特許第6772648号(P6772648)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6772648見守り装置、見守り方法、および見守りプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6772648
(24)【登録日】2020年10月5日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】見守り装置、見守り方法、および見守りプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08B 25/04 20060101AFI20201012BHJP
   G08B 21/02 20060101ALI20201012BHJP
   G08B 25/08 20060101ALI20201012BHJP
【FI】
   G08B25/04 K
   G08B21/02
   G08B25/08 A
【請求項の数】17
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-157969(P2016-157969)
(22)【出願日】2016年8月10日
(65)【公開番号】特開2018-26006(P2018-26006A)
(43)【公開日】2018年2月15日
【審査請求日】2019年6月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】特許業務法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】衣川 英明
(72)【発明者】
【氏名】中尾 寿朗
(72)【発明者】
【氏名】大西 輝生
(72)【発明者】
【氏名】下坂 元人
(72)【発明者】
【氏名】奥田 武夫
【審査官】 山岸 登
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−186402(JP,A)
【文献】 特開2016−115055(JP,A)
【文献】 特開2016−028662(JP,A)
【文献】 特開2001−104429(JP,A)
【文献】 特開2015−144758(JP,A)
【文献】 特開2016−057979(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/136839(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00− 5/03
5/06− 5/22
9/00−10/06
A61H 33/00−37/00
G08B 19/00−31/00
H04M 3/00
3/16− 3/20
3/38− 3/58
7/00− 7/16
11/00−11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者の状態を検知する状態検知部と、
対象者の状態に影響を与える影響因子の影響度を算出する影響度取得部と、
前記状態検知部が検知した対象者の状態が適正であるかどうかを、前記影響度取得部が取得した前記影響因子の影響度を用いて判定する判定部と、を備え
前記影響度取得部は、対象者に関係する行事の内容に基づいて、前記影響因子の影響度を取得する、見守り装置。
【請求項2】
センサが接続され、接続されているセンサの検知出力が入力されるセンサ接続部を備え、
前記状態検知部は、前記センサ接続部に接続されているセンサの検知出力を用いて、対象者の状態を検知する、請求項1に記載の見守り装置。
【請求項3】
前記影響度取得部は、前記センサ接続部に接続されているセンサの検知出力を用いて、前記影響因子の影響度を取得する、請求項2に記載の見守り装置。
【請求項4】
前記判定部によって、前記状態検知部が検知した対象者の状態が適正でないと判定されると、その旨を出力する出力部を備えた、請求項1〜のいずれかに記載の見守り装置。
【請求項5】
対象者の睡眠状態に影響を与える前記影響因子は、対象者の睡眠前の行動、または起床後の行動スケジュールの少なくとも一方を含む、請求項1〜のいずれかに記載の見守り装置。
【請求項6】
対象者の入浴に影響を与える前記影響因子は、対象者のその日の行動、またはその日の気候の少なくとも一方を含む、請求項1〜のいずれかに記載の見守り装置。
【請求項7】
対象者の調理行動に影響を与える前記影響因子は、対象者のその日の行動、またはその日の行動スケジュールの少なくとも一方を含む、請求項1〜のいずれかに記載の見守り装置。
【請求項8】
対象者のトイレの使用に影響を与える前記影響因子は、対象者のその日の行動である、請求項1〜のいずれかに記載の見守り装置。
【請求項9】
対象者の郵便受けからの投函物の取り出しに影響を与える前記影響因子は、対象者のその日の行動である、請求項1〜のいずれかに記載の見守り装置。
【請求項10】
対象者のエアコンの使用に影響を与える前記影響因子は、その日の気候である、請求項1〜のいずれかに記載の見守り装置。
【請求項11】
対象者の状態を検知する状態検知部と、
対象者の状態に影響を与える影響因子の影響度を算出する影響度取得部と、
前記状態検知部が検知した対象者の状態が適正であるかどうかを、前記影響度取得部が取得した前記影響因子の影響度を用いて判定する判定部と、を備え、
対象者の睡眠状態に影響を与える前記影響因子は、対象者の睡眠前の行動、または起床後の行動スケジュールの少なくとも一方を含む、見守り装置。
【請求項12】
対象者の状態を検知する状態検知部と、
対象者の状態に影響を与える影響因子の影響度を算出する影響度取得部と、
前記状態検知部が検知した対象者の状態が適正であるかどうかを、前記影響度取得部が取得した前記影響因子の影響度を用いて判定する判定部と、を備え、
対象者の入浴に影響を与える前記影響因子は、対象者のその日の行動、またはその日の気候の少なくとも一方を含む、見守り装置。
【請求項13】
対象者の状態を検知する状態検知部と、
対象者の状態に影響を与える影響因子の影響度を算出する影響度取得部と、
前記状態検知部が検知した対象者の状態が適正であるかどうかを、前記影響度取得部が取得した前記影響因子の影響度を用いて判定する判定部と、を備え、
対象者の調理行動に影響を与える前記影響因子は、対象者のその日の行動、またはその日の行動スケジュールの少なくとも一方を含む、見守り装置。
【請求項14】
対象者の状態を検知する状態検知部と、
対象者の状態に影響を与える影響因子の影響度を算出する影響度取得部と、
前記状態検知部が検知した対象者の状態が適正であるかどうかを、前記影響度取得部が取得した前記影響因子の影響度を用いて判定する判定部と、を備え、
対象者のトイレの使用に影響を与える前記影響因子は、対象者のその日の行動である、見守り装置。
【請求項15】
対象者の状態を検知する状態検知部と、
対象者の状態に影響を与える影響因子の影響度を算出する影響度取得部と、
前記状態検知部が検知した対象者の状態が適正であるかどうかを、前記影響度取得部が取得した前記影響因子の影響度を用いて判定する判定部と、を備え、
対象者の郵便受けからの投函物の取り出しに影響を与える前記影響因子は、対象者のその日の行動である、見守り装置。
【請求項16】
状態検知部で、対象者の状態を検知する状態検知ステップと、
影響度取得部で、対象者の状態に影響を与える影響因子の影響度を取得する影響度取得ステップと、
判定部で、前記状態検知部で検知した対象者の状態が適正であるかどうかを、前記影響度取得部で取得した前記影響因子の影響度を用いて判定する判定ステップと、を制御部が実行し、
前記影響度取得ステップは、対象者に関係する行事の内容に基づいて、前記影響因子の影響度を取得するステップである、見守り方法。
【請求項17】
状態検知部で、対象者の状態を検知する状態検知ステップと、
影響度取得部で、対象者の状態に影響を与える影響因子の影響度を取得する影響度取得ステップと、
判定部で、前記状態検知部で検知した対象者の状態が適正であるかどうかを、前記影響度取得部で取得した前記影響因子の影響度を用いて判定する判定ステップと、をコンピュータに実行させ
前記影響度取得ステップは、対象者に関係する行事の内容に基づいて、前記影響因子の影響度を取得するステップである、見守りプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、対象者の日常生活を見守る技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、対象者の日常生活を見守り、対象者の状態が適正でないと判定すると(対象者になんらかの異変が生じていると判定すると)、その旨を出力するシステムがある。このシステムでは、一人暮らしをしている高齢者を対象者にしているケースが多い。このシステムには、特許文献1〜4等に記載された構成のものがある。
【0003】
特許文献1は、居住者(対象者)の動きを検知するヒトセンサ、および家屋の各種設備の動作状況を検知する機器センサの検知出力により、対象者の通常の生活パターンの目安になる動作マニュアルを構築したり、修正したりする。このシステムは、ヒトセンサ、および機器センサの一定期間の検知出力により、この一定期間における対象者の生活パターンを生成する。そして、このシステムは、動作マニュアルと、一定期間における対象者の生活パターンを比較し、対象者の状況を判定する。
【0004】
また、特許文献2は、センサの検知出力の特徴量を抽出し、日付・時刻情報を変換した周期フラグを用いて、対象者の日常生活度を多変量解析する。このシステムは、多変量解析した日常生活度と、日常生活度基準値とを比較し、対象者の状況を判定する。対象者の日常生活は、電気製品の消費電力を計測する電力センサ、調理器具又は暖房器具等の熱源の温度を計測する温度センサ、周囲の明るさを計測する照度センサ、人体を検知する赤外線センサ、人体の通過を検知する感圧センサ、ドアの開閉を検知する近接センサ、各種電気製品の赤外線リモコンの送信信号を検知する赤外線センサ、水道の使用量を計測する流量センサ、ガスの使用量を計測するガス流量センサ等によって検知する。
【0005】
また、特許文献3は、人感センサの検知出力により、ある時間における対象者の居場所を推定するとともに、加速度センサの検知出力により、発生時が特定された居住者の動作を推定する。このシステムは、人感センサの検知出力、および加速度センサの検知出力により、居住者が浴室で転倒した、居住者以外の者が住居に侵入した等の状況を判定する。
【0006】
さらに、特許文献4は、温度センサや人感センサの検知出力に基づいて、対象者が存在しているかどうか判定する。このシステムは、対象者のバイタルサイン(生命を維持するときに現れるしるし)が良好であれば、対象者が正常であると判断し、それ以外を異常と判断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006− 65886号公報
【特許文献2】特開2008−102884号公報
【特許文献3】特開2014− 89494号公報
【特許文献4】特開2016−103178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来のシステムは、センサの検知出力を、そのセンサについて予め定めている判定基準(基準値や基準変化パターン等)と比較し、対象者の状態が適正であるかどうかの判定を行っている。この判定基準は、対象者の日常生活の行動パターン等に基づいて定めたものである。
【0009】
一方で、対象者の行動パターンは、様々な要因(影響因子)によって変化する。例えば、対象者は、特別なイベントがあると、その前後における行動パターンに変化が生じる。特別なイベントとは、居住している地域の祭り、娯楽施設(映画館、博物館、水族館等)への外出等、対象者が日常的に行っていない行動である。また、対象者は、周辺環境が変化すると、行動パターンに変化が生じる。さらには、対象者は、生理的欲求の変化によっても、行動パターンが変化する。
【0010】
したがって、センサの検知出力を、対象者の日常生活の行動パターン等に基づいて定めた判定基準と比較して、対象者の状態が適正であるかどうかを判定する構成では、対象者の行動パターンがなんらかの要因によって変化したとき、対象者の状態を誤判定する。具体的には、対象者の状態が適正であっても、対象者の行動パターンがなんらかの要因によって変化すると、このときの対象者の行動パターンが日常の行動パターンから乖離し、対象者の状態が適正でない、と誤判定する。
【0011】
この発明の目的は、検知した対象者の状態が適正であるかどうかの判定精度を向上させる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明の見守り装置は、上記目的を達するため、以下のように構成している。
【0013】
状態検知部が、対象者の状態を検知する。状態検知部は、例えばセンサ接続部に接続されているセンサの検知出力を用いて、対象者の状態を検知する。影響度取得部は、対象者の状態に影響を与える影響因子の影響度を取得する。
【0014】
例えば、対象者の睡眠状態に影響を与える影響因子は、対象者の睡眠前の行動、起床後の行動スケジュール等である。また、対象者の入浴に影響を与える影響因子は、対象者のその日の行動、その日の気候等である。また、対象者の調理行動に影響を与える影響因子は、対象者のその日の行動、その日の行動スケジュール等である。また、対象者のトイレの使用に影響を与える影響因子は、対象者のその日の行動等である。また、対象者の郵便受けからの投函物の取り出しに影響を与える影響因子は、対象者のその日の行動等である。また、対象者のエアコンの使用に影響を与える影響因子は、その日の気候等である。
【0015】
判定部は、状態検知部が検知した対象者の状態が適正であるかどうかを、影響度取得部が算出した影響因子の影響度を用いて判定する。これにより、検知した対象者の状態が適正であるかどうかの判定精度を向上させることができる。
【0016】
なお、影響度取得部は、センサ接続部に接続されているセンサの検知出力を用いて、影響因子の影響度を取得する構成であってもよいし、対象者の行動スケジュールから対象者の行動を推定し、影響因子の影響度を取得する構成であってもよい
また、見守り装置は、判定部によって、状態検知部が検知した対象者の状態が適正でないと判定されると、その旨を出力する出力部を備える構成にするのが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、検知した対象者の状態が適正であるかどうかの判定精度を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】見守り装置の主要部の構成を示すブロック図である。
図2】判定情報記憶部に記憶される情報を示す図である。
図3】この例にかかる見守り装置の動作を示すフローチャートである。
図4】別の例の見守り装置を備える見守りシステムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、この発明の実施形態である見守り装置について説明する。
【0020】
図1は、この発明の実施形態である見守り装置の主要部の構成を示すブロック図である。この例にかかる見守り装置1は、制御部2と、センサ接続部3と、表示・操作部4と、判定情報記憶部5と、通信部6と、を備えている。この見守り装置1は、対象者の日常生活を見守る。具体的には、このシステムは、対象者の状態が適正であるかどうかの判定を行い、適正でない(対象者になんらかの異変が生じている。)と判定すると、その旨を出力する。この例では、見守り装置1は、対象者を見守る空間である対象者の住居内に設置するものとして説明する。
【0021】
制御部2は、見守り装置1本体各部の動作を制御する。また、制御部2は、後述する状態検知部21、影響度取得部22、および判定部23を備える。また、制御部2が、この発明にかかる見守り方法を実行する。また、この発明にかかる見守りプログラムは、制御部2にインストールされる。
【0022】
センサ接続部3には、図1に示す、人感センサ51、生体センサ52、環境センサ53、位置センサ54、機器状態検知センサ55、および設備状態検知センサ56が接続されている。以下に示すように、図1に示す人感センサ51、生体センサ52、環境センサ53、位置センサ54、機器状態検知センサ55、および設備状態検知センサ56は、それぞれ1つ以上のセンサによって構成される。
【0023】
人感センサ51は、対象者の存在を検知する用途で使用するセンサである。人感センサ51は、画像センサ、赤外線センサ、音波センサ、振動センサ、圧力センサ等、対象者が存在しているかどうかを検知できるものであればよい。人感センサ51は、対象者の住居のリビングルーム、キッチン、寝室、浴室、トイレ等に設置される。人感センサ51は、1つ以上のセンサで構成されている。また、人感センサ51を構成するセンサは、1種類以上である。
【0024】
生体センサ52は、対象者の生体情報(心拍の状態・呼吸の状態・体動等)を検知する用途で使用するセンサである。生体センサ52は、体温センサ、血圧センサ、心拍センサ、加速度センサ、温湿度センサ、照度センサ、絶対圧センサ、音波センサ、電波センサ、画像センサ等、対象者の生体情報を検知できるものであればよい。生体センサ52は、対象者の住居の室内に設置するものもあれば、対象者に装着するものもある。生体センサ52は、1つ以上のセンサで構成されている。また、生体センサ52を構成するセンサは、1種類以上である。
【0025】
環境センサ53は、対象者の住居の周辺環境を検知する用途で使用するセンサである。環境センサ53は、画像センサ、温湿度センサ、照度センサ、絶対圧センサ、騒音センサ、加速度センサ等、周辺環境を検知することができるものであればよい。環境センサ53は、対象者の住居の室内に設置するものもあれば、ベランダ等の屋外に設置するものもある。環境センサ53は、1つ以上のセンサで構成されている。また、環境センサ53を構成するセンサは、1種類以上である。
【0026】
位置センサ54は、対象者の位置を検知する用途で使用するセンサである。位置センサ54は、GPSセンサ、画像センサ、赤外線センサ等、対象者の位置を検知できるものであればよい。位置センサ54は、対象者の住居の室内に設置するものもあれば、対象者に装着するものもある。位置センサ54は、1つ以上のセンサで構成されている。また、位置センサ54を構成するセンサは、1種類以上である。
【0027】
機器状態検知センサ55は、対象者の住居に設置されている電化製品(エアコン、テレビ、炊飯器、ポット、洗濯機等)の使用状態を検知する用途で使用するセンサである。機器状態検知センサ55は、温湿度センサ、画像センサ、赤外線センサ、電流センサ等、電化製品の使用状態を検知できるものであればよい。機器状態検知センサ55は、対象者の住居の室内に設置するものもあれば、電化製品に装着するものもある。また、機器状態検知センサ55は、電化製品だけでなく、自転車、自動車等の他の種類の機器の使用状態も検知する構成であってもよい。機器状態検知センサ55は、1つ以上のセンサで構成されている。また、機器状態検知センサ55を構成するセンサは、1種類以上である。
【0028】
設備状態検知センサ56は、水道、ガス、室内照明等の住居設備の使用状態を検知する用途で使用するセンサである。設備状態検知センサ56は、水道やガスの流量センサ、画像センサ、赤外線センサ、照度センサ等、住居設備の使用状態を検知できるものであればよい。設備状態検知センサ56は、対象者の住居の室内に設置するものもあれば、住居設備に取り付けるものもある。設備状態検知センサ56は、1つ以上のセンサで構成されている。また、設備状態検知センサ56を構成するセンサは、1種類以上である。
【0029】
また、センサ接続部3に接続されている1つのセンサが、人感センサ51、生体センサ52、環境センサ53、位置センサ54、機器状態検知センサ55、および設備状態検知センサ56の2つ以上に属していてもよい。例えば、特定の画像センサが、人感センサ51、環境センサ53、位置センサ54、機器状態検知センサ55、および設備状態検知センサ56に属する構成であってもよい。このようにすれば、センサ接続部3に接続するセンサの個数を抑えることができる。
【0030】
センサ接続部3に接続されている各センサには、識別番号を付している。センサ接続部3は、接続されているセンサから入力された検知出力を、センサの識別番号とともに制御部2に入力する。したがって、制御部2は、センサ接続部3から入力された検知出力が、どのセンサの検知出力であるか判断できる。センサ接続部3における各種センサの接続は、有線であってもよいし、無線であってもよい。また、インタネット等のネットワークを介して接続される構成であってもよい。
【0031】
表示・操作部4は、表示器等の表示デバイスを備えるとともに、キーボード、マウス、マイクロフォン、カメラ等の入力デバイスを備える。入力デバイスは、表示器と一体となったタッチパネル、無線通信等で連動するスマートフォン等の別のデバイスでもよい。対象者等が、入力デバイスを操作することにより、所望のデータを見守り装置1に入力できる。例えば、対象者等は、対象者が居住している地域の祭り、娯楽施設(映画館、博物館、水族館等)への外出等の行動スケジュールの内容(イベントの種類やその日時等)を見守り装置1に入力することができる。この対象者の行動スケジュールの内容を、ここではイベント関連情報と言う。
【0032】
判定情報記憶部5は、図2に示すように、検知情報31、イベント関連情報32、検知項目情報33、影響度情報34、および判定基準情報35等を記憶する。
【0033】
検知情報31は、センサ接続部3に接続されているセンサ毎に、そのセンサから入力された検知出力、または検知出力を処理して取得した特徴量を時系列に蓄積した情報である。
【0034】
イベント関連情報32は、対象者が居住している地域の祭り、娯楽施設(映画館、博物館、水族館等)への外出等の行動スケジュールの内容を示す情報である。イベント関連情報32は、例えば対象者等が表示・操作部4の入力デバイスを操作することによって入力した情報に限らず、インタネット等から取得した情報が含まれていてもよい。
【0035】
検知項目情報33は、対象者の状態を検知する項目毎に、その項目にかかる対象者の状態を検知するのに用いるセンサを対応付けた情報である。また、検知項目情報33は、対象者の状態を検知する項目毎に、対応付けられているセンサの検知出力から対象者の状態を検知するための情報も含んでいる。
【0036】
影響度情報34は、対象者の状態を判定する項目毎に、その項目に影響を与える影響因子にかかるイベントやセンサを対応付けた情報である。また、影響度情報34は、対象者の状態を検知する項目毎に、対応付けられているイベントの関連情報やセンサの検知出力から影響因子の影響度の大きさを推定するための情報も含んでいる。ここで言う影響因子とは、対象者の状態を判定する項目について、その項目にかかる行動に影響を与える事象である。例えば、対象者の睡眠に影響を与える影響因子は、睡眠前の対象者の生活行動や、起床後の予定等である。
【0037】
判定基準情報35は、対象者の状態を判定する項目毎に、その状態が適正であるかどうかの判定に用いる基準(判定基準)を対応付けた情報である。
【0038】
通信部6は、公衆回線網や、インタネット網等のネットワークを介して、対象者の状態を通知する相手側装置と通信する。見守り装置1には、対象者の状態を通知する相手側装置が予め設定されている。この相手側装置は、例えば同居していない対象者の家族の端末、対象者の近所に住んでいる協力者(ボランティア、警察、消防等)の端末、この見守りサービスを提供している事業者の端末である。通信部6が、この発明で言う出力部に相当する。
【0039】
次に、制御部2が備える状態検知部21、影響度取得部22、および判定部23について説明する。状態検知部21は、対象者の状態を検知する項目毎に、検知項目情報33を参照し、その項目に対応するセンサを判断する。状態検知部21は、ここで判断したセンサの検知出力に基づき、対象者の状態を検知する。各センサの検知出力は、検知情報31として、判定情報記憶部5に記憶されている。
【0040】
影響度取得部22は、対象者の状態を判定する項目の影響因子の影響度の大きさを推定する。影響度取得部22は、対象者の状態を判定する項目毎に、影響度情報34を参照し、その項目に対応するイベント関連情報やセンサを判断する。影響度取得部22は、ここで判断したイベント関連情報や、センサの検知出力に基づき、影響因子の影響度の大きさを推定し、取得する。影響因子の影響度の大きさを推定するのに用いる情報は、影響度情報34として、判定情報記憶部5に記憶されている。
【0041】
判定部23は、対象者の状態が適正であるかどうかを判定する。判定部23は、対象者の状態が適正であるかどうか判定する項目について、状態検知部21が検知した対象者の状態、影響度取得部22が推定し取得した影響因子の影響度の大きさ、および判定基準情報35を参照して取得した判定基準を用いて、この判定を行う。
【0042】
図3は、この例にかかる見守り装置の動作を示すフローチャートである。見守り装置1は、その時点において、対象者の状態が適正であるかどうかを判定する項目(以下、判定対象項目と言う。)の有無を判定する(s1)。判定対象項目は、睡眠の深さ、睡眠時間、睡眠中の行動、入浴の有無、入浴時刻、調理行動、トイレの使用、エアコンの使用等である。
【0043】
見守り装置1は、その時点において、対象者の状態が適正であるかどうかを判定する判定対象項目があれば、判定情報記憶部5に記憶している検知情報を参照し、この判定対象項目に対応するセンサを判断する(s2)。また、見守り装置1は、検知情報31を参照して、s2で判断したセンサの検知出力を取得する(s3)。見守り装置1は、s3で取得したセンサの検知出力を用いて、対象者の状態を検知する(s4)。s2〜s4にかかる処理は、状態検知部21で行われる。
【0044】
なお、見守り装置1は、s1で対象者の状態が適正であるかどうかを判定する判定対象項目がないと判定すると、s1にかかる処理を繰り返す。
【0045】
また、見守り装置1は、判定情報記憶部5に記憶している影響度情報34を参照し、今回の判定対象項目に影響を与える影響因子にかかるイベントやセンサを判断するとともに、この影響因子の影響度の大きさを推定し取得するための情報を取得する(s5)。また、見守り装置1は、判定情報記憶部5に記憶している検知情報やイベント関連情報32を参照し、s5で判断した影響因子の影響度の大きさを推定し取得する(s6)。s5、s6にかかる処理は、影響度取得部22で行われる。
【0046】
なお、見守り装置1は、s5、s6にかかる処理を実行した後に、s2〜s4にかかる処理を実行する構成であってもよい。また、見守り装置1は、s5の処理を実行した後に、s2〜s4にかかる処理を実行し、その後s6にかかる処理を実行してもよい。さらには、また、見守り装置1は、s2の処理を実行した後に、s5、s6にかかる処理を実行し、その後s3、s4にかかる処理を実行してもよい。すなわち、s2〜s6にかかる処理の順番は、対象者の状態の検知、および影響因子の影響度の大きさを取得(推定)できる順番であれば、どのような順番であってもよい。
【0047】
見守り装置は、s4で検知した対象者の状態が適正であるかどうかを、s6で推定した影響度の大きさを用いて判定する(s7)。s7では、判定情報記憶部5に記憶している判定基準情報35を参照して、判定対象項目について適正であるかどうかの判定に用いる判定基準を取得する。s7では、判定対象項目について、s4で検知した対象者の状態と、判定基準とを比較して適正であるかどうかを判定するのではなく、この判定対象項目に影響を与える影響因子の影響度の大きさを考慮して適正であるかどうかを判定する。s7にかかる処理は、判定部23が行う。
【0048】
見守り装置1は、s7で適正であると判定すると、s1に戻る。一方、見守り装置1は、s7で適正でないと判定すると、通知処理を行い(s8)、s1に戻る。s8の通知処理は、通信部6において、予め定められている相手端末に、対象者の状態が適正でないことを通知する処理である。相手端末は、同居していない対象者の家族の端末、対象者の近所に住んでいる協力者(ボランティア、警察、消防等)の端末、この見守りサービスを提供している事業者の端末等である。この通知は、複数の相手端末に対して実行してもよい。
【0049】
このように、この例にかかる見守り装置1は、センサの検知出力から検知した対象者の状態と、判定基準とを比較して対象者の状態が適正であるかどうかを判定するのではなく、対象者の状態に影響を与える影響因子の影響度を用いて判定する。したがって、対象者の行動パターンがなんらかの要因によって、日常の行動パターンから乖離しても、対象者の状態が適正でない、と誤判定するのを防止できる。すなわち、見守り装置1における、対象者の状態が適正であるかどうかの判定精度を向上できる。
【0050】
また、ディープラーニングを活用して学習するコンピュータ(所謂、人工知能(AI:Artificial Intelligence))で、図3に示す処理(特にs2〜s7にかかる処理)を実行する構成にすることも可能である。このように構成すれば、コンピュータの学習が進むにつれて、対象者の状態が適正であるかどうかの判定精度が向上する。
【0051】
次に、判定対象項目の具体例を示し、見守り装置1における、対象者の状態が適正であるかどうかの判定について説明する。
【0052】
(1)判定対象項目は、睡眠の深さ、および睡眠時間である。
【0053】
対象者の睡眠の深さ、および睡眠時間は、人感センサ51、および生体センサ52の検知出力によって判断できる。例えば、見守り装置1は、対象者がベッドで略静止した状態を、対象者の睡眠の開始であると判断する。対象者がベッドで略静止している状態は、画像センサ、音波センサ、振動センサ、圧力センサ等の人感センサ51の検知出力によって判断できる。また、睡眠中の対象者の呼吸および対象者の心拍は、音波センサや圧力センサ等の生体センサ52の検知出力によって取得できる。状態検知部21は、人感センサ51、および生体センサ52の検知出力によって、対象者の睡眠の開始〜終了時刻、対象者の睡眠中の眠りの深さ、睡眠途中での対象者の覚醒や寝返り等の睡眠中の行動を時系列に取得することで、対象者の睡眠の深さ、および睡眠時間を検知することができる。
【0054】
睡眠の深さ、および睡眠時間に影響を与える影響因子は、睡眠前の日中の行動、睡眠前のストレス状態、睡眠前の日中の物理的な負担等である。睡眠前の日中の行動は、対象者に装着した加速度センサ等の生体センサ52の検知出力を用いることで取得できる。また、睡眠前のストレス状態は、対象者に装着した体温センサ等の生体センサ52の検知出力を用いることで取得できる。また、睡眠前の日中の精神的な負担は、当日の対象者の行動スケジュールから推定し取得できる。影響度取得部22は、睡眠の深さ、および睡眠時間に影響を与える影響因子について、生体センサ52の検知出力や、当日の対象者の行動スケジュールに基づき、影響度の大きさを推定し取得する。
【0055】
判定部23は、状態検知部21で検知した対象者の睡眠の深さおよび睡眠時間と、その判定基準との比較を、影響度取得部22で取得した睡眠の深さおよび睡眠時間に影響を与える影響因子の影響度の大きさを考慮して行う。具体的には、判定基準に対して、適正であると判定する範囲を、影響度取得部22で取得した睡眠の深さおよび睡眠時間に影響を与える影響因子の影響度の大きさに応じて調節する。
【0056】
(2)判定対象項目は、就寝時刻および起床時刻である。
【0057】
就寝時刻および起床時刻は、上記したように、人感センサ51、および生体センサ52の検知出力によって判断できる。
【0058】
就寝時刻および起床時刻に影響を与える影響因子は、起床後の対象者の行動予定や、天候(温湿度、降雨雪、風)、や騒音等である。起床後の対象者の行動予定は、イベント関連情報32を参照することにより取得できる。また、天候(温湿度、降雨雪、風)および騒音は、環境センサ53の検知出力を用いることで取得できる。具体的には、環境センサ53として使用する温湿度センサの検出出力により不快指数を取得できる。また、環境センサ53として使用する絶対圧センサの検出出力により低気圧による降雨雪量を取得できる。また、環境センサ53として使用する騒音センサの検出出力により風雨等による騒音レベルを取得できる。影響度取得部22は、就寝時刻および起床時刻に影響を与える影響因子について、環境センサ53の検知出力に基づき、影響度の大きさを推定し取得する。
【0059】
判定部23は、状態検知部21で検知した対象者の就寝時刻および起床時刻と、その判定基準との比較を、影響度取得部22で取得した寝時刻および起床時刻に影響を与える影響因子の影響度の大きさを考慮して行う。具体的には、判定基準に対して、適正であると判定する範囲を、影響度取得部22で取得した寝時刻および起床時刻に影響を与える影響因子の影響度の大きさに応じて調節する。
【0060】
(3)判定対象項目は、睡眠中の行動である。
【0061】
睡眠中の行動は、人感センサ51として使用する画像センサ、音波センサ等の検知出力によって、例えば睡眠中に頻繁にトイレに行っている行動が検知できる。
【0062】
対象者が、睡眠中にトイレに行く行動の影響因子は、睡眠前の活動や飲食の内容である。対象者の睡眠前の活動や飲食の内容は、人感センサ51として使用する画像センサや環境センサとして使用する臭気センサ等の検知出力によって、睡眠前に飲酒していたことや飲食の内容が刺激性が強い食事であったこと等が取得できる。影響度取得部22は、睡眠中の行動に影響を与える影響因子について、人感センサ51の検知出力に基づき、影響度の大きさを推定し取得する。
【0063】
判定部23は、状態検知部21で検知した対象者の睡眠中の行動と、その判定基準との比較を、影響度取得部22で取得した睡眠中の行動に影響を与える影響因子の影響度の大きさを考慮して行う。具体的には、判定基準に対して、適正であると判定する範囲を、影響度取得部22で取得した睡眠中の行動に影響を与える影響因子の影響度の大きさに応じて調節する。
【0064】
(4)判定対象項目は、入浴の有無である。
【0065】
入浴の有無は、浴室に設置した人感センサ51や、設備状態検知センサ56(例えば、給湯器の使用を検知するセンサ)の検知出力によって判断できる。
【0066】
対象者の入浴の有無にかかる影響因子は、その日の活動量、その日の温湿度等である。対象者のその日の活動量は、対象者に装着した生体センサ52(例えば、加速度センサ)の検知出力から取得できる。その日の温湿度は、環境センサ53(例えば、温湿度センサ)の検知出力から取得できる。また、生体センサ52として、対象者に装着した温度センサを使用することで、その検知出力から対象者の発汗量が取得できる。さらに、生体センサ52として、対象者に装着したGPSセンサや、日照センサを使用することで、その検知出力から対象者の屋外での活動と、屋内での活動を区別することができる。影響度取得部22は、入浴の有無にかかる影響因子について、生体センサ52や環境センサ53の検知出力に基づき、影響度の大きさを推定し取得する。
【0067】
判定部23は、状態検知部21で検知した対象者の入浴の有無と、その判定基準との比較を、影響度取得部22で取得した対象者の入浴の有無にかかる影響因子の影響度の大きさを考慮して行う。具体的には、判定基準に対して、適正であると判定する範囲を、影響度取得部22で取得した入浴の有無にかかる影響因子の影響度の大きさに応じて調節する。
【0068】
(5)判定対象項目は、入浴時刻である。
【0069】
入浴時刻は、浴室に設置した人感センサ51や、設備状態検知センサ56(例えば、給湯器の使用を検知するセンサ)の検知出力によって判断できる。
【0070】
対象者の入浴時刻にかかる影響因子は、その日の活動量、その日の温湿度、外出の時間、飲酒の有無等である。上述したように、対象者のその日の活動量は、対象者に装着した生体センサ52(例えば、加速度センサ)の検知出力から取得できる。その日の温湿度は、環境センサ53(例えば、温湿度センサ)の検知出力から取得できる。また、生体センサ52として、対象者に装着した温度センサを使用することで、その検知出力から対象者の発汗量が取得できる。さらに、生体センサ52として、対象者に装着したGPSセンサの検知出力から対象者の外出先の位置(対象者の住居からの距離)等を取得することもできる。また、人感センサ51として画像センサを使用することで、その検知出力から対象者の飲酒の有無を取得できる。影響度取得部22は、入浴時刻にかかる影響因子について、生体センサ52や環境センサ53の検知出力に基づき、影響度の大きさを推定し取得する。
【0071】
判定部23は、状態検知部21で検知した対象者の入浴時刻と、その判定基準との比較を、影響度取得部22で取得した対象者の入浴時刻にかかる影響因子の影響度の大きさを考慮して行う。具体的には、判定基準に対して、適正であると判定する範囲を、影響度取得部22で取得した入浴時刻にかかる影響因子の影響度の大きさに応じて調節する。
【0072】
(6)判定対象項目は、調理時刻、および作業量である。
【0073】
対象者が調理を行っている時刻や、作業量は、台所や調理機器に設置した赤外センサ、音波センサ等の人感センサ51や設備状態検知センサ56の検知出力から取得できる。
【0074】
調理を行っている時刻や、作業量にかかる影響因子は、その日の活動量等である。対象者は、その日の活動量が多く、激しかったりすると、調理の開始を遅くしたり、調理を簡単にして調理時間を短縮することがある。対象者のその日の活動量は、対象者に装着した生体センサ52(例えば、加速度センサ)の検知出力から取得できる。影響度取得部22は、調理時刻、および作業量にかかる影響因子について、生体センサ52の検知出力に基づき、影響度の大きさを推定し取得する。
【0075】
判定部23は、状態検知部21で検知した対象者の調理時刻、および作業量と、その判定基準との比較を、影響度取得部22で取得した対象者の調理時刻、および作業量にかかる影響因子の影響度の大きさを考慮して行う。具体的には、判定基準に対して、適正であると判定する範囲を、影響度取得部22で取得した調理時刻、および作業量にかかる影響因子の影響度の大きさに応じて調節する。
【0076】
なお、音波センサ、画像センサ等の検知出力から、対象者の細かな調理行動を取得したり、臭気センサの検知出力から食材や料理の種別を取得したり、設備状態検知センサ56の検知出力から電気、ガス、水道の消費量を取得したりすることによって、どのような調理をおこなっているかを判断し、これらを用いて影響因子の大きさを推定し取得してもよい。
【0077】
(7)判定対象項目は、調理行動の有無である。
【0078】
対象者が調理を行っている時刻や、作業量は、台所や調理機器に設置した赤外センサ、音波センサ等の人感センサ51や設備状態検知センサ56の検知出力から取得できる。すなわち、台所や調理機器に設置した赤外センサ、音波センサ等の人感センサ51や設備状態検知センサ56の検知出力により、調理行動の有無が判断できる。
【0079】
調理行動の有無にかかる影響因子は、外食、弁当、配達食や調理を要しない食材の利用等である。これらの情報は、イベント関連情報32を参照することで取得できる。影響度取得部22は、調理行動の有無にかかる影響因子について、イベント関連情報32を参照して取得した情報に基づき、影響度の大きさを推定し取得する。
【0080】
判定部23は、状態検知部21で検知した対象者の調理行動の有無と、その判定基準との比較を、影響度取得部22で取得した対象者の調理行動の有無にかかる影響因子の影響度の大きさを考慮して行う。具体的には、判定基準に対して、適正であると判定する範囲を、影響度取得部22で取得した調理行動の有無にかかる影響因子の影響度の大きさに応じて調節する。
【0081】
(8)判定対象項目は、トイレの使用である。
【0082】
対象者がトイレを使用したかどうかは、トイレに設置した人感センサ51の検知出力から取得できる。
【0083】
トイレの使用にかかる影響因子は、外出や屋外での活動等により他の場所でのトイレ使用である。影響度取得部22は、対象者に装着した生体センサ52である、加速度センサ、気圧センサ、GPSセンサ等の検知出力から、対象者の行動やトイレへの近接を判断し、影響度の大きさを推定し取得する。
【0084】
判定部23は、状態検知部21で検知したトイレの使用と、その判定基準との比較を、影響度取得部22で取得した対象者のトイレの使用にかかる影響因子の影響度の大きさを考慮して行う。具体的には、判定基準に対して、適正であると判定する範囲を、影響度取得部22で取得したトイレの使用にかかる影響因子の影響度の大きさに応じて調節する。
【0085】
(9)判定対象項目は、トイレの使用時間である。
【0086】
対象者がトイレを使用しているかどうかは、トイレに設置した人感センサ51の検知出力から取得できる。
【0087】
トイレの使用時間にかかる影響因子は、喫煙、読書、清掃等である。これらの影響因子は、トイレに設置した煙センサ、音センサ、音波センサ等の検知出力から取得できる。影響度取得部22は、トイレに設置した煙センサ、音センサ、音波センサ等の検知出力から、対象者の行動を判断し、影響度の大きさを推定し取得する。
【0088】
判定部23は、状態検知部21で検知したトイレの使用時間と、その判定基準との比較を、影響度取得部22で取得した対象者のトイレの使用時間にかかる影響因子の影響度の大きさを考慮して行う。具体的には、判定基準に対して、適正であると判定する範囲を、影響度取得部22で取得したトイレの使用時間にかかる影響因子の影響度の大きさに応じて調節する。
【0089】
(10)判定対象項目は、郵便受けからの投函物の取り出し行動である。
【0090】
郵便受けに郵便や新聞等の投函物が入っているかどうかは、郵便受けに設置した重量センサ、光センサ等の設備状態検知センサ56の検知出力により取得できる。すなわち、状態検知部21は、郵便受けに設置した重量センサ、光センサ等の設備状態検知センサ56の検知出力により、郵便受けからの投函物の取り出し行動を検知できる。
【0091】
郵便受けからの投函物の取り出し行動にかかる影響因子は、長電話、調理行動、屋外での作業等の対象者の行動である。対象者のこれらの行動は、住居に設置された人感センサ51である、画像センサ、音波センサや、生体センサ52である対象者に装着した加速度センサ等の検知出力から取得できる。影響度取得部22は、住居に設置された人感センサ51である、画像センサ、音波センサや、生体センサ52である対象者に装着した加速度センサ等の検知出力から、対象者の行動を判断し、影響度の大きさを推定し取得する。
【0092】
判定部23は、状態検知部21で検知した対象者の郵便受けからの投函物の取り出し行動と、その判定基準との比較を、影響度取得部22で取得した対象者の郵便受けからの投函物の取り出し行動にかかる影響因子の影響度の大きさを考慮して行う。具体的には、判定基準に対して、適正であると判定する範囲を、影響度取得部22で取得した郵便受けからの投函物の取り出し行動にかかる影響因子の影響度の大きさに応じて調節する。
【0093】
(11)判定対象項目は、エアコンの使用である。
【0094】
エアコンの使用状況は、機器状態検知センサ55や、住居に設置した環境センサ53である温湿度センサ等の検知出力から判断できる。
【0095】
エアコンの使用にかかる影響因子は、住居内の温湿度や屋外の環境、来訪者の人数、対象者の体調等である。住居内の温湿度は住居内に設置した環境センサ53である温湿度センサ等の検知出力から取得できる。また、屋外に設置した音響センサ、粉塵(パーティクル)センサ等の環境センサ53の検知出力によって、近隣において工事や雑踏等による騒音や煤塵の程度を取得できる。また、屋内に設置した画像センサ等の人感センサ51の検知出力によって、来訪者の人数等を取得できる。さらに、対象者の体調は、対象者に装着した生体センサ52の検知出力によって取得できる。影響度取得部22は、上述したセンサの検知出力から、エアコンの使用にかかる影響因子の影響度の大きさを推定し取得する。
【0096】
判定部23は、状態検知部21で検知したエアコンの使用状況と、その判定基準との比較を、影響度取得部22で取得したエアコンの使用にかかる影響因子の影響度の大きさを考慮して行う。具体的には、判定基準に対して、適正であると判定する範囲を、影響度取得部22で取得したエアコンの使用にかかる影響因子の影響度の大きさに応じて調節する。
【0097】
(12)その他
対象者の日常の行動は、イベント等による生活リズムの変動を影響因子として、判定してもよい。また、対象者のテレビ等の電化製品の使用は、使用機器の動作状況や利用目的の変化を影響因子として、判定してもよい。また、対象者の来訪者への応対状況は、睡眠状態の変化を影響因子として判定してもよい。
【0098】
また、上記(1)〜(12)に対して、ペットの動きを影響因子の1つとし、対象者の状態が適正であるかどうかを判定してもよい。これにより、ペットの動きによる影響で、対象者の状態が適正であるかどうかを誤判定するのを防止できる。
【0099】
また、見守り装置1にマイクロフォン等のコミュニケーションを行う手段を具備した装置または、コミュニケーションを行う手段を具備したロボット等との会話を分析し、対象者の状態が適正であるかどうかを判定してもよい。例えば、見守り装置1にマイクロフォン等のコミュニケーションを行う手段を具備した装置または、コミュニケーションを行う手段を具備したロボットとの会話における、1日の会話時間、会話のトーン、ロボットの呼びかけに対する応答有無・応答間隔・内容、呼びかけ種類による応答の有無・間隔・声のトーン等によって居宅での在宅検知や行動を取得できる。また、このロボットとの会話における声量や会話速度を取得し、対象者の体調やストレスの度合いを判断してもよい。
【0100】
また、対象者が睡眠しているときや、不在であるときに、絶対圧センサ、照度センサ、騒音センサ等の人感センサ51の検知出力によって不審者の侵入を判断してもよい。
【0101】
また、振動センサ等の設備状態検知センサ56の検知出力により、住居の振動を取得することによって、対象者の危険度合を判断してもよい。また、振動が沈静した後に、再び人感センサ51の検知出力により対象者の行動を取得し、対象者の移動が確認できれば、負傷の可能性は少ないと判断し、対象者が特定の場所に留まり、その動きも微弱であれば、負傷の可能性が高いと判断するようにしてもよい。
【0102】
なお、見守り装置1は、各種センサの検知出力が中継器を介して入力される構成としてもよい。また、中継器を複数設けることで、対象者を見守るエリアを広くできる。
【0103】
また、見守り装置1Aは、図4に示すように、ネットワーク上のサーバ装置にしてもよい。図4に示す通信ユニット40は、対象者の住居に設置され、各種センサの検知出力が入力され、入力された各種センサの検知出力のネットワーク41を介して、見守り装置1Aに送信する。図4に示す、見守り装置1Aは、図1に示した見守り装置1と略同様の構成であるが、センサ接続部3がネットワークを介した通信部(不図示)である点で相違する。この通信部は、通信ユニット40との通信を制御する。
【0104】
また、通信ユニット40は、図1に示した見守り装置1にかかる構成を備えるものであってもよい。この場合、見守り装置1(この見守り装置1は、通信ユニット40が備える。)、および見守り装置1Aが、対象者の状態を判断する項目を分担して行う構成であってもよい。また、見守り装置1、および見守り装置1Aにおける、対象者の状態を判断する手法を異ならせ、見守り装置1、および見守り装置1Aが、対象者の状態を個別に判断する構成としてもよい。見守り装置1、および見守り装置1Aが、対象者の状態を個別に判断する構成である場合、見守り装置1、および見守り装置1Aの少なくとも一方において、対象者の状態が適正でないと判断すると、上述したs8にかかる通知処理を実行する構成とするのがよい。
【符号の説明】
【0105】
1、1A…見守り装置
2…制御部
3…センサ接続部
4…表示・操作部
5…判定情報記憶部
6…通信部
21…状態検知部
22…影響度取得部
23…判定部
31…検知情報
32…イベント関連情報
33…検知項目情報
34…影響度情報
35…判定基準情報
51…人感センサ
52…生体センサ
53…環境センサ
54…位置センサ
55…機器状態検知センサ
56…設備状態検知センサ
図1
図2
図3
図4