特許第6772624号(P6772624)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6772624
(24)【登録日】2020年10月5日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】車両開閉体操作装置
(51)【国際特許分類】
   E05B 79/20 20140101AFI20201012BHJP
   B60J 5/00 20060101ALI20201012BHJP
【FI】
   E05B79/20
   B60J5/00 M
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-148496(P2016-148496)
(22)【出願日】2016年7月28日
(65)【公開番号】特開2018-17035(P2018-17035A)
(43)【公開日】2018年2月1日
【審査請求日】2019年6月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】柴山 智志
(72)【発明者】
【氏名】牧野 禎之
【審査官】 鈴木 智之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−034423(JP,A)
【文献】 特開2011−185312(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0038074(US,A1)
【文献】 特開平08−296621(JP,A)
【文献】 実開平01−090225(JP,U)
【文献】 特開2007−174724(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0060908(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0018057(US,A1)
【文献】 独国特許発明第102010007256(DE,B3)
【文献】 独国特許出願公開第19924028(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 77/00−85/28
B60J 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦壁部を有し、該縦壁部には、その起立方向に開口する保持溝であって連通方向にケーブルの挿入される保持溝が一方向に並ぶように複数形成されるとともに隣り合う前記保持溝の間で板厚方向に支持側係止部が突設された支持部材と、
前記板厚方向に延びる軸線の周りに前記縦壁部に軸支される軸部、該軸部から前記縦壁部にならって延伸して前記複数の保持溝の開口を覆うアーム部、及び該アーム部に前記板厚方向に突設されて前記支持側係止部を掛止するカバー側係止部を有するカバーと、を備え
前記支持側係止部及び前記カバー側係止部を、前記板厚方向両側の各々に配置した、車両開閉体操作装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両開閉体操作装置において、
前記カバーは、前記起立方向に前記カバー側係止部から延伸する解除用突片を有した、車両開閉体操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両開閉体操作装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両開閉体操作装置としては、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。この車両開閉体操作装置(リモコン装置)は、車両開閉体(スライドドア)内に設置されており、支持部材(機構盤)を有するとともに、該支持部材に支持された複数のレバー等(以下、「機構部」という)を有する。機構部は、車両開閉体に設置された複数(3つ)のドアロック装置の各々にケーブルを介して接続されており、これらドアロック装置に解除操作力を出力する。これにより、ドアロック装置は、例えば閉状態に保持していた車両開閉体を開可能状態にする。
【0003】
ここで、こうした車両開閉体操作装置による複数のケーブルの保持構造の一例について説明する。
図4に示すように、車両開閉体操作装置の支持部材90は、一方向(図示左右方向)に並ぶように複数の保持溝92の形成された縦壁部91を有する。各保持溝92は、縦壁部91の起立方向(図示上方)に向かって開口する略U字形状を呈する。なお、複数の保持溝92の並設方向において、縦壁部91の一側(図示左側)の先端には、略三角形の支持側係止部93が突設されている。
【0004】
各保持溝92には、その連通方向(紙面に直交する方向)にケーブル94(厳密には、駆動用の内側ケーブルを進退自在に収容する外側ケーブルの端末部)が挿入されている。そして、縦壁部91には、複数のケーブル94を抜け止めするカバー95が取着されている。
【0005】
すなわち、カバー95は、複数のケーブル94に対して支持側係止部93の反対側で板厚方向(紙面に直交する方向)に延びる軸線Oの周りに縦壁部91に軸支される軸部96を有するとともに、該軸部96から縦壁部91にならって延伸するアーム部97を有し、更に該アーム部97に垂設された略鉤爪状のカバー側係止部98を有する。図示2点鎖線で描いたように、カバー95は、アーム部97の先端部が複数の保持溝92の開口に近接する軸線Oの周りの回動位置で、カバー側係止部98が支持側係止部93に掛止されることで縦壁部91に固定される。これにより、ケーブル94の挿入された複数の保持溝92の開口がアーム部97によって共に覆われて、それら保持溝92に挿入された複数のケーブル94が抜け止めされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012−72645号公報(第2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、カバー95は、各保持溝92から抜け出そうとするケーブル94を、支持側係止部93に掛止されるカバー側係止部98で支える構造である。このため、カバー側係止部98から相対的に離れている片側(図示右側)の保持溝92から抜け出そうとするケーブル94の発生する力のモーメントが大きくなり、その分、カバー側係止部98等の強度を確保する必要がある。
【0008】
本発明の目的は、複数のケーブルの抜け止めに要する強度をより低減できる車両開閉体操作装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する車両開閉体操作装置は、縦壁部を有し、該縦壁部には、その起立方向に開口する保持溝であって連通方向にケーブルの挿入される保持溝が一方向に並ぶように複数形成されるとともに隣り合う前記保持溝の間で板厚方向に支持側係止部が突設された支持部材と、前記板厚方向に延びる軸線の周りに前記縦壁部に軸支される軸部、該軸部から前記縦壁部にならって延伸して前記複数の保持溝の開口を覆うアーム部、及び該アーム部に前記板厚方向に突設されて前記支持側係止部を掛止するカバー側係止部を有するカバーと、を備え、前記支持側係止部及び前記カバー側係止部を、前記板厚方向両側の各々に配置した
【0010】
この構成によれば、前記カバーは、前記各保持溝から抜け出そうとする前記ケーブルを、隣り合う前記保持溝の間に位置する前記支持側係止部を掛止する前記カバー側係止部で支えることになる。この場合、前記カバー側係止部及び前記各保持溝の離間距離を、隣り合う前記保持溝の離間距離よりも小さくできる。従って、前記保持溝から抜け出そうとする前記ケーブルの発生する力のモーメントを小さくでき、その分、前記カバー側係止部等に要する強度をより低減できる。
【0011】
の構成によれば、前記板厚方向両側に配置される2組の前記支持側係止部及び前記カバー側係止部が掛止することで、前記カバーは、前記各保持溝から抜け出そうとする前記ケーブルをより堅固に支えることができる。
【0012】
上記車両開閉体操作装置について、前記カバーは、前記起立方向に前記カバー側係止部から延伸する解除用突片を有することが好ましい。
この構成によれば、前記解除用突片を前記縦壁部に向かう前記板厚方向に弾性変形させれば、その反力で前記カバー側係止部が前記縦壁部から離れる前記板厚方向に、即ち前記支持側係止部との掛止代を縮小する方向に弾性変形する。これにより、前記支持側係止部から前記カバー側係止部をより簡易に外すことができ、ひいては前記カバーの取外し作業をより円滑化できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、複数のケーブルの抜け止めに要する強度をより低減できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】(a)、(b)は、車両開閉体操作装置の一実施形態についてその組付状態及び組付前の状態の構造を示す斜視図。
図2】(a)、(b)は、同実施形態の車両開閉体操作装置についてその組付状態及び組付前の状態の構造を示す側面図。
図3】スライドドアの概略構成を示す側面図。
図4】車両開閉体操作装置の従来形態についてその構造を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、車両開閉体操作装置の一実施形態について説明する。なお、以下では、車両の前後方向を「前後方向」といい、車両の高さ方向上方及び下方をそれぞれ「上方」及び「下方」という。また、車室内方に向かう車両の幅方向内側を「車内側」といい、車室外方に向かう車両の幅方向外側を「車外側」という。
【0016】
図3に示すように、車両ボデーの側部に適宜の支持部材(図示略)を介して支持される車両開閉体としてのスライドドア1は、前後方向への移動に伴って乗降用のドア開口を開閉するように構成されている。
【0017】
スライドドア1内には、リモコン(リモートコントロール)装置2が設置されている。このリモコン装置2は、複数のレバー等で構成される機構部2aを有する。また、スライドドア1内には、その前部及び後部にフロントロック3及びリアロック4がそれぞれ設置されるとともに、下部に全開ロック5が設置されている。これらフロントロック3、リアロック4及び全開ロック5の各々は、周知のラッチユニットを構成する。
【0018】
フロントロック3及びリアロック4の各々は、車両ボデー側と係合してスライドドア1を閉状態(全閉状態又は半ドア状態)に保持する。なお、フロントロック3及びリアロック4は、リモコン装置2の機構部2aにケーブルC1,C2をそれぞれ介して連結されており、該機構部2aからの解除操作力を受けて車両ボデーに対してスライドドア1を開可能状態にする。全開ロック5は、車両ボデー側と係合してスライドドア1を全開状態に保持する。この全開ロック5は、リモコン装置2の機構部2aにケーブルC3を介して連結されており、該機構部2aからの解除操作力を受けて車両ボデーに対してスライドドア1を閉可能状態にする。
【0019】
リモコン装置2には、その車内側部にインサイドハンドル6が設置されている。このインサイドハンドル6は、リモコン装置2の機構部2aに機械的に連係されており、該機構部2aを通じてフロントロック3、リアロック4及び全開ロック5の各々に解除操作力を入力する。
【0020】
例えばスライドドア1の閉状態において、乗員により中立位置から後方に操作されたインサイドハンドル6は、機構部2aに解除操作力を入力することで、該機構部2aを通じてフロントロック3及びリアロック4の各々に解除操作力を入力する。一方、スライドドア1の全開状態において、乗員により中立位置から前方に操作されたインサイドハンドル6は、機構部2aに解除操作力を入力することで、該機構部2aを通じて全開ロック5に解除操作力を入力する。
【0021】
スライドドア1には、その車外側部にアウトサイドハンドル7が設置されている。このアウトサイドハンドル7も、リモコン装置2の機構部2aに機械的に連係されており、該機構部2aを通じてフロントロック3、リアロック4及び全開ロック5の各々に解除操作力を入力する。
【0022】
例えばスライドドア1の閉状態において、乗員により中立位置から後方に操作されたアウトサイドハンドル7は、機構部2aに解除操作力を入力することで、該機構部2aを通じてフロントロック3及びリアロック4の各々に解除操作力を入力する。一方、スライドドア1の全開状態において、乗員により中立位置から前方に操作されたアウトサイドハンドル7は、機構部2aに解除操作力を入力することで、該機構部2aを通じて全開ロック5に解除操作力を入力する。
【0023】
また、スライドドア1内には、電動モータからなるリリースモータ8が設置されている。このリリースモータ8も、リモコン装置2の機構部2aに機械的に連係されており、該機構部2aを通じてフロントロック3、リアロック4及び全開ロック5の各々に解除操作力を入力する。
【0024】
例えばスライドドア1の閉状態において、乗員により遠隔操作(電子キーや車内のドア開閉ボタンの操作)されたリリースモータ8は、機構部2aに解除操作力を入力することで、該機構部2aを通じてフロントロック3及びリアロック4の各々に解除操作力を入力する。あるいは、リリースモータ8は、一定の条件の成立下(例えばスライドドア1を電動で開閉作動させる、いわゆるパワースライドドア装置を搭載する場合において、リアロック4が解除されてからパワースライドドア装置が開閉作動を開始するまでの間)で、機構部2aに解除操作力を入力し続けるものであってもよい。一方、スライドドア1の全開状態において、乗員により遠隔操作されたリリースモータ8は、機構部2aに解除操作力を入力することで、該機構部2aを通じて全開ロック5に解除操作力を入力する。あるいは、リリースモータ8は、一定の条件の成立下で、機構部2aに解除操作力を入力し続けるものであってもよい。
【0025】
次に、リモコン装置2による複数のケーブルC1〜C3の保持構造について説明する。
図1(a)、(b)に示すように、リモコン装置2は、その筐体をなす支持部材としてのベース盤20を備える。このベース盤20は、前述の機構部2aやインサイドハンドル6を支持する。これらに加えてリリースモータ8を支持してもよい。
【0026】
ベース盤20は、スライドドア1との設置面に沿って広がるベース部21を有する。ベース部21は、車両の高さ方向(図示左右方向)で第1ベース部21a及び第2ベース部21bに区画されており、第1ベース部21aの方が第2ベース部21bよりも車内側に凹んでいる。また、ベース盤20は、第1ベース部21aの上縁に沿って該第1ベース部21aから車外側に向かって略直交するように起立する側壁22を有する。さらに、ベース盤20は、ベース部21から車外側に向かって略直交するように起立するとともに車両の高さ方向に延在する縦壁部23を有する。この縦壁部23は、第1ベース部21a及び第2ベース部21bからそれぞれ起立する第1縦壁部23a及び第2縦壁部23bからなり、第1縦壁部23aの方が第2縦壁部23bよりも第1ベース部21aの凹み分だけ車内側に落ち込んでいる。なお、第1縦壁部23aは、上縁が側壁22に略直交するように接続されており、下縁が第1及び第2ベース部21a,21bの間の段差に略直交するように接続される状態で第2縦壁部23bに一体化されている。
【0027】
第1縦壁部23aの車外側の端部には、車外側(起立方向)に開口する略U字形状の保持溝としての第1保持溝24が車両の高さ方向(一方向)に並ぶように複数(2つ)形成されている。従って、両第1保持溝24は、前後方向に略一致する第1縦壁部23aの板厚方向に連通している。そして、上方の第1保持溝24には、車両の後方から延びてくるケーブルC1の先端部が挿入されており、下方の第1保持溝24には、同じく車両の後方から延びてくるケーブルC2の先端部が挿入されている。
【0028】
第2縦壁部23bの車外側の上端部には、車外側に開口する略U字形状の第2保持溝25が形成されている。従って、第2保持溝25は、前後方向に略一致する第2縦壁部23bの板厚方向に連通している。そして、第2保持溝25には、車両の後方から延びてくるケーブルC3の先端部が挿入されている。
【0029】
なお、各ケーブルC1〜C3は、駆動用の内側ケーブル及び該内側ケーブルを進退自在に収容する外側ケーブルを有しており、該外側ケーブルの端末部が第1保持溝24又は第2保持溝25に挿入・保持された状態で内側ケーブルが機構部2aに連結される。
【0030】
第1縦壁部23aには、隣り合う第1保持溝24の間で前後方向(板厚方向)両側に、支持側係止部としての略三角形の支持側係止爪26が突設されている。各支持側係止爪26は、第1縦壁部23aの車外側端から前後方向に向かうに従い車内側に向かいように傾斜するとともに、該傾斜の先端から第1縦壁部23aに略直交するように前後方向に屈曲する。一方、第2縦壁部23bには、その上端から上方に向かって略三角形の支持側補助爪27が突設されている。
【0031】
なお、図2(a)、(b)に示すように、第2縦壁部23bの車外側の下端部には、略円形の軸受孔28が形成されるとともに、該軸受孔28の上方斜め車内側に隣接して略円形の仮止め孔29が形成されている。そして、第2縦壁部23bには、例えば樹脂材からなるカバー30が連結されている。すなわち、カバー30は、縦壁部23を挟むように前後方向(紙面に直交する方向)に並設された一対の側壁部31を有するとともに、それら両側壁部31を前後方向に接続する接続壁部32を有する。
【0032】
各側壁部31は、軸受孔28を包囲する略三角形の支持部31aを形成するとともに、該支持部31aから第2縦壁部23bの車外側端にならって上方に延びる基端側延伸部31bを形成する。また、各側壁部31は、基端側延伸部31bの先端に接続されて第1及び第2縦壁部23a,23bの段差を吸収するように上方斜め車内側に延びる中間延伸部31cを形成するとともに、該中間延伸部31cの先端に接続されて第1縦壁部23aの車外側端にならって上方に延びる先端側延伸部31dを形成する。そして、接続壁部32は、第1及び第2縦壁部23a,23b等(縦壁部23)の車内側に近接してそれらにならって延伸しており、両第1保持溝24の開口及び第2保持溝25の開口を覆う。両側壁部31及び接続壁部32はアーム部を構成する。
【0033】
各支持部31aには、軸受孔28に対向してこれと略同心の略円柱状の軸部33が突設されている。この軸部33は、軸受孔28に挿入されて該軸受孔28の周り(板厚方向に延びる軸線の周り)に軸支されている。また、各支持部31aには、軸部33の周りの回動に伴い側壁部31が縦壁部23側から反転するように下方に延伸する姿勢にあるときの仮止め孔29に対向してこれと略同心の略円錐台状の仮止め突部34が突設されている。この仮止め突部34は、仮止め孔29に挿入されることで側壁部31の当該姿勢を軽微に保持する。
【0034】
図1に示すように、両側壁部31には、互いに相反する前後方向(縦壁部23の板厚方向)にカバー側係止部35が突設されている。各カバー側係止部35は、支持側係止爪26を挟む車両の高さ方向の位置で側壁部31から前後方向斜め車内側に延出する一対の延出部35aを有するとともに、両延出部35a間に挟まれた状態でそれら接続されて車内側に延出する略鉤爪状のカバー側係止爪35bを有する。各カバー側係止部35は、支持側係止爪26に前後方向で対向するカバー側係止爪35bにおいて支持側係止爪26を掛止する。なお、カバー30は、カバー側係止爪35bから車外側(縦壁部23の起立方向)に延出する略四角棒状の解除用突片35cを有する。
【0035】
一方、接続壁部32には、支持側補助爪27の上方に隣接して略鉤爪状のカバー側補助爪36が突設されている。このカバー側補助爪36は、支持側補助爪27を掛止する。また、接続壁部32には、両第1保持溝24及び第2保持溝25の開口に対向して複数(3つ)の略四角爪状の押圧片37が突設されている。各押圧片37は、両第1保持溝24及び第2保持溝25の各々の開口側から組み付けたケーブルC1〜C3をカバー30の組付けに合わせて反開口側(奥側)に押し込むためのものである。
【0036】
次に、縦壁部23に対するケーブルC1〜C3の組付態様について説明する。
ケーブルC1〜C3の組付けに際しては、図2(b)に示すように、予め両側壁部31及び接続壁部32(アーム部)が縦壁部23側から反転するように軸部33から下方に延伸する姿勢となる軸部33の周りのカバー30の回動位置で両仮止め突部34を仮止め孔29に挿入しておく。これにより、カバー30が当該回動位置で軽微に保持される。つまり、軸部33の周りのカバー30の揺動が規制された状態で、ケーブルC1〜C3の組付経路となる両第1保持溝24の開口及び第2保持溝25の開口の開放された状態が維持される。
【0037】
この状態で、両第1保持溝24及び第2保持溝25の各々の開口側からケーブルC1〜C3を組み付ける。
そして、図2(a)への変化で示すように、軸部33の周りのカバー30の回動に伴い、両側壁部31及び接続壁部32(アーム部)が縦壁部23にならって軸部33から上方に延伸する姿勢となる回動位置にする。このとき、両仮止め突部34は、両支持部31aを互いに相反する前後方向に弾性変形させつつ仮止め孔29から外れるとともに、両カバー側係止部35は、両支持側係止爪26に案内されて互いに相反する前後方向に弾性変形しつつこれを乗り越えて両支持側係止爪26を掛止する。同時に、カバー側補助爪36が支持側補助爪27を掛止する。そして、接続壁部32により、両第1保持溝24の開口及び第2保持溝25の開口が覆われる。また、複数の押圧片37は、両第1保持溝24の開口及び第2保持溝25の開口に対向するように移動することで、例えばそれらに不完全に組み付けられたケーブルC1〜C3を反開口側(奥側)に押し込む。
【0038】
以上により、縦壁部23(リモコン装置2)に対するケーブルC1〜C3の組付けが完了する。
次に、本実施形態の作用とともに、その効果について説明する。
【0039】
(1)本実施形態では、カバー30は、各第1保持溝24から抜け出そうとするケーブルC1,C2を、隣り合う第1保持溝24の間に位置する支持側係止爪26を掛止するカバー側係止部35で支えることになる。この場合、カバー側係止部35及び各第1保持溝24の離間距離を、隣り合う第1保持溝24の離間距離よりも小さくできる。従って、第1保持溝24から抜け出そうとするケーブルC1,C2の発生する力のモーメントを小さくでき、その分、カバー側係止部35等に要する強度をより低減できる。そして、ひいてはカバー30をより小型化できる。また、各カバー側係止部35は、側壁部31(アーム部)に前後方向(縦壁部23の板厚方向)に突設されていることで、即ち縦壁部23に対して前後方向にずれていることで、隣り合う第1保持溝24の間に配置されても縦壁部23との干渉を回避できる。
【0040】
(2)本実施形態では、前後方向(縦壁部23の板厚方向)両側に配置される2組の支持側係止爪26及びカバー側係止部35が掛止することで、カバー30は、各第1保持溝24から抜け出そうとするケーブルC1,C2をより堅固に支えることができる。
【0041】
(3)本実施形態では、解除用突片35cを縦壁部23に向かう前後方向(縦壁部23の板厚方向)に弾性変形させれば、その反力でカバー側係止部35が縦壁部23から離れる前後方向に、即ち支持側係止爪26との掛止代を縮小する方向に弾性変形する。これにより、支持側係止爪26からカバー側係止部35をより簡易に外すことができ、ひいてはカバー30の取外し作業をより円滑化できる。特に、前後方向両側に配置される解除用突片35cを挟んでそれらを互いに近付く前後方向に弾性変形させながら持ち上げることで、カバー30を簡易に取り外すことができる。
【0042】
(4)本実施形態では、接続壁部32(アーム部)に、両第1保持溝24の開口及び第2保持溝25の開口に対向する押圧片37を突設したことで、それらに不完全に組み付けられたケーブルC1〜C3をより確実に組み付けることができる。
【0043】
(5)本実施形態では、縦壁部23及び支持部31a(アーム部)にそれぞれ仮止め孔29及び仮止め突部34を設けて、それらの係合によりカバー30の回動位置を軽微に保持したことで、ケーブルC1〜C3の組付性をより向上できる。また、仮止め突部34は、略円錐台状であることで、その側面(テーパ)に案内させつつ仮止め孔29から円滑に外すことができる。
【0044】
(6)本実施形態では、カバー30の先端(上端)に係合爪(カバー側係止部98相当)がない。このため、例えば側壁22及び縦壁部23の間に係合爪を引っ掛ける係合部を設けたり、係合爪を引っ掛けるためのワークスペースを確保したりする必要がなく、装置全体として縦壁部23の延在方向(車両の高さ方向)により小型化でき、その分、質量もより低減できる。
【0045】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・前記実施形態において、仮止め孔29及び両仮止め突部34を省略してもよい。
・前記実施形態において、複数の押圧片37の少なくとも一つを省略してもよい。
【0046】
・前記実施形態において、解除用突片35cを省略してもよい。
・前記実施形態において、支持側係止爪26及びカバー側係止部35は、前後方向(縦壁部23の板厚方向)において片側のみに配置されていればよい。
【0047】
・前記実施形態においては、車両の高さ方向(一方向)で隣り合う第1保持溝24の間に位置する支持側係止爪26を掛止するカバー側係止部35で、抜け出そうとするケーブルC1,C2を支えるようにした。これに対し、両第1保持溝24のいずれか一方に代えて、いずれか他方に第2保持溝25を隣り合わせる場合には、当該第1保持溝24及び第2保持溝25の間に位置する支持側係止爪(26)を掛止するカバー側係止部(35)で、抜け出そうとするケーブルC3を併せて支えるようにしてもよい。
【0048】
あるいは、両第1保持溝24に第2保持溝25を車両の高さ方向(一方向)に並ばせる場合には、隣り合う第1保持溝24及び第2保持溝25の間に位置する支持側係止爪(26)を掛止するカバー側係止部(35)で、抜け出そうとするケーブルC3を併せて支えるようにしてもよい。
【0049】
・前記実施形態においては、ベース部21の凹凸に合わせて段差のある第1及び第2縦壁部23a,23bからなる縦壁部23を採用したが、例えば起立方向の先端が直線状に延びる縦壁部であってもよい。
【0050】
・前記実施形態において、インサイドハンドル6、アウトサイドハンドル7及びリリースモータ8のいずれか一つは、ケーブルを介してリモコン装置2の機構部2aに連結されていてもよい。そして、該当のケーブルが挿入される保持溝に第1保持溝24又は第2保持溝25を隣り合わせる場合には、当該保持溝及び第1保持溝24又は第2保持溝25の間に位置する支持側係止爪(26)を掛止するカバー側係止部(35)で、抜け出そうとするケーブルを併せて支えるようにしてもよい。
【0051】
・前記実施形態において、インサイドハンドル6、アウトサイドハンドル7及びリリースモータ8の少なくとも二つは、ケーブルを介してリモコン装置2の機構部2aに連結されていてもよい。そして、それら複数のケーブルが挿入される保持溝が一方向に並設される場合には、隣り合う保持溝の間に位置する支持側係止爪(26)を掛止するカバー側係止部(35)で、抜け出そうとするそれら複数のケーブルを支えるようにしてもよい。
【0052】
・前記実施形態において、複数の保持溝が並設される一方向は、前後方向や車両の高さ方向であってもよい。
・前記実施形態において、車両開閉体としては、スウィングドアやバックドア、トランクリッドなどであってもよい。
【0053】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(イ)上記車両開閉体操作装置において、
前記アーム部には、前記複数の保持溝の開口に対向する押圧片が突設された車両開閉体操作装置。
【0054】
この構成によれば、前記保持溝に不完全に組み付けられた前記ケーブルを前記押圧片により反開口側(奥側)に押し込むことができ、前記ケーブルをより確実に組み付けることができる。
【0055】
(ロ)上記車両開閉体操作装置において、
前記縦壁部及び前記アーム部には、前記カバーの回動位置を軽微に保持する仮止め孔及び仮止め突部がそれぞれ設けられた車両開閉体操作装置。
【0056】
この構成によれば、前記仮止め孔及び前記仮止め突部の係合により前記カバーの回動位置を軽微に保持したことで、前記ケーブルの組付性をより向上できる。
【符号の説明】
【0057】
C1,C2…ケーブル、20…ベース盤(支持部材)、23…縦壁部、24…第1保持溝(保持溝)、26…支持側係止爪(支持側係止部)、30…カバー、31…側壁部(アーム部)、32…接続壁部(アーム部)、33…軸部、35…カバー側係止部、35b…カバー側係止爪、35c…解除用突片。
図1
図2
図3
図4