(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6772814
(24)【登録日】2020年10月5日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】医療機関における情報処理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 80/00 20180101AFI20201012BHJP
G16H 40/20 20180101ALI20201012BHJP
【FI】
G16H80/00
G16H40/20
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-244417(P2016-244417)
(22)【出願日】2016年12月16日
(65)【公開番号】特開2018-97787(P2018-97787A)
(43)【公開日】2018年6月21日
【審査請求日】2019年11月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士ゼロックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松永 英樹
【審査官】
今井 悠太
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−331101(JP,A)
【文献】
特開2012−059040(JP,A)
【文献】
特開2016−177706(JP,A)
【文献】
特開2008−293395(JP,A)
【文献】
特開2011−198310(JP,A)
【文献】
特開2014−095984(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00−80/00
G06Q 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
他の医療機関より紹介状を受信する受信手段と、
他の医療機関から電子化されていない紹介状を受け取った場合、当該紹介状を電子化して電子文書を生成する生成手段と、
前記生成手段により生成された電子文書に基づき認識された前記他の医療機関が、当医療機関が属する地域医療連携ネットワークに属さない場合、当該電子文書を解析することで前記他の医療機関の連絡先情報を取得する取得手段と、
当医療機関が属する地域医療連携ネットワークに属する医療機関の識別情報を記憶する医療機関情報記憶手段と、
前記他の医療機関が、当医療機関が属する地域医療連携ネットワークに属する場合、前記紹介状に対する返書を前記地域医療連携ネットワークにおける当医療機関に割り当てられている格納場所に登録する登録手段と、
前記格納場所に登録された前記返書を、前記他の医療機関へ送信する送信手段と、
を有することを特徴とする医療機関における情報処理装置。
【請求項2】
他の医療機関より紹介状を受信する受信手段と、
他の医療機関から電子化されていない紹介状を受け取った場合、当該紹介状を電子化して電子文書を生成する生成手段と、
前記生成手段により生成された電子文書に基づき認識された前記他の医療機関が、当医療機関が属する地域医療連携ネットワークに属さない場合、医療機関に関連するデータベースを検索することで前記他の医療機関の連絡先情報を取得する取得手段と、
当医療機関が属する地域医療連携ネットワークに属する医療機関の識別情報を記憶する医療機関情報記憶手段と、
前記他の医療機関が、当医療機関が属する地域医療連携ネットワークに属する場合、前記紹介状に対する返書を前記地域医療連携ネットワークにおける当医療機関に割り当てられている格納場所に登録する登録手段と、
前記格納場所に登録された前記返書を、前記他の医療機関へ送信する送信手段と、
を有することを特徴とする医療機関における情報処理装置。
【請求項3】
前記取得手段は、電子化した返書の送信先として指定可能な連絡先を優先的に取得することを特徴とする請求項1又は2に記載の医療機関における情報処理装置。
【請求項4】
前記電子化した返書の送信先として指定可能な連絡先は、電子メールアドレスであることを特徴とする請求項3に記載の医療機関における情報処理装置。
【請求項5】
前記取得手段により取得された連絡先情報がFAX番号の場合、当該FAX番号を送信先として返書を送信させるFAX送信制御手段を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の医療機関における情報処理装置。
【請求項6】
前記取得手段により取得された連絡先情報が住所の場合、当該住所を宛先として返書を郵送させる郵送指示手段を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の医療機関における情報処理装置。
【請求項7】
医療機関に設置され、当該医療機関が属する地域医療連携ネットワークに属する医療機関の識別情報を記憶する医療機関情報記憶手段にアクセス可能なコンピュータを、
他の医療機関より紹介状を受信する受信手段、
他の医療機関から電子化されていない紹介状を受け取った場合、当該紹介状を電子化して電子文書を生成する生成手段、
前記生成手段により生成された電子文書に基づき認識された前記他の医療機関が、当医療機関が属する地域医療連携ネットワークに属さない場合、当該電子文書を解析することで前記他の医療機関の連絡先情報を取得する取得手段、
前記他の医療機関が、当医療機関が属する地域医療連携ネットワークに属する場合、前記紹介状に対する返書を前記地域医療連携ネットワークにおける当医療機関に割り当てられている格納場所に登録する登録手段、
前記格納場所に登録された前記返書を、前記他の医療機関へ送信する送信手段、
として機能させるためのプログラム。
【請求項8】
医療機関に設置され、当該医療機関が属する地域医療連携ネットワークに属する医療機関の識別情報を記憶する医療機関情報記憶手段にアクセス可能なコンピュータを、
他の医療機関より紹介状を受信する受信手段、
他の医療機関から電子化されていない紹介状を受け取った場合、当該紹介状を電子化して電子文書を生成する生成手段、
前記生成手段により生成された電子文書に基づき認識された前記他の医療機関が、当医療機関が属する地域医療連携ネットワークに属さない場合、医療機関に関連するデータベースを検索することで前記他の医療機関の連絡先情報を取得する取得手段、
前記他の医療機関が、当医療機関が属する地域医療連携ネットワークに属する場合、前記紹介状に対する返書を前記地域医療連携ネットワークにおける当医療機関に割り当てられている格納場所に登録する登録手段、
前記格納場所に登録された前記返書を、前記他の医療機関へ送信する送信手段、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療機関における情報処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
医院や病院等の医療施設において、高度な医療機器を設置していないなどを理由に患者に処置できない場合、患者を他の医療施設に紹介して診療を受けさせる場合がある。この場合、かかりつけ医(紹介元)が記載した「紹介状(診療情報提供書)」を患者に渡し、他の医療施設(紹介先)に送ることが一般に行われている。
【0003】
他の医療施設(紹介先)は、紹介状を受け取ったら、紹介元との密接な信頼関係を築く意味もあり「返書」を返すのが通例である。返書は、患者に手渡す、FAX送信する、郵送するなどの方法にて紹介元に送付される。
【0004】
例えば、従来では、紹介元となる医療施設と当該紹介元へ返書を送付するための媒体とを対応付けたデータベースを予め作成しておき、ある医療機関から紹介状を受け取ると、そのデータベースに指定された媒体を通じて返書を送付する技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−072674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、病院、診療所、介護施設など複数の医療施設において医療情報・検査データの共有および円滑な授受を行うことにより、患者へ高品質な医療の提供、医療費の削減を目的に、国策として地域医療連携が推進されている。地域医療連携に属する医療施設間では、医療施設間で電子データを授受できる仕組みとして地域医療連携ネットワークが構築されているが、このネットワークを返書の返信に有効利用されていない。
【0007】
本発明は、医療機関から受け取った紹介状に対する返書を電子化しないで送付する場合に比して返信漏れが発生する頻度を低くすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る医療機関における情報処理装置は、他の医療機関より紹介状を受信する受信手段と、
他の医療機関から電子化されていない紹介状を受け取った場合、当該紹介状を電子化して電子文書を生成する生成手段と、前記生成手段により生成された電子文書に基づき認識された前記他の医療機関が、当医療機関が属する地域医療連携ネットワークに属さない場合、当該電子文書を解析することで前記他の医療機関の連絡先情報を取得する取得手段と、当医療機関が属する地域医療連携ネットワークに属する医療機関の識別情報を記憶する医療機関情報記憶手段と、前記他の医療機関が、当医療機関が属する地域医療連携ネットワークに属する場合、前記紹介状に対する返書を前記地域医療連携ネットワークにおける当医療機関に割り当てられている格納場所に登録する登録手段と、前記格納場所に登録された前記返書を、前記他の医療機関へ送信する送信手段と、を有することを特徴とする。
【0009】
本発明に係る医療機関における情報処理装置は、他の医療機関より紹介状を受信する受信手段と、他の医療機関から電子化されていない紹介状を受け取った場合、当該紹介状を電子化して電子文書を生成する生成手段と、前記生成手段により生成された電子文書に基づき認識された前記他の医療機関が、当医療機関が属する地域医療連携ネットワークに属さない場合、医療機関に関連するデータベースを検索することで前記他の医療機関の連絡先情報を取得する取得手段と、当医療機関が属する地域医療連携ネットワークに属する医療機関の識別情報を記憶する医療機関情報記憶手段と、前記他の医療機関が、当医療機関が属する地域医療連携ネットワークに属する場合、前記紹介状に対する返書を前記地域医療連携ネットワークにおける当医療機関に割り当てられている格納場所に登録する登録手段と、前記格納場所に登録された前記返書を、前記他の医療機関へ送信する送信手段と、を有することを特徴とする。
【0012】
また、前記取得手段は、電子化した返書の送信先として指定可能な連絡先を優先的に取得することを特徴とする。
【0013】
また、前記電子化した返書の送信先として指定可能な連絡先は、電子メールアドレスであることを特徴とする。
【0014】
また、前記取得手段により取得された連絡先情報がFAX番号の場合、当該FAX番号を送信先として返書を送信させるFAX送信制御手段を有することを特徴とする。
【0015】
本発明に係るプログラムは、医療機関に設置され、当該医療機関が属する地域医療連携ネットワークに属する医療機関の識別情報を記憶する医療機関情報記憶手段にアクセス可能なコンピュータを、他の医療機関より紹介状を受信する受信手段、他の医療機関から電子化されていない紹介状を受け取った場合、当該紹介状を電子化して電子文書を生成する生成手段、前記生成手段により生成された電子文書に基づき認識された前記他の医療機関が、当医療機関が属する地域医療連携ネットワークに属さない場合、当該電子文書を解析することで前記他の医療機関の連絡先情報を取得する取得手段、前記他の医療機関が、当医療機関が属する地域医療連携ネットワークに属する場合、前記紹介状に対する返書を前記地域医療連携ネットワークにおける当医療機関に割り当てられている格納場所に登録する登録手段、前記格納場所に登録された前記返書を、前記他の医療機関へ送信する送信手段、として機能させる。
【0016】
本発明に係るプログラムは、医療機関に設置され、当該医療機関が属する地域医療連携ネットワークに属する医療機関の識別情報を記憶する医療機関情報記憶手段にアクセス可能なコンピュータを、他の医療機関より紹介状を受信する受信手段、
他の医療機関から電子化されていない紹介状を受け取った場合、当該紹介状を電子化して電子文書を生成する生成手段、前記生成手段により生成された電子文書に基づき認識された前記他の医療機関が、当医療機関が属する地域医療連携ネットワークに属さない場合、医療機関に関連するデータベースを検索することで前記他の医療機関の連絡先情報を取得する取得手段、前記他の医療機関が、当医療機関が属する地域医療連携ネットワークに属する場合、前記紹介状に対する返書を前記地域医療連携ネットワークにおける当医療機関に割り当てられている格納場所に登録する登録手段、前記格納場所に登録された前記返書を、前記他の医療機関へ送信する送信手段、として機能させる。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載の発明によれば、医療機関から受け取った紹介状に対する返書を電子化しないで送付する場合に比して返信漏れが発生する頻度を低くすることができる。
また、同じ地域医療連携ネットワークに属さない他の医療機関から電子化されていない紹介状を受け取った場合でも、当該他の医療機関に対して返書を自動返信することが可能となる。
【0018】
請求項2に記載の発明によれば、
医療機関から受け取った紹介状に対する返書を電子化しないで送付する場合に比して返信漏れが発生する頻度を低くすることができる。また、同じ地域医療連携ネットワークに属さない他の医療機関から電子化されていない紹介状を受け取った場合でも、当該他の医療機関に対して返書を自動返信することが可能となる。
【0021】
請求項
3に記載の発明によれば、医療機関から電子化されていない紹介状を受け取った場合でも返書を極力電子化して送信することができる。
【0022】
請求項
4に記載の発明によれば、返書を電子メールにて送信することができる。
【0023】
請求項
5に記載の発明によれば、返書をFAXにて送信することができる。
【0024】
請求項
6に記載の発明によれば、返書を郵送にて送付することができる。
【0025】
請求項
7に記載の発明によれば、医療機関から受け取った紹介状に対する返書を電子化しないで送付する場合に比して返信漏れが発生する頻度を低くすることができる。
また、同じ地域医療連携ネットワークに属さない他の医療機関から電子化されていない紹介状を受け取った場合でも、当該他の医療機関に対して返書を自動返信することが可能となる。
請求項8に記載の発明によれば、医療機関から受け取った紹介状に対する返書を電子化しないで送付する場合に比して返信漏れが発生する頻度を低くすることができる。また、同じ地域医療連携ネットワークに属さない他の医療機関から電子化されていない紹介状を受け取った場合でも、当該他の医療機関に対して返書を自動返信することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本実施の形態における地域医療連携ネットワークを含むシステム全体構成及び地域医療連携ネットワークにおけるブロック構成を示す図である。
【
図2】本実施の形態における医療機関端末を形成するコンピュータのハードウェア構成図である。
【
図3】本実施の形態における医療機関情報記憶部に設定登録されている医療機関情報のデータ構成の一例を示す図である。
【
図4】本実施の形態における返書返信処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面に基づいて、本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0028】
図1は、本実施の形態における地域医療連携ネットワークを含むシステム全体構成及び地域医療連携ネットワークにおけるブロック構成を示す図である。前述したように、「地域医療連携」とは、病院、診療所、介護施設など複数の医療施設において医療情報・検査データの共有および円滑な授受を行うことにより、患者へ高品質な医療の提供、医療費の削減を目的に、国策として推進されている仕組みである。地域医療連携ネットワークは、各地域に存在する医療施設間で医療連携をとるために、地域医療連携毎に構築されるネットワークシステムである。また、「医療機関」とは、医療法で定められた医療提供施設のことをいうが、本実施の形態では、医療機関と医療施設とを同義で用いる。
【0029】
本実施の形態における地域医療連携ネットワーク1は、各医療機関に設置される医療機関端末10と、地域医療連携サーバ20とをネットワーク2で接続して構成される。各医療機関に複数の医療機関端末10を設置してもよいが、本実施の形態では、説明の便宜上、各医療機関に1台ずつ設置されているものとして説明する。
【0030】
図2は、本実施の形態における医療機関端末10を形成するコンピュータのハードウェア構成図である。本実施の形態において医療機関端末10を形成するコンピュータは、パーソナルコンピュータ(PC)等従前から存在する汎用的なハードウェア構成で実現できる。すなわち、コンピュータは、
図2に示したようにCPU31、ROM32、RAM33、ハードディスクドライブ(HDD)34、入力手段として設けられたマウス35とキーボード36、及び表示手段として設けられたディスプレイ37をそれぞれ接続する入出力コントローラ38、通信手段として設けられたネットワークコントローラ39を内部バス40に接続して構成される。地域医療連携サーバ20も同様にコンピュータであることから、そのハードウェア構成は、
図2と同様に図示できる。
【0031】
図1に戻り、本実施の形態における医療機関端末10は、受信部11、読取部12、返書返信制御部13、送信処理部14、FAX送信制御部15、郵送指示部16及び紹介状記憶部17を有している。なお、本実施の形態の説明に用いない構成要素については
図1から省略している。また、各医療機関端末10とも同等の構成を有していればよいので、
図1では、1台の医療機関端末10のみブロック構成を示した。地域医療連携サーバ20においても同様である。
【0032】
受信部11は、他の医療機関から電子化された紹介状が送信されてきた場合、その紹介状を受信し、紹介状記憶部17に登録する。読取部12は、他の医療機関から電子化されていない紙媒体で紹介状を受け取った場合、当該紹介状をスキャナ(図示せず)により読み取り電子化して電子文書を生成する生成手段として機能する。そして、電子化された紹介状を紹介状記憶部17に登録する。なお、本実施の形態の場合、FAX装置が受信した紹介状は、いったん用紙に印刷されるものとして取り扱う。
【0033】
返書返信制御部13は、紹介状の送り元となる他の医療機関(紹介元)が、当医療機関(紹介先)が属する地域医療連携ネットワーク1に属する場合、紹介状に対する返書を地域医療連携ネットワーク1における当医療機関に割り当てられている格納場所に登録する登録手段として機能する。更に、紹介元が、当医療機関が属する地域医療連携ネットワーク1に属さない場合、紹介状を解析することで紹介元の連絡先情報を取得する取得手段として機能する。
【0034】
送信処理部14は、返書返信制御部13において上記格納場所に登録された返書を、紹介状の送信元となる他の医療機関へ送信する。FAX送信制御部15は、紹介状を解析することによって得られた他の医療機関の連絡先情報がFAX番号の場合、当該FAX番号を送信先として返書を送信させる。郵送指示部16は、紹介状を解析することによって得られた他の医療機関の連絡先情報が住所の場合、当該住所を宛先として返書を郵送させる。紹介状記憶部17には、電子文書として受信された紹介状及びスキャンにより電子化された紹介状が記憶される。
【0035】
医療機関端末10における各構成要素11〜16は、医療機関端末10を形成するコンピュータと、コンピュータに搭載されたCPU31で動作するプログラムとの協調動作により実現される。また、紹介状記憶部17は、医療機関端末10に搭載されたHDD34にて実現される。あるいは、RAM33又は外部にある記憶手段をネットワーク経由で利用してもよい。
【0036】
また、本実施の形態で用いるプログラムは、通信手段により提供することはもちろん、CD−ROMやUSBメモリ等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して提供することも可能である。通信手段や記録媒体から提供されたプログラムはコンピュータにインストールされ、コンピュータのCPUがプログラムを順次実行することで各種処理が実現される。
【0037】
地域医療連携サーバ20は、データ記憶部21及び医療機関情報記憶部22を有している。データ記憶部21は、同じ地域医療連携ネットワーク1に属する医療機関に共通して利用される記憶手段である。データ記憶部21には、医療機関毎に割り当てられた格納場所(フォルダ等)が設けられている。また、各医療機関が共有して利用可能な格納場所を設けてもよい。同一地域医療連携ネットワーク1に属する各医療機関の医療機関端末10は、自己の格納場所のみならず返書等の電子ファイルを他の医療機関に割り当てられている格納場所に登録することが可能である。
【0038】
図3は、本実施の形態における医療機関情報記憶部22に設定登録されている医療機関情報のデータ構成の一例を示す図である。
図3には、医療機関名、参加、利用格納先、住所、FAX番号、メールアドレス等の項目を含む医療機関情報が医療機関毎に設定されている例が示されている。このうち、医療機関名は、各医療機関の名称であり、識別情報に相当する。もちろん、住所やFAX番号も医療機関毎に異なる情報なので識別情報になり得る。参加は、地域医療連携ネットワーク1への所属関係を示すフラグ情報であり、当該地域医療連携ネットワーク1に属する場合は参加を意味する“○”が、属さない場合は“×”がそれぞれ設定される。本実施の形態においては、参加の項目を設定することによって、他の地域医療連携ネットワーク1に属する医療機関に関する情報も同じデータベースに登録するようにしたが、同一地域医療連携ネットワーク1に属さない医療機関に関しては登録しないようにしてもよいし、異なるデータベースで管理するようにしてもよい。利用格納先は、当該医療機関に割り当てられている格納場所を特定する情報である。住所、FAX番号、メールアドレス等は当該医療機関への連絡先情報となる。
【0039】
地域医療連携サーバ20における各記憶部21,22は、地域医療連携サーバ20に搭載されたHDDにて実現される。あるいは、外部にある記憶手段をネットワーク経由で利用してもよい。
【0040】
次に、本実施の形態における返書返信処理について
図4に示すフローチャートを用いて説明する。
【0041】
他の医療機関から紹介状が電子文書の形態にて送信されてくる場合があるが、受信部11は、その紹介状を受信すると紹介状記憶部17に登録する。電子化された紹介状が送信されてくる場合として、本実施の形態では、データ記憶部21に設けられている当医療機関の格納場所に紹介状が登録される場合を想定している。受信部11は、紹介状が登録されたことを検知して当該格納場所から紹介状を読み出し、紹介状記憶部17に登録することになる。なお、本実施の形態では、同一地域医療連携ネットワーク1に属する他の医療機関によって紹介状が登録され、同一地域医療連携ネットワーク1に属さない他の医療機関は当医療機関の格納場所に紹介状を登録できないことを想定して説明するが、登録できるようにしてもよい。
【0042】
一方、同一地域医療連携ネットワーク1に属さない他の医療機関からは、患者による手渡し、郵送、FAX文書等によって紹介状を受け取るが、読取部12は、当医療機関の従業員等によるスキャナ読取操作によって紹介状を読み取り、これにより、紹介状の電子文書(スキャン文書)を生成して紹介状記憶部17に登録する。
【0043】
返書返信制御部13は、新規に登録された紹介状を紹介状記憶部17から取得すると(ステップ101)、その紹介状がスキャン文書でない場合(ステップ102でN)、同一地域医療連携ネットワーク1に属する他の医療機関によって紹介状が登録されたと判断し、紹介状を解析して紹介元宛の返書を作成し、当医療機関の格納場所に登録する(ステップ105)。返書が登録されると、送信処理部14は、返書の内容又は返書のファイル名等から紹介元を特定して返書を紹介元宛に送信する(ステップ106)。本実施の形態では、紹介元に対応する格納場所に返書が登録されることを、返書の送信とみなす。
【0044】
返書の作成自体は、本実施の形態の特徴事項ではない。返書は、例えば、定型文を予め用意しておき、定型文に宛先等の情報を当てはめて自動生成するようにしてもよい。あるいは、医師等により作成された返書をスキャンにより読み取って、その返書の電子文書を生成するようにしてもよい。
【0045】
なお、返書返信制御部13は、紹介状記憶部17への新規登録を常時監視し、新規登録を検知した場合に本処理を実行してもよいし、定時処理として実行してもよい。また、紹介状がスキャン文書かどうかは、紹介状記憶部17における格納場所、紹介状の命名規則、ファイル形式等によって判別可能である。
【0046】
一方、取得した紹介状がスキャン文書の場合(ステップ102でY)、返書返信制御部13は、紹介状に対しOCR解析等を行って紹介状の作成元(紹介元)を抽出する(ステップ103)。当医療機関と同一地域医療連携ネットワーク1に属する他の医療機関でも所定の格納場所に紹介状(電子文書)を登録するとは限らないので、医療機関情報記憶部22を参照することによって紹介元が同一地域医療連携ネットワーク1に属するかどうかを確認する。紹介元が同一地域医療連携ネットワーク1に属する場合は(ステップ104でY)、上記と同様にして紹介元に返書を送信する(ステップ105,106)。
【0047】
紹介元が同一地域医療連携ネットワーク1に属しない場合(ステップ104でN)、返書返信制御部13は、紹介状に対しOCR解析等を行って紹介元の連絡先情報を取得する(ステップ107)。
【0048】
ところで、平成28年度の診療報酬改訂で、診療情報提供書等の電子的な送受に診療報酬が加算されることになった。これにより、本実施の形態では、同一地域医療連携ネットワーク1に属する医療機関に対しては、前述したようにデータ記憶部21を介して返書を送信するようにした。そして、同一地域医療連携ネットワーク1に属しない医療機関に対しても、可能な限り電子化した返書にて返信するのが好適である。そのために、本実施の形態では、電子化した返書の送信先として指定可能な連絡先を優先的に取得するようにした。返書返信制御部13は、紹介状から紹介元の連絡先として、住所、FAX番号、メールアドレスを抽出するよう解析処理するが、返書を電子化して送信可能なメールアドレスが抽出できれば、メールアドレスを送信先として採用する、すなわち電子メールにて返信することを優先する。
【0049】
返書返信制御部13が紹介元の連絡先情報としてメールアドレスを取得できた場合(ステップ108でY)、送信処理部14は、そのメールアドレスを宛先として返書を電子メールにて送信する(ステップ109)。これにより、データ記憶部21に返書を登録する場合と同様、返書の返信に要した費用を診療報酬に加算することが可能となる。
【0050】
紹介状からメールアドレスを取得できない場合において(ステップ108でN)、FAX番号が取得できた場合(ステップ110でY)、FAX送信制御部15は、返書返信制御部13からの指示に従い、その取得したFAX番号宛に返書をFAX送信するよう処理する(ステップ111)。これは、返書(電子文書)をFAX装置に送信して送信させるようにしてもよいし、従業員等に電子メール等によって返書を印刷してFAX送信するよう指示してもよい。
【0051】
ところで、上記説明では、他の医療機関の連絡先情報を紹介状から取得するように説明した。ただ、これに限定する必要はなく、医療機関名が判明しているのであれば、医療機関情報記憶部22又はインターネットを介して医療機関に関連するデータベース等を検索することで取得するようにしてもよい。また、本実施の形態では、紹介状を受け取ると、返書を自動返信することを想定しているが、従業員等によりデータベース検索の際に必要な医療機関名等を入力させるようにしてもよい。前述したメールアドレス及びFAX番号も従業員等のよるキーワード(医療機関名)検索により取得してもよい。
【0052】
メールアドレス及びFAX番号が取得できない場合(ステップ110でN)、郵送指示部16は、返書返信制御部13からの指示に従い、取得した住所宛に返書を郵送するよう処理する(ステップ112)。これは、従業員等に電子メール等によって返書を印刷して郵送するよう指示する。
【0053】
本実施の形態によれば、紹介状を受け取った場合、以上のようにして紹介状に対する返書を極力自動的に送信できるようにした。これにより、返書の返信漏れをより確実に防ぐことが可能となる。また、返書を電子化して返信することを優先するようにしたので、返書の返信に要する費用を診療報酬に加算することが可能となる。
【符号の説明】
【0054】
1 地域医療連携ネットワーク、2 ネットワーク、10 医療機関端末、11 受信部、12 読取部、13 返書返信制御部、14 送信処理部、15 FAX送信制御部、16 郵送指示部、17 紹介状記憶部、20 地域医療連携サーバ、21 データ記憶部、22 医療機関情報記憶部、31 CPU、32 ROM、33 RAM、34 ハードディスクドライブ(HDD)、35 マウス、36 キーボード、37 ディスプレイ、38 入出力コントローラ、39 ネットワークコントローラ、40 内部バス。