(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記漏電部位判別手段は、前記電位差測定手段が前記電位差を測定したときの前記バッテリ電圧測定手段の測定結果で前記電位差測定手段の測定結果を除算することで前記バッテリ電圧に対する前記バッテリ部と前記アースとの間の電位差の割合を算出し、前記割合に前記バッテリ電源を構成する全セル数を積算することにより、前記漏電部位が前記バッテリ電源内の前記各電池セルのいずれであるかを判別する
ことを特徴とする請求項1に記載の漏電検出装置。
前記電位差測定手段は、前記電圧計が前記バッテリ電源から導出されている正側電源ラインおよび負側電源ラインのいずれか一方と前記アースとの間にスイッチを介して接続されることにより構成され、前記スイッチは前記漏電判定手段の判定結果が漏電なしの場合にオフし漏電ありの場合にオンされ、前記スイッチのオン時、前記正側電源ラインおよび前記負側電源ラインのいずれか一方と前記アースとの間の電位差を前記漏電部位の判別要素として前記電圧計により測定する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の漏電検出装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[1]第1実施形態
本発明の第1実施形態を図面を参照しながら説明する。
モータ駆動用のバッテリ電源を備えた車両たとえば電気自動車やハイブリッド自動車の要部を
図1に示す。
バッテリ電源(電池パックともいう)1は、互いに直列接続された複数の組電池(電池モジュールともいう)2a〜2n、これら組電池2a〜2nの直列回路の正側端子と負側端子からそれぞれ導出された正側電源ラインPおよび負側電源ラインN、これら正側電源ラインPおよび負側電源ラインNにそれぞれ挿入接続された正側接点(リレー接点)5および負側接点(リレー接点)6を含み、絶縁性のケースにより周囲が被覆されている。
【0017】
組電池2a〜2nは、複数の電池セル3a〜3nを互いに直列接続したもので、それぞれ電圧測定部(バッテリ電圧測定手段)4を含む。電圧測定部4は、電池セル3a〜3nの個々の電圧(セル電圧という)Vcell、およびその各セル電圧Vcellの合計値である組電池電圧(バッテリ電圧ともいう)Vmを測定するとともに、測定したセル電圧Vcellの平均値を算出する。各電圧測定部4で測定される組電池電圧Vmの合計値がバッテリ電源1の電圧Vbに相当する。
【0018】
バッテリ電源1の個数は、車両の走行性能や大きさなどに応じて適宜に選定される。また、バッテリ電源1内の組電池2a〜2nの相互間には、過電流保護用のヒューズやメンテナンス機器接続用のサービスプラグなどが配置される。
【0019】
バッテリ電源1から導出された正側電源ラインPおよび負側電源ラインNに、高電圧機器であるモータ駆動部10が接続されている。モータ駆動部10は、バッテリ電源1の電圧Vbを後述の車両制御部60からの指令に応じた周波数の交流電圧に変換するインバータを含み、そのインバータで変換した交流電圧をモータ11への駆動電力として出力する。この出力によりモータ11が動作し、その動力が車両の駆動軸に伝わる。
【0020】
また、バッテリ電源1から導出された正側電源ラインPおよび負側電源ラインNに、高電圧機器であるDC/DCコンバータ12および同じく高電圧機器である充電器13が接続されている。DC/DCコンバータ12は、バッテリ電源1の電圧Vbを車両の各種電気機器の動作に必要なレベルの直流電圧に変換し出力する。充電器13は、車両の駆動軸の回転を受けて発電動作するジェネレータを含み、そのジェネレータの出力電圧(交流電圧)を所定レベルの直流電圧に変換し、それを回生エネルギとしてバッテリ電源1に充電する。また、充電器13は、後述の車両制御部60が漏電状態用の制御を実行する際に、その車両制御部60からの指令に応じて充電動作を停止する。
【0021】
バッテリ電源1およびその周辺部の正側電源ラインPと負側電源ラインNを含むバッテリ部、モータ駆動部10、DC/DCコンバータ12、充電器13などにより、いわゆる高電圧回路が形成されている。この高電圧回路は、感電防止のため、車体のアース(シャシー)Gから離間して保持されることにより、あるいは絶縁物を介して保持されることにより、アースGから絶縁されている。この絶縁により、高電圧回路とアースGとの間に絶縁抵抗が存在し、その絶縁抵抗の抵抗値Rは通常は無限大の値となる。
【0022】
高電圧回路に対しては、このような絶縁処置に加え、水や塵埃の浸入などを原因とする漏電(絶縁の失陥ともいう)の可能性についても十分に配慮する必要がある。仮に、高電圧回路に漏電が生じた場合には、高電圧回路とアースGとの間の絶縁抵抗の抵抗値Rが低下する。例えば、負側電源ラインNに漏電が生じた場合、
図1に破線で示すように、負側電源ラインNとアースGとの間の絶縁抵抗100の抵抗値Rが低下する。
【0023】
一方、バッテリ電源1の近傍に、バッテリ管理ユニットいわゆるBMU(Battery Management Unit)20が配置されている。BMU20は、主制御部21、絶縁抵抗検出部(絶縁抵抗検出手段)30、電位差測定部(電位差測定手段)40、漏電判定部50、メモリ51を含む。
【0024】
主制御部21は、車両の走行を制御する車両制御部60からの指令に応じてバッテリ電源1内の正側接点5および負側接点6を開閉制御するとともに、組電池2a〜2n内のそれぞれ電圧測定部4で測定される各セル電圧Vcellおよび各組電池電圧Vmを監視し、さらに組電池2a〜2nの温度を温度センサで監視し、これら監視結果が異常の場合にバッテリ電源1内の正側接点5および負側接点6を車両制御部60からの指令にかかわらず強制的に開く保護制御を実行する。また、主制御部21は、漏電判定部50の判定結果を車両制御部60に通知する。
【0025】
絶縁抵抗検出部30は、一定周期の交流電圧Vcを出力する交流電源31、この交流電源31の一端と負側電源ラインNとの間に配線接続された抵抗器32および絶縁用カップリングコンデンサ33の直列回路、この抵抗器32および絶縁用カップリングコンデンサ33の相互接続点とアースGとの間に生じる電圧V1を検出する電圧検出部34、この電圧検出部の検出電圧V1に基づいて高圧回路とアースGとの間の絶縁抵抗の抵抗値Rを算出する演算部35を含む。交流電源31の他端はアースGに接続されている。演算部35は、算出した抵抗値Rを当該絶縁抵抗検出部30の検出結果として漏電判定部50に通知する。
【0026】
電圧検出部34で検出される電圧V1は、交流電圧Vc、抵抗器32の抵抗値Ra、絶縁抵抗の抵抗値Rを用いて下式で表わされる。
V1=Vc×R/(Ra+R)
高電圧回路に漏電がない場合、高電圧回路とアースGとの間の絶縁抵抗の抵抗値Rは無限大の状態にあって抵抗器32の抵抗値Raに比べはるかに大きい。このときに電圧検出部34で検出される電圧V1は、交流電源31の電圧Vcと同じ値になる(V1=Vc)。
【0027】
高電圧回路に水や塵埃などが浸入し、その影響で高電圧回路に漏電が生じた場合には、その漏電部位とアースGとの間の絶縁抵抗の抵抗値Rが低下する。このときに電圧検出部34で検出される電圧V1は、抵抗器32による電圧降下分だけ交流電源31の電圧Vcより低い値となる(V1<Vc)。
【0028】
演算部35は、交流電源31の電圧Vcおよび抵抗器32の抵抗値Raを既知のデータとして内部メモリに保持しており、これら既知のデータ(Vc,Ra)および電圧検出部34の検出電圧V1を上式に当てはめることにより、漏電部位とアースGとの間の絶縁抵抗の抵抗値Rを逆算して求める。
【0029】
電位差測定部40は、負側電源ラインNに一端が配線接続されたスイッチ(リレー接点)41、およびこのスイッチ41の他端とアースGとの間に接続された電圧計42を含み、スイッチ41のオンにより、バッテリ部である負側電源ラインNの電位とアースGの電位との差V2を、漏電部位を判別するための判別要素として電圧計42で測定する。スイッチ41は、後述の漏電判定部50からの指令に応じて作動するもので、漏電判定部50の判定結果が漏電なしの場合にオフし、漏電判定部50の判定結果が漏電ありで且つ前記車両の走行が停止したときにオンする。
【0030】
漏電判定部50は、次の漏電判定手段、漏電部位判別手段、および記憶手段を含む。
漏電判定手段は、高電圧回路(バッテリ部)における漏電の有無を絶縁抵抗検出部30で検出される抵抗値Rに応じて判定する。具体的には、漏電判定手段は、抵抗値Rと予め定めた設定値Rxとを比較し、抵抗値Rが設定値Rx以上の場合は高電圧回路に漏電なしと判定し、抵抗値Rが設定値Rx未満の場合に高電圧回路に漏電ありと判定し、これら判定結果を主制御部21に通知する。
【0031】
上記漏電部位判別手段は、電位差測定部40が電位差V2を測定したときの各電圧測定部4の測定結果と電位差測定部40が測定した電位差V2に基づき漏電部位を判別する。具体的には、漏電部位判別手段は、バッテリ電源1内の各電圧測定部4でそれぞれ算出される平均値からバッテリ電源1内の全てのセル電圧Vcellの平均値Vcell´を求め、この平均値Vcell´で電位差測定部40で測定される電位差V2を除算し、その除算結果(=V2/Vcell´)を漏電部位が組電池3a〜3n内の各電池セルのいずれであるかの判別要素とする。
【0032】
上記記憶手段は、電位差測定部40で測定される電位差V2を、漏電部位が正側電源ラインPであるか、負側電源ラインNであるか、組電池2a〜2nであるかの判別要素としてメモリ51に記憶する。さらに、上記記憶手段は、上記漏電部位判別手段の除算結果(=V2/Vcell´)を、漏電部位が組電池2a〜2n内の全ての電池セル3a〜3n,3a〜3n,…のうち何番目の電池セルであるかの判別要素としてメモリ51に記憶する。メモリ51は、後述のイグニッションスイッチ61のオフによる運転停止にかかわらず、記憶内容を保持する。
【0033】
車両制御部60には、車両の運転開始と運転停止を運転者が指示するためのイグニッションスイッチ61、運転者によるアクセル操作の操作量をアクセル開度として検知するアクセル開度センサ62、車両の走行速度を検知する車速センサ63、高電圧回路の漏電等の異常を報知するための警告ランプ(発光ダイオード)64が接続されている。
【0034】
車両制御部60は、主要な機能として次の第1制御手段および第2制御手段を含む。
第1制御手段は、イグニッションスイッチ61の操作、アクセル開度センサ62の検知開度、車速センサ63の検知車速などに応じて、バッテリ電源1における正側接点5および負側接点6の開閉をBMU20の主制御部21を介して制御するとともに、モータ駆動部10の出力および充電器13の動作を制御する。
【0035】
第2制御手段は、主制御部21から漏電ありの通知を受けた場合に、漏電ありの旨を警告ランプ64の点灯(オン)により報知するとともに、漏電状態用の制御として例えば車両の走行能力を制限する。走行能力の制限とは、モータ駆動部10の出力を制限して、車両の走行速度を一定以下に抑える制御のことである。この警告ランプ64の点灯および走行能力の制限により、車両の運転者は、運転中の車両に何らかの異常が生じていることを視覚と運転感覚の両方で察知する。
【0036】
上記絶縁抵抗検出部30、電位差測定部40、漏電判定部50、主制御部21、および車両制御部60の第2制御手段などにより、本実施形態の漏電検出装置が構成されている。
【0037】
つぎに、漏電判定部50が実行する制御を
図2のフローチャートを参照しながら説明する。
漏電判定部50は、絶縁抵抗検出部30で検出される抵抗値Rと設定値Rxとを比較する(ステップS1)。抵抗値Rが設定値Rx以上の場合(ステップS1のNO)、漏電判定部50は、漏電なしと判定し(ステップS2)、最初のステップS1に戻る。
【0038】
抵抗値Rが設定値Rx未満の場合(ステップS1のYES)、漏電判定部50は、漏電ありと判定する(ステップS3)。この判定に伴い、漏電判定部50は、警告ランプ64を点灯(オン)するとともに(ステップS4)、漏電状態用の制御として、主制御部21および車両制御部60を介して車両の走行能力を制限するとともに充電器13の充電を禁止する(ステップS5)。そして、漏電判定部50は、車両の走行停止(停車)を車両制御部60を介して監視する(ステップS6)。
【0039】
車両の運転者は、警告ランプ64が点灯したことで、異常の発生を視覚的に察知するとともに、走行能力が制限されたことで、車両に異常が生じていることを運転感覚的にも察知する。この察知に伴い、運転者は、車両を近くの路肩や駐車場等の安全な場所に移動して停止(停車)する。
【0040】
車両が停止したとき(ステップS6のYES)、漏電判定部50は、電位差測定部40のスイッチ41をオンする(ステップS7)。電位差測定部40は、スイッチ41のオンにより動作し、負側電源ラインNの電位とアースGの電位との差V2を測定する。
【0041】
続いて、漏電判定部50は、バッテリ電源1内の各電圧測定部4でそれぞれ算出される平均値から全てのセル電圧Vcellの平均値Vcell´を求め、電位差測定部40で測定される電位差V2を上記求めた平均値Vcell´で除算する(ステップS8)。
【0042】
そして、漏電判定部50は、電位差測定部40で測定される電位差V2を、漏電部位(抵抗値Rが低下した部位)が正側電源ラインPであるか、負側電源ラインNであるか、組電池2a〜2nであるかの判別要素としてメモリ51に記憶するとともに、上記除算結果(=V2/Vcell´)を、漏電部位が組電池2a〜2n内の全ての電池セル3a〜3n,3a〜3n,…のうち何番目の電池セルであるかの判別要素としてメモリ51に記憶する(ステップS9)。
【0043】
仮に、漏電部位が正側電源ラインPである場合、正側電源ラインPの電位と負側電源ラインNの電位との差分(=Vb)が絶縁抵抗を介して電位差測定部40の電圧計42に加わる。この場合、電位差測定部40で測定される電位差V2は、バッテリ電源1の電圧Vbと同じ値となる(V2=Vb)。
【0044】
漏電部位が負側電源ラインNである場合、負側電源ラインNの電位と同じ負側電源ラインNの電位との差分(=零)が絶縁抵抗(絶縁抵抗100)を介して電位差測定部40の電圧計42に加わる。この場合、電位差測定部40で測定される電位差V2は、当然ながら零となる(V2=零)。
【0045】
漏電部位が組電池2a〜2n内のいずれか1つの電池セルである場合、その電池セルの位置の電位と負側電源ラインNの電位との差分が絶縁抵抗を介して電位差測定部40の電圧計42に加わる。この場合、電位差測定部40で測定される電位差V2は、バッテリ電源1の電圧Vbより低くて零より高い値となる(Vb>V2>零)。具体的には、漏電部位が組電池2a〜2n内の全ての電池セル3a〜3n,3a〜3n,…のうち真ん中位置の1つの電池セルであれば、その真ん中位置の電池セルの位置の電位と負側電源ラインNの電位との差分が絶縁抵抗を介して電位差測定部40の電圧計42に加わる。この場合、電位差測定部40で測定される電位差V2は、バッテリ電源1の電圧Vbの半分の値となる(V2=Vb/2)。
【0046】
上記ステップ9の記憶処理に続き、漏電判定部50は、電位差測定部40のスイッチ41をオフする(ステップS10)。このスイッチ41のオフにより、電位差測定部40の動作が停止する。これで判定処理の終了となる。
【0047】
電位差測定部40および漏電判定部50は、車両の走行が停止した時点で直ちに動作および処理を開始し、イグニッションスイッチ61が運転者によりオフ操作されるまでの時間が短くても、その時間内に十分に動作および処理を完了する能力を持つ。
【0048】
その後、車両が販売店やサービス工場等に持ち込まれた段階で、作業員は、パーソナルコンピュータ等の端末をBMU20の主制御部21または車両制御部60に接続し、メモリ51に記憶されている判別要素(電位差V2および除算結果(=V2/Vcell´))を同端末に読込む。端末に読込まれた判別要素は同端末のディスプレイ上に表示される。
【0049】
作業員は、端末のディスプレイに表示される電位差V2の大きさにより、漏電部位が正側電源ラインPであるか、負側電源ラインNであるか、組電池2a〜2nであるかを判別する。また、端末のディスプレイに表示される除算結果(=V2/Vcell´)の大きさに応じて、漏電部位が組電池2a〜2n内の全ての電池セル3a〜3n,3a〜3n,…のうち何番目の電池セルであるかを判別する。漏電部位が何番目の電池セルであるかは、負側電源ラインNから数えた位置となる。
【0050】
したがって、作業員は、手間と時間のかかる作業を要することなく、高電圧回路の漏電の有無を認識できるとともに、漏電ありの場合はその漏電部位がどこであるかについても的確かつ迅速に認識することができる。
【0051】
[2]第2実施形態
絶縁抵抗の抵抗値Rと電圧計42の内部抵抗の抵抗値rとの分圧比によっては、抵抗値Rでの電圧降下の影響を無視できない場合がある。
【0052】
例えば、漏電部位が正側電源ラインPである場合、正側電源ラインPの電位と負側電源ラインNの電位との差分(=Vb)が漏電部位の絶縁抵抗を介して電位差測定部40の電圧計42に加わった状態となる。このとき、絶縁抵抗の抵抗値Rが電圧計42の内部抵抗の抵抗値rに対して無視できない大きさであれば、電位差測定部40で測定される電位差V2は下式で示すように抵抗値Rでの電圧降下分だけ本来知りたい値から乖離する。つまり、電位差V2がバッテリ電源1の電圧Vbと同じ値とならない。
V2=Vb×r/(R+r)≠Vb
漏電部位が正側電源ラインPである場合には、正側電源ラインPの電位と負側電源ラインNの電位との差分(=Vb)が漏電部位の絶縁抵抗(絶縁抵抗100)を介して電位差測定部40の電圧計42に加わる。このとき、絶縁抵抗の抵抗値Rが電圧計42の内部抵抗の抵抗値rに対して無視できない大きさであれば、測定電位差V2は抵抗値Rでの電圧降下分だけ本来知りたい値から乖離する。つまり、電位差V2がVbとならない(V2≠Vb)。
【0053】
漏電部位が組電池2a〜2n内の全ての電池セル3a〜3n,3a〜3n,…のうち真ん中位置の1つの電池セルである場合には、その電池セルの位置の電位と負側電源ラインNの電位との差分が漏電部位の絶縁抵抗を介して電位差測定部40の電圧計42に加わる。このとき、絶縁抵抗の抵抗値Rが電圧計42の内部抵抗の抵抗値rに対して無視できない大きさであれば、電位差測定部40で測定される電位差V2は抵抗値Rでの電圧降下分だけ本来知りたい値から乖離する。つまり、電位差V2がバッテリ電源1の電圧Vbの半分の値とならない(V2≠Vb/2)。
【0054】
なお、電池セル3a〜3nの内部抵抗や正側電源ラインP,負側電源ラインN等の配線抵抗については、それぞれmΩオーダの抵抗値なので無視できる。
【0055】
漏電部位が負側電源ラインNである場合、抵抗値Rの大きさによらず電位差V2は常に零となるので漏電部位の判別に影響はない。ただし、漏電部位が正側電源ラインPや組電池2a〜2n内のいずれかの1つの電池セルである場合(V2≠零となる場合)、抵抗値Rでの電圧降下分のずれが電位差V2に含まれていると、漏電部位が何番目の電池セルであるかを正確に判別できなくなる可能性がある。
【0056】
そこで、本発明の第2実施形態では、絶縁抵抗の抵抗値Rが絶縁抵抗検出部30で検出される点、および電圧計25の内部抵抗の抵抗値rが予め把握可能である点に着目し、漏電判定部50において、電位差測定部40で測定される電位差V2、絶縁抵抗検出部30で検出される抵抗値R、予め記憶している抵抗値rを用いる演算により、電位差測定部40により測定された電位差V2を補正することで漏電部位とアースGとの間の実際の電位差V2xを算出し、算出した電位差V2xを漏電部位の判別要素としてメモリ51に記憶するとともに、同算出した電位差V2xをセル電圧Vcellの平均値Vcell´で除算し、その除算結果(=V2x/Vcell´)を漏電部位が何番目の電池セルであるかの判別要素としてメモリ51に記憶する。
すなわち、漏電判定部50の漏電部位判別手段は、バッテリ電源1内の各電圧測定部4で測定される全てのセル電圧Vcellの平均値Vcell´を算出し、かつ電位差測定部40で測定される電位差V2、絶縁抵抗検出部30で検出される抵抗値R、予め記憶している抵抗値rに基づく演算により、漏電部位とアースGとの間の実際の電位差V2xを算出し、この電位差V2xを上記算出した平均値Vcell´で除算することにより、漏電部位が組電池2a〜2n内の各電池セルのいずれであるかの判別要素を求める、
漏電判定部50の記憶手段は、漏電部位判別手段で算出した電位差V2xを、漏電部位が正側電源ラインPであるか、負側電源ラインNであるか、組電池2a〜2nであるかの判別要素としてメモリ51に記憶する。さらに、漏電判定部50の記憶手段は、上記漏電部位判別手段の除算結果(=V2x/Vcell´)を、漏電部位が組電池2a〜2n内の全ての電池セル3a〜3n,3a〜3n,…のうち何番目の電池セルであるかの判別要素としてメモリ51に記憶する。
他の構成は第1実施形態と同じである。
【0057】
漏電判定部50が実行する制御を
図3のフローチャートに示す。ステップS1〜S7の処理は第1実施形態の制御と同じなので、その説明は省略する。
【0058】
電位差測定部40で測定される電位差V2と、漏電部位とアースGとの間の実際の電位差V2xとの間には、下式の関係がある。
V2=V2x×r/(R+r)
漏電判定部50は、ステップS7でスイッチをオンした後、電位差測定部40で測定される電位差V2、絶縁抵抗検出部30で検出された抵抗値R、および既知のデータである抵抗値に基づく下式の演算により、漏電部位とアースGとの間の実際の電位差V2xを算出する(ステップS7a)。
V2x=V2×(R+r)/r
続いて、漏電判定部50は、バッテリ電源1内の各電圧測定部4で測定される全てのセル電圧Vcellの平均値Vcell´を算出し、上記算出した電位差V2xをその平均値Vcell´で除算する(ステップS8)。
【0059】
そして、漏電判定部50は、上記算出した電位差V2xを、漏電部位(抵抗値Rが低下した部位)が正側電源ラインPであるか、負側電源ラインNであるか、組電池2a〜2nであるかの判別要素としてメモリ51に記憶するとともに、上記除算結果(=V2x/Vcell´)を、漏電部位が組電池2a〜2n内の全ての電池セル3a〜3n,3a〜3n,…のうち何番目の電池セルであるかの判別要素としてメモリ51に記憶する(ステップS9)。
【0060】
この記憶に続き、漏電判定部50は、電位差測定部40のスイッチ41をオフする(ステップS10)。このスイッチ41のオフにより、電位差測定部40の動作が停止する。判定処理の終了となる。
【0061】
以上のように、絶縁抵抗による電圧降下の影響を含まない実際の電位差V2xを算出し、算出した電位差V2xおよび除算結果(=V2x/Vcell´)を漏電部位の判別要素として記憶することにより、抵抗値Rでの電圧降下があっても、それに影響を受けることなく、漏電部位が何番目の電池セルであるかをより正確に判別することができる。
【0062】
[3]変形例
(1)上記各実施形態では、電位差測定部40のスイッチ41の一端を負側電源ラインNに接続した場合を例に説明したが、電位差測定部40のスイッチ41の一端を正側電源ラインPに接続した場合でも、漏電の有無および漏電部位がどこであるかを的確に検出することができる。
【0063】
この場合、漏電部位が正側電源ラインPであれば、電位差測定部40で測定される電位差V2が零となる(V2=零)。漏電部位が負側電源ラインNであれば、電位差測定部40で測定される電位差V2がバッテリ電源1の電圧Vbと同じ値となる(V2=Vb)。漏電部位が組電池2a〜2nのいずれかの電池セルであれば、電位差測定部40で測定される測定電位差V2がバッテリ電源1の電圧Vbより低くて零より高い値となる(Vb>V2>零)。漏電部位が何番目の電池セルであるかは、正側電源ラインPから数えた位置となる。
【0064】
(2)上記各実施形態では、漏電ありおよび車両の走行停止を条件に(ステップS6のYES)、電位差測定部40のスイッチ41をオン(電位差測定部40の動作を開始)する構成としたが、漏電あり、車両の走行停止、イグニッションスイッチ61のオフ操作の3つを条件に(ステップS6のYES)、電位差測定部40のスイッチ41をオンする構成としてもよい。
【0065】
イグニッションスイッチ61がオフ操作された時点でバッテリ電源1内の正側接点5および負側接点6が車両制御部60により開放されるので、バッテリ電源1の出力が遮断された状態で電位差測定部40の動作が始まる。
【0066】
車両が停止しても、イグニッションスイッチ61がオンしている間は、バッテリ電源1からDC/DCコンバータ12を介して負荷への電力供給が続くので、バッテリ電源1の電圧Vbに変動が生じる可能性があるが、イグニッションスイッチ61のオフ操作が条件として加わることにより、バッテリ電源1の電圧Vbが安定した状態で電位差V2を測定することができる。これにより、漏電部位をより的確に検出することができる。
【0067】
(3)上記各実施形態では、電位差V2と除算結果(=V2/Vcell´)あるいは電位差V2xと除算結果(=V2x/Vcell´)を漏電部位の判別要素として記憶し、実際の判別を作業員の判断に委ねる構成としたが、判別要素に基づく漏電部位の判別を漏電判定部50で自動的に行い、その判別結果をメモリ51に記憶する構成としてもよい。
【0068】
作業員は、メモリ51に記憶されている判別結果を読出すだけで、漏電部位を直接的に容易に認識することができる。考える必要がない。経験の浅い作業員であっても、漏電部位を的確に知ることができる。
【0069】
(4)上記各実施形態では、漏電部位の判別要素(V2/Vcell´あるいはV2x/Vcell´)として、電位差V2あるいはV2xを全てのセル電圧Vcellの平均値Vcell´で除算した結果を使用したが、バッテリ電源1の電圧Vbで電位差V2あるいはV2xを除算することでバッテリ電源1の電圧Vbに対する電位差V2あるいはV2xの割合を算出し(=V2/VbあるいはV2x/Vb)、この割合にバッテリ電源を構成する全セル数を積算することによっても漏電部位の判別要素を得ることができる。これにより、電池セル3a〜3nの個々の電圧Vcellを測定していないような車両に対しても、漏電部位の特定を行うことができる。
【0070】
(5)その他、上記実施形態および変形例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態および変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、書き換え、変更を行うことができる。これら実施形態や変形は、発明の範囲は要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。