(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6772705
(24)【登録日】2020年10月5日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】包装袋
(51)【国際特許分類】
B65D 33/38 20060101AFI20201012BHJP
【FI】
B65D33/38
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-180784(P2016-180784)
(22)【出願日】2016年9月15日
(65)【公開番号】特開2018-43776(P2018-43776A)
(43)【公開日】2018年3月22日
【審査請求日】2019年8月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】佐々 志歩
【審査官】
西 秀隆
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−180112(JP,A)
【文献】
特開2015−117063(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0208398(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 30/00−33/38
B65D 75/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1枚の積層体のシール面を内側にして折り曲げた折り返し部を天辺として、表面材と裏面材を形成し、両側辺と底辺をシールして側辺シール部、底辺シール部を形成した矩形状の包装袋であって、
一辺の側辺上部に切り裂き開口予定部を有し、該切り裂き開口予定部は該側辺シール部の内側端縁に沿って未シール部を開封するものであり、
前記天辺の他辺の側辺側の一部が開口されて充填口となり、該充填口から内容物を充填後該充填口をシールして包装袋を密封するものであり、
表裏面材において、前記折り返し部の前記充填口側端部から、前記切り裂き開口予定部の下端へ向かって斜めに下降する直線の略中央部に至る、包装袋外方に凸の第一山折線と、前記第一山折線の終点から前記切り裂き開口予定部の中間部に至る第二山折線とを有し、前記切り裂き開口予定部を切り裂いて開口した後、前記略中央部上の天辺を押下することにより、前記第一山折線および第二山折線が山折に折れて、開口部が略菱形形状または略逆三角形形状に開口することを特徴とする包装袋。
【請求項2】
前記切り裂き開口予定部が、天辺側がより内側端辺から離隔して斜行していることを特徴とする請求項1に記載の包装袋。
【請求項3】
表裏面材において、前記第一山折線と第二山折線の交点から表裏面材の略中央部に至る第三山折線を有することを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載の包装袋。
【請求項4】
前記切り裂き開口予定部の側辺シール部に開封用の摘みが設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の包装袋。
【請求項5】
前記切り裂き開口予定部の側辺シール部に外側からノッチが設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の包装袋。
【請求項6】
底辺に折込片を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の包装袋。
【請求項7】
前記切り裂き開口予定部は、一部分が突出した側辺に沿って形成されており、開口後は、開口部が本体から突出した注出筒を形成することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の包装袋。
【請求項8】
前記切裂き開口予定部の下方近傍の側辺シール部に凹所が形成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の包装袋。
【請求項9】
前記表面材および裏面材は、紙層を含む積層体であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は包装袋に関し、特に液体の内容物を収納した場合の注出性や、粒状の内容物を収納した場合の取出し性に優れた包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
各種合成樹脂フィルムや紙、アルミニウム箔などを貼り合わせた積層材料を、袋状に製袋した軟包装袋が、さまざまな内容物を収納するために用いられている。中でもシャンプーやリンスなど液状のトイレタリー用品を収納し、自立するように加工したいわゆるスタンディングパウチは、その代表的なものである。
【0003】
シャンプーやリンスなどを収納したスタンディングパウチは、詰め替え用として用いられるものが多く、正規のボトル容器などに移し替えて使用する場合が多い。しかしこれらの液体類は、しばしば粘度が高いため、注出に時間がかかることが問題となっていた。
【0004】
そこで、注出口の閉塞を防ぎ、開口を広く保つためのさまざまな技術が提案されている。特許文献1に記載された可撓性の袋は、注出路に折畳部を設け、注出時に注出路が大きく広がるようにした包装袋である。
【0005】
特許文献2の袋及びその製造方法には、注出路にパイプを取り付けた包装袋及びその製造方法が記載されている。特許文献1に記載された包装袋も、特許文献2に記載された包装袋もいずれも注出性の改善という点においては、効果を発揮するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平4−215957号公報
【特許文献2】特開平5−132069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載された包装袋は、製袋工程において、包装材料を所定の形状に折り畳むための大掛かりな装置が必要であり、製造工程が煩雑であるという欠点があった。また、1枚のシート材料を折りたたんだ部位を天辺として、両側辺、底辺をシールして形成する三方パウチと呼ばれる形状の包装袋と同様、天辺側に内容物を充填する際の開口が無いないため、底辺側または側辺側から充填することになり充填工程が複雑になり、底辺側に底面を形成する折込片を挿入する場合の工程も複雑になるという問題点があった。
【0008】
また、特許文献2に記載された包装袋は、包装材料以外に別途パイプが必要であるため、材料費がかさむという問題がある。また、充填機において内容物を充填する段階で、包装袋をスタッカーに積み上げる際に、注出口部分の厚さのみが厚いため、多くの枚数を整然と積み上げることが出来ないという問題もあった。
【0009】
本発明は、上記の問題点を解決しようとするものである。本発明の解決しようとする課題は、包装材料以外に特殊な材料を使用せず、また大掛かりな製造装置も必要とせず、包装袋の段階では平坦でありながら、注出時には注出路が広く開口し、天辺側から内容物の充填が可能な新規な包装袋を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、
1枚の積層体のシール面を内側にして折り曲げた折り返し部を天辺として、表面材と裏面材を形成し、両側辺と底辺をシールして側辺シール部、底辺シール部を形成した矩形状の包装袋であって、
一辺の側辺上部に切り裂き開口予定部を有し、該切り裂き開口予定部は該側辺シール部の内側端縁に沿って未シール部を開封するものであり、
前記天辺の他辺の側辺側の一部が開口されて充填口となり、該充填口から内容物を充填後該充填口をシールして包装袋を密封するものであり、
表裏面材において、前記折り返し部の前記充填口側端部から、前記切り裂き開口予定部の下端へ向かって斜めに下降する直線の略中央部に至る、包装袋外方に凸の第一山折線と、前記第一山折線の終点から前記切り裂き開口予定部の中間部に至る第二山折線とを有し、前記切り裂き開口予定部を切り裂いて開口した後、前記略中央部上の天辺を押下することにより、前記第一山折線および第二山折線が山折に折れて、開口部が略菱形形状または略逆三角形形状に開口することを特徴とする包装袋である。
【0011】
また、請求項2に記載の発明は、
前記切り裂き開口予定部が、天辺側がより内側端辺から離隔して斜行していることを特徴とする請求項1に記載の包装袋である。
【0012】
また、請求項3に記載の発明は、
表裏面材において、前記第一山折線と第二山折線の交点から表裏面材の略中央部に至る第三山折線を有することを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載の包装袋である。
【0013】
また、請求項4に記載の発明は、
前記切り裂き開口予定部の側辺シール部に開封用の摘みが設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の包装袋である。
【0014】
また、請求項5に記載の発明は、
前記切り裂き開口予定部の側辺シール部に外側からノッチが設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の包装袋である。
【0015】
また、請求項6に記載の発明は、
底辺に折込片を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の包装袋である。
【0016】
また、請求項7に記載の発明は、
前記切り裂き開口予定部は、一部分が突出した側辺に沿って形成されており、開口後は、開口部が本体から突出した注出筒を形成することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の包装袋である。
【0017】
また、請求項8に記載の発明は、
前記切裂き開口予定部の下方近傍の側辺シール部に凹所が形成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の包装袋である。
【0018】
また、請求項9に記載の発明は、
前記表面材および裏面材は、紙層を含む積層体であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の包装袋である。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る包装袋は、1枚の積層体を折り曲げて天辺と表裏面材を形成し、天辺の一部を開口した充填口から内容物を充填後シールして密封するようにしたもので、表裏面材に数本の折線を形成するだけの簡単な加工により、切り裂き開口予定部を切り裂いて開口した後、天辺を押下することにより、天辺にシール部が無いため天辺周辺が平坦になりやすく、開口部が略菱形形状または略逆三角形形状に開口するため、大面積の開口部を得ることができる。従って包装材料以外に特殊な材料を使用しないため、材料コストがかさむことがない。またさらに、未充填の包装袋の段階では平坦であるため、充填機のフィーダー部におけるスタック適性も良好であり、天辺側に充填口があるため、内容物の充填を特殊な装置を必要とせず行うことができる。
【0020】
請求項2に記載の発明のように、切り裂き開口予定部を斜行させると注出具合の観察がしやすくなって注出量の加減がし易くなる。
【0021】
請求項3に記載の発明のように、第一山折線と第二山折線の交点から表裏面材の略中央部に至る第三山折線を設けた場合には、開封後に天辺を押圧したとき、包装袋が折線に沿って膨らみ易くなり、開口部も膨らみ易くなる。
【0022】
請求項4に記載の発明のように、切り裂き開口予定部の側辺シール部に開封用の摘みを設けると、切り裂き位置を間違えるおそれが少なく、かつ容易に切り裂きを行える。
【0023】
請求項5に記載の発明のように、切り裂き開口予定部の側辺シール部に外側からノッチを設けると、切り裂き位置を間違えるおそれが少なく、かつ切り裂きを切り裂き開口予定部に確実に連続させることができる。
【0024】
請求項6に記載の発明のように、包装袋が底辺に折込片を有する場合には、自立性の包装袋とすることができる。
【0025】
請求項7に記載の発明のように、切り裂き開口予定部が、一部分が突出した側辺に沿って形成されており、開口後は、開口部が本体から突出した注出筒を形成するようにした場合には、開封し易くなると共に、詰め替え容器として使用した場合に、注出筒を詰め替え先の容器に挿入することができるため、詰め替え作業が安全にまた容易になる。
【0026】
請求項8に記載の発明のように、切り裂き開口予定部の下部近傍の側辺シール部に凹所が形成されていると、天辺を押圧したとき発生する変形が開口部に集中しやすくなってより効果的に開口部を広げることができ、詰め替え容器として用いる場合、詰替え先容器の口に凹所を引っ掛けて内容物を注出することができるため溢し難くなり、注出量の加減がし易くなる。
【0027】
請求項9に記載の発明のように、表面材および裏面材が、紙層を含む積層体である場合には、形状保持性が向上し、開口状態を維持し易くなる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明に係る包装袋の一実施態様を示した斜視説明図である。
【
図2】
図1に示した包装袋の未使用の状態を示した平面説明図である。
【
図3】本発明に係る包装袋の他の実施態様を示した平面説明図である。
【
図4】本発明に係る折込部を挟んだ包装袋を示した平面説明図である。
【
図5】
図4に示した包装袋の開口予定部を切り裂いた状態の斜視説明図である。
【
図6】本発明に係る側辺の一部を突出させた包装袋を示した平面説明図である。
【
図7】本発明に係る側辺の一部に凹所を設けた包装袋を示した平面説明図である。
【
図8】
図7に示した包装袋の切り裂き開口予定部の実施態様を示した拡大説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下図面を参照しながら、本発明に係る包装袋について詳細に説明する。なお、本発明は以下に示す実施態様に限定して解釈されるものでないのは言うまでもない。
【0030】
図1は、本発明に係る包装袋1の一実施態様を示した斜視説明図であり、内容物を封入後開封した状態の図である。また、
図2は、
図1に示した包装袋の未使用の状態を示した斜視説明図である。
【0031】
本発明に係る包装袋1は、1枚の積層体のシール面を内側にして折り曲げた折り返し部8を天辺として、表面材2と裏面材3が形成され、両側辺6a、6bと底辺7をシールしてなる矩形状の包装袋である。一辺の側辺、
図2では左側の側辺6aの上部に切り裂き開口予定部16を有する。切り裂き開口予定部16は、側辺シール部の内側端縁に沿って未シール部を開封するものである。なお、切り裂き開口予定部16の天地方向の幅は、詰替え用容器として用いる場合、詰替え先容器の注入口の大きさに合わせ適宜設計すればよい。
【0032】
切り裂き開口予定部16は、表裏面材の表面に刃物やレーザー光など公知の手段で傷加工して形成した脆弱化線とすると、この脆弱化線に沿って容易に開封することができ好適である。切り裂き開口予定部16は側辺シール部に平行であっても良いが、
図2に示すように斜行させると、開口部の切り口が斜めになり、内容物を注出するときに注出の様子が観察しやすくなり、注出の加減をし易くなるので好ましい。また開封開始部には、開口用ノッチ17を設けてもよい。また開封開始部に持ち手となる開口用タブ14を設けると好適である。
【0033】
また、天辺の他辺の側辺側の一部が切り裂かれて袋の未使用の状態においては開口しており、内容物の充填口12となっている。充填口12から内容物を充填後、開口している部分をシールして袋を密封する。充填口12と折り返し部8の境界部分は境界シール部5でシールしておくと、密封前の取扱い時の不具合で切り裂きが切り裂き開口予定部16側に進行してしまうおそれが少なくなり好適である。
図1は充填口12がシールされた状態を示している。
【0034】
さらに本発明に係る包装袋1は、表裏面材2、3において、折り返し部8の境界シール部5側の端部から、切り裂き開口予定部16の下端へ向かって斜めに下降する直線の略中央部に至る、包装袋外方に凸の第一山折線9と、第一山折線9の終点から切り裂き開口予定部16の中間部に至る第二山折線10とを設けたことを特徴とする。
【0035】
切り裂き開口予定部16を切り裂いて開口した後、前記略中央部上の天辺を押下することにより、第一山折線9、および第二山折線10が山折に折れ、
図1に示したように開口部18が略逆三角形形状に、あるいは押下の加減によっては略菱形形状に開口する。天辺にシール部がないため、押下が容易である。また押下された前記略中央部は第一山折線9と第二山折線10の形状の関係から自然に谷折れ形状となるが、この部位に表裏面の第一山折線9の終点を結んであらかじめ谷折り線15を設けておいても良い。なお、以下図面において山折線を実線で、谷折り線を一点鎖線で、それぞれ示している。
【0036】
このように本発明に係る包装袋1は、表裏面材2、3にそれぞれ2本の折線を形成するだけの簡単な加工によって、開封時に大面積の開口部18を得ることができる。表裏面材に折線を形成する方法としては、雄雌の金型に挟んでプレスして折ぐせを付ける方法が最
も一般的であるが、プレスに先立って、折線に沿った浅い傷を付けておいても良い。
【0037】
また、天辺側に充填口12があるため、袋に内容物の充填を行う際にも一般的な充填装置にそのまま適用でき、特殊な機構を設けることなく行うことができる。充填後、充填口12の封止を行うには、両側辺6a、6b、底辺7と同様に通常のヒートシールなどの方法でシールすることができる。
【0038】
図3は、本発明に係る包装袋1の他の実施態様を示した平面説明図であり、この実施態様においては、表裏面材2、3において、第一山折線9と第二山折線10の交点から包装袋1の略中央部に至る第三山折線11が設けられている。
【0039】
このように、第三山折線11を設けると、切り裂き開口予定部16を切り裂いて開封した後に天辺を押圧したとき、包装袋1が折線に沿って膨らみ易くなり、開口部18も膨らみ易くなる。また、これらの山折線の効果を損なわないのであれば別に山折線を設けても特に差し支えない。たとえば、第三の山折線11の終点を通って包装袋1の幅方向略中心部に天辺から底辺7にわたって第四の山折線20を設けても良い。
【0040】
図4、
図5に示した実施態様においては、
図1と同様に1枚の積層体のシール面を内側にして折り曲げた折り返し部8を天辺として、表面材2と裏面材3を形成し、両側辺6a、6bと底辺7をシールしてなる、充填口12を有する矩形状の包装袋とし、さらに底辺7には、積層体のシール面を外側にして逆V字型に折った折込片4を挿入して円弧状にシールした底面部を備えている。このような底面部の構造は、スタンディングパウチと称する自立性の包装袋として一般的なものである。折込片は、底テープと称する場合もある。
図4は未使用の状態を示す平面説明図であり、
図5は、
図4の包装袋を実際に使用した状態を説明する図であり、充填口12をシールし、切り裂き開口予定部16を切り裂き天辺を押下して開口部18を形成した態様を示す斜視説明図である。
【0041】
図6に示した実施態様においては、切り裂き開口予定部16が、一部分が突出した側辺6cに沿って形成されており、開口後は、開口部が本体から突出した注出筒19を形成することを特徴とする。またこの例では、切り裂き開口予定部16に付随して、開口用タブ14と開口用ノッチ17を備えている。このようにする事により、開封し易くなると共に、詰め替え容器として使用した場合に、注出筒19を詰め替え先の容器口により深く挿入することができるため、詰め替え作業が安全にまた確実に行えるようになる。
【0042】
図7に示した実施態様においては、切り裂き開口予定部16の下方近傍の側辺シール部に凹所13が形成されている。凹所13があることにより、開封後に天辺を押下したとき発生する変形が凹所13のシール部に規制されて
図8に矢印Bで示す範囲に集中し、より効果的に開口部18を広げることができ、また、詰め替え容器として用いる際、詰め替え先の容器の口に凹所13を引っ掛けて内容物を注出できるため、開口部の位置が安定して溢すおそれが少なくなると共に、注出量の加減がし易くなる。また、
図6に示した実施態様に比べ、側辺側に突出する部分が無いので、取り扱いが容易である。
【0043】
本発明に係る包装袋の表面材、裏面材、折込片に用いる積層体としては、各種合成樹脂フィルム、アルミニウム箔、紙などを組み合わせて貼り合せた、通常軟包装袋に使用される積層体を用いることができる。基材としては、1層ないしは数層からなる紙や金属箔や合成樹脂フィルムを使用する。一例を挙げれば、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)、ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリオレフィン系エラストマー等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、ポリエチレンナフタレート樹脂(PEN)等のポリエステル系樹脂、セロハン、三酢酸セルロース(TAC)等のセルロース系樹脂、ポリメチルメタアクリレート樹脂(PMMA)、エチレン−酢酸ビニル系共重合樹脂(EVA)、アイオノマー樹脂、ポリブテン系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリスチレン系樹脂(PS)、ポリ塩化ビニル系樹脂(PVC)、ポリ塩化ビニリデン系樹脂(PVDC)、ポリカーボネート樹脂(PC)、フッ素系樹脂、ウレタン系樹脂等の合成樹脂フィルム、紙、金属箔等が単体または、複合して使用される。基材には、必要に応じて印刷層や接着剤層が含まれる。
【0044】
シール面に用いるシーラント層としては、ポリオレフィン系樹脂が一般的に使用され、具体的には、低密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・αオレフィン共重合体などのエチレン系樹脂や、ホモポリプロピレン樹脂、プロピレン・エチレンランダム共重合体、プロピレン・エチレンブロック共重合体、プロピレン・αオレフィン共重合体などのポリプロピレン系樹脂などが使用される。またこれらの樹脂を複合した多層フィルムが使用されることもある。
【0045】
積層体の具体的な構成例としては、PET/印刷層/接着剤層/延伸ポリアミド樹脂フィルム(以下ONYと略す)/接着剤層/LLDPEからなる構成のフィルムや、ONY/接着剤層/LLDPE、などが挙げられる。積層体の一部に紙を用いた場合、折ぐせがつき易くなり、形状保持性が向上し、開口状態を維持し易くなる。
【0046】
本発明に係る包装袋は、シャンプーやリンスなどの詰め替え容器として有用であるほか、大きな開口部が得られるという特徴を生かして、粒状のスナック菓子、あられなどの食品を収納する容器としても好ましく使用できる。
【符号の説明】
【0047】
1・・・包装袋
2・・・表面材
3・・・裏面材
4・・・折込片
5・・・境界シール部
6a・・・左側の側辺、6b・・・右側の側辺、6c・・・突出した側辺
7・・・底辺
8・・・折り返し部
9・・・第一山折線
10・・・第二山折線
11・・・第三山折線
12・・・充填口
13・・・凹所
14・・・開口用タブ
15・・・谷折り線
16・・・切り裂き開口予定部
17・・・開口用ノッチ
18・・・開口部
19・・・注出筒
20・・・第四山折線