特許第6772741号(P6772741)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 住友電気工業株式会社の特許一覧

特許6772741管理装置、管理方法および管理プログラム
<>
  • 特許6772741-管理装置、管理方法および管理プログラム 図000002
  • 特許6772741-管理装置、管理方法および管理プログラム 図000003
  • 特許6772741-管理装置、管理方法および管理プログラム 図000004
  • 特許6772741-管理装置、管理方法および管理プログラム 図000005
  • 特許6772741-管理装置、管理方法および管理プログラム 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6772741
(24)【登録日】2020年10月5日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】管理装置、管理方法および管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20201012BHJP
【FI】
   G05B23/02 302T
【請求項の数】11
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-198792(P2016-198792)
(22)【出願日】2016年10月7日
(65)【公開番号】特開2018-60439(P2018-60439A)
(43)【公開日】2018年4月12日
【審査請求日】2019年4月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000682
【氏名又は名称】特許業務法人ワンディーIPパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】平川 満
【審査官】 藤井 浩介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−126878(JP,A)
【文献】 特開平09−106488(JP,A)
【文献】 特開昭61−170895(JP,A)
【文献】 特開2012−173977(JP,A)
【文献】 特開2011−215820(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 23/00−23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象空間が複数の区画に区切られ、前記複数の区画のそれぞれに少なくとも1つのセンサが含まれるように配置された各前記センサの検知結果を取得する取得部と、
前記取得部により取得された各前記検知結果と基準情報とに基づいて、前記対象空間の異常を判断する判断部とを備え、
前記基準情報は、前記対象空間が無煙状態である場合の前記検知結果に基づくことなく、前記各センサが煙を検知している状態における前記各センサの前記検知結果に基づく情報である、管理装置。
【請求項2】
前記複数の区画は整列されている、請求項1に記載の管理装置。
【請求項3】
各前記区画は、互いに異なる設備を少なくとも1つ含むか、または通路によって区切られている、請求項1または請求項2に記載の管理装置。
【請求項4】
前記センサは、煙を検知可能である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の管理装置。
【請求項5】
前記対象空間は、物理的に区切られていない1つの閉空間で構成されている、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の管理装置。
【請求項6】
前記判断部は、前記各検知結果と基準情報とに基づいて前記対象空間の異常を判断し、
前記基準情報は、前記各センサが煙を検知している状態における前記各センサの前記検知結果に基づく情報である、請求項4に記載の管理装置。
【請求項7】
対象空間に配置された複数のセンサによる煙の検知結果をそれぞれ取得する取得部と、
前記取得部により取得された前記複数のセンサの前記検知結果と基準情報とに基づいて、前記対象空間の異常を判断する判断部とを備え、
前記基準情報は、前記対象空間が無煙状態である場合の前記検知結果に基づくことなく、前記複数のセンサがそれぞれ煙を検知している状態における前記複数のセンサの前記検知結果に基づく情報である、管理装置。
【請求項8】
管理装置における管理方法であって、
対象空間が複数の区画に区切られ、前記複数の区画のそれぞれに少なくとも1つのセンサが含まれるように配置された各前記センサの検知結果を取得するステップと、
取得した各前記検知結果と基準情報とに基づいて、前記対象空間の異常を判断するステップとを含み、
前記基準情報は、前記対象空間が無煙状態である場合の前記検知結果に基づくことなく、前記各センサが煙を検知している状態における前記各センサの前記検知結果に基づく情報である、管理方法。
【請求項9】
管理装置における管理方法であって、
対象空間に配置された複数のセンサによる煙の検知結果をそれぞれ取得するステップと、
取得した前記複数のセンサの前記検知結果と基準情報とに基づいて、前記対象空間の異常を判断するステップとを含み、
前記基準情報は、前記対象空間が無煙状態である場合の前記検知結果に基づくことなく、前記複数のセンサがそれぞれ煙を検知している状態における前記複数のセンサの前記検知結果に基づく情報である、管理方法。
【請求項10】
管理装置において用いられる管理プログラムであって、
コンピュータを、
対象空間が複数の区画に区切られ、前記複数の区画のそれぞれに少なくとも1つのセンサが含まれるように配置された各前記センサの検知結果を取得する取得部と、
前記取得部により取得された各前記検知結果と基準情報とに基づいて、前記対象空間の異常を判断する判断部、
として機能させるためのプログラムであり、
前記基準情報は、前記対象空間が無煙状態である場合の前記検知結果に基づくことなく、前記各センサが煙を検知している状態における前記各センサの前記検知結果に基づく情報である、管理プログラム。
【請求項11】
管理装置において用いられる管理プログラムであって、
コンピュータを、
対象空間に配置された複数のセンサによる煙の検知結果をそれぞれ取得する取得部と、
前記取得部により取得された前記複数のセンサの前記検知結果と基準情報とに基づいて、前記対象空間の異常を判断する判断部、
として機能させるためのプログラムであり、
前記基準情報は、前記対象空間が無煙状態である場合の前記検知結果に基づくことなく、前記複数のセンサがそれぞれ煙を検知している状態における前記複数のセンサの前記検知結果に基づく情報である、管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管理装置、管理方法および管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工場に設けられた設備などを監視対象として、当該監視対象の状態を診断するための装置が開発されている。たとえば、特開2006−163517号公報(特許文献1)には、以下のような異常検知装置が記載されている。すなわち、異常検知装置は、監視対象に設けられた検出手段と、前記検出手段からの検出データに基づいてニューラルネットワークにより前記監視対象の状態を診断する演算手段とを有する異常検知装置であって、前記演算手段は、所定のモデル作成データを用いて前記ニューラルネットワークのモデルを形成し、前記ニューラルネットワークのモデルを用い、検出データに基づいて前記監視対象の状態を診断し、所定時点での検出データによる入力ベクトルを中間層として加えて、前記ニューラルネットワークのモデルを更新し、更新後は、前記ニューラルネットワークの更新したモデルを用いて前記監視対象の状態を診断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−163517号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の異常検知装置は、プラント等の監視対象の異常音を検知するためのマイクロフォンが設けられる構成であるが、当該監視対象が設けられた工場等における異常を検知することが困難な場合がある。
【0005】
この発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、対象空間の異常をより正確に検知することのできる管理装置、管理方法および管理プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる管理装置は、対象空間が複数の区画に区切られ、前記複数の区画のそれぞれに少なくとも1つのセンサが含まれるように配置された各前記センサの検知結果を取得する取得部と、前記取得部により取得された各前記検知結果に基づいて、前記対象空間の異常を判断する判断部とを備える。
【0007】
(7)上記課題を解決するために、この発明の他の局面に係わる管理装置は、対象空間に配置された複数のセンサによる煙の検知結果を取得する取得部と、前記取得部により取得された前記複数のセンサの前記検知結果と基準情報とに基づいて、前記対象空間の異常を判断する判断部とを備え、前記基準情報は、前記複数のセンサがそれぞれ煙を検知している状態における前記複数のセンサの前記検知結果に基づく情報である。
【0008】
(8)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる管理方法は、管理装置における管理方法であって、対象空間が複数の区画に区切られ、前記複数の区画のそれぞれに少なくとも1つのセンサが含まれるように配置された各前記センサの検知結果を取得するステップと、取得した各前記検知結果に基づいて、前記対象空間の異常を判断するステップとを含む。
【0009】
(9)上記課題を解決するために、この発明の他の局面に係わる管理方法は、管理装置における管理方法であって、対象空間に配置された複数のセンサによる煙の検知結果を取得するステップと、取得した前記複数のセンサの前記検知結果と基準情報とに基づいて、前記対象空間の異常を判断するステップとを含み、前記基準情報は、前記複数のセンサがそれぞれ煙を検知している状態における前記複数のセンサの前記検知結果に基づく情報である。
【0010】
(10)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる管理プログラムは、管理装置において用いられる管理プログラムであって、コンピュータを、対象空間が複数の区画に区切られ、前記複数の区画のそれぞれに少なくとも1つのセンサが含まれるように配置された各前記センサの検知結果を取得する取得部と、前記取得部により取得された各前記検知結果に基づいて、前記対象空間の異常を判断する判断部、として機能させるためのプログラムである。
【0011】
(11)上記課題を解決するために、この発明の他の局面に係わる管理プログラムは、管理装置において用いられる管理プログラムであって、コンピュータを、対象空間に配置された複数のセンサによる煙の検知結果を取得する取得部と、前記取得部により取得された前記複数のセンサの前記検知結果と基準情報とに基づいて、前記対象空間の異常を判断する判断部、として機能させるためのプログラムであり、前記基準情報は、前記複数のセンサがそれぞれ煙を検知している状態における前記複数のセンサの前記検知結果に基づく情報である。
【0012】
本発明は、このような特徴的な処理部を備える管理装置の一部または全部を実現する半導体集積回路として実現したり、管理装置を含む管理システムとして実現したりすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、対象空間の異常をより正確に検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明の実施の形態に係る管理システムの構成を示す図である。
図2図2は、本発明の実施の形態に係る管理システムにおけるセンサの配置の例1を示す図である。
図3図3は、本発明の実施の形態に係る管理システムにおけるセンサの配置の例2を示す図である。
図4図4は、本発明の実施の形態に係る管理システムにおけるセンサの配置の例3を示す図である。
図5図5は、本発明の実施の形態に係る管理装置による動作の流れを定めたフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
最初に、本発明の実施形態の内容を列記して説明する。
【0016】
(1)本発明の実施の形態に係る管理装置は、対象空間が複数の区画に区切られ、前記複数の区画のそれぞれに少なくとも1つのセンサが含まれるように配置された各前記センサの検知結果を取得する取得部と、前記取得部により取得された各前記検知結果に基づいて、前記対象空間の異常を判断する判断部とを備える。
【0017】
個々の設備の異常を判断する場合、一般的に、当該設備に取り付けたセンサ、または当該設備の付近に配置したセンサの検知結果を用いる。しかしながら、このような方法では、当該設備の設けられた空間における異常の検知が困難な場合がある。
【0018】
そこで、上記のように、対象空間に分散して配置された複数のセンサの各々の検知結果を用いる構成により、対象空間の全体の状況を把握することができ、対象空間の異常をより正確に検知することができる。
【0019】
(2)好ましくは、前記複数の区画は整列されている。
【0020】
このような構成により、センサの配置の偏りがより少なくなるため、対象空間の全体の状況をより正確に把握して、対象空間の異常をより一層正確に検知することができる。
【0021】
(3)好ましくは、各前記区画は、互いに異なる設備を少なくとも1つ含むか、または通路によって区切られている。
【0022】
たとえば、対象空間に複数の設備が存在する場合、ある設備の周辺エリアと、他の設備の周辺エリアとでは状況が大きく異なることがある。また、通路を介して隣接するエリア同士では、互いに状況が大きく異なることがある。
【0023】
そこで、上記のように、互いに状況が大きく異なる可能性のあるエリアが異なる区画となるように対象空間が区切られることにより、複数のセンサをより効果的に配置することができる。
【0024】
(4)好ましくは、前記センサは、煙を検知可能である。
【0025】
たとえば、対象空間が、通常時において煙が発生している工場内であり、煙を検知可能なセンサが当該対象空間における設備またはその付近に設けられている場合、煙の発生の有無を検知することは可能であるが、煙が発生している状態が異常な状態であるか否かを判断することは困難である。
【0026】
これに対して、上記のように、センサの検知対象が煙であって、対象空間に分散して配置された複数のセンサの各々の検知結果を用いることにより、対象空間における煙の流れまたは分布を把握することが可能であるため、通常時における煙の流れまたは分布と比較することにより、煙が発生している状態が異常な状態であるか否かを正しく判断することができる。
【0027】
(5)好ましくは、前記対象空間は、物理的に区切られていない1つの閉空間で構成されている。
【0028】
このように、物理的に区切られていない1つの閉空間に複数のセンサが分散して配置される構成である場合、各センサの検知結果は互いに関連している可能性が高いため、一部のセンサによる誤検知などの影響を受けることを防ぎ、対象空間の異常をより正確に検知することができる。
【0029】
(6)好ましくは、前記判断部は、前記各検知結果と基準情報とに基づいて前記対象空間の異常を判断し、前記基準情報は、前記各センサが煙を検知している状態における前記各センサの前記検知結果に基づく情報である。
【0030】
たとえば、対象空間が、通常時において煙が発生している工場内であり、煙を検知可能なセンサが当該対象空間における設備またはその付近に設けられている場合、煙の発生の有無を検知することは可能であるが、煙が発生している状態が異常な状態であるか否かを判断することは困難である。
【0031】
これに対して、上記のような構成により、通常時における煙の検知結果に基づいて、対象空間の異常を判断することができるため、当該対象空間が、通常時において煙が発生している空間である場合でも、煙が発生している状態が異常な状態であるか否かを正しく判断することができる。したがって、対象空間の異常をより正確に検知することができる。
【0032】
(7)本発明の実施の形態に係る管理装置は、対象空間に配置された複数のセンサによる煙の検知結果をそれぞれ取得する取得部と、前記取得部により取得された前記複数のセンサの前記検知結果と基準情報とに基づいて、前記対象空間の異常を判断する判断部とを備え、前記基準情報は、前記複数のセンサがそれぞれ煙を検知している状態における前記複数のセンサの前記検知結果に基づく情報である。
【0033】
たとえば、対象空間が、通常時において煙が発生している工場内であり、煙を検知可能なセンサが当該対象空間における設備またはその付近に設けられている場合、煙の発生の有無を検知することは可能であるが、煙が発生している状態が異常な状態であるか否かを判断することは困難である。
【0034】
これに対して、上記のような構成により、通常時における煙の検知結果に基づいて、対象空間の異常を判断することができるため、当該対象空間が、通常時において煙が発生している空間である場合でも、煙が発生している状態が異常な状態であるか否かを正しく判断することができる。したがって、対象空間の異常をより正確に検知することができる。
【0035】
(8)本発明の実施の形態に係る管理方法は、管理装置における管理方法であって、対象空間が複数の区画に区切られ、前記複数の区画のそれぞれに少なくとも1つのセンサが含まれるように配置された各前記センサの検知結果を取得するステップと、取得した各前記検知結果に基づいて、前記対象空間の異常を判断するステップとを含む。
【0036】
個々の設備の異常を判断する場合、一般的に、当該設備に取り付けたセンサ、または当該設備の付近に配置したセンサの検知結果を用いる。しかしながら、このような方法では、当該設備の設けられた空間における異常の検知が困難な場合がある。
【0037】
そこで、上記のように、対象空間に分散して配置された複数のセンサの各々の検知結果を用いる方法により、対象空間の全体の状況を把握することができ、対象空間の異常をより正確に検知することができる。
【0038】
(9)本発明の実施の形態に係る管理方法は、管理装置における管理方法であって、対象空間に配置された複数のセンサによる煙の検知結果をそれぞれ取得するステップと、取得した前記複数のセンサの前記検知結果と基準情報とに基づいて、前記対象空間の異常を判断するステップとを含み、前記基準情報は、前記複数のセンサがそれぞれ煙を検知している状態における前記複数のセンサの前記検知結果に基づく情報である。
【0039】
たとえば、対象空間が、通常時において煙が発生している工場内であり、煙を検知可能なセンサが当該対象空間における設備またはその付近に設けられている場合、煙の発生の有無を検知することは可能であるが、煙が発生している状態が異常な状態であるか否かを判断することは困難である。
【0040】
これに対して、上記のような構成により、通常時における煙の検知結果に基づいて、対象空間の異常を判断することができるため、当該対象空間が、通常時において煙が発生している空間である場合でも、煙が発生している状態が異常な状態であるか否かを正しく判断することができる。したがって、対象空間の異常をより正確に検知することができる。
【0041】
(10)本発明の実施の形態に係る管理プログラムは、管理装置において用いられる管理プログラムであって、コンピュータを、対象空間が複数の区画に区切られ、前記複数の区画のそれぞれに少なくとも1つのセンサが含まれるように配置された各前記センサの検知結果を取得する取得部と、前記取得部により取得された各前記検知結果に基づいて、前記対象空間の異常を判断する判断部、として機能させるためのプログラムである。
【0042】
個々の設備の異常を判断する場合、一般的に、当該設備に取り付けたセンサ、または当該設備の付近に配置したセンサの検知結果を用いる。しかしながら、このような方法では、当該設備の設けられた空間における異常の検知が困難な場合がある。
【0043】
そこで、上記のように、対象空間に分散して配置された複数のセンサの各々の検知結果を用いる構成により、対象空間の全体の状況を把握することができ、対象空間の異常をより正確に検知することができる。
【0044】
(11)本発明の実施の形態に係る管理プログラムは、管理装置において用いられる管理プログラムであって、コンピュータを、対象空間に配置された複数のセンサによる煙の検知結果をそれぞれ取得する取得部と、前記取得部により取得された前記複数のセンサの前記検知結果と基準情報とに基づいて、前記対象空間の異常を判断する判断部、として機能させるためのプログラムであり、前記基準情報は、前記複数のセンサがそれぞれ煙を検知している状態における前記複数のセンサの前記検知結果に基づく情報である。
【0045】
たとえば、対象空間が、通常時において煙が発生している工場内であり、煙を検知可能なセンサが当該対象空間における設備またはその付近に設けられている場合、煙の発生の有無を検知することは可能であるが、煙が発生している状態が異常な状態であるか否かを判断することは困難である。
【0046】
これに対して、上記のように、センサの検知対象が煙であって、対象空間に分散して配置された複数のセンサの各々の検知結果を用いることにより、対象空間における煙の流れまたは分布を把握することが可能であるため、通常時における煙の流れまたは分布と比較することにより、煙が発生している状態が異常な状態であるか否かを正しく判断することができる。
【0047】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。また、以下に記載する実施の形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0048】
<構成および基本動作>
[管理システム]
図1は、本発明の実施の形態に係る管理システムの構成を示す図である。
【0049】
図1を参照して、管理システム201は、管理装置101と、複数のセンサ151とを備える。
【0050】
センサ151は、対象空間に設けられている。また、センサ151は、30秒毎など定期的、または不定期に煙の検知を行う。そして、センサ151は、たとえば無線通信により、検知結果を管理装置101へ送信する。
【0051】
対象空間は、たとえば、燃焼炉などの設備が設けられた工場内であり、通常時において煙が発生している状態である。また、対象空間は、たとえば、物理的に区切られていない1つの閉空間で構成されている。
【0052】
管理装置101は、受信部(取得部)11と、記憶部12と、判断部13と、通知部14とを含む。
【0053】
受信部11は、複数のセンサ151からそれぞれ送信された検知結果を受信し、受信した検知結果を記憶部12に保存する。また、受信部11は、受信した検知結果を判断部13へ出力する。
【0054】
判断部13は、受信部11から各センサ151の検知結果を受けると、各センサ151の検知結果を総合的に判断することにより、対象空間において異常が生じているか否かを判断する。たとえば、判断部13は、記憶部12に保存されている過去の複数の検知結果を読み出す。そして、判断部13は、読み出した過去の複数の検知結果と、受信部11から受けた各センサ151の検知結果とを総合的に判断することにより、対象空間において異常が生じているか否かを判断する。
【0055】
具体的には、上述のとおり、対象空間では通常時において煙が発生しているため、記憶部12には、複数のセンサ151がそれぞれ煙を検知している状態における複数のセンサ151の検知結果が保存される。検知結果は、たとえば、煙の濃度を示す。
【0056】
そして、判断部13は、記憶部12から読み出した複数の検知結果に基づいて、基準情報として、煙の濃度の閾値Thを決定する。なお、基準情報は、複数のセンサ151がそれぞれ煙を検知している状態における複数のセンサ151の検知結果に基づく情報であれば、閾値Thに限定されない。
【0057】
そして、判断部13は、たとえば、受信部11から受けた複数の検知結果の各々が示す煙の濃度と閾値Thとを比較する。そして、判断部13は、たとえば、受信部11から受けた複数の検知結果のうち、閾値Th以上の煙の濃度を示す検知結果の割合が所定値以上である場合、対象空間において異常が生じていると判断する。そして、判断部13は、判断結果を通知部14へ出力する。
【0058】
通知部14は、判断部13から受けた判断結果が対象空間において異常が生じていることを示す場合、警報を鳴らすなど、異常の発生を管理者等に通知する。
【0059】
なお、判断部13は、センサ151ごとに異なる値の閾値Thを決定してもよいし、複数のセンサ151に対して同じ値の閾値Thを決定してもよい。
【0060】
また、判断部13は、検知結果の示す煙の濃度と閾値Thとを比較する方法に限らず、各センサ151の検知結果に基づいて、他の方法を用いて対象空間における異常を判断してもよい。たとえば、判断部13は、記憶部12に保存されている過去の複数の検知結果を基準情報として、受信部11から受けた複数の検知結果と基準情報とを比較することにより、対象空間における異常を判断してもよい。
【0061】
また、センサ151は、煙に限らず、温度または湿度などを検知対象としてもよい。また、対象空間には、煙を検知対象とするセンサ151と、煙以外を検知対象とするセンサ151とが混在して設けられてもよい。また、対象空間は、閉空間であってもよいし、開空間であってもよい。
【0062】
また、対象空間は、たとえば、一部または全部が壁等の構造物によって物理的に区切られている空間であってもよい。
【0063】
[センサの配置の例]
対象空間は、仮想的に複数の区画に区切られ、これら複数の区画のそれぞれに少なくとも1つのセンサ151が含まれるように、複数のセンサ151が配置される。各区画は、たとえば、互いに異なる設備を少なくとも1つ含むか、または通路によって区切られている。以下、複数のセンサ151の配置の例について説明する。
【0064】
(例1)
図2は、本発明の実施の形態に係る管理システムにおけるセンサの配置の例1を示す図である。
【0065】
図2を参照して、対象空間X1に、設備A1および設備A2が設けられている。この場合、対象空間X1は、たとえば、設備A1および設備A2がそれぞれ異なる区画に含まれるように区切られる。
【0066】
具体的には、対象空間X1は、設備A1を含む区画Ea1と、設備A2を含む区画Ea2とに区切られる。これら区画Ea1および区画Ea2は、互いにほぼ同じ面積であり、整列している。
【0067】
そして、センサ151は、たとえば、区画Ea1および区画Ea2にそれぞれ1つずつ配置される。
【0068】
(例2)
図3は、本発明の実施の形態に係る管理システムにおけるセンサの配置の例2を示す図である。
【0069】
図3を参照して、対象空間X2に、設備B1〜B4が設けられている。この場合、対象空間X2は、たとえば、設備B1〜B4がそれぞれ異なる区画に含まれるように区切られる。
【0070】
具体的には、対象空間X2は、たとえば、格子状に、区画Eb1〜Eb6に区切られる。これら区画Eb1〜Eb6は、互いにほぼ同じ面積であり、整列している。区画Eb1〜Eb4は、それぞれ設備B1〜B4を含み、区画Eb5および区画Eb6は、設備を含まない。
【0071】
そして、センサ151は、たとえば、区画Eb1〜Eb6にそれぞれ1つずつ配置される。
【0072】
(例3)
図4は、本発明の実施の形態に係る管理システムにおけるセンサの配置の例3を示す図である。
【0073】
図4を参照して、対象空間X3に、設備C1〜C8が設けられている。また、対象空間X3に、通路P1および通路P2が設けられている。
【0074】
この場合、対象空間X3は、たとえば、通路P1を介して隣接するエリア同士が異なる区画となり、通路P2を介して隣接するエリア同士が異なる区画となり、かつ、設備C1〜C8がそれぞれ異なる区画に含まれるように区切られる。
【0075】
具体的には、対象空間X3は、たとえば、格子状に、区画Ec1〜Ec12に区切られる。これら区画Ec1〜Ec12は、互いにほぼ同じ面積であり、整列している。区画Ec1〜Ec8は、それぞれ設備C1〜C8を含み、区画Ec9〜Ec12は、設備を含まない。
【0076】
そして、センサ151は、たとえば、区画Ec1〜Ec12にそれぞれ1つずつ配置される。
【0077】
なお、センサ151の配置は、上述した例1〜例3に示す配置に限らず、たとえば、1つの区画に複数のセンサ151が配置されてもよい。また、1つの区画に複数の設備が含まれてもよい。
【0078】
また、対象空間は、互いに面積の異なる複数の区画に区切られてもよい。また、複数の区画は、整列していなくてもよい。
【0079】
しかしながら、上述した例1〜例3のように、複数の区画が互いにほぼ同じ面積であり、これら複数の区画が整列している場合であって、各区画に少なくとも1つのセンサ151が含まれるように複数のセンサ151が配置されることにより、複数のセンサ151は、対象空間の全体に偏りなく配置される。そして、このように、対象空間の全体に偏りなく複数のセンサ151が配置されることにより、対象空間の全体を把握して、対象空間の異常をより正確に検知することが可能である。
【0080】
すなわち、複数の区画が整列している場合、センサ151の配置の偏りが少なくなるため、複数の区画は整列していることが好ましい。また、複数の区画の互いの面積がほぼ同じである場合、センサ151の配置の偏りがより少なくなるため、複数の区画は、互いの面積がほぼ同じであることがより好ましい。
【0081】
<動作の流れ>
次に、本発明の実施の形態に係る管理装置101による動作の流れについて説明する。
【0082】
管理システム201における各装置は、コンピュータを備え、当該コンピュータにおけるCPU等の演算処理部は、以下のフローチャートの各ステップの一部または全部を含むプログラムを図示しないメモリから読み出して実行する。これら複数の装置のプログラムは、それぞれ、外部からインストールすることができる。これら複数の装置のプログラムは、それぞれ、記録媒体に格納された状態で流通する。
【0083】
図5は、本発明の実施の形態に係る管理装置による動作の流れを定めたフローチャートである。
【0084】
図5を参照して、まず、管理装置101は、対象空間に配置された複数のセンサ151からそれぞれ検知結果を受信する(ステップS11)。
【0085】
次に、管理装置101は、たとえば、複数のセンサ151の過去の検知結果に基づく基準情報を取得し、取得した基準情報と、ステップS11において受信した各センサ151の検知結果とに基づいて、対象空間において異常が生じているか否かを判断する(ステップS12)。
【0086】
そして、管理装置101は、対象空間において異常が生じていると判断した場合(ステップS13において「YES」)、管理者等への通知を行う(ステップS14)。そして、管理装置101は、ステップS11〜ステップS14に示す動作を再び行う。
【0087】
一方、管理装置101は、対象空間において異常が生じていないと判断した場合(ステップS13において「NO」)、管理者等への通知は行わず、ステップS11〜ステップS14に示す動作を再び行う。
【0088】
<変形例1>
上述した本発明の実施の形態では、管理装置101における判断部13は、複数のセンサ151の検知結果と基準情報とに基づいて、対象空間の異常を判断する。しかしながら、このような構成に限定されず、判断部13は、基準情報を用いることなく、各区画に配置された複数のセンサ151の検知結果に基づいて、対象空間の異常を判断してもよい。
【0089】
また、センサ151が煙を検知対象とするセンサである場合においても、対象空間は、通常時において煙が発生していない空間であってもよい。
【0090】
<変形例2>
対象空間は、複数の区画に区切られなくてもよい。たとえば、管理装置101における判断部13は、対象空間のいずれかの場所に設けられた複数のセンサ151の各々の検知結果と上述のような基準情報とに基づいて、対象空間の異常を判断してもよい。
【0091】
ところで、特許文献1に記載の異常検知装置は、プラント等の監視対象の異常音を検知するためのマイクロフォンが設けられる構成であるが、当該監視対象が設けられた工場等における異常を検知することが困難な場合がある。
【0092】
これに対して、本発明の実施の形態に係る管理システム201では、対象空間が複数の区画に区切られ、複数の区画のそれぞれに少なくとも1つのセンサ151が含まれるように配置されている。また、管理装置101における受信部11は、上記のように配置された各センサ151の検知結果を受信する。また、判断部13は、受信部11により受信された各検知結果に基づいて、対象空間の異常を判断する。
【0093】
個々の設備の異常を判断する場合、一般的に、当該設備に取り付けたセンサ、または当該設備の付近に配置したセンサの検知結果を用いる。しかしながら、このような方法では、当該設備の設けられた空間における異常の検知が困難な場合がある。
【0094】
そこで、上記のように、対象空間に分散して配置された複数のセンサ151の各々の検知結果を用いる構成により、対象空間の全体の状況を把握することができ、対象空間の異常をより正確に検知することができる。
【0095】
また、本発明の実施の形態に係る管理装置101において、対象空間は、複数の区画に区切られ、複数の区画は、整列されている。
【0096】
このような構成により、センサ151の配置の偏りがより少なくなるため、対象空間の全体の状況をより正確に把握して、対象空間の異常をより一層正確に検知することができる。
【0097】
また、本発明の実施の形態に係る管理装置101において、対象空間は、複数の区画に区切られ、各区画は、互いに異なる設備を少なくとも1つ含むか、または通路によって区切られている。
【0098】
たとえば、対象空間に複数の設備が存在する場合、ある設備の周辺エリアと、他の設備の周辺エリアとでは状況が大きく異なることがある。また、通路を介して隣接するエリア同士では、互いに状況が大きく異なることがある。
【0099】
そこで、上記のように、互いに状況が大きく異なる可能性のあるエリアが異なる区画となるように対象空間が区切られることにより、複数のセンサ151をより効果的に配置することができる。
【0100】
また、本発明の実施の形態に係る管理システム201では、センサ151は、煙を検知可能である。
【0101】
たとえば、対象空間が、通常時において煙が発生している工場内であり、煙を検知可能なセンサが当該対象空間における設備またはその付近に設けられている場合、煙の発生の有無を検知することは可能であるが、煙が発生している状態が異常な状態であるか否かを判断することは困難である。
【0102】
これに対して、上記のように、センサ151の検知対象が煙であって、対象空間に分散して配置された複数のセンサ151の各々の検知結果を用いることにより、対象空間における煙の流れまたは分布を把握することが可能であるため、通常時における煙の流れまたは分布と比較することにより、煙が発生している状態が異常な状態であるか否かを正しく判断することができる。
【0103】
また、本発明の実施の形態に係る管理装置101において、対象空間は、物理的に区切られていない1つの閉空間で構成されている。
【0104】
このように、物理的に区切られていない1つの閉空間に複数のセンサが分散して配置される構成である場合、各センサの検知結果は互いに関連している可能性が高いため、一部のセンサによる誤検知などの影響を受けることを防ぎ、対象空間の異常をより正確に検知することができる。
【0105】
また、本発明の実施の形態に係る管理装置101において、判断部13は、各センサ151の検知結果と基準情報とに基づいて対象空間の異常を判断する。また、基準情報は、各センサ151が煙を検知している状態における各センサ151の検知結果に基づく情報である。
【0106】
このような構成により、通常時における煙の検知結果に基づいて、対象空間の異常を判断することができるため、当該対象空間が、通常時において煙が発生している空間である場合でも、煙が発生している状態が異常な状態であるか否かを正しく判断することができる。したがって、対象空間の異常をより正確に検知することができる。
【0107】
また、本発明の実施の形態に係る管理装置101では、受信部11は、対象空間に配置された複数のセンサ151による煙の検知結果をそれぞれ受信する。また、判断部13は、受信部11により受信された複数のセンサ151の検知結果と基準情報とに基づいて、対象空間の異常を判断する。また、基準情報は、複数のセンサ151がそれぞれ煙を検知している状態における複数のセンサ151の検知結果に基づく情報である。
【0108】
たとえば、対象空間が、通常時において煙が発生している工場内であり、煙を検知可能なセンサが当該対象空間における設備またはその付近に設けられている場合、煙の発生の有無を検知することは可能であるが、煙が発生している状態が異常な状態であるか否かを判断することは困難である。
【0109】
これに対して、上記のような構成により、通常時における煙の検知結果に基づいて、対象空間の異常を判断することができるため、当該対象空間が、通常時において煙が発生している空間である場合でも、煙が発生している状態が異常な状態であるか否かを正しく判断することができる。したがって、対象空間の異常をより正確に検知することができる。
【0110】
なお、本発明の実施の形態に係る管理装置101の機能の一部または全部が、クラウドコンピューティングによって提供されてもよい。すなわち、本発明の実施の形態に係る管理装置101が、複数のクラウドサーバ等によって構成されてもよい。
【0111】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0112】
以上の説明は、以下に付記する特徴を含む。
【0113】
[付記1]
対象空間が複数の区画に区切られ、前記複数の区画のそれぞれに少なくとも1つのセンサが含まれるように配置された各前記センサの検知結果を取得する取得部と、
前記取得部により取得された各前記検知結果に基づいて、前記対象空間の異常を判断する判断部とを備え、
前記対象空間は、燃焼炉が設けられた工場内であり、通常時において煙が発生し、
前記複数の区画は、互いに同じ面積である、管理装置。
【0114】
[付記2]
対象空間に配置された複数のセンサによる煙の検知結果をそれぞれ取得する取得部と、
前記取得部により取得された前記複数のセンサの前記検知結果と基準情報とに基づいて、前記対象空間の異常を判断する判断部とを備え、
前記基準情報は、前記複数のセンサがそれぞれ煙を検知している状態における前記複数のセンサの前記検知結果に基づく情報であり、
前記対象空間は、燃焼炉が設けられた工場内であり、通常時において煙が発生し、
各前記検知結果は、煙の濃度を示し、
前記基準情報は、過去の通常時における前記各検知結果に基づく、煙の濃度の閾値である、管理装置。
【符号の説明】
【0115】
11 受信部(取得部)
12 記憶部
13 判断部
14 通知部
101 管理装置
151 センサ
201 管理システム
図1
図2
図3
図4
図5