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クロック信号を出力する第1の発振部と、前記第1の発振部よりも高精度なクロック信号を出力する第2の発振部と、測位衛星からの電波を受信する受信部と、を備える測位装置の測位制御方法であって、
受信された電波から得られる測位情報に基づいて現在位置を算出する位置同定ステップ、
前記受信部による前記測位衛星からの電波の受信状況に応じて測位動作に係るクロック信号の供給元を前記第1の発振部及び前記第2の発振部のうち何れかに切り替える切替制御を行うクロック切替ステップ、
を含むことを特徴とする測位制御方法。
クロック信号を出力する第1の発振部と、前記第1の発振部よりも高精度なクロック信号を出力する第2の発振部と、測位衛星からの電波を受信する受信部と、を備える測位装置のコンピュータを
受信された電波から得られる測位情報に基づいて現在位置を算出する位置同定手段、
前記受信部による前記測位衛星からの電波の受信状況に応じて測位動作に係るクロック信号の供給元を前記第1の発振部及び前記第2の発振部のうち何れかに切り替える切替制御を行うクロック切替手段、
として機能させることを特徴とするプログラム。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の測位装置の実施形態である衛星電波受信モジュール5を有し、本発明の電子時計の実施形態である電子時計1の機能構成を示すブロック図である。
【0011】
本実施形態の電子時計1は、例えば、バンドを有し、当該バンドによりユーザの腕に装着される腕時計型の電子時計である。
電子時計1は、マイコン4と、衛星電波受信モジュール5及びアンテナA1と、操作受付部61と、表示部62と、報知動作部63と、電力供給部70などを備える。
【0012】
マイコン4は、ホスト制御部40(計時制御部)と、発振回路46と、分周回路47と、計時回路48(計時部)などを備える。
【0013】
ホスト制御部40は、ホストCPU41(Central Processing Unit)と、RAM42(Random Access Memory)などを備える。
ホストCPU41は、各種演算処理を行うプロセッサである。このホストCPU41が行う演算処理は、主に電子時計1の時計としての日時計数及び表示に係る処理であり、低負荷且つ長期間に亘り継続的反復的に行われるものである。
【0014】
RAM42は、ホストCPU41に作業用のメモリ空間を提供し、一時データや設定データを記憶する。設定データには、電子時計1で利用、表示させる日時のタイムゾーンや夏時間実施ルール(即ち、夏時間の実施有無、実施期間、及び実施時のシフト時間)の設定である地方時設定情報421が含まれる。
【0015】
ホスト制御部40は、衛星電波受信モジュール5で取得された現在位置情報に基づいて得られるタイムゾーンや夏時間実施ルールを地方時設定情報421をRAM42に設定記憶させ(地方時設定を行い)、当該地方時設定情報421に応じて計時回路48が計数する現在日時を現在位置の地方時に変換して利用、表示させる。
【0016】
発振回路46は、所定の周波数の信号を生成して出力する。信号の生成には、例えば、水晶発振器(発振子)などが用いられる。この水晶発振器は、マイコン4に対して外付けされて良い。
【0017】
分周回路47は、発振回路46から入力された周波数信号を設定された分周比で分周した分周信号を出力する。分周比の設定は、ホストCPU41により変更されて良い。
計時回路48は、分周回路47から入力された所定の周波数の分周信号を計数することで現在日時(少なくとも現在時刻)を計数、保持する。計時回路48の計数する現在日時は、衛星電波受信処理部50が取得した正確な現在日時などに基づいて、ホストCPU41からの制御信号により修正(制御)可能となっている。この計時回路48は、カウンタなどのハードウェアであっても良いし、ホストCPU41がRAM42を用いて計数動作をソフトウェア的に行うものであっても良い。
【0018】
衛星電波受信モジュール5は、衛星電波受信処理部50と、DCXO55(デジタル制御水晶発振器)(第1の発振部)と、TCXO56(温度補償水晶発振器)(第2の発振部)、切替部57と、ROM58などを備え、測位衛星からの電波を受信して測位動作を行うためのモジュールである。
衛星電波受信処理部50は、アンテナA1を介して米国のGPS(Global Positioning System)といった衛星測位システムの測位衛星から送信されている電波(衛星電波)を受信して日時情報(現在日時情報)や測位衛星の位置に係る情報(エフェメリスなどの軌道情報や、位置、速度及び加速度の情報)を取得し、これらの情報に基づいて正確な現在日時や現在位置を算出する測位演算を行う。衛星電波受信処理部50は、受信部51と、モジュール制御部52(測位制御部、コンピュータ)と、記憶部53(推測情報記憶部、位置記憶部)などを備え、LSIとして一体形成されている。衛星電波受信処理部50の動作は、切替部57を介してDCXO55又はTCXO56から選択的に入力される所定の周波数(例えば、約26MHz)のクロック信号に基づいてなされる。
【0019】
受信部51は、受信対象の測位衛星からの電波を受信、検出してその測位衛星の識別及び送信信号の位相の同定といった捕捉動作を行う捕捉部511と、捕捉した測位衛星からの電波を追尾して継続的に信号を復調、取得する追尾部512とを有する。受信部51の動作は、捕捉部511及び追尾部512についてそれぞれ制御され、また、動作が不要な場合には、捕捉部511及び追尾部512をそれぞれ停止させることが出来る。
【0020】
モジュール制御部52は、主に衛星電波の受信制御及び受信された信号(測位情報)に基づく現在日時の同定や現在位置の算出(即ち、測位演算)といった処理を行う。モジュール制御部52は、モジュールCPU521と、メモリ522などを備える。
【0021】
モジュールCPU521は、各種演算処理を行い、衛星電波受信処理部50の動作の制御を行う。モジュールCPU521(モジュール制御部52)は、ホストCPU41(ホスト制御部40)よりも演算処理能力が高く、上述の測位演算といった高負荷の処理を実行することが可能となっている。これに応じて、モジュールCPU521の消費電力は、待機時や、ホストCPU41において同程度の対応する処理が行われる場合の各消費電力よりもそれぞれ大きい。モジュールCPU521とホストCPU41との間は、I
2Cバスなど、電力消費効率が良い接続がなされている。
メモリ522は、モジュールCPU521に作業用のメモリ空間(キャッシュメモリを含む)を提供するDRAMやSRAMなどの揮発性メモリと、初期設定データなどを格納するROMなどを有する。ROMは、マスクROMに加えて又は代えて書き換え更新可能な不揮発性メモリが用いられても良い。
【0022】
モジュール制御部52は、ホストCPU41から取得された計時回路48により計数されている日時情報に基づいて、動作時には日時の計数を行う。なお、衛星電波受信モジュール5は、マイコン4とは別個にRTC(Real Time Clock)などを備え、モジュール制御部52は、このRTCから日時を取得して日時の計数を行うことも可能である。RTCには、発振回路46から又は別個の発振回路から所定の周波数(例えば、約16kHz)のクロック信号が入力されて日時の計数を行う。
【0023】
記憶部53は、補助記憶装置であり、電力供給状態によらず保持される各種設定データ、履歴データやプログラムなどが記憶される。これらのデータには、各測位衛星から取得されたエフェメリス(測位衛星の現在位置に係る情報)やアルマナック(予測軌道情報)のデータ、直近の受信タイミングデータや、算出された現在位置の履歴データが含まれる。また、記憶部53には、後述のDCXO55のサーミスタ551の計測値に応じた補正テーブル531、及び電波受信強度に係るパラメータ(例えば、CNRなど)と捕捉に要する時間の推定情報との対応関係を示す捕捉テーブル532(捕捉時間推測情報)が記憶される。記憶部53には、フラッシュメモリなどが用いられている。
【0024】
衛星電波受信処理部50には、ホストCPU41など時計の動作に係る各部とは別個に電力供給部70からの電力供給の有無を切替可能となっている。
【0025】
DCXO55は、水晶発振子の発振周波数をデジタル制御して調整を行い、所定の周波数信号(クロック信号)を出力する。DCXO55は、サーミスタ551を備え、サーミスタ551が検出する温度に基づいて発振周波数の調整を行う。サーミスタ551の計測温度と発振周波数の調整幅とは予めテーブルデータとして保持される。DCXO55の発振周波数は、水晶発振子のばらつきに応じ、TCXO56などに対して当初比較的大きくなり易い(±10〜30ppmなど)が、使用時に取得されるサーミスタ551の計測温度との対応関係に係るデータに基づいて逐次テーブルデータを更新していくことで、精度を向上させる(±1〜3ppmなど)ことが出来る。調整制御は、このような精度向上に係る処理動作が可能であれば、モジュール制御部52が行っても良いし、その他の構成が行っても良い。ここでは、対応関係を示すテーブルデータを補正テーブル531として記憶部53に記憶させ、モジュール制御部52が制御動作を行う。
【0026】
TCXO56は、温度補償機能を有する水晶発振器であり、モジュール化されたものを利用可能である。TCXO56は、温度に応じて変化する水晶発振子の発振周波数を補償して、DCXO55よりも設定周波数からの周波数変動の小さい、即ち、周波数安定度の高い高精度なクロック信号を出力する。TCXO56は、通常の受信対応温度範囲では、逆スペクトラム拡散に応じた適切なサンプリング周波数の信号を安定して(通常、±1ppm以下、0.1ppmなど)出力することが出来る。TCXO56は、温度補償回路を内蔵し、動作時には当該温度補償回路に動作電力が供給されることで、DCXO55よりも消費電力が大きくなる。
DCXO55とTCXO56とにより出力対象とされるクロック周波数は、同一である。
【0027】
切替部57は、モジュール制御部52の制御により、クロック信号の供給元をDCXO55とTCXO56との間で択一的に切り替えるスイッチング素子を有する。また、切替部57は、クロック信号の供給元ではないDCXO55又はTCXO56の動作を停止させることが出来る。或いは、これらの動作、非動作の切り替えをモジュール制御部52が直接行っても良い。
【0028】
ROM58は、ホストCPU41やモジュールCPU521が各種処理動作を実行するためのプログラム581や設定データ582などを格納する記憶部である。ROM58としては、マスクROMの他、データの書き換え更新が可能なフラッシュメモリなどの不揮発性メモリを有していても良い。ROM58に格納される設定データ582には、現在位置が属するタイムゾーンや夏時間実施設定を取得するための地図データなどが含まれる。ROM58のデータには、ホストCPU41からも直接アクセス可能とされる。
【0029】
操作受付部61は、ユーザ操作などの外部からの入力動作を受け付ける。操作受付部61は、例えば、一又は複数の押しボタンスイッチを備え、当該押しボタンスイッチの押下動作に応じた信号をホストCPU41に出力する。
【0030】
表示部62は、ホストCPU41の制御に基づいて各種情報の表示動作を行う。表示部62は、表示画面とその駆動回路を有する。表示画面としては、例えば、液晶表示画面(LCD)が用いられ、駆動回路は、当該液晶表示画面による表示に係る駆動動作を行う。表示部62に表示される内容には、現在日時(少なくとも時刻)に係る情報、及び測位結果に応じた位置情報が含まれる。
【0031】
報知動作部63は、ユーザに対する各種報知動作を行う。報知動作の発生機構としては、スピーカ、ビープ音を発生する圧電素子や振動モータなどが挙げられる。
【0032】
電力供給部70は、電子時計1の各部が動作に要する電力を当該各部へ供給する。電力供給部70は、バッテリ71から出力される電力を各部の動作電圧で供給する。動作電圧が動作部位によって異なる場合には、電力供給部70は、レギュレータを用いて電圧変換を行って出力する。バッテリ71は、例えば、入射光に応じた発電を行うソーラパネルや発電された電力を蓄電する二次電池などである。或いは、着脱可能な乾電池や充電池などが収容部に収容されて、バッテリ71として用いられても良い。
【0033】
次に、測位動作について説明する。
測位衛星からの電波を受信して行う衛星測位では、3機(三次元的には4機;現在位置の算出に必要な所定数)以上の測位衛星からの電波を受信し、これら複数の測位衛星の現在位置と、電波の受信タイミングのずれ(疑似距離)とにより受信位置を算出する。このとき、受信タイミングのずれ量の計測は、供給されるクロック信号の精度に大きく依存する。
【0034】
測位衛星としては、例えば、米国のGPS(Global Positioning System)に係る測位衛星(GPS衛星)が主に用いられているが、ロシアのGLONASSなど他の測位システムに係る測位衛星であっても良く、また、これらの複数の測位システムに係る測位衛星を組み合わせて測位を行っても良い。測位衛星から送信される信号には、現在日時情報及び衛星位置に係る情報が含まれており、それぞれ、測位システムにおいて定められたフォーマットでスペクトラム拡散されて送信されている。捕捉部511では、予め保持された各測位衛星の拡散コード(C/Aコード)の符号列データを用いて逆スペクトラム拡散することで信号を検出する。C/Aコードは、1023個の符号(チップ)が配列された疑似ランダム符号列であり、1023kHz(1msec周期)で繰り返されている。
【0035】
図2は、GPS衛星から送信される電波により送られる信号の航法メッセージのフォーマットを説明する図である。
【0036】
GPSでは、各GPS衛星からそれぞれ30秒単位のフレームデータが合計25ページ送信されることで、12.5分周期で全てのデータが出力されている。各フレームデータは、5つのサブフレーム(6秒)で構成されている。更に、各サブフレームは10個のワード(各0.6秒、順番にWORD1〜WORD10)によって構成されている。WORD1とWORD2のデータフォーマットは、全てのサブフレームで同一である。WORD1では、8ビットの固定符号列(所定の符号列)であるプリアンブル(Preamble)に続き、14ビットのテレメトリメッセージ(TLM Message)が送信され、その後ろに1ビットのIntegrity status flagと1ビットの予備ビットを挟んで、6ビットのパリティデータが配される。WORD2は、17ビットのTOW−Count(Zカウントともいう)に続き、Alert flagとAnti-spoof flagがそれぞれ1ビットずつで示されている。それから、サブフレームの番号(周期番号)を示すsubframe-IDが3ビットで示され、パリティデータの整合用2ビットを挟んで6ビットのパリティデータが配列される。
【0037】
WORD3以降のデータは、サブフレームによって異なる。サブフレーム1では、10ビットのWN(週番号)及び衛星の健康情報(SV−Health)がWORD3に含まれ、また、衛星時計の補正情報がWORD8〜10に含まれる。サブフレーム2、3には、主にエフェメリス(軌道情報)が含まれ、サブフレーム4の一部及びサブフレーム5には、アルマナック(予測軌道情報)が含まれている。
【0038】
GPS衛星や、これに順ずる日本の準天頂衛星システム(QZSS)の場合には、6秒に一回送信されるプリアンブルを基準符号列として符号列の同定(同期確保)及び復号を行う。30秒周期で送信されているエフェメリスは、通常、4時間有効であり、有効期間が終了する前に更新された有効なエフェメリスを再取得する必要がある。
また、GLONASS衛星では、30秒に一回各衛星の位置、速度及び加速度の情報(エフェメリス)が送信されており、所定時間ごと(30分など)に更新されるので、更新ごとに新たな(有効な)エフェメリスを再取得する。
【0039】
また、各衛星のアルマナックは、各測位衛星からの信号において共通にGPS衛星では12.5分周期で、GLONASS衛星では2.5分周期でそれぞれ全ての測位衛星の情報が送信されており、何れかの測位衛星からの電波が受信されている場合に取得可能である。
【0040】
エフェメリスが取得、保持された状態では、現在日時及び捕捉された各測位衛星からの電波の受信タイミングのずれに基づいて現在位置の算出が可能となる。電子時計1では、所定の時間間隔で現在位置の算出及び出力を行う。所定の時間間隔は、一定、例えば、5秒おきや1分おきであっても良いし、或いは、図示略の加速度センサや地磁気センサなどを有する計測部を備え、移動状態を計測、判別して移動速度に応じた時間間隔に随時設定変更されても良い。
【0041】
次に、電子時計1における測位制御動作について説明する。
電子時計1では、上述の所定の時間間隔で衛星電波受信処理部50による測位動作が行われて位置データ(履歴データ)が取得可能となっている。このとき、電子時計1では、衛星電波受信処理部50の動作時におけるクロック信号の供給元として、TCXO56とDCXO55の何れかが選択され、モジュール制御部52の制御(切替制御)による切替部57の切替動作に従って選択された発振部がクロック信号を出力する。上述のように、TCXO56の方が信号の精度(絶対値及び安定度)が高いので、電波の受信状況に応じ、通常では、起動時や受信状況の悪い、即ち、電波受信強度が低く、及び/又は捕捉されている測位衛星の配置があまり好ましくないときにはTCXO56が利用され、十分な数の測位衛星から基準以上の精度で(適切な衛星配置で)位置情報が取得可能な場合には、DCXO55が利用されるように変更される。
なお、利用状況などに応じて必要な位置精度が異なる場合には、TCXO56とDCXO55の切り替えの基準となる精度を変化させることが出来る。
【0042】
図3は、本実施形態の衛星電波受信モジュール5において実行される測位制御処理のモジュール制御部52による制御手順を示すフローチャートである。
この測位制御処理は、ホスト制御部40により起動されて測位命令が取得されることで開始され、操作受付部61への入力操作などによりホスト制御部40を介して別途割り込みなどで測位終了命令が受け付けられるまで継続的に行われる。
【0043】
測位制御処理が開始されるとモジュール制御部52(モジュールCPU521)は、衛星電波受信処理部50の起動動作及び初期設定を行う(ステップS101)。モジュール制御部52は、切替部57の設定をTCXO56からの入力とする(ステップS102)。
【0044】
モジュール制御部52は、ホスト制御部40から入力された現在日時に基づいて、UTC日時の設定を行う(ステップS103)。モジュール制御部52は、受信部51による衛星電波の受信動作を開始させる(ステップS104)。
【0045】
モジュール制御部52は、記憶部53に設定されたUTC日時について有効な期間内のエフェメリスデータ(測位衛星の現在位置に係る情報)が記憶されているか否かを判別する(ステップS105)。記憶されていると判別された場合には(ステップS105で“YES”)、モジュール制御部52は、捕捉部511により測位衛星からの電波の捕捉動作を行わせる(ステップS111)。このとき、モジュール制御部52は、エフェメリス又はアルマナックに基づいて現在可視状態にあると推定される測位衛星を算出し、当該測位衛星からの電波を優先的に捕捉する動作を行うことが出来る。それから、モジュール制御部52の処理は、ステップS131に移行する。
【0046】
有効なエフェメリスデータが記憶されていないと判別された場合には(ステップS105で“NO”)、モジュール制御部52は、全測位衛星からの電波の捕捉動作を捕捉部511により行わせる(ステップS121)。アルマナックが保持されている場合には、当該アルマナックに基づいて現在可視状態にあると推定される測位衛星を算出し、当該測位衛星からの電波を優先的に捕捉する動作を行っても良い。モジュール制御部52は、捕捉された測位衛星からの電波の追尾動作を順次追尾部512により開始させる(ステップS122)。モジュール制御部52は、現在日時に基づいてプリアンブルが受信されると想定されるタイミングまでの捕捉動作が可能な残り時間(予測時間)を取得する(ステップS123)。このとき、モジュール制御部52は、日時情報と併せて取得されている、又は前回の日時取得履歴などに基づいて推測される日時の最大ずれ幅を考慮して、最短の残り時間(最短時間)を取得することとする。即ち、計時回路48の計数する日時の誤差が一日当たり±0.5秒以下である場合には、最大ずれ幅は、前回の日時取得タイミングからの経過日数(経過時間)に0.5を乗じた時間(秒)となる。
【0047】
モジュール制御部52は、残り時間で発振回路をDCXO55に切り替えた場合に再度の捕捉が可能な時間が残っているか判別する(ステップS124)。モジュール制御部52は、記憶部53に記憶された捕捉テーブル532を参照して、捕捉された測位衛星からの電波の受信強度(CNRなどのノイズに対する相対的な電波強度の指標を含む)などに対応してDCXO55での捕捉に要すると見積もられる時間(再捕捉時間)を取得して、残り時間と比較する。このテーブルは、例えば、予め検査取得された実績値であり、受信強度が所定のレベルを下回ると急激に捕捉に要する時間が増加する。再捕捉時間がないと判別された場合には(ステップS124で“NO”)、モジュール制御部52の処理は、ステップS127に移行する。再捕捉時間があると判別された場合には(ステップS124で“YES”)、モジュール制御部52は、切替部57にクロック信号を供給する発振回路をDCXO55に切り替えさせる(ステップS125)。それから、モジュール制御部52は、再度捕捉動作を行う(ステップS126)。それから、モジュール制御部52の処理は、ステップS127に移行する。
【0048】
ステップS127の処理に移行すると、モジュール制御部52は、捕捉された測位衛星からの電波を追尾部512に追尾させ、また、信号を復調してプリアンブルを同定する。モジュール制御部52は、同定されたプリアンブルの位置を基準として信号を復号、解読し、日時情報やエフェメリスのデータを取得する(ステップS127)。
【0049】
モジュール制御部52は、必要な日時情報やエフェメリスなどのデータの取得が完了したか否かを判別する(ステップS128)。取得が完了していないと判別された場合には(ステップS128で“NO”)、モジュール制御部52の処理は、ステップS127に戻る。取得が完了したと判別された場合には、モジュール制御部52の処理は、ステップS131に移行する。
【0050】
ステップS131の処理に移行すると、モジュール制御部52は、捕捉されている衛星の追尾動作を行いながら、所定の時間間隔で現在位置の算出を行う(ステップS131)。モジュール制御部52は、算出された現在位置を現在日時とともに記憶部53に履歴データとして記憶させる。また、モジュール制御部52は、表示部62に制御信号を出力して、現在位置を表示部62に表示させても良い。モジュール制御部52は、基準数以上の測位衛星からの電波が捕捉されているか否かを判別する(ステップS132)。ここでいう基準数は、測位に必要な衛星数、即ち、3機又は4機より多く、十分な精度が得られて且つ捕捉されている測位衛星からの電波のうちの幾つかが捕捉状態から外れても測位を継続可能な数であり、例えば、6〜8である。捕捉されていないと判別された場合には(ステップS132で“NO”)、モジュール制御部52の処理は、ステップS111に戻り、捕捉部511による捕捉動作を継続又は再開させる。
【0051】
基準数以上の測位衛星からの電波が捕捉されていると判別された場合には(ステップS132で“YES”)、モジュール制御部52は、捕捉部511による捕捉動作を終了し、追尾部512による追尾動作を継続させながら、所定の時間間隔で現在位置の算出を行う(ステップS134)。
【0052】
モジュール制御部52は、測位に必要な数以上の測位衛星からの電波が捕捉された状態で追尾が継続されているか否かを判別する(ステップS134)。このとき、モジュール制御部52は、捕捉されている電波に係る測位衛星のエフェメリスが有効期間内であるか否かを併せて判別する。ここでは、上述のエフェメリスの有効期間(4時間)ではなく、より短い時間(例えば、2時間)を設定しても良い。測位に必要な数以上の測位衛星からの電波が捕捉されていない(捕捉されていてもエフェメリスが有効期間内ではない)と判別された場合には(ステップS134で“NO”)、モジュール制御部52は、クロック信号の供給元がDCXO55であるか否かを判別する(ステップS151)。DCXO55であると判別された場合には(ステップS151で“YES”)、モジュール制御部52は、処理をステップS162に移行させて切替部57により供給元をTCXO56に切替させる(ステップS162)。それから、モジュール制御部52の処理は、ステップS163に移行する。DCXO55ではないと判別された場合には(ステップS151で“NO”)、モジュール制御部52の処理は、ステップS163に移行する。
【0053】
測位に必要な数以上の測位衛星からの電波が捕捉されていると判別された場合には(ステップS134で“YES”)、モジュール制御部52は、算出されている位置精度が基準以上であるか否かを判別する(ステップS135)。位置精度の指標としては、例えば、DOP(Dilution of Precision)などが用いられる。基準以上ではないと判別された場合には(ステップS135で“NO”)、モジュール制御部52は、クロック信号の供給元がDCXO55であるか否かを判別する(ステップS161)。DCXO55であると判別された場合には(ステップS161で“YES”)、モジュール制御部52は、切替部57により供給元をTCXO56に切り替えさせる(ステップS162)。それから、処理をステップS163に移行させる。DCXO55ではないと判別された場合には(ステップS161で“NO”)、モジュール制御部52の処理は、ステップS133に戻る。
【0054】
算出されている位置精度が基準以上であると判別された場合には(ステップS135で“YES”)、モジュール制御部52は、クロック信号の供給元がTCXO56であるか否かを判別する(ステップS141)。TCXO56ではあると判別された場合には(ステップS141で“YES”)、モジュール制御部52は、切替部57により供給元をDCXO55に切替させる(ステップS142)。それから、モジュール制御部52の処理は、ステップS163に移行する。TCXO56ではないと判別された場合には(ステップS141で“NO”)、モジュール制御部52の処理は、ステップS133に戻る。
【0055】
ステップS142、S151、S162の各処理からステップS163の処理に移行すると、モジュール制御部52は、捕捉部511により、測位衛星からの電波の捕捉動作を再度行わせる(ステップS163)。この場合、モジュール制御部52は、現在捕捉している測位衛星の電波については、再捕捉対象から除外して良い。この捕捉している測位衛星の電波には、クロック信号の供給元の切替時(主に、精度の良いTCXO56への切替時だが、これに限るものではない)にクロック信号の位相ずれが小さく、捕捉が外れなかった場合も含まれる。モジュール制御部52は、捕捉されている電波を送信する測位衛星の有効なエフェメリスを保持しているか否かを判別する(ステップS164)。保持していないと判別された場合には(ステップS164で“NO”)、モジュール制御部52の処理は、ステップS127に移行する。保持していると判別された場合には(ステップS164で“YES”)、モジュール制御部52の処理は、ステップS133に戻る。
【0056】
上記各処理のうち、ステップS131、S133が位置同定ステップ(位置同定手段)を構成する。また、ステップS125、S142、S162などがクロック切替ステップ(クロック切替手段)を構成する。
【0057】
以上のように、本実施形態の衛星電波受信モジュール5は、クロック信号を出力するDCXO55と、DCXO55よりも高精度なクロック信号を出力するTCXO56と、測位衛星からの電波を受信する受信部51と、受信された電波から得られる測位情報に基づいて現在位置を算出するモジュール制御部52と、を備え、モジュール制御部52は、受信部51による測位衛星からの電波の受信状況に応じて受信部51及びモジュール制御部52へのクロック信号の供給元をDCXO55及びTCXO56のうち何れかに切り替える切替制御を行う。
このように、精度に応じて消費電力も大きくなる発振器について、精度(消費電力)の大小に応じて2種類を備え、受信状況に応じて測位に必要な受信精度を維持しつつ電力消費を低減させることが出来る。従って、より効率的な測位動作を行うことが出来る。
【0058】
また、モジュール制御部52は、算出された現在位置の精度に応じて切替制御を行う。即ち、捕捉され、現在位置の算出に用いられる測位衛星が適切に分散配置された状態か否かでクロック信号の供給元をDCXO55とTCXO56との間で切り替えるので、無理にクロック信号の精度を低下させて現在位置の算出を困難にさせない一方、クロック信号の精度が低下しても現在位置の算出に問題を来たさないと判断される場合に適切にクロック信号の精度を低下させて電力消費を低減させることが出来る。
【0059】
また、モジュール制御部52は、TCXO56からクロック信号の供給を受けた状態で受信部51により測位衛星からの電波の捕捉動作を行わせ、現在位置の算出に必要な数の測位衛星を捕捉した場合に、捕捉された電波から復調された信号中にプリアンブルが検出されるまでの予測時間内に再度の捕捉動作が可能か否かを判別し、可能と判別された場合には、クロック信号の供給元をDCXO55に切り替えて受信部51により再度の捕捉動作を行わせる。このように、受信開始時には、処理の時間的な余裕がある場合に、その間に可能であればクロック信号の供給元のDCXO55への切り替えを行うので、無駄に受信時間を延ばさずに効率良く適切なクロック信号を選択して測位を開始することが出来る。
【0060】
また、モジュール制御部52は、捕捉された電波の受信強度を考慮して再度の捕捉動作に要する再捕捉時間を捕捉テーブル532から取得し、再捕捉が可能か否かを判別する。このように、再度の捕捉が可能であると実際の受信強度に基づいて想定可能な範囲で無理なくDCXO55に切り替え可能な場合にのみ切り替えを行うので、必要以上に捕捉動作の時間や捕捉後に現在位置を算出するまでの時間を延ばさない。
【0061】
また、記憶部53は、測位衛星からの電波の受信強度(CNRのように、ノイズに対する相対的な強度指標を含む)と再捕捉時間との対応関係を示す捕捉テーブル532を記憶する。これにより、容易に捕捉に必要な所要時間を見積もり、適切な処理タイミングの制御を行うことが可能になる。また、捕捉テーブル532をフラッシュメモリなどに記憶させて更新可能とすることで、実測などに応じて精度の向上を図りやすい。
【0062】
また、モジュール制御部52は、予測時間に想定される最大ずれ幅に基づいて、当該予測時間の最短時間を取得する。即ち、計時回路48が計時する日時に応じて予測時間に誤差が生じるので、この誤差を見込んで予測時間を短く想定することで、捕捉動作中にプリアンブルの受信タイミングが過ぎることを避けることが出来る。これにより、不要にエフェメリスデータの取得完了までに要する時間を長引かせず、速やかに測位を開始可能とすることが出来る。
【0063】
また、モジュール制御部52は、前回の測位を行ったタイミングからの経過時間に基づいて最大ずれ幅を想定する。計時回路48が計数する日時は、測位時に得られる正確な日時により補正可能であり、その後のずれは、発振回路46に定められている最大誤差に応じて拡大し得るので、その最大誤差で生じる最大のずれ幅を見込むことで、想定外のずれでプリアンブルの検出や日時の取得に失敗したり不要に時間を要したりするのを防ぐことが出来る。
【0064】
また、記憶部53には測位衛星の現在位置に係る情報(エフェメリス)が記憶され、モジュール制御部52は、有効な(有効期間内の)エフェメリスが保持されている場合には、TCXO56からクロック信号の供給を受けた状態で受信部51による受信を開始させて、測位演算を行う。即ち、衛星からの電波の捕捉後速やかに測位が可能となる場合には、無理に精度を下げずに先ず一度測位を行うことを優先させて、ユーザの利便性を低下させない。
【0065】
また、高精度な発振器として温度補償水晶発振器(TCXO)を用いることで、発振周波数の変動に大きな影響を与える温度変化を適切に補償して、受信状況が悪い場合でもより確実に測位を可能とすることが出来る。
【0066】
また、一方で、TCXO56よりも精度の低い発振器としてデジタル制御水晶発振器(DCXO)を用いることで、水晶発振子の最低限の精度と、サーミスタ551の計測値による適切な制御可能な回路構成とにより、コスト、サイズの増大を抑えながら、受信状況が良い場合における適切な範囲内での低消費電力での測位継続を可能とすることが出来る。
【0067】
また、本実施形態の電子時計1は、上述の衛星電波受信モジュール5と、現在日時を計数する計時回路48と、現在日時に応じた時刻を表示する表示部62と、を備える。
このように、電子時計1において、消費電力を抑えながら現在位置の取得を行うことが出来る。
【0068】
また、電子時計1は、衛星電波受信モジュール5の動作により同定された現在位置の情報に基づいて、当該現在位置に応じた地方時設定を行うホスト制御部40を備える。これにより、測位動作を生かしてよりユーザが容易且つ適切に現在位置に報じた正確な地方時を知得することが可能になる。即ち、ユーザが地方時設定を自身で行う手間を省くことが出来る。
【0069】
また、DCXO55及びTCXO56を用いて上述の測位制御方法により測位動作を行うことで、適切な精度内での速やかな現在位置の取得を維持しつつ、消費電力の適切化などの動作の効率化を図ることが出来る。
【0070】
また、上述の測位制御処理に係る制御用のプログラム581をインストールしてモジュールCPU521(モジュール制御部52)によりソフトウェア的に実行させることで、容易且つ適切に現在位置の取得に係る処理の効率化を図ることが出来る。
【0071】
なお、本発明は、上記実施の形態に限られるものではなく、様々な変更が可能である。
例えば、上記実施の形態では、発振回路としてDCXO55とTCXO56を備えることとしたが、より精度の高い発振器して、OCXO(恒温槽付き水晶発振器)なども利用し得る。また、DCXO55は、デジタル制御ではなく、通常のVCXO(電圧制御水晶発振器)において、サーミスタ551の計測温度に基づいて制御電圧が制御されても良い。また、測位衛星からの電波受信に必要な最低限の精度、安定度が確保可能であれば、水晶発振子を用いずにセラミック発振子などを用いた発振器や、Si(シリコン)ベースのMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)発振器であっても良い。
【0072】
また、上記実施の形態では、捕捉衛星数が減少して不足した場合に必ずTCXO56からのクロック信号の送信に切り替えて再捕捉を行うこととしたが、受信状況が良い場合には、必ずしもTCXO56に切り替える必要は無い。また、DCXO55からのクロック信号の供給を受けて再捕捉を可能とする場合、捕捉衛星数に余裕がある状態、即ち、4機又は5機となった段階で再捕捉を行わせることとしても良い。
【0073】
また、上記実施の形態では、前回の測位タイミングからの経過時間によりプリアンブルの検出タイミングのずれ幅を見積もったが、経過時間内の温度履歴などを考慮に入れても良い。また、ずれ幅がプリアンブルの送信頻度(6秒に1回)に対して大きい(6秒以上)の場合には、一律な値(例えば、3秒)を設定しても良いし、0秒として、この段階ではDCXO55に切り替えを行わないこととしても良い。
【0074】
また、上記実施の形態では、プリアンブルを検出することで符号列の基準位置としたが、現在日時に応じたTOW−Countの値を示す符号列を検出しても良い。
【0075】
また、上記実施の形態では、エフェメリスを受信して取得することとしたが、通信手段を介して外部から取得可能な場合には、測位衛星から受信された電波に基づいてエフェメリスの復号取得を行わないこととしても良い。この場合、エフェメリスは、ROM58に記憶されても良い。また、その他補正テーブル531や捕捉テーブル532などもホスト制御部40からアクセス可能にROM58に記憶されても良い。
【0076】
また、上記実施の形態では、電子時計1として腕時計を例に挙げて示したが、他の時計であっても良く、例えば、携帯型の時計や、車の内部に載置、取り付けされる小型据え置き型の時計などであっても良い。
【0077】
また、衛星電波受信モジュール5は、電子時計1が備えるものに限られない。専用の測位装置として表示部や操作受付部などとともに用いられても良いし、ユーザの移動歩数、消費カロリーなどを計測する活動量計、脈拍計や血圧計など他の装置に備えられるものであっても良い。これらの場合、ホストCPU41や計時回路48などが別個に設けられる必要は無く、モジュールCPU521が一元的に演算制御を行っても良い。また、衛星電波受信モジュール5の起動時には、上述のRTCから日時情報が取得される。衛星電波受信モジュール5の停止時や測位終了時には、測位結果に基づいてRTCの日時が正しい日時に修正される。
【0078】
また、以上の説明では、本発明に係るモジュール制御部52の処理動作に係る測位制御処理などの動作処理のプログラム581のコンピュータ読み取り可能な媒体として不揮発性メモリを含み得るROM58を例に挙げて説明したが、これに限定されない。その他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、HDD(Hard Disk Drive)や、CD−ROMやDVDディスクなどの可搬型記録媒体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウェーブ(搬送波)も本発明に適用される。
その他、上記実施の形態で示した構成、制御内容や手順などの具体的な細部は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0079】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
【0080】
[付記]
<請求項1>
クロック信号を出力する第1の発振部と、
前記第1の発振部よりも高精度なクロック信号を出力する第2の発振部と、
測位衛星からの電波を受信する受信部と、
受信された電波から得られる測位情報に基づいて現在位置を算出する測位制御部と、
を備え、
前記測位制御部は、前記受信部による前記測位衛星からの電波の受信状況に応じて前記受信部及び前記測位制御部へのクロック信号の供給元を前記第1の発振部及び前記第2の発振部のうち何れかに切り替える切替制御を行う
ことを特徴とする測位装置。
<請求項2>
前記測位制御部は、算出された現在位置の精度に応じて前記切替制御を行うことを特徴とする請求項1記載の測位装置。
<請求項3>
前記測位制御部は、
前記第2の発振部から前記クロック信号の供給を受けた状態で前記受信部により前記測位衛星からの電波の捕捉動作を行わせ、
現在位置の算出に必要な所定数の前記測位衛星を捕捉した場合に、捕捉された電波から復調された信号中に所定の符号列が検出されるまでの予測時間内に再度の捕捉動作が可能か否かを判別し、
可能と判別された場合には、前記クロック信号の供給元を前記第1の発振部に切り替えて前記受信部により再度の捕捉動作を行わせる
ことを特徴とする請求項1又は2記載の測位装置。
<請求項4>
前記測位制御部は、捕捉された電波の受信強度を考慮して再度の捕捉動作に要する再捕捉時間を取得することを特徴とする請求項3記載の測位装置。
<請求項5>
前記受信強度と前記再捕捉時間との対応関係を示す捕捉時間推測情報を記憶する推測情報記憶部を備えることを特徴とする請求項4記載の測位装置。
<請求項6>
前記測位制御部は、前記予測時間に想定される最大ずれ幅に基づいて当該予測時間の最短時間を取得することを特徴とする請求項3〜5の何れか一項に記載の測位装置。
<請求項7>
前記測位制御部は、前回の測位を行ったタイミングからの経過時間に基づいて前記最大ずれ幅を想定することを特徴とする請求項6記載の測位装置。
<請求項8>
測位衛星の現在位置に係る情報を記憶する位置記憶部を備え、
前記測位制御部は、有効な前記現在位置に係る情報が保持されている場合には、前記第2の発振部から前記クロック信号の供給を受けた状態で前記受信部による受信を開始させて、測位演算を行う
ことを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の測位装置。
<請求項9>
前記第2の発振部は、温度補償水晶発振器であることを特徴とする請求項1〜8の何れか一項に記載の測位装置。
<請求項10>
前記第1の発振部は、デジタル制御水晶発振器であることを特徴とする請求項1〜9の何れか一項に記載の測位装置。
<請求項11>
請求項1〜10の何れか一項に記載の測位装置と、
現在時刻を計数する計時部と、
現在時刻に応じた時刻を表示する表示部と、
を備えることを特徴とする電子時計。
<請求項12>
前記測位装置により同定された現在位置の情報に基づいて、当該現在位置に応じた地方時設定を行う計時制御部を備えることを特徴とする請求項11記載の電子時計。
<請求項13>
クロック信号を出力する第1の発振部と、前記第1の発振部よりも高精度なクロック信号を出力する第2の発振部と、測位衛星からの電波を受信する受信部と、を備える測位装置の測位制御方法であって、
受信された電波から得られる測位情報に基づいて現在位置を算出する位置同定ステップ、
前記受信部による前記測位衛星からの電波の受信状況に応じて測位動作に係るクロック信号の供給元を前記第1の発振部及び前記第2の発振部のうち何れかに切り替える切替制御を行うクロック切替ステップ、
を含むことを特徴とする測位制御方法。
<請求項14>
クロック信号を出力する第1の発振部と、前記第1の発振部よりも高精度なクロック信号を出力する第2の発振部と、測位衛星からの電波を受信する受信部と、を備える測位装置のコンピュータを
受信された電波から得られる測位情報に基づいて現在位置を算出する位置同定手段、
前記受信部による前記測位衛星からの電波の受信状況に応じて測位動作に係るクロック信号の供給元を前記第1の発振部及び前記第2の発振部のうち何れかに切り替える切替制御を行うクロック切替手段、
として機能させることを特徴とするプログラム。