特許第6772906号(P6772906)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6772906
(24)【登録日】2020年10月5日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】歯磨剤組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/44 20060101AFI20201012BHJP
   A61K 8/25 20060101ALI20201012BHJP
   A61K 8/26 20060101ALI20201012BHJP
   A61K 8/24 20060101ALI20201012BHJP
   A61K 8/19 20060101ALI20201012BHJP
   A61K 8/66 20060101ALI20201012BHJP
   A61Q 11/00 20060101ALI20201012BHJP
【FI】
   A61K8/44
   A61K8/25
   A61K8/26
   A61K8/24
   A61K8/19
   A61K8/66
   A61Q11/00
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-45124(P2017-45124)
(22)【出願日】2017年3月9日
(65)【公開番号】特開2018-145162(P2018-145162A)
(43)【公開日】2018年9月20日
【審査請求日】2019年7月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002240
【氏名又は名称】特許業務法人英明国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小熊 友一
(72)【発明者】
【氏名】小島 和晃
(72)【発明者】
【氏名】大野 慶貴
【審査官】 池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−182386(JP,A)
【文献】 特開2002−047161(JP,A)
【文献】 特開平09−175966(JP,A)
【文献】 特開平10−182389(JP,A)
【文献】 特開2010−275260(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00− 8/99
A61Q 1/00−90/00
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)トラネキサム酸、
(B)アシルグルタミン酸塩、及び
(C)水不溶性無機粉体材料を顆粒状に形成させた、平均粒径100〜300μmの水不溶性無機顆粒
を含有することを特徴とする歯磨剤組成物。
【請求項2】
アシルグルタミン酸塩が、アシル基の炭素数が8〜20である請求項1記載の歯磨剤組成物。
【請求項3】
水不溶性無機粉体材料が、シリカ、ゼオライト、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム及び水酸化アルミニウムから選ばれる1種以上ある請求項1又は2記載の歯磨剤組成物。
【請求項4】
(A)成分を0.01〜0.2質量%、(B)成分を0.1〜0.8質量%、(C)成分を1〜5質量%含有する請求項1〜3のいずれか1項記載の歯磨剤組成物。
【請求項5】
(C)/(B)が質量比として1〜50である請求項1〜4のいずれか1項記載の歯磨剤組成物。
【請求項6】
更に、(D)デキストラナーゼを2〜200単位/g含有する請求項1〜5のいずれか1項記載の歯磨剤組成物。
【請求項7】
更に、平均粒径5〜40μmの研磨剤を含有する練歯磨剤である請求項1〜のいずれか1項記載の歯磨剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水不溶性顆粒を含有し、歯磨きによるマッサージ効果感及び汚れ落ち実感が優れる歯磨剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
歯磨剤組成物において、歯磨きによって歯茎のマッサージ効果感、歯磨き後の汚れ落ち実感等の効果実感を付与して付加価値を高めることは、歯磨きの習慣化、その効果発現に有効である。歯磨きによる歯茎のマッサージ感は、歯磨き時(ブラッシング時)の歯茎への心地よい刺激感と歯磨き後(歯磨きして口をすすぎ後)の歯茎の引き締め実感が共に優れていると、高いマッサージ効果感として認識されることから望ましい。また、歯磨き後の汚れ落ち実感としては、歯表面のツルツル感だけでなく歯間(歯と歯の隙間)の洗浄実感も高いと、優れた汚れ落ち実感として認識されることから望ましい。これらの効果実感の向上は、歯磨き使用者の満足感を上げるためにも、重要な課題である。
【0003】
歯磨剤組成物に特定の粒子や水不溶性顆粒などを配合して歯磨きによるマッサージ効果等を改善する技術は、今までに種々提案されている。
特許文献1(特開平10−152424号公報)では、平均粒子径が700〜1400μmの粒状食塩によって優れたマッサージ効果が得られ、血流促進効果が高い口腔用組成物が開示されているが、大粒の食塩を使用するために味の制限や刺激の点で課題がある。特許文献2(特開2007−70256号公報)では、食塩の代わりに粒子径が355μm以上855μm未満の粒状エリスリトールを配合することによって、歯茎の引き締め感及びマッサージ感が得られる歯磨き組成物が開示されているが、粒状エリスリトールの粒子径が大きいために刺激の点で課題がある。
また、特許文献3(特開2015−124150号公報)には、特定色素を含む水不溶性の着色顆粒とスピラントール等の温感剤とを併用することによって、歯磨き時のマッサージ効果感(歯茎で感じる心地よい刺激感)及び温感付与効果が優れる歯磨剤組成物が提案され、具体的には平均粒径200〜500nmの着色顆粒が用いられている。
特許文献4(国際公開第2006/3989号)には、平均粒子径5〜15μmの重質炭酸カルシウムと、崩壊強度が10〜200g/個、平均粒子径が50〜150μm、かつ90%粒子径と平均粒子径との差が100μm以下である水不溶性無機顆粒と、特定の2種以上の水溶性高分子物質とを組み合わせて配合することによって、適正な研磨力で顆粒による刷掃実感も良い歯磨組成物が提案されている。
特許文献5(特開2016−98211号公報)には、平均粒子径が100〜300μmで、特定の崩壊強度及び変形率を有する顆粒を含有し、歯間の歯垢や汚れの除去能が高い歯磨剤が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−152424号公報
【特許文献2】特開2007−70256号公報
【特許文献3】特開2015−124150号公報
【特許文献4】国際公開第2006/3989号
【特許文献5】特開2016−98211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の技術では、歯磨剤組成物において、歯磨きによる歯茎のマッサージ効果感及び歯磨き後の汚れ落ち実感が十分に得られず、両効果を同時かつ満足に付与することができなかった。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、水不溶性顆粒を含有し、歯磨きによるマッサージ効果感及び汚れ落ち実感が優れる歯磨剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、トラネキサム酸を特定のアニオン性界面活性剤と特定平均粒径の水不溶性顆粒と組み合わせて配合することによって、歯磨きによるマッサージ効果感(歯茎の顆粒接触感及びひきしめ感)と汚れ落ち実感(歯間部の汚れ落ち実感)とが優れる歯磨剤組成物が得られることを見出し、本発明をなすに至った。
【0008】
歯磨剤組成物に、泡立ち、清掃性等の目的で一般的に用いられるアニオン性界面活性剤等の界面活性剤と共に水不溶性顆粒を配合しても、歯磨きによって満足なマッサージ効果感及び汚れ落ち実感を同時に付与することはできなかったが、本発明では、(A)トラネキサム酸、(B)アシルグルタミン酸塩及び(C)平均粒径100〜300μmの水不溶性顆粒の三者を組み合わせることで、歯磨きによるマッサージ効果感及び汚れ落ち実感の両者が向上し、優れたマッサージ効果感及び汚れ落ち実感が両立する。本発明によれば、歯磨きによる歯茎での顆粒接触感(心地よい適度な刺激感)及びひきしめ感が共に高まることで、心地よい満足なマッサージ感を与え、かつ清掃しにくい歯間部での汚れ落ち実感が高まることで、歯間部においても満足な汚れ落ち実感を与えることができ、格段に優れた効果実感を付与することができる。
かかる本発明の作用効果は、(A)、(B)及び(C)成分という組み合わせに特異なものであり、三者のいずれかを欠く場合にはマッサージ効果感又は汚れ落ち実感が劣り、本発明の目的は達成されない。後述の比較例にも示すように、(A)成分を含まないと、(B)及び(C)成分を含んでいても歯茎の引き締め感が劣り、マッサージ効果感が低い。また、(B)成分を含まないと、(A)及び(C)成分を含み、更に、アニオン性界面活性剤のラウリル硫酸ナトリウム又はラウロイルサルコシンナトリウムを含んでいても歯茎のひきしめ感が劣り、マッサージ効果感が低い。(C)成分を含まないと、(A)及び(B)成分を含み、更に、平均粒径40μm又は500μmの水不溶性顆粒を含んでいても歯茎の顆粒接触感又は歯間部の汚れ落ち実感が劣り、マッサージ効果感及び汚れ落ち実感が両立しない。
【0009】
従って、本発明は、下記の歯磨剤組成物を提供する。
〔1〕
(A)トラネキサム酸、
(B)アシルグルタミン酸塩、及び
(C)平均粒径100〜300μmの水不溶性顆粒
を含有することを特徴とする歯磨剤組成物。
〔2〕
アシルグルタミン酸塩が、アシル基の炭素数が8〜20である〔1〕記載の歯磨剤組成物。
〔3〕
水不溶性顆粒が、シリカ、ゼオライト、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム及び水酸化アルミニウムから選ばれる1種以上の水不溶性材料を顆粒状に形成させた粒子である〔1〕又は〔2〕記載の歯磨剤組成物。
〔4〕
(A)成分を0.01〜0.2質量%、(B)成分を0.1〜0.8質量%、(C)成分を1〜5質量%含有する〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の歯磨剤組成物。
〔5〕
(C)/(B)が質量比として1〜50である〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の歯磨剤組成物。
〔6〕
更に、(D)デキストラナーゼを2〜200単位/g含有する〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の歯磨剤組成物。
〔7〕
更に、平均粒径5〜40μmの研磨剤を含有する練歯磨剤である〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の歯磨剤組成物。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、歯磨きによるマッサージ効果感及び汚れ落ち実感が優れる、水不溶性顆粒含有の歯磨剤組成物を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明につき更に詳述する。本発明の歯磨剤組成物は、(A)トラネキサム酸、(B)アシルグルタミン酸塩、及び(C)平均粒径100〜300μmの水不溶性顆粒を含有することを特徴とする。
【0012】
(A)トラネキサム酸は、日本薬局方準拠のトラネキサム酸を使用できる。具体的には、協和ファーマケミカル(株)製等の市販品を用いることができる。
(A)トラネキサム酸の配合量は、組成物全体の0.01〜0.2%(質量%、以下同様)が好ましく、より好ましくは0.01〜0.1%、更に好ましくは0.05〜0.1%である。0.01%以上であると、歯茎のひきしめ感が十分に得られ、マッサージ効果感が向上する。0.2%以下であると、保存時の着色を防ぎ製剤外観が十分に安定する。
【0013】
(B)アシルグルタミン酸塩は、アシル基の炭素数が好ましくは8〜20、より好ましくは12〜16である、N−アシルグルタミン酸塩を用いることができ、その塩はナトリウム塩等のアルカリ金属塩が好ましい。
例えば、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ミリストイルグルタミン酸ナトリウム、ココイルグルタミン酸ナトリウム、ステアロイルグルタミン酸ナトリウム等が挙げられる。中でも、N−ラウロイルグルタミン酸ナトリウムが好ましい。
具体的には、市販品のアミノサーファクトALMS−P1(旭化成ファインケム(株)製)等を使用できる。
【0014】
(B)アシルグルタミン酸塩の配合量は、組成物全体の0.1〜0.8%が好ましく、より好ましくは0.3〜0.8%、更に好ましくは0.3〜0.6%である。0.1%以上であると、歯茎のひきしめ感、歯間部の汚れ落ち実感が十分に得られる。0.8%以下であると、歯茎への顆粒接触感を満足に保持できる。
【0015】
(C)水不溶性顆粒は、平均粒径が100〜300μmであり、好ましくは150〜300μm、より好ましくは150〜200μmである。平均粒径が100μm未満では、歯茎への顆粒接触感が劣り、300μmを超えると、歯間部の汚れ落ち実感が劣る。
なお、平均粒径は、粒度分布測定装置(日機装(株)製、マイクロトラック粒度分布計、分散媒;水)を用いて測定し、測定値は体積基準によるメジアン径(d50)で算出した。
【0016】
また、水不溶性顆粒は、好ましは崩壊強度が10〜200g/個、特に10〜50g/個である崩壊性顆粒がよい。10g/個未満では、歯磨きを開始すると瞬時に崩壊するため優れたマッサージ効果感が得られない場合があり、200g/個を超えると、口腔内で不快感が生ずることがある。
なお、平均崩壊強度は、サン科学社製のレオメーター(サンレオメーターCR−200D)により顆粒30個の自動破断強度測定値(顆粒1個を10mm/分の速度で圧縮した時に本顆粒が崩壊する時の荷重を測定した値)の平均値から求めた。
【0017】
水不溶性顆粒は、水不溶性材料を顆粒状に形成させた粒子であり、公知の方法、例えば水不溶性無機凝塊を粉砕する方法、水不溶性無機粉体に水を加えてスラリーにし、圧力をかけて造粒、乾燥する方法で製造したものを使用できる。その他の製造方法としては、圧縮成形法、押出し成形法、噴霧乾燥法、焼結法等があり、本発明において配合される水不溶性顆粒は、いずれの方法で製造されたものであっても使用できる。なお、必要に応じて、一般的に用いられる賦形剤等を添加して製造してもよい。
水不溶性材料としては、シリカ、ゼオライト、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム等の無機粉体が挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上の混合物として使用し得る。特に、刷掃実感、歯磨き分散性の点から、水不溶性顆粒はシリカ顆粒が好適である。
このような水不溶性顆粒は、市販品を使用でき、具体的にはNIPGEL(東ソー・シリカ(株)製)等が挙げられる。
【0018】
(C)水不溶性顆粒の配合量は、組成物全体の1〜5%が好ましく、より好ましくは1〜4%、更に好ましくは2〜4%である。1%以上であると、歯茎のひきしめ感、歯間部の汚れ落ち実感が十分に得られる。5%以下であると、すすぎ性を良好に維持でき、すすぎ時の残存感も防止できる。
【0019】
更に、(B)成分に対する(C)成分の配合割合を示す(C)/(B)は、質量比として1〜50が好ましく、より好ましくは2〜35、更に好ましくは5〜12である。この範囲内であると、歯茎への顆粒接触感、歯茎のひきしめ感及び歯間部の汚れ落ち実感がより向上する。1未満であると、歯茎への顆粒接触感が劣る場合があり、50を超えると、歯茎のひきしめ感又は歯間部の汚れ落ち実感が劣る場合がある。
【0020】
本発明の歯磨剤組成物には、更に、酵素として(D)デキストラナーゼを配合することが好ましい。(D)成分を配合すると、歯間部の汚れ落ち実感がより高まる。
デキストラナーゼとしては、ケトミウム属、ペニシリウム属、アスペルギルス属、スピカリア属、ラクトバチルス属、セルビブリオ属等に属する公知のデキストラナーゼ生産菌より公知の方法により得られるデキストラナーゼの他、他の微生物より生産されたデキストラナーゼも使用することができる。具体的には、市販品として三菱化学フーズ(株)製などを用いることができる。
【0021】
(D)デキストラナーゼの配合量は、組成中2〜200単位/g(U/g)、特に10〜50単位/gであることが好ましい。2単位/g未満であると、歯間部の汚れ落ち実感が十分に向上しない場合がある。200単位/gを超えると、安定性が十分でなくなる場合がある。
ここで、デキストラナーゼ1単位とは、デキストランを基質として反応を行った場合に、1分間あたりにグルコース1μmolに相当する遊離還元糖を生じるデキストラナーゼの量である。
デキストラナーゼとして通常、13,000単位/gのものを使用すると、デキストラナーゼの配合量は、組成物全体の0.0154〜1.54%となる。
【0022】
本発明の歯磨剤組成物は、練歯磨、液体歯磨、潤製歯磨等として、特に練歯磨剤に調製できる。また、上記成分に加えて、剤型等に応じた公知の成分を、本発明の効果を妨げない範囲で添加できる。例えば、(B)成分以外の界面活性剤、研磨剤、粘結剤、粘稠剤、更に必要に応じて甘味剤、防腐剤、着色剤、香料、(A)及び(D)成分以外の有効成分などが配合される。
【0023】
界面活性剤は、(B)成分以外のアニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤等が挙げられる。
アニオン性界面活性剤としては、ラウリル硫酸塩、ミリスチル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩等が挙げられ、塩は、溶解性等からナトリウム塩が好適である。
両性界面活性剤としては、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリウムベタイン、脂肪酸アミドプロピルベタイン等が挙げられ、脂肪酸の鎖長が炭素数12〜14のものが溶解性の点で好ましい。
ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、アルキルグリコシド、ショ糖脂肪酸エステル、アルキロールアマイド、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、脂肪酸ポリグリセリル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等が挙げられる。
これら界面活性剤の配合量は合計で0〜3%、特に0.1〜3%がよい。なお、(B)成分以外のアニオン性界面活性剤の配合量は1%以下、特に0.5%以下、とりわけ0.3%以下が好ましく、配合せず0%でもよい。両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤の配合量は、それぞれ3%以下、特に1%以下でもよく、配合しなくてもよい。
【0024】
研磨剤としては、歯磨剤用の研磨剤として一般的なものを使用できる。例えば、シリカゲル、沈降性シリカ、アルミノシリケート等のシリカ系研磨剤、第2リン酸カルシウム2水和物及び無水和物、第3リン酸カルシウム、第3リン酸マグネシウム、第4リン酸カルシウム、ピロリン酸カルシウム等のリン酸カルシウム系化合物、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、炭酸マグネシウム、ケイ酸ジルコニウム、ハイドロキシアパタイト、合成樹脂系研磨剤等が挙げられる。中でも、シリカ系研磨剤が好適であり、上述したシリカ顆粒とは異なる研磨性シリカを用いることができる。
研磨剤、特に研磨性シリカの平均粒径は、体積基準によるメジアン径(d50)が5〜40μm、特に10〜30μmが好適である。なお、メジアン径は、粒度分布測定装置(日機装(株)製、マイクロトラック粒度分布計、分散媒;水)を用いて測定した値である。
研磨剤の配合量は、通常、組成物全体の0〜50%、特に2〜40%である。一般的に練歯磨での配合量は10〜50%、液状歯磨での配合量は0〜30%である。
【0025】
粘稠剤としては、ソルビット、キシリット等の糖アルコール、グリセリン、プロピレングリコール等の多価アルコールが挙げられる。これらの配合量は、通常、5〜50%、特に20〜45%である。
【0026】
粘結剤としては、例えば、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、カラギーナン、グアガム、アルギン酸ナトリウム、カチオン化セルロース、増粘性シリカ、モンモリロナイト、ゼラチン、ポリアクリル酸ナトリウム等が挙げられる。これらは1種又は2種以上使用できる。粘結剤の配合量は、通常、0.3〜5%である。
【0027】
甘味剤としては、サッカリンナトリウム等が、防腐剤としては、パラオキシ安息香酸エステル、安息香酸ナトリウム等が挙げられる。
着色剤としては、青色1号、黄色4号、二酸化チタン等が挙げられる。
【0028】
香料としては、ペパーミント油、スペアミント油、アニス油、ユーカリ油、ウィンターグリーン油、カシア油、クローブ油、タイム油、セージ油、レモン油、オレンジ油、ハッカ油、カルダモン油、コリアンダー油、マンダリン油、ライム油、ラベンダー油、ローズマリー油、ローレル油、カモミル油、キャラウェイ油、マジョラム油、ベイ油、レモングラス油、オリガナム油、パインニードル油、ネロリ油、ローズ油、ジャスミン油、グレープフルーツ油、スウィーティー油、柚油、イリスコンクリート、アブソリュートペパーミント、アブソリュートローズ、オレンジフラワー等の天然香料及び、これら天然香料の加工処理(前溜部カット、後溜部カット、分留、液液抽出、エッセンス化、粉末香料化等)した香料、及び、メントール、カルボン、アネトール、シネオール、サリチル酸メチル、シンナミックアルデヒド、オイゲノール、3−l−メントキシプロパン−1,2−ジオール、チモール、リナロール、リナリールアセテート、リモネン、メントン、メンチルアセテート、N−置換−パラメンタン−3−カルボキサミド、ピネン、オクチルアルデヒド、シトラール、プレゴン、カルビールアセテート、アニスアルデヒド、エチルアセテート、エチルブチレート、アリルシクロヘキサンプロピオネート、メチルアンスラニレート、エチルメチルフェニルグリシデート、バニリン、ウンデカラクトン、ヘキサナール、ブタノール、イソアミルアルコール、ヘキセノール、ジメチルサルファイド、シクロテン、フルフラール、トリメチルピラジン、エチルラクテート、エチルチオアセテート等の単品香料、更に、ストロベリーフレーバー、アップルフレーバー、バナナフレーバー、パイナップルフレーバー、グレープフレーバー、マンゴーフレーバー、バターフレーバー、ミルクフレーバー、フルーツミックスフレーバー、トロピカルフルーツフレーバー等の調合香料等、歯磨剤用として公知の香料素材を使用できる。
【0029】
有効成分としては、フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム等のフッ化物、正リン酸のカリウム塩、ナトリウム塩等の水溶性リン酸化合物、ムタナーゼ、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、ヒノキチオール、アスコルビン酸、塩化リゾチーム、グリチルリチン酸及びその塩類、塩化ナトリウム、イプシロンアミノカプロン酸、酢酸dl−トコフェノール、α−ビサボロール、イソプロピルメチルフェノール、クロロヘキシジン塩類、塩化セチルピリジニウム、アズレン、グリチルレチン酸や、銅クロロフィリンナトリウム、グルコン酸銅等の銅化合物、乳酸アルミニウム、塩化ストロンチウム、硝酸カリウム、ベルベリン、ヒドロキサム酸及びその誘導体、トリポリリン酸ナトリウム、ゼオライト、アミラーゼ、メトキシエチレン、無水マレイン酸共重合体、ポリビニルピロリドン、エピジヒドロコレステリン、塩化ベンゼトニウム、ジヒドロコレステロール、トリクロロカルバニリド、クエン酸亜鉛、更には、トウキ軟エキス、オウバクエキス、チョウジ、ローズマリー、オウゴン、ベニバナ等の抽出物などが挙げられる。なお、上記有効成分は、本発明の効果を妨げない範囲で有効量配合できる。
【実施例】
【0030】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の例において%は特に断らない限りいずれも質量%を示す。
また、各例で使用したシリカ顆粒C1〜C6の詳細を下記に示す。
シリカ顆粒;東ソー・シリカ(株)製、商品名:NIPGEL
平均崩壊強度10〜50g/個
シリカ顆粒C1:
AYグレードを内径20cmの篩A(目開き:180μm)、篩B(目開き:212 μm)を用いて分級し、平均粒径200μmの顆粒C1を得た。
シリカ顆粒C2:
AYグレードを内径20cmの篩A(目開き:90μm)、篩B(目開き:106μ
m)を用いて分級し、平均粒径100μmの顆粒C2を得た。
シリカ顆粒C3:
AYグレードを内径20cmの篩A(目開き:125μm)、篩B(目開き:180
μm)を用いて分級し、平均粒径150μmの顆粒C3を得た。
シリカ顆粒C4:
AYグレードを内径20cmの篩A(目開き:250μm)、篩B(目開き:355
μm)を用いて分級し、平均粒径300μmの顆粒C4を得た。
シリカ顆粒C5:(比較品)
AYグレードを内径20cmの篩A(目開き:38μm)、篩B(目開き:45μm )を用いて分級し、平均粒径40μmの顆粒C5を得た。
シリカ顆粒C6:(比較品)
AYグレードを内径20cmの篩A(目開き:425μm)、篩B(目開き:600
μm)を用いて分級し、平均粒径500μmの顆粒C6を得た。
また、研磨性シリカは、多木化学(株)製の無水ケイ酸、平均粒径18μmを用いた。
なお、平均粒径は、粒度分布測定装置(日機装(株)製、マイクロトラック粒度分布計、分散媒;水)を用いて測定し、測定値は体積基準によるメジアン径(d50)で算出した。平均崩壊強度は、サン科学社製のレオメーター(サンレオメーターCR−200D)により顆粒30個の自動破断強度測定値(顆粒1個を10mm/分の速度で圧縮した時に本顆粒が崩壊する時の荷重を測定した値。)の平均値から求めた。
【0031】
[実施例、比較例]
表1、2に示す組成の歯磨剤組成物(練歯磨)を常法によって調製し、下記方法で評価した。結果を表に併記した。
【0032】
(1)歯磨き時のマッサージ効果感(歯茎の顆粒接触感)の評価方法
被験者10名を対象に実施した。調製した歯磨剤組成物をチューブ容器から押し出し、歯ブラシ上に約1cm(約1g)載せ、通常と同じように歯磨きしている最中に歯茎で感じる顆粒接触感(心地よい適度な刺激感)について、下記の評点基準に基づき判定した。10人の判定点の平均点を算出し、下記の評価基準で評価した。
評価がB以上のものを、適度なマッサージの刺激感が得られて顆粒接触感が合格であるとした。
評点基準
5 :歯茎で顆粒接触感を非常に感じる
4 :歯茎で顆粒接触感を感じる
3 :歯茎で顆粒接触感をやや感じる
2 :歯茎で顆粒接触感をあまり感じない
1 :歯茎で顆粒接触感を感じない
評価基準
A :平均値が4.0点以上5.0点以下
B :平均値が3.0点以上4.0点未満
C :平均値が2.0点以上3.0点未満
D :平均値が2.0点未満
【0033】
(2)歯磨き後のマッサージ効果感(歯茎のひきしめ感)の評価方法
被験者10名を対象に実施した。調製した歯磨剤組成物をチューブ容器から押し出し、歯ブラシ上に約1cm(約1g)載せ、通常と同じように3分間歯磨きした後の歯茎のひきしめ感について、下記の評点基準に基づき判定した。10人の判定点の平均点を算出し、下記の評価基準で評価した。
評価がB以上のものを、適度なマッサージのひきしめ感が得られてひきしめ感が合格であるとした。
評点基準
5 :歯茎のひきしめ感を非常に感じる
4 :歯茎のひきしめ感を感じる
3 :歯茎のひきしめ感をやや感じる
2 :歯茎のひきしめ感をあまり感じない
1 :歯茎のひきしめ感を感じない
評価基準
A :平均値が4.0点以上5.0点以下
B :平均値が3.0点以上4.0点未満
C :平均値が2.0点以上3.0点未満
D :平均値が2.0点未満
【0034】
(3)歯間部の汚れ落ち実感の評価方法
被験者10名を対象に実施した。調製した歯磨剤組成物をチューブ容器から押し出し、歯ブラシ上に約1cm(約1g)載せ、通常と同じように3分間歯磨きした後の歯間部の汚れ落ち実感について、下記の評点基準に基づき判定した。10人の判定点の平均点を算出し、下記の評価基準で評価した。
なお、息を吸い込んだ時に歯間に空気が良く通り抜ける感覚(歯間清浄感)を、歯間部の汚れ落ち実感とした。
評価がB以上のものを、歯間部の汚れ落ち実感が良好であるとした。
評点基準
5 :歯間部の清浄感を非常に感じる
4 :歯間部の清浄感をかなり感じる
3 :歯間部の清浄感をやや感じる
2 :歯間部の清浄感をわずかに感じる
1 :歯間部の清浄感を感じない
評価基準
S :平均点が4.5点以上5.0点以下
A :平均点が4.0点以上4.5点未満
B :平均点が3.0点以上4.0点未満
C :平均点が2.0点以上3.0点未満
D :平均点が2.0点未満
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】