(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
内周に凹溝が形成されている外筒と、前記外筒の径方向内側に設けられている内側部材と、前記外筒と前記内側部材との間に介在している複数の転動体と、前記外筒と前記内側部材との間に形成されている環状空間を密封するシールユニットと、を備え、
前記シールユニットは、
前記外筒の径方向内側かつ前記転動体の軸方向隣りの位置に当該外筒との間で相対回転可能な状態で設けられ、当該転動体と軸方向に接触可能である鍔輪と、
前記外筒の径方向内側かつ前記鍔輪の軸方向隣りに位置し、周方向に複数に分割された分割体を有し前記鍔輪の軸方向への移動を規制する止め輪と、
前記鍔輪と共に設けられている環状のシール部材と、を有し、
前記鍔輪は、前記止め輪の径方向内側に位置する突出部を有し、
前記シールユニットは、更に、前記止め輪と前記突出部との間に設けられ当該止め輪を径方向内側から支持し当該止め輪の外周部を前記凹溝に位置させるスペーサを有し、
前記止め輪は、前記外筒よりも軟質である、軸受装置。
【背景技術】
【0002】
例えば圧延機に用いられるレベラー用の軸受装置は、
図7に示すように、ローラとなる外筒81と、その径方向内側の内輪83と、これらの間に介在している複数の円筒ころ82とを備えている。この軸受装置は、冷却水が用いられる環境で使用されることから、円筒ころ82が存在する軸受内部に冷却水が浸入しないように、外筒81と内輪83との間の環状空間86を密封するシールユニット80を更に備えている。
【0003】
シールユニット80は、外筒81の径方向内側かつ円筒ころ82の軸方向隣りに設けられている鍔輪89と、その軸方向隣りに設けられている止め輪88と、鍔輪89と共に設けられている環状のシール部材87と、内輪83に外嵌するスリンガ85とを有している。鍔輪89は、円筒ころ82と軸方向に接触可能であり、また、外筒81との間で相対回転可能な状態にある。止め輪88は、鍔輪89の軸方向外側(
図7では左側)への移動を規制するための部材であり、外筒81に形成されている凹溝81aに嵌合している。そして、鍔輪89と外筒81との間にはOリング84が介在しており、シール部材87のリップ87a,87bがスリンガ85に接触することで、環状空間86の密封性が確保されている。
【0004】
止め輪88は、軸方向及び径方向に弾性変形可能である構成を備えており、止め輪88を一旦縮径させてから拡径させることにより、外筒81の凹溝81aに嵌め入れることができる。この止め輪88は、軸方向に薄い部材であり、前記のとおり弾性を有して機能的であるが、特殊品であり、また、比較的硬い材料により構成されている。
【0005】
このような特殊品である止め輪88を採用しないでシールユニットを構成する手段として、
図8に示す軸受装置がある(例えば、特許文献1参照)。この軸受装置が備えているシールユニット90では、鍔輪89の軸方向の移動を規制するために、周方向に四分割されている外側輪91と、止め輪92とを組み合わせた構成が採用されている。四分割されている外側輪91が止め輪92の弾性力によって径方向外側に押されることで、外側輪91が外筒81の凹溝81aに嵌まることができ、これら外側輪91及び止め輪92によって、鍔輪89の軸方向外側(
図8では左側)への移動が防止される。外側輪91は、止め輪92が軸方向に脱落しないように、第一環状突部93と第二環状突部94とを有している。このため、外側輪91は軸方向に幅広となっており、これに応じて外筒81の凹溝81aも(
図7の場合と比較して)軸方向に幅広となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記軸受装置は圧延機に用いられており、外筒81がローラ(回転輪)となる。
図7に示す従来例の場合、軸受装置に軸方向荷重が作用し円筒ころ82が鍔輪89に接触すると、円筒ころ82と外筒81との公転速度差により鍔輪89は外筒81に対して回転し、更に、この鍔輪89が止め輪88に接触することで止め輪88も回転する(連れ回りする)場合がある。この場合、止め輪88は、外筒81よりも硬質であるため、外筒81と止め輪88との公転速度差により、外筒81(凹溝81aの側壁)がやがて摩耗し、シール部材87を取り付けている鍔輪89の軸方向の移動量が増え、これに伴ってシール部材87の密封性能が低下して軸受内部に水が浸入し、錆の発生や早期損傷の原因となる。
図7に示す従来例の場合、メンテナンスとして外筒81(ローラ)を交換する必要がありコストがかかってしまう。
【0008】
また、
図8に示す従来例の場合、止め輪92よりも軸方向に幅広である外側輪91が、外筒81の凹溝81aに嵌め入れられる。このため、凹溝81aを軸方向に幅広として形成する必要があるが、シールユニット90の設置スペース(つまり、外筒81の軸方向端面81bと円筒ころ82との間の軸方向のスペース)に余裕がない場合、
図8に示す構成を採用することが難しい。
【0009】
そこで、本発明は、シールユニットの設置スペースに余裕がなくても、軸受装置の長期使用を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、内周に凹溝が形成されている外筒と、前記外筒の径方向内側に設けられている内側部材と、前記外筒と前記内側部材との間に介在している複数の転動体と、前記外筒と前記内側部材との間に形成されている環状空間を密封するシールユニットと、を備え、前記シールユニットは、前記外筒の径方向内側かつ前記転動体の軸方向隣りの位置に当該外筒との間で相対回転可能な状態で設けられ、当該転動体と軸方向に接触可能である鍔輪と、前記外筒の径方向内側かつ前記鍔輪の軸方向隣りに位置し、周方向に複数に分割された分割体を有し前記鍔輪の軸方向への移動を規制する止め輪と、前記鍔輪と共に設けられている環状のシール部材と、を有し、前記鍔輪は、前記止め輪の径方向内側に位置する突出部を有し、前記シールユニットは、更に、前記止め輪と前記突出部との間に設けられ当該止め輪を径方向内側から支持し当該止め輪の外周部を前記凹溝に位置させるスペーサを有し、前記止め輪は、前記外筒よりも軟質である。
【0011】
この軸受装置によれば、軸方向荷重が作用し転動体が鍔輪に接触すると、転動体と外筒との公転速度差により鍔輪は外筒に対して回転し、また、この鍔輪が止め輪に接触することで止め輪も回転する(連れ回りする)場合がある。そこで、止め輪が回転しても、この止め輪(分割体)は外筒よりも軟質であるため、外筒(凹溝)ではなく、止め輪(分割体)が摩耗し、メンテナンスのために外筒を交換するのではなく、止め輪(分割体)を交換することで、軸受装置を長期にわたって使用することが可能となる。また、止め輪(分割体)はスペーサによって径方向内側から支持されることで凹溝に位置することができるので、この止め輪(分割体)は軸方向に薄い部材でよく、シールユニットの設置スペースに余裕がなくても、長期使用を実現可能とする。
【0012】
また、前記突出部は、前記スペーサの一部を軸方向から覆うストッパ突部を有しているのが好ましい。
この軸受装置によれば、止め輪(分割体)と突出部との間からスペーサが脱落するのを防止することができる。
【0013】
また、前記スペーサは、環状であり、前記止め輪と前記突出部との間において、前記突出部が前記ストッパ突部を部分的に有さないことで、軸方向に向かって前記スペーサを露出させている開口が設けられているのが好ましい。
この軸受装置によれば、例えばメンテナンスの際、前記開口からスペーサを取り出すことができ、また、スペーサの組み付けの際、前記開口からスペーサを挿入することができる。つまり、装置の使用時には、ストッパ突部によって、スペーサは取り付け状態で脱落が防止されると共に、メンテナンスの際、前記開口によって、スペーサの取り付け及び取り外しが容易となる構成が得られる。なお、スペーサは環状であるが、この環状には、周方向に連続している完全な輪を構成している形態以外として、複数本の紐状の弾性部材を周方向に並べて配置して環状とした構成であってもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、長期にわたって軸受装置の使用が可能となり、また、シールユニットの設置スペースに余裕がなくても、長期使用を実現可能とする。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本発明の軸受装置の実施の一形態を示す断面図である。この軸受装置7は、外筒11と、外筒11の径方向内側に設けられている内側部材12と、外筒11と内側部材12との間に介在している複数の円筒ころ(転動体)13と、シールユニット20とを備えている。
図1に示す軸受装置7は圧延機に用いられるレベラー用の軸受装置であり、外筒11が、回転するローラ(回転輪)となる。
【0017】
外筒11は、円筒状の部材であり、その内周に凹溝15が形成されている。凹溝15は、環状の溝からなる。外筒11は、軸方向の中央側に、円筒ころ13が転がり接触する軌道面11aを有しており、また、軸方向の端部に、軌道面11aよりも内径が拡大している円筒面11bを有している。本実施形態では、円筒ころ13は二列となって、外筒11と内側部材12との間に形成されている環状空間14に設けられている。
【0018】
内側部材12は、円筒状の部材であり、軸8に外嵌して取り付けられている。内側部材12は、軸方向の中央側に、円筒ころ13が転がり接触する軌道面12aを有しており、また、軸方向の端部に、径方向外側へ突出している鍔部16が形成されている。鍔部16は円筒ころ13の軸方向側面13aと接触可能となっており、円筒ころ13の軸方向の移動を規制している。本実施形態では軸8と内側部材12とが別体であるが、一体であってもよく、これを内側部材12としてもよい。また、本実施形態では、鍔部16と内側部材12とが一体であるが、別体であってもよく、別体の場合、鍔部16は留め金等によって固定される。本実施形態の外筒11、内側部材12、及び円筒ころ13は、軸受鋼からなる。
【0019】
図2は、シールユニット20及びその周囲を示す断面図である。シールユニット20は、外筒11と内側部材12との間に形成されている環状空間14を密封する機能を有している。シールユニット20は、鍔輪21、止め輪22、環状のシール部材24、及びスペーサ26を有している。更に本実施形態では、シールユニット20は環状のスリンガ25を有している。
【0020】
鍔輪21は環状の部材であり、外筒11の径方向内側(前記円筒面11b)であって、かつ円筒ころ13の軸方向隣りの位置に設けられている。鍔輪21は、環状の本体部31と、本体部31の軸方向一方側に設けられている接触部32と、本体部31の軸方向他方側に設けられている突出部33とを有している。なお、軸方向一方側は、円筒ころ13が設けられている軸受内部側であり、軸方向他方側は、その反対側の大気側である。
【0021】
鍔輪21は、外筒11に固定されておらず、円筒面11bと隙間を有して取り付けられていることから、外筒11との間で相対回転可能な状態にある。本体部31の外周側には凹溝31aが形成されており、凹溝31aに、環状のシール部材としてOリング41が設けられている。Oリング41は、外筒11(円筒面11b)と鍔輪21との間に介在し、異物(水)が外筒11の内周側をつたって環状空間14に浸入するのを防ぐ。また、円筒ころ13が僅かに軸方向一方側に移動することで、鍔輪21も同方向に移動可能であるが、軸方向他方側への移動は止め輪22によって制限されている。鍔輪21の材質は、主に軸受鋼からなる。
【0022】
鍔輪21の接触部32は、本体部31から軸方向一方側に向かって突出している短円筒状の部分であり、円筒ころ13の側面13aに軸方向から接触可能である。
鍔輪21の突出部33は、本体部31から軸方向他方側に向かって突出している短円筒状の部分であり、止め輪22の径方向内側に位置する。突出部33と止め輪22との間には、スペーサ26を配置させる環状の空間が形成されている。
また、本実施形態の突出部33は、その先端側に、径方向外側に突出しているストッパ突部34を有している。ストッパ突部34は、スペーサ26の一部(内周側の部分)を軸方向他方側から覆っている。
【0023】
図3は、
図2と異なる周方向位置におけるシールユニット20及びその周囲を示す断面図である。鍔輪21が有する突出部33は全体として短円筒状であるが、その断面形状は周方向に沿って同じではなく、
図2及び
図3に示すように部分的に異なっている。具体的に説明すると、突出部33は、周方向の大部分で、
図2に示すストッパ突部34を含む断面形状を有しているが、周方向の一部で、
図3に示すようにストッパ突部34が設けられていない断面形状を有している。本実施形態では、周方向の二箇所の小範囲が、
図3に示す形態となっており、残りの広い範囲が、
図2に示す形態となっている。
【0024】
図2に示す断面位置では、止め輪22の径方向内側にスペーサ26が設けられている状態で、ストッパ突部34によってスペーサ26の一部(内周側の部分)が(スリンガ25を取り外した状態で)軸方向他方側から見たときに隠されており、スペーサ26の残りの他部(前記内周側の部分以外)が軸方向他方側に向かって露出した状態にある。これに対して、
図3に示す断面位置では、(スリンガ25を取り外した状態で)軸方向他方側から見たときにスペーサ26の全体が、軸方向他方側に向かって露出した状態にある。
以上より、止め輪22と鍔輪21の突出部33との間において、突出部33にストッパ突部34が設けられていないことにより(
図3参照)、軸方向他方側に向かってスペーサ26の全体を露出させている開口35が、部分的(本実施形態では二箇所)に設けられている。つまり、この開口35では、スペーサ26の軸方向他方側の全てが露出する。
【0025】
止め輪22は、
図4に示すように全体として環状であるが、周方向に複数に分割されている。本実施形態では四分割されている。止め輪22は、周方向に四分割された分割体23を有している。なお、この分割数を四つ以外とすることができるが、三分割以上とするのが好ましい。止め輪22は、
図2及び
図3に示すように、外筒11の径方向内側(前記円筒面11b)であって、かつ鍔輪21の軸方向隣りに位置して設けられている。
【0026】
止め輪22は、外筒11に固定されておらず、外筒11の凹溝15に嵌って設けられていることから、外筒11との間で相対回転可能な状態にある。凹溝15に止め輪22が嵌っている状態で、この止め輪22(分割体23)の側面に、鍔輪21が接触可能であることから、止め輪22(分割体23)は、鍔輪21が軸方向他方側へ移動するのを規制することができる。止め輪22(分割体23)は、
図2及び
図3に示すように断面矩形であり、その断面形状が周方向に沿って変化せず一定である。
【0027】
止め輪22(分割体23)の材質は、耐食鋼(ステンレス鋼)で硬度を調整したものからなる。止め輪22(分割体23)は、外筒11よりも軟質である。例えば、外筒11の硬さは、35〜45HSであるのに対して、止め輪22(分割体23)の硬さは、30HS以下である。
【0028】
シール部材24は、環状であり、鍔輪21と共に設けられている。具体的構成を説明すると、シール部材24は、第一芯金36と、第二芯金37と、第一芯金36に固定されている第一シール38と、第二芯金37に固定されている第二シール39と、第二シール39に取り付けられているスプリング40とを有している。芯金36,37は、金属製(例えばステンレス鋼)であり、シール38,39は、ゴム製である。芯金36,37が、鍔輪21の突出部33の内周側に嵌合し、かつ、本体部31に軸方向に接触した状態となって、シール部材24は鍔輪21に固定されている。
【0029】
スリンガ25は、内側部材12の軸方向端部に嵌合して取り付けられている。スリンガ25は、断面が略L字形であり、円環形状の第一部25aと円筒形状の第二部25bとを有している。第一部25aと外筒11の円筒面11bとの間には隙間が形成されている。この隙間により、軸方向他方側の外部から環状空間14へ異物(水)が浸入するのを抑制することができる。そして、第一部25aに第一シール38が接触可能であり、第二部25bに第二シール39が接触可能であり、これにより、軸方向他方側の外部から環状空間14へ異物(水)が浸入するのを防止することができる。スリンガ25は、金属製(例えばステンレス鋼)である。
【0030】
スペーサ26は、環状であり、止め輪22(分割体23)と、鍔輪21の突出部33との間に設けられている。スペーサ26は、止め輪22(分割体23)を径方向内側から支持しており、止め輪22(分割体23)の外周部23aを外筒11の凹溝15に位置させるための部材である。
図2に示すスペーサ26は、断面が円形である紐状の弾性部材からなり、止め輪22の径方向内側の環状領域に設けられている。本実施形態のスペーサ26は、フッ素樹脂製のチューブからなり、弾性を有している。スペーサ26は全体として環状であるが、この環状には、周方向に連続している完全な輪を構成している形態以外として、複数本の紐状の弾性部材を周方向に並べて配置して環状とした構成であってもよい。
【0031】
以上のように、本実施形態の軸受装置7によれば、外筒11が回転している状態で軸方向荷重が作用し円筒ころ13が鍔輪21に接触すると、円筒ころ13と外筒11との公転速度差により鍔輪21は外筒11に対して回転し、また、この鍔輪21が止め輪22に接触することで止め輪22も回転する(連れ回りする)場合がある。そこで、止め輪22が回転しても、前記のとおり止め輪22(分割体23)は外筒11よりも軟質であるため、外筒11(凹溝15)ではなく、止め輪22(分割体23)が摩耗する。このため、メンテナンスとして、外筒11を交換するのではなく、止め輪22(分割体23)を交換すればよく、メンテナンス費用を低減することができ、また、このメンテナンスを行うことで、軸受装置7を長期にわたって使用することが可能となる。
【0032】
そして、止め輪22(分割体23)は、スペーサ26によって径方向内側から支持されることで凹溝15に位置することができる構成であるため、この止め輪22(分割体23)は軸方向に薄い部材でよい。特に、本実施形態では止め輪22(分割体23)は断面矩形であるため軸方向に薄い部材となる。このため、軸受装置7の軸方向端部において、シールユニット20の設置スペースに余裕がなくても、前記のとおり軸受装置7の長期使用を実現可能とする。
【0033】
また、本実施形態では(
図2参照)、スペーサ26を介して分割体23を支持する鍔輪21の突出部33は、その先端側に、スペーサ26の一部を軸方向から覆うストッパ突部34を有している。このストッパ突部34によれば、分割体23と突出部33との間からスペーサ26が軸方向他方側へ脱落するのを防止することができる。
【0034】
更に、前記のとおり(
図3参照)突出部33にストッパ突部34が設けられていないことで、スペーサ26の軸方向他方側の全てを露出させている開口35が部分的に形成されているので、軸受装置7のメンテナンスの際、この開口35からスペーサ26を取り出すことができ、また、スペーサ26の組み付けの際、この開口35からスペーサ26を挿入することができる。つまり、装置の使用時には、ストッパ突部34(
図2参照)によって、スペーサ26は取り付け状態で脱落が防止されると共に、メンテナンスの際、開口35(
図3参照)によって、スペーサ26の取り付け及び取り外しが容易となる構成が得られる。
【0035】
ここで、シールユニット20の組み付けについて説明する。
図5に示すように、外筒11と内側部材12との間に円筒ころ13を設けた状態で、鍔輪21をOリング41と共に外筒11の円筒面11bに嵌め入れ、更に、この鍔輪21の隣りに分割体23を設ける。複数の(四つの)分割体23は周方向について相互に接近させており、止め輪22としては縮径した状態にある。なお、鍔輪21にはシール部材24が取り付けられた状態にある。その後、
図6に示すように、スペーサ26を突出部33の径方向外側に入れることで、スペーサ26が分割体23を径方向外側へ押し上げる。分割体23は、スペーサ26の径方向寸法(直径)と同じ寸法について径方向外側へ移動し、この状態で止め輪22として拡径した状態にある。これにより、分割体23の外周部22aは外筒11の凹溝15に嵌った状態となり、鍔輪21は、軸方向他方側へ移動不能となり、また、スペーサ26は、鍔輪21のストッパ突部34と本体部31との間に挟まれて軸方向への脱落が防止される。そして、スリンガ25(
図2参照)を取り付ける。以上より、シールユニット20が構成される。
【0036】
以上のとおり開示した実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。つまり、本発明の軸受装置は、図示する形態に限らず本発明の範囲内において他の形態のものであってもよい。例えば、前記実施形態では、軸受装置7を圧延機のレベラー用として説明したが、他の用途においても適用可能であり、特に、供回りによって部品間で周速差が発生し、部品間の摩耗が問題となる箇所に適用可能である。更に、シールユニット20の設置スペースが限られている箇所に適用するのがより好ましい。
また、シール部材24やスリンガ25は図示した形態以外であってもよい。