(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
吸着材が充填された吸着槽を備え、前記吸着槽に有機溶剤含有ガスを導入して当該有機溶剤含有ガスに含有される有機溶剤を前記吸着材に吸着させて処理済ガスを排出し、前記吸着槽に脱着用ガスを導入して前記吸着材から前記有機溶剤を脱着する有機溶剤処理装置において、
前記排出された処理済ガス中の有機溶剤濃度が設定値以下の場合には、前記吸着槽への前記有機溶剤含有ガスの導入と前記脱着用ガスの導入とを交互に繰り返し、
前記排出された処理済ガス中の有機溶剤濃度が前記設定値を超えた場合には、前記吸着槽に前記脱着用ガスよりも温度が高い再生用ガスを導入し、
前記吸着槽を複数備え、
前記排出された処理済ガス中の有機溶剤濃度が前記設定値を超えた場合には、
複数のうちの一部の前記吸着槽に対しては前記再生用ガスを導入し、かつ、残りの前記吸着槽に対しては前記有機溶剤含有ガスの導入と前記脱着用ガスの導入とを交互に繰り返すことを、前記再生用ガスを導入する前記一部の前記吸着槽を順次選択しながら前記複数の吸着槽の全てが選択されるまで実行する、ことを特徴とする有機溶剤処理装置。
前記再生用ガスは180〜250℃の過熱水蒸気であり、前記脱着用ガスは当該再生用ガスの温度以下の温度の水蒸気であることを特徴とする請求項1に記載の有機溶剤処理装置。
吸着材が充填された吸着槽を複数備え、当該吸着槽に有機溶剤含有ガスを導入して当該有機溶剤含有ガスに含有される有機溶剤を前記吸着材に吸着させて処理済ガスを排出し、前記吸着槽に脱着用ガスを導入して前記吸着材から前記有機溶剤を脱着する有機溶剤処理装置へのガスの供給方法であって、
前記排出された処理済ガス中の有機溶剤濃度が設定値以下の場合には、前記吸着槽に前記有機溶剤含有ガスと前記脱着用ガスとを交互に供給し、
前記排出された処理済ガス中の有機溶剤濃度が前記設定値を超えると、前記吸着槽に前記脱着用ガスよりも温度が高い再生用ガスを供給し、
前記排出された処理済ガス中の有機溶剤濃度が前記設定値を超えた場合には、
複数のうちの一部の前記吸着槽に対しては前記再生用ガスを供給し、かつ、残りの前記吸着槽に対しては前記有機溶剤含有ガスの供給と前記脱着用ガスの供給とを交互に繰り返すことを、前記再生用ガスを供給する前記一部の前記吸着槽を順次選択しながら前記複数の吸着槽の全てが選択されるまで実行することを特徴とする供給方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔実施形態1〕
本発明の一実施形態について
図1を用いて説明する。本実施形態の有機溶剤処理装置1は、被処理ガス(有機溶剤含有ガス)を処理して清浄ガス(処理済ガス)を排出する装置であり、
図1に示すように、それぞれ吸着材14が充填された吸着槽A13aおよび吸着槽B13bを備えている。吸着槽A13aと吸着槽B13bとを区別して説明する必要の無い場合には、総称として吸着槽13を用いる。本実施形態では2つの吸着槽13を備えているが、備える数に限定はなく、1つでも、3つ以上でもよい。
【0011】
吸着材14は、粒状、粉体状、繊維状、ハニカム状の活性炭、ゼオライト、シリカゲルや活性アルミナなどを用いることができる。特に活性炭素繊維を用いることが好ましい。活性炭素繊維は表面にミクロ孔を有することと繊維状構造であることより、被吸着物質の吸着速度及び脱着速度が速い為、被処理ガスを効率よく処理することができる為である。なお、本実施形態では、吸着槽13aおよび吸着槽13bには同じ材料の吸着材14が充填されているが、異なる材料の吸着材が充填されていてもよい。
【0012】
有機溶剤処理装置1は、吸着槽13に被処理ガスを導入して有機溶剤を吸着材14に吸着させて清浄ガスを排出する吸着処理を実施する。また、吸着槽13に脱着用ガスを導入して吸着材14から有機溶剤を脱着する脱着処理を実施する。本実施形態では、脱着用ガスとして水蒸気を用いる。なお、
図1は、吸着槽13aにて吸着処理、吸着槽13bにて脱着処理を実施している状態を示している。
【0013】
吸着槽13には上ダンパー16および下ダンパー15が取付けられており、これらダンパーの開閉によりガスの流路を切替えることができる。
【0014】
被処理ガスは、本実施形態では有機シリコンを含む有機溶剤含有ガスであり、被処理ガス供給ダクト11より原ガス送風機12へ送り込まれ、下ダンパー15及び上ダンパー16が開いて吸着処理できる状態となっている吸着槽13に導入される。吸着槽13での吸着処理により、被処理ガスは、有機シリコンおよび有機溶剤が吸着槽13の吸着材14にて吸着されて、清浄ガスとなって清浄ガス排出ダクト17より排出される。
【0015】
本実施形態では、有機溶剤含有ガスに含まれる有機シリコンは、環状有機シリコンである。環状有機シリコンとは、シロキサン結合による環状分子構造骨格を有する環式有機化合物を指す、例えば、ヘキサメチルシクロトリシロキサン(D3)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)、デカメチルシクロペンタシロキサン(D5)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0016】
本実施形態では、有機溶剤処理装置1の処理対象(被処理ガス)を、環状有機シリコンを含む有機溶剤含有ガスとするが、有機溶剤処理装置1は、過熱水蒸気によって難脱着な成分に変化する成分を含む有機溶剤含有ガスにも適用できる。過熱水蒸気については後述する。
【0017】
一方、下ダンパー15及び上ダンパー16か閉じられて脱着処理できる状態となっている吸着槽13には、その吸着槽13に設けられた水蒸気供給口18から脱着用ガスとして水蒸気が導入される。この水蒸気は、水蒸気供給ライン21より水蒸気ライン切替弁22を経由して水蒸気供給口18bへ供給される。吸着槽13への水蒸気の導入により吸着材14に吸着された有機溶剤の脱着処理が行われる。
【0018】
脱着された有機溶剤を含む水蒸気は、吸着槽13に接続した脱着水蒸気排出口19より脱着水蒸気ライン31を経由して凝縮器32へ供給され、凝縮器32にて有機溶剤と水とに液化凝縮される。その後に、回収液タンク33にて回収される。
【0019】
吸着槽13にて吸着処理した後に清浄ガス排出ダクト17より排出される清浄ガスは、清浄ガス排出ダクト17に設けられたVOC濃度計(有機溶剤濃度計)25にてモニタリングされる。そして、有機溶剤処理装置1は、VOC濃度計25による測定値が設定値以下の場合、すなわち、吸着槽13から排出された清浄ガス中の有機溶剤濃度が設定値以下の場合には、吸着槽13への被処理ガスの導入と脱着用ガスの導入とを交互に繰り返す。これにより、吸着槽13での吸着処理と脱着処理とを交互に繰り返す。ここで、2つの吸着槽13、すなわち吸着槽A13aおよび吸着槽B13bには、一方に被処理ガスを導入している間に他方に脱着用ガスを導入する。つまり、吸着槽A13aでの吸着処理の間に吸着槽B13bでは脱着処理が実施され、吸着槽B13bでの吸着処理の間に吸着槽A13aでは脱着処理が実施され、これが繰り返される。このような運転動作により、有機溶剤処理装置1にて大量の被処理ガスの処理を効率的に行うことができる。なお、脱着処理後の吸着槽13は次の吸着処理の実施に移行するまでの期間、ガスを導入しない待機状態にされてもよい。本実施形態では、VOC濃度計25による測定値が設定値以下の場合の有機溶剤処理装置1の上記動作を通常運転と称する。
【0020】
また、有機溶剤処理装置1は、VOC濃度計25による測定値が前記設定値を上回る場合、すなわち、吸着槽13から排出された清浄ガス中の有機溶剤濃度が前記設定値を超えた場合には、次の処理を行う。原ガス送風機12を停止させ、被処理ガスの供給を停止し、水蒸気供給ライン21において水蒸気ライン切替弁23を切り替え、水蒸気をヒーター25にて所定の温度まで加熱した過熱水蒸気(再生用ガス)を吸着槽13へ導入する。過熱水蒸気は、ヒーター25によって、脱着処理に用いる水蒸気よりも高い温度に加熱された水蒸気である。
【0021】
吸着槽13への過熱水蒸気の導入により、吸着槽13内の吸着材14の過熱水蒸気による脱着処理である再生処理が実施される。ここで、本実施形態では、水蒸気による脱着処理を単に脱着処理と称し、加熱水蒸気による脱着処理を、水蒸気による脱着処理と区別するため再生処理と称する。これらは区別のために用いているだけであり、水蒸気による脱着処理でも吸着材14の再生(の一部)は行われている。区別のための文言であるため、例えば、過熱水蒸気による脱着処理を追脱着処理と称してもよい。
【0022】
再生処理では、本実施形態では被処理ガスに環状有機シリコンが含有されているため、環状有機シリコンが脱着されるが、吸着材14に有機溶剤が残留している(水蒸気を用いた脱着処理で残っている)場合にはこれも脱着される。脱着された環状有機シリコンおよび有機溶剤を含む過熱水蒸気は、吸着槽13に接続した脱着水蒸気排出口19より脱着水蒸気ライン31を経由して凝縮器32へ供給され、凝縮器32にて凝縮される。その後に、回収液タンク33にて回収される。
【0023】
本実施形態では、有機溶剤処理装置1は2つの吸着槽を備えているため、水蒸気ライン切替弁22を切り替え、吸着槽A13aおよび吸着槽B13bそれぞれに過熱水蒸気を導入し、それぞれ再生処理を実施する。どちらを先に再生処理するかの順は問わない。
【0024】
本実施形態では、VOC濃度計25による測定値が設定値を上回る場合の有機溶剤処理装置1の上記動作を再生運転と称する。
【0025】
有機溶剤処理装置1において、再生処理で使用する過熱水蒸気の温度は180〜250℃にすることが好ましい。過熱水蒸気の温度が180℃以下であると吸着材14より効率よく環状有機シリコンを除去することができず再生効率が低下してしまう。また過熱水蒸気の温度が250℃以上となると環状有機シリコンの重合が促進されてしまい、吸着材14の再生効率が大きく向上することなくランニングコストが増大化してしまうからである。
【0026】
吸着槽13に過熱水蒸気を導入する時間(再生時間)は、特に限定はされないが、1時間以上とするのが好ましい。再生時間が1時間以内であると充分な再生を行うことができないからである。
【0027】
有機溶剤処理装置1は、全ての吸着槽13での再生処理が終了すると(再生運転が終了すると)、再度、排ガス送風機12を稼働し、吸着槽13へ被処理ガスを導入して吸着処理を実施する。そして、清浄ガス排出ダクト17より排出される清浄ガスのVOC濃度計25による測定値が設定した濃度値以下の場合、通常運転に移行し、濃度値を未だ上回っていた場合には再度、再生各吸着槽13にそれぞれ再生処理を実施する(再生運転を行う)。
【0028】
(実施例)
以下に本実施形態の有機溶剤処理装置1を用いた実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の内容に限定されるものではない。
【0029】
(実施例1−1)
トルエン2000ppmとオクタメチルシクロテトラシロキサン1ppmとを含む45℃の混合ガス(被処理ガス)を、風量4.0Nm
3/分で原ガス送風機12にて吸着槽13に導入し、吸着槽13の吸着材14にて10分間吸着処理を行った。この際清浄ガス排出ダクト17に設置したVOC濃度計25の数値(清浄ガスのVOC濃度)は、1ppm以下であった。また、有機溶剤を吸着した吸着材14に水蒸気を用いて8分間脱着処理を行った。有機溶剤を含んだ脱着ガスは、脱着水蒸気排出口19より脱着水蒸気ライン31を経由して凝縮器32へ供給され、有機溶剤と水とに液化凝縮された後に回収液タンク33にて回収された。脱着処理を終えた吸着槽13を次の吸着処理に供されるまで2分間待機状態にした。
【0030】
前記の各状態(吸着処理、脱着処理、待機状態)を順に吸着槽13を切替えながら繰り返す(通常運転を行う)ことで、トルエン及びオクタメチルシクロテトラシロキサンを含む混合ガスを170時間連続処理したところ、VOC濃度計25の数値が100ppmを超えた。そこで、混合ガスの供給を停止し、各吸着槽13に対して200℃の過熱水蒸気を1時間導入し吸着材14の再生を行った。各吸着槽13の過熱水蒸気による再生処理を行った後に、再度、混合ガスの供給を開始し、吸着材14による吸着処理を行った。この際のVOC濃度計25の数値が1ppm以下となったことを確認し、吸着材14をサンプリングしてオクタメチルシクロテトラシロキサン及びその重合物の残存量を測定した。
【0031】
(実施例1−2)
トルエン2000ppmとデカメチルシクロペンタシロキサン1.5ppmとを含む45℃の混合ガスを、風量4.0Nm
3/分で原ガス送風機12にて吸着槽13に導入し、吸着材14により10分間吸着処理を行った。この際のVOC濃度計25の数値は1ppm以下であった。また、有機溶剤を吸着した吸着材14に水蒸気を用いて8分間脱着処理を行った。有機溶剤を含んだ脱着ガスは、脱着水蒸気排出口19より脱着水蒸気ライン31を経由して凝縮器32へ供給され、有機溶剤と水とに液化凝縮された後に回収液タンク33へ供給された。脱着処理を終えた吸着槽13を次の吸着処理に供されるまで2分間待機状態にした。
【0032】
前記の各運転状態を順に吸着槽13を切替えながら繰り返すことで、混合ガスを90時間連続処理したところ、VOC濃度計25の数値が100ppmを超えた。そのため、混合ガスの供給を停止し、各吸着槽13へ200℃の過熱水蒸気を1時間導入し吸着材14の再生を行った。各吸着槽13の過熱水蒸気による再生処理を行った後に、再度混合ガスの供給を開始し、吸着材14による吸着処理を行った。この際のVOC濃度計の数値が1ppm以下となったことを確認し、吸着材14をサンプリングしてデカメチルシクロペンタシロキサン及びその重合物の残存量を測定した。
【0033】
(比較例1−1)
トルエン2000ppmとオクタメチルシクロテトラシロキサン1ppmとを含む45℃の混合ガスを、風量4.0Nm
3/分で原ガス送風機12にて吸着槽13に導入し、吸着材14により10分間吸着処理を行った。この際の清浄ガス排出口に設置したVOC濃度計25の数値は1ppm以下であった。また、有機溶剤を吸着した吸着材14に水蒸気を用いて8分間脱着処理を行った。有機溶剤を含んだ脱着ガスは、脱着水蒸気排出口19より脱着水蒸気ライン31を経由して凝縮器32へ供給され、有機溶剤と水とに液化凝縮された後に回収液タンク33へ供給された。脱着処理を終えた吸着槽13を次の吸着処理に供されるまで2分間待機状態にした。
【0034】
前記の各運転状態を順に吸着槽を切替えながら繰り返すことで、混合ガスを170時間連続処理したところ、VOC濃度計25の数値が100ppmを超えた。そのため、混合ガスの供給を停止し、各吸着槽13へ200℃の過熱水蒸気を1時間導入し吸着材14の再生を行った。各吸着槽13の過熱水蒸気による再生処理を行った後に、再度混合ガスの供給を開始し吸着材14による吸着処理を行った。この際のVOC濃度計25の数値は25ppmであり、吸着材14をサンプリングしてオクタメチルシクロテトラシロキサン及びその重合物の残存量を測定した。
【0035】
(比較例1−2)
トルエン2000ppmとデカメチルシクロペンタシロキサン1.5ppmとを含む45℃の混合ガスを、風量4.0Nm
3/分で原ガス送風機12にて吸着槽13に導入し、吸着材14により10分間吸着処理を行った。この際の清浄ガス排出口に設置したVOC濃度計25の数値は1ppm以下であった。また、有機溶剤を吸着した吸着材14に水蒸気を用いて8分間脱着処理を行った。有機溶剤を含んだ脱着ガスは、脱着水蒸気排出口19より脱着水蒸気ライン31を経由して凝縮器32へ供給され、有機溶剤と水とに液化凝縮された後に回収液タンク33へ供給された。脱着処理を終えた吸着槽13を次の吸着処理に供されるまで2分間待機状態にした。
【0036】
前記の各運転状態を順に吸着槽を切替えながら繰り返すことで、混合ガスを90時間連続処理したところ、VOC濃度計25の数値が100ppmを超えた。そのため、混合ガスの供給を停止し、各吸着槽13へ200℃の過熱水蒸気を1時間導入し吸着材14の再生を行った。各吸着槽13の過熱水蒸気による再生処理を行った後に、再度混合ガスの供給を開始し吸着材14による吸着処理を行った。この際のVOC濃度計25の数値は35ppmであり、吸着材14をサンプリングしてデカメチルシクロペンタシロキサン及びその重合物の残存量を測定した。
【0037】
(比較例1−3)
トルエン2000ppmとオクタメチルシクロテトラシロキサン1ppmとを含む45℃の混合ガスを、風量4.0Nm
3/分で原ガス送風機12にて吸着槽13に導入し、吸着材14により10分間吸着処理を行った。この際のVOC濃度計25の数値は1ppm以下であった。また、有機溶剤を吸着した吸着材14に水蒸気を用いて8分間脱着処理を行った。有機溶剤を含んだ脱着ガスは、脱着水蒸気排出口19より脱着水蒸気ライン31を経由して凝縮器32へ供給され、有機溶剤と水とに液化凝縮された後に回収液タンク33へ供給された。脱着処理を終えた吸着槽13を次の吸着処理に供されるまで2分間待機状態にした。
【0038】
前記の各運転状態を順に吸着槽を切替えながら繰り返すことで、混合ガスを170時間連続処理したところ、VOC濃度計25の数値が100ppmを超えた。そこで、混合ガスの供給を停止し、各吸着槽13へ300℃の過熱水蒸気を1時間導入し吸着材14の再生を行った。各吸着槽13の過熱水蒸気による再生処理を行った後に、再度混合ガスの供給を開始し吸着材14による吸着処理を行った。この際のVOC濃度計25の数値は1ppm以下であり、吸着材14をサンプリングしてオクタメチルシクロテトラシロキサン及びその重合物の残存量を測定した。
【0039】
(比較例1−4)
トルエン2000ppmとデカメチルシクロペンタシロキサン1.5ppmとを含む45℃の混合ガスを、風量4.0Nm
3/分で原ガス送風機12にて吸着槽13に導入し、吸着材14により10分間吸着処理を行った。この際のVOC濃度計25の数値は1ppm以下であった。また、有機溶剤を吸着した吸着材14に水蒸気を用いて8分間脱着処理を行った。有機溶剤を含んだ脱着ガスは、脱着水蒸気排出口19より脱着水蒸気ライン31を経由して凝縮器32へ供給され、有機溶剤と水とに液化凝縮された後に回収液タンク33へ供給された。脱着処理を終えた吸着槽13を次の吸着処理に供されるまで2分間待機状態にした。
【0040】
前記の各運転状態を順に吸着槽を切替えながら繰り返すことで、混合ガスを90時間連続処理したところ、VOC濃度計25の数値が100ppmを超えた。そこで、混合ガスの供給を停止し、各吸着槽13へ300℃の過熱水蒸気を1時間導入し吸着材14の再生を行った。各吸着槽13の過熱水蒸気による再生処理を行った後に、再度混合ガスの供給を開始し、吸着材14による吸着処理を行った。この際のVOC濃度計の数値は1ppm以下であり、吸着材14をサンプリングしてデカメチルシクロペンタシロキサン及びその重合物の残存量を測定した。
【0041】
実施例1−1〜1−2、比較例1−1〜1−4の結果を表1に示す。
【0043】
表1が示すように、実施例1−1及び1−2の清浄ガスのVOC濃度は1ppm以下であり、環状有機シリコン及びその重合物の残存量は1mg/g−KFである。実施例1−1及び1−2は、比較例1−1及び1−2と比べて、非常に高効率に環状有機シリコンを脱着でき、吸着材を再生できていることがわかる。また、比較例1−3及び1−4は、清浄空気VOC濃度と環状有機シリコン及びその重合物の残存量とは実施例1及び2と殆ど同程度であるが、過熱水蒸気を高温(300℃)にするため電気使用量が高くなってしまい、エネルギー効率が悪い。このことから、実施例1−1及び1−2の方がランニングコストを小さくすることができることが分かる。
【0044】
〔実施形態2〕
本発明の別の実施形態について
図2,3を用いて詳細に説明する。
図2に示すように、本実施形態の有機溶剤処理装置1Aは、吸着槽13を3つ備えた構成であり、実施形態1で
図1を用いて説明した有機溶剤処理装置1の構成に加え、吸着材14を充填した吸着槽C13cを備えた構成である。本実施形態では、吸着槽A13a、吸着槽B13b、および吸着槽C13cには同じ材料の吸着材14が充填されているが、異なる材料の吸着材が充填されていてもよい。また、本実施形態では2つの吸着槽13を備えているが、備える数に限定はなく、4つ以上でもよい。
【0045】
吸着槽C13cには、吸着槽A13aおよび吸着槽B13bと同様に、上ダンパー16および下ダンパー15が取付けられており、水蒸気供給口18および脱着水蒸気排出口19が設けられている。また、水蒸気ライン切替弁22は、水蒸気供給ライン22から各吸着槽13(吸着槽A13a、吸着槽B13b、吸着槽C13c)への流路の切り替えができるように設けられている。これら以外の構成は、有機溶剤処理装置1と同じであるため、同じ構成部材には同じ符号を付し、説明は省略する。
【0046】
有機溶剤処理装置1Aでの通常運転時のフローを
図3の(a)に、再生運転時のフローを
図3の(b)に示す。
図3の(a)に示すように、有機溶剤処理装置1Aは、通常運転時は、通常運転における各吸着槽13において、吸着処理、脱着処理、待機、を繰り返す。
また、3つのうちの1つに被処理ガスを導入している間に、別の1つに脱着用ガスを導入し、さらに別の1つは待機状態とする。具体的には、吸着槽A13aでの吸着処理の間に吸着槽B13bでは脱着処理が実施され、かつ、吸着槽C13cは待機状態とされる。同様に、吸着槽B13bでの吸着処理の間に、吸着槽C13bでは脱着処理が実施され、かつ、吸着槽A13aは待機状態とされる。同様に、吸着槽C13cでの吸着処理の間に、吸着槽A13aでは脱着処理が実施され、かつ、吸着槽B13bは待機状態とされる。これが繰り返される。
【0047】
図3の(b)に示すように、有機溶剤処理装置1Aは、1つの吸着槽C13cが再生処理を実施している間に、他の2つの吸着槽A13aおよび吸着槽B13bにて被処理ガスの吸脱着処理を交互に実施することで、連続して有機溶剤を含む被処理ガスの清浄化を行うことができる。この場合、有機溶剤処理装置1Aには、水蒸気ライン22が2つあり、そのうち1つが吸着槽C13cの再生処理のために過熱水蒸気を導入するのに用いられ、別の1つが吸着槽A13aおよび吸着槽B13bでの脱着処理のために水蒸気を導入するのに用いられる。
【0048】
なお、
図3の(b)では、吸着槽C13cにて再生処理を実施し、吸着槽A13aおよび吸着槽B13bが吸脱着処理を繰り返している状態を例として示している。同様に、吸着槽A13aが再生処理を実施している間には吸着槽B13bおよび吸着槽C13cが吸脱着処理を繰り返し、吸着槽B13bが再生処理を実施している間には吸着槽C13cおよび吸着槽A13aが吸脱着処理繰り返す。
【0049】
1つの吸着槽C13cでの再生処理が終了した時点で、他の2つの吸着槽A13aおよび吸着槽B13bのうち脱着処理にある吸着槽13から順に、再生処理に移行させる。このようにして、全ての吸着槽13(吸着槽A13a、吸着槽B13b、および吸着槽C13c)での再生処理を継続する。
【0050】
有機溶剤処理装置1Aは、3つ全ての吸着槽13での再生処理が終了すると(再生運転が終了すると)、再度、排ガス送風機12を稼働し、吸着槽13へ被処理ガスを導入して吸着処理を実施する。そして、清浄ガス排出ダクト17より排出される清浄ガスのVOC濃度計25による測定値が設定した濃度値以下の場合、通常運転に移行し、濃度値を未だ上回っていた場合には再度、3つ全ての吸着槽13にそれぞれ再生処理を実施する(再生運転を行う)。
【0051】
(実施例)
以下に本実施形態の有機溶剤処理装置1Aを用いた実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の内容に限定されるものではない。
【0052】
(実施例2−1)
トルエン2000ppmとオクタメチルシクロテトラシロキサン1ppmとを含む45℃の混合ガスを、風量4.0Nm
3/分で原ガス送風機12にて吸着槽A13aに導入し、吸着槽A13aの吸着材14により10分間吸着処理を行った。この際のVOC濃度計25の数値(清浄ガスのVOC濃度)は1ppm以下であった。また、有機溶剤を吸着した吸着槽B13bに水蒸気を導入して10分間脱着処理を行った。有機溶剤を含んだ脱着ガスは脱着水蒸気排出口19より脱着水蒸気ライン31を経由して凝縮器32へ供給され、有機溶剤と水とに液化凝縮された後に回収液タンク33へ供給された。脱着処理を終えた吸着槽C13cを次の吸着処理に供されるまで10分間待機状態にした。
【0053】
前記3つの状態(吸着処理、脱着処理、待機状態)を順に吸着槽13を切替えながら繰り返すことで、トルエン及びオクタメチルシクロテトラシロキサンを含む混合ガスを170時間連続処理した。
【0054】
混合ガスを170時間連続処理したところ、VOC濃度計25の数値が100ppmを超えた。そこで、待機状態となっている吸着槽13へ180℃の過熱水蒸気を1時間導入し吸着材14の再生を行った。3つの吸着槽13全てにて過熱水蒸気による再生処理を行った後に、再度、混合ガスの供給を開始し、吸着材14による吸着処理を行った。この際のVOC濃度計25の数値が1ppm以下となったことを確認し、吸着材14をサンプリングしてオクタメチルシクロテトラシロキサン及びその重合物の残存量を測定した。
【0055】
(実施例2−2)
トルエン2000ppmとオクタメチルシクロテトラシロキサン1ppmとを含む45℃の混合ガスを、風量4.0Nm
3/分で原ガス送風機12にて吸着槽A13aに導入し、吸着材14により10分間吸着処理を行った。この際のVOC濃度計25の数値は1ppm以下であった。また、有機溶剤を吸着した吸吸着槽B13bに水蒸気を導入して10分間脱着処理を行った。有機溶剤を含んだ脱着ガスは脱着水蒸気排出口19より脱着水蒸気ライン31を経由して凝縮器32へ供給され、有機溶剤と水とに液化凝縮された後に回収液タンク33へ供給された。脱着処理を終えた吸着槽C13cを次の吸着処理に供されるまで10分間待機状態にした。
【0056】
前記3つの状態を順に吸着槽13を切替えながら繰り返すことで、混合ガスを170時間連続処理したところ、VOC濃度計25の数値が100ppmを超えた。そこで、待機状態となっている吸着槽13へ200℃の過熱水蒸気を1時間導入し吸着材14の再生を行った。3つの吸着槽13全てにて過熱水蒸気による再生処理を行った後に、再度、混合ガスの供給を開始し、吸着材14による吸着処理を行った。この際のVOC濃度計25の数値が1ppm以下となったことを確認し、吸着材14をサンプリングしてオクタメチルシクロテトラシロキサン及びその重合物の残存量を測定した。
【0057】
(実施例2−3)
トルエン2000ppmとオクタメチルシクロテトラシロキサン1ppmとを含む45℃の混合ガスを、風量4.0Nm
3/分で原ガス送風機12にて吸着槽A13aに導入し、吸着材14により10分間吸着処理を行った。この際のVOC濃度計25の数値は1ppm以下であった。また、有機溶剤を吸着した吸着槽B13bに水蒸気を導入して10分間脱着処理を行った。有機溶剤を含んだ脱着ガスは脱着水蒸気排出口19より脱着水蒸気ライン31を経由して凝縮器32へ供給され、有機溶剤と水とに液化凝縮された後に回収液タンク33へ供給された。脱着処理を終えた吸着槽C13cを次の吸着処理に供されるまで10分間待機状態にした。
【0058】
前記3つの状態を順に吸着槽13を切替えながら繰り返すことで、混合ガスを170時間連続処理したところ、VOC濃度計25の数値が100ppmを超えた。そこで、待機状態となっている吸着槽13へ250℃の過熱水蒸気を1時間導入し吸着材14の再生を行った。3つの吸着槽13全てにて過熱水蒸気による再生処理を行った後に、再度、混合ガスの供給を開始し、吸着材14による吸着処理を行った。この際のVOC濃度計25の数値が1ppm以下となったことを確認し、吸着材14をサンプリングしてオクタメチルシクロテトラシロキサン及びその重合物の残存量を測定した。
【0059】
(実施例2−4)
トルエン2000ppmとデカメチルシクロペンタシロキサン1.5ppmとを含む45℃の混合ガスを、風量4.0Nm
3/分で原ガス送風機12にて吸着槽A13aに導入し、吸着材14により10分間吸着処理を行った。この際のVOC濃度計25の数値が1ppm以下であった。また、有機溶剤を吸着した吸着槽B13bに水蒸気を導入して10分間脱着処理を行った。有機溶剤を含んだ脱着ガスは脱着水蒸気排出口19より脱着水蒸気ライン31を経由して凝縮器32へ供給され、有機溶剤と水とに液化凝縮された後に回収液タンク33へ供給された。脱着処理を終えた吸着槽C13cを次の吸着処理に供されるまで10分間待機状態にした。
【0060】
前記3つの状態を順に吸着槽を切替えながら繰り返すことで、混合ガスを90時間連続処理したところ、清浄ガス排出ダクト17より排出される清浄ガスはVOC濃度計25の数値が100ppmを超えた。そこで、待機状態となっている吸着槽C13cへ180℃の過熱水蒸気を1時間導入し吸着材14の再生を行った。3つの吸着槽13全てにて過熱水蒸気による再生処理を行った後に、再度、混合ガスの供給を開始し、吸着材14による吸着処理を行った。この際のVOC濃度計25の数値が1ppm以下となったことを確認し、吸着材14をサンプリングしてオクタメチルシクロテトラシロキサン及びその重合物の残存量を測定した。
【0061】
(実施例2−5)
トルエン2000ppmとデカメチルシクロペンタシロキサン1.5ppmとを含む45℃の混合ガスを、風量4.0Nm
3/分で原ガス送風機12にて吸着槽A13aに導入し、吸着材14により10分間吸着処理を行った。この際のVOC濃度計25の数値は1ppm以下であった。また、有機溶剤を吸着した吸着槽B13bに水蒸気を導入して10分間脱着処理を行った。有機溶剤を含んだ脱着ガスは、脱着水蒸気排出口19より脱着水蒸気ライン31を経由して凝縮器32へ供給され、有機溶剤と水とに液化凝縮された後に回収液タンク33へ供給された。脱着処理を終えた吸着槽C13cを次の吸着処理に供されるまで10分間待機状態にした。
【0062】
前記3つの状態を順に吸着槽を切替えながら繰り返すことで、混合ガスを90時間連続処理したところ、VOC濃度計25の数値が100ppmを超えた。そこで、待機状態となっている吸着槽13へ200℃の過熱水蒸気を1時間導入し吸着材14の再生を行った。3つの吸着槽13全てにて過熱水蒸気による再生処理を行った後に、再度、混合ガスの供給を開始し、吸着材14による吸着処理を行った。この際のVOC濃度計25の数値が1ppm以下となったことを確認し、吸着材14をサンプリングしてオクタメチルシクロテトラシロキサン及びその重合物の残存量を測定した。
【0063】
(実施例2−6)
トルエン2000ppmとデカメチルシクロペンタシロキサン1.5ppmとを含む45℃の混合ガスを、風量4.0Nm
3/分で原ガス送風機12にて吸着槽A13aに導入し、吸着材14により10分間吸着処理を行った。この際のVOC濃度計25の数値は1ppm以下であった。また、有機溶剤を吸着した吸着槽B13bに水蒸気を導入して10分間脱着処理を行った。有機溶剤を含んだ脱着ガスは脱着水蒸気排出口19より脱着水蒸気ライン31を経由して凝縮器32へ供給され、有機溶剤と水とに液化凝縮された後に回収液タンク33へ供給された。脱着処理を終えた吸着槽C13cを次の吸着処理に供されるまで10分間待機状態にした。
【0064】
前記3つの状態を順に吸着槽を切替えながら繰り返すことで、混合ガスを90時間連続処理したところ、VOC濃度計25の数値が100ppmを超えた。そこで、待機状態となっている吸着槽13へ250℃の過熱水蒸気を1時間導入し吸着材14の再生を行った。3つの吸着槽13全てにて過熱水蒸気による再生処理を行った後に、再度、混合ガスの供給を開始し、吸着材14による吸着処理を行った。この際のVOC濃度計25の数値が1ppm以下となったことを確認し、吸着材14をサンプリングしてオクタメチルシクロテトラシロキサン及びその重合物の残存量を測定した。
【0065】
(比較例2−1)
トルエン2000ppmとオクタメチルシクロテトラシロキサン1ppmとを含む45℃の混合ガスを、風量4.0Nm
3/分で原ガス送風機12にて吸着槽A13aに導入し、吸着材14により10分間吸着処理を行った。その際のVOC濃度計25の数値は1ppm以下であった。また、有機溶剤を吸着した吸着槽B13bの吸着材14に水蒸気を用いて10分間脱着処理を行った。有機溶剤を含んだ脱着ガスは脱着水蒸気排出口19より脱着水蒸気ライン31を経由して凝縮器32へ供給され、有機溶剤と水とに液化凝縮された後に回収液タンク33へ供給された。脱着処理を終えた吸着槽C13cを次の吸着処理に供されるまで10分間待機状態にした。
【0066】
前記3つの状態を順に吸着槽を切替えながら繰り返すことで、混合ガスを170時間連続処理したところ、清浄ガス排出ダクト17より排出される清浄ガスはVOC濃度計25の数値が100ppmを超えた。そこで、待機状態となっている吸着槽13へ150℃の過熱水蒸気を1時間導入し吸着材14の再生を行った。3つ全ての吸着槽13の過熱水蒸気による再生処理を行った後に、再度混合ガスの供給を開始し、吸着材14による吸着処理を行った。この際のVOC濃度計25の数値は62ppmであり、吸着材14をサンプリングしてオクタメチルシクロテトラシロキサン及びその重合物の残存量を測定した。
【0067】
(比較例2−2)
トルエン2000ppmとオクタメチルシクロテトラシロキサン1ppmとを含む45℃の混合ガスを、風量4.0Nm
3/分で原ガス送風機12にて吸着槽A13aに導入し、吸着材14により10分間吸着処理を行った。この際のVOC濃度計25の数値は1ppm以下であった。また、有機溶剤を吸着した吸着槽B13bの吸着材14に水蒸気を用いて10分間脱着処理を行った。有機溶剤を含んだ脱着ガスは脱着水蒸気排出口19より脱着水蒸気ライン31を経由して凝縮器32へ供給され、有機溶剤と水とに液化凝縮された後に回収液タンク33へ供給された。脱着処理を終えた吸着槽C13cを次の吸着処理に供されるまで10分間待機状態にした。
【0068】
前記3つの状態を順に吸着槽を切替えながら繰り返すことで、混合ガスを170時間連続処理したところ、清浄ガス排出ダクト17より排出される清浄ガスはVOC濃度計25の数値が100ppmを超えた。そこで、待機状態となっている吸着槽13へ170℃の過熱水蒸気を1時間導入し吸着材14の再生を行った。3つ全ての吸着槽13の過熱水蒸気による再生処理を行った後に、再度混合ガスの供給を開始し、吸着材14による吸着処理を行った。この際のVOC濃度計25の数値は31ppmであり、吸着材14をサンプリングしてオクタメチルシクロテトラシロキサン及びその重合物の残存量を測定した。
【0069】
(比較例2−3)
トルエン2000ppmとオクタメチルシクロテトラシロキサン1ppmとを含む45℃の混合ガスを、風量4.0Nm
3/分で原ガス送風機12にて吸着槽A13aに導入し、吸着材14により10分間吸着処理を行った。この際のVOC濃度計25の数値は1ppm以下であった。また、有機溶剤を吸着した吸着槽B13bの吸着材14に水蒸気を用いて10分間脱着処理を行った。有機溶剤を含んだ脱着ガスは脱着水蒸気排出口19より脱着水蒸気ライン31を経由して凝縮器32へ供給され、有機溶剤と水とに液化凝縮された後に回収液タンク33へ供給された。脱着処理を終えた吸着槽C13cを次の吸着処理に供されるまで10分間待機状態にした。
【0070】
前記3つの状態を順に吸着槽を切替えながら繰り返すことで、混合ガスを170時間連続処理したところ、VOC濃度計25の数値が100ppmを超えた。そこで、待機状態となっている吸着槽13へ260℃の過熱水蒸気を1時間導入し吸着材14の再生を行った。3つ全ての吸着槽13の過熱水蒸気による再生処理を行った後に、再度混合ガスの供給を開始し、吸着材14による吸着処理を行った。この際のVOC濃度計25の数値は1ppm以下であり、吸着材14をサンプリングしてオクタメチルシクロテトラシロキサン及びその重合物の残存量を測定した。
【0071】
(比較例2−4)
トルエン2000ppmとオクタメチルシクロテトラシロキサン1ppmとを含む45℃の混合ガスを、風量4.0Nm
3/分で原ガス送風機12にて吸着槽A13aに導入し、吸着材14により10分間吸着処理を行った。その際の清浄ガス排出口に設置したVOC濃度計25の数値が1ppm以下であった。また、有機溶剤を吸着した吸着槽B13bの吸着材14に水蒸気を用いて10分間脱着処理を行い、有機溶剤を含んだ脱着ガスは脱着水蒸気排出口19より脱着水蒸気ライン31を経由して凝縮器32へ供給され、有機溶剤と水とに液化凝縮された後に回収液タンク33へ供給された。脱着処理を終えた吸着槽C13cを次の吸着処理に供されるまで10分間待機状態にした。
【0072】
前記3つの状態を順に吸着槽を切替えながら繰り返すことで、混合ガスを170時間連続処理したところ、VOC濃度計25の数値が100ppmを超えた。そこで、待機状態となっている吸着槽13へ300℃の過熱水蒸気を1時間導入し吸着材14の再生を行った。3つ全ての吸着槽13の過熱水蒸気による再生処理を行った後に、再度混合ガスの供給を開始し、吸着材14による吸着処理を行った。この際のVOC濃度計25の数値は1ppm以下であり、吸着材14をサンプリングしてオクタメチルシクロテトラシロキサン及びその重合物の残存量を測定した。
【0073】
(比較例2−5)
トルエン2000ppmとデカメチルシクロペンタシロキサン1.5ppmとを含む45℃の混合ガスを、風量4.0Nm
3/分で原ガス送風機12にて吸着槽A13aに導入し、吸着材14により10分間吸着処理を行った。その際のVOC濃度計25の数値は1ppm以下であった。また、有機溶剤を吸着した吸着槽B13bの吸着材14に水蒸気を用いて10分間脱着処理を行った。有機溶剤を含んだ脱着ガスは脱着水蒸気排出口19より脱着水蒸気ライン31を経由して凝縮器32へ供給され、有機溶剤と水とに液化凝縮された後に回収液タンク33へ供給された。脱着処理を終えた吸着槽C13cを次の吸着処理に供されるまで10分間待機状態にした。
【0074】
前記3つの状態を順に吸着槽を切替えながら繰り返すことで、混合ガスを90時間連続処理したところ、清浄ガス排出ダクト17より排出される清浄ガスはVOC濃度計25の数値が100ppmを超えた。そこで、待機状態となっている吸着槽13へ150℃の過熱水蒸気を1時間導入し吸着材14の再生を行った。3つ全ての吸着槽13の過熱水蒸気による再生処理を行った後に、再度混合ガスの供給を開始し、吸着材14による吸着処理を行った。この際のVOC濃度計25の数値は80ppmであり、吸着材14をサンプリングしてデカメチルシクロペンタシロキサン及びその重合物の残存量を測定した。
【0075】
(比較例2−6)
トルエン2000ppmとデカメチルシクロペンタシロキサン1.5ppmとを含む45℃の混合ガスを、風量4.0Nm
3/分で原ガス送風機12にて吸着槽A13aに導入し、吸着材14により10分間吸着処理を行った。その際のVOC濃度計25の数値は1ppm以下であった。また、有機溶剤を吸着した吸着槽B13bの吸着材14に水蒸気を用いて10分間脱着処理を行った。有機溶剤を含んだ脱着ガスは脱着水蒸気排出口19より脱着水蒸気ライン31を経由して凝縮器32へ供給され、有機溶剤と水とに液化凝縮された後に回収液タンク33へ供給された。脱着処理を終えた吸着槽C13cを次の吸着処理に供されるまで10分間待機状態にした。
【0076】
前記3つの状態を順に吸着槽を切替えながら繰り返すことで、混合ガスを90時間連続処理したところ、清浄ガス排出ダクト17より排出される清浄ガスはVOC濃度計25の数値が100ppmを超えた。そこで、待機状態となっている吸着槽13へ170℃の過熱水蒸気を1時間導入し吸着材14の再生を行った。3つ全ての吸着槽13の過熱水蒸気による再生処理を行った後に、再度混合ガスの供給を開始し、吸着材14による吸着処理を行った。この際のVOC濃度計25の数値は43ppmであり、吸着材14をサンプリングしてデカメチルシクロペンタシロキサン及びその重合物の残存量を測定した。
【0077】
(比較例2−7)
トルエン2000ppmとデカメチルシクロペンタシロキサン1.5ppmとを含む45℃の混合ガスを、風量4.0Nm
3/分で原ガス送風機12にて吸着槽A13aに導入し、吸着材14により10分間吸着処理を行った。その際のVOC濃度計25の数値は1ppm以下であった。また、有機溶剤を吸着した吸着槽B13bの吸着材14に水蒸気を用いて10分間脱着処理を行った。有機溶剤を含んだ脱着ガスは脱着水蒸気排出口19より脱着水蒸気ライン31を経由して凝縮器32へ供給され、有機溶剤と水とに液化凝縮された後に回収液タンク33へ供給された。脱着処理を終えた吸着槽C13cを次の吸着処理に供されるまで10分間待機状態にした。
【0078】
前記3つの状態を順に吸着槽を切替えながら繰り返すことで、混合ガスを90時間連続処理したところ、VOC濃度計25の数値が100ppmを超えた。そこで、待機状態となっている吸着槽13へ260℃の過熱水蒸気を1時間導入し吸着材14の再生を行った。3つ全ての吸着槽13の過熱水蒸気による再生処理を行った後に、再度混合ガスの供給を開始し、吸着材14による吸着処理を行った。この際のVOC濃度計25の数値は1ppm以下であり、吸着材14をサンプリングしてデカメチルシクロペンタシロキサン及びその重合物の残存量を測定した。
【0079】
(比較例2−8)
トルエン2000ppmとデカメチルシクロペンタシロキサン1.5ppmを含む45℃の混合ガスを、風量4.0Nm
3/分で原ガス送風機12にて吸着槽A13aに導入し、吸着材14により10分間吸着処理を行った。その際のVOC濃度計25の数値は1ppm以下であった。また、有機溶剤を吸着した吸着槽B13bの吸着材14に水蒸気を用いて10分間脱着処理を行った。有機溶剤を含んだ脱着ガスは脱着水蒸気排出口19より脱着水蒸気ライン31を経由して凝縮器32へ供給され、有機溶剤と水とに液化凝縮された後に回収液タンク33へ供給された。脱着処理を終えた吸着槽C13cを次の吸着処理に供されるまで10分間待機状態にした。
【0080】
前記3つの状態を順に吸着槽を切替えながら繰り返すことで、混合ガスを90時間連続処理したところ、清浄ガス排出ダクト17より排出される清浄ガスはVOC濃度計25の数値が100ppmを超えた。そこで、待機状態となっている吸着槽13へ300℃の過熱水蒸気を1時間導入し吸着材14の再生を行った。3つ全ての吸着槽13の過熱水蒸気による再生処理を行った後に、再度混合ガスの供給を開始し、吸着材14による吸着処理を行った。この際のVOC濃度計25の数値は1ppm以下であり、吸着材14をサンプリングしてデカメチルシクロペンタシロキサン及びその重合物の残存量を測定した。
【0081】
有機溶剤処理装置1(
図1)を用い、常時過熱水蒸気による再生処理を行った場合の例を比較例2−9及び2−10にて説明する。
【0082】
(比較例2−9)
トルエン2000ppmとオクタメチルシクロテトラシロキサン1ppmとを含む45℃の混合ガスを、風量4.0Nm
3/分で原ガス送風機12にて吸着槽13に導入し、吸着材14により10分間吸着処理を行った。この際のVOC濃度計25の数値が1ppm以下であった。また、有機溶剤を吸着した吸着材14に250℃の過熱水蒸気を用いて8分間脱着処理を行った。有機溶剤を含んだ脱着ガスは、脱着水蒸気排出口19より脱着水蒸気ライン31を経由して凝縮器32へ供給され、有機溶剤と水とに液化凝縮された後に回収液タンク33へ供給された。脱着処理を終えた吸着槽13を次の吸着処理に供されるまで2分間待機状態にした。
【0083】
前記の状態を順に吸着槽13を切替えながら繰り返すことで、混合ガスを170時間連続処理したところ、VOC濃度計25の数値が100ppmを超えた。そこで、各吸着槽13へ200℃の過熱水蒸気を1時間導入し吸着材14の再生を行った。全ての吸着槽13の過熱水蒸気による再生処理を行った後に、再度混合ガスの供給を開始し、吸着材14による吸着処理を行った。この際のVOC濃度計25の数値は1ppm以下であり、吸着材14をサンプリングしてオクタメチルシクロテトラシロキサン及びその重合物の残存量を測定した。
【0084】
(比較例2−10)
トルエン2000ppmとデカメチルシクロペンタシロキサン1.5ppmとを含む45℃の混合ガスを、風量4.0Nm
3/分で原ガス送風機12にて吸着槽13に導入し、吸着材14により10分間吸着処理を行った。この際のVOC濃度計25の数値は1ppm以下であった。また、有機溶剤を吸着した吸着材14に250℃の過熱水蒸気を用いて8分間脱着処理を行った。有機溶剤を含んだ脱着ガスは、脱着水蒸気排出口19より脱着水蒸気ライン31を経由して凝縮器32へ供給され、有機溶剤と水とに液化凝縮された後に回収液タンク33へ供給された。脱着処理を終えた吸着槽13を次の吸着処理に供されるまで2分間待機状態にした。
【0085】
前記状態を順に吸着槽13を切替えながら繰り返すことで、混合ガスを90時間連続処理したところ、VOC濃度計25の数値が100ppmを超えた。そこで、各吸着槽13へ300℃の過熱水蒸気を1時間導入し吸着材14の再生を行った。全ての吸着槽13の過熱水蒸気による再生処理を行った後に、再度混合ガスの供給を開始し、吸着材14による吸着処理を行った。この際のVOC濃度計25の数値は1ppm以下であり、吸着材14をサンプリングしてデカメチルシクロペンタシロキサン及びその重合物の残存量を測定した。
【0086】
実施例2−1〜2−6の結果を表2に、比較例1〜10の結果を表3に示す。
【0089】
表2が示すように、実施例2−1〜2−6において清浄空気VOC濃度は1ppm以下であり、非常に効率よく吸着材環状有機シリコンを除去できていることが分かる。
【0090】
表3が示すように、比較例2−1、2−2及び2−5、2−6では、過熱水蒸気温度が170℃以下のため、効率よく吸着材から環状有機シリコンを除去できておらず、清浄空気VOC濃度は高い値となっている。また、表3が示すように、比較例2−3、2−4及び2−7、2−8では過熱水蒸気温度が260℃以上であり、清浄ガスのVOC濃度は1ppm以下であるが、表2の示す実施例2−1〜2−6の結果と殆ど変化なく、過熱水蒸気を高温にするため電気使用量が高くなっている。よって、比較例2−3、2−4及び2−7、2−8では、エネルギー効率が悪いことがわかる。
【0091】
表3が示すように、比較例2−9、2−10は常時200℃の過熱水蒸気で吸着材を再生している。そのため、吸着材から環状有機シリコンは除去できているが、エネルギー効率が極端に悪くなってしまう。このことから、比較例2−9,2−10では、ランニングコストが大きいことがわかる。
【0092】
なお、上記開示した各実施形態および各実施例はすべて例示であり制限的なものではない。また、各実施形態および各実施例に開示された内容を組み合わせた実施形態および実施例も本発明の範囲に含まれる。本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲によって有効であり、特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内のすべての変更・修正・置き換え等を含むものである。