(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ケーシング(3)と、上記ケーシング(3)内に形成されて熱交換器(11,12)が配置される空気通路(20)と、ファン本体(86)とファンモータ(87)とを有して上記空気通路(20)に配置される室外ファン(81)と、上記ファンモータ(87)を支持するファンモータ台(70)とを備える空気調和装置の室外機であって、
上記ケーシング(3)内の上部に上記室外ファン(81)が配置され、上記室外ファン(81)が上記ケーシング(3)の上方に空気を吹き出す上吹き型の室外機(2)であり、
上記ファンモータ台(70)は、上記ケーシング(3)に固定されかつ、それぞれが上記空気通路(20)を横断して互いに平行に延びる一対のステー(71)と、
上記一対のステー(71)の間に架設されかつ、上記ファンモータ(87)を支持する支持部(78)とを備え、
上記ステー(71)は、外周面が円弧状に湾曲する筒状の本体部(72)を備え、
更に、上記ステー(71)は、一端部と他端部の間に位置する中間部が、上記一端部及び上記他端部よりも低くなるように曲がり、
上記ステー(71)の本体部(72)は、該本体部(72)の長手方向に延びる横向きのスリット状の開口部(74)が形成されるように、横断面がC字状となる円筒状に形成され、
上記開口部(74)の幅は、上記本体部(72)の内径よりも狭く、
上記ステー(71)は、開口部(74)の上側の縁部から該ステー(71)の外方へ突出する平板状の部分(76,77)を備えている
ことを特徴とする空気調和装置の室外機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のような空気調和装置の室外機では、ファンモータ台に整流部材を別途設けているため、部品の点数が増えてしまう。このため、組立が煩雑になると共に製造コストが高くなるという難があった。
【0006】
本開示の目的は、空気調和装置の室外機において、ファンモータ台の部品点数が多くなることを抑えながら、風切り音を低減させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1の態様は、ケーシング(3)と、上記ケーシング(3)内に形成されて熱交換器(11,12)が配置される空気通路(20)と、ファン本体(86)とファンモータ(87)とを有して上記空気通路(20)に配置される室外ファン(81)と、上記ファンモータ(87)を支持するファンモータ台(70)とを備える空気調和装置の室外機であって、
上記ケーシング(3)内の上部に上記室外ファン(81)が配置され、上記室外ファン(81)が上記ケーシング(3)の上方に空気を吹き出す上吹き型の室外機(2)であり、上記ファンモータ台(70)は、上記ケーシング(3)に固定されかつ、それぞれが上記空気通路(20)を横断して互いに平行に延びる一対のステー(71)と、上記一対のステー(71)の間に架設されかつ、上記ファンモータ(87)を支持する支持部(78)とを備え、上記ステー(71)は、外周面が円弧状に湾曲する筒状の本体部(72)を備え、更に、上記ステー(71)は、一端部と他端部の間に位置する中間部が、上記一端部及び上記他端部よりも低くなるように曲が
り、上記ステー(71)の本体部(72)は、該本体部(72)の長手方向に延びる横向きのスリット状の開口部(74)が形成されるように、横断面がC字状となる円筒状に形成され、上記開口部(74)の幅は、上記本体部(72)の内径よりも狭く、上記ステー(71)は、開口部(74)の上側の縁部から該ステー(71)の外方へ突出する平板状の部分(76,77)を備えることを特徴とする。
【0008】
第1の態様では、ステー(71)の本体部(72)が円弧状に形成されている。このため、別途特別な部材を用いることを抑えながら、空気通路(20)を流れる空気流に対する抵抗を低下させることができる。したがって、ファンモータ台(70)の部品点数が多くなることを抑えながら、風切り音を低減させることができる。
【0009】
また、第1の態様では、筒状の本体部(72)を備えるステー(71)を、板材を曲げることにより形成することができる。このため、閉断面構造の管材を用いずに、筒状の本体部(72)を備えるステー(71)を形成することができる。したがって、ファンモータ台(70)の製造コストを抑えることができる。
【0010】
また、第1において、ステー(71)の本体部(72)は、横断面がC字状となっている。ステー(71)には、開口部(74)の
上側の縁部からステー(71)の外方へ突出する平板状の部分(76,77)が形成される。
【0011】
本開示の
第2の態様は、
第1の態様において、上記一対のステー(71)は、開口部(74)が互いに対向する姿勢で設置されていることを特徴とする。
【0012】
第2の態様では、一方のステー(71)の開口部(74)が、他方のステー(71)によってケーシング(3)の外部から見え難くなる。ところで、開口部(74)の縁部(75a,75b)は、他の部分に比べて赤錆が発生しやすい場合がある。一方、本態様のようにステー(71)を配置すれば、赤錆の生じやすい開口部(74)の縁部(75a,75b)が、ケーシング(3)の外部から見え難くなる。したがって、この態様によれば、室外機(2)の見映えを向上させることができる。
【0013】
本開示の
第3の態様は、
第2の態様において、上記ステー(71)に形成された上記平板状の部分(76,77)は、上記支持部(78)が連結される取付部(77)を構成する。
【0014】
第3の態様において、ステー(71)に形成された平板状の部分(76,77)が取付部(77)を構成し、この取付部(77)に支持部(78)が連結される。
【発明を実施するための形態】
【0016】
《実施形態》
実施形態について説明する。本実施形態は、空気調和装置の室外機(2)である。本実施形態の室外機(2)が設けられる空気調和装置は、オフィス等の室内空間の冷房と暖房を行う。なお、空気調和装置が空気調和を行う対象空間は、オフィスや住宅などの居室内空間に限られず、物品を保管する倉庫内の空間や、物品を取り扱う作業用空間(例えば、クリーンルーム)などであってもよい。
【0017】
−室外機の構成−
室外機(2)の構成について説明する。なお、以下の説明において、「上」、「下」、「左」、「右」、「前」および「後」、は、特にことわりのない限り、
図1に記載された方向を意味する。
【0018】
図1に示すように、本実施形態の空気調和装置の室外機(2)は、略直方体形状に形成されている。室外機(2)は、側方から空気を取り込んで後述する室外ファン(81)が上方へ空気を吹き出す上吹き型の室外機(2)である。
【0019】
室外機(2)は、
図2に示すように、ケーシング(3)内に第1熱交換器(11)、第2熱交換器(12)、第1圧縮機(21)、第2圧縮機(22)、第1電装品箱(23)、第2電装品箱(24)、第1油分離器(25)、第2油分離器(26)、およびアキュムレータ(27)を主として備えている。第1熱交換器(11)、第1圧縮機(21)、第1電装品箱(23)、第1油分離器(25)およびアキュムレータ(27)は、ケーシング(3)内の右側に配置されている。一方、第2熱交換器(12)、第2圧縮機(22)、第2電装品箱および第2油分離器(26)は、ケーシング(3)内の左側に配置されている。ケーシング(3)内の空間は、側方から取り込まれた空気が流れる空気通路(20)となっている。
【0020】
〈ケーシング〉
図1〜
図2に示すように、ケーシング(3)は、据付脚(4)と、底板(5)と、支柱(7a,7b)と、ファンモジュール(8)と、前面パネル(9)とを備えている。
【0021】
据付脚(4)は、ケーシング(3)の下端部に設けられている。据付脚(4)は、ケーシング(3)の前端および後端にそれぞれ設けられかつ左右方向に延びる一対の部材である。
【0022】
底板(5)は、一対の据付脚(4)上に架け渡されてケーシング(3)の底面を形成している。底板(5)は、複数の山部と複数の谷部とが左右方向に交互に形成されている波板形状を成している。
【0023】
支柱(7a,7b)は、第1支柱(7a)と第2支柱(7b)とからなる。第1支柱(7a)は、底板(5)の角部位置から鉛直方向に延びている。すなわち、第1支柱(7a)は4つ設けられている。第2支柱(7b)は、一対の据付脚(4)の左右方向の中央の左寄りの位置から鉛直方向に延びている。すなわち、第2支柱(7b)は2つ設けられている。
【0024】
ファンモジュール(8)は、ケーシング(3)の上部を形成している。ファンモジュール(8)は、支柱(7)の上側に位置している。すなわち、ファンモジュール(8)は、空気通路(20)内の上部に設けられている。ファンモジュール(8)は、上面および下面が開口した略直方体形状の箱体に左右一対の室外ファン(81)やベルマウス(82)が収容された集合体である。
【0025】
ファンモジュール(8)は、前面が後述する前面パネル(9)に塞がれている。ファンモジュール(8)は、後面を塞ぎかつ左右方向に2つに分割された後面パネル(84a)および左右の側面を塞ぐ側面パネル(84b)を備えている。後面パネル(84a)は、内面の下端部にケーシング(3)の左右方向全体に延びる後側ステー(85a)を備えている。
【0026】
ファンモジュール(8)は、上面の開口に吹出グリル(83)を備えている。室外ファン(81)の詳細については後述する。
【0027】
前面パネル(9)は、ケーシング(3)の前面を形成している。前面パネル(9)は、左右方向に4つに分割されている。前面パネル(9)は、据付脚(4)からファンモジュール(8)の上端に亘って設けられている。前面パネル(9)は、内面のうちファンモジュール(8)の下端部に対応する位置に、ケーシング(3)の左右方向全体に延びる前側ステー(85b)を備えている。前側ステー(85b)および前記後側ステー(85a)は、ケーシングの(3)の一部を形成している。前側ステー(85b)と後側ステー(85a)とは、それぞれ同じ高さで対向するように平行に延びている。
【0028】
〈熱交換器〉
室外機(2)は、熱交換器として第1熱交換器(11)と第2熱交換器(12)とを備えている。第1熱交換器(11)および第2熱交換器(12)は、多数の伝熱管とフィンとを備えている。伝熱管は、いわゆる扁平管であって、上下方向に一定の間隔で配置される。フィンは、起立した板状に形成され、伝熱管の軸方向に一定の間隔で配置される。伝熱管およびフィンの材質は、いずれもアルミニウム合金である。第1熱交換器(11)および第2熱交換器(12)は、扁平管が2列に配列された複数列型の熱交換器である。第1熱交換器(11)および第2熱交換器(12)は、上面視略U字形状に曲がるように形成されている。また、第1熱交換器(11)および第2熱交換器(12)は、それぞれ外側面から内側面へ向かって空気が通過するように形成されている。
【0029】
−室外ファンの詳細−
図3に示すように、室外ファン(81)は、ファン本体(86)とファンモータ(87)とを備えている。室外ファン(81)は、ファンモータ台(70)に支持されている。室外ファン(81)は、左右方向に並んで例えば2つ設けられている。
【0030】
ファン本体(86)は、ベルマウス(82)の内側に配置されている。ファン本体(86)は、プロペラファンである。ファン本体(86)は、ファンモータ(87)の上方に位置してファンモータ(87)に連結されている。
【0031】
ファンモータ(87)は、ファンモータ台(70)に取り付けられている。ファンモータ(87)は、連結したファン本体(86)を回転駆動する。
【0032】
図3および
図4に示すように、ファンモータ台(70)は、ファンモジュール(8)内の下部に配置されている。ファンモータ台(70)は、一対のステーとしてのモータステー(71)と、一対の支持部(78)とを備えている。
【0033】
〈モータステー〉
モータステー(71)は、それぞれが空気通路(20)を横断して互いに平行に延びている。モータステー(71)は、前端部が前側ステー(85b)に、後端部が後側ステー(85a)にそれぞれ固定されている。モータステー(71)は、前後方向の中間部が前後方向の両端部よりも下方に位置するように、前側および後側に斜行部を備えている。
【0034】
モータステー(71)は、金属製の板材を曲げることによって形成されており、開断面構造である。モータステー(71)は、本体部(72)と取付部(77)と固定部(79)とを備えている。
【0035】
本体部(72)は、モータステー(71)の前後方向全体に亘って延びている。
図5にも示すように、本体部(72)は、横断面視で他方のモータステー(71)の方向に開口部(74)を有するC字型に形成されている。すなわち、本体部(72)は、外周面が円弧状に湾曲する筒状に形成されている。本体部(72)は、開口部(74)の下側の縁部(75b)から上側の縁部(75a)寄りの位置までの部分をカーリング加工することによって形成される。モータステー(71)は、本体部(72)によって、前後方向に延びかつ他方のモータステー(71)の方向に開口するスリット状の開口部(74)を備えている。すなわち、一対のモータステー(71)は、各開口部(74)が互いに対向する姿勢で設置されている。
【0036】
取付部(77)は、モータステー(71)の開口部(74)の上側の縁部(75a)寄りの位置から上側の縁部(75a)までを形成している。取付部(77)は、水平方向に延びる平板状に形成されている。取付部(77)は、前後方向両端部に比べて前後方向中間部のほうが左右方向に長くなるように形成されている。一対のモータステー(71)の各取付部(77)は、端縁が互いに対向している。
【0037】
固定部(79)は、モータステー(71)の前後方向両端に形成されている。前端に形成された固定部(79)は、前側ステー(85b)に当接した状態でボルトによって固定されている。一方、後端に形成された固定部(79)は、後側ステー(85a)に当接した状態でボルトにより固定されている。
【0038】
上述したように、モータステー(71)は、湾曲する筒状の本体部(72)を有している。また、スリット状の開口部(74)は、左右方向に向けられている。開口部(74)の下側の縁部(75b)の上方には上側の縁部(75a)寄りの部分を形成する取付部(77)が位置している。このため、開口部(74)の下側の縁部(75b)は、取付部(77)に上から覆われていて、取付部(77)は、被覆部(76)を含んでいる。すなわち、被覆部(76)は、開口部(74)の下側の縁部(75b)よりも上方に位置している。
【0039】
〈支持部〉
一対の支持部(78)は、それぞれ一対のモータステー(71)の間に架設されるように配置されている。支持部(78)は、モータステー(71)の取付部(77)のうち前後方向中間部に連結されている。支持部(78)は、例えばボルトナットにより固定されている。支持部(78)は、一対のモータステー(71)と直交に延びている。上記ファンモータ(87)は一対の支持部(78)に取り付けられている。すなわち、支持部(78)は、ファンモータ(87)を支持している。
【0040】
−実施形
態の効果−
本実施形態の空気調和装置の室外機(2)は、ケーシング(3)と、ケーシング(3)内に形成されて熱交換器(11,12)が配置される空気通路(20)と、ファン本体(86)とファンモータ(87)とを有して空気通路(20)に配置される室外ファン(81)と、ファンモータ(87)を支持するファンモータ台(70)とを備える空気調和装置の室外機であって、ファンモータ台(70)は、ケーシング(3)に固定されかつ、それぞれが空気通路(20)を横断して互いに平行に延びる一対のモータステー(71)と、一対のモータステー(71)の間に架設されかつ、ファンモータ(87)を支持する支持部(78)とを備え、モータステー(71)は、外周面が円弧状に湾曲する筒状の本体部(72)を備えている。
【0041】
本実施形態では、モータステー(71)の本体部(72)が円弧状に形成されている。このため、別途特別な部材を用いることを抑えながら、空気通路(20)を流れる空気流に対する抵抗を低下させることができ、その結果、空気通路(20)における空気流の乱れを抑えることができる。したがって、ファンモータ台(70)の部品点数が多くなることを抑えながら、風切り音を低減させることができる。
【0042】
また、本実施形態の空気調和装置の室外機(2)において、モータステー(71)は、長手方向である前後方向に延びるスリット状の開口部(74)を形成する開断面構造である。
【0043】
本実施形態では、筒状の本体部(72)を備えるモータステー(71)を、板材を曲げることにより形成することができる。このため、閉断面構造の管材を用いずに、筒状の本体部(72)を備えるモータステー(71)を形成することができる。したがって、ファンモータ台(70)の製造コストを抑えることができる。
【0044】
また、本実施形態の空気調和装置の室外機(2)において、一対のモータステー(71)は、開口部(74)が互いに対向する姿勢で設置されている。
【0045】
本実施形態では、一方のモータステー(71)の開口部(74)が、他方のモータステー(71)によってケーシング(3)の外部から見え難くなる。ところで、開口部(74)の縁部(75a,75b)は、他の部分に比べて赤錆が発生しやすい場合がある。一方、本実施形態のようにモータステー(71)を配置すれば、赤錆の生じやすい開口部(74)の縁部(75a,75b)がケーシング(3)の見え難くなる。したがって、本実施形態によれば室外機(2)の見映えを向上させることができる。
【0046】
また、本実施形態の空気調和装置の室外機(2)において、室外機(2)は、ケーシング(3)内の上部に室外ファン(81)が配置され、室外ファン(81)がケーシング(3)の上方に空気を吹き出す上吹き型の室外機(2)であり、モータステー(71)は、開口部(74)の下側の縁部(75b)が上側の縁部(75a)寄りの部分である被覆部(76)に覆われている。すなわち、モータステー(71)は、被覆部(76)が下側の縁部(75b)よりも上方に位置するように設置されている。
【0047】
本実施形態では、開口部(74)の下側の縁部(75b)が特にケーシング(3)の上方から見え難くなる。上吹き型の室外機(2)では、ケーシング(3)内を上方から見ることが多い。このため、さらに室外機(2)の見映えを向上させることができる。さらに、ケーシング(3)の上方から流れる雨水が、開口部(74)からモータステー(71)の内側に入り難くなる。このため、モータステー(71)の腐食を抑えて信頼性を確保することができる。
【0048】
また、本実施形態の空気調和装置の室外機(2)において、一対のモータステー(71)は、被覆部(76)側の縁部(75a)に水平方向に延びる平板状の取付部(77)を備え、各取付部(77)は、被覆部(76)側の縁部(75a)の端縁が互いに対向しており、支持部(78)は、各取付部(77)に連結されていることを特徴とする。
【0049】
本実施形態では、被覆部(76)側(上側)の縁部(75a)に取付部(77)が設けられる。このため、被覆部(76)だけでなく取付部(77)および支持部(78)によっても、外部から開口部(74)の下側の縁部(75b)が見え難くなる。また、上側の縁部(75a)は、水平方向に延びているので、上側の縁部(75a)がケーシング(3)の上方から見え難くなる。このため、さらに室外機(2)の見映えを向上させることができる。
【0050】
以上、実施形態および変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、以上の実施形態および変形例は、本開示の対象の機能を損なわない限り、適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。