(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
印刷が行われる被印刷面を有し、前記被印刷面と反対側に第1粘着剤が塗布されている第1基材と、前記第1粘着剤を介して前記第1基材に剥離可能に貼り付けられている第1セパレータと、を有する第1媒体と、
第2セパレータを有する第2媒体と、
を収納し、
前記被印刷面の面方向と交差する方向に移動自在に設けられている押圧部材を有し、
前記押圧部材は、前記第1媒体と前記第2媒体とが互いに圧着された状態にするための押圧力が外部から加えられたときに、前記押圧力を受ける位置に配置されている、
ことを特徴とするテープカセット。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1及び
図2は、一実施形態に係る印刷装置1の斜視図である。
図1は、筐体2に対して蓋3が閉じた状態の斜視図であり、
図2は、筐体2に対して蓋3が開いた状態の斜視図である。
【0013】
印刷装置1は、被印刷媒体Mに印刷を行う印刷ヘッドであるサーマルヘッド12を備える印刷装置であり、例えば、長尺状の被印刷媒体Mに、シングルパス方式で印刷を行うラベルプリンタである。以降では、インクリボンを使用する熱転写方式のラベルプリンタを例にして説明するが、印刷方式は特に限定されない。例えば、感熱紙を使用する感熱方式であってもよい。
【0014】
被印刷媒体Mは、サーマルヘッド12により印刷が行われる被印刷面を有する、第1媒体である印刷テープM1と、印刷テープM1に積層される、第2媒体である保護テープM2と、により形成される。被印刷媒体Mの詳細については、後述する。
【0015】
印刷装置1には、
図1及び
図2に示すように、キューブ形状の筐体2の上面に、蓋3と、複数のボタン(ボタン4、ボタン5、ボタン6、ボタン7、ボタン8)が設けられている。ボタン4は、蓋3の開閉ボタンである。ボタン5からボタン7は、それぞれカットボタン、フィードボタン、無線通信ボタンである。ボタン8は、電源ボタンである。また、図示しないが、筐体2には、電源コード接続端子、外部機器接続端子等が設けられている。
【0016】
蓋3は、筐体2に対して開閉可能に設けられている。ボタン4を押下すると、蓋3が開き、
図2に示すように、カセット収容部11に収容されたテープカセット100が露出する。蓋3には、蓋3が閉じた状態でもカセット収容部11にテープカセット100が収納されているか否かを目視で確認可能とするために、窓9が設けられている。
【0017】
印刷装置1は、蓋3の開閉を蓋開閉センサ15により検出する。詳細には、蓋3を閉めることで、蓋開閉センサ15が蓋3に設けられた突起14を検出する。これにより、印刷装置1は、蓋が閉まっていることを検出する。また、蓋3を開くことで、蓋開閉センサ15が突起14を検出しない。これにより、印刷装置1は、蓋が開いていることを検出する。
【0018】
筐体2の側面には、排出口10が形成されている。印刷装置1内で印刷が行われた被印刷媒体Mは、排出口10から装置外へ排出される。なお、排出口10は、被印刷媒体Mの被印刷面が、印刷装置1が載置された面と直交するように被印刷媒体Mを排出する。
【0019】
図3は、テープカセット100の斜視図である。
図4は、上ケース103を取り除いた状態のテープカセット100の斜視図である。なお、
図4には、テープカセット100に収容される媒体(印刷テープM1、保護テープM2、インクリボンR)を取り除いた状態が示されている。
【0020】
テープカセット100は、印刷装置1のカセット収容部11に交換可能に収容される。テープカセット100は、サーマルヘッド被挿入部104が形成されたカセットケース101を有している。サーマルヘッド被挿入部104は、テープカセット100をカセット収容部11に収容したときにサーマルヘッド12に対応する位置に形成された凹部である。
【0021】
カセットケース101は、下ケース102と上ケース103からなり、仮圧着部105を含んでいる。下ケース102には、印刷テープローラ106、インクリボン供給ローラ108、インクリボン巻取りローラ109、保護テープローラ110、仮圧着ローラ112が含まれている。
【0022】
印刷テープローラ106は、印刷テープM1が巻きつけられたローラである。印刷テープローラ106は、印刷テープM1を印刷テープローラ106から繰り出す方向である順方向に回転する従動ローラであり、且つ、印刷テープM1を印刷テープローラ106へ巻き取る方向である逆方向に回転する駆動ローラでもある。さらに、印刷テープローラ106には、印刷テープM1を巻き取る際に印刷テープM1の位置が軸方向にずれることを防ぐためのフランジ107が設けられている。
【0023】
インクリボン供給ローラ108は、インクリボンRを供給する従動ローラである。インクリボン巻取りローラ109は、インクリボン供給ローラ108に巻きつけられたインクリボンRを巻き取る駆動ローラである。インクリボン巻取りローラ109には、インクリボンRの一端が固定されている。
【0024】
保護テープローラ110は、保護テープM2が巻きつけられたローラである。保護テープローラ110は、保護テープM2を保護テープローラ110から繰り出す方向である順方向に回転する従動ローラであり、且つ、保護テープM2を保護テープローラ110へ巻き取る方向である逆方向に回転する駆動ローラである。さらに、保護テープローラ110には、保護テープM2を巻き取る際に保護テープM2の位置が軸方向にずれることを防ぐためのフランジ111が設けられている。
【0025】
仮圧着ローラ112は、保護テープM2を保護テープローラ110から繰り出す方向である順方向に回転する駆動ローラであり、保護テープM2を保護テープローラ110から繰り出して搬送する。仮圧着ローラ112は、印刷テープM1と保護テープM2とを互いに仮圧着する仮圧着部105に含まれる。なお、仮圧着とは、印刷テープM1を保護テープM2に剥離可能に圧着することをいう。より具体的には、印刷テープM1に保護テープM2が貼り付けされた後に印刷テープローラ106と保護テープローラ110を逆回転させることで、印刷テープM1と保護テープM2とを容易に剥離可能な程度に圧着することをいう。
【0026】
図5は、印刷装置1のハードウェア構成を示すブロック図である。
図6は、テープカセット100が収容された印刷装置1の構成を示した図である。
図7は、テープカセット100の仮圧着部105の構成を示した図である。
【0027】
印刷装置1は、
図5に示すように、制御装置50と駆動装置70とを含んでいる。制御装置50は、駆動装置70を制御するコンピュータである。制御装置50は、CPU51、ROM52、RAM53、操作部制御回路54、外部機器IF回路55、電源回路56、搬送用モータ制御回路61、排出用モータ制御回路62、昇降用モータ制御回路63、カッターモータ制御回路64、サーマルヘッド制御回路65、センサ入力回路66を含んでいる。
【0028】
CPU51は、ROM52に記憶されているプログラムをRAM53に展開し実行することで、印刷装置1の各部の動作を制御する。ROM52には、システムプログラム、被印刷媒体Mに印刷を行う印刷プログラム、印刷プログラムの実行に必要な各種データ(例えば、フォント、通電テーブル等)が記憶されている。RAM53は、印刷用のパターンデータを記憶する印刷データメモリとして機能する。
【0029】
操作部制御回路54は、利用者のボタン操作に応じた信号を受け付けて、CPU51等に出力する。外部機器IF回路55は、有線又は無線を通じてPC200などの外部装置との間でデータを授受する。電源回路56は、ACアダプタ300からの直流電圧から出力電圧を生成し、印刷装置1の各部に電力を供給する。
【0030】
搬送用モータ制御回路61は、駆動装置70に含まれる搬送用モータ71の動作を制御する。搬送用モータ71は、例えば、ステッピングモータであり、クラッチ82を介して、プラテンローラ13、インクリボン巻取りローラ軸83、仮圧着ローラ軸84、印刷テープローラ軸85、保護テープローラ軸86に接続されている。クラッチ82は、搬送用モータ71の動力が伝達されるローラを切り替える装置である。
【0031】
プラテンローラ13は、
図6に示すように、テープカセット100から排出される被印刷媒体Mを搬送する搬送ローラである。プラテンローラ13は、より詳細には、印刷テープM1の被印刷面を、インクリボンRを挟んで、サーマルヘッド12へ押し付けながら搬送する、印刷装置1に設けられた駆動ローラである。インクリボン巻取りローラ軸83、仮圧着ローラ軸84、印刷テープローラ軸85、保護テープローラ軸86は、
図6に示すように、カセット収容部11に設けられた駆動軸であり、それぞれ、テープカセット100に設けられた、インクリボン巻取りローラ109、仮圧着ローラ112、印刷テープローラ106、保護テープローラ110に係合する。
【0032】
後述する印刷処理中に搬送用モータ制御回路61が搬送用モータ71を回転させることで生じた動力は、クラッチ82を介してプラテンローラ13、インクリボン巻取りローラ軸83、仮圧着ローラ軸84に伝達される。これにより、プラテンローラ13が印刷テープM1とインクリボンRを搬送し、印刷テープM1とインクリボンRは互いに重なった状態でサーマルヘッド12とプラテンローラ13の間を通過する。その後、インクリボンRはインクリボン巻取りローラ109により巻き取られ、印刷テープM1は仮圧着ローラ112に到達する。仮圧着ローラ112は、印刷テープM1と保護テープローラ110から繰り出された保護テープM2とが重なった状態で搬送する。
【0033】
これに対して、後述する印刷準備処理中に搬送用モータ制御回路61が搬送用モータ71を回転させることで生じた動力は、クラッチ82を介して印刷テープローラ軸85、保護テープローラ軸86に伝達される。これにより、印刷テープローラ106が印刷テープM1を逆搬送し、保護テープローラ110が保護テープM2を逆搬送する。
【0034】
排出用モータ制御回路62は、駆動装置70に含まれる排出用モータ72の動作を制御する。排出用モータ72は、例えば、ステッピングモータであり、本圧着ローラ75に接続されている。本圧着ローラ75は、
図6に示すように、少なくとも一方が駆動ローラである、印刷装置1に設けられたローラ対である。本圧着ローラ75は、仮圧着状態でテープカセット100から排出された被印刷媒体M(ラベル)を構成する印刷テープM1と保護テープM2を本圧着しながら搬送し、排出口10から排出する。なお、本圧着とは、印刷テープM1に保護テープM2を仮圧着より強く圧着することをいう。なお、本実施形態においては、この本圧着がされた後においても、利用者が保護テープM2を印刷テープM1から剥がすことは可能となっている。また、本実施形態において、本圧着ローラ75を備えて、これにより本圧着を行うことは必須ではなく、本圧着ローラ75を備えず、本圧着を行わないように構成されていてもよい。
【0035】
昇降用モータ制御回路63は、駆動装置70に含まれる昇降用モータ73の動作を制御する。昇降用モータ73は、例えば、ステッピングモータであり、プラテンユニット76に接続されている。プラテンユニット76は、
図6に示すように、プラテンローラ13と、プラテンローラ13を昇降する昇降部を有している。昇降部は、回動軸87と、回動軸87から延在する昇降板88と、昇降板88に設けられた突起89を含んでいる。
【0036】
昇降用モータ73が回転することで、プラテンローラ13が昇降する。より具体的には、プラテンローラ13は、
図6の実線で示す状態(以降、第1状態と記す)と
図6の破線で示す状態(以降、第2状態と記す)との間を移動する。
【0037】
第1状態は、後述する印刷処理中にプラテンローラ13が取るべき状態であり、プラテンローラ13は、サーマルヘッド12に印刷テープM1とインクリボンRを押し付けている。また、この状態、つまり、プラテンローラ13をサーマルヘッド12に近づけたときには、昇降部は、突起89により仮圧着部105を押圧し、昇降部から加わった押圧力により、仮圧着部105がサーマルヘッド12で印刷された印刷テープM1と保護テープローラ110から繰り出された保護テープM2とを互いに仮圧着する。仮圧着動作について更に詳細に説明する。
【0038】
仮圧着部105は、
図7に示すように、仮圧着ローラ112と収容体120と板状部材122を含んでいる。仮圧着ローラ112は、印刷テープM1と保護テープM2を介して、板状部材122と対向する位置に設けられ、保護テープM2を搬送する。収容体120は、被印刷媒体Mの搬送路上に設けられていて、透明な部材により形成された板状部材122を収容する。なお、板状部材122は、透過性を有する部材により形成されていればよい。ここで、透過性とは、光透過性のことをいう。部材が光を透過させる特性を有することでその部材を透かして目的物を見ることができる。また、収容体120は、収容体120に収容されている板状部材122を、テープカセット100の外部から覗くことを可能とする開口部121を有している。この開口部121により、収容体120には、搬送路上を搬送される被印刷媒体M(印刷テープM1)の被印刷面と交差する方向(以降、単に交差方向と記す。)に収容体120を貫通する貫通穴が形成されている。板状部材122は、収容体120内において、仮圧着ローラ112と対向する位置に、交差方向に移動自在に設けられた押圧部材である。より詳細には、板状部材122の厚さD1は収容体120の内部空間の高さD2よりも薄く形成されている。これにより、板状部材122は、厚さD1と高さD2の差分だけ収容体120の内部空間内で交差方向に移動することができるように、収容体120内に収容されている。
【0039】
第1状態では、
図7に示すように、昇降板88に設けられた突起89が開口部121を介して収容体120内に設けられた板状部材122を押圧する。これにより、板状部材122と仮圧着ローラ112の間を通過する被印刷媒体Mが仮圧着ローラ112側に押し付けられ、その結果、印刷テープM1と保護テープM2とが互いに仮圧着される。つまり、板状部材122は、印刷テープM1と保護テープM2とが互いに仮圧着された状態にするための押圧力が外部から加えられたときに、その押圧力を受ける位置に配置されている。より詳細には、板状部材122は、印刷テープM1と保護テープM2とが重なって配置されている位置において、印刷テープM1と保護テープM2の上部に設けられ、外部から押圧力が加えられたときにその押圧力を受けて、印刷テープM1の基材の被印刷面F11と保護テープM2のセパレータとを互いに圧着させる板状部材である。
【0040】
第2状態は、後述する印刷準備処理中にプラテンローラ13が取るべき状態であり、プラテンローラ13は、サーマルヘッド12から離間している。また、この状態では、昇降部20は、仮圧着部105を押圧しておらず、板状部材122は印刷テープM1上に自重で乗っているだけである。
【0041】
カッターモータ制御回路64は、駆動装置70に含まれるカッターモータ74の動作を制御する。カッターモータ74は、例えば、ステッピングモータであり、フルカット用カッター77及びハーフカット用カッター78に接続されている。フルカット用カッター77及びハーフカット用カッター78は、
図6に示すように、仮圧着ローラ112と本圧着ローラ75の間の搬送路上に設けられている。フルカット用カッター77、ハーフカット用カッター78は、カッターモータ74の動力で動作し、それぞれ、被印刷媒体Mをハーフカット又はフルカットする。なお、フルカットとは、被印刷媒体Mの基材をセパレータとともに幅方向に沿って切断する動作のことであり、ハーフカットは、被印刷媒体Mの基材部分を幅方向に沿って切断し、セパレータを切断しない動作のことである。
【0042】
サーマルヘッド制御回路65は、サーマルヘッド12に接続されている。サーマルヘッド12は、主走査方向(搬送方向と直交する方向)に配列された複数の発熱素子を有している。サーマルヘッド制御回路65がサーマルヘッド12の発熱素子の発熱を制御することで、印刷テープM1の被印刷面に一印刷ラインずつ印刷が行われる。
【0043】
センサ入力回路66は、テープ先端検出センサ79、テープ幅検出センサ80、蓋開閉センサ15、温度センサ81に接続されている。センサ入力回路66には、これらのセンサによる検出結果が入力される。蓋開閉センサ15は、すでに述べたとおり、蓋3の開閉を検出するセンサである。
【0044】
テープ先端検出センサ79は、仮圧着ローラ112と本圧着ローラ75の間の搬送路上で被印刷媒体Mの先端を検出するセンサである。テープ先端検出センサ79は、例えば、被印刷媒体Mに照射した光の反射光に基づいて被印刷媒体Mの先端を検出する光学式センサであってもよい。
図6に示す例では、テープ先端検出センサ79は、透明な板状部材122を介して被印刷媒体Mに光を照射して、板状部材122を介して被印刷媒体Mの先端を検出するように構成されている。
【0045】
テープ幅検出センサ80は、カセット収容部11に設けられた、被印刷媒体Mの幅を検出するセンサである。テープ幅検出センサ80は、例えば、テープカセット100の立体的な形状に基づいて被印刷媒体Mの幅を検出してもよく、又は、テープカセット100に付された識別マーク(例えば、バーコードなど)に基づいて被印刷媒体Mの幅を検出してもよい。
温度センサ81は、サーマルヘッド12の温度を測定するセンサである。温度センサ81は、例えば、サーマルヘッド12に埋め込まれたサーミスタである。
【0046】
図8は、印刷装置1が行うラベル作成処理のフローチャートである。
図9は、印刷装置1が行う印刷準備処理のフローチャートである。
図10は、印刷装置1が行う印刷処理のフローチャートである。
図11は、印刷装置1が行う排出処理のフローチャートである。以下、
図8から
図11を参照しながら、印刷装置1が行うラベル作成処理について具体的に説明する。
【0047】
印刷装置1は、ボタン8が押下されて電源が投入されると、
図8に示すラベル作成処理を開始し、まず、印刷準備処理を行う(ステップS10)。
【0048】
印刷準備処理が開始されると、
図9に示すように、印刷装置1は、プラテンユニット76を持ち上げて(ステップS11)、プラテンローラ13を第2状態にする。この状態では、昇降部20は仮圧着部105を押圧していない。
【0049】
次に、印刷装置1は、搬送用モータ71を用いて被印刷媒体Mの逆方向への搬送を開始する(ステップS12)。ここでは、搬送用モータ制御回路61が搬送用モータ71を制御することで、搬送用モータ71の回転力がクラッチ82を介して印刷テープローラ軸85及び保護テープローラ軸86に伝達され、印刷テープローラ106及び保護テープローラ110が逆回転を開始する。これにより、被印刷媒体Mの逆搬送が開始され、印刷テープM1に仮圧着されていた保護テープM2が剥離され、印刷テープM1は印刷テープローラ106に巻き取られ、保護テープM2は保護テープローラ110に巻き取られる。
【0050】
この逆搬送は、被印刷媒体Mの先端に生じる無駄な余白を極力少なくするために行われる。ラベル作成処理終了時には、被印刷媒体Mの先端はフルカット用カッター77の位置にあるため、逆搬送することなしに再びラベル作成を開始すると、フルカット用カッター77とサーマルヘッド12の間の距離分だけ、被印刷媒体Mの先端に無駄な余白が生じてしまう。印刷装置1では、フルカット用カッター77よりも搬送方向の上流では被印刷媒体Mは仮圧着状態にあるため、印刷テープM1と保護テープM2を剥離しながら被印刷媒体Mを逆搬送することが可能である。従って、印刷処理を開始する前に被印刷媒体Mを逆搬送することで、被印刷媒体Mの先端に生じる余白を少なくすることができる。
【0051】
逆搬送開始後、印刷装置1は、被印刷媒体Mの先端が検出されたか否かを判定する(ステップS13)。ここでは、印刷装置1は、テープ先端検出センサ79からの出力に基づいて、判定処理を繰り返し、被印刷媒体Mの先端を検出する。
【0052】
被印刷媒体Mの先端が検出されると、印刷装置1は、被印刷媒体Mの逆搬送を所定距離だけ継続し(ステップS14)、その後、搬送用モータ71を停止する(ステップS15)。逆搬送が所定距離だけ行われたか否かは、搬送用モータ71がステッピングモータであればステップ数をカウントすることで判断してもよい。また、タイマーで計時した時間で判断してもよい。これにより、被印刷媒体Mの先端が所定位置まで移動し、その結果、被印刷媒体Mの先端に生じる無駄な余白が少なくなる。
【0053】
搬送用モータ71の停止後、印刷装置1は、プラテンユニット76を降下させてプラテンローラ13を第1状態にし(ステップS16)、印刷準備処理を終了する。この状態では、昇降部20は仮圧着部105を押圧している。
【0054】
印刷準備処理の終了後、印刷データがPC200から入力されると、印刷装置1は、印刷処理を行う(ステップS20)。
【0055】
印刷処理が開始されると、
図10に示すように、印刷装置1は、搬送用モータ71を用いて被印刷媒体Mの順方向への搬送を開始する(ステップS21)。ここでは、搬送用モータ制御回路61が搬送用モータ71を制御することで、搬送用モータ71の回転力がクラッチ82を介してプラテンローラ13、インクリボン巻取りローラ軸83、仮圧着ローラ軸84に伝達され、プラテンローラ13、インクリボン巻取りローラ109、仮圧着ローラ112が順回転を開始する。これにより、被印刷媒体Mの順方向への搬送が開始され、仮圧着部105を通過する際に、印刷テープM1と保護テープM2とが互いに仮圧着される。
【0056】
順方向への搬送を開始すると、印刷装置1は、ヘッド温度を取得し(ステップS22)、ヘッド温度に応じた通電時間を取得し(ステップS23)、一印刷ライン分の印刷を行う(ステップS24)。ここでは、印刷装置1は、温度センサ81で測定したサーマルヘッド12の温度を取得し、ROM52に格納されている通電テーブルを参照してサーマルヘッド12の温度に応じた通電時間を取得する。その後、印刷装置1は、RAM53から一ライン分の印刷データ(以降、印刷ラインデータと記す。)を読み出し、ステップS23で取得した通電時間に応じた制御信号と印刷ラインデータとを、サーマルヘッド制御回路65を介してサーマルヘッド12へ出力する。これにより、サーマルヘッド12の発熱素子が発熱し、一印刷ライン分の印刷が印刷テープM1の被印刷面に行われる。
【0057】
その後、印刷装置1は、最終ラインまで印刷が終了したか否かを判定し(ステップS25)、最終ラインまで印刷が終了していない場合には、最終ラインの印刷が終了するまで、ステップS22からステップS25の処理を繰り返す。そして、最終ラインの印刷が終了すると、印刷装置1は、被印刷媒体Mが切断位置まで搬送された後に、搬送用モータ71を停止し(ステップS26)、印刷処理を終了する。
【0058】
印刷処理が終了すると、印刷装置1は、切断処理を行う(ステップS30)。ここでは、印刷装置1は、カッターモータ74を駆動してフルカット用カッター77で被印刷媒体Mを切断し、ラベルを作成する。なお、ラベルとは被印刷媒体Mを切断したものである。
【0059】
切断処理が終了すると、印刷装置1は、排出処理を行う(ステップS40)。排出処理が開始されると、印刷装置1は、
図11に示すように、まず、プラテンユニット76を持ち上げて(ステップS41)、プラテンローラ13を第2状態にする。
【0060】
次に、印刷装置1は、排出用モータ72を用いて被印刷媒体M(ラベル)を本圧着ローラ75で本圧着しながら排出する(ステップS42)。ここでは、排出用モータ制御回路62が排出用モータ72を制御することで、本圧着ローラ75が回転する。これにより、被印刷媒体M(ラベル)が本圧着ローラ75で本圧着されて、その後、排出口10から排出される。
【0061】
最後に、印刷装置1は、排出用モータ72を停止して(ステップS43)、排出処理及びラベル作成処理を終了する。
【0062】
以上のように、印刷装置1では、被印刷媒体Mは仮圧着状態でテープカセット100から排出され、フルカット用カッター77により切断されてから本圧着ローラ75により本圧着される。つまり、フルカット用カッター77よりも搬送方向の上流では、被印刷媒体Mは容易に剥離可能な仮圧着状態にある。従って、印刷開始前に、印刷テープM1と保護テープM2とが互いに仮圧着された被印刷媒体Mを逆搬送することが可能であり、被印刷媒体Mの先端に生じる無駄な余白を少なくすることができる。
【0063】
図12は、印刷テープM1の構成を示す図である。
図13は、保護テープM2の構成を示す図である。
図12及び
図13を参照しながら、テープカセット100に含まれるテープの構成について詳細に説明する。
【0064】
印刷テープM1は、印刷テープローラ106に巻きつけられた第1媒体であり、
図12に示すように、被印刷面F11を有する第1基材である基材B1と、基材B1剥離可能に貼り付けられた第1セパレータであるセパレータSP1と、を含んでいる。なお、印刷テープM1は、セパレータSP1が内側を向くように、印刷テープローラ106にロール状に巻かれている。
【0065】
基材B1は、セパレータSP1よりも柔らかい部材により形成されており、セパレータSP1は基材B1より硬い部材により形成されている。さらに、基材B1は伸縮性を有する部材により形成されていることが望ましい。基材B1は、例えば、ウレタン樹脂により形成されたテープであり、厚さは5〜50μm程度である。セパレータSP1は、例えば、PET樹脂又は紙(クラフト紙、グラシン紙、上質紙等)により形成されたテープである。ここで、部材の硬さや伸び難さを示す値として、例えば、応力と歪みの比であるヤング率を用いることができる。セパレータSP1は、PET樹脂により形成されている場合、ヤング率は1GPa以上で、例えば2〜5GPa程度であり、紙で形成されている場合、ヤング率は1GPa以上で、例えば1〜2GPa程度であり、いずれにおいても比較的硬くて伸び難く、印刷装置1により搬送したり大きく撓むことなく持ち運んだりするのに必要十分な硬さ及び伸び難さを有している。これに対し、ウレタン樹脂により形成されたテープである基材B1は、ヤング率が1GPa未満で、例えば50〜700MPa程度であり、セパレータSP1に比べて柔らかくて伸び易い。また、ウレタン樹脂により形成されている基材B1の最大伸び率は100%以上であって、例えば100〜1000%程度である。一方、PET樹脂により形成されているセパレータSP1は殆ど伸びることはなく、最大伸び率は100%未満であって、実質的にはほぼ0%である。これにより、基材B1は、後述するように、人間の肌や布地等の凹凸を有する貼付面に密着するように貼り付けることができ、且つ、人間の肌や布地等が動いてその形状が変化しても、それに追従することにより、貼付面から剥がれ難い特性を有している。しかし、基材B1単体では撓んだり皺がよったりし易く、これを単独で印刷装置1により搬送することや単独で大きく撓まない状態で持ち運ぶことは困難である。しかしながら、基材B1にセパレータSP1が貼り付けられている状態では、セパレータSP1が上記のように必要十分な硬さを有しているため、印刷装置1で搬送することが可能となり、大きく撓むことなく持ち運ぶことも可能となる。基材B1及びセパレータSP1は、透明な部材であっても不透明な部材であってもよい。また、着色されていても着色されていなくてもよい。さらに、模様等がプレプリントされていてもされていなくてもよい。特に、被印刷面F11にプレプリントがなされた基材B1を用いることで、作成されるラベルの表現力を更に高めることができる。
【0066】
基材B1には、被印刷面F11とは反対側の面であり、且つ、セパレータSP1と接する側に第1粘着剤が塗布されて第1粘着層B1aが形成されおり、第1粘着層B1aはセパレータSP1と接する側に第1粘着面である粘着面F12を有している。一方、セパレータSP1は、粘着面F12と接している面F13と、面F13とは反対側の面である面F14を有している。
【0067】
保護テープM2は、保護テープローラ110に巻きつけられた第2媒体であり、
図13に示すように、透明な第2セパレータであるセパレータSP2を含んでいる。セパレータSP2は、基材B1よりも硬い部材により形成されている。セパレータSP2は、例えば、透明なPET樹脂により形成されたテープである。なお、セパレータSP2は無色透明でなくともよく、被印刷面F11に印刷された文字や画像をセパレータSP2を通して視認可能とする透過性を有していればよい。
【0068】
保護テープM2は、セパレータSP2における、仮圧着部105で基材B1と接する側に第2粘着剤が塗布されて第2粘着層SP2aが塗布されて形成されている。第2粘着層SP2aは第2粘着面である粘着面F22を有し、保護テープM2は粘着面F22とは反対の側の面である面F21を有している。なお、保護テープM2は、セパレータSP2の粘着面F22が内側を向くように、保護テープローラ110にロール状に巻かれている。
【0069】
基材B1に形成されている第1粘着剤による第1粘着層B1aが有する粘着力は、セパレータSP2に形成されている第2粘着剤による第2粘着層SP2aが有する粘着力よりも弱いことが望ましい。特に、第1粘着層B1aを形成する第1粘着剤は、人間の肌用、又は、布地用の粘着剤であることが望ましい。以降では、第1粘着層B1aを形成する第1粘着剤が、人間の肌用、又は、布地用の粘着剤である場合を例にして説明する。なお、印刷装置1が作成したラベルは、人間の肌や布地に限らず、凹凸を有する貼付面を有する物体を対象物として、その凹凸を有する貼付面に密着して貼り付けることができる。特に、人間の肌や布地はその形状や凹凸が一定でなく適宜変形するが、印刷装置1が作成したラベルは例えばウレタン樹脂により形成されたテープであるため、比較的柔らかくて伸び易く、この変形に追従して変形可能である。そのため、このラベルを人間の肌や布地に貼り付けた場合に、肌や布地が動いて変形してもそれに追従することができて、剥がれ難いようにすることができる。
【0070】
図14は、印刷装置1が作成したラベルを布地や人の肌などに貼り付ける場合の手順を説明する図である。
図14を参照しながら、印刷装置1で作成されたラベルの貼り付け手順について詳細に説明する。
【0071】
印刷装置1では、印刷テープM1の被印刷面F11にサーマルヘッド12で印刷が行われる。その後、被印刷面F11と粘着面F22が向かい合って印刷テープM1と保護テープM2が重なった状態で仮圧着部105を通過することで、仮圧着部105が印刷テープM1の基材B1に保護テープM2のセパレータSP2を仮圧着する。さらに、仮圧着された被印刷媒体Mをフルカット用カッター77が切断してラベルとしての被印刷媒体Mを作成する。その後、本圧着ローラ75が被印刷媒体M(ラベル)を構成する印刷テープM1の基材B1に保護テープM2のセパレータSP2を本圧着して、
図14(a)に示すラベルL1を印刷装置1から排出する。なお、
図14(a)の基材B1とセパレータSP2の間のインクPは印刷により形成されたものである。
【0072】
その後、利用者は、
図14(b)に示すように、ラベルL1から印刷テープM1のセパレータSP1を剥がして粘着面F12を露出させ、
図14(c)に示すように、布地や人間の肌(以降、布地等と記す)等の対象物OBの凹凸を有する貼付面OBa上に乗せて貼り付ける。このとき、基材B1にはセパレータSP1が貼り付けられているため、ラベルL2はほぼ平らな状態になっている。そのため、基材B1の粘着面F12は貼付面OBaの凸部に貼り付けられる状態になる。ここで、
図14(b)に示す粘着面F12が露出したラベルL2では、セパレータSP2が基材B1よりも硬い部材により形成されている。このため、基材B1が柔らかい部材により形成されている場合であっても、ラベルL2全体としては十分な硬さを有している。従って、
図14(c)に示すようにラベルL2を布地等に貼り付ける際に、ラベルL2を利用者が手で持って運んだ場合にラベルL2の形状が大きく変形することはない。このため、利用者はラベルL2を布地等の所望の位置に容易に貼り付けることができる。
【0073】
次いで、利用者は、
図14(d)に示すように、ラベルL2を布地等の貼付面OBaに密着させて貼り付けるために、セパレータSP2側からラベルL2を布地等の対象物OBに向けて押さえ付けながらセパレータSP2の表面を擦る。これにより、基材B1が貼付面OBaの凹凸形状に沿って伸び、人間の肌用、又は、布地用の第1粘着剤が塗布されている基材B1の粘着面F12が布地等に粘着し、凹凸を有する貼付面OBaに密着してしっかりと貼りつく。
【0074】
最後に、利用者が、
図14(e)に示すように、ラベルL2からセパレータSP2を剥がすことで、セパレータ(セパレータSP1、セパレータSP2)よりも柔らかい部材(基材B1)により形成されたラベルL3が完成する。
【0075】
印刷装置1で作成したラベル(ラベルL1、ラベルL2、ラベルL3をまとめてラベルLと記す。)は、
図14(c)から
図14(e)に示すように、第1粘着剤の粘着力により布地等に貼りつけられる。このため、利用者は、アイロン等を使用することなく、容易に布地等にラベルLを貼り付けることができる。
【0076】
また、最終的なラベルL3は、
図14(e)に示すように、比較的柔らかい部材である基材B1により形成され、比較的硬い部材であるセパレータSP1とセパレータSP2を含まない。これにより、布地等の変形に合わせてラベルL3の形状も変化するようにすることができる。このため、ラベルL3と布地等の間に隙間が生じにくいため、布地等に貼り付けても剥がれにくいラベルL3を提供することができる。特に、基材B1に伸縮性を有する部材を用いることで、さらに剥がれにくいラベルL3を提供することができる。
【0077】
さらに、ラベルL2は、基材B1に比べて硬い部材により形成されたセパレータSP2を含んでいる。これにより、ラベルL2を布地等に貼り付ける際にセパレータSP2がラベルL2の形状を維持するように働く。従って、基材B1が比較的柔らかい部材により形成された場合であっても、ラベルL2の形状が安定せずに貼りづらいということがなく、ラベルL2を容易に布地等の所望の位置に貼り付けることができる。
【0078】
さらに、ラベルL2では、保護テープM2(セパレータSP2)が透過性を有する部材で構成されている。これにより、利用者は、ラベルL2を布地等に貼り付ける際に、セパレータSP2を透かして、基材B1の被印刷面F11に形成された印刷パターン(インクP)を見ることができる。このため、ラベルL2の貼り付け時の位置調整を容易に行うことができる。
【0079】
従って、印刷テープM1と保護テープM2を収容したテープカセット100によれば、印刷装置1による布地等に容易に貼り付け可能なラベルの作成を支援することができる。
【0080】
一般に、テープカセットは、
図4に示すテープカセット100のように、印刷テープM1用の収容空間が保護テープM2用の収容空間よりも大きく設計されている。このため、保護テープM2の長さによって印刷に使用することができる印刷テープM1の実質的な長さが制限されてしまうことがある。しかしながら、テープカセット100では、セパレータSP2をなす1層構造の保護テープM2の厚さは、基材B1とセパレータSP1により形成されている2層構造の印刷テープM1の厚さに比べて薄くなる。このため、小さなスペースにより長い保護テープM2を収容することが可能である。
【0081】
従って、テープカセット100によれば、印刷に使用することができる印刷テープM1の実質的な長さを長くとることができる。
【0082】
また、テープカセット100は、仮圧着部105を有し、印刷テープM1と保護テープM2により形成されている被印刷媒体Mを両者が仮圧着された状態で排出する。これにより、逆搬送により印刷テープM1と保護テープM2を剥離して巻き取ることができるため、被印刷媒体Mの先端の余白を少なくすることができる。
【0083】
従って、テープカセット100によれば、ラベル作成後に利用者が無駄な余白を切り落とす作業の手間を省くことができる。また、無駄のない資源の利用が可能となる。特に、仮圧着部105が、仮圧着ローラ112と、仮圧着ローラ112と対向する位置に被印刷面F11と交差する方向に移動自在に設けられた板状部材122と、を含むことで、非常に簡単な構成で印刷テープM1と保護テープM2とを互いに仮圧着することが可能なため、上述した効果を容易に実現することができる。
【0084】
さらに、テープカセット100を収容した印刷装置1によれば、印刷データに応じて被印刷面に任意の文字や図形等を印刷することができる。このため、例えば名前など利用者によって異なる情報が印刷されたラベルを必要に応じて自由に作成し、衣類等に貼り付けることができる。
【0085】
また、テープカセット100が交換自在に収容されているため、印刷装置1は、テープカセット100を異なる幅や色を有するテープを収容したテープカセットに交換することで、様々な幅や色のラベルを作成することができる。
【0086】
上述した実施形態は、発明の理解を容易にするために具体例を示したものであり、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。テープカセット、及び、印刷装置は、特許請求の範囲の記載を逸脱しない範囲において、さまざまな変形、変更が可能である。
【0087】
印刷テープM1の基材B1は、例えばウレタン樹脂により形成されていて、比較的柔らかいものであるとしたが、その硬さは基材B1の厚さ方向で均等でなくともよい。被印刷面F11には印刷が行われるため、この印刷が良好に行われるようにするために被印刷面F11はある程度の硬さを有していることが好ましい。一方、基材B1の第1粘着剤が塗布されている側の面は第1粘着層B1aを介して対象物OBの凹凸を有する貼付面OBaに沿って伸縮して貼り付けられるために、比較的柔らかいことが好ましい。そこで、被印刷面F11側と第1粘着剤が塗布されている側とで硬さが異なり、被印刷面F11側の硬さが、第1粘着剤が塗布されている側の硬さより高くなっていてもよい。
テープカセット100が仮圧着部105を有する例を示したが、テープカセット100は、印刷テープM1の基材B1と保護テープM2のセパレータSP2とを互いに圧着する圧着部を有していればよく、その圧着は仮圧着であっても本圧着であってもよい。
【0088】
以下、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[付記1]
印刷が行われる被印刷面を有し、前記被印刷面と反対側に第1粘着剤が塗布されている第1基材と、前記第1粘着剤を介して前記第1基材に剥離可能に貼り付けられている第1セパレータと、を有する第1媒体と、
第2セパレータを有する第2媒体と、
を収納し、
前記被印刷面の面方向と交差する方向に移動自在に設けられている押圧部材を有し、
前記押圧部材は、前記第1媒体と前記第2媒体とが互いに圧着された状態にするための押圧力が外部から加えられたときに、前記押圧力を受ける位置に配置されている、
ことを特徴とするテープカセット。
【0089】
[付記2]
付記1に記載のテープカセットにおいて、
前記第2セパレータは、前記被印刷面に行われた前記印刷を、前記第2セパレータを通して視認可能とする透過性を有し、
前記圧着により、前記第1媒体における前記第1基材の前記被印刷面に前記第2媒体の前記第2セパレータが圧着される、
ことを特徴とするテープカセット。
【0090】
[付記3]
付記1又は付記2に記載のテープカセットにおいて、
前記第1基材は、厚さ方向に沿って硬さが異なり、前記被印刷面側の硬さが、前記被印刷面と反対側の硬さより高い、
ことを特徴とするテープカセット。
【0091】
[付記4]
付記1乃至付記3のいずれか一つに記載のテープカセットにおいて、
前記第1セパレータは、前記第1基材より硬い部材により形成されている、
ことを特徴とするテープカセット。
【0092】
[付記5]
付記1乃至付記4のいずれか一つに記載のテープカセットにおいて、
前記押圧部材は、前記第1媒体と前記第2媒体とが重なって配置されている位置において、前記第1媒体及び前記第2媒体の上部に設けられ、外部から前記押圧力が加えられたときに前記押圧力を受けて移動して、前記第1基材の前記被印刷面と前記第2セパレータとを互いに圧着させる板状部材である、
ことを特徴とするテープカセット。
【0093】
[付記6]
付記5に記載のテープカセットは、
前記第1媒体及び前記第2媒体を介して、前記板状部材と対向する位置に設けられ、前記第2媒体を搬送する圧着ローラを有する、
ことを特徴とするテープカセット。
【0094】
[付記7]
付記1乃至付記6のいずれか一つに記載のテープカセットにおいて、
前記第1基材は、対象物における凹凸を有する貼付面の凸部に前記第1粘着剤を介して貼り付けられた後、前記貼付面側に押す押圧力が加えられた場合に、前記凹凸に沿って伸びて、前記貼付面に密着するように貼り付けられる伸縮性を有する部材により形成されている、
ことを特徴とするテープカセット。
【0095】
[付記8]
付記1乃至付記7のいずれか一つに記載のテープカセットにおいて、
前記第1基材は、ウレタン樹脂により形成されたテープであり、
前記第1セパレータは、PET樹脂又は紙により形成されたテープであり、
前記第2セパレータは、透過性を有するPET樹脂により形成されたテープである、
ことを特徴とするテープカセット。
【0096】
[付記9]
付記1乃至付記8のいずれか1つに記載のテープカセットにおいて、
前記第2セパレータの前記第1基材と接する側に第2粘着剤が塗布されており、
前記第1粘着剤が有する粘着力は、前記第2粘着剤が有する粘着力よりも弱い
ことを特徴とするテープカセット。
【0097】
[付記10]
印刷が行われる被印刷面を有し、前記被印刷面と反対側に第1粘着剤が塗布されている第1基材と、前記第1粘着剤を介して前記基材に剥離可能に貼り付けられた第1セパレータと、を有する第1媒体と、第2セパレータを有する第2媒体と、を収納し、前記被印刷面の面方向と交差する方向に移動自在に設けられている押圧部材を有し、前記押圧部材は、前記第1媒体と前記第2媒体とを互いに圧着させるための押圧力が外部から加えられたときに、前記押圧力を受ける位置に配置されているテープカセットを収容するカセット収容部と、
前記テープカセットから排出される前記第1媒体を搬送可能な搬送ローラと、
前記第1媒体における前記第1基材の前記被印刷面に前記印刷を行う印刷ヘッドと、
前記搬送ローラを昇降し、前記搬送ローラを前記印刷ヘッドへ近づけたときに前記搬送ローラにより前記第1媒体を搬送させるとともに前記押圧力を加え、前記第1基材の前記被印刷面に前記第2基材を圧着させる昇降部と、を備える、
ことを特徴とする印刷装置。