特許第6772731号(P6772731)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6772731
(24)【登録日】2020年10月5日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】熱交換器の製造方法
(51)【国際特許分類】
   F28F 9/18 20060101AFI20201012BHJP
   F28F 1/02 20060101ALI20201012BHJP
   F28F 1/32 20060101ALI20201012BHJP
   F28D 1/053 20060101ALI20201012BHJP
   F25B 39/00 20060101ALI20201012BHJP
   B21D 53/08 20060101ALI20201012BHJP
   B23K 1/00 20060101ALI20201012BHJP
   B23K 31/02 20060101ALI20201012BHJP
   B23K 101/14 20060101ALN20201012BHJP
   B23K 103/10 20060101ALN20201012BHJP
【FI】
   F28F9/18
   F28F1/02 B
   F28F1/32 D
   F28D1/053 A
   F25B39/00 C
   B21D53/08 C
   B23K1/00 330K
   B23K31/02 310J
   B23K101:14
   B23K103:10
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-194491(P2016-194491)
(22)【出願日】2016年9月30日
(65)【公開番号】特開2018-54272(P2018-54272A)
(43)【公開日】2018年4月5日
【審査請求日】2019年7月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】菊野 智教
(72)【発明者】
【氏名】木戸 照雄
(72)【発明者】
【氏名】奥野 文
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 俊
【審査官】 吉澤 伸幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−339587(JP,A)
【文献】 特許第5140051(JP,B2)
【文献】 特開2009−277786(JP,A)
【文献】 特開昭63−165069(JP,A)
【文献】 特開2016−031158(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/161795(WO,A1)
【文献】 国際公開第2018/003121(WO,A1)
【文献】 特開2016−130603(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 9/18
B21D 53/08
B23K 1/00
B23K 31/02
F25B 39/00
F28D 1/053
F28F 1/02
F28F 1/32
B23K 101/14
B23K 103/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウムまたはアルミニウム合金製のフィン(12)と、アルミニウムまたはアルミニウム合金製の多穴管(11)を複数と、複数の前記多穴管が接続されるアルミニウムまたはアルミニウム合金製の共通空間形成部材(13、14)を有する熱交換器(3)の製造方法であって、
前記フィンと前記多穴管とを接着剤により接合する第1工程と、
前記第1工程の後に、前記フィンと前記多穴管との接合部分の温度上昇を抑制させる処理を行いながら、前記多穴管を前記共通空間形成部材にロウ付けまたは溶接する第2工程と、
を備え
前記第1工程では、前記接着剤を硬化させるために加熱を行い、
前記第2工程では、前記多穴管と前記共通空間形成部材との前記ロウ付箇所または前記溶接の箇所の温度が、前記接着剤を硬化させるための加熱により温度上昇した前記接着剤の温度よりもさらに高い温度となるように昇温させる、
熱交換器の製造方法。
【請求項2】
アルミニウムまたはアルミニウム合金製のフィン(12)と、アルミニウムまたはアルミニウム合金製の多穴管(11)を複数と、複数の前記多穴管が接続されるアルミニウムまたはアルミニウム合金製の共通空間形成部材(13、14)を有する熱交換器(3)の製造方法であって、
前記フィンと前記多穴管とを接着剤により接合する第1工程と、
前記第1工程の後に、前記フィンと前記多穴管との接合部分を冷却しながら、前記多穴管を前記共通空間形成部材にロウ付けまたは溶接する第2工程と、
を備え、
前記第1工程では、前記接着剤を硬化させるために加熱を行い、
前記第2工程では、前記多穴管と前記共通空間形成部材との前記ロウ付箇所または前記溶接の箇所の温度が、前記接着剤を硬化させるための加熱により温度上昇した前記接着剤の温度よりもさらに高い温度となるように昇温させる、
熱交換器の製造方法。
【請求項3】
前記第2工程では、前記フィンと前記多穴管との接合部分の温度が350℃以下で維持されるように冷却しながら前記ロウ付けまたは前記溶接を行う、
請求項2に記載の熱交換器の製造方法。
【請求項4】
前記第1工程および前記第2工程において用いられる前記フィンは、表面に親水性塗膜が形成されている、
請求項からのいずれか1項に記載の熱交換器の製造方法。
【請求項5】
前記フィンは、前記多穴管が差込まれる開口部を有している、
請求項1からのいずれか1項に記載の熱交換器の製造方法。
【請求項6】
前記フィンは、コルゲートフィンである、
請求項1からのいずれか1項に記載の熱交換器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、フィンと、複数の伝熱管と、複数の伝熱管が接続されるヘッダを有する熱交換器が製造されている。
【0003】
例えば、特許文献1(特開2013−92265号公報)に記載の熱交換器では、製造初期段階におけるフィンと伝熱管との密着性を良好に維持させるために、先に、フィンを伝熱管に対して溶接により仮留めし、その後、フィンと伝熱管を接着剤によって固定する製造方法を提案している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記特許文献1の熱交換器の製造方法によれば、フィンが伝熱管に対して溶接により仮留めされる際に、伝熱管の温度が大きく上昇するため、当該溶接箇所において伝熱管自体の形状が変形してしまうおそれがある。
【0005】
このように伝熱管が変形してしまうと、その後に、変形した伝熱管をヘッダに対してロウ付けまたは溶接する際に、複数の伝熱管の接続部分とヘッダの接続用開口との位置合わせが困難になるおそれがある。
【0006】
本発明は上述した点に鑑みてなされたものであり、本発明の課題は、多穴管の熱による変形を抑制させつつ、製造作業を簡単にすることが可能な熱交換器の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1観点に係る熱交換器の製造方法は、アルミニウムまたはアルミニウム合金製のフィンと、アルミニウムまたはアルミニウム合金製の多穴管を複数と、複数の多穴管が接続されるアルミニウムまたはアルミニウム合金製の共通空間形成部材を有する熱交換器の製造方法であって、第1工程と、第2工程と、を備えている。第1工程では、フィンと多穴管とを接着剤により接合する。第2工程では、第1工程の後に、フィンと多穴管との接合部分の温度上昇を抑制させる処理を行いながら、多穴管を共通空間形成部材にロウ付けまたは溶接する。第1工程では、接着剤を硬化させるために加熱を行う。第2工程では、多穴管と共通空間形成部材とのロウ付箇所または溶接の箇所の温度が、接着剤を硬化させるための加熱により温度上昇した接着剤の温度よりもさらに高い温度となるように昇温させる。
【0008】
ここで、共通空間形成部材は、特に限定されるものではなく、熱交換器に用いられるヘッダ、分岐管、集合管等の複数の流路が合流している空間を形成している部材が含まれる。
【0009】
なお、第1工程で用いられる接着剤としては、特に限定されるものではなく、第2工程におけるロウ付けまたは溶接に要する温度よりも低い温度で接着されるものが含まれる。
【0010】
ここで、ロウ付けでは、多穴管と共通空間形成部材の間に融解させたロウ材を配置させて両者を接合させる。溶接では、多穴管および/または共通空間形成部材の接合箇所を融解させて両者を接合させる。
【0011】
ここで、フィンと多穴管との接合部分の温度上昇を抑制させるための処理としては、特に限定されないが、例えば、多穴管と共通空間形成部材をロウ付けまたは溶接させる際に多穴管と共通空間形成部材との接合部分の加熱もしくは温度上昇がフィンと多穴管との接合部分の温度上昇に与える影響を抑制させる処理であり、例えば、赤外線照射により多穴管と共通空間形成部材の接続箇所を加熱する場合において当該赤外線がフィンと多穴管との接合部分に到達することを抑制または遮断するように遮光板を用いることや、高周波により多穴管と共通空間形成部材の接続箇所を加熱する場合において当該高周波がフィンと多穴管との接合部分に到達することを抑制または遮断するように金属板を用いることが含まれる。
【0012】
この熱交換器の製造方法では、先に第1工程において接着剤でフィンと多穴管を接合し、その後に、第2工程において多穴管と共通空間形成部材をロウ付けまたは溶接させる。このため、フィンと多穴管が接着剤で接合されるため、多穴管が加熱を伴うロウ付け等の接合方法により熱で変形してしまうことを抑制でき、変形が抑制された多穴管を共通空間形成部材に対してロウ付けまたは溶接させることができ、多穴管と共通空間形成部材の接続先との位置合わせを容易に行うことができる。したがって、多穴管を共通空間形成部材にロウ付けまたは溶接する作業を簡単に行うことができる。
【0013】
また、この熱交換器の製造方法では、多穴管と共通空間形成部材をロウ付けまたは溶接させる際に多穴管と共通空間形成部材との接合部分の加熱もしくは温度上昇がフィンと多穴管との接合部分に与える影響を抑制させることができるため、フィンと多穴管とを接合するための接着剤の温度による劣化を抑制させることが可能になる。
【0014】
また、この熱交換器の製造方法では、接着剤の硬化のための温度よりも、ロウ付けまたは溶接の際の多穴管と共通空間形成部材とのロウ付箇所または溶接の箇所の温度が高いため、フィンと多穴管とを接合するための接着剤の温度が上昇してしまいやすい。しかし、この場合であっても、多穴管と共通空間形成部材をロウ付けまたは溶接させる際に多穴管と共通空間形成部材との接合部分の加熱もしくは温度上昇がフィンと多穴管との接合部分に与える影響を抑制させることができる。このため、多穴管と共通空間形成部材とのロウ付箇所または溶接の箇所の温度が高い場合であっても、フィンと多穴管とを接合するための接着剤の温度による劣化を抑制させることが可能になる。
【0015】
第2観点に係る熱交換器の製造方法は、アルミニウムまたはアルミニウム合金製のフィンと、アルミニウムまたはアルミニウム合金製の多穴管を複数と、複数の多穴管が接続されるアルミニウムまたはアルミニウム合金製の共通空間形成部材を有する熱交換器の製造方法であって、第1工程と、第2工程と、を備えている。第1工程では、フィンと多穴管とを接着剤により接合する。第2工程では、第1工程の後に、フィンと多穴管との接合部分を冷却しながら、多穴管を共通空間形成部材にロウ付けまたは溶接する。第1工程では、接着剤を硬化させるために加熱を行う。第2工程では、多穴管と共通空間形成部材とのロウ付箇所または溶接の箇所の温度が、接着剤を硬化させるための加熱により温度上昇した接着剤の温度よりもさらに高い温度となるように昇温させる。
【0016】
ここで、共通空間形成部材は、特に限定されるものではなく、熱交換器に用いられるヘッダ、分岐管、集合管等の複数の流路が合流している空間を形成している部材が含まれる。
【0017】
なお、第1工程で用いられる接着剤としては、特に限定されるものではなく、第2工程におけるロウ付けまたは溶接に要する温度よりも低い温度で接着されるものが含まれる。
【0018】
ここで、ロウ付けでは、多穴管と共通空間形成部材の間に融解させたロウ材を配置させて両者を接合させる。溶接では、多穴管および/または共通空間形成部材の接合箇所を融解させて両者を接合させる。
【0019】
冷却としては、特に限定されないが、冷却対象箇所により低い温度の空気を供給する空冷や、冷却対象箇所により低い温度の液体を供給する水冷等の各種冷却方法が含まれる。
【0020】
この熱交換器の製造方法では、先に第1工程において接着剤でフィンと多穴管を接合し、その後に、第2工程において多穴管と共通空間形成部材をロウ付けまたは溶接させる。このため、フィンと多穴管が接着剤で接合されるため、多穴管が加熱を伴うロウ付け等の接合方法により熱で変形してしまうことを抑制でき、変形が抑制された多穴管を共通空間形成部材に対してロウ付けまたは溶接させることができ、多穴管と共通空間形成部材の接続先との位置合わせを容易に行うことができる。したがって、多穴管を共通空間形成部材にロウ付けまたは溶接する作業を簡単に行うことができる。
【0021】
また、この熱交換器の製造方法では、多穴管と共通空間形成部材をロウ付けまたは溶接させる際に多穴管と共通空間形成部材との接合部分の加熱もしくは温度上昇がフィンと多穴管との接合部分に与える影響を、フィンと多穴管との接合部分を積極的に冷却させることで十分に抑制させることができる。特に、熱交換器におけるフィンおよび多穴管は、本来、高い熱交換性能が求められるものであるため、高い伝熱性能を有するように構成されている。したがって、わずかな冷却処理により、フィンと多穴管との接合部分が十分に冷却されるという効果を得ることができる。このため、フィンと多穴管とを接合するための接着剤の温度による劣化を十分に抑制させることが可能になる。
【0022】
また、この熱交換器の製造方法では、接着剤の硬化のための温度よりも、ロウ付けまたは溶接の際の多穴管と共通空間形成部材とのロウ付箇所または溶接の箇所の温度が高いため、フィンと多穴管とを接合するための接着剤の温度が上昇してしまいやすい。しかし、この場合であっても、多穴管と共通空間形成部材をロウ付けまたは溶接させる際に多穴管と共通空間形成部材との接合部分の加熱もしくは温度上昇がフィンと多穴管との接合部分に与える影響を抑制させることができる。このため、多穴管と共通空間形成部材とのロウ付箇所または溶接の箇所の温度が高い場合であっても、フィンと多穴管とを接合するための接着剤の温度による劣化を抑制させることが可能になる。
【0023】
観点に係る熱交換器の製造方法は、第観点に係る熱交換器の製造方法であって、第2工程では、フィンと多穴管との接合部分の温度が350℃以下で維持されるように冷却しながらロウ付けまたは溶接を行う。
【0024】
この熱交換器の製造方法では、多穴管と共通空間形成部材をロウ付けまたは溶接させる際に多穴管と共通空間形成部材との接合部分の加熱もしくは温度上昇がフィンと多穴管との接合部分に与える影響を、フィンと多穴管との接合部分を350℃以下で維持されるように積極的に冷却させることで十分に抑制させることができるため、フィンと多穴管とを接合するための接着剤の温度による劣化をより一層抑制させることが可能になる。
【0025】
観点に係る熱交換器の製造方法は、第観点から第観点のいずれかに係る熱交換器の製造方法であって、第1工程および第2工程において用いられるフィンは、表面に、親水性塗膜が形成されている。
【0026】
この熱交換器の製造方法では、第1工程および第2工程において用いられるフィンは、表面に予め親水性塗膜が形成されている。このため、熱交換器を組み立てた後に多穴管とフィンと共通空間形成部材とを一緒に塗膜形成塗料に含浸させることにより塗膜を形成する場合と比較して、塗料が行き渡りにくいという問題を回避することが可能になっている。また、第1工程または第2工程においてフィンの温度が過度に上昇することがあれば、予め設けられていた親水性塗膜が劣化してしまうおそれがあるが、多穴管と共通空間形成部材をロウ付けまたは溶接させる際に多穴管と共通空間形成部材との接合部分の加熱もしくは温度上昇がフィンと多穴管との接合部分に与える影響を抑制させることができるため、予め親水性塗膜が形成されているフィンを用いる場合であっても、親水性塗膜の温度による劣化を抑制させることが可能になる。
【0027】
観点に係る熱交換器の製造方法は、第1観点から第観点のいずれかに係る熱交換器の製造方法であって、フィンは、多穴管が差込まれる開口部を有している。
【0028】
なお、ここでは、フィンの開口部に対して、フィンの板厚方向に垂直な方向から多穴管が差し込まれる。
【0029】
この熱交換器の製造方法では、多穴管を拡管させることでフィンと多穴管を一体化させる固定方法を用いることができない場合であっても、多穴管が差し込まれる開口部をフィンが有している。このため、多穴管にフィンを固定する作業が容易になる。
【0030】
観点に係る熱交換器の製造方法は、第1観点から第観点のいずれかに係る熱交換器の製造方法であって、フィンは、コルゲートフィンである。
【0031】
この熱交換器の製造方法では、フィンとしてコルゲートフィンを用いているため、多穴管同士の間の距離が変化することがあっても、その変化をコルゲートフィンが吸収しやすい。このため、熱交換器の製造が容易になる。
【発明の効果】
【0032】
第1観点に係る熱交換器の製造方法では、多穴管の熱による変形を抑制させつつ、製造作業を簡単にすることが可能である。また、フィンと多穴管とを接合するための接着剤の温度による劣化を抑制させることが可能になる。また、多穴管と共通空間形成部材とのロウ付箇所または溶接の箇所の温度が高い場合であっても、フィンと多穴管とを接合するための接着剤の温度による劣化を抑制させることが可能になる。
【0033】
第2観点に係る熱交換器の製造方法では、多穴管の熱による変形を抑制させつつ、製造作業を簡単にすることが可能である。また、フィンと多穴管とを接合するための接着剤の温度による劣化を十分に抑制させることが可能になる。また、多穴管と共通空間形成部材とのロウ付箇所または溶接の箇所の温度が高い場合であっても、フィンと多穴管とを接合するための接着剤の温度による劣化を抑制させることが可能になる。
【0034】
観点に係る熱交換器の製造方法では、フィンと多穴管とを接合するための接着剤の温度による劣化をより一層抑制させることが可能になる。
【0035】
観点に係る熱交換器の製造方法では、予め親水性塗膜が形成されているフィンを用いる場合であっても、親水性塗膜の温度による劣化を抑制させることが可能になる。
【0036】
観点に係る熱交換器の製造方法では、多穴管にフィンを固定する作業が容易になる。
【0037】
観点に係る熱交換器の製造方法では、熱交換器の製造が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】実施形態に係る熱交換器の概略外観斜視図である。
図2】伝熱フィンの構成を示す部分拡大図である。
図3】扁平多穴管とヘッダとのロウ付け作業の説明図である。
図4】他の実施形態(A)に係る熱交換器の部分拡大概略構成斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、図面を参照しながら、本発明の熱交換器の製造方法により製造される熱交換器、およびその製造方法を説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の具体例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【0040】
(1)熱交換器の構造
熱交換器は、公知の冷凍装置または空気調和装置において、室外ユニットおよび/または室内ユニット内に収容されて用いられる熱交換器である。
【0041】
以下、本実施形態の熱交換器3の詳細構造を、図面を参照しながら説明する。
【0042】
図1は、本実施形態に係る熱交換器3の概略外観斜視図である。図2に、設置状態における扁平多穴管11の長手方向から見た伝熱フィン12の拡大図を示す。
【0043】
本実施形態に係る熱交換器3は、内部を作動冷媒が流れ、外部を空気が通過する、いわゆる空気熱交換器である。この熱交換器3は、積層型熱交換器である。
【0044】
熱交換器3は、主として、互いに対向して配置される第1ヘッダ13および第2ヘッダ14と、複数の扁平多穴管11と、複数の伝熱フィン12と、を有している。
【0045】
(1−1)扁平多穴管11
扁平多穴管11は、アルミニウムまたはアルミニウム合金などの金属素材を用いて、押し出し成形等により製造される。
【0046】
扁平多穴管11は、伝熱面となる上下の平面部と、冷媒が流れる複数の内部流路11a(図2参照)を有している。
【0047】
平面部は、長尺かつ幅広であって、設置状態において内部流路11aの上方部分を構成し鉛直上方を法線方向とする面と、内部流路11aの下方部分を構成し鉛直下方を法線方向とする面と、を有している。各扁平多穴管11の一端は、第1ヘッダ13に接続され、他端が第2ヘッダ14に接続される。
【0048】
各内部流路11aは、扁平多穴管11の長手方向の一端側から他端側に向けて貫通するように延びている。複数の内部流路11aは、扁平多穴管11の幅方向(扁平多穴管11の長手方向に垂直な断面における長手方向)に所定の間隔を開けながら並んでいる。
【0049】
長手方向が鉛直方向となるように配置された第1ヘッダ13と第2ヘッダ14の間において、複数の扁平多穴管11は、上下方向に間隔を開けながら並んでいる。一の扁平多穴管11と他の扁平多穴管11との間に形成された空間は、ファンから供給される空気流れが扁平多穴管11の幅方向に通過する通風空間となる。このように扁平多穴管11は、平面部のうちの上方の面が、1つ上に配置された扁平多穴管11の平面部のうちの下方の面に対面するように配置される。
【0050】
(1−2)伝熱フィン12
伝熱フィン12は、アルミニウム製またはアルミニウム合金製のフィンである。伝熱フィン12は、板状部材であって、一方の面とその裏面の法線方向が扁平多穴管11の内部流路11aが延びる方向と平行になるように配置されている。
【0051】
伝熱フィン12は、設置状態における空気流れ方向の風上方向側端部から風下方向の端部の手前までもしくは風下方向側端部から風上方向の端部の手前まで水平方向に延びた切り欠き12a(開口部)が、上下方向に所定の間隔で形成されている。この切り欠き12aは、扁平多穴管11の上下の平面部に沿った形状を有しており、挿入された扁平多穴管11の外周面と直接接触するかまたは接着層10を介して接触する。
【0052】
なお、伝熱フィン12は、扁平多穴管11が挿入された状態において、扁平多穴管11の空気流れの風上側端部よりもさらに風上側に膨出した部分または風下側端部よりもさらに風下側に膨出した部分が形成されるように構成されている。
【0053】
(1−3)第1ヘッダ13
第1ヘッダ13は、アルミニウム製またはアルミニウム合金製の略円筒形状の部材である。第1ヘッダ13には、複数の扁平多穴管11の長手方向の一端近傍を、内部空間が扁平多穴管11の内部流路11aと連通した状態で固定支持するための開口が、長手方向に複数並ぶように設けられている。
【0054】
特に限定されないが、第1ヘッダ13の外径は、15mm以上30mm以下が好ましく、20mm以上25mm以下であってもよい。
【0055】
(1−4)第2ヘッダ14
第2ヘッダ14は、第1ヘッダ13と同様に、アルミニウム製またはアルミニウム合金製の略円筒形状の部材である。第2ヘッダ14は、複数の扁平多穴管11の長手方向における第1ヘッダ13側端部とは反対側の端部近傍を、内部空間が扁平多穴管11の内部流路11aと連通した状態で固定支持するための開口が、長手方向に複数並ぶように設けられている。
【0056】
なお、第2ヘッダ14の外径は、特に限定されないが、第1ヘッダ13の外径と同様である。
【0057】
(2)熱交換器の製造方法
以下、本実施形態の熱交換器の製造方法について、例を挙げながら詳細を説明する。
【0058】
(2−1)扁平多穴管、伝熱フィン、およびヘッダの用意
扁平多穴管としては、上述したアルミニウムもしくはアルミニウム合金製のものであって、外表面にロウ付けのためのクラッド材が塗布されたものを用意する。なお、扁平多穴管の外表面には、さらに親水性塗膜が設けられていてもよい。
【0059】
伝熱フィンとしては、上述したアルミニウムもしくはアルミニウム合金製で、扁平多穴管を差し込んで嵌め込むための切り欠き(開口部)を有するものであって、外表面に親水性塗膜が設けられたものを用意する。親水性塗膜は、特に限定されないが、伝熱フィンの表面に、例えば、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂からなる群から選択される1種または2種以上の混合物を含む塗料を塗布して乾燥させて得られるものであってもよい。なお、親水性塗膜の膜厚は、特に限定されないが、例えば、1μm以上10μm以下とすることができる。
【0060】
ヘッダとしては、上述したアルミニウムもしくはアルミニウム合金製のものであって、外表面にロウ付けのためのクラッド材が塗布されたものを用意する。
【0061】
(2−2)扁平多穴管と伝熱フィンの接着工程
上記で用意した扁平多穴管と伝熱フィンとを接着剤を用いて接合させる。
【0062】
なお、扁平多穴管は、扁平形状であるため、円筒形状の配管と伝熱フィンとを接合させる場合のような、拡管による接合を行うことができない。しかし、ここでは、扁平多穴管を、伝熱フィンに設けられた切り欠きに嵌め込み、接着剤を用いることで両者を接合することができる。
【0063】
具体的には、扁平多穴管の外表面と伝熱フィンの切り欠きとの間に接着剤を塗布し、伝熱フィンの切り欠きに扁平多穴管を嵌め込んだ状態として、接着剤を硬化させることにより接合させる。
【0064】
ここで、接着剤としては、特に限定されないが、例えば、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、およびナイロン系樹脂からなる群から選択される1種または2種以上の混合物を含んでいることが好ましい。なお、接着剤は、熱硬化性樹脂であっても、紫外線硬化性樹脂であってもよい。なお、塗布される接着剤には、扁平多穴管と伝熱フィンとの熱伝達性を向上させるために、金属製のフィラーが配合されていることが好ましい。
【0065】
上記接着剤は、常温で硬化するものであってもよいが、例えば、300℃以下の温度に加熱して、より好ましくは250℃以下の温度に加熱して硬化するものであってもよい。接着剤の加熱を行う際の下限温度は、特に限定されないが、例えば、100℃とすることができる。また、加熱して接着剤を硬化させる場合の加熱時間は、特に限定されないが、雰囲気温度を上記温度まで上昇させた状態で3分以上10分以下とすることができ、5分以上8分以下とすることが好ましい。
【0066】
接着剤を加熱する場合であっても、接着剤が高温により変性して劣化してしまうことを抑制するために、扁平多穴管とヘッダとのロウ付けを行う際の扁平多穴管とヘッダとの接合部分の温度より低い温度となるように加熱することが好ましい。
【0067】
なお、扁平多穴管の熱による変形を抑制し伝熱フィンの親水性塗膜の熱による劣化を抑制するために、扁平多穴管と伝熱フィンとの溶接による接合やロウ付けによる接合は行われない。
【0068】
(2−3)扁平多穴管とヘッダとのロウ付け工程
上記伝熱フィンが接合された扁平多穴管の一端を、ヘッダの開口に挿入し、接合箇所を加熱することにより両者をロウ付けさせる。
【0069】
具体的には、扁平多穴管の外表面およびヘッダの外表面にクラッド材としてのロウ材が塗布されているため、このロウ材が加熱されることで流動性を持った状態となり、当該箇所の加熱を止めるもしくは冷却を行うことで、扁平多穴管とヘッダとの接合箇所において硬化し、扁平多穴管とヘッダとが接合されることになる。
【0070】
なお、クラッド材としてのロウ材は、扁平多穴管の外表面だけに塗布されていてもよいし、ヘッダの外表面だけに塗布されていてもよい。また、ロウ材が扁平多穴管にもヘッダにも塗布されていない場合には、別途、ワイヤー状もしくはペースト状のロウ材等を接合箇所に供給しながら加熱を行うようにしてもよい。
【0071】
なお、扁平多穴管とヘッダとをロウ付けする前に、扁平多穴管をヘッダの開口に挿入した状態で接着剤等を用いて仮止めを行ってもよい。
【0072】
図3に、ヘッダの長手方向から見た場合の扁平多穴管とヘッダとのロウ付け作業の様子を示す。
【0073】
扁平多穴管とヘッダとのロウ付け箇所には、ランプ30(ハロゲンランプ)からの赤外線が照射される。なお、ランプ30自体の温度は、1200℃程度まで上昇する。ここで、扁平多穴管とヘッダとのロウ付け箇所は、500℃以上800℃以下まで加熱することが好ましく、600℃以上700℃以下まで加熱することがより好ましい。
【0074】
なお、図3に示すように、扁平多穴管11とヘッダ13、14とのロウ付け箇所から最寄りの伝熱フィン12と、ヘッダ13、14と、の間には、ランプ30からの赤外線の透過を遮断するための遮断板40が配置されることが好ましい。ロウ付け時に、この遮断板40が配置されることにより、ランプ30からの赤外線が伝熱フィンと扁平多穴管とを接合している接着剤に供給されにくくなるため、接着剤の温度上昇を抑制し、接着剤の熱による劣化を小さく抑えることが可能になっている。また、この遮断板40が配置されることにより、伝熱フィンの表面の親水性塗膜の温度上昇を抑制し、親水性塗膜の熱による劣化を小さく抑えることが可能になっている。ここで、扁平多穴管とヘッダとのロウ付け箇所の温度を600℃程度まで上昇させる場合において、この遮断板40を用いなければ(冷却も行わない場合は)接着剤や親水性塗膜の温度は500℃以上まで上昇してしまうが、遮断板40を用いることで接着剤や親水性塗膜の温度を300℃程度に低く抑えることが可能になる。なお、遮断板40としては、特に限定されないが、例えば、赤外線を遮断可能な公知の金属部材等を用いてもよい。
【0075】
さらに、図3に示すように、扁平多穴管11とヘッダ13、14とをロウ付けする際には、熱交換器3の伝熱フィン12が配置されている箇所を対象として、ファン50により形成される空気流れを供給し、伝熱フィン12および扁平多穴管11の冷却を行うことが好ましい。ここで、ファン50による風量は特に限定されないが、例えば、扁平多穴管11とヘッダ13、14とのロウ付け時に、伝熱フィン12と扁平多穴管11とを接合している接着剤が350℃以下の温度で維持される風量であることが好ましく、300℃以下の温度で維持される風量であることがより好ましく、250℃以下の温度で維持される風量であることがさらに好ましい。ここで、伝熱フィンおよび扁平多穴管は熱交換器として求められる高い伝熱性能を有しているため、常温の空気が供給されるだけであっても、十分に冷却効果を得ることができる。具体的には、扁平多穴管とヘッダとのロウ付け箇所の温度を600℃程度まで上昇させる場合においても、上記遮断板40との併用により、接着剤や親水性塗膜の温度を250℃程度に低く抑えることが可能になる。
【0076】
なお、上述したように、伝熱フィンと扁平多穴管とを接合している接着剤および伝熱フィンの親水性塗膜の熱による劣化を避けるために、伝熱フィンと扁平多穴管とヘッダとが一体化された状態となっても、この一体化物を炉中に入れてロウ付けすることはしない。
【0077】
(3)熱交換器の製造方法およびその熱交換器の特徴
従来の熱交換器の製造方法では、扁平多穴管をヘッダに固定する前に、伝熱フィンと扁平多穴管とを溶接により固定しているため、扁平多穴管も伝熱フィンも非常に高い温度まで上昇してしまっているため、扁平多穴管自体が熱により変形してしまうことがあり、伝熱フィンに親水性塗膜が設けられている場合には当該膜の親水性機能が損なわれてしまうおそれがある。
【0078】
これに対して、本実施形態に係る熱交換器の製造方法では、先に接着剤で伝熱フィンと扁平多穴管を接合し、その後に、扁平多穴管とヘッダとをロウ付けさせている。このため、伝熱フィンと扁平多穴管とを接合する際に、伝熱フィンも扁平多穴管も温度上昇が抑制され、扁平多穴管については高熱による変形を避けることができる。このため、変形が生じていない扁平多穴管を用いて、ヘッダとの接合作業を行うことができるため、ヘッダの開口位置に対する位置合わせを行いやすく、ロウ付け作業も容易に行うことが可能になる。また、伝熱フィンについては、温度上昇が抑制されていることで、親水性塗膜の機能劣化を避けることができる。
【0079】
さらに、扁平多穴管とヘッダとのロウ付け時には高熱が発生するが、赤外線を遮る遮断板40を用いつつ、冷却空気を供給し続けることにより、伝熱フィンと扁平多穴管を接合している接着剤や伝熱フィンの表面の親水性塗膜の温度が上昇する程度を小さく抑えることができ、これらの劣化を抑制することが可能になっている。このため、伝熱フィンと扁平多穴管の接合状態を良好に保つことが可能になるとともに、伝熱フィンの親水性塗膜の親水機能を十分に発揮させることが可能になる。
【0080】
(4)変形例
上記実施形態は、以下の変形例に示すように適宜変形が可能である。なお、各変形例は、矛盾が生じない範囲で他の変形例と組み合わせて適用されてもよい。
【0081】
(4−1)変形例A
上記実施形態では、伝熱フィンの厚み方向に垂直な方向の端部において扁平多穴管が嵌め込まれるための開口部が設けられた差込み式の伝熱フィンを用いて熱交換器を製造する場合を例に挙げて説明した。
【0082】
これに対して、熱交換器の製造方法に用いられる伝熱フィンは、差込み式の伝熱フィンに限られず、例えば、コルゲートフィンであってもよい。図4に、コルゲートフィン212が用いられている熱交換器の部分拡大概略構成斜視図を示す。伝熱フィンとして、コルゲートフィン212を用いる場合には、扁平多穴管を嵌め込むための切り欠きが設けられた上記実施形態の差込み式のフィンに比べると、扁平多穴管がロウ付けや溶接時に変形することがあっても、コルゲートフィン212が変形しやすいため、扁平多穴管の形状の変化を吸収しやすくすることができる。
【0083】
(4−2)変形例B
上記実施形態では、複数の扁平多穴管が接合される共通空間を形成する部材としてヘッダを例に挙げて説明した。
【0084】
これに対して、共通空間を形成する部材としてはヘッダに限られず、3本以上の配管が接合される分岐管や集合管等を、上記ヘッダの代わりに用いてもよい。
【0085】
(4−3)変形例C
上記実施形態では、扁平多穴管とヘッダとをハロゲンランプを用いた赤外線照射によるロウ付けにより固定する場合を例に挙げて説明した。
【0086】
これに対して、扁平多穴管とヘッダとのロウ付け方法は、ハロゲンランプを用いた赤外線照射によるロウ付けに限られず、加熱対象箇所の周辺に誘導コイルを配置した高周波加熱によるロウ付けを行うようにしてもよい。この場合には、高周波を伝熱フィンや扁平多穴管側に到達させにくくするために、高周波を遮るための金属製の板部材等を上記遮断板の代わりに用いることができる。
【0087】
(4−4)変形例D
上記実施形態では、扁平多穴管とヘッダとをロウ付けにより固定する場合を例に挙げて説明した。
【0088】
これに対して、扁平多穴管とヘッダとの固定方法は、ロウ付けに限られず、溶接により固定してもよい。溶接としては、特に限定されないが、例えば、レーザー溶接や抵抗溶接等が挙げられる。なかでも、レーザー溶接を用いる場合には、局所的な加熱が可能となるため、上記遮断板の利用や冷却処理が無い場合であっても、接着剤や親水性塗膜の温度を300℃程度に低く抑えることは可能である。
【0089】
(4−5)変形例E
上記実施形態では、扁平多穴管とヘッダのロウ付けの際に空冷により扁平多穴管と伝熱フィンとの接合箇所を冷却する場合を例に挙げて説明した。
【0090】
これに対して、扁平多穴管とヘッダのロウ付けまたは溶接の際に、空冷ではなく、冷却対象箇所より低い温度の水等の液体を供給する水冷を行うようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明は、冷凍装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0092】
3 :熱交換器
11 :扁平多穴管(多穴管)
11a:内部空間
12 :伝熱フィン(フィン)
12a:切り欠き(開口部)
13 :第1ヘッダ(共通空間形成部材)
14 :第2ヘッダ(共通空間形成部材)
30 :ヒーター
40 :遮断板
50 :ファン
212:コルゲートフィン
【先行技術文献】
【特許文献】
【0093】
【特許文献1】特開2013−92265号公報
図1
図2
図3
図4