(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
近年、電気機器、特に、無方向性電磁鋼板がその鉄心材料として使用される回転機、中小型変圧器、電装品等の分野においては、世界的な電力・エネルギー節減、CO
2削減等に代表される地球環境保全の動きの中で、高効率化、小型化の要請はますます強まりつつある。このような社会環境下において、当然、無方向性電磁鋼板に対しても、その性能向上は、喫緊の課題である。
【0003】
モータの特性向上に関して無方向性電磁鋼板に求められる特性のひとつに打ち抜き精度がある。ステータ(固定子)とロータ(回転子)の隙間を狭くするほどモータ特性を向上出来る場合が多い。しかし稼働中にステータとロータが触れた場合は、モータが破損するため、ステータ及びロータの寸法形状の精度を高める必要があり、打ち抜き精度の良い無方向性電磁鋼板が求められる。
【0004】
打ち抜き精度を向上させる手段の一つに無方向性電磁鋼板の硬度を上げる手段がある。特許文献1に記載されているような、Pを鋼板に0.1%以上含有させる手法は、Si量の多い材料では生産性が悪くなる問題がある。また、無方向性電磁鋼板の表層を酸化させることで硬度を上げることが出来るが、特許文献2〜4に記載されているように、内部酸化層が0.5μm超になると鉄損に悪影響を与えることが知られている。すなわち、無方向性電磁鋼板の打ち抜き精度の向上と鉄損の低下を両立する無方向性電磁鋼板はこれまで得ることが出来なかった。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を詳細に説明する。
本実施形態の無方向性電磁鋼板は、質量%で、C:0.0030%以下、Si:2.0%以上4.0%以下、Al:0.1%以上3.0%以下、Mn:0.10%以上2.00%以下、P:0.09%以下、S:0.0050%以下、N:0.0050%以下を含有し、残部Feおよび不純物元素よりなり、表面の内部酸化層が覆う表面積が全表面積の10〜70%であり、内部酸化層のある領域の平均内部酸化層厚が0.5μm〜10μmである無方向性電磁鋼板である。
【0012】
まず、本発明の鋼成分の限定理由について述べる。
Cは、鉄損を高める有害な成分で、磁気時効の原因ともなるので、0.0030%以下とする。
【0013】
Siは、前記のように、電気抵抗を増大させて渦電流損を減少させることにより、鉄損を低減する作用のある成分であり、また、降伏比を増大させることにより、鉄心への打ち抜き加工性を向上させる作用も有する。これらの作用を奏するためには、2.0%以上含有させる必要がある。一方、その含有量が増えると、磁束密度が低下し、かつ、無方向性電磁鋼板の製造工程そのものにおいても、冷延等の作業性の低下、コスト高ともなるので、4.0%以下とする。
【0014】
Alも、前記のように、Siと同様に電気抵抗を増大させて渦電流損を減少させることにより、鉄損を低減する作用のある成分であるが、Siに比較し硬度の上昇が少ない。また、飽和磁束密度Bsに対する磁束密度B50の比率:B50/Bsを高め、磁束密度を向上させる作用も奏する。このためには、0.1%以上含有させる必要がある。一方、その含有量が増えると、飽和磁束密度そのものが低下し、磁束密度の低下を招き、さらには、降伏比の減少を招いて、打ち抜き精度をも劣化させるので、3.0%以下とする。
【0015】
Mnは、電気抵抗を増大させて渦電流損を減少させるとともに、一次再結晶集合組織を改善して圧延方向磁気特性の向上に望ましい{110}<001>結晶方位を発達させる効果を有する。さらに、結晶粒成長に有害なMnS等の微細硫化物の析出を抑制する。これらの目的のためには、0.10%以上含有させる必要がある。しかし、その含有量が増えると、焼鈍時の結晶粒成長性そのものが低下し、鉄損が増大するので、2.00%以下とする。
【0016】
Pは、打ち抜き精度を上げる効果があり、添加しても良いが、その含有量が増えるとSi≧2%含有する鋼板では非常に脆くなるため、0.09%以下とする。
【0017】
Sは、MnS等の硫化物の微細析出により、仕上焼鈍時等における再結晶および結晶粒成長を阻害するので、0.0050%以下とする。
【0018】
Nは、AlN等の硫化物の微細析出により、仕上焼鈍時等における再結晶および結晶粒成長を阻害するので、0.0050%以下とする。
【0019】
Sn、Cu、Sbは、鋼板の一次再結晶集合組織を改善して圧延方向磁気特性の向上に望ましい{110}<001>集合組織に発達させ、かつ、磁気特性に望ましくない{111}<112>集合組織等を抑制する効果を有する。さらに、鋼板表面酸化を制御し、かつ、結晶粒成長を整粒化させる効果を有する。また、内部酸化層の厚みを低減する効果もあり、必要に応じて添加しても良い。これらの目的のためには、SnとSbは0.02%以上、Cuは0.10%以上含有させる必要がある。一方、その含有量が増えても作用は飽和し、むしろ、仕上焼鈍時等の結晶粒成長性そのものが抑制されるので、SnとSbは0.40%以下、Cuは1.00%以下とする。
【0020】
REM、Ca、Mgは、硫化物もしくは酸硫化物としてSを固定し、MnS等の微細析出を回避し、仕上焼鈍時等における再結晶および結晶粒成長を促進する。この目的のためには、0.0005%以上含有させる必要がある。一方、その含有量が増えると、硫化物もしくは酸硫化物自体が過剰となり、仕上焼鈍時等における再結晶および結晶粒成長を阻害するので0.0400%以下とする。
【0021】
上述の成分以外は、Feおよび不純物元素である。
【0022】
次に、本実施形態の無方向性電磁鋼板は、表面に内部酸化層が存在しており、鋼板の表面のうち、内部酸化層が覆う表面積が、全表面積の10〜70%となることが望ましい。内部酸化層は地鉄に比べて硬度が高く、打ち抜き精度が向上する。この効果を得るためには全表面積の10%以上を内部酸化層で覆う必要がある。しかし、内部酸化層が覆う表面積が多いと鉄損が悪化する。そのため、内部酸化層が覆う表面積は全表面積の70%以下にする必要がある。
【0023】
また、内部酸化層が存在している箇所において、内部酸化層厚が薄いと打ち抜き精度を向上する効果が得られない。そのため、内部酸化層厚を平均で0.5μm以上にする必要がある。一方、内部酸化層の厚みが厚すぎると鉄損の劣化を招くため、10μm以下にする必要がある。
【0024】
本発明に係る内部酸化層とは、Si,Al,Mnなどが粒子状の酸化物を形成し、それが鉄内部に分散された領域を含む層を指し、この層は、例えば、
図1(E)に示すように、鋼板の表面に島状に形成されている。このような内部酸化層は、例えば以下に説明する手順で形成される。すなわち、
図1(A)に示すように、表面に酸化層(表面スケール(外部酸化層))が形成された熱間圧延後の鋼板に対し、
図1(B)に示すように熱延板焼鈍を施すことにより、表面の酸化層から酸素を地鉄中に拡散させて層状の内部酸化層を形成させる。次いで、
図1(C)に示すように、酸洗によって外部酸化層を除去し、更に、
図1(D)及び
図1(E)に示すように冷間圧延工程を経ることにより、内部酸化層を島状に分断させる。
図1(A)に示すように、熱延後の鋼板表面を覆っている層状の酸化物層は外部酸化層と呼び、本発明に係る内部酸化層と区別する。本実施形態の内部酸化層は、地鉄表面の全面に形成されているのではなく、地鉄上に島状に形成される。従って、内部酸化層が形成されている領域では、
図1(E)に示すように、最表層側から、内部酸化層、地鉄の二層構造が形成されているが、内部酸化層が形成されていない領域では、地鉄のみで形成されることになる。
【0025】
内部酸化層の下層は地鉄である。内部酸化層は地鉄との境界面の凹凸が大きいので、磁束の流れを阻害して高周波鉄損を著しく劣化させるので、特に注意しなければならない。
【0026】
なお、内部酸化層は、鋼板断面の研磨面を1000倍以上の倍率でSEM−EDX測定することで観察することができるが、SEM像は通常の二次電子ではなく、反射電子像の方が内部酸化層の厚みを明瞭に見ることができる。内部酸化層の厚みは、上下それぞれの界面の凹凸中心線(凹凸曲線の平均線に平行な直線を引いたとき、この直線と凹凸曲線で囲まれる面積が、この直線の両側で等しくなる直線を中心線とする)同士の差として定義される。また、簡易的な内部酸化層の観察手段として、鏡面研磨した鋼板断面を1000倍程度の倍率により光学顕微鏡で観察ことが挙げられる。
【0027】
なお、内部酸化層の存在割合は、以下のように測定すればよい。SEMの二次電子像で100μm以上の表層の領域を観察する。そして、表層に内部酸化層が有る距離を求めて、その値を観察した距離で割り、百分率で表す。この値を内部酸化層の存在割合とする。
【0028】
更に、内部酸化層の厚みの測定方法および平均厚さの決定方法は、以下のようにして測定し、決定すればよい。SEMの二次電子像で100μm以上の表層の領域を観察する。そして、内部酸化層のある領域に縦線を10本以上引き、その縦線上の内部酸化層厚を求める。その内部酸化層厚の平均値を、内部酸化層の平均厚さとする。
【0029】
次に、本実施形態の無方向性電磁鋼板を製造するには、前記成分からなる溶鋼を、連続鋳造、熱間圧延、酸洗、冷間圧延し、次いで仕上焼鈍を施す必要がある。
【0030】
仕上焼鈍時に磁気特性の悪い{111}方位粒の発達を抑制するため、冷間圧延前の結晶粒径を粗大にさせても良い。具体的な方法として、熱間圧延と酸洗の間に熱延板焼鈍を実施することや、熱間圧延で高温仕上げを実施することや、巻き取り後保熱カバーをかぶせること等が挙げられる。
【0031】
本発明の最大の特徴は、仕上げ焼鈍後に内部酸化層の存在率を10〜70%することにある。内部酸化層は地鉄に比べて硬度が高く、打ち抜き精度が向上する。この効果に得るためには全表面積の10%以上を内部酸化層で覆う必要がある。しかし、内部酸化層が覆う表面積が多いと鉄損が悪化するというデメリットがある。そのため、内部酸化層が覆う表面積は全表面積の70%以下にする必要がある。
【0032】
また、内部酸化層が存在している箇所において、内部酸化層の厚みが薄いと打ち抜き精度を上げる効果が得られない。そのため、内部酸化層の厚みを平均で0.5μm以上にする必要がある。一方、内部酸化層の厚みが厚すぎると鉄損の劣化を招くため、10μm以下にする必要がある。
【0033】
上記条件を満たす鋼板を製造する手段の一つに、冷延前の鋼板に内部酸化層を10μm以下程度の厚みで残存させる方法がある。冷延前に内部酸化層を残存させ、50%以上の冷間圧延後、ドライ雰囲気で焼鈍することで本発明の特徴を持つ鋼板が得られる。
【0034】
上記方法で、表面の内部酸化層が覆う面積を全面積の10〜70%になる理由を
図1に示す。
【0035】
図1(A)に示すように、熱延板は通常、外部酸化層と地鉄で構成される。外部酸化層がある状態で、750℃以上で焼鈍すると、外部酸化層の酸素の一部が地鉄側に移動し、
図1(B)に示すように内部酸化層を形成する。その後、内部酸化層を残したまま外部酸化層のみ除去するよう酸洗量を調整する(
図1(C))。酸洗後の鋼板を冷間圧延すると、地鉄は延ばされるが、内部酸化層は地鉄と異なり、硬くて脆いため、
図1(D)に示すように島状に分断され、更に
図1(E)に示すように地鉄中に圧し込まれる。冷間圧延時は
図1(D)及び
図1(E)に示す工程が同時に起きる。
【0036】
従来、熱延板焼鈍する場合は、内部酸化層による磁気特性劣化を防ぐため、酸洗後(外部酸化層除去後)に焼鈍するか、焼鈍後の酸洗液に酸洗促進剤(チオ硫酸ナトリウム等)を添加し、完全に内部酸化層を除去していた。しかし、本発明は外部酸化層を残したまま焼鈍して意図的に内部酸化層を形成し、さらに酸洗において内部酸化層のみを適量残すことで、磁性と打ち抜き性を両立できる条件を示すものである。
【0037】
酸洗量を調整する方法としては、酸洗時間を短くしたり、酸洗液の温度を下げたり、市販の酸洗抑制剤(ポリアミン+蟻酸等)を添加したりすることが有効である。本発明では、内部酸化層を0.5〜10μmの厚みで残せるのであれば酸洗量を調整する方法は限定しない。
【0038】
酸洗抑制剤の効果について説明する。酸洗抑制剤の主成分はポリアミンであり、この高分子が鉄原子に付着しやすい性質を持つ。地鉄表面に高分子が付着することで酸と接する面積が減り、酸洗速度が抑制される。この効果を高める添加剤として、たとえば蟻酸等が知られている。
【0039】
酸洗促進剤の効果について説明する。酸洗促進剤は鉄原子のキレート剤、すなわち鉄イオンを吸収しやすい性質を持つ。酸洗液は、鉄を溶かす性質があるが、酸洗液中の鉄イオン濃度が高まると鉄を溶かす速度が遅くなる。特に鋼板と接している液は局所的に鉄の溶解速度が低下する。酸洗促進剤が添加されていると、酸洗液に溶解している鉄イオン濃度を下げるため、酸洗が進行する。酸洗促進剤としては、例えばチオ硫酸ナトリウム等が知られている。
【0040】
また、焼鈍温度が800℃以上の時、上記手段で酸洗すると内部酸化層厚が10μmを超える場合がある。従って、焼鈍温度は800℃未満とすることが好ましい。
一方、熱延板粒径を粗大化させると最終製品の結晶方位が改善し磁束密度が向上することが知られている。これを目的として焼鈍温度を800℃以上とする場合は、Sn、Cu、Sbを添加することで内部酸化層の発達を抑制してもよい。この時、SnとSbは0.02%以上、Cuは0.1%以上含有させる必要がある。一方、その含有量が増えても作用は飽和し、むしろ、仕上焼鈍時等の結晶粒成長性そのものが抑制されるので、SnとSbは0.40%以下、Cuは1.0%以下とする。
もちろん、Sn,Cu,Sbを添加せず内部酸化層が厚くなりすぎた場合は、その後の酸洗で酸洗量を制御して適切な厚さに調整することも可能である。
【0041】
Sn、Cu、Sb添加で内部酸化層の発達を抑制するメカニズムはまだよくわかっていないが、これらの元素がスケールと地鉄の間に集まり、酸素のやり取りを阻害したためと考えている。
【0042】
熱延板焼鈍の温度で700℃未満で焼鈍した場合は内部酸化層が必要量生成しない場合がある。そこで、本発明では熱延板焼鈍温度は700℃以上を推奨する。より好ましくは750℃以上である。
また、焼鈍時間は、内部酸化層の厚みが0.5〜10μmの範囲になるように適宜調整すればよい。
【0043】
冷延後の仕上げ焼鈍雰囲気も本発明では重要である。仕上げ焼鈍時の雰囲気の露点を下げた方がよく、−25℃以下にすることが望ましい。その理由は、仕上げ焼鈍での内部酸化層を生成させないためである。仕上げ焼鈍時に生成する内部酸化層は鋼板面全てを酸化させるため、磁性が著しく悪化する。磁性と打ち抜き性を両立させるためには、仕上げ焼鈍時の内部酸化層の生成を抑制するとよい。
【実施例】
【0044】
次に本発明の実施例を示す。
【0045】
(実施例1)
質量%で表1に示す成分で鋼を鋳造し、熱延し、板厚2.0mmの熱延板を作製する。その後、表1に記載の熱延板焼鈍温度で1分間の熱処理(雰囲気:窒素100%)を行い、表面に内部酸化層を生成させる。ついで、表1に記載の添加剤(0.07wt%)を添加した85℃の塩酸(7.5wt%)に30秒浸けて酸洗する。その後、圧下率:75%で0.5mm厚まで冷間圧延し、1050℃で30秒間、表1記載の露点の雰囲気で仕上焼鈍を施し、以下に記載の打ち抜き精度と磁気特性(鉄損)を測定する。その測定結果を併せて表1に示す。
【0046】
・打ち抜き精度
内径100mm、外径120mmのリング状試料を打ち抜く。この時のクリアランスは板厚の8%とする。次に圧延方向に対して0°、45°、90°、135°の角度で内径を測定する。各角度の内径の最大値と最小値の差が2μm以下であれば打ち抜き精度は良いと考える。
【0047】
・鉄損
55mm角の試料を採取し、Single Sheet Tester(SST)によりW15/50(鋼板を50Hzで磁束密度1.5Tに磁化した時の鉄損)を測定する。2.9W/kg以下は良いと考える。
【0048】
【表1】
【0049】
No.3はPの含有量が多いため、脆くなり破断する。No.8は酸洗時の添加剤にチオ硫酸Naを用いたため、内部酸化層が残存せず、打ち抜き性が悪化する。No.9、10は仕上げ焼鈍時の露点が高いため、仕上焼鈍時に内部酸化層が生成し、表面の存在率が高くなり、鉄損が悪化する。No.11は熱延板焼鈍温度が高く、内部酸化層が厚くなり、鉄損が悪化する。しかし、No.11と同じ熱延板焼鈍温度でも、Sn、Cu、Sbを適切に添加することで本発明効果を得られることをNo.12〜23で示している。No.12、16、20のように添加量が少ないと、内部酸化層の抑制効果が十分得られない。一方、No.15、19、23のように添加量が多いと鉄損がやや悪化する傾向にあり、特にNo.23では内部酸化層も減らしすぎるため、打ち抜き精度が悪化する。
【0050】
No.1の内部酸化層観察写真を
図2に示す。下部の白色部は地鉄であり、上部の黒色部は空気、その中間にある灰色部が内部酸化層である。
図2は鏡面研磨したサンプルの表層を光学顕微鏡で観察すると得られる。
【0051】
(実施例2)
質量%で表2に示す成分で鋼を鋳造し、鋳造以降は熱延し、板厚2.0mmの熱延板を作製する。その後、750℃で1分間の熱処理(雰囲気:窒素100%)を行い、表面に内部酸化層を生成させる。ついで、表2に記載の添加剤(0.07wt%)を添加した85℃の塩酸(7.5wt%)に30秒浸けて酸洗する。その後、圧下率:75%で0.5mm厚まで冷間圧延し、1050℃で30秒間、表2記載の露点の雰囲気で仕上焼鈍を施し、以下に記載の打ち抜き精度と磁気特性(鉄損)を測定する。その測定結果を併せて表2に示す。
【0052】
鉄損値と打ち抜き精度の方法は実施例1に記載の通りである。しかし、鉄損や打ち抜き精度は、SiやAlを変えても変動するため、基準値は同一Si、Al量の発明例とする。
【0053】
【表2】
【0054】
SiやAlを規定範囲内で変更しても、従来例と比べ、鉄損と打ち抜き精度の両立を、達成している。No.32、35、38、41は酸洗促進剤(チオ硫酸ナトリウム)を用いたため、内部酸化層が無くなり、打ち抜き精度が劣化する。No.33、36、39、42は仕上げ焼鈍時の露点が高いため、仕上焼鈍時に内部酸化層が生成し、表面の存在率が高くなり、鉄損が悪化する。