(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1設定管理部は、前記第1通信部と通信接続された中継装置から識別情報を取得し、前記取得した識別情報に基づいて、前記通信接続された中継装置が書き込み対象の中継装置であると認証した場合には、前記認証した識別情報の中継装置に前記第1通信部を介して前記第1設定情報と前記第2設定情報とを書き込むことを特徴とする請求項2に記載の管理装置。
プラントに設置されるフィールド機器と管理装置との間で通信する情報を中継する中継装置に対して、設定情報を設定するための前記管理装置として、コンピュータを機能させるためのプログラムであって、
前記コンピュータを、
前記中継装置の設定情報である第1設定情報を格納する第1格納手段と、
前記フィールド機器の設定情報であって、前記中継装置によって前記フィールド機器に書き込まれる第2設定情報を格納する第2格納手段と、
前記第1設定情報と前記第2設定情報とを前記中継装置に書き込む書き込み手段と、
して機能させるためのプログラム。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。なお、図面において、同一又は類似の部分には同一の符号を付して、重複する説明を省く場合がある。また、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために誇張されることがある。
【0021】
明細書の全体において、ある部分がある構成要素を「含む」、「有する」や「備える」とする時、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含むことができるということを意味する。
【0022】
以下、本発明の一実施形態に係るフィールド無線システムを、図面を用いて説明する。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態に係るフィールド無線システムAの概略構成の一例を示す図である。
このフィールド無線システムAは、プラント(図示省略)で実現される工業プロセスの制御を行うとともに、プラントを構成する機器(フィールド機器を含む)や装置等の設備の管理を行う。ここで、上記のプラントとしては、化学等の工業プラントの他、ガス田や油田等の井戸元やその周辺を管理制御するプラント、水力・火力・原子力等の発電を管理制御するプラント、太陽光や風力等の環境発電を管理制御するプラント、上下水やダム等を管理制御するプラント等がある。
【0024】
図1に示すように、フィールド無線システムAは、フィールド機器1、プログラマブルロジックコントローラ(以下、「PLC」という。)2及びゲートウェイ3を備える。なお、PLC2は、この発明における「管理装置」の一例である。ゲートウェイ3は、この発明における「中継装置」の一例である。
【0025】
フィールド機器1は、プラントの現場に設置される機器である。フィールド機器1は、プラントにおけるプロセス制御に必要な制御や操作等を行う。ここで、プロセス制御とは、プラント内の工業プロセスにおける各種の状態量(例えば、圧力、温度、流量等)を制御することである。例えば、フィールド機器1は、流量計や温度センサ等のセンサ機器、流量制御弁や開閉弁等のバルブ機器、ファンやモータ等のアクチュエータ機器等である。
【0026】
フィールド機器1は、ゲートウェイ3と無線通信することで情報を送受する。例えば、フィールド機器1とゲートウェイ3との無線通信は、ISA100.11a等の工業用無線規格に準拠した無線通信である。
【0027】
このフィールド機器1には、ゲートウェイ3と無線通信するための情報が、例えば、工場出荷時において予め設定されている。ゲートウェイ3と無線通信するための情報とは、フィールド機器1とゲートウェイ3とが通信する無線通信のネットワーク(以下、「無線ネットワーク」という。)Nに参入するための参入情報である。例えば、参入情報とは、「EUI64」、「デバイスタグ」、「ネットワークID」、「ジョインキー」である。
【0028】
「EUI64」は、無線ネットワークN上において、各フィールド機器1を一意に識別可能な識別情報である。
「デバイスタグ」は、プロセス通信において、各フィールド機器1を一意に識別可能な識別情報である。
「ネットワークID」は、無線ネットワークNに予め割り当てられた識別情報であって、複数の無線ネットワークNから所定の無線ネットワークNを一意に識別可能な情報である。
「ジョインキー」は、「ネットワークID」で識別された無線ネットワークNへの参入時に必要となるパスワードに相当する情報である。
【0029】
フィールド機器1は、上記参入情報に基づいて無線ネットワークNに参入してゲートウェイ3と無線通信を行うことで、PLC2と情報を送受することができる。例えば、フィールド機器1は、PLC2との間でプロセス制御に必要となるプロセスデータを、ゲートウェイ3を介して送受することができる。なお、本実施形態では、フィールド無線システムAは、複数のフィールド機器1(1−1〜1−3)を備える場合について説明するが、これに限定されない。すなわち、フィールド無線システムAは、一以上のフィールド機器1を備えていればよい。なお、複数のフィールド機器1−1〜1−3のそれぞれを区別しない場合には、単に「フィールド機器1」と標記する。
【0030】
PLC2は、管理室に設置される。PLC2は、ゲートウェイ3と通信接続される。例えば、PLC2は、ゲートウェイ3とシリアル通信で通信接続される。本実施形態では、PLC2は、通信プロトコルとしてmodbus(登録商標)を用いることで、ゲートウェイ3とシリアル通信する。これにより、PLC2は、ゲートウェイ3を介してのフィールド機器1と情報を送受することができる。
【0031】
また、エンジニアは、エンジニアリングツール100をPLC2に無線又は有線で接続し、このエンジニアリングツール100からPLC2、ゲートウェイ3及び各フィールド機器1の各種設定を行うことができる。
エンジニアリングツール100は、例えば、プラントの仕様である設計データに従って、フィールド機器1、PLC2及びゲートウェイ3の各装置に設定すべき情報(設定情報)を作成する。エンジニアリングツール100は、PLC2に接続された場合に、フィールド機器1、PLC2及びゲートウェイ3の各装置の設定情報を複製(コピー)してPLC2に出力する。
【0032】
図2は、本発明の一実施形態に係るフィールド機器1、PLC2及びゲートウェイ3の各設定情報のデータ構造を示す図である。
【0033】
図2に示すように、例えば、フィールド機器1の設定情報(以下、「デバイス設定情報」)は、EUI64、デバイスタグ、ジョインキー、ネットワークID等の参入情報と、データ種類、データ更新周期および通信経路等のプロセス通信の設定情報(以下、「プロセス設定情報」という。)とを含む。このデバイス設定情報における参入情報は、所定のプロセス設定情報を設定又は変更したいフィールド機器1を特定するために用いられる。このデバイス設定情報は、フィールド機器1−1〜1−3ごとに作成されてもよい。
【0034】
PLC2の設定情報(以下、「PLC設定情報」)は、ゲートウェイ3とシリアル通信接続するためのボーレート、modbusアドレス及び機器制御情報を含む。この機器制御情報は、フィールド機器1−1〜1−3ごとのファンクションブロックの設定情報や、PLCプログラム等を含む。
【0035】
ゲートウェイ3の設定情報(以下、「ゲートウェイ設定情報」)は、PLC2とシリアル通信接続するためのボーレート、modbusアドレス、ゲートウェイタグ及び自装置が属するネットワークIDを含む。
ゲートウェイタグは、各ゲートウェイ3を一意に識別可能な識別情報である。なお、ゲートウェイ3が複数ある場合には、ゲートウェイ設定情報は、各ゲートウェイ3ごとに作成されてもよい。なお、ゲートウェイ3には、自装置のゲートウェイが予め記憶されている。
【0036】
以下に、本発明の一実施形態に係るPLC2の概略構成について、
図3を用いて説明する。
図3に示すように、PLC2は、イーサネット通信部21、設定管理部22(第1設定管理部)、設定保存領域23、プロセス管理部24及びシリアル通信部25を備える。なお、シリアル通信部25は、本発明の「第1通信部」の一例である。
【0037】
イーサネット通信部21は、エンジニアリングツール100とイーサネットケーブルを介して通信接続される。
【0038】
設定管理部22は、イーサネット通信部21を介してエンジニアリングツール100からPLC設定情報、ゲートウェイ設定情報(第1設定情報)及びデバイス設定情報(第2設定情報)を取得する。そして、設定管理部22は、エンジニアリングツール100から取得した、PLC設定情報、ゲートウェイ設定情報及びデバイス設定情報を、設定保存領域23に格納する。これにより、PLC2に、PLC設定情報が設定される。
【0039】
また、設定管理部22は、ゲートウェイ設定情報とデバイス設定情報とをシリアル通信部25を介してゲートウェイ3に書き込む。例えば、設定管理部22は、シリアル通信部25にゲートウェイ3が通信接続されたことに応じて、当該ゲートウェイ3に、設定保存領域23に格納されているゲートウェイ設定情報とデバイス設定情報とを書き込む。
【0040】
より具体的には、設定管理部22は、シリアル通信部25と通信接続されゲートウェイ3からゲートウェイタグを取得する。そして、設定管理部22は、設定保存領域23に格納されているゲートウェイタグと、ゲートウェイ3から取得したゲートウェイタグとを照合する。そして、設定管理部22は、その照合において、設定保存領域23に格納されているゲートウェイタグと、ゲートウェイ3から取得したゲートウェイタグとが一致した場合には、そのゲートウェイ3が、設定情報の書き込み対象のゲートウェイ3であると認証する。そして、設定管理部22は、認証したゲートウェイ3に対して、設定保存領域23に格納されているゲートウェイ設定情報とデバイス設定情報とを書き込む。
【0041】
設定保存領域23は、プロセス情報領域231、ゲートウェイ設定領域232(第1設定保存領域)及びフィールド機器設定領域233(第2設定保存領域)を備える。
プロセス情報領域231は、PLC設定情報を格納する領域である。ゲートウェイ設定領域232は、ゲートウェイ設定情報を格納する領域である。フィールド機器設定領域233は、デバイス設定情報を格納する領域である。
【0042】
プロセス管理部24は、シリアル通信部25及びゲートウェイ3を介して、各フィールド機器1とプロセスデータを送受する。プロセス管理部24は、シリアル通信部25を介して、各フィールド機器1から取得したプロセスデータを、プロセス情報領域231における各フィールド機器1のファンクションブロックにそれぞれ格納する。
【0043】
次に、本発明の一実施形態に係るゲートウェイ3の概略構成について、
図3を用いて説明する。このゲートウェイ3は、PLC2と各フィールド機器1との間の通信を中継する。
図3に示すように、ゲートウェイ3は、シリアル通信部31、modbusレジスタ32、ゲートウェイ機能部33、及びアンテナ34を備える。なお、ゲートウェイ機能部33は、本発明の「第2設定管理部」の一例である。modbusレジスタ32は、本発明の「第3設定記録領域」の一例である。また、アンテナ34は、本発明の「第2通信部」の一例である。
【0044】
シリアル通信部31は、シリアル通信部25とシリアル通信する。
modbusレジスタ32は、揮発性の記憶領域である。このmodbusレジスタ32には、シリアル通信部31を介して、PLC2からゲートウェイ設定情報とデバイス設定情報とが書き込まれる。これにより、ゲートウェイ3にゲートウェイ設定情報が設定される。
【0045】
ゲートウェイ機能部33は、PLC2と通信接続することでmodbusレジスタ32に書き込まれたゲートウェイ設定情報及びデバイス設定情報のうち、デバイス設定情報をアンテナ34を介してフィールド機器1に書き込む。
アンテナ34は、フィールド機器1と無線ネットワークNを介して通信接続される。
【0046】
例えば、ゲートウェイ機能部33は、アンテナ34とフィールド機器1とが無線で通信接続されたことに応じて、当該フィールド機器1にmodbusレジスタ32内のデバイス設定情報を書き込む。アンテナ34とフィールド機器1とが無線で通信接続される場合とは、例えば、フィールド機器1が起動した場合である。
【0047】
より具体的には、ゲートウェイ機能部33は、アンテナ34と通信接続されたフィールド機器1の参入情報を取得する。そして、ゲートウェイ機能部33は、modbusレジスタ32に格納されている参入情報と、フィールド機器1から取得した参入情報とを照合する。そして、ゲートウェイ機能部33は、その照合において、modbusレジスタ32に格納されている参入情報と、フィールド機器1から取得した参入情報とが一致した場合には、そのフィールド機器1が、設定情報(デバイス設定情報)の書き込み対象のフィールド機器1であると認証する。そして、ゲートウェイ機能部33は、その認証したフィールド機器1に対して、modbusレジスタ32に格納されているデバイス設定情報を書き込む。これにより、フィールド機器1にデバイス設定情報が設定される。
【0048】
また、ゲートウェイ機能部33は、シリアル通信部25から取得したプロセスデータをアンテナ34を介してフィールド機器1に送信する。一方、ゲートウェイ機能部33は、アンテナ34から取得したプロセスデータをシリアル通信部31を介してPLC2に送信する。
【0049】
以下に、本発明の一実施形態に係る、設定情報の設定方法の流れについて、
図4〜
図6を参照して説明する。
【0050】
(エンジニアリングツール100からPLC2への設定情報の書き込み)
まず、エンジニアリングツール100からPLC2への設定情報の書き込みの流れについて、
図4を用いて説明する。
【0051】
エンジニアリングツール100は、プラントの仕様である設計データに従って、フィールド機器1、PLC2及びゲートウェイ3の各装置に設定すべき設定情報を作成する(ステップS101)。
エンジニアリングツール100は、エンジニアにより、PLCにイーサネットケーブルで接続される。そして、エンジニアリングツール100は、PLC2に接続された場合に、フィールド機器1、PLC2及びゲートウェイ3の各設定情報であるPLC設定情報、ゲートウェイ設定情報及びデバイス設定情報を、PLC2に出力する(ステップS102)。
【0052】
PLC2の設定管理部22は、エンジニアリングツール100から取得した設定情報をプロセス情報領域231に格納する(ステップS103)。具体的には、PLC2の設定管理部22は、エンジニアリングツール100から取得したPLC設定情報をプロセス情報領域231に格納する。これにより、PLC2にPLC設定情報が設定される。
また、設定管理部22は、エンジニアリングツール100から取得したゲートウェイ設定情報をゲートウェイ設定領域232に格納する。また、設定管理部22は、エンジニアリングツール100から取得したデバイス設定情報をフィールド機器設定領域233に格納する。
【0053】
(PLC2からゲートウェイ3への設定情報の書き込み)
次に、PLC2からゲートウェイ3への設定情報の書き込みの流れについて、
図5を用いて説明する。
【0054】
PLC2の設定管理部22は、上述したエンジニアリングツール100からPLC2への設定情報の書き込みが終了した場合には、シリアル通信部25を介してリクエストをゲートウェイ3に送信する(ステップS201)。なお、設定管理部22は、ゲートウェイ3から応答があるまで、一定周期ごとにリクエストを送信し続ける。
【0055】
例えば、ゲートウェイ3が起動した場合には、そのゲートウェイ3はPLC2と通信接続される。PLC2と通信接続されたゲートウェイ3は、PLC2からリクエストを取得する。そして、ゲートウェイ3は、PLC2からリクエストを取得すると、そのPLC2に対して、自装置のゲートウェイタグを含むレスポンスを送信する(ステップS202)。
【0056】
設定管理部22は、ゲートウェイ3から送信されたレスポンスのゲートウェイタグを用いて、ゲートウェイ認証を行う(ステップS203)。このゲートウェイ認証とは、通信接続されているゲートウェイ3が、ゲートウェイ設定領域232に格納されているゲートウェイ設定情報を書き込むゲートウェイであることを認証することである。
【0057】
設定管理部22は、ゲートウェイ3から送信されたレスポンスのゲートウェイタグに基づいて、ゲートウェイ認証が成功したか否かを判定する(ステップS204)。例えば、設定管理部22は、ゲートウェイ3から送信されたレスポンスのゲートウェイタグ(第1ゲートウェイタグ)と、設定保存領域23に格納されているゲートウェイ設定情報のゲートウェイタグ(第2ゲートウェイタグ)とを照合する。
【0058】
そして、その照合の結果、第1ゲートウェイタグと、第2ゲートウェイタグとが一致した場合には、設定管理部22は、認証が成功したと判定してステップS205の処理を行う。一方、その照合の結果、第1ゲートウェイタグと、第2ゲートウェイタグとが一致しない場合には、設定管理部22は認証が失敗したと判定し、ステップS201の処理に戻る。
【0059】
設定管理部22は、ゲートウェイ認証が成功した場合には、ゲートウェイ設定領域232に格納されているゲートウェイ設定情報と、フィールド機器設定領域233に格納されているデバイス設定情報とを、シリアル通信部25に通信接続されているゲートウェイ3のmodbusレジスタ32に書き込む(ステップS205)。
【0060】
これにより、ゲートウェイ3のmodbusレジスタ32には、ゲートウェイ設定情報とデバイス設定情報とが格納される(ステップS206)。ここで、ゲートウェイ3にゲートウェイ設定情報が設定されることになる。
【0061】
なお、PLC2からゲートウェイ3への設定情報の書き込みの頻度やタイミングは、種々の態様を採ることができる。例えば、PLC2は、ゲートウェイ3が起動した場合や設定の変更があった場合にのみ、ゲートウェイ設定情報やデバイス設定情報を書き込んでもよい。この場合には、ゲートウェイ3に設定情報を書き込むための通信回数が少なくて済む。
【0062】
また、PLC2は、ゲートウェイ3が起動した場合に、まずゲートウェイ3のmodbusレジスタ32に格納されている設定情報(ゲートウェイ設定情報やデバイス設定情報)を読み込む。そして、PLC2は、設定保存領域23に格納されているゲートウェイ設定情報及びデバイス設定情報と、modbusレジスタ32に格納されているゲートウェイ設定情報及びデバイス設定情報と、に差分があった場合にのみ、設定保存領域23に格納されているゲートウェイ設定情報及びデバイス設定情報を、modbusレジスタ32に書き込んでもよい。
また、PLC2は、一定周期ごとにmodbusレジスタ32に設定情報を書き込んでもよい。この場合には、高機能なPLC2が必要がない。
【0063】
(ゲートウェイ3からフィールド機器1への設定情報の書き込み)
次に、ゲートウェイ3からフィールド機器1への設定情報の書き込みの流れについて、
図6を用いて説明する。
【0064】
フィールド機器1が起動すると(ステップS301)、そのフィールド機器1は、ジョインリクエストをゲートウェイ3に送信する(ステップS302)。このジョインリクエストは、フィールド機器1に予め設定されている参入情報である。
【0065】
ゲートウェイ機能部33は、フィールド機器1から送信されたジョインリクエストを用いて、デバイス認証を行う(ステップS303)。このデバイス認証とは、通信接続されているフィールド機器1が、
modbusレジスタ32に格納されているデバイス設定情報を書き込むフィールド機器1であることを認証することである。なお、通信接続されているフィールド機器1とは、ジョインリクエストを送信したフィールド機器1である。
【0066】
ゲートウェイ機能部33は、フィールド機器1から送信されたジョインリクエストに基づいて、デバイス認証が成功したか否かを判定する(ステップS304)。例えば、ゲートウェイ機能部33は、フィールド機器1から送信されたジョインリクエストと、
modbusレジスタ32内の参入情報とを照合する。
【0067】
そして、その照合の結果、フィールド機器1から送信されたジョインリクエストと、
modbusレジスタ32内の参入情報とが一致した場合には、ゲートウェイ機能部33は、デバイス認証が成功したと判定してステップS305の処理を行う。一方、その照合の結果、フィールド機器1から送信されたジョインリクエストと、
modbusレジスタ32内の参入情報とが一致しない場合には、ゲートウェイ機能部33はデバイス認証が失敗したと判定し、別のフィールド機器1からジョインリクエストが送信されるのを待つ。
【0068】
ゲートウェイ機能部33は、デバイス認証が成功した場合には、
modbusレジスタ32に格納されているデバイス設定情報を、ジョインリクエスを送信したフィールド機器1に書き込む(ステップS305)。なお、ゲートウェイ機能部33は、デバイス認証が成功した場合に、
modbusレジスタ32に格納されているデバイス設定情報のプロセス設定情報のみを、ジョインリクエスを送信したフィールド機器1に書き込んでもよい。これは、フィールド機器1には、既に参入情報が設定されているためである。
【0069】
これにより、フィールド機器1には、デバイス設定情報が格納される(ステップS306)。したがって、フィールド機器1には、デバイス設定情報(プロセス設定情報)が設定されることになる。
フィールド機器1は、設定されたプロセス設定情報に基づいて、ゲートウェイ3とプロセス通信を開始する(ステップS307)。
【0070】
(すでに設定されている設定情報の変更)
【0071】
次に、PLC2、ゲートウェイ3及びフィールド機器1がそれぞれ通信接続されている場合において、PLC2、ゲートウェイ3及びフィールド機器1のそれぞれに設定されている設定情報の設定変更を行う方法について、
図7を参照して説明する。ここで、設定変更される情報とは、デバイス設定情報におけるプロセス設定情報の通信経路やデータ更新周期である。
【0072】
なお、PLC2は、エンジニアリングツール100から、更新されたPLC設定情報、ゲートウェイ設定情報及びデバイス設定情報を取得し、設定保存領域23に格納している。すなわち、プロセス情報領域231には、更新されたPLC設定情報が格納されている。これにより、PLC2に対して、更新されたPLC設定情報が設定される。また、ゲートウェイ設定領域232には更新されたゲートウェイ設定情報が格納されている。また、フィールド機器設定領域233には、更新されたデバイス設定情報が格納されている。
【0073】
PLC2の設定管理部22は、設定保存領域23に格納されている、更新されたゲートウェイ設定情報とデバイス設定情報とを、通信接続されているゲートウェイ3のmodbusレジスタ32に書き込む(ステップS401)。これにより、ゲートウェイ3のmodbusレジスタ32には、更新されたゲートウェイ設定情報とデバイス設定情報とが格納される(ステップS402)。これにより、ゲートウェイ3には、更新されたゲートウェイ設定情報が設定されることになる。
【0074】
ゲートウェイ機能部33は、modbusレジスタ32に格納されている情報が更新されたことを検出する(ステップS403)。そして、ゲートウェイ機能部33は、modbusレジスタ32において更新された情報が、既に通信接続しているフィールド機器1のゲートウェイ設定情報であるか否を判定する。ゲートウェイ機能部33は、modbusレジスタ32において更新された情報が、既に通信接続しているフィールド機器1のゲートウェイ設定情報であると判定した場合には、フィールド機器設定領域233に格納されているデバイス設定情報(更新されたデバイス設定情報)を、既に通信接続しているフィールド機器1に書き込む。なお、この場合に、ゲートウェイ機能部33は、プロセス設定情報において更新された情報のみをフィールド機器1に書き込んでもよい。
【0075】
これにより、フィールド機器1には、更新されたデバイス設定情報が格納される(ステップS405)。したがって、フィールド機器1には、更新されたデバイス設定情報(プロセス設定情報)が設定されることになる。なお、デバイス設定情報の設定変更の内容によっては、ゲートウェイ機能部33は、その設定変更の対象であるフィールド機器1を再起動させてもよい。そして、ゲートウェイ機能部33は、再起動したフィールド機器1から通信接続された場合に、フィールド機器設定領域233に格納されている、更新されたデバイス設定情報をそのフィールド機器1に書き込んでもよい。
【0076】
上述したように、本実施形態に係るPLC2は、ゲートウェイ設定情報を格納するゲートウェイ設定領域232と、デバイス設定情報を格納するフィールド機器設定領域233と、上記ゲートウェイ設定情報及び上記デバイス設定情報をゲートウェイ3に書き込む設定管理部22と、を備える。これにより、エンジニアは、GW用エンジニアリングツールを用いずに、一つのエンジニアリングツール100でゲートウェイ3やフィールド機器1に対して種々の設定情報を設定することができる。そのため、エンジニアは、ゲートウェイ3やフィールド機器1の設定情報に変更がある場合には、管理室にあるPLC2からゲートウェイ3やフィールド機器1の設定を変更することができる。したがって、エンジニアは、プラントへ出向く必要がない。これにより、エンジニアの作業効率が向上する。
【0077】
ここで、ゲートウェイ3の種類によっては、シリアル通信ポートが一つしかない場合がある。この場合において、従来、ゲートウェイ3の種々の設定変更を行う際には、エンジニアはPLC2とゲートウェイ3のシリアル通信ポートとを繋ぐシリアルケーブルを、そのシリアル通信ポートから一旦切り離す。そして、エンジニアは、そのシリアル通信ポートにGW用エンジニアリングツールを接続して、ゲートウェイ3の種々の設定変更を行うことになる。したがって、GW用エンジニアリングツールがゲートウェイ3に接続されている場合には、PLC2とゲートウェイ3との通信は切断される。また、ゲートウェイ3がシリアル通信ポートから電源が供給される場合には、PLC2とゲートウェイ3のシリアル通信ポートとを繋ぐシリアルケーブルを一旦切り離すと、ゲートウェイ3の電源が切れてしまう。そのため、そのゲートウェイ3とフィールド機器1との通信が切断されてしまう。
【0078】
本実施形態では、エンジニアは、PLC2にエンジニアリングツール100を接続し、そのエンジニアリングツール100からPLC2に対して、ゲートウェイ3に設定情報であるゲートウェイ設定情報を出力するだけで、ゲートウェイ3の種々の設定を行うことができる。これにより、エンジニアは、ゲートウェイ3にエンジニアリングツール100を接続する必要がない。すなわち、エンジニアはPLC2とゲートウェイ3のシリアル通信ポートとを繋ぐシリアルケーブルを、そのシリアル通信ポートから一旦切り離す必要がない。したがって、ゲートウェイ3の設定が変更される場合に、PLC2とゲートウェイ3との通信は切断されることがない。また、ゲートウェイ3がシリアル通信ポートから電源が供給される場合においても、ゲートウェイ3の電源が切れることがない。
【0079】
また、従来では、PLC2に設定する情報と、ゲートウェイ3やフィールド機器1に設定する情報とを関連付ける設定は、エンジニアの手動により行われている。この手動での関連付けは、エンジニアリングが煩雑になるとともに、エンジニアリングミスを誘発する可能性がある。本実施形態では、PLC2に設定する情報と、ゲートウェイ3やフィールド機器1に設定する情報との関連付けを、一つのエンジニアリングツール100で行うことができる。したがって、本実施形態のフィールド無線システムAは、上記関連付けを容易にし、エンジニアリングミスを誘発する可能性が低い。
【0080】
また、従来のゲートウェイでは、自身の設定情報とフィールド機器の設定情報の両方の設定情報を常に格納している必要がある。そのため、従来のゲートウェイは、自身の設定情報とフィールド機器の設定情報との両方の設定情報を格納する不揮発性の記憶領域が必要となる。一方、本実施形態のゲートウェイ3は、例えば、電源投入時等の起動時において、PLC2からゲートウェイ設定情報とデバイス設定情報とが書き込まれる。そのため、ゲートウェイ3は、ゲートウェイ設定情報とデバイス設定情報とを常に記憶領域に格納する必要はない。すなわち、ゲートウェイ3は、ゲートウェイ設定情報とデバイス設定情報とを格納する領域が不揮発性の記憶領域である必要がなく、揮発性の記憶領域でよい。これにより、ゲートウェイ3におけるハードウェアの小型化且つ低消費電力化が可能となる。
【0081】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のような変形例が考えられる。
(1)上記実施形態では、PLC2はエンジニアリングツール100から、PLC設定情報、ゲートウェイ設定情報及びデバイス設定情報を取得したが、本発明はこれに限定されない。例えば、
図8に示すように、PLC2は、着脱可能な外部記憶媒体201が挿入されることでPLC設定情報、ゲートウェイ設定情報及びデバイス設定情報を取得してもよい。より具体的には、PLC2は、外部記憶媒体201が挿入される挿入口300を備える。この外部記憶媒体201は、着脱可能な記憶媒体であって、例えば、SD(Secure Digital)メモリカードやDVD(Digital Versatile Disc)等の記録媒体である。
【0082】
この外部記憶媒体201には、PLC設定情報、ゲートウェイ設定情報及びデバイス設定情報が格納されている。外部記憶媒体201−1には、PLC2−1用の設定情報(PLC設定情報、ゲートウェイ設定情報及びデバイス設定情報)が格納されている。一方、外部記憶媒体201−2には、PLC2−2用の設定情報(PLC設定情報、ゲートウェイ設定情報及びデバイス設定情報)が格納されている。なお、外部記憶媒体201−1や外部記憶媒体201−2に格納された設定情報は、マスターの外部記憶媒体200に記憶された設定情報から複製及び編集されて生成される。
この外部記憶媒体201は、PLC2の挿入口300に挿入されることで、設定保存領域23の役割を担う。
【0083】
(2)上記実施形態では、フィールド無線システムAは、一つのゲートウェイ3を有する場合について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、フィールド無線システムAは、複数のゲートウェイ3を有してもよい。一例として、
図9に示すように、フィールド無線システムAは、3つのゲートウェイ3−1〜3−3を備える。
このゲートウェイ3−1〜3−3は、上述のゲートウェイ3と同様の構成を有する。ゲートウェイ3−1は、フィールド機器1−1〜1−3と通信接続する。ゲートウェイ3−2は、フィールド機器1−4と通信接続する。ゲートウェイ3−3は、フィールド機器1−5と通信接続する。
【0084】
具体的には、PLC2は、複数のゲートウェイ3−1〜3−3を管理する。例えば、PLC2は、シリアル通信部25として複数のシリアル通信ポート251を備える。そして、この複数のシリアル通信ポート251のそれぞれに、ゲートウェイ3−1〜3−3が接続される。これにより、ゲートウェイ3−1〜3−3のそれぞれが、異なるプラントに設置されている場合においても、そのゲートウェイ3−1〜3−3及びそのゲートウェイ3−1〜3−3のそれぞれに通信接続されたフィールド機器1(1−1〜1−5)のそれぞれの設定情報の設定を、一つのPLC2から行うことができる。この場合には、PLC2は、複数のフィールド機器1のそれぞれを、ゲートウェイタグから識別可能である。
【0085】
また、PLC2からゲートウェイ3−1〜3−3のそれぞれに書き込まれるデバイス設定情報は、すべてのフィールド機器1(1−1〜1−5)の設定情報でもよいし、ゲートウェイ3−1〜3−3のそれぞれに通信接続されるフィールド機器1のみの設定情報でもよい。ただし、ゲートウェイ3−1〜3−3のそれぞれに対して、通信接続されるフィールド機器1のみの設定情報を書き込む場合には、ゲートウェイ3−1〜3−3のそれぞれにどのフィールド機器1が接続されているかの情報を、予め取得しておく必要がある。
【0086】
図10は、PLC2、及びゲートウェイ3をコンピュータ等の電子情報処理装置で構成した場合のハードウェア構成の一例を示す。PLC2、及びゲートウェイ3は、CPU(Central Processing Unit)周辺部と、入出力部と、レガシー入出力部とを備える。CPU周辺部は、ホスト・コントローラ801により相互に接続されるCPU802、RAM(Random Access Memory)803、グラフィック・コントローラ804、及び表示装置805を有する。入出力部は、入出力コントローラ806によりホスト・コントローラ801に接続される通信インターフェース807、ハードディスクドライブ808、及びCD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)ドライブ809を有する。レガシー入出力部は、入出力コントローラ806に接続されるROM(Read Only Memory)810、フレキシブルディスク・ドライブ811、及び入出力チップ812を有する。
【0087】
ホスト・コントローラ801は、RAM803と、高い転送レートでRAM803をアクセスするCPU802、及びグラフィック・コントローラ804とを接続する。CPU802は、ROM810、及びRAM803に格納されたプログラムに基づいて動作して、各部の制御をする。グラフィック・コントローラ804は、CPU802等がRAM803内に設けたフレーム・バッファ上に生成する画像データを取得して、表示装置805上に表示させる。これに代えて、グラフィック・コントローラ804は、CPU802等が生成する画像データを格納するフレーム・バッファを、内部に含んでもよい。
【0088】
入出力コントローラ806は、ホスト・コントローラ801と、比較的高速な入出力装置であるハードディスクドライブ808、通信インターフェース807、CD−ROMドライブ809を接続する。ハードディスクドライブ808は、CPU802が使用するプログラム、及びデータを格納する。通信インターフェース807は、ネットワーク通信装置891に接続してプログラム又はデータを送受信する。CD−ROMドライブ809は、CD−ROM892からプログラム又はデータを読み取り、RAM803を介してハードディスクドライブ808、及び通信インターフェース807に提供する。
【0089】
入出力コントローラ806には、ROM810と、フレキシブルディスク・ドライブ811、及び入出力チップ812の比較的低速な入出力装置とが接続される。ROM810は、PLC2、及びゲートウェイ3が起動時に実行するブート・プログラム、あるいはPLC2、及びゲートウェイ3のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。フレキシブルディスク・ドライブ811は、フレキシブルディスク893からプログラム又はデータを読み取り、RAM803を介してハードディスクドライブ808、及び通信インターフェース807に提供する。入出力チップ812は、フレキシブルディスク・ドライブ811、あるいはパラレル・ポート、シリアル・ポート、キーボード・ポート、マウス・ポート等を介して各種の入出力装置を接続する。
【0090】
CPU802が実行するプログラムは、フレキシブルディスク893、CD−ROM892、又はIC(Integrated Circuit)カード等の記録媒体に格納されて利用者によって提供される。記録媒体に格納されたプログラムは圧縮されていても非圧縮であってもよい。プログラムは、記録媒体からハードディスクドライブ808にインストールされ、RAM803に読み出されてCPU802により実行される。CPU802により実行されるプログラムは、PLC2を、
図1から
図9に関連して説明したイーサネット通信部21、設定管理部22、設定保存領域23、プロセス管理部24及びシリアル通信部25として機能させ、ゲートウェイ3を、
図1から
図9に関連して説明したシリアル通信部31、ゲートウェイ機能部33、modbusレジスタ32及びアンテナ34として機能させる。
【0091】
以上に示したプログラムは、外部の記憶媒体に格納されてもよい。記憶媒体としては、フレキシブルディスク893、CD−ROM892の他に、DVD(Digital Versatile Disk)又はPD(Phase Disk)等の光学記録媒体、MD(MiniDisk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、ICカード等の半導体メモリ等を用いることができる。また、専用通信ネットワークあるいはインターネットに接続されたサーバシステムに設けたハードディスク又はRAM等の記憶媒体を記録媒体として使用して、ネットワークを介したプログラムとして提供してもよい。