(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする技術的課題は、装置筐体から着脱体を離脱する際に開閉扉の開放操作のし忘れを防ぐと共に、装置筐体への着脱体の装着時の着脱体と開閉扉との位置決め精度を保つことにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、少なくとも一部に作像機能部を含み、装置筐体に対して着脱可能に装着される着脱体と、前記装置筐体のうち前記着脱体の着脱方向と交差する方向に位置する側壁に開閉可能に設けられる開閉扉と、前記開閉扉側に設けられ、前記開閉扉の閉鎖時に前記着脱体の一部に接触配置され、前記着脱体上に保持された画像を記録材に転写する転写部材と、前記装置筐体に前記着脱体を装着するときに前記装置筐体に対して前記着脱体を位置決めする着脱体の位置決め機構と、を備えた画像形成装置に用いられ、前記装置筐体に対して前記開閉扉を位置決めする開閉扉の位置決め機構であって、前記開閉扉側に揺動支点を有して揺動可能に設けられる位置決め腕部と、前記位置決め腕部の回転自由端側に設けられる引っ掛け部と、前記着脱体の位置決め機構の一要素であって、前記装置筐体の予め決められた位置に設けられて前記着脱体の装着位置を特定する位置決め部として機能すると共に、前記開閉扉の閉鎖時に前記位置決め腕部の回転自由端位置を拘束するように前記引っ掛け部を引っ掛ける被引っ掛け部と、を有することを特徴とする開閉扉の位置決め機構である。
【0006】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る開閉扉の位置決め機構において、更に、前記位置決め腕部の前記引っ掛け部が前記被引っ掛け部から解除されるように前記位置決め腕部を操作する操作機構を備えることを特徴とする開閉扉の位置決め機構である。
請求項3に係る発明は、請求項1に係る開閉扉の位置決め機構において、更に、前記位置決め腕部の前記引っ掛け部が前記被引っ掛け部に引っ掛る方向に前記位置決め腕部を付勢する付勢部材を備えることを特徴とする開閉扉の位置決め機構である。
請求項4に係る発明は、請求項1乃至3のいずれかに係る開閉扉の位置決め機構において、前記開閉扉の閉鎖時の前記位置決め腕部は、前記着脱体の装着方向において前記着脱体より手前側に配置されていることを特徴とする開閉扉の位置決め機構である。
請求項5に係る発明は、少なくとも一部に作像機能部を含み、装置筐体に対して着脱可能に装着される着脱体と、前記装置筐体のうち前記着脱体の着脱方向と交差する方向に位置する側壁に開閉可能に設けられる開閉扉と、前記開閉扉側に設けられ、前記開閉扉の閉鎖時に前記着脱体の一部に接触配置され、前記着脱体上に保持された画像を記録材に転写する転写部材と、前記装置筐体に前記着脱体を装着するときに前記装置筐体に対して前記着脱体を位置決めする着脱体の位置決め機構と、前記装置筐体に対して前記開閉扉を位置決めする開閉扉の位置決め機構と、を備え、前記開閉扉の位置決め機構として請求項1乃至4のいずれかに係る開閉扉の位置決め機構を用いることを特徴とする画像形成装置である。
請求項6に係る発明は、請求項5に係る画像形成装置において、前記着脱体の前記装置筐体への着脱は前記開閉扉の開放後に行われることを特徴とする画像形成装置である。
請求項7に係る発明は、請求項5又は6に係る画像形成装置において、前記着脱体は無端状の中間転写ベルトを含む中間転写モジュールであることを特徴とする画像形成装置である。
請求項8に係る発明は、請求項5又は6に係る画像形成装置において、前記着脱体は感光体を含むプロセスカートリッジであることを特徴とする画像形成装置である。
請求項9に係る発明は、請求項5又は6に係る画像形成装置において、前記着脱体の位置決め機構は、前記位置決め部と、前記着脱体の一部を構成する支持枠体に設けられ、前記着脱体の前記装置筐体への装着時に前記位置決め部が嵌って当該着脱体を位置決めする被位置決め部と、前記着脱体を前記装置筐体に拘束する拘束機構と、を備え、前記拘束機構は、前記装置筐体の予め決められた位置に設けられる孔部と、前記支持枠体に対して回転可能に設けられ、前記着脱体の前記装置筐体への装着時に前記孔部を貫通して当該孔部を挟み、予め決められた方向への回転によって前記着脱体を前記装置筐体に対して拘束する拘束部材と、を有することを特徴とする画像形成装置である。
請求項10に係る発明は、請求項5又は6に係る画像形成装置において、前記着脱体は画像形成部からの画像の転写面が水平方向に延びる無端状の中間転写ベルトを含む中間転写モジュールであり、前記着脱体の位置決め機構は、前記装置筐体に対して前記着脱体を着脱するときに予め決められた軌跡に沿って着脱操作する把手を有すると共に、鉛直方向上方から見たときに前記把手の軌跡と前記位置決め腕部とを水平方向領域において一部重なって配置することを特徴とする画像形成装置である。
請求項11に係る発明は、請求項5又は6に係る画像形成装置において、前記着脱体の位置決め機構は、前記装置筐体に対して前記着脱体を着脱するときに予め決められた軌跡に沿って着脱操作する把手を有すると共に、前記着脱体の装着方向における手前側から見たときに前記着脱体を装着した際の前記把手と前記位置決め腕部とを一部重なって配置することを特徴とする画像形成装置である。
請求項12に係る発明は、請求項9に係る画像形成装置において、前記着脱体の位置決め機構は、前記装置筐体に対して前記着脱体を着脱するときに予め決められた軌跡に沿って着脱操作する把手を有し、当該把手が前記拘束部材を拘束・解除するものであることを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に係る発明によれば、装置筐体から着脱体を離脱する際に開閉扉の開放操作のし忘れを防ぐと共に、装置筐体への着脱体の装着時の着脱体と開閉扉との位置決め精度を保つことができる。
請求項2に係る発明によれば、開閉扉の操作機構を操作するという簡略な方法によって位置決め腕部の解除がなされるようになる。
請求項3に係る発明によれば、付勢部材を有さない態様に比べて、位置決め腕部を被引っ掛け部に強く引っ掛けることができる。
請求項4に係る発明によれば、開閉扉の開放操作のし忘れを目視確認できる。
請求項5に係る発明によれば、装置筐体から着脱体を離脱する際に開閉扉の開放操作のし忘れを防ぐと共に、装置筐体への着脱体の装着時の着脱体と開閉扉との位置決め精度を保つことが可能な画像形成装置を提供することができる。
請求項6に係る発明によれば、着脱体と転写部材とが接触した状態での着脱体の着脱誤操作を防ぐことができる。
請求項7に係る発明によれば、装置筐体から中間転写モジュールを離脱する際に開閉扉の開放操作のし忘れを防ぐと共に、装置筐体への中間転写モジュールの装着時の中間転写ベルトと開閉扉との位置決め精度を保つことが可能な画像形成装置を提供することができる。
請求項8に係る発明によれば、装置筐体からプロセスカートリッジを離脱する際に開閉扉の開放操作のし忘れを防ぐと共に、装置筐体へのプロセスカートリッジの装着時の感光体と開閉扉との位置決め精度を保つことが可能な画像形成装置を提供することができる。
請求項9に係る発明によれば、装置筐体に装着された着脱体を容易に離脱できないようにすることができる。
請求項10に係る発明によれば、高さ寸法が抑えられた中間転写モジュールを着脱体として使用する態様において、開閉扉の位置決め腕部と着脱体の操作用把手との相対位置関係を把握し易くし、装置筐体から着脱体を離脱するに際し、開閉扉の開放操作のし忘れを目視確認し易くできる。
請求項11に係る発明によれば、開閉扉の位置決め腕部と着脱体の操作用把手との相対位置関係を一見して把握でき、装置筐体から着脱体を離脱するに際し、開閉扉の開放操作のし忘れを更に目視確認し易くできる。
請求項12に係る発明によれば、装置筐体から着脱体を離脱するに際し、開閉扉の開放操作のし忘れを目視確認し易くできると共に、着脱体の拘束機構に対する解除操作もし易くなる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
◎実施の形態の概要
図1は、本発明に係る画像形成装置の実施の形態の概要を示す説明図である。
同図において、画像形成装置は、少なくとも一部に作像機能部3を含み、装置筐体1に対して着脱可能に装着される着脱体2と、装置筐体1のうち着脱体2の着脱方向と交差する方向に位置する側壁に開閉可能に設けられる開閉扉5と、開閉扉5側に設けられ、開閉扉5の閉鎖時に着脱体2の一部に接触配置され、着脱体2上に保持された画像を記録材に転写する転写部材6と、装置筐体1に着脱体2を装着するときに装置筐体1に対して着脱体2を位置決めする着脱体の位置決め機構4と、装置筐体1に対して開閉扉5を位置決めする開閉扉の位置決め機構7と、を備えている。
【0010】
そして、開閉扉の位置決め機構7としては、開閉扉5側に揺動支点を有して揺動可能に設けられる位置決め腕部8と、位置決め腕部8の回転自由端側に設けられる引っ掛け部8aと、着脱体2の位置決め機構4の一要素であって、装置筐体1の予め決められた位置に設けられて着脱体2の装着位置を特定する位置決め部4aとして機能すると共に、開閉扉5の閉鎖時に位置決め腕部8の回転自由端位置を拘束するように引っ掛け部8aを引っ掛ける被引っ掛け部8bと、を有している。
【0011】
ここで、装置筐体1は外装のみならず、各種フレームも含む。また、着脱体2としては中間転写型の画像形成装置の中間転写モジュール(本願では機能単位、交換可能な構成部分を意味する)や、直接転写型の画像形成装置のプロセスカートリッジが挙げられる。更に、転写部材6はロール状、ベルト状いずれであってもよいが、代表的には転写ロールの態様が挙げられる。
【0012】
そして、本件の開閉扉の位置決め機構7は、着脱体の位置決め機構4の位置決め部4aを開閉扉5の被引っ掛け部8bとして兼用するものである。また、位置決め部4aは装置筐体1側に設けられるが、着脱体2が位置決めされるようになっていれば、例えばその形状や長さ等は限定されず、代表的には位置決めピンの構成が挙げられる。
【0013】
更に、位置決め腕部8は、付勢部材を備える態様であってもよいし、例えば位置決め腕部8自体が弾性変形可能な部材で構成されたものであってもよい。更にまた、位置決め腕部8は着脱体2より手前側(フロント側)に配置される方が目視確認するには好ましいが、着脱体2に隠れる位置であっても差し支えない。また、引っ掛け部8aの形状は特に限定されず、被引っ掛け部(位置決め部4aと兼用)8bに引っ掛る形状であればよい。尚、位置決め腕部8の引っ掛け部8aが被引っ掛け部8bに引っ掛っている状態では、位置決め腕部8が着脱体2の着脱方向における領域内に位置することは明らかであり、この点からも着脱体2の離脱を防ぐ作用を奏することは言うまでもない。
【0014】
次に、開閉扉の位置決め機構7における代表的態様または好ましい態様について説明する。
位置決め腕部8の引っ掛け部8aを被引っ掛け部8bから容易に解除するには、更に、位置決め腕部8の引っ掛け部8aが被引っ掛け部8bから解除されるように位置決め腕部8を操作する操作機構を備える態様が挙げられる。この操作機構の代表例としては、開閉扉5の表側に操作ノブを備え、リンク機構にて位置決め腕部8の引っ掛け部8aを被引っ掛け部8bから解除する方向に操作する態様が挙げられる。
【0015】
また、位置決め腕部8の引っ掛け部8aによる被引っ掛け部8bへの引っ掛りをよくするには、更に、位置決め腕部8の引っ掛け部8aが被引っ掛け部8bに引っ掛る方向に位置決め腕部8を付勢する付勢部材9を備える態様が挙げられる。そして、位置決め腕部8の位置を容易に視認し、着脱体2の着脱誤操作を防ぐには、開閉扉5の閉鎖時の位置決め腕部8は、着脱体2の装着方向において着脱体2より手前側に配置されていることが好ましい。
【0016】
次に、画像形成装置における代表的態様又は好ましい態様について説明する。
着脱体2と転写部材6とが接触した状態での着脱体2の着脱誤操作を防ぐ観点からすれば、着脱体2の装置筐体1への着脱は開閉扉5の開放後に行われることが好ましい。ここで、開閉扉5の開放後とは、開閉扉5が完全に開放された状態になくてもよく、位置決め腕部8が着脱体2の装置筐体1に対する着脱方向における着脱体2が占める領域を外れた位置にあればよいことを意味する。そして、位置決め腕部8の引っ掛け部8aが被引っ掛け部8bに引っ掛っていれば着脱体2の離脱はできなくなる。
【0017】
また、着脱体2の代表的態様としては、無端状の中間転写ベルトを含む中間転写モジュールである態様や、感光体を含むプロセスカートリッジである態様が挙げられる。尚、中間転写モジュールは中間転写ベルトを少なくとも有する態様であればよく、中間転写ベルトに画像を形成する画像形成部の数量や配置は特に限定されない。
【0018】
そして、着脱体2の位置決め機構4の代表的態様としては、位置決め部4aと、着脱体2の一部を構成する支持枠体に設けられ、着脱体2の装置筐体1への装着時に位置決め部4aが嵌って着脱体2を位置決めする被位置決め部(図示せず)と、着脱体2を装置筐体1に拘束する拘束機構(図示せず)と、を備え、拘束機構は、装置筐体1の予め決められた位置に設けられる孔部と、支持枠体に対して回転可能に設けられ、着脱体2の装置筐体1への装着時に前記孔部を貫通して当該孔部を挟み、予め決められた方向への回転によって着脱体2を装置筐体1に対して拘束する拘束部材と、を有する態様が挙げられる。尚、孔部の形状は特に限定されないが、代表的には鍵孔状の態様が挙げられる。
【0019】
また、着脱体2の位置決め機構4の好ましい態様としては、例えば着脱体2として画像形成部からの画像の転写面が水平方向に延びる無端状の中間転写ベルトを含む中間転写モジュールである態様において、装置筐体1に対して着脱体2を着脱するときに予め決められた軌跡に沿って着脱操作する把手(図示せず)を有すると共に、鉛直方向上方から見たときに把手の軌跡と位置決め腕部8とを水平方向領域において一部重なって配置する態様が挙げられる。本例において、中間転写ベルトは画像形成部からの画像の転写面が水平方向に延びるものであればよく、転写面が水平方向に沿うように配置される場合は勿論、水平方向に対して少し斜めに配置されていても、水平方向成分を有するものを広く含む。このため、本例は、中間転写ベルトが略水平方向に配置される態様であるが、中間転写モジュールは高さ寸法が抑えられた横長の形状になるはずであり、鉛直方向上方から見て着脱体2の着脱操作用の把手の軌跡と位置決め腕部8とを水平方向領域において一部重なって配置するようにすれば、両者(把手と位置決め腕部8)はあまり離れていない箇所に配置されることになる。してみると、操作者が把手に目をやったときには自然に位置決め腕部8にも目がいくような位置関係になり、開閉扉5の開放操作がまだ行われていないことを目視確認することが可能になる。
更に、本態様では、把手の軌跡と位置決め腕部8とは、鉛直方向上方から見て水平方向領域において一部重なっていればよく、着脱体2の着脱方向の手前側から見て、着脱体2装着時の把手の位置と位置決め腕部8とが一部重なって配置されることは必ずしも必要ではないが、目視確認を高めるという観点からすれば両者が一部重なって配置する方が好ましく、その場合、把手は位置決め腕部8と干渉しない態様(例えば着脱体2の着脱方向において前後に変位して配置されている態様)を有するようにすればよい。これによれば、位置決め部4aに開閉扉5側の位置決め腕部8の引っ掛け部8aが及んでいるか否かが容易に判断されるようになる。
更に、着脱体2の位置決め機構4として前述した拘束機構を採用する態様にあっては、把手が拘束部材を拘束・解除するものであってもよい。
【0020】
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいて本発明を更に詳細に説明する。
◎実施の形態1
<画像形成装置の構成の概要>
図2は、実施の形態1に係る着脱体を用いた画像形成装置の一例を示す概略構成図である。同図において、本実施の形態の画像形成装置10は、装置筐体11と、装置筐体11に対して着脱可能に装着される着脱体としての中間転写モジュール20と、装置筐体11のうち中間転写モジュール20の着脱方向と交差する方向に位置する側壁に開閉可能に設けられる開閉扉40と、開閉扉40側に設けられ、開閉扉40の閉鎖時に中間転写モジュール20の後述する中間転写ベルト21に接触配置され、中間転写ベルト21上に保持された画像を記録材Sに転写する転写部材としての二次転写ロール41と、装置筐体11に中間転写モジュール20を装着するときに装置筐体11に対して中間転写モジュール20を位置決めする中間転写モジュール20の位置決め機構(後述する)と、装置筐体11に対して開閉扉40を位置決めする開閉扉40の位置決め機構(後述する)と、を備えている。尚、ここでいう中間転写モジュール20とは、無端状の中間転写ベルト21を含む構成部分を意味するもので、装置筐体11に対して中間転写モジュール20の状態で着脱される態様を示す。
【0021】
また、中間転写ベルト21の周囲には、中間転写ベルト21に転写するトナー像を形成する4つの画像形成部30(30a〜30d)が配置されている。本実施の形態の画像形成部30は中間転写ベルト21に四色の各色トナー像を形成する4つの画像形成部30が中間転写ベルト21に対向してその下方位置で中間転写ベルト21の回転方向に沿って略直線状に並べて配置されている。
【0022】
4つの画像形成部30は略同様に構成されているため、ここでは代表的に1つの画像形成部30(具体的には30a)について説明する。画像形成部30は、感光層を有する感光体31を有し、感光体31の周りには、感光層を帯電するための帯電器32、帯電器32によって帯電された感光層に静電潜像を形成するための露光する露光器33、露光器33によって感光体31上に形成された静電潜像を可視像化するためにトナーにて現像する現像器34、感光体31上のトナー像を中間転写ベルト21上に一次転写する一次転写ロール26、トナー像を転写後の感光体31の表面を清掃する清掃器35等が配置されている。尚、本例の画像形成部30は、中間転写ベルト21に対して一括して下方(中間転写ベルト21から離れる方向)に下がることができるように構成されている。
【0023】
そして、本実施の形態の中間転写モジュール20は、複数の張架ロール22〜25に架け渡されて、例えば張架ロール22を駆動ロールとして図中矢印方向に回転する中間転写ベルト21と、中間転写ベルト21を挟んで夫々の感光体31に対向配置される4つの一次転写ロール26等が含まれる。また、中間転写ベルト21を挟んで張架ロール22に対向する位置には、中間転写ベルト21上に転写されて多重化されたトナー像を記録材S上に一括転写する二次転写ロール41が配置されている。この二次転写ロール41は、開閉扉40側に保持され、開閉扉40の開閉動作に伴って移動するように構成されている。尚、図中符号27は中間転写ベルト21を挟んで張架ロール23に対向し、中間転写ベルト21上の残留トナーを清掃するベルトクリーナである。
【0024】
更に、画像形成装置10の装置筐体11内で画像形成部30の下方には、記録材Sを供給する記録材供給部12が配置され、供給カセット13内の記録材Sは捌き機構14にて1枚ずつ繰り出されるようになっている。
【0025】
−記録材の搬送系−
次に、本実施の形態において開閉扉40が閉鎖した状態での記録材Sの搬送系について説明する。記録材供給部12から繰り出された記録材Sは、主搬送路61に設けられたレジストロール15にて位置決め規制された後、決められたタイミングで二次転写ロール41側に向けて搬送される。二次転写ロール41と中間転写ベルト21とが対向する転写部位にて中間転写ベルト21上の多重化されたトナー像が記録材S上に一括転写され、主搬送路61中を更に搬送される。その後、記録材S上に転写されたトナー像は、定着器16によって定着された後、排出ロール17によって装置筐体11の上部に設けられた記録材排出部11aに排出される。
【0026】
また、本実施の形態では、記録材Sの裏面側に画像を形成するための反転搬送路62を備えている。排出ロール17にて記録材排出部11a側へ排出される記録材Sの後端が主搬送路61中の定着器16と排出ロール17との間に配置された図示外の切替器による経路を通過した後、切替器が切り替えにより経路が変化し、排出ロール17を逆転することで記録材Sは反転搬送路62に搬送される。反転された記録材Sは、そのまま反転搬送路62から主搬送路61のレジストロール15の上流側位置まで戻り、記録材Sの裏面側に新たなトナー像が転写されるようになる。
【0027】
更に、本実施の形態では、手差し搬送路63を備えている。手差し搬送路63への記録材Sの投入は、手差しカバー64を開放し、そこに記録材Sを手差しセットすることで、繰出ロール65を介して手差し搬送路63に搬送され、記録材Sはそのまま主搬送路61のレジストロール15の上流側位置まで達するようになる。尚、主搬送路61、反転搬送路62、手差し搬送路63には、記録材Sを搬送するための搬送ロール、ガイドシュート、切替器等が設けられていることは言うまでもない。
【0028】
ここで、本実施の形態における画像形成装置10の外観について補足する。
図3,4は画像形成装置10の外観を示す斜視図であり、画像形成部30(
図2参照)を除いた状態のものとなっている。
図3は中間転写モジュール20が装置筐体11内に装着された状態を示し、
図4は中間転写モジュール20が装置筐体11から離脱(引き出し)される途中の状態を示している。これらの図において、画像形成装置10の装置筐体11には、中間転写モジュール20を離脱する方向に開閉されるフロントカバー11bが設けられ、中間転写モジュール20の着脱方向と交差する方向に位置する側壁に設けられた開閉扉40を有している。そして、開閉扉40には、装置筐体11に対して位置決めするための後述する位置決めアーム111を有している。また、開閉扉40に二次転写ロール41が保持されている。
【0029】
<中間転写モジュールの概要>
次に、中間転写モジュール20の構成について詳述する。
図5は、中間転写モジュール20の斜視図であり、本例の中間転写モジュール20は、2つの支持枠体201,202、すなわち、装置筐体11のフロント側に位置する前側支持枠体201及び同リア側に位置する奥側支持枠体202間に中間転写ベルト21を張架する張架ロール22〜25を回転可能に支持し、張架ロール(駆動ロールに相当)22の奥側(リア側)を駆動することで、中間転写ベルト21が循環回転できるように構成されている。また、2つの支持枠体201,202の間には、中間転写ベルト21の上方に2つの案内ガイド203,204を配置しており、これらの案内ガイド203,204を装置筐体11側に設けられたガイドレール(図示せず)に沿って滑らせることで、装置筐体11に対する中間転写モジュール20の着脱が容易にできるように構成されている。
【0030】
更に、前側支持枠体201の長手方向両端部2箇所には、中間転写モジュール20が装置筐体11内に装着されたときに中間転写モジュール20を装置筐体11に拘束する拘束機構74の一部が設けられている。また、前側支持枠体201には、中間転写モジュール20を装置筐体11から引き出す(離脱)ための取っ手208が取り付けられている。尚、図中符号27aは、ベルトクリーナ27から廃トナーを図示外の廃トナー容器に搬送する搬送部となっている。
【0031】
−中間転写モジュールの位置決め機構−
次に、中間転写モジュール20の位置決め機構70について
図6〜8を用いて説明する。ここで、
図6は中間転写モジュール20の部分拡大図であり、フロント側の前側支持枠体201側から見た図、
図7,8は中間転写モジュール20を装置筐体11内に装着する際のリア側から中間転写モジュール20のフロント側の前側支持枠体201側を見た図となっている。
【0032】
これらの図において、中間転写モジュール20の位置決め機構70は、装置筐体11のフレーム71の予め決められた位置に設けられて中間転写モジュール20の装着位置を特定する位置決め部としての位置決めピン72と、中間転写モジュール20の前側支持枠体201に設けられ、装置筐体11への装着時に位置決めピン72が嵌って中間転写モジュール20を位置決めする被位置決め部としての被位置決め孔73と、中間転写モジュール20を装置筐体11に拘束する前述した拘束機構74と、を備えている。尚、本実施の形態における拘束機構74は、前側支持枠体201の2箇所に設けられているが、略同様の構成のため、ここでは被位置決め孔73に近い側のものについてのみ説明する。
【0033】
拘束機構74は、装置筐体11の予め決められた位置、本例ではフレーム71に設けられるロック孔75と、前側支持枠体201に対して回転可能に設けられ、中間転写モジュール20の装置筐体11への装着時にロック孔75を貫通してロック孔75を挟み、予め決められた方向への回転によって中間転写モジュール20を装置筐体11に対して拘束する拘束部材76と、を有している。
【0034】
また、拘束部材76は、前側支持枠体201より中間転写モジュール20の装着方向における手前側(装置筐体11のフロント側)に前側支持枠体201より突出し、拘束部材76を回転させる把手としての操作レバー212と、操作レバー212の一端側に設けられて前側支持枠体201に対して操作レバー212を回転可能に支持する回転支軸213と、この回転支軸213の前側支持枠体201より奥側(中間転写ベルト21側)に回転支軸213から径方向に突出するロック片214とを有している。そのため、本例のロック孔75は、回転支軸213が通過する部分と、中間転写モジュール20の装着途中の状態でのロック片214に合わせた位置でロック片214が通過する部分とが合わさった鍵孔状のものとなっている。
【0035】
そして、前側支持枠体201側には、拘束部材76の回転支軸213の外周面が摺動できるような環状部206を備え、拘束部材76は環状部206に沿って回転(揺動)できるようになっている。また、環状部206の一部は下方に延び、拘束部材76の操作レバー212の回転を規制するためのストッパ207を有している。
【0036】
このような構成の中間転写モジュール20を装置筐体11内の予め決められた位置に装着するには、次のようにすればよい。
中間転写モジュール20の拘束部材76の操作レバー212を斜めに傾けた状態、つまり、拘束部材76のロック片214がフレーム71のロック孔75を通過できる状態に保ちながら、中間転写モジュール20の案内ガイド203,204(
図5参照)を装置筐体11側の適合箇所(装置筐体11側に設けた図示外のガイドレール)に合わせ、徐々に中間転写モジュール20を滑らせながらリア側に移動させる。
【0037】
中間転写モジュール20を移動させていくと、拘束部材76の回転支軸213及びロック片214がフレーム71のロック孔75に入り、一方、前側支持枠体201の被位置決め孔73がフレーム71から突出する位置決めピン72に嵌るようになる。そして、中間転写モジュール20の装着が終わった段階では、被位置決め孔73から位置決めピン72がフロント側に突出した状態となり、この位置決めピン72と被位置決め孔73とにより、中間転写モジュール20の装置筐体11に対する位置決めがなされる。
【0038】
一方、拘束機構74では、中間転写モジュール20を装置筐体11に装着した段階では、
図7に示すように、フレーム71のロック孔75に対して拘束部材76のロック片214がフレーム71からリア側へ突き出た状態となる。尚、
図7において、位置決めピン72はフレーム71に固定され、このフレーム71よりフロント側に突出したものとなっている。また、図中符号209は、前側支持枠体201と一体的に設けられて張架ロール22〜25を回転可能に支持する補助枠体であり、符号217は補助枠体209に設けられた二次転写ロール41の位置決め溝を示すものであるが、詳細は後述する。
【0039】
更に、中間転写モジュール20を装置筐体11に装着し終えた段階では、
図8に示すように、拘束部材76のロック片214がフレーム71のロック孔75を完全に抜け切った状態となる。そこで、拘束部材76の操作レバー212を前側支持枠体201側の環状部206に沿ってストッパ207まで回転させると、ロック片214が回転支軸213毎回転し、ロック片214がロック孔75から抜けない拘束された状態となる。これにより、そのまま中間転写モジュール20を装置筐体11から引き抜こうとしても中間転写モジュール20は装置筐体11に拘束された状態が維持される。
【0040】
<開閉扉の概要>
本実施の形態の開閉扉40は次のように構成されている。
図9は、開閉扉40が装置筐体11から開放された状態を示している。同図において、本実施の形態の開閉扉40は、少なくとも二次転写ロール41を保持して装置筐体11の予め決められた位置(本例では装置筐体11のフロント側に隣接する側方の下部)に揺動可能に支持され、装置筐体11に対する中間転写モジュール20の着脱方向に交差する方向に開閉されるものとなっている。また、開閉扉40には、
図2に示す記録材Sの搬送路(具体的には主搬送路61及び反転搬送路62)を形成するためのガイドシュート43,44等が備えられている。
【0041】
二次転写ロール41は、開閉扉40の幅方向(装置筐体11の前後方向に相当)に沿って延びるように設けられ、軸方向における両端部41a,41bに対して設けられた保持具46(ここでは装置筐体11のフロント側の一方のみを示す)によって保持された状態で開閉扉40に保持され、二次転写ロール41はこの保持具46の作用により開閉扉40から抜け落ちないようになっている。尚、符号42は二次転写ロール41上の紙粉等を清掃するクリーナである。
【0042】
−開閉扉の位置決め機構−
更に、本実施の形態では、開閉扉40には、閉鎖時に装置筐体11に対して位置決め可能な位置決め機構110が設けられている。
本例では、開閉扉40の位置決め機構110は、開閉扉40のうち装置筐体11のフロント側の高さ方向略中央付近に位置決めアーム111の基端側を揺動支点112として揺動可能に支持したものである。ここで、位置決めアーム111は、揺動支点112から略L字状に屈曲した形状のアーム本体113を有し、このアーム本体113の回転自由端側には中間転写モジュール20の位置決め機構70の一要素である装置筐体11側の位置決めピン72を被引っ掛け部として引っ掛けられる鉤爪状の引っ掛け部114を有している。
【0043】
−開閉扉の操作機構−
本実施の形態において、開閉扉40には、
図10及び
図11に示すように、当該開閉扉40を開閉操作するための操作機構120が設けられている。
ここで、
図10は、装置筐体11に対して開閉扉40が閉鎖された状態を示す斜視図であり、
図11は、開閉扉40の操作機構の要部を示すもので、開閉扉40の外装パネルを省略して開閉扉40を外側方から見た斜視図である。
本例においては、
図10に示すように、開閉扉40の外表面の上方には窪み40aが設けられ、この窪み40aには手で操作可能な操作ノブ130が設けられている。
【0044】
また、
図11に示すように、開閉扉40側の位置決めアーム111の揺動支点112の位置には長手方向(装置筐体11の前後方向に相当)に延びるシャフト121が固着され、シャフト121のリア側にはラッチ部材122が固着されている。ラッチ部材122は、シャフト121より上方に延びる固定片123とこの固定片123から交差する方向に延び、先端に凹部125を有するラッチ片124とが一体的に構成されたものとなっている。そのため、ラッチ部材122がシャフト121を揺動支点として揺動することで、位置決めアーム111も同様に揺動するようになっている。
【0045】
また、シャフト121にはコイルばね127が嵌った状態で取り付けられており、その一端側がラッチ片124に、他端側が図示外の開閉扉40側に当たって保持されている。そのため、このコイルばね127によって、ラッチ部材122は二次転写ロール41側に向けて付勢されている。このような構成のため、コイルばね127が位置決めアーム111を付勢する付勢部材に相当するものとなる。尚、ラッチ部材122の固定片123側にはストッパ128が設けられ、ラッチ部材122の動きがこのストッパ128によって規制されている。
【0046】
一方、操作ノブ130は、その上方にシャフト121の延びる方向に沿って延びる回転支軸131を有しており、この回転支軸131は開閉扉40に対して図示外の部材によって揺動できるように支持されている。また、回転支軸131の一端側(リア側)には軸方向に突出する突片132が設けられている。そして、本例では、この突片132とラッチ部材122との間に、回転中心134を中心に上下方向に延びる揺動片133が設けられ、この揺動片133の両端部が突片132及びラッチ部材122の固定片123に接触するように配置されている。
【0047】
−開閉扉の開閉動作−
このような構成の開閉扉40の操作機構120及び位置決め機構110は以下のように作用する。
図11に示すように、操作ノブ130を矢印A方向に引き上げると、回転支軸131に設けられた突片132は揺動片133を矢印B方向に沿って回転させる。揺動片133の一端側がB方向に回転すると、反対側では矢印C方向に沿って回転する力が作用する。この力によって、ラッチ部材122のラッチ片124側はコイルばね127の付勢力に抗して矢印D方向に回転する。このラッチ部材122の回転力がシャフト121を介して位置決めアーム111に伝達され、位置決めアーム111もシャフト121を揺動支点112として揺動できるようになる。これにより、位置決めアーム111が位置決め状態から解除され、開閉扉40の開放が可能になる。
【0048】
一方、開閉扉40を位置決めするには、操作ノブ130を持ち上げた状態で開閉扉40を閉鎖した後に、操作ノブ130から手を離せばよい。これにより、コイルばね127の作用からラッチ部材122が元の状態に戻され、位置決め機構110の位置決めアーム111は位置決め状態になる。尚、
図11中、符号19は搬送ロールである。
【0049】
ここで、開閉扉40の位置決め機構110の作用は以下のようである。
図12は装置筐体11内の中間転写モジュール20の図示を省略し、開閉扉40が閉鎖された状態を示す斜視図である。
同図において、開閉扉40の位置決め機構110は、中間転写モジュール20の位置決め機構70の一要素である位置決めピン72を利用し、装置筐体11に対して開閉扉40を位置決めするものである。
今、開閉扉40が閉鎖したとすると、前述の操作機構120によって開閉扉40側の位置決めアーム111の引っ掛け部114が装置筐体11側の被引っ掛け部としての位置決めピン72に引っ掛る。これにより、開閉扉40が装置筐体11に対して位置決めされる。
【0050】
−中間転写モジュールと開閉扉との関係−
図13は、中間転写モジュール20が装置筐体11内に装着され、開閉扉40も閉鎖された状態でのフロント側から見た斜視図となっている。
同図において、位置決めピン72によって位置決めされた中間転写モジュール20に対して、開閉扉40が閉鎖されると、開閉扉40側の位置決めアーム111の引っ掛け部114が中間転写モジュール20の位置決めピン72を被引っ掛け部として引っ掛る。このことは、中間転写モジュール20が位置決めピン72によって装置筐体11に位置決めされると共に、開閉扉40も位置決めピン72によって装置筐体11に位置決めされることを意味する。つまり、同一部材(位置決めピン72に相当)によって装置筐体11に位置決めされることは、中間転写モジュール20と開閉扉40との間で相対位置精度が高いものとなる。
【0051】
更に、本実施の形態における拘束部材76の操作レバー212は、前側支持枠体201より突出し、回転支軸213から離れた回転自由端側には、前側支持枠体201との間に空間部を確保する切欠215が形成されている。そして、本例では、中間転写モジュール20が装置筐体11に装着され、開閉扉40が閉鎖された状態では、拘束部材76の操作レバー212は開閉扉40側の位置決めアーム111と交差配置されると共に、切欠215によって互いに干渉しない状態となる。更に、このときの操作レバー212は位置決めピン72の近傍に配置されているため、操作レバー212と位置決めアーム111との間の距離が非常に近くなり、装置筐体11から中間転写モジュール20の離脱を行うに際し、作業者は、開閉扉40の位置決め機構110位置決めアーム111が中間転写モジュール20の離脱を邪魔する位置に面して配置されている状態に気づき易い。このため、作業者は、開閉扉40を閉鎖したまま中間転写モジュール20を離脱するという誤操作がし難くなり、開閉扉40の開放操作を先に行うようになる。そのため、中間転写モジュール20を装置筐体11から離脱させる際に、開閉扉40を必ず開放することになり、これにより、中間転写モジュール20の中間転写ベルト21と、開閉扉40側の二次転写ロール41とが離間された状態を容易に実現することができ、中間転写モジュール20の離脱作業時に二次転写ロール41が接触したままでの中間転写モジュール20の離脱作業は有効に回避される。尚、
図13中の符号216は、操作レバー212の操作方向を分かり易くするための表示がなされた銘板である。
【0052】
ここで、装置筐体11から中間転写モジュール20を離脱する作業について詳述すると以下のようである。
通常、作業者が装置筐体11から中間転写モジュール20を離脱させるには、中間転写モジュール20(具体的には中間転写ベルト21)に接触配置されている画像形成部30や二次転写ロール41を中間転写モジュール20の引出し投影面内から外れた非接触位置に退避させることが必要である。
例えば画像形成部30と中間転写モジュール20との間では、図示外のリトラクト機構にて一方を他方から離反する方向に移動させればよい。この状態において、中間転写モジュール20は画像形成部30と非接触な状態になり、装置筐体11から中間転写モジュール20を引き出しても、画像形成部30との接触による擦れ等の損傷は回避される。
しかしながら、開閉扉40が閉鎖した状態では、中間転写モジュール20に二次転写ロール41が依然として接触配置されているため、仮に、開閉扉40を開放せずに二次転写ロール41が中間転写モジュール20に接触した状態のままで中間転写モジュール20を離脱させようとすると、両者間に擦れ等の各種の損傷が発生する虞れがある。
【0053】
そこで、本実施の形態では、作業者による誤操作、つまり、二次転写ロール41と中間転写モジュール20とを接触状態のままで中間転写モジュール20を離脱する操作(引き出す操作)を極力回避できるように、開閉扉40が閉鎖状態のまま中間転写モジュール20を引き出す操作を作業者が行おうとすると、開閉扉40が閉鎖状態(二次転写ロール41と中間転写モジュール20とが接触状態に相当)のままであることを作業者に気付かせ、中間転写モジュール20の引き出し操作を行う前に、開閉扉40の開放動作を促すことを可能とした対策が採用されている。
つまり、中間転写モジュール20が装置筐体11に装着され、開閉扉40が閉鎖された状態では、中間転写モジュール20の被位置決め孔73(
図6参照)が嵌って位置決めされた位置決めピン72に対して、開閉扉40側の位置決め機構110である位置決めアーム111も位置決めされた状態となっている。この状態において、仮に、中間転写モジュール20の拘束部材76の操作レバー212をロック解除側に移動させて中間転写モジュール20を引き出そうとしても、中間転写モジュール20は位置決めアーム111の存在によって引き出せない状態となっているため、結果的に中間転写モジュール20と二次転写ロール41との間での損傷は免れる。
【0054】
そのため、本実施の形態では、中間転写モジュール20を引き出す前に開閉扉40を開放する必要がある。開閉扉40の操作機構120の操作ノブ130を操作して当該開閉扉40を開放しようとすると、
図13に示すように、開閉扉40の位置決め機構110の位置決めアーム111が開閉扉40側の操作機構120によって図中矢印E方向に向けて回転し、位置決めアーム111の引っ掛け部114が中間転写モジュール20の位置決め機構70の一要素である位置決めピン72から外れることとなる。その結果、開閉扉40は容易に開放され、開閉扉40が開放を終えた時点では、位置決めアーム111は中間転写モジュール20の引き出し投影面内から完全に外れた位置に移動する。また、開閉扉40の開放によって二次転写ロール41も中間転写モジュール20から離間しているため、その後の中間転写モジュール20の引き出し動作は何ら支障なくなされるようになる。
【0055】
一方、装置筐体11内に中間転写モジュール20を装着する際には、開閉扉40を開放した状態で中間転写モジュール20を装着し、中間転写モジュール20の位置決め機構70である被位置決め孔73に位置決めピン72を嵌め込み、更に、拘束機構74の拘束部材76の操作レバー212を本例では略鉛直方向にして当該拘束機構74をロックした後に、開閉扉40を閉鎖するようにすればよい。
【0056】
−中間転写モジュールと二次転写ロールとの位置決め−
本実施の形態において、中間転写モジュール20が装置筐体11に装着され、開閉扉40が閉鎖された状態での中間転写モジュール20と二次転写ロール41との位置関係は
図14に示すようになる。
同図において、保持具46に保持された二次転写ロール41に対しては、その両端部41a(ここではフロント側の一方のみを示す)に、開閉扉40の閉鎖方向に向けて二次転写ロール41を付勢する付勢部材47が設けられている。この付勢部材47は付勢力Fが図中矢印方向に向けて作用するもので、この付勢力Fが突き当て部材48を介して二次転写ロール41に伝達されることで、二次転写ロール41には常に付勢力Fの作用が働いている。
【0057】
一方、中間転写モジュール20側には、前側支持枠体201に設けられた補助枠体209を有し、この補助枠体209の例えばV溝からなる位置決め溝217が開閉扉40側に向けて設けられているため、開閉扉40が閉鎖された状態では、二次転写ロール41は付勢部材47によって位置決め溝217に沿って位置決めされるようになる。
【0058】
本例では、開閉扉40側に搭載される二次転写ロール41は、開閉扉40を閉鎖したときに装置筐体11側に設けられた補助枠体209の位置決め溝217に沿って位置決めされるが、特に、本実施の形態では、中間転写モジュール20と開閉扉40とが同一の位置決めピン72にて位置決めされるため、中間転写モジュール20と開閉扉40との間で相対位置精度が高められる。このため、中間転写モジュール20に対する二次転写ロール41の位置決め量については、中間転写モジュール20と開閉扉40との間の相対位置精度が高いことを踏まえてそれほど大きく選定する必要はない。このため、例えば装置筐体11側の位置決め溝217としてのV溝も不必要に大きく形成する必要はなく、位置決め機構としてコンパクトな構成で足りる。
また、本例では、中間転写モジュール20と開閉扉との間の相対位置精度が高いため、例えば、装置筐体11に対する中間転写モジュール20の着脱を繰り返しても、両者間での位置精度は一様に保たれる。
これにより、張架ロール22と二次転写ロール41との対向部位では中間転写モジュール20の交換、例えば中間転写ベルト21の交換に際しても、その前後でほぼ同様の状態(例えば二次転写ロール41に対する中間転写ベルト21の巻き付き状態)が維持されるようになる。したがって、中間転写モジュール20を交換したとしても二次転写条件における変化は小さく抑えられる。
【0059】
◎変形の形態
本実施の形態では、開閉扉40の位置決め機構110は、中間転写モジュール20の位置決め機構70の位置決めピン72に対して位置決めアーム111が前側支持枠体201より手前側に配置される態様を示したが、例えば中間転写モジュール20の前側支持枠体201よりも奥側に位置決めアーム111が位置するようにしても差し支えなく、この場合も中間転写モジュール20が引き出せない位置に位置決めアーム111を配置すればよい。
【0060】
また、本実施の形態では位置決めピン72をフレーム71に設ける態様を示したが、例えば位置決めピン72として装置筐体11のフロント側からリア側に向かう棒状部材を設け、中間転写モジュール20の前側及び奥側支持枠体201,202に共通の被位置決め孔を設け、棒状部材を2つの支持枠体201,202の被位置決め孔に通すように構成してもよい。この場合、例えば被位置決め孔の径をリア側よりフロント側を大きくし、棒状部材もフロント側に向かって大径となるようにすれば、中間転写モジュール20の装着もし易くなる。尚、棒状部材を夫々の支持枠体201,202から少しだけフロント側に突出するように分割したものであっても差し支えない。
【0061】
◎比較の形態1
図15は、比較の形態1に係る開閉扉の位置決め機構500による開閉扉40が装置筐体11から開放された状態を示す斜視図である。また、
図16は、本比較の形態における中間転写モジュール20及び開閉扉40の位置決め機構70,500を示す斜視図となっている。尚、実施の形態1と同様の構成要素には同様の符号を付し、ここではその説明は省略する。
本比較の形態において、中間転写モジュール20の位置決め機構70は、実施の形態1と略同様であるが、開閉扉40の位置決め機構500が実施の形態1と異なる構成を有している。
【0062】
本比較の形態では、開閉扉40の位置決め機構500は、実施の形態1の位置決めアーム111よりも長さの短い構成の位置決めアーム501を有しており、この位置決めアーム501の基端側を揺動支点502として開閉扉40に支持し、位置決めアーム501の回転自由端側に鉤状の引っ掛け部504を形成する一方、装置筐体11のフレーム71には位置決めアーム501の引っ掛け部504が引っ掛けられる被引っ掛け部としての位置決めピン510を設けたものである。
このため、本比較の形態では、中間転写モジュール20が位置決めされる位置決めピン72と、開閉扉40の位置決めアーム501の引っ掛け部504が引っ掛けられる位置決めピン510とでは、同じフレーム71上に形成されているとはいえ、互いに異なる位置にある。そのため、中間転写モジュール20と開閉扉40とは、異なる位置決めピン72,510を位置決めの基準点として夫々装置筐体11に位置決めされることになり、中間転写モジュール20と開閉扉40との双方間の位置決め精度は、実施の形態1のように1箇所で位置決めする態様に比べて低下する。
【0063】
更に、このような構成であると、特に
図16に示すように、位置決めアーム501がそもとも中間転写モジュール20の引き出し動作時の投影面の範囲外にあり、また、中間転写モジュール20の位置決めピン72と開閉扉40の位置決めピン510とが異なることから、作業者が中間転写モジュール20の位置決め機構70を解除して当該中間転写モジュール20を引き出す操作過程において、開閉扉40の位置決め機構500がどのような状態にあるか否かにつき気付かない虞れがある。このような状況からして、作業者にとっては、開閉扉40を開放する前に、拘束部材76の操作レバー212を操作(ロック解除)して中間転写モジュール20を引き出そうとする誤操作を生じ易い。このとき、中間転写ベルト21と二次転写ロール41とが接触していることは装置筐体11の手前側から目視確認では判断できず、勢いその状態のまま中間転写モジュール20の引き出し動作を行う虞れがある。このような事態が発生すると、中間転写ベルト21と二次転写ロール41との間で損傷が発生する懸念がある。
【0064】
また、このような構成であると、中間転写モジュール20を装置筐体11に装着する際にも同様の懸念は発生する。つまり、開閉扉40が閉鎖された状態でも、開閉扉40の位置決め機構500の位置決めアーム501が中間転写モジュール20の装着を阻害する位置にないため、そのまま装置筐体11内に中間転写モジュール20を装着させようとする誤操作を生じ易い。その結果、中間転写モジュール20の装着時にも中間転写ベルト21と二次転写ロール41との間での損傷が生じる懸念もある。
【0065】
◎実施の形態2
図17は、実施の形態2に係る画像形成装置である。本実施の形態の画像形成装置100は実施の形態1の画像形成装置10(
図2参照)と異なり、モノクロ用の画像形成装置100となっている。尚、実施の形態1の画像形成装置10と同様の構成要素には同様の符号を付し、ここでは詳細な説明は省略する。
同図において、本実施の形態では、画像形成装置100は、モノクロ画像を形成するためのプロセスカートリッジ80を備え、このプロセスカートリッジ80が装置筐体11に対して図中手前側(フロント側)に着脱できる着脱体となっている。本例のプロセスカートリッジ80は、感光層を有する感光体81と、感光体81の感光層を帯電する帯電器82、感光体81上に形成された静電潜像を現像する現像器83、感光体81上を清掃するクリーナ84等が含まれたものとなっている。
【0066】
また、本実施の形態では装置筐体11内に各種部材が配置されている。プロセスカートリッジ80が装置筐体11内に装着されたときに、感光体81の周囲に位置する部位には帯電器82によって帯電された感光体81に対して潜像を形成するために露光する露光器91、感光体81上に形成されたトナー像を記録材Sに転写する転写ロール92が配置されている。そのため、本実施の形態のプロセスカートリッジ80は、露光器91を残して着脱できるようになっている。ここでは露光器91をそのままにしてプロセスカートリッジ80が着脱できるように構成されているが、プロセスカートリッジ80を着脱するに際して、露光器91が感光体81から離れるように構成されていても差し支えない。
【0067】
更に、本実施の形態では、実施の形態1と略同様に、転写ロール92は開閉扉40側に保持されると共に、装置筐体11内の下方には、記録材供給部12が設けられ、記録材供給部12から繰り出された記録材Sは、主搬送路61中をレジストロール15、感光体81と転写ロール92との対向部位、定着器16を通って排出ロール17から記録材排出部11aへ排出される。尚、本例でも、反転搬送路62、手差し搬送路63を備えている。また、図中符号93は、現像器83にトナーを補給するトナーカートリッジである。
【0068】
ここで、プロセスカートリッジ80の図示外の位置決め機構としては、実施の形態1と略同様に、装置筐体11のフレームの予め決められた位置に設けられてプロセスカートリッジの装着位置を特定する位置決め部としての位置決めピン(図示せず)と、プロセスカートリッジ80のハウジングに設けられ、装置筐体11への装着時に位置決めピンが嵌ってプロセスカートリッジを位置決めする被位置決め部としての被位置決め孔(図示せず)と、プロセスカートリッジ80を装置筐体11に拘束する拘束機構(図示せず)と、を備えていればよい。
一方、開閉扉40の図示外の位置決め機構としては、実施の形態1と略同様に、開閉扉40側に揺動可能な位置決めアーム(図示せず)を設けると共に、この位置決めアームの回転自由端には鉤状の引っ掛け部を形成し、開閉扉40の操作機構にて位置決めアームを揺動操作可能にすることで、開閉扉40を閉鎖したときに、プロセスカートリッジ80側の位置決めピンを被引っ掛け部として位置決めアームの引っ掛け部を引っ掛けるようにすればよい。
【0069】
本実施の形態においても、プロセスカートリッジ80を装置筐体11から引き出して離脱させる際に、開閉扉40の開放操作が行われていない状況では、開閉扉40の位置決め機構の位置決めアームがプロセスカートリッジ80の引出し作業を遮る位置に配置されているため、作業者は開閉扉40の解放操作が未だ行われていないことに気付き、開閉扉40の開放操作を事前に実施する。このため、開閉扉40側に組み込まれた転写ロール92はプロセスカートリッジ80の感光体81から退避するため、プロセスカートリッジ80の離脱作業時に両者間での損傷の虞れはない。また、プロセスカートリッジ80を装着する際にも、開閉扉40を開放したまま行うようにすれば、転写ロール92は感光体81から退避した位置に待機しているため、両者間での損傷の虞れはない。更に、プロセスカートリッジ80と開閉扉40との位置決めが同一の位置決めピンにてなされることから、プロセスカートリッジ80(特に感光体81)と転写ロール92との間の位置決め精度も、両者が異なる位置決めピンで位置決めされる場合に比べて相対的に向上することは言うまでもない。