(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の傾斜板、および、前記第2の傾斜板のうち、少なくともいずれか一方の傾斜板の本体部の上面に形成され、傾斜方向に延在したフィンを備えた請求項1または2に記載の冷却装置。
前記第1の伝熱管、および、前記第2の伝熱管のうち、少なくともいずれか一方の外周面から立設し、放射状に延在したフィンを備えた請求項4または5に記載の冷却装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の一実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本開示を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本開示に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0017】
(乾燥システム100)
図1は、乾燥システム100を説明する図である。
図1に示すように、乾燥システム100は、乾燥装置110と、冷却装置120と、貯留部130とを含んで構成され、含水石炭を乾燥する。なお、ここでは、含水石炭として褐炭を例に挙げて説明する。
【0018】
乾燥装置110は、褐炭BCを加熱することで、褐炭BCを乾燥させる。乾燥装置110は、例えば、流動層乾燥炉であり、収容槽と、流動化ガス供給部と、伝熱管とを含んで構成される。収容槽は、褐炭BCを収容する。流動化ガス供給部は、流動層(収容槽)の下部から流動化ガス(例えば、水蒸気)を供給する。伝熱管は、流動層(収容槽)内に配され、褐炭BCより高温の熱媒体が通過する。なお、褐炭BCを乾燥させる技術については、様々な既存の技術を適用できるので、ここでは、詳細な説明を省略する。
【0019】
冷却装置120は、乾燥装置110によって乾燥された褐炭BC(乾燥炭DC)を冷却する。冷却装置120の具体的な構成については、後に詳述する。
【0020】
貯留部130は、冷却装置120によって冷却された乾燥炭DCを貯留する。貯留部130に貯留された乾燥炭DCは、ボイラ等の乾燥炭利用設備に供給される。
【0021】
以下、本実施形態にかかる冷却装置120について詳述する。
【0022】
(冷却装置120)
図2は、第1の実施形態にかかる冷却装置120の鉛直断面図である。
図2に示すように、冷却装置120は、移動層室210と、複数の傾斜板220と、冷却部230と、振動部240とを含んで構成される。なお、
図2中、移動層室210外の乾燥炭DCの流れを白抜きの矢印で示し、移動層室210内の乾燥炭DCを黒丸で示し、冷媒の流れを実線の矢印で示す。また、
図2中、理解を容易にするために、冷媒の流路を省略する。
【0023】
移動層室210は、上部212と、中央部214と、下部216とを含んで構成される。上部212は、角錐形状であり、頂部が鉛直上方に配される。上部212は、頂部に配管212aが接続される。乾燥装置110で乾燥された褐炭BC(乾燥炭DC、例えば、80℃〜150℃程度)は、配管212aを通じて移動層室210(上部212)に導入される。
【0024】
また、上部212の内部空間には、分散器212bが設けられている。分散器212bは、配管212aを通じて導入された乾燥炭DCを分散させる。本実施形態において分散器212bは、複数の円錐形状の部材212ca、212cbで構成される。最も鉛直上方に配される部材212caは、頂部が配管212aの開口に臨むように、上部212の内部空間に配される。部材212caの下方には、部材212cbが配される。部材212cbは、頂部が部材212caの下端に臨むように配される。
【0025】
したがって、配管212aを通じて上部212に導入された乾燥炭DCは、落下搬送されて部材212caの頂部に衝突し、部材212caの径方向外方に分散される。分散された乾燥炭DCは、部材212caの外壁面を流下し、下端から落下搬送される。そして、部材212caから落下搬送された乾燥炭DCは、部材212cbの頂部に衝突し、部材212cbの径方向外方に分散される。分散された乾燥炭DCは、部材212cbの外壁面を流下し、下端から中央部214に落下搬送される。
【0026】
中央部214は、上部212の下端に連続した、角筒形状の管であり、中心軸が鉛直方向に沿うように設置される。下部216は、角錐形状であり、中央部214の下端に連続しており、頂部が鉛直下方に配される。下部216の頂部には、配管216aが接続される。
【0027】
傾斜板220は、中央部214(移動層室210)の内壁から、移動層室210の中心に向かって立設した本体部222を有し、基端222aから先端222bに向かって下方に傾斜した板である。傾斜板220は、移動層室210内に複数(ここでは、8個)設けられる。傾斜板220は、例えば、金属製である。
【0028】
複数の傾斜板220は、基端222aの鉛直方向の位置が異となるように移動層室210内に設けられる。また、1の傾斜板220(第1の傾斜板220)の先端222bの下方に、当該傾斜板220の下方に配される傾斜板220(第2の傾斜板220)の本体部222が位置するように設けられる。
【0029】
したがって、配管212aを通じて上部212に導入された乾燥炭DCは、最も鉛直上方に配された傾斜板220(1段目の傾斜板220)、または、2段目の傾斜板220の本体部222に落下する。そして、傾斜板220に落下した乾燥炭DCは、落下による衝撃(本体部222との衝突)によって分散され、他の乾燥炭DCと混合される。混合された乾燥炭DCは、傾斜板220の傾斜方向に沿って本体部222を流下する。そして、乾燥炭DCが先端222bに到達すると、先端222bから次段の傾斜板220の本体部222に落下する。このようにして、最も鉛直下方に配された傾斜板220(最下段の傾斜板220)の本体部222に落下した乾燥炭DCは、配管216aを通じて、貯留部130に送出される。つまり、乾燥装置110から移動層室210に導入された乾燥炭DCは、傾斜板220を流下しながら落下し、貯留部130に送出される。
【0030】
冷却部230は、例えば、冷媒(例えば、水、空気)を冷却するクーラーと、ポンプとを含んで構成され、移動層室210および傾斜板220を冷却する。
【0031】
図3は、冷却部230を説明する図であり、移動層室210と、傾斜板220との鉛直断面の部分拡大図である。なお、
図3中、冷媒の流れを実線の矢印で示す。また、
図3中、理解を容易にするために、振動部240を省略する。
【0032】
図3に示すように、移動層室210を構成する壁部210a内には、流路RAが形成されている。また、傾斜板220の内部には、流路RAと連通する流路RBが形成されている。流路RBは、壁部210aの外壁から延在した仕切板224で上流路RBaと下流路RBbに分割されている。
【0033】
冷却部230は、移動層室210の下部に設けられた、流路RAと連通する冷媒導入口から冷媒を導入する。また、冷却部230は、移動層室210の上部に設けられた、流路RAと連通する冷媒排出口から冷媒を排出する。
【0034】
そうすると、冷媒導入口から導入された冷媒は、流路RAを上昇する。そして、冷媒は、仕切板224に衝突すると、下流路RBbに流れ込む。下流路RBbを流れた冷媒は、仕切板224の先端と、本体部222の先端222bとの間を通り、上流路RBaに流れ込む。そして、上流路RBaを流れた冷媒は、再び流路RAに戻り、冷媒排出口に向けて上昇する。
【0035】
冷却部230を備える構成により、移動層室210および傾斜板220を冷却することができる。
【0036】
したがって、乾燥炭DCは、傾斜板220の本体部222を流下する過程において、本体部222と接触して熱交換される。これにより、乾燥炭DCの熱が本体部222を通じて冷媒に移動し、乾燥炭DCが冷却される。
【0037】
また、上記したように、乾燥炭DCが落下して本体部222に衝突すると落下による衝撃で分散されて、乾燥炭DCが他の乾燥炭DCと混合される。したがって、移動層室210に導入されたほとんどすべての乾燥炭DCが満遍なく本体部222に接触する。これにより、乾燥炭DCを偏りなく冷却することができる。
【0038】
図2に戻って説明すると、振動部240は、本体部222(傾斜板220)の下方、および、移動層室210に設置され、傾斜板220および移動層室210を振動させる。振動部240は、例えば、偏心モータで構成される。
【0039】
振動部240を備える構成により、乾燥炭DCが滞留してしまう事態を回避することができる。また、乾燥炭DCと本体部222との接触時間を延長することができる。これにより、乾燥炭DCをさらに冷却することが可能となる。
【0040】
以上説明したように、本実施形態にかかる冷却装置120によれば、不活性ガスよりも熱容量の大きい傾斜板220内の冷媒で乾燥炭DCを冷却することができる。不活性ガスのみで冷却する従来技術では、不活性ガスと乾燥炭とを直接接触させるため、不活性ガスが汚染されてしまい、不活性ガスを回収し、循環させるためのコストが高い。一方、本実施形態にかかる冷却装置120では、冷媒と乾燥炭DCとが移動層室210、傾斜板220を介して接触する。すなわち、冷媒と乾燥炭DCとが直接接触することはないため、従来技術と比較して、冷媒を回収し、循環させるためのコストが低い。したがって、乾燥炭DCを低コストで冷却することが可能となる。
【0041】
(第1の変形例)
上記第1の実施形態では、傾斜板220が平板で構成される場合を例に挙げて説明した。しかし、傾斜板220にフィンが設けられていてもよい。
【0042】
図4は、第1の変形例にかかる傾斜板320を説明する図である。
図4に示すように、傾斜板320は、本体部222と、フィン322とを備える。
【0043】
フィン322は、本体部222の上面から鉛直上方に立設した複数の板部材324で構成される。板部材324は、傾斜板320の傾斜方向に延在している。
【0044】
したがって、本体部222に落下した乾燥炭DCは、隣り合う板部材324の間に形成された間隙を流下することとなる。したがって、乾燥炭DCは、本体部222のみならず、板部材324(フィン322)とも接触する。したがって、乾燥炭DCの冷却を促進させることができる。
【0045】
(第2の実施形態:冷却装置420)
図5は、第2の実施形態にかかる冷却装置420の鉛直断面図である。
図6(a)は、
図5のVIa−VIa線断面図であり、
図6(b)は、
図5のVIb−VIb線断面図である。
図5に示すように、冷却装置420は、移動層室210と、伝熱管ユニット430、440と、冷却部230と、振動部240とを含んで構成される。なお、上記第1の実施形態で説明した冷却装置120と実質的に等しい構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0046】
また、
図5中、乾燥炭DCの流れを白抜きの矢印で示し、冷媒の流れを実線の矢印で示す。さらに、本実施形態の
図5、
図6では、垂直に交わるX軸(水平方向)、Y軸(水平方向)、Z軸(鉛直方向)を図示の通り定義する。
【0047】
図5に示すように、伝熱管ユニット430、440は、移動層室210内を貫通する複数の伝熱管432、442で構成される。伝熱管432、442は、金属製であり、伝熱管432、442の内部は、冷却部230から供給された冷媒(例えば、水)が通過する。本実施形態において、4つの伝熱管ユニット430と、4つの伝熱管ユニット440が移動層室210に設けられ、伝熱管ユニット430と、伝熱管ユニット440とが鉛直方向に交互に配される。
【0048】
図5、
図6(a)に示すように、伝熱管ユニット430を構成する伝熱管432(第1の伝熱管)は、鉛直方向と交差する方向(本実施形態では、水平方向(
図5、
図6(a)中、X軸方向))に延在して設けられる。
【0049】
また、
図5、
図6(b)に示すように、伝熱管ユニット440を構成する伝熱管442(第2の伝熱管)は、伝熱管432と交差する方向(本実施形態では、水平方向(
図5、
図6(b)中、Y軸方向))に延在して設けられる。
【0050】
複数の伝熱管432、442には、移動層室210を構成する壁部210a内に形成された流路RAが連通されている。したがって、伝熱管432、442には、冷媒が流れ込むこととなる。
【0051】
したがって、移動層室210に導入された乾燥炭DCは、移動層室210を落下する過程において、伝熱管432、442と接触して熱交換される。これにより、乾燥炭DCの熱が伝熱管432、442を通じて冷媒に移動し、乾燥炭DCが冷却される。
【0052】
なお、伝熱管442が伝熱管432と交差する方向に延在して設けられることにより、乾燥炭DCが、伝熱管432、伝熱管442の少なくともいずれかに接触する確率を向上させることができる。
【0053】
また、乾燥炭DCは、伝熱管432、442に衝突すると落下による衝撃で分散されて、乾燥炭DCが他の乾燥炭DCと混合される。したがって、移動層室210に導入されたほとんどすべての乾燥炭DCが満遍なく伝熱管432、442に接触する。これにより、乾燥炭DCを偏りなく冷却することが可能となる。
【0054】
以上説明したように、本実施形態にかかる冷却装置420によれば、不活性ガスよりも熱容量の大きい伝熱管432、442内の冷媒で乾燥炭DCを冷却することができる。不活性ガスのみで冷却する従来技術では、不活性ガスと乾燥炭とを直接接触させるため、不活性ガスが汚染されてしまい、不活性ガスを回収し、循環させるためのコストが高い。一方、本実施形態にかかる冷却装置420では、冷媒と乾燥炭DCとが移動層室210、伝熱管ユニット430、440を介して接触する。すなわち、冷媒と乾燥炭DCとが直接接触することはないため、従来技術と比較して、冷媒を回収し、循環させるためのコストが低い。したがって、乾燥炭DCを低コストで冷却することが可能となる。
【0055】
(第2の変形例)
図7は、第2の変形例にかかる伝熱管432を説明する図である。
図7に示すように、伝熱管432の外周面から放射状に立設した金属製のフィン450を備えてもよい。また、伝熱管442がフィン450を備えてもよい。フィン450は、鉛直上方に延在して設けられる。
【0056】
フィン450を備える構成により、落下した乾燥炭DCが、冷媒で冷却された固体と接触する面積を拡大することができる。したがって、乾燥炭DCの冷却を促進させることができる。
【0057】
以上、添付図面を参照しながら実施形態について説明したが、本開示はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に技術的範囲に属するものと了解される。
【0058】
例えば、上記実施形態において、冷却部230として、冷媒を循環させる装置を例に挙げて説明した。しかし、冷却部230は、移動層室210、傾斜板220、伝熱管432、442を冷却できれば、構成に限定はない。例えば、冷却部230をペルチェ素子で構成してもよい。
【0059】
また、上記第1の実施形態において、傾斜板220が平板で構成される場合を例に挙げて説明した。しかし、傾斜板220は、基端222aから先端222bに向かって下方に傾斜していれば、形状に限定はない。例えば、傾斜板220は、湾曲した板で構成されてもよい。
【0060】
また、上記第2の実施形態において、伝熱管432、442が水平方向に延在する構成を例に挙げて説明した。しかし、伝熱管432は、鉛直方向(乾燥炭DCの移動方向)と交差する方向に延在していればよい。したがって、伝熱管432は、水平方向に対して傾斜していてもよい。また、伝熱管442は、伝熱管432と交差する方向に延在していればよい。例えば、伝熱管442は、水平方向に対して傾斜していてもよいし、鉛直方向に延在していてもよい。
【0061】
また、上記第2の実施形態において、伝熱管432、442が円筒形状である場合を例に挙げて説明した。しかし、伝熱管432、442の形状に限定はない。例えば、伝熱管432、442を角筒形状としてもよいし、三角筒形状としてもよい。
【0062】
また、上記第2の実施形態において、伝熱管ユニット430、440を4組備える構成を例に挙げて説明した。しかし、伝熱管432と伝熱管442とが少なくとも1組設けられていればよい。
【0063】
また、上記第1の実施形態において、振動部240が移動層室210および傾斜板220を振動させる構成を例に挙げて説明した。しかし、振動部240は、移動層室210、第1の傾斜板、および、第2の傾斜板の少なくともいずれかを振動させることができればよい。また、上記第2の実施形態において、振動部240が移動層室210を振動させる構成を例に挙げて説明した。しかし、振動部240は、移動層室210、伝熱管432、および、伝熱管442の少なくともいずれかを振動させることができればよい。
【0064】
また、含水石炭として褐炭を例に挙げて説明した。しかし、含水石炭は、泥炭、亜炭、亜瀝青炭であってもよいし、泥炭、亜炭、褐炭、亜瀝青炭のうち、いずれか2以上の混合物であってもよい。