特許第6772780号(P6772780)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6772780
(24)【登録日】2020年10月5日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】流体制御弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 11/044 20060101AFI20201012BHJP
   F16K 7/17 20060101ALI20201012BHJP
【FI】
   F16K11/044 Z
   F16K7/17 Z
【請求項の数】3
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-227375(P2016-227375)
(22)【出願日】2016年11月23日
(65)【公開番号】特開2018-84277(P2018-84277A)
(43)【公開日】2018年5月31日
【審査請求日】2019年10月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130188
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 喜一
(74)【代理人】
【識別番号】100089082
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 脩
(74)【代理人】
【識別番号】100190333
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 群司
(72)【発明者】
【氏名】柏木 幸一
(72)【発明者】
【氏名】菊 信隆
【審査官】 橋本 敏行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−077787(JP,A)
【文献】 実開昭56−133175(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0092116(US,A1)
【文献】 実開昭48−103921(JP,U)
【文献】 特許第5720176(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K7/00−13/10
25/00−25/04
29/00−31/165
31/36−31/42
33/00
99/00
H01M8/00−8/2495
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を流通させる弁室を内側に設けられたハウジングと、
前記弁室に配置され、第一位置と前記第一位置と異なる第二位置との間を第一方向に沿って移動可能に設けられた弁体と、
前記弁体を移動させるように駆動する駆動装置と、
前記弁体が前記第一方向に沿って貫通するように配置され、前記弁体の移動に応じて撓む膜状に設けられるとともに、前記弁室を第一流体室と第二流体室とに区画するように配置されたダイヤフラムと、
前記第一流体室に前記流体を導入する導入口と、
前記第一流体室から前記流体を導出する第一導出口と、
前記第一流体室に設けられ、前記弁体が前記第一位置に位置する場合、前記弁体と接触することにより、前記導入口から前記第一流体室への前記流体の導入を規制する第一弁座と、
前記弁体に設けられ、前記弁体が前記第一位置に位置する場合に前記導入口と前記第二流体室とを接続し、前記弁体が前記第二位置に位置する場合に前記第一流体室と前記第二流体室とを接続する接続路と、
前記第二流体室から前記流体を導出する第二導出口と、
前記第二流体室に設けられ、前記弁体が前記第二位置に位置する場合、前記弁体と接触することにより、前記接続路および前記第二流体室から前記第二導出口への前記流体の導出を規制する第二弁座と、を備えている流体制御弁。
【請求項2】
前記弁体は、
前記第一方向を軸線方向とする筒状に設けられるとともに、第一端にて前記第一流体室側に開口する第一開口部と、第二端にて前記第二流体室側に開口する第二開口部とを設けられた本体部と、
前記本体部の内側に設けられるとともに、前記第二開口部側に向けて開口する筒状に形成された有底の筒壁部と、前記筒壁部の周側壁の一部と前記本体部の周側壁の一部とを全周に亘って接続する接続壁部とを設けられた内壁部と、を備え、
前記本体部の前記第一開口部には、前記第一弁座と接触可能な第一接触部が設けられ、
前記筒壁部の底壁には、前記第二弁座と接触可能な第二接触部が設けられ、
前記筒壁部の周側壁には、前記第一開口部と前記第二開口部とを連通させる連通穴が設けられ、
前記接続路は、前記連通穴を介して前記第一開口部と前記第二開口部とを接続する前記流体の流路である請求項1に記載の流体制御弁。
【請求項3】
前記弁体は、前記第一位置に位置する場合、前記導入口の前記流体の圧力が作用する第一受圧部を有し、
前記ダイヤフラムは、前記第二流体室の前記流体の圧力が作用する第二受圧部を有し、
前記第一受圧部の有効受圧面積と前記第二受圧部の有効受圧面積とが、同一の面積となるように設定されている請求項1または請求項2に記載の流体制御弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体制御弁に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示された流体制御弁(ガス体制御弁2)は、特許文献1の図1に示すように、燃料電池システムの酸化剤ガスの供給路上に設けられている。この流体制御弁は、特許文献1の図2に示すように、ケーシング4、第一弁座30、第二弁座34、弁体6および駆動装置8を備えている。ケーシング4は、流入通路12、第一流出通路16及び第二流出通路20が形成されている。第一弁座30は、流入通路12と第一流出通路16との間に形成されている。第二弁座34は、流入通路12と第二流出通路20との間に形成されている。弁体6は、第一弁座30および第二弁座34と接離するものである。駆動装置8は、弁体6と第一弁座30とが当接する第一閉鎖位置と、弁体6と第二弁座34とが当接する第二閉鎖位置との間にて弁体6を移動させるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5720176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1の流体制御弁において、弁体6が第一閉鎖位置に位置することにより第一弁座30と弁体6とが接触している閉弁状態である場合に、流入通路12と第一流出通路16との差圧が比較的大きいとき、閉弁状態である弁体6と第一弁座30とを離して開弁状態とする力である開弁力が比較的大きくなる。これに対して、駆動装置8の出力を開弁力より大きくすることは、駆動装置ひいては流体制御弁の大型化や高コスト化を招く。また、上述した差圧を抑制するために、流体制御弁を適用可能な流体の圧力範囲を制限することは、流体制御弁の利便性の低下を招く。
【0005】
本発明は、上述した問題を解消するためになされたもので、流体制御弁において、開弁力を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、請求項1に係る流体制御弁は、流体を流通させる弁室を内側に設けられたハウジングと、弁室に配置され、第一位置と第一位置と異なる第二位置との間を第一方向に沿って移動可能に設けられた弁体と、弁体を移動させるように駆動する駆動装置と、弁体が第一方向に沿って貫通するように配置され、弁体の移動に応じて撓む膜状に設けられるとともに、弁室を第一流体室と第二流体室とに区画するように配置されたダイヤフラムと、第一流体室に流体を導入する導入口と、第一流体室から流体を導出する第一導出口と、第一流体室に設けられ、弁体が第一位置に位置する場合、弁体と接触することにより、導入口から第一流体室への流体の導入を規制する第一弁座と、弁体に設けられ、弁体が第一位置に位置する場合に導入口と第二流体室とを接続し、弁体が第二位置に位置する場合に第一流体室と第二流体室とを接続する接続路と、第二流体室から流体を導出する第二導出口と、第二流体室に設けられ、弁体が第二位置に位置する場合、弁体と接触することにより、接続路および第二流体室から第二導出口への流体の導出を規制する第二弁座と、を備えている。
【発明の効果】
【0007】
これによれば、弁体が第一位置に位置することにより第一弁座と弁体とが接触している閉弁状態である場合、弁体に設けられた接続路を介して、導入口から供給された流体が第二流体室に導出される。このため、導入口の流体の圧力と第一流体室の流体の圧力との差圧によって弁体に作用する力が、第二流体室の流体の圧力と第一流体室の流体の圧力との差圧によってダイヤフラムひいては弁体に作用する力によって抑制される。よって、この場合、閉弁状態である第一弁座と弁体とを離して開弁状態とする力である開弁力を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第一実施形態に係る流体制御弁を用いた燃料電池システムの概要図である。
図2図1に示した流体制御弁を示す部分断面図であり、弁体が第一位置に位置している状態を示している。
図3図2に示す流体制御弁の弁体の周囲の部分拡大図である。
図4図2に示す流体制御弁の部分断面図であり、弁体が第一位置と第二位置との間に位置している状態を示している。
図5図2に示す流体制御弁の部分断面図であり、弁体が第二位置に位置している状態を示している。
図6】本発明の第二実施形態に係る流体制御弁の部分断面図である。
図7】本発明の第三実施形態に係る流体制御弁の部分断面図である。
図8】本発明の第四実施形態に係る流体制御弁の部分断面図である。
図9】本発明の第五実施形態に係る流体制御弁の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<第一実施形態>
以下、本発明の第一実施形態に係る流体制御弁について、図面を参照しながら説明する。流体制御弁は、図1に示すように、車両に搭載された燃料電池システム1の酸素系2に、三方弁3として適用されている。燃料電池システム1は、酸素系2、燃料系5、燃料電池6、動力系7、冷却系8および制御装置9を備えている。
【0010】
燃料電池6は、これに限定されるべきものではないが、複数の固体高分子型の単セルが積層されて設けられている。複数の単セルは電気的に直列に接続されている。各々の単セルは電解質膜と、これを挟むアノード極およびカソード極(いずれも図示なし)を含んでいる。また、単セルのアノードセパレータ(図示なし)には、アノード極に対して水素ガスを供給するためのアノード流路61が設けられている。カソードセパレータ(図示なし)には、カソード極に対して空気(本発明の流体に相当)を供給するためのカソード流路62が設けられている。
【0011】
酸素系2は酸素系供給配管21aおよび酸素系排出配管21bを備えている。酸素系供給配管21aの第一端は、燃料電池システムの外部に向けて開口している。酸素系供給配管21aの第二端は、燃料電池6内のカソード流路62の第一端と接続されている。酸素系供給配管21a上には、第一端から燃料電池6に向けて順に、エアフィルタ22、エアコンプレッサ23、インタークーラ24および三方弁3が配置されている。三方弁3は三ポートの流体制御弁である。三方弁3の詳細は後述する。
【0012】
酸素系排出配管21bの第一端は、カソード流路62の第二端が接続されている。酸素系排出配管21b上には、二ポートの流体制御弁であるエア調圧弁4が配置されている。また、前述した三方弁3には、バイパス配管21cの第一端が接続されている。バイパス配管21cの第二端は、酸素系排出配管21bのエア調圧弁4よりも下流側(燃料電池6が接続されていない側)の部位に接続されている。
【0013】
燃料系5は、燃料系供給配管51aの第一端に水素タンク52が接続されている。燃料系供給配管51a上には遮断弁53が配置されている。燃料系供給配管51aの第二端は、燃料電池6内のアノード流路61の第一端と接続されている。アノード流路61の第二端には、燃料系排出配管51bが接続されている。
【0014】
燃料系排出配管51b上には、燃料電池6に近い側から順に、気液分離器54、排気排水弁55および排出ガス希釈器56が配置されている。排出ガス希釈器56には、上述した酸素系排出配管21bの第二端が接続されている。
【0015】
また、気液分離器54は燃料系循環路51cを介して、燃料系供給配管51a上の遮断弁53とアノード流路61との接続部との間の部位に接続されている。燃料系循環路51c上には循環ポンプ57が配置されている。循環ポンプ57は、気液分離器54からアノード流路61に向けて水素ガスを循環させている。
【0016】
動力系7は、車両を走行させるための電動モータ71を備えている。電動モータ71は燃料電池6の正極および負極と接続されており、燃料電池6の発電によって駆動される。
冷却系8は水冷ポンプ81を備えている。冷却系8は、燃料電池6内に冷却水を循環させて燃料電池6を冷却している。
【0017】
制御装置9は、エアコンプレッサ23、三方弁3、エア調圧弁4、遮断弁53、循環ポンプ57および水冷ポンプ81と電気的に接続されている。制御装置9は車両の走行状態に応じて算出された燃料電池6の必要な発電量に基づき、これらの各構成要素の作動を制御している。
【0018】
上述した構成により、車両が運転開始すると、制御装置9はエアコンプレッサ23を作動させてカソード流路62へ空気を供給するとともに、遮断弁53および循環ポンプ57を作動させてアノード流路61へ水素ガスを供給する。これらによって、燃料電池6において発電が行われる。
【0019】
酸素系2において、エアフィルタ22を介して吸引された酸素を含んだ空気は、エアコンプレッサ23において圧縮された後、インタークーラ24によって冷却される。三方弁3は、燃料電池6の発電量に基づいた制御装置9からの制御指令によって後述する弁体33の位置を変位させ、インタークーラ24から供給された空気を分流してバイパス配管21cへ逃すことにより、燃料電池6への空気の流量を制御している。
また、エア調圧弁4は、その開度を調整し燃料電池6内に残存した空気の排出量を調整することにより、燃料電池6内の圧力を制御している。
【0020】
アノード流路61から排出される水素オフガス(燃料ガスオフガス)には発電に使用されなかった水素ガスと発電によって生成された水(水蒸気)が含まれている。気液分離器54は水素ガスと水を分離する機能を有している。気液分離器54で分離された水素ガスは循環ポンプ57により燃料系循環路51cを介して燃料系供給配管51aに供給され循環される。
【0021】
一方、気液分離器54で分離された水(液状)は排気排水弁55が開状態になったとき、水素ガスとともに排出ガス希釈器56に送られる。気液分離器54から排出ガス希釈器56に排出された水素ガスは、排出ガス希釈器56において、酸素系排出配管21bから供給された空気により希釈化された後、水とともに外部へと放出される。
【0022】
次に、三方弁3について詳細に説明する。なお、本明細書中においては、説明を簡単にするために、図2における上側および下側を、それぞれ三方弁3の上方および下方とし、図2における右側および左側を、それぞれ三方弁3の右方および左方として説明する。これらの方向は、車両における三方弁3の実際の取付方向とは無関係である。
三方弁3は、図2に示すように、ハウジング31、駆動装置32、弁体33、スプリング34およびダイヤフラム35を備えている。
【0023】
ハウジング31は、弁室31cを内側に設けられたものである。ハウジング31は、ポリフェニレンサルファイド等の合成樹脂材料にて形成されている。ハウジング31は、第一ハウジング31aおよび第二ハウジング31bを備えている。第一ハウジング31aは、ハウジング31の下側を構成するものである。第二ハウジング31bは、ハウジング31の上側を構成するものである。第一ハウジング31aと第二ハウジング31bとは、例えばネジ等によって結合されている。ハウジング31は、弁室31c、導入口31d、第一導出口31e、第二導出口31f、第一弁座31g、第二弁座31hおよびシャフトリテーナ部31iを備えている。
【0024】
弁室31cは、ハウジング31の内側に設けられ、空気を流通させるものである。弁室31cは、第一ハウジング31aに設けられた上方を開放する凹部31a1と第二ハウジング31bに設けられた下方を開放する凹部31b1とが組み合わさることによって形成される。弁室31cは、断面方形状に設けられている。弁室31cは、ダイヤフラム35によって第一ハウジング31a側(下側)の第一流体室31c1および第二ハウジング31b側(上側)の第二流体室31c2に区画されている。
【0025】
導入口31dは、第一流体室31c1に空気を導入するものである。導入口31dは、酸素系供給配管21aを介してインタークーラ24に接続されている(図1参照)。導入口31dは、第一ハウジング31aに設けられている。導入口31dは、空気を第一流体室31c1に下方から導入する。
【0026】
第一導出口31eは、第一流体室31c1から空気を導出するものである。第一導出口31eは、酸素系供給配管21aを介して燃料電池6に接続されている(図1参照)。第一導出口31eは、第一ハウジング31aに設けられている。第一導出口31eは、空気を第一流体室31c1から右方に向けて導出する。
【0027】
第二導出口31fは、第二流体室31c2から空気を導出するものである。第二導出口31fは、バイパス配管21cおよび酸素系排出配管21bを介して排出ガス希釈器56に接続されている(図1参照)。第二導出口31fは、第二ハウジング31bに設けられている。第二導出口31fは、空気を第二流体室31c2から左方に向けて導出する。
【0028】
第一弁座31gは、第一流体室31c1に、弁体33と接触可能に設けられている。第一弁座31gは、具体的には、第一流体室31c1の下側面における導入口31dの開口部の周縁部に、平坦な円環状に設けられている。第一弁座31gは、弁体33が第一位置P1に位置する場合、弁体33と接触することにより、導入口31dから第一流体室31c1への空気の導入を規制する(詳細は後述する)。
【0029】
第二弁座31hは、第二流体室31c2に、弁体33と接触可能に設けられている。第二弁座31hは、具体的には、第二流体室31c2に設けられた下方を開口する筒部31b2の開口部に、平坦な円環状に設けられている。筒部31b2は、第二ハウジング31bの上側壁から第二流体室31c2内に下方に向けて突出するように設けられている。
【0030】
また、筒部31b2の上側部は、筒部31b2の内部と第二導出口31fとが接続するように設けられている。すなわち、第二導出口31fは、筒部31b2を介して第二流体室31c2と接続する。第二弁座31hは、弁体33が第二位置P2に位置する場合(図5参照)、弁体33と接触することにより、接続路33f(後述する)および第二流体室31c2から第二導出口31fへの空気の導出を規制する(詳細は後述する)。
【0031】
シャフトリテーナ部31iは、筒部31b2の内側にて筒部31b2と同軸に筒状に設けられたものである。シャフトリテーナ部31iは、後述するバルブシャフト32cを第一方向(本第一実施形態においては上下方向)に沿って移動可能に保持するものである(詳細は後述する)。
【0032】
駆動装置32は、弁体33を移動させるように駆動するものである。駆動装置32は、弁体33を第一方向に沿って移動させる。駆動装置32は、第二ハウジング31bの上側に配置されている。駆動装置32は、ケーシング32a、モータ32bおよび柱状のバルブシャフト32cを備えている。
【0033】
ケーシング32aは、第二ハウジング31bの上側にネジ等によって取り付けられている。ケーシング32aは、収容部32a1およびシャフトガイド部32a2を備えている。
収容部32a1は、内側にモータ32bを収容するように中空に設けられている。
【0034】
シャフトガイド部32a2は、バルブシャフト32cを第一方向に沿って移動させるように案内するものである。シャフトガイド部32a2は、収容部32a1から下方に突出する筒状に設けられている。シャフトガイド部32a2は、シャフトリテーナ部31iと同軸に配置されている。シャフトガイド部32a2の下側には、回転規制部(図示なし)が設けられている。回転規制部は、ケーシング32aに対して、バルブシャフト32cの回転を規制するものである(詳細は後述する)。回転規制部は、所定幅離れて互いに向き合う一対の平面である対向面(図示なし)によって形成されている。
【0035】
モータ32bは、収容部32a1の内側に、出力軸32b1が第一方向に沿って下方に延びるように配置されている。モータ32bは、ステッピングモータである。モータ32bの出力軸32b1には、下方に向けて開口する駆動孔32b2が、シャフトガイド部32a2と同軸となるように設けられている。駆動孔32b2の内側には、所定の長さの雌螺子が形成されている。所定の長さは、後述する弁体33の移動量より長くなるように設定されている。
【0036】
バルブシャフト32cは、柱状に設けられ、シャフトガイド部32a2と同軸に、第一方向に沿って延びるように配置されている。バルブシャフト32cは、ステンレス等の金属材料にて形成されている。バルブシャフト32cは、上側から下側に向けて順に、雄螺子部32c1、二面幅部32c2、円柱部32c3、第一溝部32c4、第二溝部32c5および連結部32c6を備えている。
【0037】
雄螺子部32c1は、バルブシャフト32cの外周面に設けられ、出力軸32b1の駆動孔32b2に形成された雌螺子と結合する雄螺子が形成された部位である。雄螺子部32c1の雄螺子と駆動孔32b2の雌螺子とは、ともに台形ネジによって形成されている。また、雄螺子部32c1の雄螺子と駆動孔32b2の雌螺子とは、バルブシャフト32cと出力軸32b1との間の逆効率が、ゼロとなるように設定されている。
【0038】
これにより、バルブシャフト32cと出力軸32b1との間の動作の伝達が不可逆的に形成される。このため、例えば第一位置P1に位置する弁体33が第一弁座31gと接触している状態で、バルブシャフト32cから出力軸32b1に向けて戻し荷重が作用した場合、出力軸32b1が、弁体33を第一位置P1より上方に移動させる方向に回転しない。
【0039】
二面幅部32c2は、回転規制部の対向面にそれぞれ対向する、二つの平面である二面幅形状に形成された部位である。二面幅部32c2が回転規制部によってシャフトガイド部32a2に対する回転を規制され、かつ、雄螺子部32c1が雌螺子と結合しているため、出力軸32b1が一方向に回転した場合、バルブシャフト32cが第一方向に沿って上方に移動する。一方、出力軸32b1が一方向と反対方向の他方向に回転した場合、バルブシャフト32cが第一方向に沿って下方に移動する。
【0040】
円柱部32c3は、第一方向に沿って延びる円柱状に形成されている。円柱部32c3の外周面は、上側にてシャフトリテーナ部31iの内周面と、第一方向に沿って摺動可能に設けられている。
【0041】
第一溝部32c4および第二溝部32c5は、円柱部32c3の外表面に、周方向に沿って環状に設けられた溝である。第一溝部32c4および第二溝部32c5には、OリングR1,R2が配置されている。第一溝部32c4に配置されたOリングR1は、円柱部32c3とシャフトリテーナ部31iとの間を気密かつ液密にシールする。これにより、シャフトリテーナ部31i内ひいては収容部32a1内への空気および水等の浸入が抑制される。
【0042】
第二溝部32c5に配置されたOリングR2は、円柱部32c3と後述するシャフト取付部33bの中径部33b2との間を気密かつ液密にシールする。これにより、中径部33b2内ひいては連結部32c6への空気および水等の浸入が抑制される。
【0043】
連結部32c6は、バルブシャフト32cの下端部に設けられ、弁体33と連結する部位である。連結部32c6は、外周面において対向する一対の平坦面32c7を有する二面幅形状に形成されている。また、連結部32c6は、第一方向に直交するボール孔32c8が形成されている。ボール孔32c8は、一対の平坦面32c7に直交してそれぞれ開口するように、連結部32c6を貫通する。
【0044】
ボール孔32c8には、鋼球32dが配置されている。鋼球32dの直径は、一対の平坦面32c7同士の距離(二面幅の厚み)よりも大きく設定されており、鋼球32dはボール孔32c8の両端部から突出している。また、鋼球32dの直径は、ボール孔32c8の直径よりも僅かに小さく、鋼球32dはボール孔32c8内において回転可能、かつ、ボール孔32c8内をボール孔32c8の軸方向に移動可能に収容されている。
【0045】
弁体33は、弁室31cに配置され、第一位置P1と第一位置P1と異なる第二位置P2との間を第一方向に沿って移動可能に設けられたものである。第一位置P1は、弁体33と第一弁座31gとが接触する弁体33の位置である。第二位置P2は、弁体33と第二弁座31hとが接触する弁体33の位置である(図5参照)。第二位置P2は、第一位置P1より第一方向に沿って上方に位置する。弁体33は、図3に示すように、本体部33a、シャフト取付部33b、第一シール部33c、第二シール部33d、ダイヤフラム保持部33eを備えている。
【0046】
本体部33aは、第一方向を軸線方向とする筒状に設けられるとともに、第一端(下端)にて第一流体室31c1側に開口する第一開口部33a1と、第二端(上端)にて第二流体室31c2側に開口する第二開口部33a2とを設けられている。本体部33aは、ポリフェニレンサルファイド等の合成樹脂材料にて形成されている。また、本体部33aは、フランジ部33a3および内壁部33a4を備えている。
フランジ部33a3は、第一開口部33a1の周縁部に径方向外側に向けて、全周に亘って突出する鍔状に形成されたものである。
【0047】
内壁部33a4は、本体部33aの内側に設けられ、本体部33aの内側を上側と下側とに区画するように設けられた側壁である。内壁部33a4は、筒壁部33a5および接続壁部33a6を備えている。
【0048】
筒壁部33a5は、第二開口部33a2側に向けて開口する筒状に形成された有底のものである。弁体33が第二位置P2に位置する場合(図5参照)、筒壁部33a5の周側壁は、筒部31b2の周側壁より径方向外側に位置するように設けられている。筒壁部33a5の周側壁には、第一開口部33a1と第二開口部33a2とを連通させる複数の連通穴33a7が設けられている。また、筒壁部33a5の底壁には、第一方向に沿って貫通する貫通穴33a8が設けられている。
【0049】
複数の連通穴33a7の各々は、筒壁部33a5の周側壁に設けられているため、空気が第一方向と交差する方向に流れる(図2の矢印参照)。連通穴33a7の各々の流路断面積(開口面積)を合計した値は、第二流体室31c2と第二導出口31fとの間の流路断面積の最小値より大きくなるように設定されている。
【0050】
接続壁部33a6は、筒壁部33a5の周側壁の一部(本第一実施形態においては上端部)と本体部33aの周側壁の一部とを全周に亘って接続するものである。後述するように、貫通穴33a8には、シャフト取付部33bが取付けられているため、内壁部33a4において第一開口部33a1と第二開口部33a2とを連通させる流路は、連通穴33a7のみである。
【0051】
シャフト取付部33bは、ステンレス等の金属板がプレス成形されることによって形成されている。シャフト取付部33bは、弁体33においてバルブシャフト32cに取り付けられる部位である。シャフト取付部33bは、下方から上方に向けて順に、取付部33b1、中径部33b2、大径部33b3および鍔部33b4を備えている。
【0052】
取付部33b1は、弁体33がバルブシャフト32cに取り付けられた場合、バルブシャフト32cの連結部32c6を内側に収容する袋状のものである。取付部33b1は、図2に示すように、固定壁33b1a、嵌合部33b1b、および、かしめ部33b1cを備えている。
【0053】
固定壁33b1aは、バルブシャフト32cの連結部32c6が収容された場合に、内側面が連結部32c6の一対の平坦面32c7とそれぞれ対向するように形成されている。嵌合部33b1bは、固定壁33b1aから径方向外側に向けて突出するように形成されている。嵌合部33b1bは、バルブシャフト32cの連結部32c6が収容された場合に、鋼球32dを収容可能に形成されている。また、取付部33b1には、固定壁33b1a同士をつなぐように、対向した一対の接続面部(図示なし)が形成されている。
【0054】
バルブシャフト32cに弁体33が取り付けられる場合、ボール孔32c8内に鋼球32dを配置した状態で、平坦面32c7から突出した鋼球32dが、嵌合部33b1b内に収容されるように、連結部32c6が取付部33b1に挿入される。さらに、鋼球32dに対して、双方の固定壁33b1aがかしめられることにより、かしめ部33b1cが形成される。これらにより、取付部33b1が鋼球32dに固定される。
【0055】
中径部33b2は、図3に示すように、取付部33b1より径方向長さを大きくする円筒状に形成されている。中径部33b2は、内側に第二溝部32c5が位置するように形成されている。
【0056】
大径部33b3は、中径部33b2より径方向長さを大きくする円筒状に形成されている。大径部33b3は、本体部33aの貫通穴33a8に圧入されている。これにより、シャフト取付部33bが本体部33aに固定される。
【0057】
鍔部33b4は、大径部33b3の上端部から径方向外側に向けて全周に亘って突出するように形成されている。鍔部33b4の下側面が筒壁部33a5の底壁の上側面に接触するように、シャフト取付部33bが本体部33aに配置されている。
【0058】
また、シャフト取付部33bが弁体33に取り付けられた状態において、中径部33b2の内周面と、バルブシャフト32cの円柱部32c3の外周面との間には、バルブシャフト32cの径方向に隙間εが形成されている。隙間εは、中径部33b2の内周面と円柱部32c3の外周面との間において全周に亘って形成されている。この隙間εによって、弁体33がバルブシャフト32cに対して傾斜可能に取り付けられている。
【0059】
第一シール部33cは、環状に設けられ、フランジ部33a3の外周縁部を覆うように配置されている。第一シール部33cは、SBR(スチレン−ブタジエンゴム)またはEPDM(エチレン−プロピレン−ジエン共重合体)といった耐熱性を有する合成ゴム材料にて形成されている。
【0060】
第一シール部33cの周縁部には、下方に向けて突出するシールリップ33c1(本発明の第一接触部に相当)が設けられている。弁体33が第一位置P1に位置した場合、シールリップ33c1の先端部が第一弁座31gと接触する。この場合、弁体33と第一弁座31gとが接触して、導入口31dから第一流体室31c1への空気の導入が規制される(詳細は後述する)。
【0061】
シールリップ33c1は、断面リップ状に形成されている。シールリップ33c1は、半径方向内向きに形成されている。これにより、燃料電池6内が負圧になった場合においても、シールリップ33c1が、この負圧によってセルフシール可能となる。燃料電池6内の負圧は、例えば、発電停止時に、燃料電池6内に残留した水素ガスと酸素の反応や燃料電池6の温度低下による残留水蒸気の凝縮などによって発生する。このように、本体部33aの第一開口部33a1側には、第一弁座31gと接触可能なシールリップ33c1が設けられている。
【0062】
第二シール部33d(本発明の第二接触部に相当)は、環状かつ平板状に設けられ、筒壁部33a5の底壁に配置されている。第二シール部33dは、具体的には、シャフト取付部33bの鍔部33b4の上側面に配置されている。第二シール部33dは、鍔部33b4に接着剤によって接着されることにより固定されている。第二シール部33dは、SBR(スチレン−ブタジエンゴム)またはEPDM(エチレン−プロピレン−ジエン共重合体)といった耐熱性を有する合成ゴム材料にて形成されている。
【0063】
弁体33が第二位置P2に位置した場合(図5参照)、第二シール部33dの上側面が第二弁座31hと接触する。この場合、弁体33と第二弁座31hとが接触して、接続路33f(後述する)および第二流体室31c2から第二導出口31fへの空気の導出が規制される(詳細は後述する)。このように、筒壁部33a5の底壁には、第二弁座31hと接触可能な第二シール部33dが設けられている。
【0064】
ダイヤフラム保持部33eは、弁体33にダイヤフラム35を保持するものである(詳細は後述する)。ダイヤフラム保持部33eは、ステンレス等の金属板がプレス成形されることによって形成されている。ダイヤフラム保持部33eは、上側から下側に向けて大径部33e1、段部33e2、小径部33e3および鍔部33e4を備えている。
【0065】
大径部33e1および小径部33e3は上端および下端をそれぞれ開口する筒状に形成されている。段部33e2は、大径部33e1と小径部33e3とを接続する段状に形成されている。小径部33e3が第二開口部33a2に圧入されることにより、ダイヤフラム保持部33eが本体部33aに固定される。
【0066】
鍔部33e4は、小径部33e3の下端部に径方向内側に全周に亘って突出する鍔状に形成されている。鍔部33e4の下側面が接続壁部33a6の上側面に接触するように、ダイヤフラム保持部33eが本体部33aに配置される。
【0067】
また、弁体33には、接続路33fがさらに設けられている。接続路33fは、連通穴33a7を介して第一開口部33a1と第二開口部33a2とを接続する空気の流路である。接続路33fは、弁体33が第一位置P1に位置する場合に導入口31dと第二流体室31c2とを接続し、弁体33が第二位置P2に位置する場合に(図5参照)、第一流体室31c1と第二流体室31c2とを接続する。また、接続路33fは、弁体33が第一位置P1と第二位置P2との間に位置する場合に(図4参照)、第一流体室31c1と第二流体室31c2とを接続する。
【0068】
また、弁体33が第一位置P1に位置する場合、導入口31dと第一流体室31c1との接続が遮断される(図2参照)。弁体33が第二位置P2に位置する場合、接続路33fおよび第二流体室31c2と第二導出口31fとの接続が遮断される(図5参照)。したがって、弁体33が第一位置P1に位置する場合、導入口31dと第二導出口31fとが接続する(図2参照)。弁体33が第一位置P1と第二位置P2との間に位置する場合、導入口31dと、第一導出口31eおよび第二導出口31fとが接続する(図4参照)。弁体33が第二位置P2に位置する場合、導入口31dと第一導出口31eとが接続する。
【0069】
スプリング34は、弁体33を下方に向けて付勢するものである。スプリング34は、コイルスプリングである。スプリング34は、筒部31b2の径方向外側に、第二ハウジング31bの上側壁と鍔部33e4との間に配置されている。
【0070】
ダイヤフラム35は、弁体33の移動に応じて撓む膜状に設けられている。ダイヤフラム35は合成ゴム材料にて一体的に形成されている。ダイヤフラム35は、中央部に第一方向に貫通する貫通穴35aが形成されている。
【0071】
貫通穴35aの内周縁部は、本体部33aの上側面とダイヤフラム保持部33eの段部33e2の下側面とによって挟持されている。これにより、ダイヤフラム35が弁体33に気密かつ液密に保持される。また、ダイヤフラム35は、弁体33が第一方向に貫通するように配置される。
【0072】
ダイヤフラム35の外周縁部は、第一ハウジング31aの上側面と第二ハウジング31bの下側面とに挟持されている。これにより、ダイヤフラム35がハウジング31に気密かつ液密に保持される。このようにダイヤフラム35が配置されることにより、ダイヤフラム35によって弁室31cが第一流体室31c1と第二流体室31c2とに区画される。
【0073】
このように、ダイヤフラム35は、弁体33が第一方向に沿って貫通するように配置され、弁体33の移動に応じて撓む膜状に設けられるとともに、弁室31cを第一流体室31c1と第二流体室31c2とに区画するように配置されている。
【0074】
また、弁体33は、図2に示すように、第一受圧部33gを有している。第一受圧部33gは、弁体33が第一位置P1に位置する場合、導入口31dの空気の圧力が作用する部位である。第一受圧部33gの有効受圧面積は、シールリップ33c1と第一弁座31gとが接触する部位における径方向内側の範囲を、第一方向に直交する平面に投影したときの面積である。第一受圧部33gの有効受圧面積は、本第一実施形態において、直径をAとする円の面積である。
【0075】
さらにダイヤフラム35は、第二受圧部35bを有している。第二受圧部35bは、第二流体室31c2の空気の圧力が作用する部位である。第二受圧部35bの有効受圧面積は、ダイヤフラム35における屈曲している部位の最下点を結んだ径方向内側の範囲を、第一方向に直交する平面に投影したときの面積である。第二受圧部35bの有効受圧面積は、本第一実施形態において、直径をBとする円の面積である。また、本第一実施形態においては、第一受圧部33gの有効受圧面積と第二受圧部35bの有効受圧面積とが、同一の面積となるように設定されている。
【0076】
次に、三方弁3の動作について説明する。燃料電池6の発電が行われない場合、燃料電池6に空気が供給されない。すなわち、この場合、三方弁3においては、図2に示すように、弁体33が第一位置P1に位置することにより第一弁座31gと弁体33とが接触している第一閉弁状態に制御される。これにより、導入口31dから第一流体室31c1への空気の導入ひいては第一導出口31eへの空気の導出を規制される。
【0077】
三方弁3が第一閉弁状態である場合、弁体33が第一位置P1に位置し、かつ、モータ32bが非通電にされる。この場合、弁体33がスプリング34によって下方に付勢され、かつ、モータ32bのディテントトルクによってバルブシャフト32cの回転が規制されている。これらにより、弁体33の位置が第一位置P1に保持される。
【0078】
また、この場合、弁体33には、導入口31dの空気の圧力と第一流体室31c1の空気の圧力との差圧によって生じる力(以下、第一作用力とする。)が作用している。さらに、この場合、弁体33には、第二流体室31c2の空気の圧力と第一流体室31c1の空気の圧力との差圧によって生じる力(以下、第二作用力とする。)が作用している。そして、接続路33fによって導入口31dと第二流体室31c2とが接続しているため、導入口31dの空気の圧力と第二流体室31c2の空気の圧力とがおよそ同一となっている。よって、第一作用力と第二作用力とは、弁体33に対して互いに反対方向に作用する。したがって、第一作用力の大きさは、第二作用力の大きさによって抑制される。
【0079】
さらに、上述したように、第一受圧部33gの有効受圧面積と第二受圧部35bの有効受圧面積とが同一となるように設定されているため、第一作用力の大きさと、第二作用力の大きさとは、およそ同じである。すなわち、導入口31d、第一流体室31c1および第二流体室31c2の各部位における空気の圧力によって弁体33に作用する力(第一作用力と第二作用力との合力)がおよそゼロになっている。
【0080】
したがって、弁体33が第一位置P1に位置することにより第一弁座31gと弁体33とが接触している第一閉弁状態から、第一弁座31gと弁体33とを離して開弁状態とする力である第一開弁力は、スプリング34の付勢力と、バルブシャフト32cとシャフトリテーナ部31iとの間などの摺動抵抗によって弁体33に作用する力の合力のみとなる。
【0081】
また、弁体33が第一位置P1に位置する場合、接続路33fを介して導入口31dと第二導出口31fとが接続されている。よって、エアコンプレッサ23が駆動されることにより、酸素系供給配管21aから導入口31dに導入された空気は、図2に矢印にて示されるように、接続路33fを介して第二導出口31fからバイパス配管21cに導出される。
【0082】
燃料電池6の発電が行われる場合、第一弁座31gと弁体33とが第一閉弁状態から開弁状態にされることにより、空気が燃料電池6に供給される。具体的には、制御装置9からの制御指令によって、駆動装置32が一方向に回転されることにより、バルブシャフト32cひいては弁体33が第一位置P1から第一方向に沿って上方に移動する。
【0083】
弁体33の位置が第一位置P1と第二位置P2との間に位置する場合、図4に矢印にて示されるように、導入口31dから第一流体室31c1に導入された空気は、第一流体室31c1から第一導出口31eへ導出され、かつ、接続路33fを介して第二導出口31fから導出される。
【0084】
また、弁体33が第二位置P2に位置することにより第二弁座31hと弁体33とが接触する第二閉弁状態である場合、図5に矢印にて示されるように、接続路33fおよび第二流体室31c2から第二導出口31fへの空気の導出が規制されるため、導入口31dから第一流体室31c1に導入された空気は、第一流体室31c1から第一導出口31eへ導出される。
【0085】
この場合、第二閉弁状態から第二弁座31hと弁体33とを離して開弁状態とする力である第二開弁力は、スプリング34による下方への付勢力、バルブシャフト32cとシャフトリテーナ部31iとの間などの摺動抵抗によって弁体33に作用する力、および、第二導出口31fの空気の圧力と第一流体室31c1との差圧によって弁体33に作用する力の合力となる。
【0086】
第二弁座31hと弁体33とが第二閉弁状態から開弁状態にされる場合、制御装置9からの制御指令によって、駆動装置32が他方向に駆動されることにより、バルブシャフト32cひいては弁体33が第二位置P2から第一方向に沿って下方に移動する。
【0087】
第一シール部33cと第一弁座31gとの間、または、第二シール部33dと第二弁座31hとの間において、平行度の精度にばらつきがあった場合において、弁体33が第一位置P1または第二位置P2に位置するとき、弁体33は、バルブシャフト32cに対して隙間εの分だけ傾斜する。これにより、第一シール部33cと第一弁座31gとの間、または、第二シール部33dと第二弁座31hとの間のシール性が確保される。
【0088】
本第一実施形態によれば、三方弁3(流体制御弁)は、空気を流通させる弁室31cを内側に設けられたハウジング31と、弁室31cに配置され、第一位置P1と第一位置P1と異なる第二位置P2との間を第一方向に沿って移動可能に設けられた弁体33と、弁体33を移動させるように駆動する駆動装置32と、弁体33が第一方向に沿って貫通するように配置され、弁体33の移動に応じて撓む膜状に設けられるとともに、弁室31cを第一流体室31c1と第二流体室31c2とに区画するように配置されたダイヤフラム35と、第一流体室31c1に空気を導入する導入口31dと、第一流体室31c1から空気を導出する第一導出口31eと、第一流体室31c1に設けられ、弁体33が第一位置P1に位置する場合、弁体33と接触することにより、導入口31dから第一流体室31c1への空気の導入を規制する第一弁座31gと、弁体33に設けられ、弁体33が第一位置P1に位置する場合に導入口31dと第二流体室31c2とを接続し、弁体33が第二位置P2に位置する場合に第一流体室31c1と第二流体室31c2とを接続する接続路33fと、第二流体室31c2から空気を導出する第二導出口31fと、第二流体室31c2に設けられ、弁体33が第二位置P2に位置する場合、弁体33と接触することにより、接続路33fおよび第二流体室31c2から第二導出口31fへの空気の導出を規制する第二弁座31hと、を備えている。
【0089】
これによれば、弁体33が第一位置P1に位置することにより第一弁座31gと弁体33とが接触している第一閉弁状態である場合、弁体33に設けられた接続路33fを介して、導入口31dから供給された空気が第二流体室31c2に導出される。このため、導入口31dの空気の圧力と第一流体室31c1の空気の圧力との差圧によって弁体33に作用する力(第一作用力)が、第二流体室31c2の空気の圧力と第一流体室31c1の空気の圧力との差圧によってダイヤフラム35ひいては弁体33に作用する力(第二作用力)によって抑制される。よって、この場合、第一閉弁状態である第一弁座31gと弁体33とを離して開弁状態とする力である第一開弁力を抑制することができる。
【0090】
また、三方弁3は、導入口31dから供給された空気を、第一流体室31c1を介して導出する第一導出口31eに加えて、接続路33fおよび第二流体室31c2を介して導出する第二導出口31fを有している。よって、三方弁3は、第一弁座31gおよび弁体33の第一閉弁状態から開弁状態にする第一開弁力を抑制することができるとともに、導入口31dから供給された空気を、第一導出口31eと第二導出口31fとに分流することができる。
【0091】
また、弁体33は、第一方向を軸線方向とする筒状に設けられるとともに、第一端にて第一流体室31c1側に開口する第一開口部33a1と、第二端にて第二流体室31c2側に開口する第二開口部33a2とを設けられた本体部33aと、本体部33aの内側に設けられるとともに、第二開口部33a2側に向けて開口する筒状に形成された有底の筒壁部33a5と、筒壁部33a5の周側壁の一部と本体部33aの周側壁の一部とを全周に亘って接続する接続壁部33a6とを設けられた内壁部33a4と、を備えている。本体部33aの第一開口部33a1には、第一弁座31gと接触可能なシールリップ33c1が設けられている。筒壁部33a5の底壁には、第二弁座31hと接触可能な第二シール部33dが設けられている。筒壁部33a5の周側壁には、第一開口部33a1と第二開口部33a2とを連通させる連通穴33a7が設けられている。接続路33fは、連通穴33a7を介して第一開口部33a1と第二開口部33a2とを接続する空気の流路である。
【0092】
例えば、連通穴33a7が第一方向に沿う方向に向けて開口する場合に、連通穴33a7の流路断面積が比較的大きくなるときにおいては、弁体33の径方向の大きさが比較的大きくなる。この場合、ダイヤフラム35ひいては三方弁3の大型化を招く。これに対して、本発明の連通穴33a7は、筒壁部33a5の周側壁に設けられているため、第一方向と交差する方向(本第一実施形態においては第一方向と直交する方向)に開口する。よって、この場合、流路断面積が比較的大きくなるときおいては、弁体33の軸方向の大きさが比較的大きくなる。
【0093】
したがって、本発明のように連通穴33a7が第一方向と交差する方向に開口する場合、流路断面積が比較的大きくなるときにおいても、連通穴33a7が第一方向に沿う方向に向けて開口する場合に比べて、弁体33の径方向の大きさひいては弁体33の全体の大きさを抑制することができる。したがって、ダイヤフラム35ひいては三方弁3の大型化を抑制することができる。
【0094】
また、弁体33は、第一位置P1に位置する場合、導入口31dの空気の圧力が作用する第一受圧部33gを有している。ダイヤフラム35は、第二流体室31c2の空気の圧力が作用する第二受圧部35bを有している。第一受圧部33gの有効受圧面積と第二受圧部35bの有効受圧面積とが、同一の面積となるように設定されている。
【0095】
これによれば、第一受圧部33gの有効受圧面積と第二受圧部35bの有効受圧面積とが、同一の面積となるように設定されている。このため、導入口31dの空気の圧力と第一流体室31c1の空気の圧力との差圧によって弁体33に作用する力(第一作用力)が、第二流体室31c2の空気の圧力と第一流体室31c1の空気の圧力との差圧によってダイヤフラム35ひいては弁体33に作用する力(第二作用力)によって、およそゼロになる。よって、第一閉弁状態である第一弁座31gと弁体33とを開弁状態とする第一開弁力を確実に抑制することができる。
【0096】
<第二実施形態>
次に、本発明の第二実施形態に係る流体制御弁(三方弁3)について、主として、上述した第一実施形態に係る流体制御弁と異なる部分について、図6を用いて説明する。
上述した第一実施形態における弁体33の本体部33aは、筒壁部33a5を設けられているが、本第二実施形態における弁体133の本体部133aは、筒壁部を備えていない。また、上述した第一実施形態のシャフト取付部33bは、ダイヤフラム保持部33eと別体に設けられているが、これに代えて、本第二実施形態のシャフト取付部133bは、ダイヤフラム保持部133eと一体に設けられている。
【0097】
本第二実施形態のシャフト取付部133bは、具体的には、ダイヤフラム保持部133eと連結する筒状の連結壁133b5を有している。また、連結壁133b5には、第一開口部133a1と第二開口部133a2とを連通する複数の連通穴133a7が設けられている。連通穴133a7は、第一方向と直交する方向に貫通するように設けられている。
【0098】
<第三実施形態>
次に、本発明の第三実施形態に係る流体制御弁(三方弁3)について、主として、上述した第一実施形態に係る流体制御弁と異なる部分について、図7を用いて説明する。
上述した第一実施形態における弁体33の本体部33aは、筒壁部33a5を設けられているが、本第三実施形態における弁体233の本体部233aは、筒壁部を備えていない。また、本第三実施形態の弁体233は、上述した第一実施形態のシャフト取付部33bに代えて、シャフト取付部233bを備えている。
【0099】
本第三実施形態のシャフト取付部233bは、鍔部233b4の周縁部が下方に向けて折り曲げられるように設けられた折り曲げ部233b6を有している。折り曲げ部233b6が第一開口部233a1に圧入されることにより、シャフト取付部233bが本体部233aに固定される。また、鍔部233b4には、連通穴233b7が複数設けられている。連通穴233b7は、第一方向に沿って貫通するように設けられている。
【0100】
<第四実施形態>
次に、本発明の第四実施形態に係る流体制御弁(三方弁3)について、主として、上述した第一実施形態に係る流体制御弁と異なる部分について、図8を用いて説明する。
上述した第一実施形態における弁体33の本体部33aは、筒壁部33a5を設けられているが、本第四実施形態における弁体333の本体部333aは、筒壁部を備えていない。また、本第四実施形態における本体部333aの第一開口部333a1は、接続壁部333a6の内周面に設けられている。
【0101】
また、本第四実施形態のダイヤフラム保持部333eは、大径部333e5および小径部333e6を有している。ダイヤフラム保持部333eは、合成樹脂材料によって形成されている。小径部333e6が本体部333aの第二開口部333a2に圧入されている。また、本第四実施形態の接続路333fは、ダイヤフラム保持部333eに設けられている。接続路333fは、具体的には、第一端が小径部333e6の下側面に開口し、かつ、第二端が大径部333e5の周側面に開口するように設けられている。
【0102】
また、ダイヤフラム保持部333eの上側壁には、バルブシャフト332cの下端部が弁体333と一体回転可能に固定されている。なお、本第四実施形態のバルブシャフト332cは、上述した第一実施形態の連結部32c6を有さない。さらに、ダイヤフラム保持部333eの上側面には、第二シール部333dが第二弁座31hと接触可能に配置されている。
【0103】
<第五実施形態>
次に、本発明の第五実施形態に係る流体制御弁(三方弁3)について、主として、上述した第四実施形態に係る流体制御弁と異なる部分について、図9を用いて説明する。
上述した第四実施形態の第一弁座31gは、第一流体室31c1の下側面における導入口31dの開口部の周縁部に、平坦な円環状に設けられている。これに対して、本第五実施形態の第一弁座431gは、第一流体室431c1における導入口431dの開口部の周縁の角部に設けられている。
【0104】
また、本第五実施形態における本体部433aは、第四実施形態のフランジ部333a3を備えていない。本第五実施形態の小径部433e6は、本体部433aより下方に突出するように設けられている。さらに、本第五実施形態の第一シール部433cは、小径部433e6の下端部の外周面に取り付けられている。第一シール部433cは、第一弁座431gとの第一接触部433c1が断面円弧状に設けられている。
【0105】
また、本第五実施形態の第一受圧部433gの有効受圧面積は、直径をAより小さいCとする円の面積である。このように、本第五実施形態においては、第一受圧部433gの有効受圧面積は、第二受圧部435bの有効受圧面積より小さくなるように設定されている。
【0106】
<変形例>
なお、上述した実施形態において、流体制御弁の一例を示したが、本発明はこれに限定されず、他の構成を採用することもできる。例えば、本発明の流体制御弁は、燃料電池システムに使用されているが、燃料供給系システムあるいは油圧ブレーキシステムといった、車両用流体制御弁として広範囲に使用することが可能である。また、本発明の流体制御弁は、家庭用機器もしくは一般産業機械用の流体制御弁としても使用することが可能である。
【0107】
また、上述した第一実施形態乃至第四実施形態において、第一受圧部33gの有効受圧面積と第二受圧部35bの有効受圧面積とが同一となるように設定されているが、これに代えて、第一受圧部33gの有効受圧面積と第二受圧部35bの有効受圧面積とが異なるように設定しても良い。例えば、第一受圧部33gの有効受圧面積より第二受圧部35bの有効受圧面積を大きく設定した場合、第一開弁力を大きくすることができる。
【0108】
また、上述した第一実施形態乃至第三実施形態において、シャフト取付部33b,133b,233bおよびダイヤフラム保持部33e,133e,233eは、金属材料によって形成されているが、これに代えて、合成樹脂材料によって形成するようにしても良い。また、この場合、シャフト取付部33b,133b,233bおよびダイヤフラム保持部33e,133e,233eと本体部33a,133a,233aとの結合を、溶着によって行うようにしても良い。
【0109】
また、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、ハウジング31の形状、弁体33,133,233,333,433を構成する各部材の形状および材質、ダイヤフラム35,435の形状を変更するようにしても良い。
【符号の説明】
【0110】
1…燃料電池システム、3…三方弁、31…ハウジング、31c…弁室、31c1…第一流体室、31c2…第二流体室、31d…導入口、31e…第一導出口、31f…第二導出口、31g…第一弁座、31h…第二弁座、32…駆動装置、33…弁体、33a…本体部、33a1…第一開口部、33a2…第二開口部、33a3…フランジ部、33a4…内壁部、33a5…筒壁部、33a6…接続壁部、33a7…連通穴、33c…第一シール部、33c1…シールリップ(第一接触部)、33d…第二シール部(第二接触部)、33f…接続路、33g…第一受圧部、34…スプリング、35…ダイヤフラム、35b…第二受圧部、P1…第一位置、P2…第二位置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9