(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
コンピュータで解析可能な、流入部と流出部を有する流体解析モデルにおける粘弾性体の、コンピュータで解析可能な粘弾性モデルを設定し、前記粘弾性モデルによる流体解析を実行する工程と、
前記流体解析の結果得られた流線上の粘弾性応力から構造解析入力用応力を演算する工程と、
前記流体解析モデルの前記流出部の流出口の形状を断面とした、コンピュータで解析可能な構造解析モデルを設定する工程と、
前記構造解析モデルに対して、前記構造解析入力用応力を初期応力として設定し構造解析を実行する工程とを有することを特徴とする粘弾性体のシミュレーション方法。
【背景技術】
【0002】
現在、種々のものに対してシミュレーションされている。シミュレーションは内部の観察ができないものについて有効であり、ゴムまたはプラスチック等の押出成形において、押出機の流路内における粘弾性流体のシミュレーションがなされている。
例えば、特許文献1には、押出成形におけるゴムまたはプラスチック等の粘弾性流体の流動解析に用いられる流動シミュレーション方法が記載されている。
【0003】
より具体的には、特許文献1には、押出機の流路内における未加硫ゴムの流動を以下に示すシミュレーション方法により解析することが記載されている。
シミュレーション方法としては、ステップ11において、ダクトDの初期計算格子を生成し、次いで、ステップ12において、初期計算格子の全計算領域の格子点に初期値として一様流の条件を付与して、ステップ13において、純粘性非ニュートン流体での数値計算により流れ場の解を求める予備解析を実施する。そして、ステップ14において、格子点の移動による解適合格子法により、計算格子を更新する。ステップ13において純粘性非ニュートン流体の非定常解、即ちある物理時刻での解を求める。
計算格子を更新した後、ステップ15において、更新した計算格子に、初期値として、上記ステップ13の純粘性非ニュートン流体の計算で得られた非定常解を対応する各計算格子点に付与して、ステップ16において、粘弾性流体についての数値計算により、ある物理時刻tでの流れ場の解を求める。これにより、ある物理時刻での粘弾性流体での速度分布を得ることができる。なお、物理時刻tの設定は、解析対象及び目的等に応じて適宜に設定することができる。
【0004】
次いで、ステップ17において、次の物理時刻t=t+Δtに進み、ステップ18において、1つ前の物理時刻での粘弾性流体についての解に基づいて、格子点の移動による解適合格子法により、計算格子を更新する。更新方法は、ステップ14と同様に行うことができる。そして、ステップ19において、更新した計算格子に、1つ前の物理時刻での粘弾性流体の解を初期値として付与し、ステップ20において、粘弾性流体についての数値計算により現物理時刻での粘弾性流体の解を求める。なお、ステップ17において進める物理時刻の幅Δtは、流れの変化度合い等に応じて適宜に設定することができる。
タイヤのトレッドゴム等のゴム部材の押出しにおいては、未加硫ゴムが流路内で環流していると局部的に滞留時間が長くなるため、ゴム焼けが生じて均質な押出しが妨げられる。一方で、押出機内において実際に環流部を確認することは容易ではないことから上述のシミュレーション方法が有効である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、本発明の粘弾性体のシミュレーション方法、粘弾性体のシミュレーション装置およびプログラムを詳細に説明する。
図1は本発明の実施形態の粘弾性体のシミュレーション方法に用いられるシミュレーション装置を示す模式図であり、
図2は本発明の実施形態の粘弾性体のシミュレーション方法を示すフローチャートである。
【0016】
図1に示すシミュレーション装置10(以下、単に処理装置10という)は、本発明の粘弾性体のシミュレーション方法を実施する装置の一例である。処理装置10は、コンピュータ等のハードウェアを用いて構成される。本発明の粘弾性体のシミュレーション方法には、
図1に示す処理装置10が用いられるが、粘弾性体のシミュレーション方法をコンピュータ等のハードウェアおよびソフトウェアを用いて実行することができれば処理装置10に限定されるものではない。
粘弾性体とは、例えば、未加硫ゴム、および樹脂等である。
【0017】
処理装置10は、処理部12と、入力部14と、表示部16とを有する。処理部12は、条件設定部20、モデル作成部22、解析部24、演算部26、メモリ28、表示制御部30および制御部32を有する。この他に図示はしないがROM等を有する。
処理部12は、制御部32により制御される。また、処理部12において条件設定部20、モデル作成部22、解析部24、演算部26および表示制御部30はメモリ28に接続されており、条件設定部20、モデル作成部22、解析部24、および演算部26のデータがメモリ28に記憶される。
【0018】
入力部14は、マウスおよびキーボード等の各種情報をオペレータの指示により入力するための各種の入力デバイスである。表示部16は、例えば、後述の流体解析モデル、粘弾性モデル、構造解析モデル、および粘弾性体のシミュレーション方法で得られた結果等を表示するものであり、公知の各種のディスプレイが用いられる。また、表示部16には各種情報を出力媒体に表示するためのプリンタ等のデバイスも含まれる。
【0019】
処理装置10は、ROM等の記憶媒体に記憶されたプログラム(コンピュータソフトウェア)を、制御部32を用いて実行することにより、条件設定部20、モデル作成部22、解析部24および演算部26の各部を機能的に形成する。処理装置10は、上述のように、プログラムが実行されることで各部位が機能するコンピュータによって構成されてもよいし、各部位が専用回路で構成された専用装置であってもよい。
【0020】
条件設定部20は、本実施形態の粘弾性体のシミュレーション方法において必要なコンピュータで解析可能な流体解析モデルおよび粘弾性モデルならびに構造解析モデルを作成するための各種のパラメータ、および解析条件等の各種の条件および情報が入力され、設定するものである。各種の条件および情報は入力部14を介して入力される。条件設定部20で設定する各種の条件および情報はメモリ28に記憶される。
【0021】
条件設定部20には、コンピュータで解析可能な流体解析モデル、粘弾性モデルおよび構造解析モデルを作成するための各種のパラメータが設定される。
各種のパラメータとしては、流体解析モデルについては、例えば、流体解析モデル内の解析領域形状定義、流体解析モデルのメッシュ作成条件、境界条件、ならびに流体解析モデルの内の速度条件および圧力条件等である。
粘弾性モデルについては、例えば、粘性パラメータおよび粘弾性パラメータ等である。
構造解析モデルについては、例えば、解析領域形状定義、構造解析モデルのメッシュ作成条件、初期形状の定義、構造解析の対象の超弾性パラメータ、ならびに構造計算の際の境界条件および計算条件等である。
また、後述するように、流線上の粘弾性応力から、構造解析モデルに適用する構造解析入力用応力を演算するが、この流線の数および流線の間隔等の流線の設定条件、ならびに構造解析入力用応力の設定条件等がパラメータとして、条件設定部20に設定される。
【0022】
流体解析モデルの領域は、流入部と流出部が存在する領域とする。流入部への未加硫ゴムの流入量についても、パラメータとして設定される。
流体解析における粘弾性モデルには、例えば、PowerLowモデルであり、粘弾性モデルは、例えば、Oldroyd−Bモデル、Giesekusモデル、Phan−Thien−Tannerモデルを用いることができる。
流体解析の計算方法としては、例えば、有限差分法、有限要素法および格子ボルツマン法等による定常計算または非定常計算を用いることができる。
構造解析の計算方法としては、例えば、有限差分法または有限要素法が用いられる。弾性特性としては、例えば、線形材料特性、または超弾性材料特性がある。
未加硫ゴムの物性値としては、例えば、粘性がパラメータとして設定される。
また、未加硫ゴムは、ゴム単相であっても、ゴム単相に限定されるものではなく、カーボンブラックまたはシリカ等のフィラーを含んだゴムでもよい。
【0023】
モデル作成部22は、条件設定部20に設定された上述の各種のパラメータに基づき、コンピュータで解析可能な流体解析モデル、粘弾性モデル、および構造解析モデルを作成するものである。流体解析モデルは、未加硫ゴム等の粘弾性体の流路を示すものであり、流入部と流出部を有する。
構造解析モデルは、未加硫ゴムが流路から出た状態の形状を示すものであり、流体解析モデルから出た状態の形状を示すものである。また、粘弾性モデルは、未加硫ゴムの粘弾性を示すものである。
【0024】
なお、モデル作成部22で作成される流体解析モデル、粘弾性モデル、および構造解析モデルは、条件設定部20で設定された各種類のパラメータを用いて作成されるが、流体解析モデル、粘弾性モデル、および構造解析モデルの作成には公知の作成方法を用いることができる。
例えば、未加硫ゴム等の粘弾性体の流路を複数の節点で構成される有限個の要素に分割して流体解析モデルを構成する。
流体解析モデルを構成する要素は、例えば、2次元平面では四辺形要素、3次元体では四面体ソリッド要素、五面体ソリッド要素、六面体ソリッド要素等のソリッド要素、三角形シェル要素、四角形シェル要素等のシェル要素、面要素等のコンピュータで解析可能な要素とする。このようにして分割された要素は、解析の過程においては、3次元モデルでは3次元座標を用いて、2次元モデルでは2次元座標を用いて逐一特定される。
流体解析モデルおよび粘弾性モデルでは、解析条件について、粘弾性体、例えば、未加硫ゴムの粘性を20000(Pa・s)、流入量を4000(mm
3/s)とし、壁面をnon−slip条件とし、粘性モデルをPowerLowモデル、粘弾性モデルをOldroyd−Bモデルの条件とする。
また、流体解析において、未加硫ゴム等の粘弾性体の温度変化に伴う物性値の変化、例えば、未加硫ゴムの物性値の温度依存性をパラメータとして設定してもよい。また、構造解析において、未加硫ゴム等の粘弾性体の温度変化に伴う物性値の変化、例えば、未加硫ゴムの物性値の温度依存性をパラメータとして設定してもよい。
【0025】
また、モデル作成部22では、有限個の要素に分割して構造解析モデルを構成する。構造解析モデルを構成する要素は、上述の流体解析モデルと同じとすることができる。このため、詳細な説明は省略する。
【0026】
解析部24は、流体解析モデルでの粘弾性モデルによる流体解析を実行するものである。解析部24では、流体解析を、例えば、上述の解析条件で実行する。
解析部24は、未加硫ゴム等の粘弾性体の温度変化に伴う物性値の変化、例えば、未加硫ゴムの物性値の温度依存性をパラメータに加えて流体解析を実行することもできる。
また、解析部24は、構造解析モデルにおいて、構造解析入力用応力を初期応力として構造解析を実行するものである。構造解析入力用応力を初期応力することについては、後に詳細に説明する。この場合、未加硫ゴム等の粘弾性体の温度変化に伴う物性値の変化、例えば、未加硫ゴムの物性値の温度依存性をパラメータに加えて構造解析を実行することもできる。
解析部24で得られた流体解析の結果、構造解析の結果は、メモリ28に記憶される。
【0027】
演算部26は、流体解析の結果得られた流線上の粘弾性応力から構造解析入力用応力を演算するものである。演算部26で得られた構造解析入力用応力の結果は、メモリ28に記憶される。
演算部26での演算方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法が適宜利用可能である。
上述の構造解析入力用応力としては、流線上での粘弾性応力の履歴を考慮することが好ましい。流線上の各位置での粘弾性応力が適宜用いられる。
例えば、構造解析入力用応力としては、流線上の粘弾性応力の最大値、流線上の粘弾性応力の最小値、流線上の粘弾性応力の平均値、流線上の流体移動時間、および流線上の流速を用いることができ、これらのうち、少なくとも1つを用いる。これらに加えて、未加硫ゴム等の粘弾性体の緩和時間を構造解析入力用応力として用いることもできる。
【0028】
表示制御部30は、流体解析モデル、粘弾性モデルおよび構造解析モデル、流体解析モデル、粘弾性モデルおよび構造解析モデルの数値計算の結果、ならびに構造解析入力用応力の値等を表示部16に表示させるものである。表示制御部30は、例えば、流体解析モデル、粘弾性モデルおよび構造解析モデルの数値計算の結果をメモリ28から読み出し、表示部16に表示させる。
【0029】
次に、本実施形態の粘弾性体のシミュレーション方法について、未加硫ゴムを例にして説明する。
図2は、本発明の実施形態の粘弾性体のシミュレーション方法を示すフローチャートである。
図3は本発明の実施形態の粘弾性体のシミュレーション方法に用いられる未加硫ゴムの押出機の一例を示す模式的斜視図であり、
図4は構造解析モデルの一例を示す模式図である。
本実施形態では、未加硫ゴムの押出機を模した
図3に示す流体解析モデル40と、
図4に示す構造解析モデル46を例にして、粘弾性体のシミュレーション方法について説明する。
図3に示す流体解析モデル40および
図4に示す構造解析モデル46は、いずれもコンピュータで解析可能なモデルである。
【0030】
図3に示す流体解析モデル40は、円筒状の基部40aと、基部40aよりも径が小さい円筒状のノズル部40bを有する。基部40aには未加硫ゴムが流入する流入部40cが設けられ、ノズル部40bには未加硫ゴムが流出する流出部40dが設けられている。
図4に示す構造解析モデル46は、
図3に示すノズル部40bの流出部40dの流出口の形状を断面とした円筒形状のモデルであり、
図4の構造解析モデル46は中心軸Cを回転中心とした軸対称モデルであるため、中心軸Cに対して片側しか示していない。構造解析モデル46は、例えば、メッシュ形状が四角のメッシュモデルである。
【0031】
粘弾性体のシミュレーション方法では、まず、条件設定部20に設定された上述の各種のパラメータに基づき、モデル作成部22で、例えば、
図3に示す流体解析モデル40を作成する(ステップS10)。作成した
図3に示す流体解析モデル40のデータはメモリ28に記憶される。
次に、モデル作成部22で、流体解析モデル40の内部を流動する粘弾性モデルを設定する(ステップS12)。設定した粘弾性モデルはメモリ28に記憶される。
次に、解析部24で、粘弾性モデルに基づき、流体解析モデル40の内部を流動する流体解析を実行し(ステップS14)、流体解析モデル40内の未加硫ゴムの流動を解析する。ステップS14では、例えば、汎用流体解析ソフトAcuSolveが用いられる。
【0032】
ステップS14での未加硫ゴムの流動の解析結果としては、例えば、
図5に示す結果が得られる。
図5の解析結果を示すモデル42は、流体解析モデル40に対応するものであり、
図5の符号42aは
図3の符号40aに対応し、
図5の符号42bは
図3の符号40bに対応し、
図5の符号42cは
図3の符号40cに対応し、
図5の符号42dは
図3の符号40dに対応する。未加硫ゴムの流動の解析結果はメモリ28に記憶される。
次に、ステップS14で得られた未加硫ゴムの流動の解析結果(
図5参照)について、解析部24にて
図6に示すように流線44を求める。流線44は公知の方法で求めることができる。流線44は、
図7に拡大して示すように所定の間隔で設定されるものである。流線44の設定する数、および流線44の間隔は、流体解析モデル40の形状、計算精度等に応じて適宜決定されるものである。
【0033】
次に、演算部26にて各流線44上での粘弾性応力を求め、各流線44上での応力の履歴を抽出し、各流線44上での応力分布を得る。流入部42cから流出部44d迄未加硫ゴムが移動する際に、応力が一定であったり、応力が変わることがある。このような流入部42cから流出部44d迄未加硫ゴムの応力の状態のことを応力の履歴という。各流線44上での応力の履歴の情報はメモリ28に記憶される。
【0034】
次に、演算部26にて、構造解析入力用応力を各流線44上での応力分布から演算する(ステップS16)。
なお、構造解析入力用応力として、流体解析における流線44上の粘弾性応力の最大値、流体解析における流線44上の粘弾性応力の最小値、流体解析における流線44上の粘弾性応力の平均値、流体解析における流線44上の流体移動時間、および流体解析における流線44上の流速のうち、少なくとも1つを用いることが好ましい。これにより、未加硫ゴムの加工後の未加硫ゴム内の応力を簡便に算出することができ、シミュレーションを効率的に実施できる。
【0035】
なお、上述の流線44上の流体移動時間、および流線44上の流速は、演算部26で公知の方法により算出される。
さらには、未加硫ゴムの応力緩和時間を用いてもよい。この場合、構造解析入力用応力は下記数式1で表される。下記数式1において、t
vは流線上の最大流速の逆数、τは未加硫ゴムの応力緩和時間(秒)、σ
rは流体解析における流線上の粘弾性応力の最大値と最小値の差である。
【0037】
構造解析入力用応力には、例えば、各流線44上における粘弾性応力の最大値と最小値の差を用いる。
構造解析入力用応力を演算した後(ステップS16)、次に、条件設定部20に設定された上述の各種のパラメータに基づき、モデル作成部22で、
図4に示す構造解析モデル46を作成する(ステップS18)。作成した
図4に示す構造解析モデル46のデータはメモリ28に記憶される。
次に、構造解析モデルにおいて、上述の構造解析入力用応力を初期応力とし、
図4に示す構造解析モデル46に初期応力を与える。この場合、構造解析モデル46の各メッシュに対して下記表1に示すように初期応力値を与える。なお、下記表1は構造解析モデル46のメッシュの一部を示すものである。
【0039】
構造解析モデル46に初期応力を与えた後、構造解析を実行する(ステップS20)。構造解析としては、例えば、Abaqusを用い、FEMによる構造解析モデル46の変形解析を行う。これにより、
図8および
図9に示すように未加硫ゴムの押出し後の状態を得ることができる(ステップS22)。
図8は、
図3の流出部40dから未加硫ゴムが押し出された直後の未加硫ゴム体50の初期状態を示す。未加硫ゴム体50は粘弾性体成形体である。
図8に示す未加硫ゴム体50の端部50dは平面である。この初期状態から時間が経過すると、
図9に示す未加硫ゴム体52のように端部52dの中央部が凹む。この状態は、実際の現象を捉えていることを確認している。このように粘弾性体のシミュレーション方法は、実際の現象を捉えることができ、高い精度のシミュレーションを実現することができる。
【0040】
ステップS14において、未加硫ゴムの温度変化をパラメータに加えて、例えば、未加硫ゴムの物性値の温度依存性を加えて流体解析を実行することもできる。この場合、流体解析により算出された温度にしたがって、未加硫ゴムの物性(弾性、粘性)を変えることで、未加硫ゴム内に発生する応力の精度が向上し、シミュレーション精度が向上する。
また、ステップS20において、未加硫ゴム等の粘弾性体の温度変化をパラメータに加えて、例えば、未加硫ゴムの物性値の温度依存性を加えて構造解析を実行することもできる。この場合、未加硫ゴムの物性(弾性、粘性)の温度依存性を考慮することで、未加硫ゴムの変形予測が向上する。これにより、シミュレーション精度が向上する。
なお、温度には、例えば、熱伝導解析により計算した結果を用いる。未加硫ゴム等の粘弾性体の力学物性を温度の関数として定義する。さらには、上述の未加硫ゴム等の粘弾性体の温度変化をパラメータには、未加硫ゴム等の粘弾性体の表面と空気との熱伝達を加えてもよい。未加硫ゴム等の粘弾性体の表面から空気への放熱等の熱伝達を考慮することで、シミュレーション精度が向上する。
【0041】
ステップS18で構造解析モデルを作成したが、構造解析モデルはステップS16で算出された構造解析入力用応力が入力されて構造解析が実行されるので、ステップS16までに作成されていればよい。このため、構造解析モデルは流体解析モデルと同じステップS10で作成してもよい。
【0042】
シミュレーション方法では、
図3に示す流体解析モデル40と
図4に示す構造解析モデル46を例にして説明したが、これに限定されるものではなく、
図10に示す流体解析モデル54および構造解析モデル56でもよい。流体解析モデル54は、四角筒状の基部54aと、基部54aと接続され断面が拡張するノズル部54bを有する。基部54aには、未加硫ゴム等の粘弾性体が流入する流入部54cが設けられ、ノズル部54bには未加硫ゴムが流出する流出部54dが設けられている。
図10に示す構造解析モデル56は、流体解析モデル54のノズル部54bの流出部54dの流出口の形状を断面としたモデルである。流体解析モデル54の流出部54dの流出口は台形状であり、構造解析モデル56は台形柱状である。
【0043】
本発明は、基本的に以上のように構成されるものである。以上、本発明の粘弾性体のシミュレーション方法、粘弾性体のシミュレーション装置およびプログラムについて詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良または変更をしてもよいのはもちろんである。