特許第6772688号(P6772688)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6772688
(24)【登録日】2020年10月5日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】小物類収納ケース
(51)【国際特許分類】
   B42F 7/00 20060101AFI20201012BHJP
【FI】
   B42F7/00 P
   B42F7/00 G
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-175237(P2016-175237)
(22)【出願日】2016年9月8日
(65)【公開番号】特開2018-39195(P2018-39195A)
(43)【公開日】2018年3月15日
【審査請求日】2019年8月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001351
【氏名又は名称】コクヨ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085338
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 一博
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 顕裕
【審査官】 中澤 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3171817(JP,U)
【文献】 特開2001−017225(JP,A)
【文献】 特開2002−320513(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3072870(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3191558(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0076392(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42F 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対をなす壁体の内面間に収納空間を形成してなり、上向きの面上に寝かせた姿勢で使用される小物類を前記収納空間に起立させた姿勢で収容することができるようにした小物類収納ケースであって、
前記両壁体が、前記収納空間を少なくとも前方及び上方に開放可能な開き状態をとることができるものであり、
前記各壁体が、上向きの面上に自立可能な剛性を有する下壁部と、この下壁部の上縁に連続させて設けられた上壁部とを備え、前記上壁部を前記下壁部の上縁付近を境にして前記下壁部の外面側に折り返すことができるように構成されたものであり、
前記各壁体の下壁部が、起立させた姿勢で前記収納空間に収納された前記小物類の前縁側を支持し得る前側支持領域と、前記小物類の後縁側を支持する後側支持領域とを備えたものであり、
前記両壁体の後縁同士が背壁体を介して連結されているとともに、前記両壁体の前縁下部同士が可撓変形可能な落下防止用のマチを介して連結されており、両壁体がほぼ平行に接近する閉じ状態から前記開き状態までの間で開閉動作し得るように構成されている小物類収納ケース。
【請求項2】
対をなす壁体の内面間に収納空間を形成してなり、上向きの面上に寝かせた姿勢で使用される小物類を前記収納空間に起立させた姿勢で収容することができるようにした小物類収納ケースであって、
前記両壁体が、前記収納空間を少なくとも前方及び上方に開放可能な開き状態をとることができるものであり、
前記各壁体が、上向きの面上に自立可能な剛性を有する下壁部と、この下壁部の上縁に連続させて設けられた上壁部とを備え、前記上壁部を前記下壁部の上縁付近を境にして前記下壁部の外面側に折り返すことができるように構成されたものであり、
前記各壁体の下壁部が、起立させた姿勢で前記収納空間に収納された前記小物類の前縁側を支持し得る前側支持領域と、前記小物類の後縁側を支持する後側支持領域とを備えたものであり、
前記壁体が、下壁部の外面に上方に開放されたポケットを備えたものであり、前記下壁部の外面側に折り返した上壁部の一部を前記ポケットに挿入し得るように構成されている小物類収納ケース。
【請求項3】
前記下壁部の上縁部が、前方に向かって漸次又は段階的に低くなるように構成されている請求項1又は2記載の小物類収納ケース。
【請求項4】
前記前側支持領域の上縁部が、前記後側支持領域の上縁部よりも低い位置に配設されている請求項1、2又は記載の小物類収納ケース。
【請求項5】
前記前側支持領域における前端部の高さ寸法が、前記壁体における高さ寸法の半分以上の寸法に設定されている請求項又は記載の小物類収納ケース。
【請求項6】
前記開き状態における収納空間の奥行き寸法が、両壁体の前縁間に形成される開口の幅寸法の2〜3倍に設定されている請求項1、2、3、4又は5記載の小物類収納ケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オフィス等で使用される小物類収納ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
オフィス等で使用される小物類には、例えばノート等のように、主として天板等の上向きの面上に寝かせた姿勢で使用されるものが種々存在する。この種の小物類は、不使用の状態では全体として概略板状をなしており、自立できないものが多い。
【0003】
これらの小物類を収納し得る従来の小物類収納ケースは、それ自体では小物類を起立した姿勢で保持することができない。換言すれば、従来の小物類収納ケースは、常時、小物類を上向きの面上に寝かせた姿勢で当該収納ケース内に収納することしかできないものとなっていた(例えば、特許文献1を参照)。
【0004】
このようなものであると、例えば、執務中において、天板上における比較的広範な領域を、上述した小物類を収納させた小物類収納ケースが占有してしまい、結果として、天板上における自由な領域を過度に減少させてしまうという不具合が生じ得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−126018号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上のような事情に着目してなされたものであり、少なくとも、主として上向きの面上に寝かせた姿勢で使用される小物類を起立した姿勢で収容し得る小物類収納ケースを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明は次の構成をなしている。
【0008】
請求項1に記載の発明は、対をなす壁体の内面間に収納空間を形成してなり、上向きの面上に寝かせた姿勢で使用される小物類を前記収納空間に起立させた姿勢で収容することができるようにした小物類収納ケースであって、前記両壁体が、前記収納空間を少なくとも前方及び上方に開放可能な開き状態をとることができるものであり、前記各壁体が、上向きの面上に自立可能な剛性を有する下壁部と、この下壁部の上縁に連続させて設けられた上壁部とを備え、前記上壁部を前記下壁部の上縁付近を境にして前記下壁部の外面側に折り返すことができるように構成されたものであり、前記各壁体の下壁部が、起立させた姿勢で前記収納空間に収納された前記小物類の前縁側を支持し得る前側支持領域と、前記小物類の後縁側を支持する後側支持領域とを備えたものであり、前記両壁体の後縁同士が背壁体を介して連結されているとともに、前記両壁体の前縁下部同士が可撓変形可能な落下防止用のマチを介して連結されており、両壁体がほぼ平行に接近する閉じ状態から前記開き状態までの間で開閉動作し得るように構成されている小物類収納ケースである。
【0009】
ここで、「上向きの面」とは、上側を向いた面という意味であり、具体的には、家具における天板の載置面、棚板の上面、床面、その他の構造物における物品を載置し得る面等が挙げられる。なお、上向き面とは、水平な面に限られるものではない。
【0010】
また、「上向きの面上に寝かせた姿勢で使用される小物類」とは、主たる使用態様において上向きの面上に寝かせた姿勢で使用され得るものをいう。換言すれば、「上向きの面上に寝かせた姿勢で使用される小物類」は、その使用態様において、上向きの面上に寝かせた姿勢で使用されない場合があっても構わない。「上向きの面上に寝かせた姿勢で使用される小物類」とは、不使用状態において、独立して自立しにくいものであり、全体として略板状ないしシート状の形態をなしている。具体的な例を挙げれば、ノート、フォルダー、用紙、下敷き、雑誌等の書籍、大型の定規、ファイル、パソコン、タブレット端末等を挙げることができる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、対をなす壁体の内面間に収納空間を形成してなり、上向きの面上に寝かせた姿勢で使用される小物類を前記収納空間に起立させた姿勢で収容することができるようにした小物類収納ケースであって、前記両壁体が、前記収納空間を少なくとも前方及び上方に開放可能な開き状態をとることができるものであり、前記各壁体が、上向きの面上に自立可能な剛性を有する下壁部と、この下壁部の上縁に連続させて設けられた上壁部とを備え、前記上壁部を前記下壁部の上縁付近を境にして前記下壁部の外面側に折り返すことができるように構成されたものであり、前記各壁体の下壁部が、起立させた姿勢で前記収納空間に収納された前記小物類の前縁側を支持し得る前側支持領域と、前記小物類の後縁側を支持する後側支持領域とを備えたものであり、前記壁体が、下壁部の外面に上方に開放されたポケットを備えたものであり、前記下壁部の外面側に折り返した上壁部の一部を前記ポケットに挿入し得るように構成されている小物類収納ケースである。
【0012】
請求項3に記載の発明は、前記下壁部の上縁部が、前方に向かって漸次又は段階的に低くなるように構成されている請求項1又は2記載の小物類収納ケースである。
【0013】
請求項4に記載の発明は、前記前側支持領域の上縁部が、前記後側支持領域の上縁部よりも低い位置に配設されている請求項1、2又は3記載の小物類収納ケースである。
【0014】
請求項5に記載の発明は、前記前側支持領域における前端部の高さ寸法が、前記壁体における高さ寸法の半分以上の寸法に設定されている請求項又は記載の小物類収納ケースである。
【0015】
請求項6に記載の発明は、前記開き状態における収納空間の奥行き寸法が、両壁体の前縁間に形成される開口の幅寸法の2〜3倍に設定されている請求項1、2、3、4又は5記載の小物類収納ケースである。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように本発明によれば、少なくとも、上向きの面上に寝かせた姿勢で使用される小物類を起立した姿勢で収容し得る小物類収納ケースを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態を示す斜視図。
図2】同実施形態における斜視図。
図3】同実施形態における斜視図。
図4図2におけるX−X線概略断面図。
図5】開き状態を説明するための図4対応の概略断面図。
図6図5におけるR部分の部分拡大図。
図7図5におけるQ部分の部分拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態を、図1〜7を参照して説明する。
【0020】
この実施形態は、本発明を、対をなす左右の壁体31の内面間に収納空間spを形成してなり、上向きの面m上に寝かせた姿勢で使用される小物類(以下、単に「小物類」という。)であるノートnを収納空間spに起立させた姿勢で収容することができるようにした小物類収納ケースAに適用したものである。
【0021】
小物類収納ケースAは、収納空間spにA4サイズの小物類を収納し得る上下方向、前後方向及び左右方向の寸法に設定されている。なお、図1の例では、小物類収納ケースAの収納空間spに小物類であるB5サイズのノートnを収納した態様を示しており、図3の例では、小物類収納ケースAの収納空間spに小物類であるA4サイズのノートnを収納した態様を示している。
【0022】
小物類収納ケースAは、内面間にノートnを収容し得る大きさの収納空間spを形成し得るように対をなして配設された左右の壁体31を有しこれら左右の壁体31の縁部間、すなわち前縁部31a間、及び、上縁部31b間に収納空間spを外部に開放するための開口部1sが形成されたケース本体1と、このケース本体1の開口部1sを、開き状態(O)又は閉じ状態(C)にするための線ファスナ2とを備えてなる。
【0023】
ケース本体1は、対をなす左右の壁体31を主体に構成された周壁3と、左右の壁体31における下部の上下方向に延びる前縁同士を連結するべく左右の壁体31間に介設された可撓変形可能な落下防止用のマチ4と、左右の壁体31における下縁部間に配された可撓変形可能な底マチ5とを備えている。
【0024】
周壁3は、対をなす左右の壁体31、及び、これら左右の壁体31の後縁同士を連結するべく両壁体31間に介設された可撓変形可能な背壁体32とを備えている。
【0025】
周壁3は、左右の壁体31における下部に板状の芯材36を内在させることにより一定の剛性を備えた下領域3aと、この下領域3aの上縁に連続させて当該下領域3aの上に設けられた柔軟性を有する上領域3bとを備えている。上領域3bは下領域3aよりも柔軟性に優れている。図2では、説明の便宜のために、芯材36を網掛けで表示している。
【0026】
なお、下領域3aは、左右の壁体31における下壁部J及び当該下壁部Jの後縁部間を繋ぐ背壁体32の下部部分を主体に構成されている。上領域3bは、左右の壁体31における上壁部K、及び、当該上壁部Kの後端部間を繋ぐ背壁体32の上部部分を主体に構成されている。そして、上領域3bは、主として左右の壁体31における剛性の異なる下壁部Jと上壁部Kとの境界部分gで、下領域3aの外面側に折り返すことができるようになっている。換言すれば、左右の壁体31は、上下方向中間部分において、上領域3bを下領域3aの外面側に折り返すことが可能な折り返し部たる境界部分gを備えている。
【0027】
左右の壁体31は、対をなすものであり、この実施形態では縦方向に長い略長方形の外形をなしている。左右の壁体31は、当該左右の壁体31がほぼ平行に接近する閉じ状態(C)から収納空間spを少なくとも前方及び上方に開放可能な開き状態(O)までの間で開閉動作し得るように構成されている。すなわち、左右の壁体31は、線ファスナ2と協働して、収納空間spが前方及び上方に開放されない閉じ状態(C)と、収納空間spを前方及び上方に開放した開き状態(C)を採り得るものである。
【0028】
小物類収納ケースAは、開き状態(O)における収納空間spの奥行き寸法wが、両壁体31の前縁間に形成される開口の幅寸法yの2〜3倍に設定されている。小物類収納ケースAは、開き状態(O)において、一定の剛性を有した左の壁体31と右の壁体31との離間距離が前方に向かって漸次長くなる姿勢を採り、上向きの面mの上に自立し得るようになっている。換言すれば、小物類収納ケースAは、開き状態(O)において、左の壁体31と右の壁体31とによって平面視においてV字状ないしハの字状の形態をなし、当該左右の壁体31が背壁体32によって連結されているため、上向きの面mに対して略直交する方向に起立した状態を採ることができるようになっている。
【0029】
左右の壁体31は、上向きの面mに自立可能な剛性を有する下壁部Jと、この下壁部Jの上縁に連続させて当該下壁部Jの上に設けられた上壁部Kとを備えている。上壁部Kは、下壁部Jよりも軟性を有している。上壁部Kは、下壁部Jの上縁付近である境界部分gを境にして下壁部Jの外面側に折り返すことにより、当該下壁部Jの外側に位置し得るように構成されている。
【0030】
下壁部Jは、起立させた姿勢で収納空間spに収納されたノートnの前縁側を支持し得る前側支持領域j1と、ノートnの後縁側を支持する後側支持領域j2とを備えている。すなわち、下壁部Jは、起立した姿勢で収納されたノートnの前縁側が部分的に当接することにより当該ノートnが起立状態に支持される前側支持領域j1と、起立した姿勢で収納されたノートnの後縁側が部分的に当接することにより当該ノートnが起立状態に支持される後側支持領域j2とを備えている。
【0031】
下壁部Jは、その外面に上方に開放されたポケットPを備えている。この実施形態では、下壁部Jの外面側に折り返した上壁部Kの一部である前角部分k1をポケットPに挿入し得るように構成されている。ポケットPは、周壁3の外面にポケット用シートpsを縫着することにより、対をなす左右の壁体31の各外面に設けられたものである。
【0032】
この実施形態では、下壁部Jにおける前端部の高さ寸法x(すなわち前側支持領域j1における前端部の高さ寸法x)が、左右の壁体31における高さ寸法zの半分以上すなわち二分の1以上の寸法に設定されている。
【0033】
下壁部Jの上縁部j3は、前方に向かって漸次低くなるように構成されている。換言すれば、前側支持領域j1における上縁部j3の対応部分は、後側支持領域j2における上縁部j3の対応部分よりも低い位置に設定されている。
【0034】
下壁部Jは、外方に表出する合成繊維素材を主体とした布製の外装材33と、小物類であるノートnに直接的に接し得る合成繊維素材を主体とした布製の内装材34と、これら外装材33と内装材34との間に配されるスポンジシート状の発泡部材35と、外装材33と発泡部材35との間に配された合成樹脂(例えば、ポリプロピレン)製の板状をなす芯材36とを備えている。そして、外装材33、内装材34、発泡部材35、及び、芯材36の周縁部が縫い合わされている。
【0035】
上壁部Kは、外方に表出する合成繊維素材を主体とした布製の外装材33と、小物類であるノートnに直接的に接し得る合成繊維素材を主体とした布製の内装材34と、これら外装材33と内装材34との間に配される図示しないスポンジシート状の発泡部材とを備えている。そして、外装材34、内装材34、発泡部材の周縁部が縫い合わされている。
【0036】
なお、図1に示すように、左の壁体31の内側面には内ポケットUが設けられている。内ポケットUは、内ポケット形成用のポケット用シートusを左の壁体31の内側面に縫着することにより設けられている。内ポケットUは、例えば、消しゴムや付箋やスマートフォン等の比較的小さな物品を収納し得る大きさに設定されている。なお、図4、及び、図5では、内ポケットUの図示を省略している。
【0037】
背壁体32は、可撓変形可能なものであり左右の壁体31同士を繋ぐ役割をなしている。背壁体32は、外方に表出する合成繊維素材を主体とした布製の外装材33と、小物類であるノートnに直接的に接し得る合成繊維素材を主体とした布製の内装材34と、これら外装材33と内装材34との間に配されるスポンジシート状の発泡部材35とを備えている。なお、背壁体32における下部の外面には、ポケット用シートpsが被覆されている。開き状態(O)における背壁体32の幅寸法は、開き状態(O)における落下防止用のマチ4の幅寸法よりも短く設定されている。
【0038】
落下防止用のマチ4は、両壁体31における前縁部の下側部分間に張り設けられたものである。落下防止用のマチ4は、壁体31の下壁部J間に配された軟性のものである。落下防止用のマチ4の両側縁部には、補強テープtが配されている。落下防止用のマチ4は、添設させた補強テープtとともに外装材33、内装材34、発泡部材35、及び、芯材36に縫い合わされている。落下防止用のマチ4は、その下縁が底マチ5の前縁に連続している。すなわち、落下防止用のマチ4は、底マチ5と共通のシート素材により一体に構成されている。落下防止用のマチ4は、少なくとも収納空間spに小物類が収容されていない状態では閉じ状態(C)において後方に向かって凸をなすように屈曲した態様をなしているが、開き状態(O)においては略平板状に延びた態様をなしている。
【0039】
底マチ5は、左右の壁体31、背壁体32、及び、落下防止用のマチ4と協働して小物類であるノートnを収納し得る収納空間spを形成し得るものである。底マチ5は、その両側縁が左右の壁体31の下縁部に接続している。底マチ5は、その後縁が背壁体32の下縁部に接続している。底マチ5は、開き状態(O)において、略二等辺三角形状をなしている。底マチ5は、少なくとも収納空間spに小物類が収容されていない状態では閉じ状態(C)において上方に凸をなすように屈曲した態様をなしている。一方で、底マチ5は、開き状態(O)においては底マチ5自体の平板状に復帰しようとする弾性変形力により、又は、収納空間spに収容された小物類の荷重を受けることにより、略平板状に延びた態様をなしている。
【0040】
線ファスナ2は、落下防止用のマチ4の外側に位置させて左右の壁体31の縁部に設けられたものである。線ファスナ2は、左右の壁体31の前縁部31a、及び、上縁部31bの略全域に亘って配されている。
【0041】
線ファスナ2は、基端側が左右の壁体31に直接縫合されているテープ2aと、このテープ2aの先端側に設けられ互いに接離し得る務歯2bと、スライド動作によりこれら務歯2bの接離を操作するためのスライダ2cとを備えている。
【0042】
この実施形態では、テープ2a、及び、務歯2bの下端は、左右の壁体31内に入り込ませた状態で縫合されており、スライダ2cにおける下側の動作端となっている。一方、テープ2a、及び、務歯2bの上端は、図示しない帯状のファスナエンドに縫合されており、スライダ2cにおける上側の動作端となっている。ファスナエンドには図示しないホック部材が設けられており、背壁体32の内面側に設けた図示しないホック部材と連結し得るようになっている。テープ2aの基端部は、外装材33、及び、内装材34の間に位置した状態で縫着されている。なお、線ファスナ2の構成は、既存のものを適宜適用し得るものであるため詳細な説明を省略する。
【0043】
以上説明したように、本実施形態に係る小物類収納ケースAは、対をなす左右の壁体31の内面間に収納空間spを形成してなり、天板等の上向きの面m上に寝かせた姿勢で使用される小物類であるノートnを収納空間spに起立させた姿勢で収容することができるようにしたものである。そして、両壁体たる左右の壁体31が、収納空間spを少なくとも前方及び上方に開放可能な開き状態をとることができるものとなっている。
【0044】
左右の壁体31が、上向きの面m上に自立可能な剛性を有する下壁部Jと、この下壁部Jの上縁に連続させて設けられた上壁部Kとを備えている。そして、上壁部Kを下壁部Jの上縁付近を境にして下壁部Jの外面側に折り返すことができるように構成されている。左右の壁体31の下壁部Jが、起立させた姿勢で収納空間spに収納されたノートnの前縁側を支持し得る前側支持領域j1と、ノートnの後縁側を支持する後側支持領域j2とを備えている。このため、主として上向きの面m上に寝かせた姿勢で使用される小物類であるノートnを起立した姿勢で収容し得る小物類収納ケースAを提供することができるものとなる。つまり、左右の壁体31の下壁部Jが、起立させた姿勢で収納空間spに収納されたノートnの前縁側n1を支持し得る前側支持領域j1と、ノートnの後縁側n2を支持する後側支持領域j2とを備えているものであるため、主として板状をなす小物類であるノートnを起立した姿勢を保持させつつ収納空間sp内に収納し得るものとなっている。かかる小物類収納ケースAであれば、例えば、天板等の上向きの面m上に載置して使用する場合でも、当該上向きの面m上の比較的広い領域を占有してしまうことがなく、執務において求められる天板上の自由な領域を好適に確保し得るものとなっている。
【0045】
小物類収納ケースAは、薄型シートを重ねて形成されたフォルダーを複数起立した姿勢で収納させることができる。この場合、フォルダーを平積みの態様で整理したものと比較して、検索性が優れたものとなるだけでなく、前述と同様に天板上の自由な領域を好適に確保し得るものとなっている。
【0046】
下壁部Jの上縁部j3が、前方に向かって漸次低くなるように構成されている。換言すれば、前側支持領域j1における上縁部j3が、後側支持領域j2における上縁部j3よりも低い位置に配設されている。このため、小物類であるノートnを収納空間sp内に入れやすく、且つ、収納空間sp内に収容されたノートnを外部に取り出しやすいものとなっている。収納空間sp内に複数のフォルダーを収容している場合には、当該フォルダーにおける上部前側の角部周辺が外部に露出し得るものとなるため、検索をする際にめくりやすいものとなっている。
【0047】
前側支持領域j1における前端部の高さ寸法xが、壁体31における高さ寸法zの半分以上の寸法に設定されている。このため、起立状態で収納されたノートnが倒れにくいものとなっている。収納空間sp内に比較的薄型シート状をなすフォルダーを収容している場合でも、当該フォルダーが上下方向中間部分で厚み方向によれて倒れるようなことが好適に抑制されたものとなる。このため、この小物類収納ケースAであれば、薄型シート状をなすフォルダーを収納した場合でも、略平板シート状の姿勢を保持させ得るものとなっている。
【0048】
左右の壁体31の後縁同士が背壁体32を介して連結されているとともに、左右の壁体31の前縁下部同士が可撓変形可能な落下防止用のマチ4を介して連結されており、両壁体31がほぼ平行に接近する閉じ状態(C)から開き状態(O)までの間で開閉動作し得るように構成されている。このため、左右の壁体31、背壁体32、及び、落下防止用のマチ4によって、収納空間spを好適に形成し得るとともに、小物類収納ケースAが安定的に自立し得る構成を提供し得るものとなっている。
【0049】
開き状態(O)における収納空間spの奥行き寸法wが、両壁体31の前縁間に形成される開口の幅寸法yの2〜3倍に設定されている。このため、小物類収納ケースAは、天板の載置面等の上向きの面m上において、場所を過大に占有するのを抑制する当該上向きの面mに対して起立した姿勢を採り得るものとなっている。
【0050】
左右の壁体31が、下壁部Jの外面に上方に開放されたポケットPを備えたものである。そして、下壁部Jの外面側に折り返した上壁部Kの一部をポケットPに挿入し得るように構成されている。このため、ポケットPは、内部に種々の物品を収容し得る基本的な機能だけでなく上壁部Kが下壁部Jの外面側に位置した状態を好適に保持し得る機能をも兼ねたものとなっている。
【0051】
なお、本発明は、以上に詳述した実施形態に限られるものではない。
【0052】
小物類収納ケースの大きさは適宜設定され得るものである。つまり、上述した実施形態のようなA4サイズの小物類が入らない大きさのものであってもよい。
【0053】
上述した実施形態では、上向きの面上に寝かせた姿勢で使用される小物類としてノートを例示したが、ノート以外のものも該当し得るものである。その他の具体的な例を挙げれば、ノート、フォルダー、用紙、下敷き、雑誌等の書籍、大型の定規、ファイル、パソコン、タブレット端末等が挙げられる。
【0054】
小物類収納ケースは、その収納空間に、小物類以外の物品も収容し得るものであることは言うまでもない。
【0055】
左右の壁体を構成する下壁部の上縁部は、傾斜したものではなく略水平なものであってもよい。また、上述した実施形態では、上縁部は、前方に向かって漸次低くなるように構成されていたが、段階的に低くなるようにしてもよい。
【0056】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0057】
31…壁体
A…小物類収納ケース
J…下壁部
j1…前側支持領域
j2…後側支持領域
K…上壁部
m…上向きの面
n…ノート(小物類)
sp…収納空間
(O)…開き状態
(C)…閉じ状態
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7