(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第1実施形態]
<レーザプリンタの構成>
図1は、レーザプリンタ(以下、プリンタと略記する)1の概略的な構成を示すブロック図である。プリンタ1は、印刷部2、通信部3a、画像メモリ3b、操作部4、表示部5、及び電源システム100等を備えている。電源システム100は、電源部10と制御装置50とから構成される。電源部10は交流電源AC(
図2参照)から、印刷部2、通信部3a、画像メモリ3b、操作部4、表示部5、及び制御装置50等の各部に供給する電源電圧を生成し、各部へ供給する。尚、印刷部2の動作電圧は主に24Vであり、通信部3a、画像メモリ3b、及び制御装置50の動作電圧は主に3.3Vである。また、制御装置50には、印刷部2、通信部3a、画像メモリ3b、操作部4、及び表示部5等が電気的に接続される。
【0010】
印刷部2は、感光ドラム2a、帯電器2b、露光器2c、現像器2d、転写器2e、定着器2fなどを有する。露光器2cは帯電器2bにより帯電された感光ドラム2aの表面に静電潜像を形成する。現像器2dは、静電潜像にトナーを供給し、トナー像を形成する。転写器2eは、トナー像をシートに転写する。定着器2fはシートに転写されたトナーをシートに熱定着させる。このように、印刷部2はシートに画像を形成する。
【0011】
通信部3aはPC等の情報端末装置(不図示)との間で通信を行うものであり、情報端末装置から印刷指示や印刷データを受信する機能を担う。画像メモリ3bは、情報端末装置から受信した印刷データを一時記憶するものである。
【0012】
操作部4は、複数のボタンを有する。ユーザはこれらのボタンを押圧すること等により各種の操作を行うことが可能である。表示部5は液晶ディスプレイ等を有し、印刷等の設定画面や装置の動作状態等を液晶ディスプレイ等に表示させることが可能である。
【0013】
制御装置50は、ASIC(特定用途向けIC)60、ROM51、及びRAM52等を含む。ROM51には印刷部2の動作を実行するためのプログラム等が記憶されている。RAM52は制御装置50が各種の処理を実行するための主記憶装置として用いられる。
【0014】
通信部3aが情報端末装置(不図示)から印刷指示を受けて印刷データを受信すると、制御装置50は印刷部2を制御し、シートに印刷データに基づく画像を形成する印刷処理を実行する。
【0015】
ところで、プリンタ1は、動作モードとして通常モードとOFFモードとを有する。通常モードとは、電源部10が動作しており、印刷部2を含むプリンタ1の各部に電力が供給される状態である。通常モードでは、プリンタ1が印刷指示に応答して印刷処理を実行することができる。これに対し、OFFモードとは、電源部10の動作が停止しており、充電回路27(後述)によってASIC60の一部に電力が供給される状態である。このように、OFFモードでは電源部10の動作が停止しているので、プリンタ1が通常モードである時に比べて消費する電力量が少ない。
【0016】
<電源システムの構成>
次に、
図2、3を用いて、第1実施形態における電源システム100の構成を説明する。電源システム100は、電源部10、充電回路27、加熱異常検出回路81、過電圧異常検出回路82、IC制御回路70、ASIC60などを含む。電源部10は、制御IC22、スイッチング電源20、DC−DCコンバータ41、DC−DCコンバータ42等を含む。
【0017】
通常モードにおいて、電源部10は、+24Vの直流電圧(以下、「DC24V」と記載する)である出力電圧Vo1、+5Vの直流電圧(以下、「DC5V」と記載する)である出力電圧Vo2、+3.3Vの直流電圧(以下、「DC3.3V」と記載する)である出力電圧Vo3を出力する。
【0018】
スイッチング電源20は、スイッチS1、整流平滑回路21、電圧発生回路23、トランス24、トランジスタQ1、整流平滑回路25、及び電圧検出回路26等を含む。
【0019】
スイッチング電源20は、交流電源ACの交流電圧Vacを整流平滑化し、DC24Vを生成して出力電圧Vo1を出力する。また、スイッチング電源20の後段には、DC−DCコンバータ41及びDC−DCコンバータ42が接続されている。DC−DCコンバータ41は、DC24VからDC5Vを生成する。DC−DCコンバータ42は、DC24VからDC3.3Vを生成する。尚、通常モードにおいて、スイッチング電源20はDC24Vの電圧生成を行う。従って、DC−DCコンバータ41及びDC−DCコンバータ42も通常モードにおいて、それぞれDC5V、DC3.3Vの電圧生成を行う。尚、スイッチング電源20の二次側の負側端子は0V端子であり、0V端子と電圧検出回路26との間にGND端子が設けられている。GND端子は異常検出回路の別例(
図4)を説明するためのものである。尚、印刷部2は、スイッチング電源20が出力する直流電圧を利用してシートに画像を形成する。
【0020】
整流平滑回路21は、いわゆるコンデンサインプット型であり、スイッチS1を介して給電される交流電源ACの交流電圧Vacを整流するダイオードブリッジおよび整流後の電圧を平滑化するコンデンサを含む。整流平滑回路21の出力は、トランス24の一次コイルに印加される。尚、スイッチS1は、プリンタ1の電源オン・オフをユーザが指示するためのスイッチである。
【0021】
通常モードにおいて、制御IC22のポートOUTから出力されるPWM信号が、NMOSFETであるトランジスタQ1のゲート端子に入力される。これにより、トランジスタQ1はオン・オフ動作を繰り返す。そして、トランス24の一次側が発振して、トランス24の二次コイルに電圧が誘起される。
【0022】
また、トランス24の一次側には電圧発生回路23が設けられている。電圧発生回路23は、トランス24の一次側に設けられた補助コイルに誘起される電圧を整流平滑化して、制御IC22用の電源電圧Vccを生成する。
【0023】
整流平滑回路25はトランス24の二次コイルに誘起された電圧を整流平滑化してDC24Vを生成して出力する。
【0024】
電圧検出回路26は、フォトカプラPC1を含む。整流平滑回路25の出力電圧に応じて、フォトカプラPC1の発光ダイオードLED1が発光する。そして、発光ダイオードLED1の光を受光するフォトカプラPC1のフォトトランジスタPT1は、制御IC22のポートFBに接続されている。これにより、整流平滑回路25の出力電圧が制御IC22にフィードバックされる。
【0025】
制御IC22は、ポートVH,FB,OUT,Vcc,ENを有する。また、制御IC22は不揮発性のメモリ221を有する。制御IC22は、出力モードと停止モードを有し、各モードに対応してポートOUTからの出力を変更する。具体的には、出力モードにおいて、制御IC22はPWM信号を出力する。これにより、トランス24は駆動され、スイッチング電源20が動作し、電源部10から出力電圧Vo1〜Vo3が出力される。一方、停止モードにおいては、制御IC22はPWM信号を出力しない。これにより、スイッチング電源20は動作を停止し、電源部10から出力電圧Vo1〜Vo3は出力されない。即ち、プリンタ1の通常モードにおいて、制御IC22は出力モードで動作し、プリンタ1のOFFモードにおいて、制御IC22は停止モードで動作する。尚、ポートENにパルス信号Srに応じた動作制御信号Spc2が入力されると、出力モードであった場合は停止モードへ、あるいは停止モードであった場合は出力モードへ、制御IC22のモードが切替えられる。
【0026】
ASIC60(
図3)は、メインブロックB1と、モード制御ブロックB2とを有する。また、ASIC60は、メインブロックB1にポートP1を、モード制御ブロックB2にポートP2〜P5を有している。メインブロックB1は、プリンタ1が通常モードである間、ポートP1から出力電圧Vo1の給電を受けて、印刷部2を制御する。モード制御ブロックB2は、プリンタ1が通常モードおよびOFFモードである間、ポートP2から出力電圧Vo4(後述)の給電を受けて動作する。
【0027】
充電回路27は、ダイオードD4、コンデンサC4、抵抗R3〜R6、DC−DCコンバータ43、コンパレータCPなどを含む。DC−DCコンバータ43は、DC5VからDC3.3Vを生成し、DC3.3Vである出力電圧Vo4を出力する。ダイオードD4およびコンデンサC4は、出力電圧Vo2を出力するDC−DCコンバータ41の出力端子と0V端子との間に直列接続されている。ダイオードD4とコンデンサC4との接続点は、DC−DCコンバータ43の入力端子およびコンパレータCPの電源端子に接続されている。ダイオードD4とコンデンサC4との接続点と、0V端子間には抵抗R3、R4が直列接続されている。抵抗R3と抵抗R4との接続点は、コンパレータCPの非反転端子に接続されている。DC−DCコンバータ43の出力端子と0V端子との間に、抵抗R5、R6が直列接続されている。抵抗R5と抵抗R6との接続点は、コンパレータCPの反転端子に接続されている。コンパレータCPの出力端子はASIC60のポートP5に接続されている。DC−DCコンバータ43の出力端子はASIC60のポートP2に接続されている。
【0028】
充電回路27は制御IC22が停止モードである間も、ASIC60への給電を維持する。制御IC22が出力モードである間、コンデンサC4は出力電圧Vo2からの電力により充電される。制御IC22が停止モードに切替わると、コンデンサC4からDC−DCコンバータ43を介して、ASIC60に給電される。これにより、ASIC60は動作することができる。また、コンパレータCPは、ダイオードD4とコンデンサC4との接続点の電圧である充電電圧Vch1が、基準電圧を上回っている場合には、ハイレベルの検出信号をポートP5に出力し、充電電圧Vch1が基準電圧を下回っている場合には、ロウレベルの検出信号をポートP5に出力する。
【0029】
IC制御回路70は、スイッチS2、トランジスタQ2、Q3、抵抗R7、フォトカプラPC2の発光ダイオードLED2を含む。ASIC60のポートP2と0V端子間に、PNPバイポーラトランジスタであるトランジスタQ2、抵抗R7、発光ダイオードLED2が直列接続されている。トランジスタQ2のエミッタ端子はDC−DCコンバータ43の出力端子とASIC60のポートP2とを電気的に接続するラインに接続され、トランジスタQ2のコレクタ端子は抵抗R7の一端に接続されている。NPNバイポーラトランジスタであるトランジスタQ3のベース端子はポートP3に接続され、エミッタ端子は0V端子に接続され、コレクタ端子はトランジスタQ2のベース端子に接続されている。ポートP2、P4間にスイッチS2が接続されている。スイッチS2は、プリンタ1の通常モードとOFFモードとのモードの切り換えをユーザが指示するためのスイッチである。また、抵抗R7の他端と発光ダイオードLED2との接続点n1に加熱異常検出回路81および過電圧異常検出回路82が接続されている。
【0030】
モード制御ブロックB2からポートP3を介してトランジスタQ3のベース端子に瞬間的にハイレベルとなるパルス信号Srが入力されると、トランジスタQ3、Q2はオンし、フォトカプラPC2の発光ダイオードLED2は瞬間的に発光する。そして、発光ダイオードLED2の光を受光するフォトカプラPC2のフォトトランジスタPT2(
図2)は瞬間的にオンし、制御IC22のポートENの電圧は瞬間的に変化し、制御IC22のポートENにパルス形状の動作制御信号Spc2が入力される。
【0031】
加熱異常検出回路81は、サーミスタT1、抵抗R8、R9、ツェナーダイオードZD1、トランジスタQ4、コンデンサC1を含む。出力電圧Vo1が出力される端子と0V端子間に、サーミスタT1、抵抗R9が直列接続されている。ツェナーダイオードZD1のカソード端子は出力電圧Vo1が出力される端子に接続され、アノード端子はPNPバイポーラトランジスタであるトランジスタQ4のエミッタ端子に接続されている。トランジスタQ4のベース端子とエミッタ端子間にコンデンサC1が接続されている。また、トランジスタQ4のベース端子は、サーミスタT1と抵抗R9との接続点に接続されている。トランジスタQ4のコレクタ端子と接続点n1との間に抵抗R8が接続されている。
【0032】
サーミスタT1はPTCサーミスタであり、トランス24の近傍に配置されている。トランス24が異常加熱され、サーミスタT1付近の温度が所定値を超えるとサーミスタT1の抵抗値が増大し、トランジスタQ4がオンし、出力電圧Vo1が出力される端子から接続点n1に向かって電流が流れ、ハイレベルの異常信号So1が出力される。これにより、フォトカプラPC2の発光ダイオードLED2は発光し、制御IC22のポートENにハイレベルの動作制御信号Spc2が入力される。
【0033】
過電圧異常検出回路82は、抵抗R10、ツェナーダイオードZD2、ダイオードD1が、出力電圧Vo1が出力される端子と接続点n1との間に直列接続されて、構成されている。出力電圧Vo1が所定値を超えると、出力電圧Vo1から接続点n1に向かって電流が流れ、ハイレベルの異常信号So1が出力される。これにより、フォトカプラPC2の発光ダイオードLED2は発光し、制御IC22のポートENにハイレベルの動作制御信号Spc2が入力される。
【0034】
尚、IC制御回路70、加熱異常検出回路81、および過電圧異常検出回路82により、出力電圧Vo4のラインと出力電圧Vo1のラインとが接続される経路は形成されるが、トランジスタQ2により接続点n1から出力電圧Vo4への電流の逆流、トランジスタQ4およびダイオードD1により接続点n1から出力電圧Vo1への電流の逆流は防止される。
【0035】
上述したように、加熱異常検出回路81および過電圧異常検出回路82は、トランス24の過熱あるいは出力電圧Vo1の過電圧などのスイッチング電源20の異常を検出するとハイレベルの異常信号So1を出力する。ただし、異常信号So1のロウレベルからハイレベルへ遷移する遷移時間が両者で異なる。加熱異常検出回路81から出力される異常信号So1はトランス24の熱容量に依存するため、過電圧異常検出回路82から出力される異常信号So1よりもロウレベルからハイレベルへの遷移時間が長い。同様に、異常信号So1のハイレベルからロウレベルへ遷移する遷移時間は、加熱異常検出回路81から出力される異常信号So1の方が、過電圧異常検出回路82から出力される異常信号So1よりも長い。
【0036】
<電源システムの動作>
ASIC60は、プリンタ1の通常モードにおいて、印刷部2にて印刷処理が所定期間実行されなかった場合や、ユーザによりスイッチS2が操作された場合などに、プリンタ1をOFFモードへ切替えさせる、すなわち、制御IC22を停止モードにするため、ポートP3からパルス信号Srを出力する。また、ASIC60は、プリンタ1のOFFモードにおいて、ポートP5に入力される、コンパレータCPからの出力信号がロウレベルとなった場合や、ユーザによりスイッチS2が操作された場合などに、プリンタ1を通常モードへ切替えさせる、すなわち、制御IC22を出力モードにするため、パルス信号Srを出力する。尚、コンパレータCPからの出力信号がロウレベルとなった場合、プリンタ1を通常モードへ切替えさせるのは、次の理由による。この場合、すぐに制御IC22を出力モードへ切り替えないと、発光ダイオードLED2を発光させるための電力を供給するだけの電荷がコンデンサC4で不足し、出力モードへ切り替えられなくなるためである。ASIC60はパルス信号Srを出力し、すぐに制御IC22が出力モードへ切り替えられることで、プリンタ1は通常モードに復帰する。これにより、電源部10はコンデンサC4を充電することができる。ASIC60のメインブロックB1は、制御IC22が停止モードである間、出力電圧Vo3の給電が断たれるが、モード制御ブロックB2は出力電圧Vo4からの給電を受けて動作することができる。これにより、ASIC60は制御IC22が停止モードである間も、パルス信号Srを出力することができる。
【0037】
さて、パルス信号Srは、出力モードから停止モードへの切替えを指示する場合と、停止モードから出力モードへの切替えを指示する場合とで、パルス幅が異なる。詳しくは、停止モードへの切替えを指示するパルス信号Srのパルス幅の方が、出力モードへの切替えを指示するパルス信号Srのパルス幅よりも広い。従って、制御IC22は動作制御信号Spc2のパルス幅により、停止モードへの切替えか、出力モードへの切替えかを判別することができる。加熱異常検出回路81もしくは過電圧異常検出回路82から異常信号So1が出力された場合には、制御IC22のポートENにハイレベルの動作制御信号Spc2が入力される。ここで、異常信号So1は、加熱異常検出回路81もしくは過電圧異常検出回路82が電源部10の異常を検出している期間、ハイレベルとなる信号である。従って、制御IC22は、動作制御信号Spc2のハイレベルの期間が所定期間より長いと判断すると、動作制御信号Spc2は異常信号So1に基づく信号であると判断する。ここで、所定期間とは、停止モードへの切替えを指示するパルス信号Srのパルス幅と同等の期間である。さらに、加熱異常検出回路81から出力される異常信号So1と、加熱異常検出回路81から出力される異常信号So1とでは、レベルの遷移時間が異なる。そのため、制御IC22は、動作制御信号Spc2のレベルの遷移時間に基づいて、遷移時間が長ければ加熱異常検出回路81から出力された異常信号So1に基づく信号であると判断し、遷移時間が短ければ過電圧異常検出回路82から出力された異常信号So1に基づく信号であると判別することができる。
【0038】
ところで、スイッチング電源20の異常の種類によっては、ユーザの安全のため、スイッチング電源20の動作を禁止した方が良い場合がある。ここでは、加熱異常検出回路81が検出するスイッチング電源20の異常は、トランス24が故障している場合が想定されるため、制御IC22は電源部10の動作を禁止するものとする。一方、過電圧異常検出回路82が検出するスイッチング電源20の異常は、一時的な電圧上昇であり、制御IC22はスイッチング電源20の動作を禁止しないものとする。
【0039】
次に、制御IC22の動作について詳述する。制御IC22は所定時間毎にポートENの電圧を検出する。制御IC22は、ポートENの電圧がロウレベルより大きい電圧であると判断すると、つまり、動作制御信号Spc2が入力されたと判断すると、この判断をしたタイミングからハイレベルとなるまでの遷移時間を計測する。
【0040】
遷移時間が所定時間より長い場合には、制御IC22は、動作制御信号Spc2は、加熱異常検出回路81から出力された異常信号So1に基づくものであると判断できるため、制御IC22は停止モードとなる。また、制御IC22は、メモリ221に起動禁止フラグを書き込む。尚、制御IC22は、スイッチS1がオンされると、メモリ221に起動禁止フラグが書き込まれているか否かを判断し、起動禁止フラグが書き込まれていると判断すると、ポートOUTからPWM信号を出力せず、出力モードとならない。これにより、スイッチング電源20における出力電圧Vo1〜Vo3を出力する動作状態への復帰を禁止することができる。
【0041】
一方、遷移時間が所定時間より短い場合には、ハイレベルの継続時間を計測する。ポートENの電圧がハイレベルとなったタイミングからハイレベルでなくなるまでの時間が、出力モードへの切替えを指示するパルス信号Srのパルス幅と同等の時間であった場合には、制御IC22は、動作制御信号Spc2が出力モードへの切替えを指示するパルス信号Srに基づく信号であると判断できるため、出力モードとなる。一方、ポートENの電圧がハイレベルとなったタイミングから、出力モードへの切替えを指示するパルス信号Srのパルス幅と同等の時間が経過してもハイレベルのままであった場合には、制御IC22は停止モードとなる。尚、この場合には、ASIC60から停止モードへの切替えを指示するパルス信号Srが出力された場合と、過電圧異常検出回路82から異常信号So1が出力された場合とがある。停止モードへの切替えを指示するパルス信号Srのパルス幅は、出力モードへの切替えを指示するパルス信号Srのパルス幅よりも広いため、ハイレベルの継続時間が出力モードへの切替えを指示するパルス信号Srのパルス幅と同等の時間より長い場合には、動作制御信号Spc2が異常信号So1に基づくものか停止モードへの切替えを指示するパルス信号Srに基づくものかに関わらず、スイッチング電源20の動作を停止したほうがよいため、制御IC22は停止モードとなる。
【0042】
ここで、プリンタ1は画像形成装置の一例である。印刷部2は画像形成部の一例である。通常モードは動作状態の一例であり、OFFモードは停止状態の一例である。また、ASIC60は制御回路の一例であり、加熱異常検出回路81および過電圧異常検出回路82は異常検出回路の一例であり、IC制御回路70は動作制御部の一例であり、制御IC22は電源制御回路の一例である。また、パルス信号Srは切替信号の一例であり、異常信号So1は異常信号の一例であり、パルス信号Srに基づく動作制御信号Spc2は、動作制御信号および第1動作制御信号の一例であり、異常信号So1に基づく動作制御信号Spc2は、動作制御信号および第2動作制御信号の一例である。 また、出力電圧Vo1は直流電圧の一例である。また、トランジスタQ4はスイッチング素子の一例である。
【0043】
以上、上記した第1実施形態によれば、以下の効果を奏する。
小さな回路規模で、スイッチング電源20の異常を検出できる電源システム100を提供することができる。例えば、スイッチング電源20に加熱異常検出回路81を備える構成の場合、加熱異常検出回路81の異常信号So1を、ASIC60からのパルス信号Srとは別の経路で、制御IC22に伝達することが考えられる。この場合、例えば、加熱異常検出回路81の異常信号So1を制御IC22へ伝達するためのフォトカプラ、当該フォトカプラからの動作制御信号Spc2の入力を受付ける制御IC22のポートが、ASIC60からのパルス信号Srを制御IC22へ伝達するためのフォトカプラ、当該フォトカプラからの動作制御信号Spc2の入力を受付ける制御IC22のポートとは別に必要となる。一方、第1実施形態では、IC制御回路70が、パルス信号Srおよび異常信号So1をフォトカプラPC2によって動作制御信号Spc2として制御ICへ伝達し、動作制御信号Spc2を制御IC22のポートENに入力する構成となっている。これにより、小さな回路規模でスイッチング電源20の異常を検出できる電源システム100とすることができる。
【0044】
また、異常信号So1は、加熱異常検出回路81もしくは過電圧異常検出回路82が電源部10の異常を検出している期間、ハイレベルとなる信号である。一方、パルス信号Srは予め決められたパルス幅を有する信号である。異常信号So1とパルス信号Srとでは、ハイレベルの期間が異なるため、制御IC22は入力される動作制御信号Spc2の波形に基づいて、動作制御信号Spc2が異常信号So1およびパルス信号Srのどちらの信号に基づくものであるかを判別し、動作モードの切替えを行うことができる。
【0045】
また、加熱異常検出回路81および過電圧異常検出回路82はスイッチング電源20が生成した出力電圧Vo1から異常信号So1を生成する。これにより、スイッチング電源20の異常を検出することができる。また、スイッチング電源20が動作を停止すると、異常信号So1に応じたハイレベルであった動作制御信号Spc2がロウレベルに遷移するため、制御IC22は、スイッチング電源20が動作を停止したと判断することができる。
【0046】
また、パルス信号Srをパルス信号とすることにより、例えば、出力モードへの切替えを指示する場合にはハイレベル、停止モードへの切替えを指示する場合にはロウレベルとするなどの、2値の電圧レベルで切替えの指示を行う信号とするよりも、ハイレベルの期間が限定されることにより省電力とすることができる。また、異常信号So1は、加熱異常検出回路81もしくは過電圧異常検出回路82が電源部10の異常を検出していない期間ロウレベルとなる信号であり、異常を検出している期間ハイレベルとなる信号である。これにより、異常信号So1が出力されている期間、パルス信号Srの入力の有無によらず、接続点n1の電圧はハイレベルとなるため、IC制御回路70およびフォトカプラPC2は、パルス信号Srよりも異常信号So1が優先された動作制御信号Spc2を出力することができる。また、制御IC22は、動作制御信号Spc2のハイレベルの期間が、パルス信号Srのパルス幅よりも長く継続している場合、電源部10の異常が継続していると判断することができる。
【0047】
また、加熱異常検出回路81から出力される異常信号So1と、過電圧異常検出回路82から出力される異常信号So1とでは、ロウレベルとハイレベルとの遷移時間が異なり、サーミスタT1を有する加熱異常検出回路81から出力される異常信号So1の方が長い。これにより、制御IC22は、動作制御信号Spc2の遷移時間に基づいて、加熱異常検出回路81および過電圧異常検出回路82のどちらから異常信号So1が出力されているかを判別することができる。加熱異常検出回路81から出力された異常信号So1に基づく動作制御信号Spc2が入力されたと判断した場合には、制御IC22はメモリ221に起動禁止フラグを書き込み、出力モードでの動作を行わない。これにより、例えば、スイッチング電源20を動作させるのが安全ではない場合、一旦遮断された、スイッチング電源20への交流電源ACの給電が再開された場合であっても、スイッチング電源20の直流電圧を生成する動作を禁止することができる。
【0048】
[異常検出回路の別例]
第1実施形態では、異常検出回路の一例として、加熱異常検出回路81および過電圧異常検出回路82を示したが、異常検出回路として
図4に示す過電流異常検出回路83を用いても良い。過電流異常検出回路83は、抵抗R21〜R30、アンプAMP21、コンパレータCP21、ツェナーダイオードZD21、ZD22、トランジスタQ21を含む。抵抗R21は0V端子とGND端子(
図2)との間に接続され、0V端子とGND端子との間を流れる電流を電圧として検出する。アンプAMP21の非反転端子と0V端子間に抵抗R22が接続されている。アンプAMP21の反転端子とGND端子間に抵抗R23が接続され、アンプAMP21の反転端子と出力端子間に抵抗R24が接続されている。アンプAMP21の出力端子はコンパレータCP21の反転端子と接続されている。出力電圧Vo1が出力される端子とGND端子間に抵抗R26、R27が直列接続され、抵抗R26と抵抗R27との接続点が抵抗R25を介してコンパレータCP21の非反転端子に接続されている。コンパレータCP21の出力端子が抵抗R28を介して、ツェナーダイオードZD21のアノード端子に接続されている。PNPバイポーラトランジスタであるトランジスタQ21のエミッタ端子は出力電圧Vo1に接続され、ベース端子はツェナーダイオードZD21のカソード端子に接続され、コレクタ端子はツェナーダイオードZD22のカソード端子に接続されている。出力電圧Vo1が出力される端子とトランジスタQ21のベース端子との間に、抵抗R29が接続されている。ツェナーダイオードZD22のアノード端子が抵抗R30を介して接続点n1(
図3)に接続される。
【0049】
アンプAMP21は、非反転端子に入力されるGND端子に流れる電流値に応じた電圧と、GND端子の電圧との差に応じた電圧を出力する。コンパレータCP21は、アンプAMP21の出力電圧が、非反転端子に入力される基準電圧よりも高い場合にはロウレベルの信号を出力し、非反転端子に入力される基準電圧よりも低い場合にはハイレベルの信号を出力する。GND端子に流れる電流値が所定値よりも大きくなると、コンパレータCP21からロウレベルの信号が出力され、ツェナーダイオードZD21に電流が流れ、トランジスタQ21がオンし、出力電圧Vo1から接続点n1に電流が流れ、ハイレベルの異常信号が出力される。これにより、フォトカプラPC2の発光ダイオードLED2は発光し、制御IC22のポートENにハイレベルの動作制御信号Spc2が入力される。尚、トランジスタQ21により、接続点n1から出力電圧Vo1への電流の逆流は防止される。
【0050】
尚、電源システムが過電流異常検出回路83を備える場合、
図3に示す、加熱異常検出回路81および過電圧異常検出回路82に加えて、過電流異常検出回路83を備える構成としても良い。また、第1実施形態の構成に限定されず、電源システムが加熱異常検出回路81、過電圧異常検出回路82、および過電流異常検出回路83の少なくとも1つを備える構成としても良い。
【0051】
[過電圧異常検出回路の別例]
第1実施形態では、異常信号So1がハイレベルになるまでの遷移時間が加熱異常検出回路81と過電圧異常検出回路82とで異なり、制御IC22は動作制御信号Spc2がハイレベルになるまでの遷移時間の違いにより動作制御信号Spc2がどちらの異常検出回路から出力された異常信号So1に基づくものかを判別すると説明した。また、過電圧異常検出回路82から出力される異常信号So1の遷移時間は、加熱異常検出回路81から出力される異常信号So1の遷移時間よりも短いと説明した。
図5に示す、過電圧異常検出回路82の別例である、過電圧異常検出回路182の構成とすると、異常信号So1の遷移時間を長くすることができる。過電圧異常検出回路182は、抵抗R40、ツェナーダイオードZD40、ダイオードD40が、出力電圧Vo1が出力される端子と接続点n1との間に直列接続されている構成に加え、コンデンサC40がツェナーダイオードZD40とダイオードD40との接続点と、0V端子間に接続されている。コンデンサC40により、出力電圧Vo1が所定値を超えることにより出力される異常信号So1が遅延される。この構成は、上記のように、電源システム100が3つの異常検出回路を備える構成の場合に、3つの異常検出回路を加熱異常検出回路81、過電圧異常検出回路182、過電流異常検出回路83とし、コンデンサC40の容量値を、過電圧異常検出回路182から出力される異常信号So1の遷移時間が、加熱異常検出回路81から出力される異常信号So1の遷移時間と、過電流異常検出回路83から出力される異常信号So1の遷移時間との間となるように設定すれば、遷移時間により、制御IC22が3者を判別することができて有効となる。また、電源システム100が過電圧異常検出回路182および過電流異常検出回路83を備える構成の場合、制御IC22が両者を判別することができて有効となる。尚、遷移時間を遅延されるためコンデンサを追加する構成は、過電流異常検出回路83にも適用することができる。例えば、ツェナーダイオードZD40とダイオードD40との接続点と、0V端子間にコンデンサを接続する構成とすると良い。
【0052】
[第2実施形態]
第1実施形態では、スイッチング電源20の出力電圧Vo1〜Vo3の出力を停止した停止状態から、出力電圧Vo1〜Vo3を出力する動作状態への復帰を禁止する例として、メモリ221に起動禁止フラグを書き込む構成を説明した。第2実施形態では、動作状態への復帰を禁止する別の構成について説明する。
【0053】
第2実施形態に係る電源部11は、
図6に示すように、電源部10(
図2)の構成に加えて、ヒューズF1、トランジスタQ50を備えており、制御IC22に替えて制御IC122を備えている。制御IC122は、制御IC22の構成に加え、ポートINHを有している。ヒューズF1は、スイッチS1と整流平滑回路21のダイオードブリッジのACの入力端子との間に接続されている。NMOSFETであるトランジスタQ50のドレイン端子は整流平滑回路21の出力端子に接続されており、ソース端子は、ダイオードブリッジの負側端子に接続されており、ゲート端子は制御IC122のポートINHに接続されている。その他の構成は、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0054】
制御IC122は、第1実施形態と同様に、ポートENに入力される動作制御信号Spc2がハイレベルになるまでの遷移時間が所定時間より長い場合には、動作制御信号Spc2は、加熱異常検出回路81から出力された異常信号So1に基づくものであるため、制御IC22は停止モードへ切替える。また、ポートINHから、ハイレベルの信号を出力して、トランジスタQ50をオンさせる。これにより、ヒューズF1は大電流が流れることにより溶断し、電源部11への交流電源ACの給電が断たれ、スイッチング電源20の動作状態への復帰が禁止される。これにより、第1実施形態と同様に、例えば、スイッチング電源20を動作させるのが安全ではない場合、スイッチング電源20の直流電圧を生成する動作を禁止することができる。
【0055】
ここで、制御IC122は電源制御回路の一例である。
【0056】
[第3実施形態]
<電源システムの構成>
次に、第3実施形態に係る電源システムについて、
図7を用いて説明する。第3実施形態に係る電源システムは、第1実施形態に係るIC制御回路70に替えてIC制御回路71を備え、第1実施形態に係るASIC60に替えてASIC61を備える。また、第3実施形態に係る電源システムは、第1実施形態に係る電源部10とは別に、電源部10と同様の構成の、DC3.3Vである出力電圧Vdを出力する電源部を備える。その他の第1実施形態と同様の構成については、同じ符号を付し、説明を適宜省略する。
【0057】
ASIC61は、メインブロックB11、モード制御ブロックB12、および報知ブロックB13を有する。また、ASIC61は、メインブロックB11にポートP1を、モード制御ブロックB12にポートP2〜P6を、報知ブロックB13にポートP7を有している。メインブロックB11は、プリンタ1が通常モードである間、ポートP1から出力電圧Vo3の給電を受けて、印刷部2を制御する。モード制御ブロックB12は、プリンタ1が通常モードおよびOFFモードである間、ポートP2から出力電圧Vo4の給電を受けて動作する。報知ブロックB13は、ポートP7から出力電圧Vdの給電を受けて、表示部5を制御する。
【0058】
IC制御回路71は、第1実施形態に係るIC制御回路70の構成に加え、トランジスタQ2のコレクタ端子と抵抗R7との接続点と、ASIC61のポートP6とを接続する接続線を有している。これにより、接続点n1がハイレベルに遷移するのに応じて、ASIC61には信号So2がポートP6から入力される。ASIC61は、ポートP3からパルス信号Srを出力しておらず、信号So2が入力された場合には、異常信号So1が出力されていると判断する。さらに、信号So2がハイレベルになるまでの遷移時間に基づいて、ASIC61は、加熱異常検出回路81から異常信号So1が出力されているのか、過電圧異常検出回路82から異常信号So1が出力されているのを判別する。
【0059】
<電源システムの動作>
次に、
図8を用いて第3実施形態に係る電源システムの動作について説明する。
図8の「Sr」はASIC61がポートP3から出力するパルス信号Srであり、「So1」は加熱異常検出回路81もしくは過電圧異常検出回路82から出力される異常信号So1であり、「Spc2」は、制御IC22のポートENに入力される動作制御信号Spc2である。また、「電圧出力」は、電源部10から出力電圧Vo1〜Vo3が出力される期間をハイレベルで示し、電源部10から出力電圧Vo1〜Vo3が出力されない期間をロウレベルで示している。停止モードから出力モードへの切替えを指示する場合のパルス信号Srのパルス幅はパルス幅PW1である。出力モードから停止モードへの切替えを指示する場合のパルス信号Srのパルス幅は、パルス幅PW1より広いパルス幅PW2である。
【0060】
時刻t1で、ASIC61から停止モードから出力モードへの切替えを指示するパルス信号Srの出力が開始されると、制御IC22への動作制御信号Spc2の入力が開始される。時刻t1からポートENの電圧がロウレベルからハイレベルまでの遷移時間が所定時間よりも短く、時刻t1からポートENの電圧がハイレベルからロウレベルに遷移する時刻t2までの時間がパルス幅PW1と同等の時間であった場合、動作制御信号Spc2は出力モードへの切替えを指示するパルス信号Srに基づくものであると判断し、制御IC22はポートOUTからPWM信号の出力を開始する。これにより、スイッチング電源20が動作し、電源部10から出力電圧Vo1〜Vo3の出力が開始される。尚、所定時間とは、加熱異常検出回路81から出力される異常信号So1がハイレベルになるまでの遷移時間である。次に、時刻t3で、ASIC61から出力モードから停止モードへの切替えを指示するパルス信号Srの出力が開始されると、制御IC22に動作制御信号Spc2の入力が開始される。時刻t3からポートENの電圧がロウレベルからハイレベルまでの遷移時間が所定時間よりも短く、時刻t3からパルス幅PW1と同等の時間経過後の時刻t4においても、ポートENの電圧はハイレベルのままであるため、動作制御信号Spc2は出力モードへの切替えを指示するパルス信号Srに基づくものでは無いと判断し、制御IC22はポートOUTからPWM信号の出力を停止する。これにより、スイッチング電源20の動作が停止し、電源部10から出力電圧Vo1〜Vo3の出力が停止される。同様に、時刻t5で、ASIC61から出力モードへの切替えを指示するパルス信号Srが出力されると、時刻t5からパルス幅PW1と同等の時間経過後の時刻t6で、電源部10から出力電圧Vo1〜Vo3の出力が開始される。
【0061】
次に、時刻t7で、過電圧異常検出回路82から異常信号So1の出力が開始されたものとする。過電圧異常検出回路82から異常信号So1の出力が開始されると、制御IC22への動作制御信号Spc2の入力が開始される。制御IC22は、ポートENの電圧がロウレベルからハイレベルに遷移した時刻t7からポートENの電圧がロウレベルからハイレベルまでの遷移時間が所定時間よりも短く、時刻t7から、パルス幅PW1と同等の期間経過後の時刻t8で、ポートENの電圧がハイレベルのままであるのを確認すると、動作制御信号Spc2は出力モードへの切替えを指示する信号では無いと判断し、ポートOUTからPWM信号の出力を停止する。次に、時刻t7からパルス幅PW2と同等の時間経過後の時刻t9で、ポートENの電圧がハイレベルのままであるのを確認すると、ハイレベルの期間がパルス幅PW2よりも長いため、制御IC22は過電圧異常検出回路82から異常信号So1が出力されていると判断し、メモリ221への起動禁止フラグの書き込みは行わない。
【0062】
また、ASIC61のポートP6には、動作制御信号Spc2と同様の波形を有する信号である、信号So2が入力される。ASIC61は、時刻t7で、パルス信号Srを出力していないにもかかわらず、信号So2の入力が開始されたため、異常信号So1が出力されていると判断する。また、信号So2のロウレベルからハイレベルへの遷移時間が、所定時間よりも短いため、異常信号So1は過電圧異常検出回路82から出力されていると判断し、スイッチング電源20の動作を禁止する必要が無いため、時刻t9から、周期PEで、出力モードへの切替えを示すパルス信号Srの出力を繰り返す。ここで、所定時間とは、加熱異常検出回路81から出力される異常信号So1がハイレベルになるまでの遷移時間である。尚、過電圧異常検出回路82から異常信号So1が出力されているため、出力モードへの切替えを示すパルス信号Srは異常信号So1にマスクされ、出力モードへの切替えを示すパルス信号Srの出力に関わらず、動作制御信号Spc2は過電圧異常検出回路82からの異常信号So1に基づくハイレベルの信号となる。
【0063】
次に、時刻t10で、出力電圧Vo1が所定値を下回り、過電圧異常検出回路82からの異常信号So1の出力が終了されたものとする。これにより、時刻t11で、パルス信号Srに基づく動作制御信号Spc2が、制御IC22に入力され、時刻t12で電源部10は出力電圧Vo1〜Vo3の出力を開始する。
【0064】
次に、時刻t13で、加熱異常検出回路81から異常信号So1の出力が開始されたものとする。制御IC22は、ポートENの電圧がロウレベルから上昇し、時刻t14でハイレベルとなると、時刻t13から時刻t14までの遷移時間が所定時間以上であるため、動作制御信号Spc2は加熱異常検出回路81からの異常信号So1に基づくものであると判断し、ポートOUTからPWM信号の出力を停止する。また、制御IC22はメモリ221へ起動禁止フラグを書き込む。AISC61は、時刻t13から時刻t14までの信号So2の遷移時間が所定時間以上であるため、加熱異常検出回路81から異常信号So1が出力されていると判断し、以降、パルス信号Srの出力を行わない。これにより、異常信号So1の出力が停止される時刻t15、t16以降、電源部10の停止状態が維持される。
【0065】
また、ASIC61の報知ブロックB13は、モード制御ブロックB12が過電圧異常検出回路82から異常信号So1が出力されていると判断することに応じて、表示部5へ報知のための制御信号を出力し、液晶ディスプレイにエラーメッセージを表示させるなどして、スイッチング電源20の異常により、印刷処理を実行できないことなどを報知させる。また、ASIC61の報知ブロックB13は、モード制御ブロックB12が加熱異常検出回路81から異常信号So1が出力されていると判断すると、スイッチング電源20が故障により停止しており修理を要することなどを同様に報知させる。
【0066】
ここで、ASIC61は制御回路の一例であり、報知のための制御信号は報知信号の一例である。
【0067】
以上、上記した第3実施形態によれば、以下の効果を奏する。
加熱異常検出回路81もしくは過電圧異常検出回路82が異常信号So1を出力すると、ポートP6に信号So2が入力されるため、ASIC61は、スイッチング電源20が異常であると判断することができる。また、ASIC61は、異常であると判断すると、表示部5へ制御信号を出力して、表示による報知を実行させる。これにより、ユーザは、プリンタ1に異常が生じていることを知ることができる。
【0068】
また、ASIC61は、異常信号So1は、電源部10の動作を禁止する必要が無い過電圧異常検出回路82から出力されている信号であると判断すると、周期PEで、出力モードへの切替えを示すパルス信号Srを出力する。これにより、過電圧異常検出回路82から異常信号So1の出力が停止されるに応じて、スイッチング電源20は動作を再開することができる。
【0069】
[第4実施形態]
次に、第4実施形態に係る電源システムについて、
図9を用いて説明する。第4実施形態に係る電源システムは、第1実施形態に係るASIC60に替えてASIC160を備える。また、第4実施形態に係る電源部12は、第1実施形態に係る電源部10の構成に加え、監視回路91を有する。ASIC160は、メインブロックB21、モード制御ブロックB22を有し、メインブロックB21にポートP1を、モード制御ブロックB22にポートP2〜P5,P8を有している。メインブロックB21およびモード制御ブロックB22は、夫々、第1実施形態に係るメインブロックB1およびモード制御ブロックB2と同様の機能を有している。その他の第1実施形態と同様の構成については、同じ符号を付し、説明を適宜省略する。尚、
図9では、制御IC22、DCコンバータ41,42、充電回路27、加熱異常検出回路81、過電圧異常検出回路82、IC制御回路70の記載を省略している。
【0070】
監視回路91は、交流電源ACの交流電圧Vacが電源部12に入力されているか否かを監視する。監視回路91は、フォトカプラPC3、抵抗R60〜R62、コンデンサC60、トランジスタQ60を含む。整流平滑回路21のダイオードブリッジの正側端子と負側端子間にフォトカプラPC3の発光ダイオードが接続されている。出力電圧Vo1が出力される端子と0V端子との間に、抵抗R60とフォトカプラPC3のフォトトランジスタが直列接続されている。抵抗R60とフォトカプラPC3のフォトトランジスタとの接続点は、抵抗R61を介して、NPNバイポーラトランジスタであるトランジスタQ60のベース端子に接続されている。トランジスタQ60のコレクタ端子はASIC160のポートP7に接続され、エミッタ端子は0V端子に接続されている。トランジスタQ60のベース端子とエミッタ端子との間には、抵抗R62およびコンデンサC60が接続されている。
【0071】
交流電圧Vacが電源部12に入力されている場合には、フォトカプラPC3の発光ダイオードおよびフォトトランジスタがオンし、トランジスタQ60がオフし、ポートP8の電圧は変動しない。交流電圧Vacの電源部12への入力が断たれると、フォトカプラPC3の発光ダイオードおよびフォトトランジスタがオフし、出力電圧Vo1の電圧が低下するまでの期間、トランジスタQ60がオンし、ポートP7の電圧が変動する。
【0072】
ASIC160のモード制御ブロックB22は、制御IC22の出力モードである間、所定時間毎に、ポートP8,P2の電圧値を検出する。ポートP8の電圧が変動せず、パルス信号SrをポートP3から出力していないにもかかわらず、ポートP2に入力される出力電圧Vo4の電圧値が所定値よりも低下した場合には、第3実施形態と同様に、周期PEで、出力モードへの切替えを示すパルス信号Srの出力を開始する。この場合とは、交流電圧Vacが電源部12に入力されているのにもかかわらず、出力電圧Vo4の電圧が低下した場合であり、スイッチング電源20に不具合が生じた場合である。そこで、ASIC160は出力モードへの切替えを示すパルス信号Srを出力する。スイッチング電源20の制御IC22(
図2参照)は、出力モードへの切替えを示すパルス信号Srが入力されると、再起動を行う。これにより、スイッチング電源20に不具合が生じた場合にも、制御IC22の再起動を行うことができる。
【0073】
ここで、ASIC160は制御回路の一例である。
【0074】
以上、上記した第4実施形態によれば、以下の効果を奏する。
ポートP8の電圧が変動せず、パルス信号SrをポートP3から出力していないにもかかわらず、ポートP2に入力される出力電圧Vo4の電圧値が所定値よりも低下した場合、ASIC160は、出力モードへの切替えを示すパルス信号Srを出力する。ポートP8の電圧が変動しないことは、スイッチング電源20への交流電圧Vacの入力があることを示す。パルス信号SrをポートP3から出力していないにもかかわらず、ポートP2に入力される出力電圧Vo4の電圧値が所定値よりも低下したとは、パルス信号Srに起因せずに出力電圧Vo4の電圧値が低下したことを示す。この場合、ASIC160は、出力モードへの切替えを示すパルス信号Srを繰り返し出力する。これにより、スイッチング電源20に不具合が生じた場合に、スイッチング電源20の再起動を行うことができる。
【0075】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内での種々の改良、変更が可能であることは言うまでもない。
[切替信号の別例]
第1実施形態において、切替信号の一例として、停止モードへの切替えを指示する場合と、出力モードへの切替えを指示する場合とでパルス幅が異なるパルス信号Srを用いる構成について説明した。切替信号の波形はこれに限定されない。切替信号を、停止モードへの切替えを指示する場合と、出力モードへの切替えを指示する場合とで、同じパルス幅のパルス信号としても良い。この場合、制御IC22は、切替信号に基づくパルス信号がポートENから入力される度に、停止モードと出力モードとでトグルにモードを切替える構成とすると良い。あるいは、切替信号を、停止モードへの切替えを指示する場合と、出力モードへの切替えを指示する場合とで、同じパルス幅のパルスの数が異なるパルス信号としても良い。例えば、停止モードへの切替えを指示する場合には、所定時間におけるパルス数を1として、出力モードへの切替えを指示する場合には、所定時間におけるパルス数を2とする。この場合、制御IC22は、切替信号に基づくパルス信号がポートENから入力されると、パルス数に応じて停止モードと出力モードとでモードを切替える構成とすると良い。上記した波形の切替信号の場合にも、異常信号とはパルス幅が異なるため、制御IC22はポートENに入力されるパルス信号が、切替信号と、異常信号との何れかに基づくものを判別することができる。また、上記の切替信号の別例は、第4実施形態にも適用することができる。
【0076】
さらに、第1実施形態を含め、上記した3つの形態の切替信号において、パルス数を複数にする構成にすると良い。上記では、異常信号So1は、加熱異常検出回路81などが異常を検出している期間、ハイレベルとなる信号であるため、ハイレベルの動作制御信号Spc2が継続して入力される時間の比較により、パルス信号Srと異常信号So1とは区別されると説明した。しかしながら、加熱異常検出回路81などが異常を検出している期間が短い場合には、異常信号So1のパルス幅がパルス信号Srのパルス幅と同程度となり、ハイレベルの動作制御信号Spc2が継続して入力される時間では区別できなくなるおそれがある。そこで、パルス信号Srのパルス数を複数とすれば、制御IC22は入力される動作制御信号Spc2が、異常信号So1とパルス信号Srとの何れかに応じた信号であるかを確実に区別することができるようになる。具体的には、第1実施形態のパルス信号Srでは、停止モードへの切替えを指示する場合、出力モードへの切替えを指示する場合の各々において、パスル数を例えば2つなどにすると良い。トグルにモードを切替える構成にも、同様に、パスル数を例えば2つなどにすると良い。また、停止モードへの切替えを指示する場合と、出力モードへの切替えを指示する場合とで、同じパルス幅のパルスの数を異なる構成の場合には、例えば、停止モードへの切替えを指示する場合には、所定時間におけるパルス数を2として、出力モードへの切替えを指示する場合には、所定時間におけるパルス数を4とすると良い。この構成によれば、異常信号So1は、加熱異常検出回路もしくは過電圧異常検出回路が電源部の異常を検出している期間、ハイレベルとなる信号である。一方、パルス信号Srは予め決められたパルス数を有する信号である。異常信号So1とパルス信号Srとでは、所定期間におけるパルス数が異なるため、制御IC22は入力される動作制御信号Spc2の波形に基づいて、動作制御信号Spc2が異常信号So1およびパルス信号Srのどちらの信号に基づくものであるかを判別し、動作モードの切替えを行うことができる。また、この構成によれば、制御IC22は、ポートENに入力される動作制御信号Spc2の所定時間におけるパルス数が複数でない場合には、異常信号So1に応じた信号であると判断することができる。パルス幅が狭い異常信号So1に応じた信号が入力された場合にも、確実に制御IC22を停止モードとすることができる。
【0077】
また、第1実施形態では、異常信号So1が過電圧異常検出回路82から出力された場合には、スイッチング電源20の動作を禁止しないと説明したが、これに限定されず、禁止する構成としても良い。
【0078】
また、第3実施形態では、表示部5の液晶ディスプレイにて報知すると説明したが、これに限定されず、例えばアラームなどによる音での表示、例えばランプなどによる報知などとしても良い。あるいは、例えば、制御装置50が不揮発性の記憶部を備え、記憶部が記憶するログに、異常が発生したエラーログを残す構成としても良い。
【0079】
また、パルス信号Sr、異常信号So1、および動作制御信号Spc2を、上記とは論理が逆の信号としても良い。
図8に示すように、パルス信号Sr、異常信号So1、および動作制御信号Spc2の波形は、パルス信号Sr、異常信号So1、および動作制御信号Spc2の出力されている期間、ハイレベルとなる信号であると説明したが、これに限定されない。これとは逆に、パルス信号Sr、異常信号So1、および動作制御信号Spc2を、パルス信号Sr、異常信号So1、および動作制御信号Spc2の出力されていない期間、ハイレベルであり、パルス信号Sr、異常信号So1、および動作制御信号Spc2の出力されている期間、ロウレベルとなる波形を有する信号としても良い。
【0080】
また、例えば第1実施形態では、制御装置50がASIC60を備える場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。制御装置はASICに替えてCPUを備える構成としても良く、CPUとASICとの組み合わせによって構成されても良い。
【0081】
また、例えば第1実施形態では、電源システム100をレーザプリンタに適用した例を説明したが、これに限定されるものではなく、例えばインクジェットプリンタ等のプリンタ、スキャナ機能、コピー機能、ファクシミリ機能等を備える所謂複合機などにも適応することができる。