(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記操作部と前記駆動部とを係合する係合回動部は、操作部及び駆動部の一方に設けた軸方向に対して傾斜する係合溝と、前記駆動部及び前記操作部の他方に設けた前記係合溝に嵌合される係合突起とにより構成されている請求項1から3の何れか一項に記載のスイッチ装置。
前記駆動部は、前記第1待機位置及び前記使用位置間に形成された第1カム部を備えた第1回転駆動板部と、前記使用位置及び前記第2待機位置間に形成された第2カム部を備えた第2回転駆動板部とで構成されている請求項1から4の何れか一項に記載のスイッチ装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0013】
また、以下に示す実施の形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0014】
〔第1実施形態〕
本発明に係るスイッチ装置の第1実施形態を
図1〜
図8を伴って説明する。
本発明に係るスイッチ装置1は、
図1及び
図2に示すように、互いに結合及び分離が可能に構成された操作部10とスイッチ部20とを備えている。このスイッチ装置1は、例えば非常停止スイッチ装置として適用される。
【0015】
操作部10は、外部からの操作力をスイッチ部20へ伝達し、スイッチ部20内の開閉接点機構を開閉操作するものであり、操作部本体11と、この操作部本体11に軸方向に移動可能で回転可能に支持された押ボタン12とを備えている。
操作部本体11は、円板状の鍔部11aと、この鍔部11aの一方側から軸方向に突出する第1胴部11bと、鍔部11aの他方側から軸方向に突出する第2胴部11cとを備えている。鍔部11a、第1胴部11b及び第2胴部11cには図示しないが軸方向に貫通孔が形成されている。
【0016】
第2胴部11cには、外周面の鍔部11a寄りの位置に雄ねじ部11dが形成され、この雄ねじ部11dの鍔部11aとは反対側に後述する回転駆動板32を回転させる係合部である係合回動部を構成する係合溝11eが円周方向に180度の間隔を保って2組形成されている。
雄ねじ部11dには、締付ナット11fが螺合される。この雄ねじ部11dに締付ナット11fをねじ込んで、操作部10を制御盤等のパネルに締付け固定する。
【0017】
係合溝11eは、
図3に示すように、第2胴部11cの鍔部11aとは反対側の端面に開口し、左下方に斜めに延長する傾斜溝部11e1と、この傾斜溝部11e1の雄ねじ部11d側の端部から軸方向に延長する軸方向溝部11e2と、この軸方向溝部11e2から円周方向に上方側に延長する円周方向溝部11e3と、この円周方向溝部11e3の円周方向端部に形成された軸方向に延長する係止溝部11e4とで略くの字状に形成されている。
【0018】
押ボタン12は、図示しないが操作部本体11の内部を通ってスイッチ部20の可動接触子ホルダ22を押し込む押棒と、捩りコイルばねで構成された押ボタン復帰ばねとを有する。この押ボタン12は、押し込み操作前の待機状態から押ボタン復帰ばねに抗して軸方向に押し込むことにより、図示しないロック機構によって押し込み操作位置でロックされる。この押ボタン12のロック状態から押ボタン12を例えば時計方向に所定範囲に回動させることにより、ロック状態が解除されて復帰ばねによって待機状態に戻るように構成されている。
【0019】
スイッチ部20は、
図1、
図2、
図3、
図4に示すように、矩形箱状のスイッチ部本体21を備えている。このスイッチ部本体21は、右端側の底部に固定配置された各1対の出力端子24a,24bを備えている。出力端子24aには図示しない固定接点を有する固定接触子が一体に形成され、出力端子24bには
図4に示すように固定接点25bcを有する固定接触子25bを備えている。ここでは、接点の符号にaの付くものは通常開いている常開(ノーマルオープン)接点、いわゆるa接点を構成する接点であり、そしてbの付くものは通常閉じている常閉(ノーマルクローズ)接点、いわゆるb接点を構成する接点であることを示す。
【0020】
また、スイッチ部本体21内には、
図4に示すように、可動接触子ホルダ22が配置されている。この可動接触子ホルダ22は、操作部10の押棒(図示せず)が押し込み操作状態で接触する小径円柱部22aと、この小径円柱部22aに連結する大径円柱部22bとを有する。大径円柱部22bには、外周面に軸方向に延長する接点保持突条22cが円周方向に例えば90°の間隔で4本設けられている。この接点保持突条22cのうちの中心軸を挟んで対向する2本の左端側に後述する回転駆動板32のカム部32cに接触するカムフォロア22dが形成されている。
【0021】
また、各接点保持突条22cには、両端に1対の可動接点26ac,26bcを備える橋絡片形の可動接触子26a,26bが図示しない接触ばねを介して保持されている。可動接触子26aの可動接点26acは、スイッチ部本体21に配置された固定接触子の固定接点(図示せず)に接離可能とされて常開接点機構を構成する。可動接触子26bの可動接点26bcは、スイッチ部本体21に配置された固定接触子25bの固定接点25bcと接離可能とされて常閉接点機構を構成する。
可動接触子ホルダ22は、スイッチ部本体21内に復帰ばね27によって左方に付勢されて左右方向(軸方向)に移動可能に収納されている。
【0022】
復帰ばね27は、ここでは圧縮コイルばねで構成され、可動接触子ホルダ22を左方へ押し上げる方向の付勢力を発生する。これにより、押ボタン12が通常の待機状態(押ボタン12が押し込み操作されない状態)にあるときは、可動接触子ホルダ22によって保持された常開可動接点26acは、固定接点(図示せず)から離間した釈放状態に、そして常閉可動接点26bcは、
図1及び
図2に示すように、固定接点25bcに接触した投入状態に置かれるようになる。この状態が、開閉接点機構の操作部10の待機状態のときの開閉状態である。
また、
図4に示すように、スイッチ部本体21の左端部には、回転駆動部30を結合するために、一部に対向する円周方向の案内溝部21bを有する円筒部21aが突出形成されている。
【0023】
駆動部である回転駆動部30は、回転カバー31、回転駆動板32および回転駆動ばね33を備えている。回転駆動板32は、
図6に示すように、円筒体を正面から見て略半円筒状に2分割した構成を有し、内周面に形成された係合突起32bをスイッチ部本体21の円筒部21aの外周に形成された1対の半円弧状の案内溝部21bに係合させることにより、円筒部21aにより回転可能に支持されている。また、回転駆動板32の内周面の左端面位置には内方に延長し、操作部10の係合溝11eに係合し、係合回動部を構成する係合突起32bが形成されている。
【0024】
さらに、回転駆動板32の右端には、
図5に示すように、カム部32cが部分的に円周方向に形成されている。このカム部32cは、
図8(a)で展開して示すように、回転駆動板32の円周方向の一端で高さがHh1と高い平坦面32c1と、この平坦面32c1の右端部から徐々に右上方に傾斜する傾斜面32c2と、この傾斜面32c2の高さがHlと最小となる谷間から右下方に傾斜する傾斜面32c3と、この傾斜面32c3の右端部から高さがHh1よりは低いHh2となる平坦面32c4とを有する。
【0025】
そして、このカム部32cは、スイッチ部本体21の上壁の貫通孔21c(
図1、
図2参照)を通してスイッチ部本体21の内部へ侵入し、カム部32cが可動接触子26a、26bを保持する可動接触子ホルダ22の外周側方に突出形成されたカムフォロア22dの左端面と係合する。
ここで、カムフォロア22dが一番高い高さHh1の平坦面32c1に係合している第1待機位置P1では、可動接触子ホルダ22が復帰ばね27に抗して右方に移動し、b接点を構成する可動接触子26bが固定接触子25bから右方に離間してb接点が釈放状態となり、a接点を構成する可動接触子26aが固定接触子(図示せず)に接触して投入状態となる押ボタン12を押し込んだ操作状態と同じ開閉状態となる。
【0026】
一方、カムフォロア22dが一番低い高さHlとなる傾斜面32c2及び32c3間の谷間に係合している使用位置P2では、可動接触子ホルダ22が復帰ばね27によって左方に移動し、b接点を構成する可動接触子26bが固定接触子25bに接触してb接点が投入状態となり、a接点を構成する可動接触子26aが固定接触子(図示せず)から左方に離間して釈放状態となり、押ボタン12を押し込む前の待機状態と同じ開閉状態となる。なお、b接点は、カムフォロア22dが傾斜面32c2及び32c3間の谷間に係合する前後で釈放状態から投入状態に切り換わり、a接点は、逆にカムフォロア22dが傾斜面32c2及び32c3間の谷間に係合する前後で投入状態から釈放状態に切り換わる。
【0027】
さらに、カムフォロア22dが二番目に高い高さHh2となる平坦面32c4に係合している第2待機位置P3では、可動接触子ホルダ22が復帰ばね27に抗して右方に移動されるので、前述した平坦面32c1に係合している状態と同じように、b接点が釈放状態となり、a接点が投入状態となる。
なお、第1待機位置P1及び第2待機位置P3での平坦面32c1及び32c4の高さを、平坦面32c1の高さに対して平坦面32c4を低く設定したが、これに限定されるものではなく、両者を同一高さとしたり、平坦面32c1を平坦面32c4より低い高さとしたりすることができる。要は、第1待機位置P1及び第2待機位置P3でb接点が釈放状態を維持し、a接点が投入状態を維持できれば平坦面32c1及び32c4の高さを任意の高さに設定できる。
【0028】
この回転駆動板32は、内周面に形成された係合突起32bが操作部10の第2胴部11cの外周面に形成された係合溝11eに係合して案内されることにより、第1待機位置P1及び第2待機位置P3間で回転される。
スイッチ部本体21の円筒部21aにより支持された回転駆動板32に左部から回転カバー31が被せられて、回転カバー31と回転駆動板32とが一体化されている。この回転カバー31と回転駆動板32との間に捩りコイルばねで構成した回転駆動ばね33を挿入し、この回転駆動ばね33によって、回転カバー31及び回転駆動板32に軸方向(左方向)および回転方向(第1待機位置)の弾性復元力を与える。
【0029】
このように構成された操作部10とスイッチ部20とが互いに分離されているときは、
図3に示すように、スイッチ部本体21上の回転駆動部30は、回転駆動ばね33の復元力により正面から見て反時計方向に回転され、スイッチ部本体21との整合位置から少しずれた第1待機位置P1に置かれる。このため、回転駆動部30内の回転駆動板32は、
図3に示すように、カム部32cの高さがHh1となる高さの高い平坦面32c1が可動接触子ホルダ22のカムフォロア22dと係合する。
【0030】
これにより、可動接触子ホルダ22が、復帰ばね27の付勢力に抗してカム部32cの高さHh1に応じて右方へ深く押し込まれるため、前述したようにa接点構成の開閉接点機構では常開可動接点26acが常開固定接点(図示せず)と接触した投入状態となり、オン状態となる。一方、b接点構成の開閉接点機構では常閉可動接点26bcが常開固定接点25bcから離間した釈放状態となり、オフ状態となる。このような開閉接点機構の開閉状態は、スイッチ部20に操作部10が結合された状態における操作部10の待機状態のときの開閉状態と同じである。
次に、このように回転駆動板32が第1待機位置P1に置かれたスイッチ部20を操作部10に結合して使用状態にするときの手順を、
図7を参照して説明する。
【0031】
先ず、回転駆動板32が第1待機位置P1に置かれたスイッチ部20の円筒部21a内に、左方から操作部本体11の第2胴部11cを挿入する。このとき、スイッチ部20のスイッチ部本体21の円筒部21aに設けられた係合凸条21dが操作部本体11の位置決め溝11gに挿入されるように操作部10とスイッチ部20との位置合わせを行う。これによって、スイッチ部本体21の円筒部21aの内側まで突出した回転カバー31の係合突起31cおよび回転駆動板32の係合突起32bが、操作部本体11の第2胴部11cの外周の係合溝11eの開口端から挿入される(
図7(a))。
【0032】
このように位置合わせを行った状態で、操作部本体11の第2胴部11cを回転駆動部30が第1待機位置P1に置かれたスイッチ部20の円筒部21a内に左方から挿入し、係合突起31c、32bと係合溝11eとを、また、係合凸条21dと位置決め溝11gとをそれぞれ係合させてそのまま押し込む。操作部10が押し込まれるに従って、係合溝11eに係合された回転カバー31の係合突起31cおよび回転駆動板32の係合突起32bが係合溝11eの傾斜溝部11e1の内壁で押されて矢印Lで示すように正面から見て時計方向へ回転される。このため、回転カバー31および回転駆動板32が回転駆動ばね33を捩じりながら時計方向に回転し、スイッチ部20が例えば7mm左方に移動した状態で使用位置P2にカムフォロア22dが係合する(
図7(b))。
【0033】
さらに、操作部10を押し込むことにより、
図7(c)に示すように、回転カバー31の係合突起31cおよび回転駆動板32の係合突起32bが係合溝11eの軸方向溝部11e2に達すると、回転カバー31および回転駆動板32の回転により捩じられた回転駆動ばね33の復元力により矢印Rで示すように反時計方向に回転される。これにより、係合突起31cおよび32bが係合溝11eの円周方向溝部11e3の上端まで移動する。この状態では、スイッチ部20が操作部10側に例えば9mm移動する。そして、カム部32cの平坦面32c4にカムフォロア22dが係合することになり、可動接触子ホルダ22が復帰ばね27に抗して左方に押し下げられる。このため、b接点構成の可動接触子26bが固定接触子25bから離間して釈放状態となり、a接点構成の可動接触子26aが固定接触子(図示せず)に接触して投入状態となる。
【0034】
さらに、回転復帰ばね33の軸方向の復元力により回転カバー31が左方向に駆動されるので、この回転カバー31が左に移動し、
図7(d)に示すように、この回転カバー31の係合突起31cだけが係合溝11eの係止溝部11e4内に移動する。これにより、回転カバー31の係合突起31cが操作部10の係合溝11eの係止溝部11e4に係止されるため、回転駆動部30は操作部本体11の第2胴部11cに対して回転不能に固定される。
【0035】
このように回転駆動部30に操作部10が最後まで挿入されて、
図7(d)に示すように、操作部10にスイッチ部20が結合されるとスイッチ装置1が使用可能な状態となる。この状態では、回転駆動部30がスイッチ部20のスイッチ部本体21の使用位置P2に整合されて固定される。このため、回転駆動板32とスイッチ部20の可動接触子ホルダ22のカムフォロア22dとの係合位置がカム部32cの高さがHlの低い傾斜面32c2及び32c3間の谷間位置となり、可動接触子ホルダ22が復帰ばね27によってカム部32cの高さHlの位置まで押し込まれる。これにより、可動接触子ホルダ22により保持された常開可動接点26acが常開固定接点(図示せず)から離間されて釈放状態となり、常閉可動接点26bcが常閉固定接点25bcに接触されて投入状態となり、開閉接点機構が待機状態のときの開閉状態をとる。
【0036】
このスイッチ部20と操作部10とが結合された状態から両者を分離する場合は、
図7に示した結合手順の逆の手順で操作すればよい。ただ、
図7(d)の状態において、回転カバー31を係合突起31cが回転駆動板32の係合突起32bに重なる位置まで押し下げないと、回転カバー31を回転することができないので、この回転カバー31の押し下げ操作を行う必要がある。
【0037】
図1及び
図2のスイッチ装置1は、このようにスイッチ部20に操作部10を結合して待機状態に置かれた場合を示している。この状態では、回転駆動部30の回転駆動板32は、カム部32cの高さがHlの低い位置でスイッチ部20の可動接触子ホルダ22のカムフォロア22dを押圧するため、可動接触子ホルダ22が押し上げられた待機位置をとる。このため、常開可動接点26acは、常開固定接点(図示せず)から離間し、スイッチオフの状態となり、常閉可動接点26bcは、常閉固定接点25bcと接触し、スイッチオンの状態となっている。
【0038】
ここで、操作部10の押ボタン12を右方に押し込み操作し、ロック状態とすると、押ボタン12を押し込み操作位置に保持する。押ボタン12の押し込み操作によって、スイッチ部20の可動接触子ホルダ22が復帰ばね27の付勢力に抗して押し下げられるので、常開可動接点26acが常開固定接点(図示せず)に接触し、スイッチオン状態となり、常閉可動接点26bcが常閉固定接点25bcから離間し、スイッチオフ状態となる。これが、操作部10の押し込み操作状態のときの開閉接点機構の開閉状態である。
このような操作状態のスイッチ装置1を
図1及び
図2に示すような待機状態に復帰させるには、押ボタン12を押ボタン12の表面に表示された矢印の方向に捻回操作してロック状態を解除することにより行う。
【0039】
このように、上記第1実施形態によると、例えば非常スイッチ装置に適用する場合を考えると、常時接点機構が投入状態となるb接点構成の開閉機構が主開閉機構となる。このため、スイッチ部20が操作部10に対して分離している
図7(a)の状態からスイッチ部20を操作部10に結合する際に、スイッチ部20を操作部10側に押圧したときに、回転駆動板32の係合突起32bが操作部10の第2胴部11cの外周面に形成された係合溝11e内を移動することにより、回転駆動板32が第1待機位置P1から使用位置P2を経由して第2待機位置P3まで回転された後に逆転されて使用位置P2に戻り、この使用位置P2で固定される。
【0040】
このときの、可動接触子ホルダ22に支持されたb接点構成の可動接触子26bは、回転駆動板32が第1待機位置P1に存在する状態では、
図8(b)に示すように、開閉接点機構が釈放状態すなわち接点オフ状態を維持する。
その後、回転駆動板32が回転して使用位置P2に達する前のスイッチ部20が操作部10側に例えば6.2mm進んだ位置でb接点構成の開閉接点機構が投入状態すなわち接点オン状態に切り換わる。その後、スイッチ部20が操作部10側へさらに進み、回転駆動板32が使用位置P2を通りすぎてスイッチ部が操作部10側に例えば7.8mmの位置でb接点構成の開閉接点機構が釈放状態すなわち接点オフ状態に切り換わる。
【0041】
その後、回転駆動板32が第2待機位置P3に達する。この間、b接点構成の開閉接点機構が接点オフ状態を維持する。そして、回転駆動板32が第2待機位置から逆転されて使用位置P2側に戻ると、スイッチ部20が操作部10側に例えば10.2mm移動したときに、b接点構成の開閉接点機構が投入状態すなわち接点オン状態に切り換わる。最終的に回転駆動板32が使用位置P2に達したときに、回転駆動部30の回転が停止され、回転駆動板32が使用位置P2で保持される。
【0042】
このように、第1実施形態によると、回転駆動板32が第1待機位置P1から使用位置P2を経て第2待機位置P3に達し、その後使用位置P2に戻る間に、b接点構成の開閉接点機構は、使用位置P2を通過する区間と、挿入完了位置に達する手前から挿入完了位置に達するまでの区間でのみ接点オン状態となる。このため、前述した従来例のように、待機位置から使用位置に達した以降にb接点構成の開閉接点機構がオン状態となる場合に比較して、オン状態に移行する区間を短縮することができる。したがって、仮に通電可能な状態で、スイッチ部20を操作部10に結合する際や操作部10とスイッチ部20とが結合している状態から分離する際に、通電可能となる継続区間を、使用位置P2を通過する瞬間だけに抑制することができ、安全性を向上させることができる。
【0043】
しかも、接点オン区間が使用位置P2を挟む前後に限定されるので、操作部10に対するスイッチ部20の結合位置が使用位置を通り過ぎてから使用位置に戻るまでの不完全な結合位置で固定された場合には、接点オフ状態を維持することから作業者がスイッチ部20の結合が不完全状態であることを通電状態の有無によって確認することができる。
なお、上記第1の実施形態では、回転駆動板32を半円筒状に2分割した構成とした場合について説明したが、一方を省略して片側の回転駆動板32のみを使用することもできる。この場合には、操作部10の第2胴部11cに形成する係合溝11eも対応する位置に1個所設けるようにすればよい。
【0044】
次に、本発明に係るスイッチ装置1の第2実施形態について
図9〜
図12を伴って説明する。
この第2実施形態は、前述した第1実施形態の回転駆動板をカム形状の異なる2種類の第1及び第2の回転駆動板部で構成するようにしたものである。
すなわち、第2実施形態では、前述した第1実施形態における回転駆動板32を、
図9〜
図12に示すように、第1実施形態における2組の回転駆動板32の一方を第1回転駆動板部32Aとし、他方を第2回転駆動板部32Bとし、2枚の回転駆動板部32A及び32Bで回転駆動板32を構成している。
【0045】
第1回転駆動板部32Aは、
図11(a)に示すように、第1カム部32caを平坦面32c1及び傾斜面32c2のみで構成し、傾斜面32c3及び平坦面32c4を省略している。ただし、
図12(a)に示すように、傾斜面32c2を第1実施形態における使用位置P2より右方まで延長させ、その端部に高さHlより低い高さの平坦面32c5に接続する段部を形成している。なお、段部を形成する場合に代えて、傾斜面32c2を延長させるようにしてもよい。
【0046】
これに対して、第2回転駆動板部32Bは、
図11(b)に示すように、逆に、第2カム部32cbを傾斜面32c3及び平坦面32c4のみで構成し、平坦面32c1及び傾斜面32c2を省略している。ただし、
図12(b)に示すように、傾斜面32c3を使用位置P2より左方まで延長させ、その端部に高さHlより低い高さの平坦面32c6に接続する段部を形成している。なお、段部を形成する場合に代えて、傾斜面32c3を延長させるようにしてもよい。
【0047】
このように、第1回転駆動板部32Aの傾斜面32c2及び第2回転駆動板部32Bの傾斜面32c3を互いに使用位置P2を超えて延長させることにより、組立誤差等が生じた場合にカムフォロア22dがカム部32ca及び32cbから逸脱することを防止できる。
その他の構成については前述した第1実施形態と同様であり、第1実施形態との対応部分には同一符号を付し、その詳細説明はこれを省略する。
【0048】
この第2実施形態では、第1実施形態における1枚の回転駆動板32を、カム形状の異なる第1回転駆動板部32Aと、第2回転駆動板部32Bとの2枚で構成している。このため、スイッチ部20が操作部10から分離している状態で、スイッチ部20を操作部10に装着する場合には、第1回転駆動板部32Aに係合する可動接触子ホルダ22のカムフォロア22dは、
図12(a)に示すように、回転駆動部30が第1待機位置P1となって、第1回転駆動板部32Aの平坦面32c1に係合している。このため、可動接触子ホルダ22が復帰ばね27に抗して右側に押し込まれた状態となり、b接点構成の開閉接点機構は釈放状態となって接点オフの状態を保持し、a接点構成の開閉接点機構は投入状態となって接点オンの状態を保持する。このように、可動接触子ホルダ22が右側に押し込まれた状態となるため、第2回転駆動板部32Bでは、
図12(b)に示すように、可動接触子ホルダ22のカムフォロア22dが一番低い平坦面32c6とは離間した状態となる。
【0049】
この状態で、第1回転駆動板部32A及び第2回転駆動板部32Bの係合突起32bを操作部10の第2胴部11cの外周面に形成した係合溝11eに係合させることにより、第1回転駆動板部32A及び第2回転駆動板部32Bが正面から見て時計方向に回転することになる。このため、可動接触子ホルダ22のカムフォロア22dが第1回転駆動板部32Aの傾斜面32c2に係合して可動接触子ホルダ22が復帰ばね27の弾性復帰力によって左方に操作部10側に移動する。この状態では、第2回転駆動板部32B側ではカムフォロア22dが平坦面32c6から離れた状態を維持する。
【0050】
そして、第1回転駆動板部32A及び第2回転駆動板部32Bが使用位置P2に達する前に、b接点構成の可動接触子ホルダ22の可動接触子26bが固定接触子25bに接触して投入状態となり、開閉接点機構が接点オンの状態となる。このとき、a接点構成の可動接触子26aが固定接触子(図示せず)から離間して釈放状態となり、開閉接点機構が接点オフの状態となる。
【0051】
その後、第1回転駆動板部32A及び第2回転駆動板部32Bが使用位置P2に達すると、その後は、第2回転駆動板部32B側のカムフォロア22dが傾斜面32c3に係合することになり、可動接触子ホルダ22が復帰ばね27に抗して右方に押し込まれる。このため、第1回転駆動板部32A側のカムフォロア22dは、第1回転駆動板部32Aの傾斜面32c2から離間する。
【0052】
その後、第1回転駆動板部32A及び第2回転駆動板部32Bが使用位置P2から所定距離時計方向に回転すると、可動接触子ホルダ22の可動接触子26bが固定接触子25bから離間して釈放状態となり、開閉接点機構が接点オフの状態となる。このとき、a接点構成の可動接触子26aが固定接触子(図示せず)に接触して投入状態となり、開閉接点機構が接点オンの状態となる。
【0053】
その後、カムフォロア22dが第2回転駆動板部32Bの平坦面32c4に到達する第2待機位置P3となると、第1回転駆動板部32A及び第2回転駆動板部32Bが逆転し、使用位置P2に戻り、使用位置P2に戻ると、カムフォロア22dが第1回転駆動板部32Aの傾斜面32c2及び第2回転駆動板部32Bの傾斜面32c3にともに係合する状態となり、スイッチ部20の回転が停止されて固定される。このため、第1実施形態と同様に、スイッチ部20が待機状態となる。
このため、第2実施形態でも、スイッチ部20を操作部10に装着する際に、b接点構成の開閉接点機構を、
図12(c)に示すように、使用位置P2の近傍でのみ接点オンの状態とすることができ、第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0054】
このように、第2実施形態によると、可動接触子ホルダ22に形成された2つのカムフォロア22dのうちの一方が第1回転駆動板部32A又は第2回転駆動板部32Bに係合することにより、片持ち状態で、可動接触子ホルダ22が軸方向に移動される。そして、操作部10がスイッチ部20に完全に挿入される挿入完了時には2つのカムフォロア22dが第1回転駆動板部32Aの傾斜面32c2及び第2回転駆動板部32Bの傾斜面32c3に係合した状態の使用位置P2で確実に停止する。
なお、上記第1及び第2実施形態では、本発明に係るスイッチ装置を非常停止スイッチ装置に適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、押しボタンスイッチ装置などの接点機構を内装したスイッチ装置に本発明を適用することができる。