなどの磁性金属材料により矩形に形成されている。コンロ本体102は、容器101を載置するとともに加熱部としての渦巻状の電磁誘導コイル(不図示)などを内蔵する合成樹脂製の箱形に形成されるとともに下面の四隅に脚部を備えている。蓋103は、容器101の開口した上面を閉塞する木材から形成されている。
【0003】
前記コンロ本体102の上面には耐熱樹脂製の天板104が取付けられている。この天板104の中央部は矩形の開口部が形成されており、この矩形の開口部から前記電磁誘導コイルを支持した耐熱樹脂製のベースが天板104の面より僅かに突出する態様で配設されている。また、コンロ本体102の内部には、前記電磁誘導コイルに供給する高周波電流を制御する誘導加熱制御回路、この誘導加熱制御回路を構成する半導体素子を冷却する放熱器、この放熱器から放出される熱をコンロ本体102の外部に放出する冷却ファンなどが設置されている。前記天板104の上面における矩形の開口部の近傍には容器101の熱を検知する温度検知手段が埋設されている。温度検知手段は、天板104の上面に露出して設けられたアルミニウム製の感熱部、この感熱部からの温度を電気信号に変換する温度センサなどからなる。また、コンロ本体102の側面には、コンセントを介して供給される商用電源をオン・オフする電源スイッチ、加熱開始スイッチ、前記温度検知手段で検知した容器101の温度、加熱状態,保温状態を表示する表示器などを備えた操作パネル105が設けられている。このおでん加熱・保温器100は、制御装置の記憶部に格納された加熱工程,保温工程などの制御プログラムにより加熱・保温が行われるものであり、操作パネル105に備えられた電源スイッチをオンしたうえで加熱開始スイッチをオンすることにより誘導加熱制御回路から電磁誘導コイルに高周波電流が供給される。高周波電流が供給された電磁誘導コイルには交番磁界が発生し、この交番磁界中に置かれた容器101に発生する渦電流がジュール熱に変換されることにより容器101が加熱され、これに伴って容器101内に収容された出し汁を加熱(90度〜95度)しておでんの具材を調理(煮込み)する加熱工程が実行される。そして、おでんの具材の煮込みが完了すると誘導加熱制御回路からの高周波電流を制御して出し汁を約80度の温度で保温する保温工程に移行する。
【0004】
かかるおでん加熱・保温器100は、保温或いは異物(虫など)侵入の防止のために容器101の開口面(上面)に蓋103を被せられているのが一般的である。このため、顧客は蓋103を開けなければ容器101に収納されたおでんの具材や煮込みの状態を目視することができないという問題を有し、また、不特定多数の顧客が蓋103に直接接触することから衛生上の問題をも有する。そこで、透明ガラス製のショーケースの内部におでん加熱・保温器100を収容し、蓋103を取り外した状態で展示することにより容器101に収納されたおでんの具材や煮込みの状態を目視することを可能としたものが知られている(例えば、特許文献1)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述した特許文献1に開示された発明においては、容器101に収容されたおでんの具材や煮込みの状態を目視できる点で優れている。ところで、透明ガラス製のショーケースの内部におでん加熱・保温器100を収容しておでんを加熱すると出し汁から湯気が生じしてショーケースが曇ってしまう。このため、前記特許文献1に記載された発明においては、ショーケース内に吸入された外気によりガラス面を洗流(気流をガラス内面に沿うように流すことを指す)させたうえで外部に排出するように構成されている。この構成によれば、透明ガラス製のショーケースが曇るのを防止することが可能である一方、ショーケース内部の温度に対して低温の外気がショーケース内部に侵入するので、ショーケース内部の温度の低下を招来してしまうおそれがある。従って、おでん加熱・保温器100の保温工程に悪影響を及ぼすおそれがあるとともに外気の温度によってショーケース内部が白煙のように曇ってしまうおそれがある点で改良すべき課題を有する。
【0007】
本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、その目的は前記課題を解決し、おでん加熱・保温器を収容して展示するショーケースタイプのケース内の温度の低下を招くことなくケースの曇りを防止することが可能なおでん供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために請求項1にかかる発明は、おでんの具材,出し汁を収納する容器を加熱部により加熱して煮込むとともに保温するおでん加熱・保温器を収容して展示するショーケースタイプのケース本体を備えたおでん供給装置であって、前記ケース本体はおでん加熱・保温器を取り囲む態様で閉塞した展示空間を形成する左右側板,前面板,天板,背面扉を有し、少なくとも左右側板,前面板を透明部材で形成するとともに前記背面扉を開閉しておでんを取り出すように形成されてなるおでん供給装置において、ケース本体の展示空間の空気を
循環気流として循環させて前面板の内面を洗流する送風手段を設け、前記送風手段による循環経路は
前記循環気流がおでん加熱・保温器の容器に沿って通過する際に除湿されるようにおでん加熱・保温器の容器の周囲を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の請求項1に係るおでん供給装置によれば、おでんの具材,出し汁を収容する容器を加熱部により加熱して煮込むとともに保温するおでん加熱・保温器を収納して展示するショーケースタイプのケース本体を備えたおでん供給装置であって、前記ケース本体はおでん加熱・保温器を取り囲む態様で閉塞した展示空間を形成する左右側板,前面板,天板,背面扉を有し、少なくとも左右側板,前面板を透明部材で形成するとともに前記背面扉を開閉しておでんを取り出すように形成されてなるおでん供給装置において、ケース本体の展示空間の空気を
循環気流として循環させて前面板の内面を洗流する送風手段を設け、前記送風手段による循環経路は
前記循環気流がおでん加熱・保温器の容器に沿って通過する際に除湿されるようにおでん加熱・保温器の容器の周囲を含むことにより、外気を取り込んで前面板の内面を洗流して曇りを防止するものに対してケース本体内の空気を循環させることによりケース本体内の温度を低下させることなく前面板の内面を洗流して曇りを防止できるという効果を奏する。
【0016】
また、本発明の
請求項1に係るおでん供給装置によれば、前記送風手段による循環経路は
前記循環気流がおでん加熱・保温器の容器に沿って通過する際に除湿されるようにおでん加熱・保温器の容器の周囲を含むことにより、おでん加熱・保温器の加熱部により循環気流を除湿して循環気流の湿度の低下を図ることができ、前面板の内面の曇りをより一層抑えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態に係るおでん供給装置を図面に基づいて詳細に説明する。なお、左右とはおでん供給装置の前面から見た場合の左右を指すものである。
【0022】
本実施の形態に係るおでん供給装置1は、
図1に示すように、おでん加熱・保温器100(
図1ではおでん加熱・保温器100の容器101が見えている)を取り囲む態様で閉塞した展示空間を形成するショーケースタイプのケース本体10、ケース本体10の内部に収納設置されたおでん加熱・保温器100のカバー部材30、鏡40、送風ファン50、LEDユニット60〜80(LEDユニット80は
図6参照)を有する。
【0023】
ケース本体10は、おでん加熱・保温器100を収容設置するとともにおでん加熱・保温器100の容器101に収納された具材および出し汁を外部から視認することが可能なように透明部材によりおでん加熱・保温器100を取り囲む態様で閉塞した展示空間を形成するものである。このケース本体10は、架台11(
図5参照)と、左右側面部材12,13と、フレーム部材14〜17と、前面板18と、左右側面板19,20、背面扉21および天板22とからなる。
【0024】
ケース本体10の架台11(
図5参照)は、上面および左右側面が開口した横断面コ字形の金属製になり、コ字形内部におでん加熱・保温器100を収容設置するものである。この架台11の下面の四隅にはそれぞれ脚部111(
図3,
図6参照)が設けられている。前記架台11の底部には、おでん加熱・保温器100のコンロ本体102の下面の四隅に設けた脚部を保持する取付金具(図示省略)を有し、おでん加熱・保温器100のコンロ本体102を位置決め固定するように構成されている。また、架台11の底部には、
図5に示すように、おでん加熱・保温器100のコンロ本体102から引き出された電源コードのプラグPが接続されるコンセント112、AC/DC変換回路を実装したプリント基板からなる電源ユニット113、漏電遮断器114(
図5では漏電遮断器取付金具114aに隠れて見えないが、漏電遮断器114については
図2参照)、排気ファン115が設けられている。そして、架台11の後壁には化粧枠120(
図2参照)に取付けられた照明スイッチS1,S2、送風ファン用スイッチS3の設置用穴(
図5では各スイッチS1〜S3が設置された状態を示している)が穿孔され、また、商用電源に接続される電源コード(不図示)が挿通される化粧枠120のコード挿通穴116(
図2参照)に対峙してコード挿通穴(
図5ではLEDユニット60に隠れて見えない)が穿孔されている。なお、分解図である
図5では架台11内の配線については省略しているが、前記コンセント112および電源ユニット113には前記化粧枠120のコード挿通穴116(
図2参照)に挿通される電源コードを介して商用電源が供給されるものである。また、
図5に示したコンセント112にも商用電源が供給されるように配線されており、おでん加熱・保温器100のコンロ本体102から引き出された電源コードのプラグP(図ではプラグPをコンセント112に接続した状態を示している)が差し込まれるものである。
【0025】
前記漏電遮断器114は、プラグPとおでん加熱・保温器100のコンロ本体102との間に接続されるものである。この漏電遮断器114は、おでん加熱・保温器100が出し汁などの水を取り扱うものであることから感電を防止するためのフェイルセーフ機能を持たせたものである。
【0026】
前記電源ユニット113は、AC/DC変換回路により商用電源を直流に変換したうえで照明スイッチS1,S2を介してLEDユニット60〜80のLEDに直流電源を供給し、また、送風ファン用スイッチS3を介して後述する送風ファン50(
図6参照)に直流電源を供給するものである。
【0027】
前記排気ファン115は、おでん加熱・保温器100を架台11の内部に収容設置することから架台11の内部に熱が籠るおそれがあることから、架台11の内部の空気を強制的に排出するものである。この場合、排気ファン115は、後述する左側側面部材12に設けた通風穴
12aから吸気された空気をおでん加熱・保温器100のコンロ本体102周辺を貫流させて右側側面部材13に設けた通風穴
13aから外部に放出させるように構成され、おでん加熱・保温器100のコンロ本体102周辺に外気を貫流させることによりおでん加熱・保温器100のコンロ本体102を冷却する。これによりおでん加熱・保温器100のコンロ本体102に内蔵された誘導加熱制御回路を構成する制御素子を冷却する放熱器からの熱の放出を助長して制御素子を保護することが可能となる。
【0028】
左右側面部材12,13は、架台11の左右側壁を形成するものであり、左右側面部材12,13には複数の通風穴12a,13aが穿孔されている。また、左側側面部材12には、おでん加熱・保温器100のコンロ本体102に設けた操作パネル105を目視可能とするとともに操作パネル105に設けたスイッチ類を操作する操作用窓12bが開口されている。前記左右側面部材12,13は、合成樹脂からなる厚板の補強部材と金属製になる薄板の化粧板との組み合わせになり、厚板の補強部材の外側に化粧板を重ね合わせてねじ止めするように構成されている。また、厚板の補強部材の後端部には上方に延在する支柱121,131が形成されている。
【0029】
フレーム部材14〜17は、金属製の扁平な長尺部材からなり、ケース本体10の骨格を構築するものである。前方側の左右フレーム部材14,15は、上方に向かうに従って背面側に後退するような曲面として形成されるとともに上端の湾曲面を介して後方側に直線状に延在し、かつ、後端を下方に折り曲げた形状をなし、後方側の左右フレーム部材16,17は直線状に形成されている。前方側の左右フレーム部材14,15の下端は、左右側面部材12,13の前縁(厚板の補強部材の前縁)に固定される一方、前方側の左右フレーム部材14,15の後端は、その後端に形成した下方への折り曲げ部を、左右側面部材12,13の支柱121,131の上端に引っ掛ける態様で配設したうえで支柱121,131に固定されている。後方側の左右フレーム部材16,17は、左右側面部材12,13の支柱121,131に沿って配設されるとともに支柱121,131に固定されている。なお、前方側の左右フレーム部材14,15には防水加工を施したLEDユニット60,70が取付けられ、LEDユニット60,70と架台11に設置された電源ユニット113との間に照明スイッチS1が配線されている。
【0030】
前面板18は、ケース本体10の展示空間の前面を閉鎖するものであり、左右端部が前方側の左右フレーム部材14,15に密着する態様で湾曲した形状に形成された透明なガラス180と、ガラス180の下端部を把持する金属製のカバー181と、カバー181の下端に固着されて背面側に延在する左右一対のレール182,182(
図3,
図5参照)からなる。ガラス180は、ケース本体10の前方側からケース本体10内の展示空間を目視可能とするものであり、左右両縁および上縁にガスケット180a(
図3参照)が貼着されている。カバー181は、ガラス180の下端を、パッキンを介して把持してガラス180と一体化されたものである。このカバー181の高さは、架台11の前壁に対峙して目隠しをする機能を有する寸法に定められ、左右幅は前方側の左右のフレーム部材14,15の間の寸法よりも僅かに小さい寸法に定められている。カバー181の下端に固着された左右一対のレール182,182は金属製になり、架台11の底壁に設けたコ字形のレール保持部(不図示)にスライド移動自在に保持され、架台11の下面に格納されるものである。この左右一対のレール182,182の後部にはストッパ(不図示)が設けられ、レール182,182が架台11の底壁に設けたレール保持部から脱落することがないように構成されている。また、カバー181の背面には左右一対の係止片183,183(
図3参照)が背面側に突出して配設されている。これらの係止片183,183は、架台11の前壁に穿孔した開口11a,11a(
図5参照)に抜き差しされる態様で弾性部材により形成されたものであり、その先端側に形成した山形のフックが前記開口11a,11aの縁に当接するように配置され、当該開口11a,11aに差し込まれる際に山形フックの傾斜面が開口11a,11aの縁に当接すると撓むとともに山形フックの頂点が開口11a,11aの縁を越えると元の状態に復元するように構成されている。
【0031】
側面板19,20は、ケース本体10の展示空間の左右側面を閉鎖するものであり、左右側面部材12,13の上端と、前方側の左右フレーム部材14,15と、後方側の左右フレーム部材16,17とでそれぞれ囲まれた形状の透明なガラスからなる。この側面板19,20は、フレーム部材14〜17を左右側面部材12,13に取付ける過程でガスケットを介して装着され、いわゆる嵌め殺しの窓ガラスの形態をなしている。
【0032】
背面扉21は、ケース本体10の展示空間の背面を閉鎖するものであり、透明な合成樹脂製からなる矩形形状の背面板210と、矩形の背面板210の4辺を補強する金属製の補強枠211とからなり、左右方向の一方側に設けたヒンジ機構HG(
図2参照)によりケース本体10に片開き式の扉として形成されている。この補強枠211に対峙するケース本体10には全周に亘ってガスケット212が設けられている。
【0033】
前記背面扉21の内面側には取付金具41,41(
図2参照)を介して鏡40が前傾姿勢となる態様で取着されている。取付金具41,41は、横断面コ字形に形成され、コ字形の一方の脚片が背面扉21の背面板210にねじ止めされ、他方の脚片に鏡40が貼着されている。鏡40は、背面扉21を閉じた状態でケース本体10の展示空間に設置されたおでん加熱・保温器100の容器101の上面を映し出しておでんの具材や出し汁の状態をおでん供給装置1から離れた場所から目視可能とする。また、鏡40は、鏡40と取付金具41,41と背面扉21(背面板210)とにより囲まれた空間が形成される態様で取付金具41,41を介して背面扉21と離隔して配設され、ケース本体10の展示空間を循環する循環気流を案内するダクトとしても構成されている。なお、背面扉21の外面側には、おでん加熱・保温器100の蓋103,御玉杓子,トングなどを格納する格納箱220が取着されている。
【0034】
天板22は、ケース本体10の展示空間の天面を閉鎖するものであり、矩形平板状の金属製になる。天板22は、前方側の左右フレーム部材14,15の後方に向けて延在する直線部に跨る態様で前方側の左右フレーム部材14,15に固着される。この天板22の内面側にはLEDユニット80(
図6参照)がねじ止めして取付けられるものである。天板22の上面には、前記LEDユニット80を取付けるねじの頭部を隠すとともにLEDユニット80への配線をカバーする保護部材221が着脱自在に設けられている。
【0035】
カバー部材30は、架台11に収容設置されたおでん加熱・保温器100のコンロ本体102の上面を覆うとともにケース本体10の展示空間を循環する循環気流がおでん加熱・保温器100の加熱部を通るように構成、すなわち、前記循環気流の風洞として構成したものである。カバー部材30は、底面が開放した矩形箱形の金属製になり、前壁が前方に向かうに従って下方に位置するように下る傾斜面31として形成され、当該傾斜面31には複数の通風穴32が形成されるとともに後壁33にも複数の通風穴34(
図2参照)が形成されている。カバー部材30の天面にはおでん加熱・保温器100の容器101の形状に一致した開口部35(
図5参照)が形成されており、当該開口部35を介して容器101をおでん加熱・保温器100のコンロ本体102に載置することができるものである。このカバー部材30の底側の周縁には外方に折り曲げられたフランジが形成されており、前後のフランジを架台11の前壁および後壁の上面に載置して固定し、左右のフランジを左右側面部材12,13における厚板の補強部材に固定してケース本体10に設置される。カバー部材30は、ケース本体10に設置した状態で架台11に収容設置されたおでん加熱・保温器100のコンロ本体102を覆うとともにカバー部材30の後壁33を背面扉21から離隔して循環気流の通路が形成されるように構成されている。カバー部材30の底側の周縁に外方に折り曲げられたフランジのうち、後壁33側のフランジは後方に向かうに従って下るように傾斜しており、後壁33に付着した露が外部に流出するように形成されている。
【0036】
前記カバー部材30の前壁を構成する傾斜面31の背後には、ケース本体10の展示空間を循環する循環気流を形成するための送風ファン50(
図6参照)が取付金具51(
図5参照)により取着されている。取付金具51は、
図5に示すように、カバー部材30の傾斜面31の背後に設置されるものであり、送風ファン50を取付けるための複数の開口部511、この実施の形態では3個の開口部511が左右方向に分散して形成されている。なお、
図5においては、取付金具51の開口部511を明示するために送風ファン50を取り外した状態を示している。この取付金具51は、それぞれの開口部511に送風ファン50を取付けた後、カバー部材30の傾斜面31の背後に位置させたうえでカバー部材30にねじ止めして設置される。また、取付金具51には、その下部から後方に向けて延在する風ガイド512が設けられている。この風ガイド512は、カバー部材30とともに前記循環気流の風洞をなすものである。
【0037】
ケース本体10の背面側における背面扉21の下方には左右方向に延在する樋90(
図2、
図4参照)および樋90の左右両端の下方に配置した有底筒状の露受け部92が設けられている。前記樋90はカバー部材30の後壁33に付着した露を集めるものであり、中央部に対して左右両端側が低くなるように形成されるとともに有底筒状の露受け部92の開口部に対峙する箇所に排出口91(
図4参照)が形成されている。
【0038】
さて、かかる構成のおでん供給装置1は、ケース本体10の架台11の後壁(化粧枠120)から引き出された電源コードのプラグを商用電源のコンセントに接続し、次いで、ケース本体10の左側側面部材12に形成した操作用窓12bからおでん加熱・保温器100のコンロ本体102における電源コードのプラグPを架台11に設置されたコンセント112に接続する。これにより、おでん加熱・保温器100のコンロ本体102に漏電遮断器114を介して商用電源が供給される一方、架台11に設置された電源ユニット113からLEDユニット60〜80,送風ファン50,排気ファン115に直流電源が供給される。
【0039】
この状態でおでん供給装置1は、次のようにしておでんを調理したうえで顧客に提供する。すなわち、
図2に示すようにケース本体10の背面扉21を開放して具材と出し汁を収納した容器101をカバー部材30の開口部35にセットしておでん加熱・保温器100のコンロ本体102の上面に載置し、セットされた容器101に蓋103を被せたうえで背面扉21を閉じる。次いで、ケース本体10の左側側面部材12に形成した操作用窓12bからおでん加熱・保温器100のコンロ本体102に設けた操作パネル105の電源スイッチと加熱開始スイッチを操作(オン)するとおでんを調理(煮込み)する加熱工程が開始される。この場合、おでん加熱・保温器100の電源回路には漏電遮断器114が接続されているので、仮に漏電が発生した場合にも電源を遮断して不測の事態を防止することができる。おでん加熱・保温器100は、調理(煮込み)を開始すると前記操作パネル105に設けた加熱状態を表示するランプが点灯する。そして、おでん加熱・保温器100は、おでんを調理(煮込み)する加熱工程が完了すると保温工程に移行し、加熱工程を表示するランプが消灯するとともに保温状態を表示するランプが点灯するように構成されているので、ケース本体10の左側側面部材12に形成した操作用窓12bからランプの状態を監視しておでんの調理状況を確認する。
【0040】
前述したようにおでん加熱・保温器100の調理(煮込み)を開始させた後、ケース本体10の架台11の後壁(化粧枠120)に設けた送風ファン用スイッチS3を操作(オン)してカバー部材30の傾斜面31の背後に設置された送風ファン50を駆動させる。この送風ファン50の駆動によりケース本体10の展示空間内の空気が、
図6に白抜き矢印A〜Gで示すような循環気流となって循環する。すなわち、送風ファン50の駆動によりカバー部材30の傾斜面31に設けた複数の通風穴32を介して前方斜め上方に吹出された気流Aは、前面板18のガラス180に沿って上昇する気流Bとなり、この気流Bが天板22に当接して後方に方向転換した気流Cとなり、気流Cが背面扉21の背面板210に当接して下降する気流Dとなった後、下降する気流Dがカバー部材30の後壁33に設けた複数の通風穴34に吸い込まれる気流Eとなり、カバー部材30の後壁33から吸い込まれた気流Eがおでん加熱・保温器100の加熱部(容器101の周囲)を通って送風ファン50に戻る気流Fとなって循環する。このように、気流Bが前面板18のガラス180を洗流するため、おでん加熱・保温器100の調理(煮込み)開始によりケース本体10の展示空間内の温度が上昇して外気温度との温度差により前面板18のガラス180に露が付着するのを防止することができる。この場合、送風ファン50を左右方向に分散して設置し、前面板18のガラス180の左右方向全域に気流Bが流れるように構成されている。このため、気流Bによりガラス180を隈なく洗流することが可能となるので、ガラス180の曇りを確実に防止することができる。また、背面扉21の内面側に設けた鏡40が下降する気流Dのダクトとして機能し、下降する気流Dを展示空間に逸らすことなくカバー部材30の後壁33に向けて案内することができるものである。
【0041】
おでん加熱・保温器100が保温工程に移行するとおでんを顧客に提供することが可能となるので、ケース本体10の左側側面部材12に形成した操作用窓12bからおでん加熱・保温器100の操作パネル105に設けたランプの状態を確認、すなわち、おでん加熱・保温器100の加熱状態を表示するランプが消灯して保温状態を表示するランプが点灯したのを確認した後、背面扉21を開けて容器101から蓋103を取り外し、容器101に収納されたおでんの具材や煮込みの状態を目視することを可能としたうえで背面扉21を閉じる。容器101から取り外した蓋103は背面扉21に設けた格納箱220に格納して保管する。ついで、ケース本体10の背面に設けた照明用スイッチS1,S2を操作(オン)してLEDユニット60〜80を点灯してケース本体10の展示空間を明るく照明する。
【0042】
ここで、背面扉21を開けるとケース本体10内に外気が侵入するとともに容器101から蓋103を取り外すことにより容器101から湯気が立ち上がり、ケース本体10の展示空間の空気が白濁して前面板18のガラス180に露が付着するおそれがある。しかしながら、背面扉21を閉じると送風ファン50によりケース本体10の展示空間内の空気が、
図6に白抜き矢印A〜Gで示すような循環気流となって循環することにより外気の侵入や湯気によって前面板18のガラス180に露が付着するのを防止することができる。この場合、容器101から立ち上がる湯気は循環気流C,D,Eによってカバー部材30の後壁33からおでん加熱・保温器100の加熱部(容器101の周囲)を通る気流Fとなる。そして、気流Eに含まれた湿気がおでん加熱・保温器100の加熱部(容器101の周囲)を通過する際に除湿される。このように、気流Eに含まれた湿気がおでん加熱・保温器100の加熱部(容器101の周囲)を通過する際に除湿されることは、発明者らの実験により確認されている。これにより、気流A,Bは気流Eよりも湿度の低い空気となって前面板18のガラス180を洗流することなり、前面板18のガラス180に露が付着するのを確実に防止することが可能となる。また、ケース本体10の展示空間内の空気を循環させることからケース本体10の展示空間の温度を高い状態に維持できるので、おでん加熱・保温器100の保温工程に悪影響を及ぼすことがない。
【0043】
なお、カバー部材30の後壁33には湯気を含んだ気流Eにより露が付着するが、この露は背面扉21とカバー部材30の後壁33のフランジとの間に貯留され、背面扉21を開けた際に樋90に集められる。そして、樋90の集められた露は、樋90の排出口91(
図4参照)を介して露受け部92に溜められる。
【0044】
また、おでん供給装置1のメンテナンス(清掃作業)時において、
前面板18の内面の拭き掃除を行う場合、前面板18はケース本体10から前方に引き出される。すなわち、金属製のカバー181の下端に指を当てて前方に引っ張ると、カバー181の背面に設けた左右一対の係止片183,183が弾性変形して架台11の前壁に穿孔した開口11a,11aの縁部との係合が解除され、レール182,182が架台11の底壁に設けたレール保持部から引き出される。このように、前面板18をケース本体10から引き出した状態でガラス180の内面の拭き掃除を行う。そして、その拭き掃除の終了後に前面板18を押し込むと、カバー181の背面に設けた左右一対の係止片183,183が架台11の前壁に穿孔した開口11a,11aの縁部を乗り越えるように弾性変形して当該開口11a,11aの縁部に係合して前面板18によりケース本体10の前面を閉塞した状態となる。
【0045】
前述したように、この実施の形態に係るおでん供給装置1によれば、おでんの具材,出し汁を収納する容器101を加熱部により加熱して煮込むとともに保温するおでん加熱・保温器100を収容して展示するショーケースタイプのケース本体10を備えたおでん供給装置であって、前記ケース本体10はおでん加熱・保温器100を取り囲む態様で閉塞した展示空間を形成する左右側板19,20と、前面板18と、天板22、背面扉21とを有し、少なくとも左右側板19,20、前面板18を透明部材で形成するとともに前記背面扉21を開閉しておでんを取り出すように形成されてなるおでん供給装置1において、ケース本体10の展示空間の空気を
循環気流として循環させて前面板18の内面を洗流する送風手段(送風ファン50)を設け、前記送風手段(送風ファン50)による循環経路は
前記循環気流がおでん加熱・保温器の100の容器101に沿って通過する際に除湿されるようにおでん加熱・保温器100の容器101の周囲を含むことにより、外気を取り込んで前面板18の内面を洗流して曇りを防止するものに対してケース本体10内の空気を循環させることによりケース本体10内の温度を低下させることなく前面板18の内面を洗流して曇りを防止できるという効果を奏するものである。
【0046】
なお、上記実施の形態では、おでん加熱・保温器100の加熱部を渦巻状の電磁誘導コイルとしたものについて説明したが、加熱部をシーズヒータとすることもできるものである。したがって、本発明は、実施の形態のおでん加熱・保温器100の構成に限定されるものではない。