(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6772967
(24)【登録日】2020年10月5日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】圧縮造粒装置
(51)【国際特許分類】
B01J 2/22 20060101AFI20201012BHJP
C22B 1/248 20060101ALI20201012BHJP
A61J 3/10 20060101ALI20201012BHJP
【FI】
B01J2/22
C22B1/248
A61J3/10 C
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2017-120298(P2017-120298)
(22)【出願日】2017年6月20日
(65)【公開番号】特開2019-835(P2019-835A)
(43)【公開日】2019年1月10日
【審査請求日】2019年5月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000191009
【氏名又は名称】新東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001977
【氏名又は名称】特許業務法人なじま特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 正紀
【審査官】
山崎 直也
(56)【参考文献】
【文献】
実公昭37−004801(JP,Y1)
【文献】
特開2012−245598(JP,A)
【文献】
特開2009−185345(JP,A)
【文献】
特開平08−025096(JP,A)
【文献】
特開昭62−142098(JP,A)
【文献】
実開平04−043499(JP,U)
【文献】
特開2009−083088(JP,A)
【文献】
国際公開第2008/093476(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 2/00
C22B 1/00
B24B 9/00
B30B 11/00
A61J 3/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
周面にブリケットポケットを備えた一対のブリケットロールを用いた圧縮造粒装置において、ブリケットロールの側面に設置されたチークプレートの内面を、前記ブリケットポケットの端部より所定距離だけブリケットポケットの中心側に覆い被さるように突出させたことを特徴とする圧縮造粒装置。
【請求項2】
前記所定距離が、1〜10mmの範囲であることを特徴とする請求項1に記載の圧縮造粒装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一対のブリケットロールを用い、ブリケットを製造する圧縮造粒装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
市場から回収されたスチールやアルミニウムなどを金属粉末または顆粒とし、これを一対のブリケットロールを用いた圧縮造粒装置により圧縮して連続したブリケットシートを製造したうえ、平刃状のカッターロールを使用して個々のブリケットに切断することは、公知である(例えば特許文献1)。また、製造されたブリケットを、特殊形状のカッターロールを備えたバリ取り装置にかけて、角部に直角または鋭角のバリのないブリケットとすることも、公知である(例えば特許文献2)。得られたブリケットは、製鋼所や鋳造所において脱酸材などとして、リサイクル使用されている。
【0003】
しかしながら、平刃状のカッターロールを使用してブリケットシートを切断すると、切断角部が直角または鋭角となり、後工程のハンドリング工程においてコンベヤを破損させたり、作業者が負傷したりする可能性があった。
【0004】
また、特許文献2に記載されたバリ取り装置を用いても、ブリケットシート側面のバリを確実に除去することはできず、確率は低下するものの、依然、コンベヤの損傷や作業者の負傷の可能性があった。さらにブリケット搬送の途中でブリケットからバリが分離して周囲に散乱したり、装置内部に入り込み故障を引き起こすことがあった。さらに特殊形状のカッターロールは汎用の平刃状のカッターロールよりも高価であり、設備コストが嵩むという問題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−185354号公報
【特許文献2】特開2011−161543号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って本発明の目的は上記した従来の問題点を解決し、側面にバリのないブリケット
シートを成形することができる圧縮造粒装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するためになされた本発明は、周面にブリケットポケットを備えた一対のブリケットロールを用いた圧縮造粒装置において、ブリケットロールの側面に設置されたチークプレートの内面を、前記ブリケットポケットの端部より所定距離だけブリケットポケットの中心側に
覆い被さるように突出させたことを特徴とするものである。なお、前記所定距離は、1〜10mmの範囲であることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明の圧縮造粒装置は、ブリケットロールの側面に設置されたチークプレートの内面を、前記ブリケットポケットの端部より所定距離だけブリケットポケットの中心側に
覆い被さるように突出させた構造であるため、ブリケット成形時の圧縮力によってブリケットの側面にバリが生じることを防止することができる。このため、後工程でコンベヤを破損させたり、作業者が負傷したりすることがなくなり、また、ブリケット搬送の途中でブリケットからバリが分離して周囲に散乱したり、装置内部に入り込み故障を引き起こすことも防止することができる。さらに、後工程で角部バリを除去するために特殊形状のカッターロールを用いる必要がなくなり、平刃状の簡単なカッターロールを採用することで、設備コストを抑制できる利点もある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図3】従来の圧縮造粒装置における、ブリケットロールとチークプレートとの位置関係の説明図である。
【
図4】従来の圧縮造粒装置により成形されたブリケットシートの正面図と側面図である。
【
図5】本発明の圧縮造粒装置における、ブリケットロールとチークプレートとの位置関係の説明図である
【
図6】本発明の圧縮造粒装置により成形されたブリケットシートの正面図と側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本発明の好ましい実施形態を説明する。
図1は圧縮造粒装置の概念図であり、1は矢印方向に駆動される左右一対のブリケットロールである。
図2に示されるように、その周面には一定のピッチで凹状のブリケットポケット2が形成されている。上方から供給される原料は左右一対のブリケットロール1、1の間で圧縮され、
図4に示されるようなブリケットポケット2、2の形状のブリケットシートに成形される。
【0011】
原料の種類は特に限定されるものではないが、アルミニウムや、アルミニウムにスチールを混合したもの、またはスチールなどの
延性金属が好適である。例えば、アルミ缶やスチール缶をペレット状に処理した金属原料は、ブリケット原料として好適である。
【0012】
4はブリケットロール1の両側面に設置されたチークプレートである。これらのチークプレート4は、上方から供給される金属原料が、圧縮力によって横漏れすることを防止する横漏れ防止板である。
【0013】
ブリケットロール1及びチークプレート4の材質としては、金属などの剛性体またはこれを硬化処理したものを用いる。またチークプレート4は、異なる材質とすることもできる。
【0014】
ブリケットロール1とチークプレート4との位置関係は、従来の圧縮造粒装置においては
図3に示す通りであった。即ち従来のチークプレート4は、ブリケットロール1の周面に加工されたブリケットポケット2の端部5から数mmの間隔を持たせて設置され、ブリケットの端部の強度を確保する構造となっていた。このため従来の圧縮造粒装置においては、ブリケット製造時の圧縮力によってバリが生じ、
図4に示すように、側面にバリ5を有する多数のブリケットが数珠状に連結したブリケットシート3が成形されていた。なお、ブリケットの原料が延性金属である場合には延性によって、設定された隙間以上のバリが発生することがほとんどである。
【0015】
これに対して本発明の圧縮造粒装置におけるブリケットロール1とチークプレート4との位置関係は
図5に示す通りであって、チークプレート4の内面6を、ブリケットポケット2の端部5より所定距離だけブリケットポケット2の中心側に
覆い被さるように突出させた構造とした。この所定距離は数mm、より具体的には1〜10mmの範囲とする。
【0016】
このような構造とすれば、原料がブリケットポケット2の左右両側に到達することなく圧縮成形が行われ、
図6に示すように、側面にバリのないブリケットシート7が成形される。なおブリケットの原料が延性金属である場合には、このような構造であってもブリケット端部へ圧縮力が伝達し、十分なブリケット強度を得ることができる。
【0017】
なお、チークプレート4の内面6のブリケットポケット2の端部5からの突出距離が1mm未満であると、バリの発生を確実に防止する効果が低下する。逆に突出距離が10mmを超えるとブリケットの端部への原料の供給が不足するため、ブリケット端部の強度が低下するので好ましくない。
【0018】
上記したように、本発明の圧縮造粒装置によれば、側面にバリのないブリケットシート7を成形することができるので、従来のように後工程でコンベヤを破損させたり、作業者が負傷したりすることがない。また従来のようにブリケット搬送の途中でブリケットからバリが分離して周囲に散乱したり、装置内部に入り込み故障を引き起こすこともない。さらに、後工程で角部バリを除去するために特殊形状のカッターロールを用いる必要がなくなり、平刃状の簡単なカッターロールを採用することで、設備コストを抑制することができる。
【0019】
本発明はブリケットロール1とチークプレート4との位置関係を変更しただけであるから、様々なブリケット形状、ブリケットサイズに適用することができる。
【符号の説明】
【0020】
1 ブリケットロール
2 ブリケットポケット
3 側面にバリのあるブリケットシート
4 チークプレート
5 ブリケットポケットの端部
6 チークプレートの内面
7 側面にバリのないブリケットシート