特許第6772989号(P6772989)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6772989
(24)【登録日】2020年10月5日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】試料ホルダ
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/01 20060101AFI20201012BHJP
   G01N 23/223 20060101ALI20201012BHJP
   G01N 23/2204 20180101ALI20201012BHJP
   G01N 21/3563 20140101ALI20201012BHJP
【FI】
   G01N21/01 B
   G01N23/223
   G01N23/2204
   G01N21/3563
【請求項の数】8
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-160497(P2017-160497)
(22)【出願日】2017年8月23日
(65)【公開番号】特開2019-39724(P2019-39724A)
(43)【公開日】2019年3月14日
【審査請求日】2019年12月5日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 1.発行日 平成29年3月 刊行物名 異物測定保持・保管容器「EDXIR−Holder」カタログ 発行所 株式会社島津製作所 2.掲載日 平成29年4月5日 ホームページのアドレス http://www.shimadzu.co.jp/news/index.html http://www.shimadzu.co.jp/news/press/n00kbc000000b2bm.html http://www.an.shimadzu.co.jp/surface/xrf/edxir_holder/index.htm 3.掲載日 平成29年4月5日 掲載場所 日本経済新聞電子版
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100141852
【弁理士】
【氏名又は名称】吉本 力
(74)【代理人】
【識別番号】100152571
【弁理士】
【氏名又は名称】新宅 将人
(72)【発明者】
【氏名】古川 博朗
【審査官】 大河原 綾乃
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−176817(JP,A)
【文献】 特開2001−13095(JP,A)
【文献】 特開2000−258340(JP,A)
【文献】 特開2011−203102(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3183194(JP,U)
【文献】 特開2008−268059(JP,A)
【文献】 特開2003−270208(JP,A)
【文献】 特開2005−189121(JP,A)
【文献】 特開平10−19812(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0061597(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0182599(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00 − 21/01
G01N 21/17 − 21/61
G01N 23/00 − 23/2276
G01N 1/00 − 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛍光X線分析装置及びフーリエ変換赤外分光光度計に共用することができ、分析対象となる試料を保持するための試料ホルダであって、
ホルダ本体と、
前記ホルダ本体に取り付けられた1対のフィルムとを備え、
前記蛍光X線分析装置を用いて試料を分析する際には、前記1対のフィルムの間に試料が挟み込まれた状態で、一方のフィルムを介して試料にX線が照射され、
前記フーリエ変換赤外分光光度計を用いて試料を分析する際には、前記1対のフィルムにより試料が挟み込まれていない状態で、前記1対のフィルムを介さずに試料に赤外線が照射されることを特徴とする試料ホルダ。
【請求項2】
前記1対のフィルムのうち他方のフィルムには、前記1対のフィルムの間に試料が挟み込まれた状態で前記一方のフィルムに対向する面に、粘着層が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の試料ホルダ。
【請求項3】
前記ホルダ本体は、それぞれ板状に形成された1対の本体板を有し、
前記1対のフィルムのうち前記一方のフィルムは、前記1対の本体板の一方に取り付けられ、他方のフィルムは、前記1対の本体板の他方に取り付けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の試料ホルダ。
【請求項4】
前記ホルダ本体は、前記1対の本体板が互いに対向するように折り畳まれることにより、前記1対のフィルムの間に試料が挟み込まれることを特徴とする請求項3に記載の試料ホルダ。
【請求項5】
前記1対の本体板には、前記1対のフィルムが取り付けられる開口部がそれぞれ形成されており、
前記1対のフィルムは、それぞれ透明であることを特徴とする請求項3又は4に記載の試料ホルダ。
【請求項6】
前記一方のフィルムは、前記一方の本体板に対して、前記1対のフィルムの間に試料が挟み込まれたときに外側となる面に取り付けられており、
前記他方のフィルムは、前記他方の本体板に対して、前記1対のフィルムの間に試料が挟み込まれたときに内側となる面に取り付けられている ことを特徴とする請求項3〜5のいずれか一項に記載の試料ホルダ。
【請求項7】
前記1対のフィルムは、同一の材料により形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の試料ホルダ。
【請求項8】
前記ホルダ本体には、前記蛍光X線分析装置を用いて試料を分析する際にX線が照射される側とは反対側の面、及び、前記フーリエ変換赤外分光光度計を用いて試料を分析する際に赤外線が照射される側とは反対側の面に、当該ホルダ本体の設置の向きを表す目印が設けられていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の試料ホルダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光X線分析装置及びフーリエ変換赤外分光光度計に共用することができ、分析対象となる試料を保持するための試料ホルダに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、試料に含まれる異物を分析する装置として、フーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)及び蛍光X線分析装置(EDX)が利用されている(例えば、下記特許文献1参照)。
【0003】
フーリエ変換赤外分光光度計は、試料中の有機物を分析する場合に用いられる。フーリエ変換赤外分光光度計では、試料に対して赤外光が照射され、試料からの反射光を検出器で検出する。フーリエ変換赤外分光光度計では、反射光に基づくインターフェログラム(検出信号)をフーリエ変換することでスペクトルが作成される。そして、このスペクトルに基づいて、試料中に含まれる有機物が分析される。
【0004】
蛍光X線分析装置は、試料中の無機物を分析する場合に用いられる。蛍光X線分析装置では、試料に対して励起X線が照射される。そして、励起X線により励起された試料から蛍光X線が発せられ、この蛍光X線が検出器で検出される。蛍光X線分析装置では、検出器からの検出信号に基づいて、スペクトルが作成される。そして、このスペクトルに基づいて、試料中に含まれる無機物が分析される。
【0005】
このように、試料中の有機物を分析する場合には、試料がフーリエ変換赤外分光光度計に設置され、試料中の無機物を分析する場合には、試料が蛍光X線分析装置に設置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2016−176817号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように蛍光X線分析装置及びフーリエ変換赤外分光光度計を用いて試料の分析を行う場合において、試料設置に伴うユーザの作業が煩雑化するという不具合があった。
【0008】
具体的には、蛍光X線分析装置で試料の分析を行う場合には、ユーザは、試料を専用の試料容器に入れて、その試料容器を試料設置部に設置していた。一方、フーリエ変換赤外分光光度計で試料の分析を行う場合には、ユーザは、ピンセットなどを用いて試料を試料設置部に直接設置していた。そのため、ユーザは、試料容器から試料を取出し、その試料を試料設置部に直接設置したり、試料設置部に設置した試料を試料容器に入れたりする必要があり、ユーザの作業が煩雑化するという不具合が生じる。特に、対象となる試料が小さい場合には、試料を移動させる際に紛失しないように作業を慎重に行う必要があり、ユーザの作業負担が増加するという不具合が生じる。
【0009】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、蛍光X線分析装置及びフーリエ変換赤外分光光度計を用いて試料の分析を行う際における、試料の設置に伴うユーザの作業を簡易化できる試料ホルダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)本発明に係る試料ホルダは、蛍光X線分析装置及びフーリエ変換赤外分光光度計に共用することができ、分析対象となる試料を保持するための試料ホルダである。前記試料ホルダは、ホルダ本体と、1対のフィルムとを備える。前記1対のフィルムは、前記ホルダ本体に取り付けられている。前記蛍光X線分析装置を用いて試料を分析する際には、前記1対のフィルムの間に試料が挟み込まれた状態で、一方のフィルムを介して試料にX線が照射される。前記フーリエ変換赤外分光光度計を用いて試料を分析する際には、前記1対のフィルムにより試料が挟み込まれていない状態で、前記1対のフィルムを介さずに試料に赤外線が照射される。
【0011】
このような構成によれば、蛍光X線分析装置を用いて試料を分析する際には、ユーザは、1対のフィルムの間に試料を挟み込むようにして、試料を試料ホルダに保持させ、その状態の試料ホルダを装置に設置する。また、フーリエ変換赤外分光光度計を用いて試料を分析する際には、ユーザは、1対のフィルムの間に試料を挟み込まないようにして、試料を試料ホルダに保持させ、その状態の試料ホルダを装置に設置する。
そのため、試料ホルダから試料を取り出す作業を行うことなく、試料を保持した試料ホルダごと装置に設置することで、試料の分析を行うことができる。
その結果、蛍光X線分析装置及びフーリエ変換赤外分光光度計を用いて試料の分析を行う際における、試料の設置に伴うユーザの作業を簡易化できる。
【0012】
(2)また、前記1対のフィルムのうち他方のフィルムには、前記1対のフィルムの間に試料が挟み込まれた状態で前記一方のフィルムに対向する面に、粘着層が形成されていてもよい。
【0013】
このような構成によれば、粘着層に試料を当接させることで、粘着層の粘着力により試料を保持できる。
そのため、簡易な構成で、試料を試料ホルダに保持させることができる。
【0014】
(3)また、前記ホルダ本体は、1対の本体板を有してもよい。前記1対の本体板は、それぞれ板状に形成されている。前記1対のフィルムのうち前記一方のフィルムは、前記1対の本体板の一方に取り付けられ、他方のフィルムは、前記1対の本体板の他方に取り付けられていてもよい。
【0015】
このような構成によれば、試料ホルダにおいて、各フィルムを安定した状態に保つことができる。
【0016】
(4)また、前記ホルダ本体は、前記1対の本体板が互いに対向するように折り畳まれることにより、前記1対のフィルムの間に試料を挟み込む構成であってもよい。
【0017】
このような構成によれば、1対の本体板を折り畳むという簡易な作業で、1対のフィルムの間に試料を挟み込むことができる。
【0018】
(5)また、前記1対の本体板には、前記1対のフィルムが取り付けられる開口部がそれぞれ形成されていてもよい。前記1対のフィルムは、それぞれ透明であってもよい。
【0019】
このような構成によれば、開口部を介して、試料ホルダで保持された試料を視認できる。
【0020】
そのため、試料を保持した状態の試料ホルダを装置に設置する際に、視認により試料を確認しながら試料ホルダを設置することで、分析に適した位置に試料を配置できる。
【0021】
(6)また、前記一方のフィルムは、前記一方の本体板に対して、前記1対のフィルムの間に試料が挟み込まれたときに外側となる面に取り付けられていてもよい。前記他方のフィルムは、前記他方の本体板に対して、前記1対のフィルムの間に試料が挟み込まれたときに内側となる面に取り付けられていてもよい。
【0022】
このような構成によれば、一方のフィルムは、一方の本体板に対して、1対のフィルムの間に試料が挟み込まれたときに外側となる面に取り付けられている。
そのため、蛍光X線分析装置を用いて試料を分析する際において、試料を装置側にできるだけ近づけるようにして、試料ホルダを装置に設置できる。
その結果、蛍光X線分析装置を用いた試料の分析において、蛍光X線を試料に対して正確に照射できる。
よって、蛍光X線分析装置を用いた試料の分析において、分析精度を向上できる。
【0023】
また、他方のフィルムは、他方の本体板に対して、1対のフィルムの間に試料が挟み込まれたときに内側となる面に取り付けられている。
そのため、1対のフィルムの間に試料が挟み込まれた状態において、一方のフィルムと他方のフィルムとの間の距離を短くできる。
その結果、1対のフィルムの間で試料を安定的に保持できる。
【0024】
(7)また、前記1対のフィルムは、同一の材料により形成されていてもよい。
【0025】
このような構成によれば、各装置で取得されるスペクトルにおいて、ピークの形状が複雑化することを抑制できる。
【0026】
(8)また、前記ホルダ本体には、前記蛍光X線分析装置を用いて試料を分析する際にX線が照射される側とは反対側の面、及び、前記フーリエ変換赤外分光光度計を用いて試料を分析する際に赤外線が照射される側とは反対側の面に、当該ホルダ本体の設置の向きを表す目印が設けられていてもよい。
【0027】
このような構成によれば、試料ホルダを各装置に設置する際に、試料ホルダを正しい向きで設置できる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、蛍光X線分析装置を用いて試料を分析する際には、ユーザは、1対のフィルムの間に試料を挟み込むようにして、試料を試料ホルダに保持させ、その状態の試料ホルダを装置に設置する。また、フーリエ変換赤外分光光度計を用いて試料を分析する際には、ユーザは、1対のフィルムの間に試料を挟み込まないようにして、試料を試料ホルダに保持させ、その状態の試料ホルダを装置に設置する。そのため、試料ホルダから試料を取り出す作業を行うことなく、試料を保持した試料ホルダごと装置に設置することで、試料の分析を行うことができる。その結果、蛍光X線分析装置及びフーリエ変換赤外分光光度計を用いて試料の分析を行う際における、試料の設置に伴うユーザの作業を簡易化できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の一実施形態に係る試料ホルダが設置された状態の分析システムの構成例を示した概略図である。
図2】開状態の試料ホルダを内面側から見た状態を示した平面図である。
図3】開状態の試料ホルダを外面側から見た状態を示した平面図である。
図4図2のA−A線に沿う断面図である。
図5A】試料ホルダの粘着層に試料を保持させた状態を示した断面図である。
図5B】フーリエ変換赤外分光光度計に試料ホルダを設置した状態を示した断面図である。
図5C】蛍光X線分析装置に試料ホルダを設置した状態を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
1.分析システムの構成
図1は、本発明の一実施形態に係る試料ホルダ1が設置された状態の分析システム30の構成例を示した概略図である。
【0031】
分析システム30は、試料(異物試料)に含まれる有機物及び無機物を分析するためのものであって、フーリエ変換赤外分光光度計31、蛍光X線分析装置32及び制御部33を備えている。
フーリエ変換赤外分光光度計31は、筐体311と、干渉計312と、反射鏡313と、赤外線検出器314とを備えている。
【0032】
筐体311は、ボックス状に形成されている。筐体311内には、干渉計312、反射鏡313及び赤外線検出器314が配置されている。筐体311の上面は、試料(試料ホルダ1)を設置するための設置部として機能する。筐体311の上面には、開口311aが形成されている。
干渉計312は、干渉光を発生させるためのものであって、光源315と、ハーフミラー316と、移動鏡317と、固定鏡318とを備えている。
光源315は、測定光としての赤外光(赤外線)を出射する。
【0033】
ハーフミラー316は、光源315と間隔を隔てて配置されている。ハーフミラー316は、入射する光の一部を反射しつつ、入射する光の残りを透過することが可能な鏡である。
【0034】
移動鏡317は、ハーフミラー316と間隔を隔てて配置されている。移動鏡317は、ハーフミラー316との対向方向に沿って移動可能に構成されている。移動鏡317は、モータなどの駆動源から駆動力が付与されることにより、ハーフミラー316との対向方向に沿って移動する。
固定鏡318は、ハーフミラー316を挟んで、光源315と反対側に配置されている。
反射鏡313は、筐体311の開口311aと間隔を隔てて配置されている。
【0035】
赤外線検出器314は、筐体311の開口311a、及び、反射鏡313と間隔を隔てて配置されている。赤外線検出器314は、例えば、MCT(HgCdTe)検出器などからなる。赤外線検出器314は、入射する赤外光を検出し、検出した赤外光に応じて検出信号を得るように構成されている。具体的には、赤外線検出器314は、赤外光に応じたインターフェログラムを得るように構成されている。
【0036】
フーリエ変換赤外分光光度計31を用いる場合には、まず、ユーザによって、試料を保持した状態の試料ホルダ1が筐体311の上面に設置される。具体的には、試料ホルダ1は、開口311aを覆うようにして、筐体311の上面に設置される。この状態で、光源315から赤外光が出射される。光源315からの赤外光は、ハーフミラー316に入射する。
【0037】
ハーフミラー316に入射した赤外光は、一部がハーフミラー316を透過して固定鏡318に入射し、残りがハーフミラー316で反射されて移動鏡317に入射する。このとき、移動鏡317は、駆動力が付与されることによりハーフミラー316との対向方向に沿って移動する。
【0038】
固定鏡318で反射された赤外光は、ハーフミラー316で反射されて反射鏡313に向かう。また、移動鏡317で反射された赤外光は、ハーフミラー316を透過して反射鏡313に向かう。これにより、固定鏡318で反射された赤外光、及び、移動鏡317で反射された赤外光は、合成されて赤外干渉光となって反射鏡313に向かう。そして合成された赤外光は、反射鏡313で反射されて、開口311aを通過して試料ホルダ1(試料ホルダ1で保持された試料)を照射する。そして、試料ホルダ1(試料ホルダ1で保持された試料)からの反射光が赤外線検出器314に入射する。
【0039】
赤外線検出器314は、入射した赤外光に応じたインターフェログラムを、検出信号として出力する。制御部33は、検出器12から出力されたインターフェログラムをフーリエ変換することにより、スペクトルの強度分布データを得る。
【0040】
一方、蛍光X線分析装置32は、筐体321と、光源322と、蛍光X線検出器323とを備えている。
筐体321は、ボックス状に形成されている。筐体321内には、光源322及び蛍光X線検出器323が配置されている。筐体321の上面は、試料(試料ホルダ1)を設置するための設置部として機能する。筐体321の上面には、開口321aが形成されている。
光源322は、筐体321の開口321aと間隔を隔てて配置されている。光源322は、測定光としての励起X線を出射する。
蛍光X線検出器323は、入射するX線(蛍光X線)を検出し、検出した光に応じて検出信号を得るように構成されている。
【0041】
蛍光X線分析装置32を用いる場合には、まず、ユーザによって、試料を保持した状態の試料ホルダ1が筐体321の上面に設置される。具体的には、試料ホルダ1は、開口321aを覆うようにして、筐体321の上面に設置される。この状態で、光源322から励起X線が出射される。励起X線が試料ホルダ1(試料ホルダ1で保持された試料)に照射されると、励起X線により励起された試料から蛍光X線が放射される。そして、試料からの蛍光X線が、蛍光X線検出器323で検出される。
制御部33は、蛍光X線検出器323からの検出信号に基づいて、スペクトルの強度分布データを得る。
【0042】
制御部33は、上記のようにして得たスペクトルのデータに基づいて、試料に含まれる有機物及び無機物を分析する。具体的には、制御部33は、赤外線検出器314の検出信号から得られるスペクトルのデータに基づいて、試料に含まれる有機物を分析する。また、制御部33は、蛍光X線検出器323の検出信号から得られるスペクトルのデータに基づいて、試料に含まれる無機物を分析する。
【0043】
このようにして分析システム30において試料の分析を行う際には、試料をフーリエ変換赤外分光光度計31及び蛍光X線分析装置32のそれぞれに設置する必要がある。この場合に、ユーザの作業が煩雑化しないように、試料ホルダ1は、以下のように構成されている。
【0044】
2.試料ホルダの構成
図2は、開状態の試料ホルダ1を内面側から見た状態を示した平面図である。図3は、開状態の試料ホルダ1を外面側から見た状態を示した平面図である。図4は、図2のA−A線に沿う断面図である。
【0045】
試料ホルダ1は、分析対象となる試料を保持するための部材であって、折り畳み可能な部材である。試料ホルダ1は、ホルダ本体4と、第1フィルム5と、第2フィルム6と、第3フィルム7とを備えている。なお、図2図4では、開いた状態(開状態)の試料ホルダ1が示されている。
【0046】
ホルダ本体4は、折り畳み可能な平板状に形成されている。ホルダ本体4は、例えば、プラスチックなどの樹脂材料や紙からなる。ホルダ本体4は、第1本体板41と、第2本体板42と、折り曲げ部43とを備えている。なお、ホルダ本体4を折り畳んだ際に内側になる面を、ホルダ本体4の内面(第1本体板41、第2本体板42及び折り曲げ部43の内面)とし、ホルダ本体4を折り畳んだ際に外側になる面を、ホルダ本体4の外面(第1本体板41、第2本体板42及び折り曲げ部43の外面)とする。
【0047】
第1本体板41は、平面視矩形状の平板状に形成されている。第1本体板41には、複数の凸部411が設けられている。第1本体板41には、第1開口部412が形成されている。第1本体板41が、一方の本体板の一例である。
【0048】
複数の凸部411は、第1本体板41の内面の周縁部に設けられている。複数の凸部411は、互いに間隔を隔てて配置されている。複数の凸部411のそれぞれは、平面視円形状であって、第1本体板41の内面から内面と直交する方向(直交方向)に向かって突出している。
第1開口部412は、平面視矩形状に形成されており、第1本体板41の中央部を直交方向に貫通している。
【0049】
第2本体板42は、第1本体板41と間隔を隔てて位置している。第2本体板42は、平面視矩形状の平板状に形成されている。第2本体板42の外形は、第1本体板41の外形よりもわずかに大きい。第2本体板42には、複数の係合部421、突出壁422、及び、目印423が設けられている。第2本体板42には、第2開口部424が形成されている。第2本体板42が、他方の本体板の一例である。第1本体板41及び第2本体板42が、1対の本体板を構成している。
【0050】
複数の係合部421は、第2本体板42の内面の周縁部に設けられている。複数の係合部421は、互いに間隔を隔てて配置されている。複数の係合部421のそれぞれは、平面視円環状であって、第2本体板42の内面から直交方向に向かって突出している。第2本体板42の内面における各係合部421の配置位置は、第1本体板41の内面における各凸部411の配置位置に対応している。
突出壁422は、第2本体板42の内面側の外縁から直交方向に向かって突出している。
【0051】
図3及び図4に示すように、目印423は、第1本体板41の外面の周縁部に設けられている。目印423は、平面視円形状に形成されている。目印423は、後述するように、フーリエ変換赤外分光光度計31を用いて試料を分析する際にX線が照射される側とは反対側の面に設けられている。また、目印423は、蛍光X線分析装置32を用いて試料を分析する際に赤外光(赤外線)が照射される側とは反対側の面に設けられている。
【0052】
第2開口部424は、平面視矩形状に形成されており、第2本体板42の中央部を直交方向に貫通している。第2本体板42の第2開口部424、及び、第1本体板41の第1開口部412が、開口部の一例である。
【0053】
折り曲げ部43は、第1本体板41と第2本体板42との間に位置している。折り曲げ部43は、幅の狭い矩形状に形成されており、可撓性を有している。折り曲げ部43の一端部は、第1本体板41と連続しており、折り曲げ部43の他端部は、第2本体板42と連続している。
【0054】
第1フィルム5は、平面視矩形状のシート状に形成されており、第1本体板41に取り付けられている。具体的には、第1フィルム5は、第1開口部412を覆うようにして、第1本体板41の外面に貼り付けられている。すなわち、第1開口部412は、第1フィルム5によって、塞がれている。第1フィルム5は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン又はポリカーボネートなどの樹脂材料からなり、透明である。第1フィルム5の厚みは、例えば、5μmである。第1フィルム5が、一方のフィルムの一例である。
【0055】
第2フィルム6は、平面視矩形状のシート状に形成されており、第2本体板42に取り付けられている。具体的には、第2フィルム6は、第2開口部424を覆うようにして、第2本体板42の内面に貼り付けられている。すなわち、第2開口部424は、第2フィルム6によって、塞がれている。第2フィルム6は、積層構造として、基材層61と、粘着層62とを備えている。すなわち、第2フィルム6は、2層構造である。第2フィルム6が他方のフィルムの一例である。また、第1フィルム5及び第2フィルム6が、1対のフィルムを構成している。
【0056】
基材層61は、第2本体板42に密着している(貼り付けられている)。すなわち、基材層61は、第2フィルム6において、厚み方向一方側(図4において下方側)に位置している。基材層61は、第1フィルム5と同一の材料により形成されている。
【0057】
粘着層62は、基材層61上に設けられている。具体的には、粘着層62は、基材層61における厚み方向他方側(図4において上方側)の面に一定の厚みで形成されている。粘着層62は、粘着性を有し、無機元素を含まない材料により形成されている。
このように、第2フィルム6は、基材層61及び粘着層62の2層で構成されており、その厚みは、例えば、50μm以下である。
【0058】
第3フィルム7は、粘着層62上に貼り付けられている。具体的には、第3フィルム7は、粘着層62における厚み方向他方側(図4において上方側)の面に貼り付けられている。第3フィルム7は、いわゆる剥離フィルムであって、本体部71と、突出部72とを備えている。本体部71は、平面視矩形状のシート状に形成されている。図2に示すように、突出部72は、本体部71の端部から水平方向に突出している。
【0059】
3.試料ホルダによる試料の保持、及び、試料ホルダの設置
以下では、図4、及び、図5A図5Cを用いて、試料ホルダ1による試料Sの保持、及び、試料ホルダ1の設置について説明する。図5Aは、試料ホルダ1の粘着層62に試料Sを保持させた状態を示した断面図である。図5Bは、フーリエ変換赤外分光光度計31に試料ホルダ1を設置した状態を示した断面図である。図5Cは、蛍光X線分析装置32に試料ホルダ1を設置した状態を示した断面図である。
【0060】
試料ホルダ1に試料Sを保持させる場合には、ユーザは、まず、図4に示すように、その内面が上方側を向くようにして試料ホルダ1を開状態にする。この状態では、粘着層62には、第3フィルム7が貼り付けてあるため、試料Sを第2フィルム6上に載置させたとしても、試料Sは保持されない。
【0061】
この状態から、ユーザは、第3フィルム7の突出部72(図2参照)を引っ張り、第3フィルム7を第2フィルム6から剥がす。これにより、第2フィルム6の粘着層62が露出する。
【0062】
そして、ユーザは、露出した粘着層62上に試料Sを載置する。すると、図5Aに示すように、試料Sは、粘着層62の粘着力により、粘着層62で保持される。
【0063】
このようにして試料ホルダ1で試料Sを保持した状態で、ユーザは、図5Bに示すように、試料ホルダ1をフーリエ変換赤外分光光度計31に設置する。具体的には、試料ホルダ1は、開状態を保ちながら、内面が下方を向き、かつ、粘着層62で保持された試料Sが開口311aに対向するようにして、フーリエ変換赤外分光光度計31に設置される。
【0064】
このとき、ユーザは、試料ホルダ1の上方から見たときに、目印423を視認できることから、試料ホルダ1の向きが正しいことを認識する。また、ユーザは、試料ホルダ1の上方から、第2フィルム6を介して試料Sを視認して、試料Sが開口311aに重なる位置となるように、試料ホルダ1をフーリエ変換赤外分光光度計31に設置する。すなわち、ユーザは、試料ホルダ1をフーリエ変換赤外分光光度計31に設置する際には、透明である第2フィルム6を介して試料Sを視認して、試料ホルダ1の位置合わせを行う。
【0065】
そして、フーリエ変換赤外分光光度計31に設置された試料ホルダ1は、図示しない保持部材によって上方から押さえつけられることで、フーリエ変換赤外分光光度計31上に固定される。このように、試料ホルダ1がフーリエ変換赤外分光光度計31に設置される場合には、試料Sは、第1フィルム5と第2フィルム6との間に挟み込まれていない。
この状態で、上記したように、試料ホルダ1の試料Sに向けて赤外光が照射される。
【0066】
また、ユーザは、試料ホルダ1をフーリエ変換赤外分光光度計31から取り外し、試料ホルダ1を折り畳む。具体的には、ユーザは、第1本体板41と第2本体板42とが対向するようして、第1本体板41と第2本体板42とを近づける。すると、折り曲げ部43が湾曲し、第1本体板41の各凸部411が、第2本体板42の各係合部421の内部に嵌る。また、第2本体板42の突出壁422は、第1本体板41の外縁に当接する。そして、試料Sは、第1フィルム5と第2フィルム6と間に挟み込まれる
【0067】
このようにして試料ホルダ1を試料Sを折り畳んだ状態で、ユーザは、図5Cに示すように、試料ホルダ1を蛍光X線分析装置32に設置する。具体的には、試料ホルダ1は、折り畳んだ状態で(閉状態で)、第1本体板41が下方を向くようにして、蛍光X線分析装置32に設置される。
【0068】
このとき、ユーザは、試料ホルダ1の上方から見たときに、目印423を視認できることから、試料ホルダ1の向きが正しいことを認識する。また、ユーザは、試料ホルダ1の上方から、第1フィルム5及び第2フィルム6を介して試料Sを視認して、試料Sが開口321aに重なる位置となるように、試料ホルダ1を蛍光X線分析装置32に設置する。すなわち、ユーザは、試料ホルダ1を蛍光X線分析装置32に設置する際には、透明である第1フィルム5及び第2フィルム6を介して試料Sを視認して、試料ホルダ1の位置合わせを行う。
この状態で、上記したように、試料ホルダ1の試料Sに向けて励起X線が照射される。
【0069】
そして、分析システム30において、制御部33は、赤外線検出器314の検出信号から得られるスペクトルのデータに基づいて、試料Sに含まれる有機物を分析する。また、制御部33は、蛍光X線検出器323の検出信号から得られるスペクトルのデータに基づいて、試料Sに含まれる無機物を分析する。
【0070】
ここで、制御部33は、試料Sに含まれる有機物を分析する際には、赤外線検出器314の検出信号から得られるスペクトルのデータに加えて、蛍光X線検出器323の検出信号から得られるスペクトルのデータも用いる。具体的には、蛍光X線検出器323の検出信号から得られるスペクトルのデータには、コンプトン散乱X線のピーク、及び、レイリー散乱X線のピークが表れる。制御部33では、赤外線検出器314の検出信号から得られるスペクトルのデータに加えて、これらのピークも用いて、試料Sの有機物を分析する。
【0071】
上記したように、第1フィルム5及び基材層61は、同一の材料で形成される。そのため、蛍光X線検出器323の検出信号から得られるスペクトルのデータにおいて、コンプトン散乱X線のピーク、及び、レイリー散乱X線のピークの形状が複雑化することを抑制できる。そのため、試料Sの有機物を正確に分析できる。
【0072】
このようにして試料2の分析が行われた後、試料ホルダ1は、試料Sを挟むように折り畳まれた状態で(閉状態で)、所定の保管場所で保管される。このとき、例えば、複数の試料ホルダ1をまとめて立てかけるようにして(鉛直方向に沿うようして)保管すれば、保管スペースを小さくすることができる。
4.作用効果
【0073】
(1)本実施形態によれば、図5Cに示すように、蛍光X線分析装置32を用いて試料Sを分析する際には、ユーザは、第1フィルム5と第2フィルム6との間に試料Sを挟み込むようにして、試料Sを試料ホルダ1に保持させ、その状態の試料ホルダ1を装置に設置する。また、図5Bに示すように、フーリエ変換赤外分光光度計31を用いて試料Sを分析する際には、ユーザは、第1フィルム5と第2フィルム6との間に試料Sを挟み込まないようにして、試料Sを試料ホルダ1に保持させ、その状態の試料ホルダ1を装置に設置する。
【0074】
そのため、試料ホルダ1から試料Sを取り出す作業を行うことなく、試料Sを保持した試料ホルダ1ごと装置に設置することで、試料Sの分析を行うことができる。
【0075】
その結果、フーリエ変換赤外分光光度計31及び蛍光X線分析装置32を用いて試料Sの分析を行う際における、試料Sの設置に伴うユーザの作業を簡易化できる。
【0076】
(2)また、本実施形態によれば、図5Cに示すように、試料ホルダ1の第2フィルム6には、粘着層62が含まれている。粘着層62は、第2フィルム6において、第1フィルム5と第2フィルム6との間に試料Sが挟み込まれた状態で第1フィルム5に対向する側に設けられている。
【0077】
そのため、図5Aに示すように、粘着層62に試料Sを当接させることで、粘着層62の粘着力により試料Sを保持できる。
その結果、簡易な構成で、試料Sを試料ホルダ1に保持させることができる。
【0078】
(3)また、本実施形態によれば、図4に示すように、試料ホルダ1において、第1フィルム5は、第1本体板41に取り付けられており、第2フィルム6は、第2本体板42に取り付けられている。
【0079】
そのため、試料ホルダ1において、第1フィルム5及び第2フィルム6のそれぞれを安定した状態に保つことができる。
【0080】
(4)また、本実施形態によれば、図5Cに示すように、ホルダ本体4は、第1本体板41及び第2本体板42を互いに対向するように折り畳むことで、第1フィルム5と第2フィルム6との間に試料Sを挟み込む構成となっている。
【0081】
そのため、第1本体板41及び第2本体板42を折り畳むという簡易な作業で、第1フィルム5と第2フィルム6との間に試料Sを挟み込むことができる。
【0082】
(5)また、本実施形態によれば、図4に示すように、試料ホルダ1において、第1本体板41には、第1開口部412が形成されており、第2本体板42には、第2開口部424が形成されている。また、第1開口部412には、透明な第1フィルム5が取り付けられており、第2開口部424には、透明な第2フィルム6が取り付けられている。
【0083】
そして、ユーザは、試料ホルダ1をフーリエ変換赤外分光光度計31に設置する際には、透明である第2フィルム6を介して試料Sを視認して、試料ホルダ1の位置合わせを行う。また、ユーザは、試料ホルダ1を蛍光X線分析装置32に設置する際には、透明である第1フィルム5及び第2フィルム6を介して試料Sを視認して、試料ホルダ1の位置合わせを行う。
このように、ユーザは、第1開口部412及び第2開口部424のそれぞれを介して、試料ホルダ1で保持された試料Sを視認できる。
【0084】
そのため、試料Sを保持した状態の試料ホルダ1を各装置に設置する際に、視認により試料Sを確認しながら試料ホルダ1を設置することで、分析に適した位置に試料Sを配置できる。
【0085】
(6)また、本実施形態によれば、図4に示すように、試料ホルダ1において、第1フィルム5は、第1本体板41の外面に取り付けられている。
【0086】
そのため、図5Cに示すように、蛍光X線分析装置32を用いて試料Sを分析する際において、試料Sを装置側にできるだけ近づけるようにして、試料ホルダ1を設置できる。
その結果、蛍光X線分析装置32を用いた試料の分析において、蛍光X線を試料Sに対して正確に照射できる。
よって、蛍光X線分析装置32を用いた試料Sの分析において、分析精度を向上できる。
【0087】
また、図4に示すように、試料ホルダ1において、第2フィルム6は、第2本体板42の内面に取り付けられている。
【0088】
そのため、図5Cに示すように、第1フィルム5と第2フィルム6との間に試料Sが挟み込まれた状態において、第1フィルム5と第2フィルム6との間の距離を短くできる。
その結果、第1フィルム5と第2フィルム6との間で試料Sを安定的に保持できる。
【0089】
(7)また、本実施形態によれば、試料ホルダ1において、第1フィルム5及び基材層61は、同一の材料で形成される。
【0090】
そのため、蛍光X線検出器323の検出信号から得られるスペクトルのデータにおいて、コンプトン散乱X線のピーク、及び、レイリー散乱X線のピークの形状が複雑化することを抑制できる。
その結果、試料Sの有機物を正確に分析できる。
【0091】
(8)また、本実施形態によれば、図5Bに示すように、目印423は、フーリエ変換赤外分光光度計31を用いて試料Sを分析する際にX線が照射される側とは反対側の面に設けられている。また、図5Cに示すように、目印423は、蛍光X線分析装置32を用いて試料Sを分析する際に赤外光(赤外線)がされる側とは反対側の面に設けられている。
【0092】
そのため、試料ホルダ1を各装置に設置する際に、試料ホルダ1を正しい向きで設置できる。
5.変形例
【0093】
上記した実施形態では、試料ホルダ1は、第1本体板41と第2本体板42とを対向するように折り畳み可能な構成であるとして説明した。しかし、これに限らず、他の任意の構成を採用することができる。例えば、試料ホルダ1は、第1本体板41と第2本体板42とが、対向した状態でスライド移動する構成であってもよい。
【0094】
また、上記した実施形態では、目印423は、フーリエ変換赤外分光光度計31を用いる際、及び、蛍光X線分析装置32を用いる際に共通で用いられるとして説明した。しかし、目印423は、フーリエ変換赤外分光光度計31を用いる際のもの、及び、蛍光X線分析装置32を用いる際のものとして、別のものが設けられていてもよい。すなわち、試料ホルダ1には、複数の目印423が設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0095】
1 試料ホルダ
4 ホルダ本体
5 第1フィルム
6 第2フィルム
31 フーリエ変換赤外分光光度計
32 蛍光X線分析装置
41 第1本体板
42 第2本体板
61 基材層
62 粘着層
412 第1開口部
423 目印
424 第2開口部
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C