(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
撮影光学系により形成された被写体像を電気的な画素信号に変換する撮像素子と、前記撮影光学系の少なくとも一部をなす光学要素と前記撮像素子の少なくとも一方を駆動部材として当該駆動部材を前記撮影光学系の光軸と異なる方向に駆動する駆動機構と、を有する撮影装置による撮影方法であって、
前記駆動機構による前記駆動部材の駆動範囲が相対的に大きい状態で前記駆動部材を駆動して像振れ補正動作を行って撮影を実行する第1の撮影モード、及び、前記駆動機構による前記駆動部材の駆動範囲が相対的に小さい状態で撮影を実行する第2の撮影モードを設定する撮影モード設定ステップと、
前記第1の撮影モードを設定しているときに前記駆動部材を相対的に低い分解能で駆動制御する第1の駆動制御、及び、前記第2の撮影モードを設定しているときに前記駆動部材を相対的に高い分解能で駆動制御する第2の駆動制御を実行する駆動制御ステップと、
を有し、
前記駆動制御ステップでは、当該駆動制御ステップが前記第1の駆動制御を実行している場合において、前記撮影モード設定ステップが前記第2の撮影モードを設定しているか否かを判定し、
前記駆動制御ステップでは、前記撮影モード設定ステップが前記第2の撮影モードを設定していると判定したとき、前記第2の撮影モードよりも前記駆動部材の必要可動範囲が大きく、水平補正または構図微調整を前記駆動部材を駆動して行う第3の撮影モードが設定されているか否かをさらに判定し、
前記駆動制御ステップでは、前記第3の撮影モードが設定されていると判定したとき、前記第1の駆動制御を維持したままで、前記第2の撮影モードにおける撮影を実行させ、
前記駆動制御ステップでは、前記第3の撮影モードが設定されていないと判定したとき、前記第1の駆動制御から前記第2の駆動制御に変更し、前記第2の撮影モードにおける撮影を実行させる、
ことを特徴とする撮影方法。
撮影光学系により形成された被写体像を電気的な画素信号に変換する撮像素子と、前記撮影光学系の少なくとも一部をなす光学要素と前記撮像素子の少なくとも一方を駆動部材として当該駆動部材を前記撮影光学系の光軸と異なる方向に駆動する駆動機構と、を有する撮影装置による撮影方法を実行するための撮影プログラムであって、
前記駆動機構による前記駆動部材の駆動範囲が相対的に大きい状態で前記駆動部材を駆動して像振れ補正動作を行って撮影を実行する第1の撮影モード、及び、前記駆動機構による前記駆動部材の駆動範囲が相対的に小さい状態で撮影を実行する第2の撮影モードを設定する撮影モード設定ステップと、
前記第1の撮影モードを設定しているときに前記駆動部材を相対的に低い分解能で駆動制御する第1の駆動制御、及び、前記第2の撮影モードを設定しているときに前記駆動部材を相対的に高い分解能で駆動制御する第2の駆動制御を実行する駆動制御ステップと、
をコンピュータに実行させ、
前記駆動制御ステップでは、当該駆動制御ステップが前記第1の駆動制御を実行している場合において、前記撮影モード設定ステップが前記第2の撮影モードを設定しているか否かを判定し、
前記駆動制御ステップでは、前記撮影モード設定ステップが前記第2の撮影モードを設定していると判定したとき、前記第2の撮影モードよりも前記駆動部材の必要可動範囲が大きく、水平補正または構図微調整を前記駆動部材を駆動して行う第3の撮影モードが設定されているか否かをさらに判定し、
前記駆動制御ステップでは、前記第3の撮影モードが設定されていると判定したとき、前記第1の駆動制御を維持したままで、前記第2の撮影モードにおける撮影を実行させ、
前記駆動制御ステップでは、前記第3の撮影モードが設定されていないと判定したとき、前記第1の駆動制御から前記第2の駆動制御に変更し、前記第2の撮影モードにおける撮影を実行させる、
ことを特徴とする撮影プログラム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者は、像振れ補正撮影または像振れ補正ライブビュー表示(第1の撮影モード)とマルチショット撮影(第2の撮影モード)の機能を併せ持つ撮影装置の鋭意研究を行った結果、第1、第2の撮影モードにおける撮像素子(駆動部材)の駆動範囲(制御上の必要駆動可能範囲、必要可動範囲)が異なるため、撮像素子の高精度な駆動制御ひいては高品質な撮影画像を得るのが難しいことを見出した。
【0006】
すなわち、マルチショット撮影(第2の撮影モード)における撮像素子(駆動部材)の駆動範囲は、像振れ補正撮影または像振れ補正ライブビュー表示(第1の撮影モード)における撮像素子の駆動範囲よりも非常に小さく、例えば1画素単位の微小振動である。このため、撮像素子の駆動量に誤差が発生し、且つ/又は、撮影装置(駆動機構)に揺れや振動が加わることで、撮像素子の駆動制御の精度が劣化してしまう。その結果、マルチショット撮影画像のエッジにギザギザが発生してその品質が劣化してしまう。
【0007】
本発明は、以上の問題意識に基づいてなされたものであり、駆動部材の駆動範囲(制御上の必要駆動可能範囲、必要可動範囲)が異なる第1、第2の撮影モードを通じて駆動部材を高精度に駆動制御することで高品質な撮影画像を得ることができる撮影装置、撮影方法及び撮影プログラムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の撮影装置は、撮影光学系により形成された被写体像を電気的な画素信号に変換する撮像素子と、前記撮影光学系の少なくとも一部をなす光学要素と前記撮像素子の少なくとも一方を駆動部材として当該駆動部材を前記撮影光学系の光軸と異なる方向に駆動する駆動機構と、前記駆動機構による前記駆動部材の駆動範囲が相対的に大きい状態で
前記駆動部材を駆動して像振れ補正動作を行って撮影を実行する第1の撮影モードと、前記駆動機構による前記駆動部材の駆動範囲が相対的に小さい状態で撮影を実行する第2の撮影モードと、を設定可能な撮影モード設定部と、前記撮影モード設定部が前記第1の撮影モードを設定しているときに前記駆動部材を相対的に低い分解能で駆動制御する第1の駆動制御と、前記撮影モード設定部が前記第2の撮影モードを設定しているときに前記駆動部材を相対的に高い分解能で駆動制御する第2の駆動制御と、を実行可能な駆動制御部と、を有し、前記駆動制御部は、当該駆動制御部が前記第1の駆動制御を実行している場合において、前記撮影モード設定部が前記第2の撮影モードを設定しているか否かを判定し、前記駆動制御部は、前記撮影モード設定部が前記第2の撮影モードを設定していると判定したとき、前記第2の撮影モードよりも前記駆動部材の必要可動範囲が大き
く、水平補正または構図微調整を前記駆動部材を駆動して行う第3の撮影モードが設定されているか否かをさらに判定し、前記駆動制御部は、前記第3の撮影モードが設定されていると判定したとき、前記第1の駆動制御を維持したままで、前記第2の撮影モードにおける撮影を実行させ、前記駆動制御部は、前記第3の撮影モードが設定されていないと判定したとき、前記第1の駆動制御から前記第2の駆動制御に変更し、前記第2の撮影モードにおける撮影を実行させる、ことを特徴としている。
【0009】
前記駆動制御部は、前記第1の駆動制御において、前記撮影光学系の光軸と異なる方向における前記駆動部材の位置を相対的に低い分解能で検出して当該検出位置に基づいて前記駆動機構による前記駆動部材の駆動を制御し、前記第2の駆動制御において、前記撮影光学系の光軸と異なる方向における前記駆動部材の位置を相対的に高い分解能で検出して当該検出位置に基づいて前記駆動機構による前記駆動部材の駆動を制御することができる。
【0010】
前記駆動制御部は、前記第1の駆動制御において、前記撮影光学系の光軸と異なる方向における前記駆動部材の位置検出信号を相対的に低いゲインで増幅し、前記第2の駆動制御において、前記撮影光学系の光軸と異なる方向における前記駆動部材の位置検出信号を相対的に高いゲインで増幅することができる。
【0017】
前記駆動制御部は、
前記第3の撮影モードが設定されていないと判定したとき、前記第1の駆動制御から前記第2の駆動制御に変更し、前記第2の撮影モードにおける撮影を実行させ、前記第2の撮影モードにおける撮影が終了した後に、前記第2の駆動制御から前記第1の駆動制御に戻すことができる。
【0018】
前記駆動制御部は、前記第3の撮影モードが設定されていないと判定したとき、前記駆動部材をその駆動範囲の中央に保持するとともに、前記第1の駆動制御から前記第2の駆動制御に変更し、前記第2の撮影モードにおける撮影を実行させ、前記第2の撮影モードにおける撮影が終了した後に、前記第2の駆動制御から前記第1の駆動制御に戻すとともに、前記駆動部材の中央保持を解除することができる。
【0025】
前記駆動制御部は、前記第1の駆動制御を行う場合において前記駆動部材をその駆動範囲の中央に保持するための第1の制御目標AD値と、前記第2の駆動制御を行う場合において前記駆動部材をその駆動範囲の中央に保持するための第2の制御目標AD値とを異ならせて保持することができる。
【0027】
前記撮影モード設定部は、前記第1の撮影モードとして、前記駆動機構により前記駆動部材を前記撮影光学系の光軸と異なる方向に駆動することで前記撮像素子への前記被写体像の結像位置を変位させながら行う像振れ補正撮影モードまたは像振れ補正ライブビューモードを設定可能とし、前記第2の撮影モードとして、前記駆動機構により前記駆動部材を前記撮影光学系の光軸と異なる方向に微細に移動させながら行った複数回の撮影画像を合成するマルチショット撮影モードを設定可能とすることができる。
【0028】
本発明の撮影方法は、撮影光学系により形成された被写体像を電気的な画素信号に変換する撮像素子と、前記撮影光学系の少なくとも一部をなす光学要素と前記撮像素子の少なくとも一方を駆動部材として当該駆動部材を前記撮影光学系の光軸と異なる方向に駆動する駆動機構と、を有する撮影装置による撮影方法であって、前記駆動機構による前記駆動部材の駆動範囲が相対的に大きい状態で
前記駆動部材を駆動して像振れ補正動作を行って撮影を実行する第1の撮影モード、及び、前記駆動機構による前記駆動部材の駆動範囲が相対的に小さい状態で撮影を実行する第2の撮影モードを設定する撮影モード設定ステップと、前記第1の撮影モードを設定しているときに前記駆動部材を相対的に低い分解能で駆動制御する第1の駆動制御、及び、前記第2の撮影モードを設定しているときに前記駆動部材を相対的に高い分解能で駆動制御する第2の駆動制御を実行する駆動制御ステップと、を有し、前記駆動制御ステップでは、当該駆動制御ステップが前記第1の駆動制御を実行している場合において、前記撮影モード設定ステップが前記第2の撮影モードを設定しているか否かを判定し、前記駆動制御ステップでは、前記撮影モード設定ステップが前記第2の撮影モードを設定していると判定したとき、前記第2の撮影モードよりも前記駆動部材の必要可動範囲が大き
く、水平補正または構図微調整を前記駆動部材を駆動して行う第3の撮影モードが設定されているか否かをさらに判定し、前記駆動制御ステップでは、前記第3の撮影モードが設定されていると判定したとき、前記第1の駆動制御を維持したままで、前記第2の撮影モードにおける撮影を実行させ、前記駆動制御ステップでは、前記第3の撮影モードが設定されていないと判定したとき、前記第1の駆動制御から前記第2の駆動制御に変更し、前記第2の撮影モードにおける撮影を実行させる、ことを特徴としている。
【0029】
本発明の撮影プログラムは、撮影光学系により形成された被写体像を電気的な画素信号に変換する撮像素子と、前記撮影光学系の少なくとも一部をなす光学要素と前記撮像素子の少なくとも一方を駆動部材として当該駆動部材を前記撮影光学系の光軸と異なる方向に駆動する駆動機構と、を有する撮影装置による撮影方法を実行するための撮影プログラムであって、前記駆動機構による前記駆動部材の駆動範囲が相対的に大きい状態で
前記駆動部材を駆動して像振れ補正動作を行って撮影を実行する第1の撮影モード、及び、前記駆動機構による前記駆動部材の駆動範囲が相対的に小さい状態で撮影を実行する第2の撮影モードを設定する撮影モード設定ステップと、前記第1の撮影モードを設定しているときに前記駆動部材を相対的に低い分解能で駆動制御する第1の駆動制御、及び、前記第2の撮影モードを設定しているときに前記駆動部材を相対的に高い分解能で駆動制御する第2の駆動制御を実行する駆動制御ステップと、をコンピュータに実行させ、前記駆動制御ステップでは、当該駆動制御ステップが前記第1の駆動制御を実行している場合において、前記撮影モード設定ステップが前記第2の撮影モードを設定しているか否かを判定し、前記駆動制御ステップでは、前記撮影モード設定ステップが前記第2の撮影モードを設定していると判定したとき、前記第2の撮影モードよりも前記駆動部材の必要可動範囲が大き
く、水平補正または構図微調整を前記駆動部材を駆動して行う第3の撮影モードが設定されているか否かをさらに判定し、前記駆動制御ステップでは、前記第3の撮影モードが設定されていると判定したとき、前記第1の駆動制御を維持したままで、前記第2の撮影モードにおける撮影を実行させ、前記駆動制御ステップでは、前記第3の撮影モードが設定されていないと判定したとき、前記第1の駆動制御から前記第2の駆動制御に変更し、前記第2の撮影モードにおける撮影を実行させる、ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、駆動部材の駆動範囲(制御上の必要駆動可能範囲、必要可動範囲)が異なる第1、第2の撮影モードを通じて駆動部材を高精度に駆動制御することで高品質な撮影画像を得ることができる撮影装置、撮影方法及び撮影プログラムが得られる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
≪第1実施形態≫
図1〜
図8を参照して、第1実施形態のデジタルカメラ(撮影装置)10について説明する。
【0033】
図1に示すように、デジタルカメラ10は、ボディ本体20と、このボディ本体20に着脱可能(レンズ交換可能)な撮影レンズ30とを備えている。撮影レンズ30は、被写体側(
図1中の左側)から像面側(
図1中の右側)に向かって順に、撮影レンズ群(撮影光学系、駆動部材)31と、絞り(撮影光学系)32とを備えている。ボディ本体20は、被写体側(
図1中の左側)から像面側(
図1中の右側)に向かって順に、シャッタ(撮影光学系)21と、撮像素子(駆動部材)22とを備えている。またボディ本体20は、撮影レンズ30への装着状態で絞り32とシャッタ21を駆動制御する絞り/シャッタ駆動回路23を備えている。撮影レンズ群31から入射し、絞り32とシャッタ21を通った被写体光束による被写体像が、撮像素子22の受光面上に形成される。撮像素子22の受光面上に形成された被写体像は、マトリックス状に配置された検出色の異なる多数の画素によって、電気的な画素信号に変換され、画像データとしてDSP(駆動制御部)40に出力される。DSP40は、撮像素子22から入力した画像データに所定の画像処理を施して、これをLCD24に表示し、画像メモリ25に記憶する。なお、
図1では、撮影レンズ群31が単レンズからなるように描いているが、実際の撮影レンズ群31は、例えば、固定レンズ、変倍時に移動する変倍レンズ、フォーカシング時に移動するフォーカシングレンズなどの複数枚のレンズを有している。
【0034】
図示は省略しているが、撮像素子22は、パッケージと、このパッケージに収納される固体撮像素子チップと、この固体撮像素子チップを密封保護するようにパッケージに固定される蓋部材とを含む複数の構成要素からなる。本明細書において、「撮像素子22を駆動する」とは、「撮像素子22の複数の構成要素のうち被写体光束が通過する少なくとも一部を駆動する」ことを意味する。
【0035】
撮影レンズ30は、撮影レンズ群31の解像力(MTF)情報や絞り32の開口径(絞り値)情報などの各種情報を記憶した通信用メモリ33を搭載している。撮影レンズ30をボディ本体20に装着した状態では、通信用メモリ33が記憶した各種情報がDSP40に読み込まれる。
【0036】
ボディ本体20は、DSP40に接続させて、撮影操作スイッチ26を備えている。撮影操作スイッチ26は、電源スイッチやレリーズスイッチなどの各種スイッチからなる。
【0037】
ボディ本体20は、DSP40に接続させて、ジャイロセンサ(振れ検出部)27を備えている。ジャイロセンサ27は、ボディ本体20に加わる移動角速度(X軸とY軸周り)を検出することで、該ボディ本体20の光軸直交平面内の振れを示す振れ検出信号を検出する。
【0038】
図1〜
図3に示すように、撮像素子22は、撮影光学系の光軸Zと直交するX軸方向とY軸方向(直交二方向)に移動可能に像振れ補正装置(駆動機構)50に搭載されている。像振れ補正装置50は、ボディ本体20のシャーシなどの構造物に固定される固定支持基板51と、撮像素子22を固定した、固定支持基板51に対してスライド可能な可動ステージ52と、固定支持基板51の可動ステージ52との対向面に固定した磁石M1、M2、M3と、固定支持基板51に可動ステージ52を挟んで各磁石M1、M2、M3と対向させて固定した、各磁石M1、M2、M3との間に磁気回路を構成する磁性体からなるヨークY1、Y2、Y3と、可動ステージ52に固定した、前記磁気回路の磁界内において電流を受けることにより駆動力を発生する駆動用コイルC1、C2、C3を有している。駆動用コイルC1、C2、C3に交流駆動信号(交流電圧)を流す(印加する)ことにより、固定支持基板51に対して可動ステージ52(撮像素子22)が光軸直交平面内で駆動するようになっている。駆動用コイルC1、C2、C3に流す交流駆動信号は、DSP40による制御の下、撮像素子駆動回路60によって生成される。
【0039】
本実施形態では、磁石M1、ヨークY1及び駆動用コイルC1からなる磁気駆動手段と、磁石M2、ヨークY2及び駆動用コイルC2からなる磁気駆動手段(2組の磁気駆動手段)とが撮像素子22の長手方向(水平方向、X軸方向)に所定間隔で配置され、磁石M3、ヨークY3及び駆動用コイルC3からなる磁気駆動手段(1組の磁気駆動手段)が撮像素子22の長手方向と直交する短手方向(鉛直(垂直)方向、Y軸方向)に配置されている。
【0040】
さらに固定支持基板51には、各駆動用コイルC1、C2、C3の近傍(中央空間部)に、磁石M1、M2、M3の磁力を検出して可動ステージ52(撮像素子22)の光軸直交平面内の位置を示すホール出力信号(位置検出信号)を出力(検出)するホールセンサ(位置検出部)H1、H2、H3が配置されている。ホールセンサH1、H2により可動ステージ52(撮像素子22)のY軸方向位置及び傾き(回転)が検出され、ホールセンサH3により可動ステージ52(撮像素子22)のX軸方向位置が検出される。DSP40は、撮像素子駆動回路60を介して、ジャイロセンサ27が検出したボディ本体20の光軸直交平面内の振れを示す振れ検出信号と、ホールセンサH1、H2、H3が出力した撮像素子22の光軸直交平面内の位置を示すホール出力信号とに基づいて、像振れ補正装置50によって撮像素子22を光軸直交平面内で駆動する。これにより、撮像素子22上への被写体像の結像位置を変位させて、手振れに起因する像振れを補正することができる。この像振れ補正機能を働かせた状態における撮影またはライブビューを行うモード(像振れ補正撮影モードまたは像振れ補正ライブビューモード)が「第1の撮影モード」に該当する。
【0041】
本実施形態のデジタルカメラ10は、像振れ補正装置50を利用して、撮像素子22(撮像素子ユニット)を撮影光学系の光軸Zと直交する平面内で微細に移動させながら時系列に複数回の撮影を行い、その画像を1枚に合成(画像の単純な加算ではなくデータ上の画像処理による特殊演算を行っての合成)することで、超高精細(高画質、高精度)な画像を生成するマルチショット撮影モードを搭載している。以下ではこのマルチショット撮影モードを「RRS(リアル・レゾリューション・システム)撮影モード」と呼ぶ。「RRS撮影モード(マルチショット撮影モード)」では、1画素あたり1つの色情報のみを取得する従来のベイヤ方式と異なり、1画素毎にRGB各色の情報を得ることで、細部までのディティールや色再現に優れた極めて高精細な画像を描き出すことができる。また、モアレや偽色が発生することが無く、高感度ノイズを低減する効果が得られる。この「RRS撮影モード(マルチショット撮影モード)」が「第2の撮影モード」に該当する。
【0042】
図4(A)〜
図4(D)は本実施形態の「RRS撮影モード(マルチショット撮影モード)」の一例を示す概念図である。同図において、撮像素子22は、受光面にマトリックス状に所定の画素ピッチで配置された多数の画素を備え、各画素の前面にベイヤ配列のカラーフィルタR、G(Gr、Gb)、Bのいずれかが配置されている。各画素は、前面のカラーフィルタR、G(Gr、Gb)、Bを透過して入射した被写体光線の色を検出、つまり、色成分(色帯域)の光を光電変換し、その強さ(輝度)に応じた電荷を蓄積する。より具体的に、
図4(A)の基準位置で1枚の画像を撮影し、そこから撮像素子22を1画素ピッチだけ下方に移動させた
図4(B)の位置で1枚の画像を撮影し、そこから撮像素子22を1画素ピッチだけ右方に移動させた
図4(C)の位置で1枚の画像を撮影し、そこから撮像素子22を1画素ピッチだけ上方に移動させた
図4(D)の位置で1枚の画像を撮影し、最後に
図4(A)の基準位置に戻る。このように、撮像素子22を光軸直交平面内で1画素ピッチの正方形を描くように駆動しながら時系列に撮影した4枚の画像が、RAW画像データとして、DSP40に入力され、DSP40は入力した4枚の画像(RAW画像データ)を1枚に合成する。
【0043】
図1に示すように、ボディ本体20は、DSP40に接続させて、「第1の撮影モード」としての「像振れ補正撮影モードまたは像振れ補正ライブビューモード」及び/又は「第2の撮影モード」としての「RRS撮影モード(マルチショット撮影モード)」を設定可能な撮影モード設定部28を備えている。
【0044】
図5は、「第1の撮影モード」としての「像振れ補正撮影モードまたは像振れ補正ライブビューモード」における撮像素子22の像振れ補正駆動範囲(制御上の必要駆動可能範囲、必要可動範囲)と、「第2の撮影モード」としての「RRS撮影モード(マルチショット撮影モード)」における撮像素子22のRRS駆動範囲(制御上の必要駆動可能範囲、必要可動範囲)との大小関係を示す概念図である。同図に示すように、撮像素子22の像振れ補正駆動範囲(制御上の必要駆動可能範囲、必要可動範囲)は、像振れ補正装置50の機械的な端部どうしの間に亘った広い範囲であるのに対し、撮像素子22のRRS駆動範囲(制御上の必要駆動可能範囲、必要可動範囲)は、該撮像素子22の中央保持位置の周囲の狭い範囲(例えば数画素〜数十画素)にすぎない。すなわち、撮像素子22の像振れ補正駆動範囲(制御上の必要駆動可能範囲、必要可動範囲)は相対的に大きく、撮像素子22のRRS駆動範囲(制御上の必要駆動可能範囲、必要可動範囲)は相対的に小さく設定されている。
【0045】
図6は、撮像素子22の像振れ補正駆動とRRS駆動を制御するDSP(駆動制御部)40の詳細構成を示している。DSP(駆動制御部)40は、第1回路アンプ41と、第1AD変換器42と、積算器43と、第2回路アンプ44と、第2AD変換器45と、加算器46と、コントローラ47とを備えている。
【0046】
第1回路アンプ41は、ジャイロセンサ27による振れ検出信号を増幅する。第1AD変換器42は、第1回路アンプ41が増幅した振れ検出信号にAD変換処理を施す。積算器43は、第1AD変換器42がAD変換処理を施した振れ検出信号に積算処理を施す。
【0047】
第2回路アンプ44は、ホールセンサH1−H3による撮像素子(駆動部材)22の位置検出信号を増幅する。第2AD変換器45は、第2回路アンプ44が増幅した位置検出信号にAD変換処理を施す。
【0048】
加算器46は、積算器43が積算処理を施した振れ検出信号と、第2AD変換器45がAD変換処理を施した位置検出信号とを加算する。コントローラ47は、加算器46による振れ検出信号と位置検出信号の加算信号を交流駆動信号として撮像素子駆動回路60に供給することで、撮像素子22の像振れ補正駆動及び/又はRRS駆動を実行する。
【0049】
DSP(駆動制御部)40は、撮影モード設定部28が像振れ補正撮影モードまたは像振れ補正ライブビューモード(第1の撮影モード)を設定しているときに、光軸直交方向における撮像素子22の位置を相対的に低い分解能で検出して、当該検出位置に基づいて撮像素子22を駆動制御する「低分解能駆動制御(第1の駆動制御)」を実行することができる。
【0050】
より具体的に、DSP(駆動制御部)40は、「低分解能駆動制御(第1の駆動制御)」において、第2回路アンプ44に、光軸直交方向における撮像素子22の位置検出信号(電圧値)を相対的に低いゲインで増幅させる(第2回路アンプ44への通電量を相対的に小さくする)。
【0051】
DSP(駆動制御部)40は、撮影モード設定部28がRRS撮影モード(第2の撮影モード)を設定しているときに、光軸直交方向における撮像素子22の位置を相対的に高い分解能で検出して、当該検出位置に基づいて撮像素子22を駆動制御する「高分解能駆動制御(第2の駆動制御)」を実行することができる。
【0052】
より具体的に、DSP(駆動制御部)40は、「高分解能駆動制御(第2の駆動制御)」において、第2回路アンプ44に、光軸直交方向における撮像素子22の位置検出信号(電圧値)を相対的に高いゲインで増幅させる(第2回路アンプ44への通電量を相対的に大きくする)。
【0053】
図7は、DSP(駆動制御部)40が低分解能駆動制御(第1の駆動制御)と高分解能駆動制御(第2の駆動制御)を実行している場合における撮像素子22の位置検出範囲と位置検出分解能を比較可能に示した図である。低分解能駆動制御(第1の駆動制御)では、撮像素子22の位置検出範囲が像振れ補正駆動範囲(
図5)に対応した相対的に広い範囲となっており、撮像素子22の位置検出分解能が相対的に低くなっている(直線の傾斜が滑らかになっている)。高分解能駆動制御(第2の駆動制御)では、撮像素子22の位置検出範囲がRRS駆動範囲(
図5)に対応した相対的に狭い範囲となっており、撮像素子22の位置検出分解能が相対的に高くなっている(直線の傾斜が急峻になっている)。
【0054】
DSP(駆動制御部)40は、像振れ補正撮影モードまたは像振れ補正ライブビューモード(第1の撮影モード)において高分解能駆動制御(第2の駆動制御)を行うことも可能であるし、これとは逆に、RRS撮影モード(第2の撮影モード)において低分解能駆動制御(第1の駆動制御)を行うことも可能である。
【0055】
図8のフローチャートを参照して、第1実施形態のデジタルカメラ10による撮影方法を説明する。この撮影方法は、DSP(駆動制御部)40のコンピュータに所定のプログラムを実行させることにより実現される。
【0056】
初期状態(ステップS1)では、撮影モード設定部28が像振れ補正ライブビューモード(第1の撮影モード)を設定しており、且つ、DSP(駆動制御部)40が低分解能駆動制御(第1の駆動制御)を実行している。
【0057】
この状態でレリーズスイッチが押されると(ステップS2:Yes)、DSP(駆動制御部)40は、撮影モード設定部28がRRS撮影モード(第2の撮影モード)を設定しているか否かを判定する(ステップS3)。
【0058】
DSP(駆動制御部)40は、撮影モード設定部28がRRS撮影モード(第2の撮影モード)を設定していると判定したとき(ステップS3:Yes)、撮像素子22をその駆動範囲(像振れ補正駆動範囲とRRS駆動範囲)の中央に保持するとともに(ステップS4)、低分解能駆動制御(第1の駆動制御)から高分解能駆動制御(第2の駆動制御)に変更した上で(ステップS5)、RRS撮影(マルチショット撮影)を実行する(ステップS6)。
【0059】
DSP(駆動制御部)40は、RRS撮影(マルチショット撮影)が終了した後に、高分解能駆動制御(第2の駆動制御)から低分解能駆動制御(第1の駆動制御)に戻すとともに(ステップS7)、撮像素子22の中央保持を解除する(ステップS8)。
【0060】
DSP(駆動制御部)40は、撮影モード設定部28がRRS撮影モード(第2の撮影モード)を設定していないと判定したとき(ステップS3:No)、撮像素子22をその駆動範囲(像振れ補正駆動範囲とRRS駆動範囲)の中央に保持するとともに(ステップS9)、低分解能駆動制御(第1の駆動制御)を維持したままで像振れ補正撮影を実行し(ステップS10)、その後に撮像素子22の中央保持を解除する(ステップS11)。
【0061】
撮像素子22を中央保持する処理および撮像素子22の中央保持を解除する処理を実行するときに、高分解能駆動制御(第2の駆動制御)が選択されると、撮像素子22に揺れや振動が発生してその駆動制御が不安定になってしまう。本実施形態では、撮像素子22を中央保持する処理および撮像素子22の中央保持を解除する処理を実行するときに、低分解能駆動制御(第1の駆動制御)を選択することによって、撮像素子22の揺れや振動を抑えて安定した駆動制御を実現している。
【0062】
≪第2実施形態≫
図9のフローチャートを参照して、第2実施形態のデジタルカメラ10による撮影方法を説明する。
【0063】
初期状態(ステップS1A)では、撮影モード設定部28が像振れ補正ライブビューモード(第1の撮影モード)を設定しており、且つ、DSP(駆動制御部)40が低分解能駆動制御(第1の駆動制御)を実行している。
【0064】
この状態でレリーズスイッチが押されると(ステップS2A:Yes)、DSP(駆動制御部)40は、撮影モード設定部28がRRS撮影モード(第2の撮影モード)を設定しているか否かを判定する(ステップS3A)。
【0065】
DSP(駆動制御部)40は、撮影モード設定部28がRRS撮影モード(第2の撮影モード)を設定していると判定したとき(ステップS3A:Yes)、水平補正モードまたは構図微調整モード(構図調整モード)が設定されているか否かをさらに判定する(ステップS4A)。この水平補正モードまたは構図微調整モード(構図調整モード)は、RRS撮影モード(第2の撮影モード)よりも撮像素子22の必要可動範囲が大きい「第3の撮影モード」である。
【0066】
DSP(駆動制御部)40は、水平補正モードまたは構図微調整モード(構図調整モード)が設定されていないと判定したとき(ステップS4A:No)、撮像素子22をその駆動範囲(像振れ補正駆動範囲とRRS駆動範囲)の中央に保持するとともに(ステップS5A)、低分解能駆動制御(第1の駆動制御)から高分解能駆動制御(第2の駆動制御)に変更した上で(ステップS6A)、RRS撮影(マルチショット撮影)を実行する(ステップS7A)。
【0067】
DSP(駆動制御部)40は、RRS撮影(マルチショット撮影)が終了した後に、高分解能駆動制御(第2の駆動制御)から低分解能駆動制御(第1の駆動制御)に戻すとともに(ステップS8A)、撮像素子22の中央保持を解除する(ステップS9A)。
【0068】
DSP(駆動制御部)40は、水平補正モードまたは構図微調整モード(構図調整モード)が設定されていると判定したとき(ステップS4A:Yes)、撮像素子22をその駆動範囲(像振れ補正駆動範囲とRRS駆動範囲)の中央に保持するとともに(ステップS10A)、低分解能駆動制御(第1の駆動制御)を維持したままでRRS撮影(マルチショット撮影)を実行し(ステップS11A)、その後に撮像素子22の中央保持を解除する(ステップS12A)。
【0069】
DSP(駆動制御部)40は、撮影モード設定部28がRRS撮影モード(第2の撮影モード)を設定していないと判定したとき(ステップS3A:No)、撮像素子22をその駆動範囲(像振れ補正駆動範囲とRRS駆動範囲)の中央に保持するとともに(ステップS13A)、低分解能駆動制御(第1の駆動制御)を維持したままで像振れ補正撮影を実行し(ステップS14A)、その後に撮像素子22の中央保持を解除する(ステップS15A)。
【0070】
水平補正モードまたは構図微調整モード(構図調整モード)では、撮像素子22の駆動範囲を像振れ補正駆動範囲と同様に広く設定しなければ効果が得られない。このため本実施形態では、RRS撮影モード(第2の撮影モード)と水平補正モードまたは構図微調整モード(構図調整モード)が重複して設定されている場合に、水平補正モードまたは構図微調整モード(構図調整モード)を優先して、低分解能駆動制御(第1の駆動制御)を選択するようにしている。
【0071】
≪第3実施形態≫
図10のフローチャートを参照して、第3実施形態のデジタルカメラ10による撮影方法を説明する。
【0072】
初期状態(ステップS1B)では、撮影モード設定部28が像振れ補正ライブビューモード(第1の撮影モード)を設定しており、且つ、DSP(駆動制御部)40が低分解能駆動制御(第1の駆動制御)を実行している。
【0073】
この状態でレリーズスイッチが押されると(ステップS2B:Yes)、DSP(駆動制御部)40は、撮影モード設定部28がRRS撮影モード(第2の撮影モード)を設定しているか否か(ステップS3B)、及び、撮影モード設定部28が像振れ補正撮影モード(第1の撮影モード)を設定しているか否かを判定する(ステップS4B)。
【0074】
DSP(駆動制御部)40は、撮影モード設定部28がRRS撮影モード(第2の撮影モード)を設定しており(ステップS3B:Yes)、且つ、像振れ補正撮影モード(第1の撮影モード)を設定していないと判定したときは(ステップS4B:No)、撮像素子22をその駆動範囲(像振れ補正駆動範囲とRRS駆動範囲)の中央に保持するとともに(ステップS5B)、低分解能駆動制御(第1の駆動制御)から高分解能駆動制御(第2の駆動制御)に変更した上で(ステップS6B)、RRS撮影(マルチショット撮影)を実行する(ステップS7B)。
【0075】
DSP(駆動制御部)40は、RRS撮影(マルチショット撮影)が終了した後に、高分解能駆動制御(第2の駆動制御)から低分解能駆動制御(第1の駆動制御)に戻すとともに(ステップS8B)、撮像素子22の中央保持を解除する(ステップS9B)。
【0076】
DSP(駆動制御部)40は、撮影モード設定部28がRRS撮影モード(第2の撮影モード)を設定しており(ステップS3B:Yes)、且つ、像振れ補正撮影モード(第1の撮影モード)を設定していると判定したときは(ステップS4B:Yes)、撮像素子22をその駆動範囲(像振れ補正駆動範囲とRRS駆動範囲)の中央に保持するとともに(ステップS10B)、低分解能駆動制御(第1の駆動制御)を維持したままで像振れ補正を実行しながらRRS撮影(マルチショット撮影)を実行し(ステップS11B)、その後に撮像素子22の中央保持を解除する(ステップS12B)。
【0077】
DSP(駆動制御部)40は、撮影モード設定部28がRRS撮影モード(第2の撮影モード)を設定していないと判定したとき(ステップS3B:No)、撮像素子22をその駆動範囲(像振れ補正駆動範囲とRRS駆動範囲)の中央に保持するとともに(ステップS13B)、低分解能駆動制御(第1の駆動制御)を維持したままで像振れ補正撮影を実行し(ステップS14B)、その後に撮像素子22の中央保持を解除する(ステップS15B)。
【0078】
≪第4実施形態≫
図11のフローチャートを参照して、第4実施形態のデジタルカメラ10による撮影方法を説明する。
【0079】
この第4実施形態では、DSP(駆動制御部)40が、低分解能駆動制御(第1の駆動制御)を行う場合において撮像素子22をその駆動範囲の中央に保持するための第1の制御目標AD値と、高分解能駆動制御(第2の駆動制御)を行う場合において撮像素子22をその駆動範囲の中央に保持するための第2の制御目標AD値とを異ならせて保持している。
【0080】
初期状態(ステップS1C)では、撮影モード設定部28が像振れ補正ライブビューモード(第1の撮影モード)を設定しており、DSP(駆動制御部)40が低分解能駆動制御(第1の駆動制御)を実行しており、第1の制御目標AD値が設定されている。
【0081】
この状態でレリーズスイッチが押されると(ステップS2C:Yes)、DSP(駆動制御部)40は、撮影モード設定部28がRRS撮影モード(第2の撮影モード)を設定しているか否かを判定する(ステップS3C)。
【0082】
DSP(駆動制御部)40は、撮影モード設定部28がRRS撮影モード(第2の撮影モード)を設定していると判定したとき(ステップS3C:Yes)、撮像素子22をその駆動範囲(像振れ補正駆動範囲とRRS駆動範囲)の中央に保持するとともに(ステップS4C)、低分解能駆動制御(第1の駆動制御)から高分解能駆動制御(第2の駆動制御)に変更し(ステップS5C)、さらに第1の制御目標AD値を第2の制御目標AD値に変更した上で(ステップS6C)、RRS撮影(マルチショット撮影)を実行する(ステップS7C)。
【0083】
DSP(駆動制御部)40は、RRS撮影(マルチショット撮影)が終了した後に、第2の制御目標AD値を第1の制御目標AD値に戻し(ステップS8C)、高分解能駆動制御(第2の駆動制御)から低分解能駆動制御(第1の駆動制御)に戻すとともに(ステップS9C)、撮像素子22の中央保持を解除する(ステップS10C)。
【0084】
DSP(駆動制御部)40は、撮影モード設定部28がRRS撮影モード(第2の撮影モード)を設定していないと判定したとき(ステップS3C:No)、撮像素子22をその駆動範囲(像振れ補正駆動範囲とRRS駆動範囲)の中央に保持するとともに(ステップS11C)、低分解能駆動制御(第1の駆動制御)及び第1の制御目標AD値を維持したままで像振れ補正撮影を実行し(ステップS12C)、その後に撮像素子22の中央保持を解除する(ステップS13C)。
【0085】
低分解能駆動制御(第1の駆動制御)と高分解能駆動制御(第2の駆動制御)の間の切り替えを行う際には、撮像素子22の駆動位置(例えば中央保持位置)がずれるおそれがある。そこで本実施形態では、低分解能駆動制御(第1の駆動制御)において撮像素子22を中央保持するための第1の制御目標AD値と、高分解能駆動制御(第2の駆動制御)において撮像素子22を中央保持するための第2の制御目標AD値とを別々に記憶しておき、低分解能駆動制御(第1の駆動制御)と高分解能駆動制御(第2の駆動制御)の間の切り替えを行う際にこれと同期させて第1の制御目標AD値と第2の制御目標AD値を切り替えて使用することで、撮像素子22の駆動位置(例えば中央保持位置)がずれることを防止している。
【0086】
この第4実施形態(第1、2の制御目標AD値の切り替え使用)は、上記の第1実施形態ないし第3実施形態と併せて適用することができる。
【0087】
以上の実施形態では、「第2の撮影モード」としてのRRS撮影モード(マルチショット撮影モード)において、撮像素子22を光軸直交平面内で1画素ピッチの正方形を描くように駆動しながら時系列に撮影した4枚の画像を「複数の画像」とした場合を例示して説明した。しかし、撮像素子22の駆動軌跡及び駆動ピッチ並びに「複数の画像」の枚数には自由度があり、種々の設計変更が可能である。また撮像素子22を駆動する方向は、撮影光学系の光軸と直交する平面内に限定されず、撮影光学系の光軸と異なる方向であればよい。さらに「複数の画像」は、RRS撮影モードで撮影(取得)したものに限定されず、同一の被写体について撮影条件を変えながら連続的に撮影したものであればよい。
【0088】
以上の実施形態では、撮像素子22を「駆動部材」として、この撮像素子22を光軸直交平面内で駆動する態様を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、撮影レンズ群(撮影光学系)31の少なくとも一部をなす光学要素を「駆動部材」として、この光学要素を撮影レンズ30内に設けたボイスコイルモータによって光軸直交平面内で駆動する態様も可能である。あるいは、撮像素子22と撮影レンズ群(撮影光学系)31の少なくとも一部をなす光学要素の双方を「移動部材」として、これらを光軸直交平面内で駆動する態様も可能である。
【0089】
以上の実施形態では、DSP40と撮像素子駆動回路60を別々の構成要素(ブロック)として描いているが、これらを単一の構成要素(ブロック)として実現する態様も可能である。
【0090】
以上の実施形態では、像振れ補正装置50の構成として、固定支持基板51に磁石M1、M2、M3及びヨークY1、Y2、Y3を固定し、可動ステージ52に駆動用コイルC1、C2、C3を固定した場合を例示して説明したが、この位置関係を逆にして、可動ステージに磁石及びヨークを固定し、固定支持基板に駆動用コイルを固定する態様も可能である。
【0091】
以上の実施形態では、ボディ本体20と撮影レンズ30を着脱可能(レンズ交換可能)とする態様を例示して説明したが、ボディ本体20と撮影レンズ30を着脱不能(レンズ交換不能)とする態様も可能である。