特許第6773082号(P6773082)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6773082
(24)【登録日】2020年10月5日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】フローティングコネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 4/58 20060101AFI20201012BHJP
   H01R 31/06 20060101ALI20201012BHJP
   H01R 12/91 20110101ALI20201012BHJP
【FI】
   H01R4/58 C
   H01R31/06 Z
   H01R12/91
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2018-120471(P2018-120471)
(22)【出願日】2018年6月26日
(65)【公開番号】特開2020-4516(P2020-4516A)
(43)【公開日】2020年1月9日
【審査請求日】2019年6月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000102500
【氏名又は名称】SMK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114074
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 嘉一
(72)【発明者】
【氏名】牧村 隆信
(72)【発明者】
【氏名】林 耕平
(72)【発明者】
【氏名】畠山 直美
【審査官】 高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】 特開2019−212470(JP,A)
【文献】 特開2016−004650(JP,A)
【文献】 特開2015−153503(JP,A)
【文献】 特開平6−231842(JP,A)
【文献】 特開2006−351294(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/50 −12/91
H01R 13/631
H01R 4/58
H01R 31/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部品の第1端子と第2部品の第2端子とを電気接続するためのコネクタであって、
略L字形状の接続ターミナルと、
前記接続ターミナルの一方の第1接続端子部と前記第1端子とを相互にフローティング可能に挟持接続するための第1弾性挟持部材と、
前記接続ターミナルの他方の第2接続端子部と前記第2端子とを相互にフローティング可能に挟持接続するための第2弾性挟持部材とを有することを特徴とするフローティングコネクタ。
【請求項2】
前記第1弾性挟持部材と前記第2弾性挟持部材のうち、一方の弾性挟持部材はX軸方向の位置ズレを許容し、他方の弾性挟持部材はY軸方向及びZ軸方向の位置ズレを許容することを特徴とする請求項1記載のフローティングコネクタ。
【請求項3】
前記第1弾性挟持部材又は/及び第2弾性挟持部材は導電性であることを特徴とする請求項1又は2記載のフローティングコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品間を電気接続するためのコネクタに関し、特に接続位置ズレを吸収可能にしたフローティングコネクタ係る。
【背景技術】
【0002】
例えば、基板等に電気,電子部品を電気接続する場合に、相互の接続部位に位置ズレが生じると、その接続部位にストレスが加わることになるので、位置ズレを吸収することができる接続構造が必要となる。
図8に従来の位置ズレを吸収するための構造例を示す。
部品101と基板102をそれぞれ個別に筐体に固定するともに、リード線を用いてはんだ付け104を行った場合に、部品101と基板102と間に位置ズレが生じると、はんだ付け部にストレスが加わり、破断する恐れも生じる。
そこで図8(a)では、ビス103の取付孔102aを大きくし、位置ズレを解消する例を示す。
しかし、これでは組付けに大きな工数がかかる。
図8(b)は、部品101と基板102との間をフレキシブルなリード線105で接続した構造例を示す。
このようなリード線では、大電流を流すことができない。
【0003】
特許文献1には、弾性変位するスライダ部を設けたコネクタを開示するが、変位の吸収できる方向に制限があるとともに、大電流を流すのには適していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−171784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、部品間を電気接続する際に、この部品間の位置ズレを吸収するのに効果的で、大電流の接続にも対応可能なフローティングコネクタの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るフローティングコネクタは、第1部品の第1端子と第2部品の第2端子とを電気接続するためのコネクタであって、略L字形状の接続ターミナルと、前記接続ターミナルの一方の第1接続端子部と前記第1端子とを相互にフローティング可能に挟持接続するための第1弾性挟持部材と、前記接続ターミナルの他方の第2接続端子部と前記第2端子とを相互にフローティング可能に挟持接続するための第2弾性挟持部材とを有することを特徴とする。
【0007】
ここで、相互にフローティング可能に挟持接続するとは、部品側の端子と接続ターミナル側の端子とを部分的に重ね合せ、弾性挟持部材で挟み込むように接続した状態で、上記端子同士の相対的位置が可動(フローティング)可能になっていることをいう。
これにより、コネクタで2つの部品間を接続する際の位置ズレを吸収することができる。
【0008】
本発明において、第1弾性挟持部材と前記第2弾性挟持部材のうち、一方の弾性挟持部材はX軸方向の位置ズレを許容し、他方の弾性挟持部材はY軸方向及びZ軸方向の位置ズレを許容するのが好ましい。
ここで、X軸方向,Y軸方向及びZ軸方向と表現したのは、相対的な可動方向を示したものであり、これにより三次元のいずれの方向に対する位置ズレも相互に解消できる。
また、両方の弾性挟持部材に2軸方向のフローティング機構を付与してもよい。
【0009】
本発明においては、部品側の端子と接続ターミナル側の端子とを部分的に重ね合せるように弾性挟持部材で接続するので、この弾性挟持部材は絶縁性であってもよいが、第1弾性挟持部材又は/及び第2弾性挟持部材が導電性であると、さらに通電性に優れる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るフローティングコネクタにあっては、電気接続する2つの部品側のそれぞれの端子を接続ターミナルの両側にそれぞれフローティング可能に接続できるので、組み付ける部品間での位置ズレを吸収することができる。
また、部品側の端子と接続ターミナル側の端子とを挟持接続するので、大電流の通電が可能であり、温度変化による接続部の位置ズレも吸収可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係るフローティングコネクタの構造例を示す。(a)は断面図、(b)は基板部材を省略した第1部品Aの第1端子とコネクタの位置関係を示し、(c)は(b)の斜視図を示す。
図2】コネクタの部品の構成を示し、接続関係が分かるように第1部品側の第1端子を示したが、第2部品側の第2端子を表現していない。(a)は接続ターミナルと第1,第2弾性挟持部材との位置関係を示し、(b)は第1端子と接続ターミナルの位置関係を示し、(c),(d)は第2弾性挟持部材を示す。
図3】(a)は図2(d)のC−C線断面図、(b)はD−D線断面図を示す。
図4】第1部品Aと第2部品Bとの電気接続例を示す。
図5】(a)は第2部品B側から見た図を示し、(b)は第1部品Aの透視図を示す。
図6】フローティングコネクタを用いた第2の実施例を示す。
図7】第2の実施例の接続部の拡大図を示す。
図8】(a),(b)は従来の部品間の接続例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係るフローティングコネクタの構造例を以下図に基づいて説明するが、本発明はこれに限定されない。
【0013】
図4及び図5に示した基板上の第1部品Aと、複数の端子を有する第2部品Bとを接続するためのコネクタの構造例を図1〜3に示す。
第1部品Aは、図4,5に示すように図2では、基板の下面側に配置した第1端子1のはんだ付け部1bを基板の上面側に貫通させ、図示を省略した回路パターンとはんだ付けしてある。
なお、このはんだ付け部1bは、基板の下面側の回路パターンと表面実装にてはんだ付けしてもよい。
これに対して、第2部品Bに有する第2端子2を基板の挿通孔aを介して、本発明に係るコネクタに接続させた例になっている。
【0014】
図1(a)は、第1部品Aの第1端子1と第2部品Bの第2端子とを本発明に係るフローティングコネクタ(以下、単にコネクタという。)を用いて、電気接続した状態の断面図を示す。
図1(b)は、第1端子1を基板に取り付けない状態で示した平面図であり、図1(c)はその斜視図である。
図2の部品図を参照しながら説明する。
【0015】
接続ターミナル10は、略L字形状をした導電体であり、大電流を流すには銅,銅合金が好ましい。
また、接続部がL字状であれば、全体の形状に制限がない。
接続ターミナル10の一方の第1接続端子部11と、第1部品A側の第1端子1の接続部1aとを重ね合せ、これを挟持するように短い角パイプ状の第1弾性挟持部材20の内側21に差し込んである。
本実施例では、第1弾性挟持部材20の上面にランス22、側面にランス23、このランスの位置にそれぞれ対応させて、接続ターミナル10の第1接続端子部11に係止孔14、係止凹部15を有し、第1端子1に係止凹部1cを有する。
これらの係止部は、図1(a)に矢印で示すように、X軸方向のフローティングを許容しつつ、部品の外れ止めとして設けたものである。
また、第1弾性挟持部材20の下面側には切り込みを入れて形成した弾性片24を有し、第1端子1と第1接続端子部11をこの弾性片で押圧し、第1弾性挟持部材20の内側に挟持する。
なお、この第1弾性挟持部材20は、第1端子1と第1接続端子部11を挟持できればよく、断面コ字形状のクリップでもよい。
【0016】
接続ターミナル10の他方の第2接続端子部12と、第2部品Bの第2端子2とを挟持するように接続する第2弾性挟持部材30は、第2端子2の幅寸法よりも大きい内側寸法を有する収容部31からなるケース体になっている。
これにより、図1(a),(b)に示すように、第2部品B側の第2端子2と接続ターミナル10の第2接続端子部12との間のY軸方向及びZ軸方向の位置ズレを吸収する。
第2弾性挟持部材30は、図1(a)及び図2(c),(d)に示すように、ケース体の内側の収容部31に接続ターミナル10の第2接続端子部12を挿入する。
収容部31の内側には図3(a)に示すように内側方向であって、斜め下方に切り出した係止弾性片34,34を形成してあり、第2接続端子部12の両側の側縁部に設けた係止凹部16に係止させることができる。
また、収容部31の第2接続端子部12が挿入される側の面には、内側に向けて切り出した押圧片36を有する。
第2端子2がこの収容部31に差し込まれると、第2端子2と第2接続端子部12とを部分的に重ね合せた状態で、この押圧片36が収容部31の反対側の側面に押し付けるようにして挟持保持することになる。
本実施例では、第2端子を第2弾性挟持部材30の内側に差し込みやすいように、上方が開口したガイド片32,33を有し、差し込み深さを規制するための規制片35を設けた例になっている。
【0017】
これにより、接続された第2端子2と接続ターミナル側の第2接続端子部12は、図3(a)に示すように、第2弾性挟持部材30の内側に挟持された状態を保持しながらY軸方向の相互可動を許容し、図1(a)に示すように上下Z軸方向の相互可動を許容する。
【0018】
本発明に係るコネクタは、三次元方向に部品間の位置ズレを許容するので、図4に示した第2部品Bのように複数の第2端子2を有するものであっても、それぞれの接続部の位置ズレを吸収するので、電気接続性に優れる。
【0019】
図4,5に示した第1の実施例は、基板等の第1部品Aに設けた挿通孔aを介して、第2部品Bを上側から組み付けた例を示したが、図6,7に示すように第1部品Aの横方向から第2部品Bに設けた複数の第2端子を接続できるようにしてもよく、接続方向に制限はない。
【符号の説明】
【0020】
1 第1端子
2 第2端子
10 接続ターミナル
11 第1接続端子部
12 第2接続端子部
20 第1弾性挟持部材
30 第2弾性挟持部材
A 第1部品
B 第2部品
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8