【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 〔販売した場所〕 岩崎電気株式会社 埼玉製作所 〔公開者名〕 岩崎電気株式会社 〔販売年月日〕 平成28年2月26日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は本実施形態に係る光照射装置10を備える枚葉印刷機1の模式図である。
光照射装置10は、本実施形態では、光源から紫外線を照射する紫外線照射装置であり、枚葉印刷機1に利用される紫外線硬化装置として用いた例について説明する。
枚葉印刷機1は、
図1に示されるように、給紙装置2、印刷ユニット5、コーティングユニット6、及び排紙装置7により構成される。
枚葉印刷機1は、給紙装置2、給紙台3、印刷ユニット5を有し、給紙台3に準備された枚葉紙4を給紙装置2により印刷ユニット5に給紙し、印刷ユニット5で、所望の絵柄でインキ(活性化エネルギー線硬化型インキ)が枚葉紙4に印刷される。また、枚葉印刷機1は、コーティングユニット6を有し、コーティングユニット6で、枚葉紙4にニス(活性化エネルギー線硬化型ニス)が印刷される。枚葉印刷機1は、排紙装置7を有し、インキ及びニスが印刷された枚葉紙4は、コーティングユニット6から排紙装置7に送られる。
【0016】
排紙装置7は、排紙台8と、搬送手段9と、光照射装置10とを備えている。排紙装置7は、コーティングユニット6から送られてきた枚葉紙4を搬送手段9により排紙台8まで搬送する。また、排紙装置7は、排紙台8への搬送経路の所定箇所に設けられた光照射装置10から、当該所定箇所を通過する枚葉紙4に紫外線を照射して、枚葉紙4に印刷されているインキ及びニスを紫外線硬化させる。
搬送手段9は、排紙台8の上部に設けられるスプロケット9aと、コーティングユニット6の枚葉紙4の送り口に対応する位置に設けられるスプロケット9bと、スプロケット9a,9bに巻きかけられてスプロケット9a,9bの回転に連動して循環する排紙チェーン9cとを備える。搬送手段9は、排紙チェーン9cの循環により、コーティングユニット6から送られてきた枚葉紙4を、排紙台8に搬送する。
【0017】
排紙チェーン9cの循環経路は、一方のスプロケット9aから他方のスプロケット9bに向かって枚葉紙4を移動させる往路と、往路の下方に、往路との間に等間隔を保って延在する復路と、往路から復路または復路から往路に、スプロケット9a,9bの部位で反転される反転路とを有している。
排紙チェーン9cの循環経路は、一部の区間で往路及び復路が水平方向に対して傾斜され、他の区間で、往路及び復路が水平方向に延在されている。
枚葉紙4を咥えて、排紙チェーン9cの走行に連動させて枚葉紙4を搬送させるグリッパ9dが、排紙チェーン9cの循環経路に沿って設けられている。枚葉紙4は、インキ及びニスが印刷された面を循環経路の内側に向けて搬送される。
【0018】
光照射装置10は、排紙チェーン9cの循環経路の内側に配置され、循環経路の往路のうち、水平方向に対して傾斜する部位を移動する枚葉紙4のインキ及びニスの印刷面(照射面)に紫外線の照射口を向けて配置される。この構成によれば、上方から、枚葉紙4の状態を監視する際、直接紫外線が監視者に照射されないので、監視者は、眩しさを感じずに、枚葉紙4の状況を監視しやすくなる。
排紙チェーン9cの循環経路には、グリッパ9dを設けるためのスペースが必要となるため、光照射装置10の照射口と枚葉紙4の照射面の間の照射距離は、比較的長い距離に設定されている。
なお、光照射装置10は、排紙チェーン9cの循環移動に連動して搬送される枚葉紙4に紫外線を照射するものとして説明したが、印刷ユニット5やコーティングユニット6を経由した直後の枚葉紙4に紫外線を照射する位置に設けてもよい。
【0019】
図2は光照射装置10を背面側から示す斜視図、
図3は光照射装置10を前面側から示す斜視図である。
図4は、光照射装置10を示す分解斜視図である。
図5は、光照射装置10が備えるライン光源本体11を示す上面視図である。
図6はライン光源本体11の分解斜視図である。なお、以下の説明において、光照射装置10の照射面側を装置の正面とし、正面とは逆側を装置の背面とする。
光照射装置10は、当該装置の長手方向に延びるライン状の光を照射するライン光源装置として用いられる。光照射装置10は、
図2、
図3に示すように、筐体13を有する。筐体13は、装置正面に開口15Aを有し、当該開口15Aが照射開口として構成されている。開口15Aは、透過性を有するカバー17で覆われる。カバー17は、例えば、ガラス板で構成されていても良い。また、装置正面の長手方向の一端には、後述する冷却媒体入口ポート63(流入口)と、冷却媒体出口ポート64(流出口)が設けられる。さらに、装置背面の長手方向の一端には、中継ユニット60が設けられる。中継ユニット60には複数の電源端子62が設けられ、当該電源端子62に接続される不図示の電線を介して、光照射装置10に電力が供給される。冷却媒体入口ポート63、冷却媒体出口ポート64と、中継ユニット60とは、装置の長手方向の同一端側に設けられる。
【0020】
図4に示すように、光照射装置10は、筐体13の内部にライン光源本体11を備える。ライン光源本体11は、
図5に示すように、光照射装置10の長手方向に一列に並べられた複数(本実施形態では、11つ)の照射ユニット20からなる連結照射ユニット12を備える。また、ライン光源本体11は、
図6に示すように、照射ユニット20を両側から挟むように設けられ、照射ユニット20の並びの一端部から他端部に亘って延びるパイプ65,66を備える。照射ユニット20はそれぞれ、支持フレーム21によりパイプ65,66に固定されて連結される。また、パイプ65,66の一端には、上述の冷却媒体入口ポート63、冷却媒体出口ポート64がそれぞれ接続される。
【0021】
パイプ65,66は、例えばアルミ等の金属材によって、少なくとも複数の照射ユニット20の並びの一端部から他端部に亘って延び、支持枠14に固定される。パイプ65,66は、ライン光源本体11のフレームとしても機能しており、ライン光源本体11の剛性を向上させることができる。
パイプ65,66は、高さ寸法が、照射ユニット20の高さ寸法と略同じ寸法に形成される。パイプ65,66の断面積は、光照射装置10を大型化することなく、筐体13内に収めることができる範囲で、できるだけ大きい断面積するのが好ましい。この構成によれば、パイプ65,66内の水圧をある程度一定に保つことができ、冷却媒体入口ポート63から近い側と遠い側とで水圧に大きな差が生じないようにすることができる。
【0022】
図4に示すように、筐体13は、支持枠14と、前面枠15と、背面カバー16と、を備える。支持枠14は、ライン光源本体11の周囲を囲む枠体14Aと、枠体14Aの正面側に設けられる前面板14Bとを有する。枠体14Aには、照射ユニット20の並び方向である装置長手方向の両端壁に取手14Cが設けられる。また、パイプ65,66は、角筒状に形成され、枠体14Aに沿って延在し、筐体13内に収められる。
前面板14Bには、前面開口14Dが形成される。前面板14Bの正面には、少なくとも前面開口14Dが形成された範囲を覆う前面枠15が取り付けられる。前面枠15は、光照射装置10の照射開口となる開口15Aを備える。前面開口14Dと、開口15Aとは互いに対応する位置に設けられる。前面枠15には、開口15Aを覆うように、カバー17が嵌め込まれている。カバー17は、開口15Aよりも大きな表面積を有し、前面板14Bと前面枠15の間に介在するように配置される。
【0023】
また、前面板14Bには、前面開口14Dから外れた位置で、装置正面の長手方向の一端に、冷却媒体入口ポート63、冷却媒体出口ポート64のそれぞれに連通する連通孔14E,14Fが設けられる。なお、これらの冷却媒体入口ポート63、冷却媒体出口ポート64は、前面枠15によって覆われることが無い範囲に形成される。
背面カバー16は、枠体14Aの背面側の開口を覆うように取り付けられる。上述した中継ユニット60は、背面カバー16と一体に構成されていても良いし、別体に構成されていても良い。また、詳細については後述するが、照射ユニット20は、背面カバー16を取り外した光照射装置10の背面側から単体で取り外し可能に構成される。
【0024】
<第1の実施形態>
次に、第1の実施形態の照射ユニット20の構成について説明する。
図7は、照射ユニット20を示す図であり、(A)は斜視図、(B)は補助反射板55を取り外した状態の斜視図である。
図8は、照射ユニットの横断面図であり、
図9は、分解斜視図である。なお、以下の説明において、パイプ65,66間に亘る方向を照射ユニット20の幅方向、照射ユニット20の並び方向に沿う方向を、各照射ユニットの20の奥行き方向として説明する。
図7〜
図9に示すように、照射ユニット20は、光源装置30と、冷却部材22と、支持フレーム21とを備える。また、各照射ユニット20の並び方向の両側には、補助反射板55が備えられる。光源装置30と、冷却部材22と、は支持フレーム21に一体に支持される。また、光源装置30には、端子台50が備えられる。支持フレーム21は、光源装置30、冷却部材22を一体に支持する支持板34と、照射ユニット20をパイプ65,66に固定する固定梁32,33とを備える。照射ユニット20は、支持フレーム21の固定梁32,33をパイプ65,66上に載置して螺子などの固定具によりパイプ65,66に固定される。これらの構成によれば、光源装置30と、冷却部材22とが一体に支持されている照射ユニット20をパイプ65,66上に載置して固定することができ、照射ユニット20を容易に組み付けすることができる。
【0025】
図7に示すように、パイプ65の背面側には、各照射ユニット20に対応する位置に供給側管継手67が接続される。供給側管継手67は、固定梁32を挟んで一対設けられる。照射ユニット20には、パイプ65に対向する側の一端部に受給側管継手27が、冷却部材22に接続されて備えられる。供給側管継手67と、受給側管継手27とには、第一接続管81が接続され、この第一接続管81によって、パイプ65が照射ユニット20の冷却部材22に接続される。
【0026】
また、パイプ66の背面側には、各照射ユニット20に対応する位置に出口側管継手68が接続される。出口側管継手68は、固定梁33を挟んで一対設けられる。照射ユニット20には、パイプ66に対向する側の他端部に排出側管継手28が、冷却部材22に接続されて備えられる。出口側管継手68と、排出側管継手28とには、第二接続管82が接続され、この第二接続管82によって、パイプ66が照射ユニット20の冷却部材22に接続される。
【0027】
さらに、照射ユニット20の冷却部材22には、冷却部材22の一端部22Aに一方の中間管継手29Aが照射ユニット20の奥行き方向の前後端部にそれぞれ設けられている。また、照射ユニット20の冷却部材22には、冷却部材22の他端部22Bに他方の中間管継手29Bが照射ユニット20の奥行き方向の前後端部にそれぞれ設けられている。一方の中間管継手29Aと他方の中間管継手29Bとの間は第三接続管83によって接続される。第三接続管83は、照射ユニット20の外側を通して、冷却媒体の供給側である冷却部材22の一端側22Aから、冷却媒体の排出側である冷却部材22の他端側22Bに接続される。第一接続管81,第二接続管82,第三接続管83には、フレキシブルチューブを好適に用いることができる。また、第一接続管81,第二接続管82,第三接続管83は、熱伝導性に優れた材料から形成されているのが好ましい。
【0028】
第一接続管81を通ってパイプ65から照射ユニット20の冷却部材22に供給された冷却媒体は、冷却部材22を経ると共に、第三接続管83を通って、冷却部材22の一端部22Aから他端部22Bに供給される。そして、冷却部材22から熱を奪った冷却媒体は、第二接続管82を通ってパイプ66に排出される。
このように、照射ユニット20のそれぞれは、例えば水等の冷却媒体によって冷却されるように構成される。冷却媒体は冷却媒体入口ポート63からパイプ65に供給され、パイプ65から各照射ユニット20に供給される。各照射ユニット20の冷却部材22内を経た冷却媒体は、パイプ66を介して冷却媒体出口ポート64へと送られる。
【0029】
図9は、照射ユニット20の分解斜視図である。
図9に示すように、冷却部材22は、第一冷却部材43と、第二冷却部材44とを備える。なお、本実施形態では、冷却部材22が、第一冷却部材43と、第二冷却部材44との二つの冷却部材から構成される例について示しているが、これに限らず、冷却部材22が二つ以上の複数の冷却部材に分割されている構成であっても良い。
第一冷却部材43、第二冷却部材44はそれぞれ、冷却ジャケット40と、ジャケット蓋45とを備える。
【0030】
ジャケット蓋45には、受給側管継手27又は排出側管継手28を接続する一方の接続孔46Aと、中間管継手29A又は中間管継手29Bを接続する他方の接続孔46Bとが形成されている。ジャケット蓋45には、二つの接続孔46Aと、二つの接続孔46Bとが設けられる。接続孔46A,46Bは、ジャケット蓋45の所定の一辺に沿って並べて設けられる。各接続孔46A,46Bは、それぞれの設置間隔我略均等となるように配置される。また、接続孔46A,46Bは、二つの接続孔46Aが中央側に、二つの接続孔46Bがそれぞれ両端側に配置される。
【0031】
冷却ジャケット40は、熱伝導性に優れる金属材料から形成されている。冷却ジャケット40は、所定の厚みを有する板状の部材であり、外形が矩形形状に形成されている。冷却ジャケット40の厚み方向の一面側は、受熱面41として構成され、当該受熱面41に光源装置30を当接させることで、光源装置30から冷却部材22に熱が伝熱されるように構成されている。冷却ジャケット40の厚み方向の他面側には、少なくとも2本の溝42A,42Bが形成される。
【0032】
一方の溝42Aは、冷却ジャケット40にジャケット蓋45取り付けた際に、一方の接続孔46Aと、当該接続孔46Aの隣に配置された一方の接続孔46Bとに連通する位置に設けられる。また、他方の溝42Bは、他方の接続孔46Aと、当該接続孔46Aの隣に配置された他方の接続孔46Bとに連通する位置に設けられる。溝42A,42Bは、冷却ジャケット40の厚み方向の他面側の略全面に亘って設けられる。本実施形態では、溝42A,42Bは、接続孔46Aに対応する位置から、接続孔46Aが設けられた一辺側に対向する他辺側まで延びて、他辺に沿うように曲がり、更に、他辺側から接続孔46Bに対応する位置まで一辺側に延びている。なお、溝42A,42Bは、冷却ジャケット40の厚み方向の他面側を蛇行させて略全面に亘るように設けても良い。
【0033】
ジャケット蓋45を溝42A,42Bの開口を閉塞するように、冷却ジャケット40に固定すると、ジャケット蓋45と、溝42A,42Bと、により、冷却媒体が流れる冷却流路42が複数形成される。
図6に示したように、冷却部材22は、第一接続管81、第二接続管82により、パイプ65,66に接続される。加圧された冷却媒体を、冷却媒体入口ポート63に供給すると、冷却媒体が、パイプ65から照射ユニット20の冷却流路42に供給され、パイプ66を通って、冷却媒体出口ポート64から排出されるように、冷却媒体を循環させることが可能になっている。
【0034】
詳述すると、加圧されて、冷却媒体入口ポート63からパイプ65に供給された冷却媒体は、第一接続管81を介して接続孔46Aから第一冷却部材43に供給され、冷却流路42を通って流れ、第一冷却部材43を冷却する。第一冷却部材43を冷却した冷却媒体は、接続孔46Bから、第三接続管83を介して第二冷却部材44に供給される。第三接続管83は、照射ユニット20の外側を通して第一冷却部材43と第二冷却部材44とを接続しているため、第三接続管83を通って流れる間に冷却媒体の熱が照射ユニット20の外部に放熱される。第三接続管83を介して接続孔46Bから第二冷却部材44に供給された冷却媒体は、第二冷却部材44の冷却流路42を通って流れ、第二冷却部材44を冷却する。第二冷却部材44を冷却した冷却媒体は第二接続管82を介して接続孔46Aからパイプ66に排出される。
このように、冷却媒体が冷却流路42を経由しつつ循環することで、冷却媒体と照射ユニット20との間で熱交換が行われて、後述する光源25が冷却される。
【0035】
冷却ジャケット40の縁部には、防水用溝47が形成され、この防水用溝47には不図示の防水パッキン(例えば、シリコン製のシール部材)が配置される。防水パッキンは、ジャケット蓋45が冷却ジャケット40に固定される際に、ジャケット蓋45の平らな前面によって押圧変形されて冷却ジャケット40とジャケット蓋45との間を水密にシールする。これによって、照射ユニット20の冷却流路からの水漏れを防ぐことができる。なお、図示は省略するが、接続孔46A,46BはO−リングを介してそれぞれの管継手27,28,29A,29Bが水密に接続されている。
【0036】
上述したように、パイプ65の断面積をできるだけ大きい断面積とすることで、パイプ65内の水圧をある程度一定に保っている。これにより、複数並べた照射ユニット20において、冷却媒体入口ポート63から照射ユニット20までの冷却媒体の流路長が違っても、各照射ユニット20における冷却媒体の流量が異なることがない。よって、複数の照射ユニット20を均一に冷却することができる。これにより、光照射装置10全体の冷却効率を向上できる。
また、各照射ユニット20の冷却部材22をパイプ65,66に接続する第一接続管81、第二接続管82が、他の照射ユニット20を跨ぐことなく配設されている。よって、照射ユニット20を単体で取り外す際にも、
図4に示すように装置の上方から容易に取り外すことができ、作業性を向上することができる。さらに、各照射ユニット20の冷却部材22を、パイプ65,66に、照射ユニット20の並び方向の略同位置で接続することができるため、第一接続管81、第二接続管82の長さを短くすることができ、配線の引き回し作業を簡易化することができる。
【0037】
支持フレーム21の支持板34は、照射面に対して略平行な平部21Aと、平部21Aの両側端から照射方向に向かって傾斜して延びる傾斜部21B,21Cと、を備える。第一冷却部材43は、一方の傾斜部21Bに固定され、第二冷却部材44は、他方の傾斜部21Cに固定される。平部21Aには、表裏に貫通する矩形状の孔21Dが形成され、当該孔21Dに対応する位置に端子台50が配設される。端子台50は、ブラケット59に載置された複数の端子58を備えている。
【0038】
次に、光源装置30の構成について説明する。光源装置30は、第1〜第6光源ユニット31A〜31Fを備える。第1〜第6光源ユニット31A〜31Fはそれぞれ、反射部材23(23A〜23F)と、光源25と、支持基部26と、を備える。また、第1〜第6光源ユニット31A〜31Fはそれぞれ、反射部材23の反射面24(24A〜24F)に、光源25が対向配置され、光源25の光を反射面24で反射して、後述する集光点Fに集光する。光源25は、LED125と、LED125が実装される実装基板126とを有する。実装基板126はアルミ基板であり、支持基部26に支持される。支持基部26は、熱伝導性に優れる金属により形成され、冷却部材22の受熱面41に熱的に接続されて設けられる。また、実装基板126は、支持基部26に熱的に接続され、実装基板126に実装されたLED125からの熱が、実装基板126を介して支持基部26に伝熱されるように構成されている。
【0039】
反射部材23と、光源25と、支持基部26は、照射ユニット20の奥行き方向に亘って延在する。光源25には、複数のLED125(本実施形態では発光素子12個)が、実装基板126に一列に並べて配置される。各LED125は、表面実装型のLEDであり、SMD型やCOB型のLEDを好適に用いることができる。
支持基部26は、熱伝導性に優れた材料により形成される。支持基部26は、光源25が取り付けられる取付面35Aを有する取付部35と、受熱面41に当接する放熱面36Aを有する放熱部36と、を有する。取付部35は、棒状(ブロック状)に形成され、取付部35の背面側に、平板状の放熱部36が一体に形成される。光源25は、実装基板126の裏面を、取付部35の取付面35Aに当接させて設けられ、光源25からの熱は、放熱部36に伝熱されて、放熱部36から冷却部材22に伝熱される。
【0040】
反射部材23は、樹脂材から形成され、表面には、アルミを蒸着させて反射膜が形成される。反射部材23の反射面24は、反射部材23の背面側の一端123から正面側の他端127に至り、反射部材23の奥行き方向に亘って設けられ、所定の曲率半径を有する。
第1〜第6光源ユニット31A〜31Fはそれぞれ、照射ユニット20の光軸である照射ユニット光軸Aに近い側に反射部材23が、照射ユニット光軸Aから遠い側に光源25が配置される。また、第1〜第6光源ユニット31A〜31Fは、光源装置30が、照射ユニット光軸Aに対して線対称になるように配置される。
【0041】
詳述すると、光源装置30は、
図8、
図9に示すように、照射ユニット20の中央に第1光源ユニット31Aと、第2光源ユニット31Bとが配置される。第1光源ユニット31Aと、第2光源ユニット31Bと、は対になっており、第1光源ユニット31Aの反射部材23Aと第2光源ユニット31Bの反射部材23Bとは、反射面24が背向配置される。反射部材23Aと反射部材23Bとは一体に形成される構成であっても良い。反射部材23A,23Bは、他端127A,127Bが照射ユニット光軸A上に配置され、照射ユニット20の奥行き方向に延びる断面略三角形状のブロック状に形成されても良い。
この反射部材23Aと反射部材23Bとからなる中央反射部材51の背面には、照射面Sに対して略平行な平面部52が形成される。平面部52には、光源25に電源を供給する端子台50が設けられる。端子台50は、平面部52上にブラケット59を固定して備えられる。なお、平面部52には、ブラケット59を固定する固定部が溝状に構成されていても良い。
【0042】
中央反射部材51の両側には、照射ユニット光軸Aを挟んだ一方側に第3光源ユニット31Cが、他方側に第4光源ユニット31Dがそれぞれ設けられている。第3光源ユニット31Cと、第4光源ユニット31Dとは対になっており、照射ユニット光軸Aに対して線対称に配置されている。
第3光源ユニット31C、第4光源ユニット31Dの反射部材23C,23Dには、中央反射部材51に対向する側の面に、凹み部57C,57Dが照射ユニット20の奥行き方向に亘って設けられている。凹み部57C,57Dは、反射部材23C,23Dの背面側と、中央反射部材51に対向する側の面とが連続する角部を凹ませて形成される。
【0043】
反射部材23Cの凹み部57Cには第1光源ユニット31Aの支持基部26Aが、反射部材23Dの凹み部57Dには第2光源ユニット31Bの支持基部26Bが、それぞれ配置される。凹み部57C,57Dはそれぞれ、支持基部26A,26Bに対応する形状に形成される。凹み部57C,57Dは、支持基部26A,26Bの取付面35Aに光源25を取り付けて、支持基部26A,26Bを凹み部57C,57Dに収めた際に、光源25が、凹み部57C,57Dに収まり、中央反射部材51に対向配置されるように構成される。また、支持基部26A,26Bを凹み部57C,57Dに収めた際には、支持基部26A,26Bの放熱部36が、反射部材23C,23Dの背面側に略全面に亘って当接するように構成されている。
【0044】
また、反射部材23C,23Dの中央反射部材51に対向する面には、凹み部57C,57Dの下方に補助反射面124C,124Dが設けられる。補助反射面124C,124Dは、反射部材23C,23Dの表面に設けられたアルミ蒸着による反射膜によって構成されている。なお、補助反射面124C,124Dは、反射部材23C,23Dに取り付けられた反射板により構成されていても良い。
【0045】
さらに、第3光源ユニット31Cの照射ユニット光軸Aから遠い側には、第5光源ユニット31Eが、第4光源ユニット31Dの照射ユニット光軸Aから遠い側には、第6光源ユニット31Fが配置されている。
第5光源ユニット31Eと、第6光源ユニット31Fとは対になっており、照射ユニット光軸Aに対して線対称に配置されている。
第5光源ユニット31E、第6光源ユニット31Fの反射部材23E,23Fには、反射部材23C,23Dに対向する側の面に、凹み部57E,57Fが照射ユニット20の奥行き方向に亘って設けられている。凹み部57E,57Fは、反射部材23E,23Fの背面側と、反射部材23C,23Dに対向する側の面とが連続する角部を凹ませて形成される。
【0046】
反射部材23Eの凹み部57Eには第3光源ユニット31Cの支持基部26Cが、反射部材23Fの凹み部57Fには第4光源ユニット31Dの支持基部26Dが、それぞれ配置される。凹み部57E,57Fはそれぞれ、支持基部26C,26Dに対応する形状に形成される。凹み部57E,57Fは、支持基部26C,26Dの取付面35Aに光源25を取り付けて、支持基部26C,26Dを凹み部57E,57Fに収めた際に、光源25が、凹み部57E,57Fに収まり、反射部材23C,23Dに対向配置されるように構成される。また、支持基部26C,26Dを凹み部57E,57Fに収めた際には、支持基部26C,26Dの放熱部36が、反射部材23E,23Fの背面側に略全面に亘って当接するように構成されている。
また、反射部材23E,23Fの反射部材23C,23Dに対向する面には、凹み部57E,57Fの下方に補助反射面124E,124Fが設けられる。
【0047】
また、第5光源ユニット31E、第6光源ユニット31Fは、反射部材23E,23Fの反射面24E,24Fに対向させて配置した、支持基部26E,26Fを備える。支持基部26E,26Fには、反射部材23E,23Fの反射面24E,24Fに対向させて光源25がそれぞれ取り付けられる。支持基部26E,26Fは、背面側を冷却部材22の受熱面41に当接させて設けられる。また、支持基部26E,26Fにはそれぞれ、第2補助反射板172が取り付けられている。第2補助反射板172は、反射部材23E,23Fの反射面24D,24Fに対向配置された補助反射面172Aを有する。第2補助反射板172は、端部172Bが、中央反射部材51の端部51Aよりも照射面に対して近づくように配設される。
【0048】
中央反射部材51は、平面部52に取り付けられたブラケット59により、支持フレーム21の平部21Aに固定される。反射部材23C,24E、支持基部26A,26C,26Eは、第一冷却部材43を介して支持フレーム21の一方の傾斜部21Bに固定される。また、反射部材23D,23E、支持基部26B,26D,26Fは、第二冷却部材44を介して支持フレーム21の他方の傾斜部21Cに固定される。
このように、第1〜第6光源ユニット31A〜31Fは、照射ユニット光軸Aに対して線対称に配置される。また、第1〜第6光源ユニット31A〜31Fは、照射ユニット光軸Aから遠い側のユニットが、照射ユニット光軸Aから近い側のユニットよりも集光点Fに近づくように斜めに、照射ユニット20の幅方向に並べて配置される。
【0049】
これらの構成によれば、第1〜第6光源ユニット31A〜31Fを照射ユニット光軸Aから遠い側のユニットが、照射ユニット光軸Aから近い側のユニットよりも集光点に近づくように斜めに並べて配置したため、第1〜第6光源ユニット31A〜31Fを照射面Sに対して略平行に並べた場合に比べて、光源装置30の幅寸法を小さくすることができる。よって、照射ユニット20の幅寸法を大きくすることなく、より多くの光源25を幅方向に並べることができ、光の強度(照度、光量)を増大させることができる。
【0050】
次に、照射ユニット20の光路について説明する。
図10は、照射ユニット20の光路を示す図である。
図10に示すように、第1光源ユニット31Aの光源25から放射される光は反射部材23Aで反射されて、照射面Sの集光点Fに集光される。また、反射部材23Aで反射された光源25からの光のうち、集光点Fに向けて反射されない光の一部は、反射部材23Cに設けられた補助反射面124Cで反射されて集光点Fに向かうように構成されている。
第2光源ユニット31Bの光源25から放射される光は反射部材23Bで反射されて、照射面Sの集光点Fに集光される。また、反射部材23Bで反射された光源25からの光のうち、集光点Fに向けて反射されない光の一部は、反射部材Dに設けられた補助反射面124Dで反射されて集光点Fに向かうように構成されている。
【0051】
第3光源ユニット31Cの光源25から放射される光は反射部材23Cで反射されて、照射面Sの集光点Fに集光される。また、反射部材23Cで反射された光源25からの光のうち、集光点Fに向けて反射されない光の一部は、反射部材23Eに設けられた補助反射面124Eで反射されて集光点Fに向かうように構成されている。
第4光源ユニット31Dの光源25から放射される光は反射部材23Dで反射されて、照射面Sの集光点Fに集光される。また、反射部材23Dで反射された光源25からの光のうち、集光点Fに向けて反射されない光の一部は、反射部材23Fに設けられた補助反射面124Fで反射されて集光点Fに向かうように構成されている。
【0052】
第5光源ユニット31Eの光源25から放射される光は反射部材23Eで反射されて、照射面Sの集光点Fに集光される。また、反射部材23Eで反射された光源25からの光のうち、集光点Fに向けて反射されない光の一部は、支持基部26Eに設けられた補助反射板172の補助反射面172Aで反射されて集光点Fに向かうように構成されている。
第6光源ユニット31Fの光源25から放射される光は反射部材23Fで反射されて、照射面Sの集光点Fに集光される。また、反射部材23Fで反射された光源25からの光のうち、集光点Fに向けて反射されない光の一部は、支持基部26Fに設けられた補助反射板172の補助反射面172Aで反射されて集光点Fに向かうように構成されている。
【0053】
第1〜第6光源ユニット31A〜31Fからの光は、集光点Fを中心とする所定範囲Rに集光するように構成される。また、第1〜第6光源ユニット31A〜31Fはそれぞれ、照射ユニット20の奥行き方向に並べられた複数のLED125を備えている。これらの構成により、照射ユニット20は、所定範囲Rの幅で、照射ユニット20の奥行き方向に延びるライン状の照射領域を形成する。さらに、光照射装置10は、列状に並べられた複数の照射ユニット20を備えるため、照射ユニット20の並び方向に亘って延びるライン状の照射領域を形成する。本実施形態では、照射ユニット20の幅方向に光源25を6列並べる構成としたため、照射領域が所定の幅を有する構成としても、照射面内で均整度良く、充分な光の強度(照度、光量)を得ることがでる。
【0054】
また、反射面24A,24B,24C,24Dに対面する位置に補助反射面124C,124D,124E,124F,172Aを備えたため、反射面24A,24B,24C,24Dで反射された光源25の光のうち、集光点Fに向かわない光の少なくとも一部を、補助反射面124C,124D,124E,124F,172Aで集光点Fに向かわせることができる。よって、光源25からの光の利用効率を改善することができ、照射領域での光の強度を更に増大させることができる。
また、照射ユニット20の並び方向の両側端には補助反射板55が備えられているため、照射ユニット20の奥行き方向に漏れる光を補助反射板55で反射させて集光点Fに向かわせることができ、光源25からの光の利用効率を改善することができる。
【0055】
以上説明したように、本発明を適用した実施形態によれば、照射ユニット20は、光源25と、光源25の光を反射して集光点Fに集光する反射部材23と、を有する光源ユニット31を複数並べて配置し(
図10参照)、光源ユニット31は、隣の光源ユニット31の光源25を収める凹み部57を備えた。この構成によれば、光源ユニット31を複数並べて配置した構成において、光源ユニット31は、隣の光源ユニット31の光源25を収める凹み部57を備えているため、複数の光源ユニット31の並び方向の寸法を、凹み部57を設けずに光源25を配置する場合に比べて小さくすることができる。よって、照射ユニット20を大きくすることなく、所定の幅寸法内により多くの光源ユニット31を並べることができ、光の強度を増大させることが可能となる。
【0056】
また、本発明を適用した実施形態によれば、複数の光源ユニット31を、照射ユニット20の照射ユニット光軸Aに対して線対称に配置した。この構成によれば、複数の光源ユニット31を、照射ユニット光軸Aに対して線対称な構成とすることで、照射ユニット光軸A上の集光点Fに各光源ユニット31からの光を、構造を複雑にすることなく集めることができる。また、複数の光源ユニット31を、照射ユニット光軸Aに対して線対称な構成となるように組み立てればよく、組立作業性が良い。
【0057】
また、本発明を適用した実施形態によれば、光源ユニット31を、照射ユニット光軸Aから遠い側の光源ユニット31が、照射ユニット光軸Aから近い側の光源ユニット31よりも集光点Fに近づくように並べた。この構成によれば、複数の光源ユニット31を照射面Sに対して略平行になるように並べた場合に比べて、照射ユニット光軸Aから遠くなるに従って集光点F側に近づくように斜めに配置した場合には、照射ユニット20の幅方向の寸法を小さくすることができる。よって、照射ユニット20を大きくすることなく、所定の幅寸法内により多くの光源ユニット31を並べることができ、光の強度を増大させることが可能となる。
【0058】
また、本発明を適用した実施形態によれば、光源ユニット31を照射ユニット光軸A側に反射部材23A〜23Fを、照射ユニット光軸Aから遠い側に光源25を配置して並べた。この構成によれば、反射部材23A〜23Fを照射ユニット光軸A側に配置することで、光源25と反射部材23A〜23Fとを近接させて配置しても集光点Fに光源25からの光を向かわせることができ、照射ユニット20の幅方向の寸法を小さくすることができる。よって、照射ユニット20を大きくすることなく、所定の幅寸法内により多くの光源ユニット31を並べることができ、光の強度を増大させることが可能となる。
【0059】
また、本発明を適用した実施形態によれば、反射部材23C〜23Fは、隣の光源ユニット31A〜31Dの集光反射面24A〜24Dに対面する位置に補助反射面124C〜124Fを備えた。この構成によれば、反射面24A〜24Dで反射された光源25の光のうち、集光点Fに向かわない光の少なくとも一部を、補助反射面124C〜124Fで集光点Fに向かわせることができる。よって、光源25からの光の利用効率を改善することができ、照射領域での光の強度を更に増大させることができる。
【0060】
また、本発明を適用した実施形態によれば、光照射装置10は、複数の照射ユニット20を列状に並べて、所定幅を有するライン状の照射面を形成する。この構成によれば、光照射装置10で枚葉紙4に印刷されたニス及びインキを硬化させる場合では、線状の照射面を形成する装置に比べて、枚葉紙4を早く照射領域を通過させてニス及びインキを硬化させることができ、処理効率を向上することができる。
【0061】
また、本発明を適用した実施形態によれば、複数の照射ユニット20を列状に並べた光照射装置10において、光照射装置10内に、照射ユニット20を挟んだ両側に照射ユニット20の並びの一端部から他端部に亘って延びるパイプ65,66を設け、照射ユニット20のそれぞれに、冷却流路42が形成された二つ以上の冷却部材43,44を備え、いずれかの冷却部材43を一方のパイプ65に接続する第一接続管81と、他のいずれかの冷却部材43を他方の前記パイプに接続する第二接続管82と、冷却部材43,44間を照射ユニット20の外側を通して接続する第三接続管83と、を備えた。
この構成によれば、照射ユニット20の冷却部材43,44を、照射ユニット20の幅方向の両側に設けたパイプ65,66と接続することができるため、接続管が照射ユニット20間を跨ぐことなく配管することができ、照射ユニット20のメンテナンス性が向上する。また、冷却部材43,44間を繋ぐ第三接続管83を照射ユニット20の外側を通して接続したため、第三接続管83を通る際に冷却媒体の熱を照射ユニット20の外部に放熱させることができ、照射ユニット20を効率よく冷却することができる。
【0062】
また、本発明を適用した実施形態によれば、第三接続管83を高熱伝導性材料から形成したため、第三接続管83を通る際に冷却媒体の熱を効率よく照射ユニット20の外部に放熱させることができ、照射ユニット20を更に効率よく冷却することができる。
【0063】
また、本発明を適用した実施形態によれば、一方のパイプ65に冷却媒体入口ポート63を形成し、他方のパイプ66に冷却媒体出口ポート64を形成し、第一接続管81、第三接続管83、第二接続管82の順に冷却媒体を流した。この構成によれば、照射ユニット20の幅方向の一方から、他方に冷却媒体を流して効率よく照射ユニット20を冷却することができる。
【0064】
また、本発明を適用した実施形態によれば、照射ユニット20は、照射面Sに対して略平行な平部21Aと、当該平部の両側端から照射方向に向かって傾斜して延びる傾斜部21B,21Cと、を備え、傾斜部21B,21Cのそれぞれに冷却部材43,44を設けた。この構成によれば、照射ユニット20の幅方向の寸法を、照射ユニット20全体を照射面Sに対して略平行に備える場合に比べて小さくすることができる。また、傾斜部21B,21Cのそれぞれに冷却部材43,44を設けたため、照射ユニット20を傾斜させても、照射ユニット20を大型化することなく、効率よく冷却することができる。
【0065】
また、本発明を適用した実施形態によれば、平部21Aに端子台50を設けた。この構成によれば、照射ユニット20の構造を複雑化することなく、端子台50を設けることができる。また、余剰スペースを効率よく利用して端子台50を設けることができるため、照射ユニット20の小型化を図ることができる。
【0066】
<第2の実施形態>
ところで、上述した光照射装置10において、さらなる高出力化が要求される場合がある。第1の実施形態の照射ユニット20では、SMD型やCOB型の表面実装型のLED光源を実装基板126に一列に複数並べて配置している。装置を大型化することなく、光照射装置10の高出力化を図るためには、多数のLEDベアチップを実装基板に直接接続した光源525を用いた照射ユニット520を用いる構成とすることができる。以下に本発明の第2の実施形態として、多数のLED625を実装基板626に直接接続した光源525を用いた照射ユニット520有する光照明装置10について説明する。なお、以下の説明において、上述した第1の実施形態と同様の構成については図中に同一の符号を付してその説明を省略する。
【0067】
図12は、第2の実施形態の照射ユニット520を示す正面図である。
図13は、光源525を示す図であり、
図14は光源モジュール450を示す図である。
図15、
図16は、反射部材523を示す図である。
図12に示すように、照射ユニット520は、光源装置530を備える。光源装置530には、第1〜第6光源ユニット531A〜531Fが照射ユニット520の幅方向に並べて備えられている。第1〜第6光源ユニット531A〜531Fはそれぞれ、反射部材523(523A〜523F)と、光源525と、を備える。また、第1〜第6光源ユニット531A〜531Fはそれぞれ、反射部材523の反射面524(524A〜524F)に、光源525が対向配置され、光源525の光を反射面524で反射して、集光点Fに集光する。
【0068】
光源525は、
図13に示すように、LED625と、LED625が実装される実装基板626とを有する。実装基板626はアルミ基板であり熱伝導性に優れ、反射部材523の受熱面541に熱的に接続されて、反射部材523に支持されている。LED625はパッケージ化されてない、所謂ベアチップ型の高出力のLED素子であり、本実施形態においては、385nmの波長の紫外線を放射するUV−LEDである。
光源525は、本実施形態では、矩形平板状の実装基板626に48個のLED625が1列に並べて実装されたライン状光源である。光源525は、上述した第1の実施形態の照射ユニット20で用いられている光源25に比べて倍の出力を有し、略4倍の明るさの光源となるように構成されている。
【0069】
また、
図14に示すように、光源525と、1列に並べて実装された複数のLED625が臨む出射開口551を有し実装基板626の実装面に載置されたプレート550と、プレート550の出射開口551を覆う光透過性のカバー553と、で光源モジュール450を構成している。プレート550は所定の厚みを有する板状部材である。プレート550は、出射開口551の内周に設けられ、プレート550の厚み分の高さを有する内周壁部552は、LED625からの光を出射開口551に向けて反射させる機能するように、構成されている。内周壁部には、反射膜が蒸着されている構成であっても良いし、鏡面仕上げされて反射面を構成していても良い。光源モジュール450においては、このプレート550の内周壁部552によって、LED625からの光の指向性が向上されている。なお、プレート550は、樹脂材から形成されている構成であっても良いし、熱伝導性に優れる金属、例えばアルミニウム合金、から形成されている構成であっても良い。
【0070】
このように、光源525は、高出力のLED素子であるLED625が多数、実装基板626に実装されている。また、プレート550によって、LED625からの光は、指向性が向上されて反射部材523に照射される。このように、照射ユニット520では、光照射装置10全体の出力が高められ、高出力で、且つ、指向性の高い光が反射部材523に照射される。これにより、反射部材523は、LED625からの光が照射される部分が高温となる。第1の実施形態の反射部材23は、上述したように、樹脂材から形成され、表面には、アルミを蒸着させて反射膜が形成されている。樹脂材の表面にアルミを蒸着させて反射膜を形成した反射部材23に、高出力で、且つ、指向性の高い光を照射した場合には、樹脂が光照射による熱で変形して、反射膜にシワ等の歪みが発生する可能性があった。
【0071】
そこで、この第2の実施形態の照射ユニット520では、製造しやすく、放熱性が高い反射部材523を備え、高出力で、且つ、指向性の高い光が照射されても、反射部材523の性能が維持できるように構成されている。
以下に、反射部材523の構成を詳述する。
図15に示すように、反射部材523は、基材560と、基材560の表面に取り付けられる薄板状の反射板570と、を備えている。
【0072】
基材560は、熱伝導性に優れた軽量の金属、例えばアルミニウム合金、から形成されている。基材560は、照射ユニット520の奥行き方向に亘って延在する断面視略V字形状に形成されている。基材560はV字の頂点561から延びる一方の側面562と他方の側面563とを有する。
基材560は、他方の側面563に、隣の光源ユニット531の光源モジュール450を保持する凹部451(光源保持部)を備えている。凹部451は、他方の側面562において、V字の頂点とは反対の端部側に設けられている。また、凹部451は、基材560の奥行き方向に亘って延在している。
【0073】
光源モジュール450は、実装基板626の実装面とは反対の面を、凹部451の底面である受熱面541に面接触させて、取り付けられている。光源モジュール450は、凹部451に取り付けられた際に、出射開口551を覆う光透過性のカバー553の出射側表面が、反射部材523の表面と略面一になるように設けられている。
基材560の一方の側面562は、当該一方の側面562の表面形状に沿わせて反射板570が取り付けられた際に、一方の側面562に対向配置される光源モジュール450の光が反射板570で反射されて所定の集光点に集光するように光学設計された曲面に形成されている。
【0074】
反射板570は、熱伝導性に優れた材料、例えばアルミニウム合金、から形成された300〜400μmの板厚を有する平板である。反射板570は、基材560の頂点561に沿って折り曲げられて、基材560の頂点561の側から被せるようにして基材560に取り付けられる。また、反射板570は、基材560の一方の側面562の全体と、他方の側面563の凹部451より上側全体と、を覆うように構成されている。
【0075】
反射板570は、基材560の表面に一定の厚みで塗布された耐熱性の粘着剤や接着剤で基材560の表面に沿って貼りつけられる。また、反射板570は、曲面形状の一方の側面562、及び、他方の側面563にローラー等で加圧しながら基材560の表面に沿って均して貼りつけられる。なお、反射板570は、基材560の表面に、耐熱性の両面テープを用いて貼りつけられている構成であっても良い。予め厚みが一定の両面テープを用いることで、基材560の表面に粘着剤や接着剤を一定の厚みで塗布するよりも簡単に反射板570を基材560の表面に張り付けることができる。
【0076】
なお、
図16に示すように、反射部材523Aと、反射部材523Bとからなる中央反射部材555は、熱伝導性に優れた軽量の金属、例えばアルミニウム合金、から形成された基材660の側面に沿って反射板570が加圧されて貼りつけられて形成されている。基材660は、両側面662,663が頂点661から略V字形状に延びる曲面に形成されている。基材660は、両側面662,663の表面形状に沿わせて反射板570が取り付けられた際に、各側面662,663に対向配置される光源モジュール450の光が反射板570で反射されて所定の集光点に集光するように光学設計された曲面に形成されている。
【0077】
なお、反射部材523は、300〜400μmの板厚を有する熱伝導性に優れた材料からなる反射板570を基材560の表面に張り付けた構成であるため、反射板570全体に光照射による熱を伝熱して、放熱させることができる。よって、蒸着膜によって反射膜を構成した反射部材23に比べて、反射板570の構成だけでも放熱性を向上させることができる。そのため、金属から形成した基材560に反射板570を取り付けた第2の実施形態の変形例として、樹脂から形成した基材760に反射板570を取り付ける構成であっても良い。
【0078】
図17は、樹脂から形成した基材760に反射板570を取り付けた反射部材723を示す図である。
図18は、反射部材723Aと、反射部材723Bとからなる中央反射部材755を示す図である。
図17に示すように、樹脂から形成した基材760に反射板570を取り付ける構成では、光源25、又は光源525は、上述した第1の実施形態と同様に、支持基部26に支持され、支持基部26を介して冷却部材22により冷却される。
反射板570は、樹脂の基材760に両面テープ770によって、表面に沿って均して貼りつけられる。反射板570は、光源からの光照射による熱を反射板570の全体に伝熱して放熱するので、基材760の温度が高くなり変形するのを防止することができる。
【0079】
なお、
図18に示すように、中央反射部材755は、樹脂材から形成された基材780の側面に沿って反射板570が加圧されて貼りつけられて形成されている。基材780は、両側面782,783が頂点781から略V字形状に延びる曲面に形成されている。基材780は、両側面782,783の表面形状に沿わせて反射板570が取り付けられた際に、各側面782,783に対向配置される光源25の光が反射板570で反射されて所定の集光点に集光するように光学設計された曲面に形成されている。
【0080】
以上説明したように、本発明を適用した実施形態によれば、光源525と、光源525の光を反射して集光点に集光する反射部材523と、を有する光源ユニット531を備え、光源ユニット531が複数並べて配置され、反射部材523は、基材560と、基材560の表面に沿って取り付けられる薄板状の反射板570と、を備え、光源525は、隣の光源ユニット531の基材560に保持されている。
この構成によれば、基材560と、反射板570とは別体に構成し、所定の厚みを有する薄板状の反射板570を基材560の表面に沿って取り付けて反射部材523を構成している。このため、光源525からの光照射による反射板570の熱が基材560に伝熱されにくくなり、基材560の熱変形を抑制することができる。また、反射板570を基材560の表面に沿って取り付けて反射面を形成することができるため、基材560の表面に蒸着して反射面を形成する、又は基材560の表面を鏡面仕上げして反射面を形成する構成に比べて、簡単に反射面を形成することができる。よって、製造しやすく、放熱性が高い反射部材523を備えた照射ユニット520を提供することができる。
【0081】
また、本発明を適用した実施形態によれば、基材560は金属材料から形成されている。
この構成によれば、光源モジュール450の実装基板626を直接基材560に取り付けて、LED625からの発熱を基材560に伝熱して、LED625を冷却することができる。また、反射板570から基材560に光源525の光照射による熱が伝熱されても、基材560が熱変形を起こすことがない。また、基材560の表面に鏡面仕上げして反射面を形成するのに比べて、基材560の表面に沿って反射板570を取り付けるだけで反射面を形成することができるため、大幅に手間を省くことができる。よって、製造しやすく、放熱性が高い反射部材523を備えた照射ユニット520を提供することができる。
【0082】
また、本発明を適用した実施形態によれば、基材760は樹脂材料から形成されている。
この構成によれば、金属材から形成された反射板570を樹脂材料の基材760の表面に沿って取り付けて反射面を形成しているため、反射板570の光照射部分の熱を反射板570の全体に伝熱して放熱することができ、基材760の熱変形を抑制することができる。また、反射板570は、基材の表面に蒸着された反射膜に比べて、反射面にシワがよったり、剥がれたりすることがない。
【0083】
また、本発明を適用した実施形態によれば、反射板570は、300μm〜400μmの厚みtに形成されている。
この構成によれば、基材560の表面に多少凹凸があっても反射板570で隠すことができ、且つ、基材560の表面に沿わせて均しやすい。例えば反射板570の厚みtが300μmより薄くなると、取り扱いが難しく、基材560の表面に凹凸があると、その凹凸が反射板で隠すことができなくなり、反射面に凹凸が出てしまう。また、反射板570の厚みtが400μmより厚いと、基材560の表面形状に沿って均しにくくなる。よって、反射板570の厚みtを300μm〜400μmとすることで、製造しやすく、反射性能の高い反射部材523を構成することができる。
【0084】
また、本発明を適用した実施形態によれば、基材560は、光源525に対向する面である一方の側面562が曲面に形成され、反射板570が、当該曲面に沿って貼りつけられている。
この構成によれば、基材560の一方の側面562が曲面であっても、当該曲面に沿って精度良く反射板570を取り付けることができ、曲面反射面を精度良く構成することができる。よって、曲面反射面を蒸着や鏡面仕上げで形成するよりも簡単に、精度の良い反射面を形成することができる。
【0085】
また、本発明を適用した実施形態によれば、光源525は、複数のLED625が一列に並べて配置されたライン状光源であり、基材560は、光源525の延在方向に亘って延び、光源ユニット531の光源525に対向する一方の側面562と、隣の光源ユニット531の光源525を保持する光源保持部として機能する凹部451を有する他方の側面563とが連続するV字形状に形成され、反射板570は、基材560にV字の頂点側から被せられて、一方の側面562と、他方の側面563との両面に貼りつけ設けられている。
この構成によれば、曲面である一方の側面562と、平面の他方の側面563との両面に反射面を簡単に形成することができる。これにより、光源525からの光の主反射面となる一方の側面562側の曲面反射面と、隣の光源ユニット531の主反射面で反射された光のうち、集光点に向けて反射されない光の一部を反射させて集光点Fに向かわせる補助反射面として機能する他方の側面563側の補助反射面とを容易に形成することができる。
【0086】
なお、上述の実施形態は本発明の一態様であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能であるのは勿論である。
図11は、変形例の照射ユニット120を示す断面図である。
図11に示すように、照射ユニット120は、例えば、反射面240A,240Bが対向配置される一対の反射部材230A,230Bと、反射部材230A,230Bの両側に配置される反射部材230C,230Dとを備え、各反射部材230A〜230Dの反射面240A〜240Dに光源250を対向配置した構成であっても良い。照射ユニット120では、照射ユニット光軸A側に反射部材230A〜230Dが配置され、照射ユニット光軸Aから遠い側に光源250が配置される。反射部材230A,230Bには、隣の光源ユニット310C,310Dの光源250が収められる凹み部580A,580Bが形成される。このように、反射部材230A,230Bに、隣の光源ユニット310C,310Dの光源250を収める凹み部570A,570Bを備えたため、照射ユニット120の幅方向の寸法を小さくすることができる。
【0087】
また、上述した実施形態では、LED125、625は、紫外線を放射するものとして説明したが、これに限定されず、赤外光や可視光を放射するものでもよい。例えば、赤外光を照射させるLEDを光源に用いて場合には、フィルム製造の分野に光照射装置10を用いることができる。
また、上述した実施形態では、発光素子の一例として、LEDを例示したが、これに限らず、任意の発光素子を光源に用いることができる。