(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書および添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0011】
尚、以下説明では、
図1〜
図3において、紙面上での上側を空気予熱器又はエレメントの上面として説明し、紙面上での下側を空気予熱器又はエレメントの下面として説明し、紙面上での左側を空気予熱器の左部として説明し、紙面上での右側を空気予熱器の右部として説明する。
【0012】
尚、
図1〜
図3において、同一の装置・部材については同一の数字を付して説明する。
【0013】
===空気予熱器20の構成===
図1、
図2を参照しつつ、空気予熱器20のエレメント21の構成について説明する。
図1は、本実施形態に係る一部に断面が示される空気予熱器20のエレメント21の一例を示す斜視図である。
図2は、本実施形態に係るエレメント21の拡大斜視図である。
【0014】
<<発電所>>
例えば、火力発電所(不図示)には、ボイラ(不図示)が配置されている。ボイラは、外部から供給される燃料(例えば微粉炭の状態の石炭)と燃焼用空気を混合して燃焼ガスを生成し、燃焼ガスの熱(燃焼熱)を用いて水を水蒸気に換える熱交換装置である。ボイラは、発生させた高温・高圧の水蒸気をタービン(不図示)に送り込む。タービンは、ボイラ内で発生した高温・高圧の蒸気が送り込まれることで、羽車を回転させて、羽車が接続されるタービンの軸が、それと同軸に接続される発電機(不図示)の回転軸を回転させる装置である。そして、ボイラは、例えば、過熱器(不図示)、再熱器(不図示)、節炭器(不図示)、空気予熱器20により、燃料効率を向上させて駆動している。過熱器は、ボイラ内に配置される蒸発管で発生する飽和蒸気を加熱して過熱蒸気を発生させる装置である。過熱蒸気を発生させることにより、熱効率の向上が図れ、タービン翼の損傷を防ぐことができる。再熱器は、タービンから排出される飽和蒸気を再度加熱して過熱蒸気を発生させる装置である。発生された過熱蒸気は、タービンの低圧部に送られる。節炭器は、電熱部の蒸発器で燃焼ガスと給水とを熱交換して、給水を予熱する装置である。つまり、節炭器は、煙道から煙突に排出される燃焼ガスの余熱で給水を加熱し、ボイラ効率を高めている。
【0015】
<<空気予熱器20>>
空気予熱器20は、煙道から煙突に排出される節炭器出口の燃焼ガスの余熱で燃焼用空気を加熱し、ボイラ効率を高める装置である。具体的には、
図1に示すように、燃焼ガスは、例えば、空気予熱器20の上面の右部から圧送され、下面の右部から抜ける。一方、燃焼用空気は、燃焼ガスとは反対側における、空気予熱器20の下面の左部から圧送され、上面の左部から抜ける。これからわかるように、空気予熱器20の右部のエレメント21が高温の燃焼ガスで熱せられ、その熱が左部に伝達されて燃焼用空気が熱を吸収する。尚、空気予熱器20は、回動軸を中心に回動する構造を有するため、燃焼ガスから燃焼用空気への熱伝達を効率良く行うことができる。
【0016】
図2に示すように、空気予熱器20は、燃焼ガスの熱を回収するために、蓄熱体(以下、「エレメント21」と称する。)を格子状に配置して構成されている。つまり、空気予熱器20では、燃焼ガスがエレメント21の格子の間隙を流通する間に、燃焼ガスの熱がエレメント21に伝達され、その熱がエレメント21を介して燃焼用空気に伝達する所謂熱交換が行われる。又、燃焼ガスには、灰、錆など(以下、「灰等」と称する。)が含まれている。従って、燃焼ガスが空気予熱器20を通過する際に、燃焼ガスに含まれる灰等がエレメント21に付着する(以下、「付着物」と称する。)。付着物のエレメント21への付着を放置しておくと、エレメント21の間隙には、付着物による目詰まりが生じるため、燃焼ガスの流通を阻害する。これにより空気予熱器20の熱交換の効率が低下するため、施設管理者は、定期的にエレメント21を洗浄しなければならない。
【0017】
<<エレメント21>>
図2に示すように、エレメント21は、例えば、上面から下面に向かって見たときに波付形状を呈し、回転軸から放射状に延びる板形状を呈している。つまり、エレメント21は、回転軸を中心にして回転方向に一定の間隙を有して積層されるように構成されている。燃焼ガスに含まれる灰等は、エレメント21の間隙を埋めるように付着する。エレメント21は、例えば、上面から順に、高温層エレメント21A、中温層エレメント21B、低温層エレメント21Cの3層が回動軸の軸方向に沿って積層して構成されている。又、高温層、中温層、低温層の各エレメント(21A,21B,21C)は、例えば、周方向においてセクター21D単位で区分されている。さらに、各セクター21Dは、例えば、回動軸の径方向に向かってバスケット毎(Aバスケット21E、Bバスケット21F、Cバスケット21G)に区分されて構成されている。
【0018】
図2に示すように、エレメント21の洗浄は、例えば、上面から下面に向かって、エレメント21の間隙に高圧水(30MPa)を噴射して行われる。つまり、エレメント21の間隙に付着している付着物は高圧水で除去される。
【0019】
しかし、上述したエレメント21の構造(波付形状)では、上面から下面に向かって高圧水を噴射しても全ての付着物を除去できずに一部の付着物についてはそのまま残り、さらに、ハイバースコープ等でエレメント21を目視確認しても付着物を発見できず、付着物が堆積したまま放置される虞があった。
【0020】
そこで、後述する付着物判定装置10では、エレメント21を洗浄した後に、エレメント21への付着物の付着の度合いを判定する。
【0021】
===付着物判定装置10の構成===
以下、
図3、
図4を参照しつつ、本実施形態に係る付着物判定装置10について説明する。
【0022】
図3は、本実施形態に係る付着物判定装置10の構成の一例を示す図である。
図4は、本実施形態に係る記憶部14に格納されるデータベース14Aの一例を示す表である。
【0023】
付着物判定装置10は、例えば、空気予熱器20のエレメント21の下面から光を照射し、光がエレメント21の間隙を通過してエレメント21の上面から出射した光の輝度に基づいて、エレメント21への付着物の付着の度合いを判定する装置である。つまり、付着物判定装置10は、これまでハイパースコープ等による目視で行っていたエレメント21の付着物の確認を、エレメント21の間隙を通過する光の輝度に基づいて定量的に行える装置である。尚、付着状態を判定するために輝度を用いた理由は、エレメント21を洗浄した前後において、エレメント21の間隙を通過する光の輝度の増加率(比率)が一定値以上を示した場合、燃焼ガスが流通している状態において、エレメント21の上面と下面との差圧が正常値を示すことが実績として理解されているためである。
【0024】
図3に示すように、付着物判定装置10は、例えば、投光部11、受光部12、判定部13、記憶部14を含んで構成されている。
【0025】
<<投光部11>>
投光部11は、例えば、エレメント21の下面に第1光を照射する装置である。投光部11は、例えば、LED照明器具11A、照明制御器11Bを含んで構成されている。照明制御器11Bは、例えば、後述する判定部13と電気的に接続されており、判定部13から送信される点灯制御信号(詳細は後述する)を受信すると、点灯制御信号に応じてLED照明器具11AがON又はOFFされるように構成されている。尚、上述したように、投光部11では、照明制御器11BによるLED照明器具11Aに対するON又はOFFの制御を想定しているが、照明制御器11Bを用いずに、作業員によるLED照明器具11Aに対するON又はOFFの操作も可能であることとする。又、照明制御器11Bは、例えば、PLC(プログラマブル・ロジック・コントローラ)で構成されている。
【0026】
<<受光部12>>
受光部12は、例えば、エレメント21の下面の投光部11から照射された第1光がエレメント21の間隙を通過した後に、エレメント21の上面から出射する第2光を受光する装置である。受光部12は、例えば、輝度計12A、輝度制御器12Bを含んで構成されている。
【0027】
輝度計12Aは、第2光の輝度を測定して、測定結果の輝度値をデジタル信号又はアナログ信号で、輝度制御器12B又は判定部13に送信する。上述したように、輝度計12Aは、輝度制御器12Bを介して輝度値を示す情報を判定部13に送信してもよいし、輝度制御器12Bを介さずに輝度値を示す情報を判定部13に送信してもよい。
【0028】
輝度制御器12Bは、例えば、後述する判定部13と電気的に接続されており、判定部13から送信される計測制御信号(詳細は後述する)を輝度制御器12Bが受信すると、輝度制御器12Bが輝度計12Aに対して、輝度の計測を開始又は終了させるように構成されている。尚、輝度計12Aへの制御手段は、輝度制御器12Bによる制御を想定しているが、輝度制御器12Bを用いずに、作業員が輝度計12Aに対して計測を開始又は終了する操作も可能とする。又、輝度制御器12Bは、例えば、PLC(プログラマブル・ロジック・コントローラ)で構成されている。
【0029】
<<判定部13>>
判定部13は、投光部11及び受光部12を起動又は停止させるための制御信号を出力する機能を有し、さらに、受光部12の測定結果に基づいてエレメント21の付着物の付着の度合いを判定する機能を有する装置である。判定部13は、例えば、投光部11及び受光部12と電気的に接続されている。判定部13は、例えば、ROM(不図示)、RAM(不図示)、CPU(不図示)を含んで構成されている。判定部13は、例えば、投光部11に対して点灯制御信号を出力し、受光部12に対して計測制御信号を出力する。点灯制御信号とは、投光部11のLED照明器具11Aを点灯させる制御信号と、投光部11のLED照明器具11Aを消灯させる制御信号とを含んだ信号である。計測制御信号とは、受光部12の輝度計12Aを起動させる制御信号と、受光部12の輝度計12Aを停止させる制御信号とを含んだ信号である。
【0030】
エレメント21を洗浄する前において、判定部13は、投光部11から照射される第1光がエレメント21の間隙を通過した後に、受光部12によって測定された第2光の輝度(以下、「洗浄前輝度」と称する。)を示す情報を、受光部12から受信する。尚、判定部13は、受光部12から受信する情報として、エレメント21の夫々のセクター21Dの各バスケット(Aバスケット21E、Bバスケット21F、Cバスケット21G)で測定された洗浄前輝度(以下、Aバスケット21Eの輝度を洗浄前輝度Aと称し、Bバスケット21Fの輝度を洗浄前輝度Bと称し、Cバスケット21Gの輝度を洗浄前輝度Cと称する。)を示す情報の夫々を取得する。そして、判定部13は、例えば、各バスケットにおいて、受光部12が複数箇所で洗浄前輝度を測定し、受光部12から送信される複数の洗浄前輝度のうち最大値を示す洗浄前輝度を各バスケットの洗浄前輝度として判定する。
【0031】
エレメント21を洗浄した後において、判定部13は、投光部11から照射される第1光がエレメント21の間隙を通過した後に、受光部12によって測定された第2光の輝度(以下、「洗浄後輝度」と称する。)を示す情報を、受光部12から受信する。尚、判定部13は、受光部12から受信する情報として、エレメント21の夫々のセクター21Dの各バスケット(Aバスケット21E、Bバスケット21F、Cバスケット21G)で測定された洗浄後輝度(以下、Aバスケット21Eの輝度を洗浄後輝度Aと称し、Bバスケット21Fの輝度を洗浄後輝度Bと称し、Cバスケット21Gの輝度を洗浄後輝度Cと称する。)を示す情報の夫々を取得する。そして、判定部13は、例えば、各バスケットにおいて、受光部12が複数箇所で洗浄後輝度を測定し、受光部12から送信される複数の洗浄後輝度のうち最大値を示す洗浄後輝度を各バスケットの洗浄後輝度として判定する。
【0032】
判定部13は、洗浄前輝度と洗浄後輝度とに基づいて、エレメント21に対する付着物の付着の度合いを判定する。具体的には、判定部13は、例えば、Aバスケット21Eの領域において、エレメント21の洗浄前に、受光部12が測定した洗浄前輝度Aを受信し、エレメント21の洗浄後に、受光部12が測定した洗浄後輝度Aを受信し、洗浄前輝度Aに対する洗浄後輝度Aの比率を算出する。比率は、洗浄後輝度Aを洗浄前輝度Aで除した値を百分率で表した値である。そして、判定部13は、Bバスケット21F及びCバスケット21Gにおいても、同様に比率を算出する。
【0033】
判定部13は、比率が所定の閾値以上であるとき、付着物の除去が適正になされているという判定を行う。一方、比率が所定の閾値未満であるとき、付着物の除去が適正になされていないという判定を行う。つまり、判定部13は、各バスケットにおいて、付着物の除去が適正になされているか否かの判定を行う。又、判定部13は、上述したように、各バスケットで行われる判定と併せて、各バスケットで算出された比率の平均値(以下、「平均比率」と称する。)を算出し、平均比率と所定の閾値とを比較して、付着物の除去が適正になれさているか否かの判定を行う。つまり、判定部13は、各バスケットが含まれるセクター21Dにおいて、付着物の除去が適正になされているか否かの判定を行う。
【0034】
具体的には、判定部13は、例えば、閾値を400%として、Aバスケットの比率が450%と算出された場合、Aバスケットにおいては付着物の除去が適正になされていると判定し、比率が250%と算出された場合、Aバスケットにおいては付着物の除去が適正になされていないと判定する。つまり、判定部13は、Aバスケットの付着物の除去が適正になされているか否かを判定できる。そして、判定部13は、同様に、Bバスケット及びCバスケットについても判定する。さらに、判定部13は、例えば、閾値を400%として、各バスケットが含まれるセクター21Dの平均比率が440%と算出された場合、当該セクター21Dの付着物の除去が適正になされていると判定し、平均比率が250%と算出された場合、当該セクター21Dの付着物の除去が適正になされていないと判定する。つまり、判定部13は、当該セクター21Dの付着物の除去が適正に行われているか否かを判定できる。
【0035】
尚、閾値については、実験の結果に基づいて、400%に設定することが好ましいが、その値を限定するものではない。又、閾値は、作業員によって適宜設定されるものとする。又、上述したように、Aバスケット21Eの領域についての判定を、同様にBバスケット21F、Cバスケット21Gについても行うこととする。これにより、Aバスケット21E、Bバスケット21F、Cバスケット21G及びセクター21Dに対して付着物の付着の度合いを判定することができる。
【0036】
<<記憶部14>>
図4を参照しつつ、本実施形態に係る記憶部14に格納されるデータベース14Aについて説明する。
【0037】
記憶部14は、判定部13から入力される情報を所定の形式で記憶する装置である。記憶部14は、例えば、判定部13と電気的に接続されている。記憶部14は、例えば、ハードディスクを含んで構成されている。記憶部14は、例えば、判定部13から入力される洗浄前輝度、洗浄後輝度、比率、第1判定、平均比率及び第2判定をデータベース14Aの形式で記憶する機能を有する。
【0038】
図4に示すように、データベース14Aは、例えば、各セクター21D、各バスケット、洗浄前輝度、洗浄後輝度、比率、第1判定、平均比率及び第2判定を関係付けたデータベース14Aである。セクターの列には、洗浄対象の夫々のセクター21Dの番号を示す情報が入力される。バスケットの列には、セクター21Dに含まれる夫々のバスケットの番号を示す情報が入力される。洗浄前輝度の列には、エレメント21の洗浄前において、判定部13から入力される各バスケットの洗浄前輝度を示す情報が入力される。洗浄後輝度の列には、エレメント21の洗浄後において、判定部13から入力される各バスケットの洗浄後輝度を示す情報が入力される。比率の列には、判定部13で算出された比率を示す情報が入力される。第1判定の列には、判定部13で判定された結果を示す情報が入力され、例えば適正になされているという判定の場合は「○」が入力され、適正になされていないという判定の場合は「×」が入力される。平均比率の列には、判定部13で算出された平均比率を示す情報が入力される。第2判定の列には、判定部13で判定された結果を示す情報が入力され、例えば適正になされているという判定の場合は「○」が入力され、適正になされていないという判定の場合は「×」が入力される。これにより、操作員は判定結果を確認できる。
【0039】
===判定手順===
以下、
図5を参照しつつ、本実施形態に係る付着物判定装置10の判定手順について説明する。
図5は、本実施形態に係る判定手順を示すフロー図である。
【0040】
電力会社等は、空気予熱器20の定期点検等において、空気予熱器20のエレメント21を洗浄して空気予熱器20の健全性の確保と運転効率の向上を図る。空気予熱器20のエレメント21の洗浄には、高圧水を用いて付着物を除去する方法がとられているが、付着物が除去されたか否かの判定は目視で行っていた。そこで、電力会社等は、付着物判定装置10による以下の判定手順に基づいてエレメント21への付着物の残存度合いを判定することとする。
【0041】
先ず、付着物判定装置10の判定部13を起動する。判定部13は、エレメント21の一方の面(例えば下面)に配置されている投光部11に第1光を照射させるために、投光部11に点灯制御信号を出力する(S100)。投光部11は、点灯制御信号を受信すると点灯を開始し、エレメント21の一方の面に第1光を照射する(S101)。次に、判定部13は、エレメント21の他方の面(例えば上面)に配置されている受光部12が第2光を測定できるように、受光部12に計測制御信号を出力する(S102)。受光部12は、計測制御信号を受信すると第2光の輝度の測定を開始する(S103)。以下の手順を繰り返して、セクター21Dの各バスケット(Aバスケット〜Cバスケット)について判定する(S104)。
【0042】
エレメント21の洗浄前においては(S105:洗浄前)、判定部13は、受光部12から洗浄前輝度を示す情報を受信し(S106,S107)、洗浄前輝度を示す情報を記憶装置に送信する(S108)。これにより、データベース14Aは、洗浄前輝度を示す情報が入力された状態となる。
【0043】
エレメント21の洗浄後においては(S105:洗浄後)、判定部13は、受光部12から洗浄後輝度を示す情報を受信し(S109,S110)、洗浄後輝度を示す情報を記憶装置に送信する(S111,S112)。これにより、データベース14Aは、洗浄前輝度を示す情報に対応する洗浄後輝度を示す情報が入力された状態となる。
【0044】
次に、判定部13は、データベース14Aから洗浄前輝度と洗浄後輝度とを読み込んで(S113)、洗浄前輝度に対する洗浄後輝度の比率を算出する(S114)。比率は、洗浄後輝度から洗浄前輝度を除して算出された値を百分率で表して求められる。判定部13は、比率を示す情報を記憶部14に送信する(S114,S115)。これにより、データベース14Aは、洗浄前輝度を示す情報と、洗浄後輝度を示す情報と、比率を示す情報とが関係付けられて入力された状態となる。
【0045】
判定部13は、比率と、閾値とを比較して、比率が閾値以上である場合は、適正になされているという判定「○」をデータベース14Aに入力し、比率が閾値未満である場合は、適正になされていないという判定「×」をデータベース14Aに入力する(S116,S117)。上記の手順を繰り返す(S118)。
【0046】
判定部13は、データベース14Aから比率を読み込んで(S119)、セクター21Dの平均比率を算出する(S120)。平均比率は、セクター21Dの各バスケットの夫々の比率を平均して求められる。
【0047】
判定部13は、平均比率と、閾値とを比較して、平均比率が閾値以上である場合は、適正になされているという判定「○」をデータベース14Aに入力し、平均比率が閾値未満である場合は、適正になされていないという判定「×」をデータベース14Aに入力する(S121,S122)。これにより、データベース14Aは、洗浄前輝度を示す情報と、洗浄後輝度を示す情報と、比率を示す情報と、平均比率を示す情報と、判定の結果を示す情報とが関係付けられて入力された状態となる。
【0048】
以上で、判定部13は、判定手順を終了する。上述した判定手順を夫々のセクター21Dに対して行うことで、エレメント21の付着物の付着の度合いが判定できる。
【0049】
===他の実施形態===
<<投光部11>>
上記において、投光部11は、エレメント21の下面に第1光を照射するように配置されているとして説明したが、これに限定されない。例えば、投光部11は、上面から第1光を照射するように配置されてもよく、受光部12が下面に配置されて第2光を受光できればよい。
【0050】
上記において、投光部11は、LED照明器具11Aを含んで構成されているとして説明したが、これに限定されない。例えば、投光部11は、HIDランプ、ハロゲンランプ又はナトリウムランプを含んで構成されていても良く、ランプの種類を限定するものではない。投光部11は、エレメント21の上面と下面との間を通過できる程度の輝度の光を照射できるランプであればよい。
【0051】
上記において、投光部11は、照明制御器11Bを含んで構成されているとして説明したが、これに限定されない。例えば、投光部11は、照明制御器11Bを含まなくてもよい。LED照明器具11AのON又はOFFの操作については、作業員が手動で行えばよい。
【0052】
上記において、投光部11は、1台で構成されているように記載したが、これに限定されない。例えば、投光部11は、複数台で構成されていてもよい。この場合では、1台の投光部11には、1台の受光部12が配置されることとなる。複数台で構成される場合においては、複数の比率を得ることができるため、より精度の高い判定結果が得られる。
【0053】
<<受光部12>>
上記において、受光部12は、輝度計12Aを含んで構成されているとして説明したが、これに限定されない。例えば、受光部12は、輝度計12Aに替えて照度計を含んで構成されてもよい。受光部12には、投光部11から照射される光の強度を測定できればよいためである。
【0054】
上記において、受光部12は、輝度制御器12Bを含んで構成されているとして説明したが、これに限定されない。例えば、受光部12は、輝度制御器12Bを含まなくてもよい。輝度計12Aの操作については、作業員が手動で行えばよい。
【0055】
上記において、受光部12は、1台で構成されているように記載したが、これに限定されない。例えば、受光部12は、複数台で構成されていてもよい。この場合では、1台の受光部12には、1台の投光部11が配置されることとなる。複数台で構成される場合においては、複数の比率を得ることができるため、より精度の高い判定結果が得られる。
【0056】
<<判定部13>>
上記において、判定部13は、比率に基づいて付着物の除去が適正になされているか否かを判定するように記載したが、これに限定されない。例えば、判定部13は、エレメント21の洗浄後における輝度又は照度の値に基づいて付着物の除去が適正になされているか否かを判定してもよい。
【0057】
上記において、判定部13は、1つの受光部12からの輝度に基づいて判定するように記載したが、これに限定されない。例えば、判定部13は、投光部11及び受光部12の夫々が複数台で構成されているとき、複数の受光部12から受信する洗浄前輝度及び洗浄後輝度に基づいて複数の比率を算出し、複数の比率を平均して求められる比率を各バスケットにおける比率として算出する。そして、判定部13は、各バスケットの比率が所定の閾値以上である場合では、各バスケットの付着物の除去が適正になされているという判定をし、各バスケットの比率が所定の閾値未満である場合では、各バスケットの付着物の除去が適正になされていないという判定をする。さらに、各バスケットにおいて算出された比率の平均値である平均比率を算出し、平均比率と所定の閾値とを比較して、各バスケットが含まれるセクター21Dの付着物の除去が適正になれさているか否かの判定を行う。これにより、判定の根拠とする比率の精度が向上するため、より精度の高い判定結果が得られる。
【0058】
<<記憶部14>>
上記において、記憶部14は、判定部13と電気的に接続されているとして説明したが、これに限定されない。例えば、記憶部14は、判定部13と一体的に設けられていてもよく、つまりは、判定部13にデータベース14Aが格納されていてもよい。
【0059】
===まとめ===
以上説明したように、本実施形態に係る付着物判定装置10は、空気予熱器20のエレメント21に対する付着物の付着の度合いを判定する付着物判定装置10であって、エレメント21の下面に配置される投光部11と、投光部11からの光を受光できるように、エレメント21の上面に配置される受光部12と、付着物を除去するための洗浄前に受光部12で受光される光の洗浄前輝度(又は照度)と、付着物を除去するための洗浄後に受光部12で受光される光の洗浄後輝度(又は照度)と、に基づいて、エレメント21に対する付着の度合いを判定する判定部13と、を備えることを特徴とする。本実施形態によれば、エレメント21の付着物を目視によらず、付着状態を定量的に判定することができるため、作業効率の向上が図れる。
【0060】
又、本実施形態に係る付着物判定装置10において、判定部13は、洗浄前輝度(又は照度)に対する洗浄後輝度(又は照度)の比率又は平均比率を算出し、比率又は平均比率と所定の閾値とを比較することによって付着物の付着の度合いを判定することを特徴とする。本実施形態によれば、エレメント21の洗浄前後における光の輝度(又は照度)の比率に基づいて、エレメント21の付着物の付着状態を定量的に判定することができるため、作業効率の向上が図れる。
【0061】
又、本実施形態に係る付着物判定装置10において、投光部11は、下面の複数の位置に複数設けられ、受光部12は、上面の複数の位置に複数設けられることを特徴とする。本実施形態によれば、一組での比率よりも、より正確に判定することができるため、作業の確実性の向上が図れる。
【0062】
又、本実施形態に係る付着物判定装置10において、判定部13は、複数の洗浄前輝度(又は照度)に対する複数の洗浄後輝度(又は照度)の夫々の比率の平均値を算出し、比率の平均値と所定の閾値とを比較することによって前記付着の度合いを判定することを特徴とする。本実施形態によれば、エレメント21の洗浄前後における光の輝度の複数の比率の平均値に基づいて、エレメント21の付着物の付着状態を定量的に判定するため、作業の確実性の向上が図れる。
【0063】
又、本実施形態に係る付着物判定装置10において、投光部11は、LED照明器具11Aを含むことを特徴とする。本実施形態によれば、LED照明器具11A以外の照明器具を使用するよりもコストの縮減が図れる。
【0064】
又、本実施形態に係る付着物判定装置10において、投光部11からの光を受光する受光部12は、輝度計12Aを含むことを特徴とする。本実施形態によれば、光の強度を輝度として測定することができ、比率を正確に算出することができる。
【0065】
尚、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。