(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
<実施形態>
本開示に係る実施形態について説明する。眼科装置用コントローラ(例えば、コントローラ80)は、眼科装置(例えば、眼科装置1)を操作する。眼科装置用コントローラ(以下、コントローラともいう)は、眼科装置と分離される。コントローラは、眼科装置と通信可能に接続される。眼科装置は、例えば、無線、有線等で接続される。コントローラは、例えば、第1方向入力部(例えば、第1入力部81)と、第2方向入力部(例えば、第2入力部82)を主に備える。第1方向入力部は、第1方向の入力を受け付ける。第2方向入力部は、第1方向とは異なる第2方向の入力を受け付ける。例えば、第1方向入力部と第2方向入力部は、互いにコントローラの本体の異なる面に配置される。例えば、第1方向入力部は第1面(例えば、面F1)に配置され、第2方向入力部は第1面とは異なる第2面(例えば、面F2または面F3など)に配置される。第2面は、例えば、第1面とは一致しない面である。例えば、第2面は、第1面と角度を成す面、または第1面と接触しない面である。例えば、コントローラ本体の上面、下面、右側面、左側面、前面、後面のうちの一つの面は、他の面に対して互いに異なる面である。
【0011】
第1方向入力部と第2方向入力部が異なる面に配置されることによって、コントローラの操作性が向上する。例えば、検者は、一つの指(例えば、親指)で第1方向入力部を操作し、他の指(例えば、人差し指、中指、薬指、小指など)で第2方向入力部を操作できる。このため、検者は、第1方向入力部と第2方向入力部を交互または同時に操作する際に、第1方向入力部または第2方向入力部から指を離す必要が必ずしもない。したがって、検者は、コントローラを片手で使用する場合でも安定して保持しながら操作できる。例えば、コントローラを片手で操作する場合であっても、検者は3次元的な方向入力を容易に行える。また、コントローラを片手で操作する場合に、手から落下することが抑制される。また、コントローラを片手で操作しながら、もう一方の手で被検者の補助(例えば、開瞼など)を行える。
【0012】
なお、第1方向入力部によって受け付けられる第1方向は、例えば、2次元平面における方向であってもよい。例えば、第1方向は、XY平面における方向であってもよい。XY平面とは、例えば、眼科装置の光軸に対して垂直な平面の方向であってもよい。第2方向入力部によって受け付けられる第2方向は、例えば、2次元平面(例えば、XY平面)に直交する1次元方向であってもよい。例えば、第2方向は、Z方向であってもよい。Z方向とは、例えば、眼科装置の光軸方向であってもよい。これによって、検者は、3次元の各方向入力を容易に行える。
【0013】
なお、第1方向は、ZX平面における方向であってもよい。ZX平面とは、例えば、眼科装置の光軸に対して平行な平面の方向(水平方向)であってもよい。この場合、第2方向は、Y軸方向であってもよい。
【0014】
なお、第1方向入力部によって入力される第1方向は、1次元方向であってもよい。この場合、コントローラは、第1方向および第2方向とは異なる第3方向を入力するための第3方向入力部を備えてもよい。これによって、コントローラは、3次元的なアライメントの方向を入力できる。なお、コントローラは、親指以外の指で2次元平面内の方向指示を行う構成であってもよい。
【0015】
なお、コントローラは、機能切換入力部(例えば、ファンクションボタン83)を備えてもよい。機能切換入力部は、例えば、第1方向入力部および第2方向入力部の少なくともいずれかの機能を切り換えるための機能切換入力を受け付ける。例えば、コントローラまたは眼科装置は、機能切換入力部の信号を受信している場合に第1方向入力部および第2方向入力部の機能を変更してもよい。このように、機能切換入力部を備えることによって、各入力部に複数の機能を割り振ることができ、入力部の数を減らすことがきる。
【0016】
なお、機能切換入力部によって機能切換入力が受け付けられた場合、コントローラによって第1方向入力部または第2方向入力部の機能が切り換えられてもよいし、眼科装置によって第1方向入力部または第2方向入力部の機能が切り換えられてもよい。
【0017】
例えば、機能切換入力部は、例えば、コントローラの入力モードを第1入力モードと第2入力モードとで切り換えるための入力を受け付けてもよい。例えば、第1入力モードは、第1方向入力部によってXY方向の入力を受け付け、第2方向入力部によってZ方向の入力を受け付ける入力モードである。例えば、第2入力モードは、第1方向入力部によってZX方向の入力を受け付け、第2方向入力部によってY方向の入力を受け付けるモードである。このように、機能切換入力部によって検者の操作しやすい入力方向に設定を切り換えることができる。
【0018】
なお、機能切換入力部は、例えば、第1方向入力部または第2方向入力部からの入力を、顎台を駆動させるための信号に切り換えるための入力を受け付けてもよい。これによって、検者は、コントローラによって容易に顎台の高さを調整することができる。
【0019】
なお、機能切換入力部は、例えば、第1方向入力部または第2方向入力部からの入力を、測定対象眼を左右で切り換えるための信号に切り換えるための入力を受け付けてもよい。これによって、検者は、コントローラによって容易に測定対象眼を切り換えることができる。また、左右眼切換のための入力部を設ける必要が必ずしもなくなる。
【0020】
なお、機能切換入力部は、アライメントモードを切り換えるための入力を受け付けてもよい。アライメントモードは、例えば、オートアライメントモードと、マニュアルアライメントモードであってもよい。機能切換入力部は、例えば、オートアライメントモードとマニュアルアライメントモードを切り換えるための入力を受け付けてもよい。これによって、検者は、コントローラによって容易にアライメントモードを切り換えることができる。例えば、オートアライメントモードでは被検眼に対してアライメントできない場合に、コントローラの操作によって素早くアライメントモードを切り換えることができる。
【0021】
なお、第1方向入力部は、方向入力スティック(例えば、スティック81a)であってもよい。方向入力スティックは、例えば、傾倒されることによって、方向を受け付ける。例えば、方向入力スティックは、傾倒角度が復帰する構造であってもよい。また、方向入力スティックは、押し込み可能であってもよい。例えば、制御部は、方向入力スティックが押し込まれることによって、オンまたはオフの操作信号を検出してもよい。例えば、方向スティックが押し込まれると、眼科装置は測定を開始してもよい。
【0022】
なお、コントローラおよび眼科装置は、通信設定モード(例えば、ペアリングモード)を備えてもよい。例えば、眼科装置において通信設定モードが実行される場合、コントローラは、通信可能であることを眼科装置に通知してもよい。例えば、コントローラは、第1方向入力部、第2方向入力部、ファンクションボタン等によって入力を受け付けた場合に、通信可能であることを眼科装置に通知してもよい。これによって、眼科装置は、通信するコントローラを簡単に見つけることができる。
【0023】
なお、眼科装置またはコントローラは、距離検出部(例えば、通信部78または通信部84など)を備えてもよい。距離検出部は、例えば、眼科装置とコントローラとの相対的な距離を検出する。眼科装置またはコントローラは、例えば、距離検出部によって距離を検出すると、その距離に基づいて通信する眼科装置またはコントローラを選択してもよい。例えば、眼科装置またはコントローラは、一定の距離まで近づいた眼科装置またはコントローラとペアリングしてもよいし、最も距離の近い眼科装置またはコントローラとペアリングしてもよい。また、眼科装置またはコントローラは、例えば、第1方向入力部、第2方向入力部、機能切換入力部の少なくともいずれかによって入力を受け付けている状態で所定の距離まで近づいた眼科装置またはコントローラとペアリングしてもよい。例えば、距離検出部が距離を検出する方法は、GPSを利用した方法、RFIDを利用した方法、赤外線IDを利用した方法、携帯電話やPHSの基地局を利用した方法、無線LANの信号強度を利用した方法などがある。距離検出部によって検出された距離情報を利用することによって、わざわざペアリングの設定を切り換えなくとも、所望の眼科装置に近づくだけでコントローラによる操作を行うことができる。なお、本実施形態以外の眼科装置用コントローラにおいて、距離検出部を設け、眼科装置との距離に基づいて通信する眼科装置を選択してもよい。
【0024】
なお、コントローラは、アライメント情報を記憶する記憶部(例えば、記憶部86)を備えてもよい。アライメント情報とは、例えば、被検眼の位置情報、または検眼部と被検眼との相対位置情報などである。そして、コントローラは、ある眼科装置で測定した検者のアライメント情報を記憶し、他の眼科装置にそのアライメント情報を送信してもよい。アライメント情報を受信した眼科装置は、ある眼科装置のアライメント情報に基づいて、検眼部の移動位置を求め、求めた移動位置に検眼部を移動させてもよい。これによって、眼科装置は、他の眼科装置のアライメント情報を用いて効率良くアライメントを行うことができる。なお、本実施形態以外の眼科装置用コントローラにおいて、アライメント情報を記憶する記憶部を設け、ある眼科装置から取得したアライメント情報を他の眼科装置に利用してもよい。
【0025】
<実施例>
本開示に係る実施例の眼科装置を図面に基づいて説明する。本実施例の眼科装置は、後述する手持型のコントローラによって操作できる。なお、以下の説明では、眼科装置として眼屈折力測定装置を例に説明するが、角膜曲率測定装置、角膜形状測定装置、眼圧測定装置、眼底カメラ、OCT(optical coherence tomography)、SLO(Scanning Laser Ophthalmoscope)等の他の眼科装置にも適用可能である。
【0026】
本実施例の眼科装置は、例えば、被検眼の眼屈折力を他覚的に測定する。例えば、本実施例の眼科装置は、片眼毎に測定を行ってもよいし、両眼同時に(両眼視で)測定を行う装置であってもよい。眼科装置は、例えば、検眼部と、駆動部と、制御部と、を主に備える。
【0027】
<外観>
図1に基づいて、眼科装置の外観を説明する。
図1に示すように、本実施例の眼科装置1は、検眼部2と駆動部4を主に備える。検眼部2は、被検眼を検査する。検眼部2は、例えば、被検眼の眼屈折力、角膜曲率、眼圧等を測定する光学系を備えてもよい。また、検眼部2は、被検眼の前眼部、眼底等を撮影するための光学系等を備えてもよい。本実施例では、屈折力を測定する検眼部2を例に説明する。駆動部4は、例えば、検眼部2および撮影部3を基台5に対して上下左右前後方向(3次元方向)に移動させる。
【0028】
さらに、本実施例の眼科装置1は、例えば、顔撮影部3、筐体6、表示部7、操作部8、顔支持部9等を備えてもよい。例えば、顔撮影部3は、例えば、被検眼の顔を撮影する。顔撮影部3は、例えば、左右の被検眼のうち少なくとも一方を含む顔を撮影する。筐体6は、検眼部2、顔撮影部3、駆動部4等を収納する。表示部7は、例えば、被検眼の観察画像および測定結果等を表示させる。表示部7は、例えば、装置1と一体的に設けられてもよいし、装置とは別に設けられてもよい。眼科装置1は、操作部8を備えてもよい。操作部8には、検者による各種操作指示が入力される。例えば、操作部8は、タッチパネル、ジョイスティック、マウス、キーボード、トラックボール、ボタン等の各種ヒューマンインターフェイスであってもよい。顔支持部9は、例えば、被検者の顔を支持する。顔支持部9は、額当て10と顎台11を備えてもよい。顎台11は、顎台駆動部12の駆動によって上下方向に移動されてもよい。
【0029】
<通信部>
眼科装置1は、通信部78を備えてもよい。通信部78は、例えば、後述するコントローラからの信号を受信する。また、通信部78は、眼科装置1からの信号をコントローラに送信してもよい。このように、通信部78は、コントローラとの送受信を行う。なお、通信は、無線であってもよいし、有線であってもよい。
【0030】
<制御系>
図2に示すように、本装置1は装置制御部70を備える。装置制御部70は、本装置1の各種制御を司る。装置制御部70は、例えば、一般的なCPU(Central Processing Unit)71、フラッシュROM72、RAM73等を備える。例えば、フラッシュROM72には、眼科装置を制御するための眼科装置制御プログラム、初期値等が記憶されている。例えば、RAMは、各種情報を一時的に記憶する。装置制御部70は、検眼部2、顔撮影部3、駆動部4、表示部7、操作部8、顎台駆動部12、通信部78、記憶部(例えば、不揮発性メモリ)74等と接続されている。記憶部74は、例えば、電源の供給が遮断されても記憶内容を保持できる非一過性の記憶媒体である。例えば、ハードディスクドライブ、着脱可能なUSBフラッシュメモリ等を記憶部74として使用することができる。
【0031】
<顔撮影部>
顔撮影部3は、例えば、左右の被検眼のうち少なくとも一方を含む顔を撮影する。例えば、
図3に示すように、本実施例の顔撮影部3は、例えば、被検者の顔を撮影する撮影光学系3Aを備える。撮影光学系3Aは、例えば、撮像素子3Aaと、撮像レンズ3Abを主に備える。本実施例の顔撮影部3は、駆動部4によって検眼部2とともに移動される。もちろん、顔撮影部3は、例えば、基台5に対して固定され、移動しない構成でもよい。
【0032】
<検眼部>
検眼部2は、被検眼の測定,検査,撮影などを行う。検眼部2は、例えば、被検眼の屈折力を測定する測定光学系を備えてもよい。例えば、
図3に示すように、検眼部2は、測定光学系20と、固視標呈示光学系40と、アライメント指標投影光学系50と、観察光学系(撮像光学系)60と、を備えてもよい。
【0033】
測定光学系20は、投影光学系(投光光学系)20aと、受光光学系20bと、を有している。投影光学系20aは、被検眼の瞳孔を介して眼底Efに光束を投影する。また、受光光学系20bは、瞳孔周辺部を介して眼底Efからの反射光束(眼底反射光)をリング状に取り出し、主に屈折力の測定に用いるリング状の眼底反射像を撮像する。
【0034】
投影光学系20aは、測定光源21と、リレーレンズ22と、ホールミラー23と、対物レンズ24と、を光軸L1上に有している。光源21は、リレーレンズ22から対物レンズ24、および、瞳孔中心部を介して眼底Efにスポット状の光源像を投影する。光源21は、移動機構33によって光軸L1方向に移動される。ホールミラー23には、リレーレンズ22を介した光源21からの光束を通過させる開口が設けられている。ホールミラー23は、被検眼の瞳孔と光学的に共役な位置に配置されている。
【0035】
受光光学系20bは、ホールミラー23と、対物レンズ24と、を投影光学系20aと共用する。また、受光光学系20bは、リレーレンズ26と、全反射ミラー27と、を有している。更に、受光光学系20bは、受光絞り28と、コリメータレンズ29と、リングレンズ30と、撮像素子32と、をホールミラー23の反射方向の光軸L2上に有している。撮像素子32には、エリアCCD等の二次元受光素子を用いることができる。受光絞り28、コリメータレンズ29、リングレンズ30、及び撮像素子32は、移動機構33によって、投影光学系20aの測定光源21と一体的に光軸L2方向に移動される。移動機構33によって光源21が眼底Efと光学的に共役な位置に配置される場合、受光絞り28及び撮像素子32も、眼底Efと光学的に共役な位置に配置される。
【0036】
リングレンズ30は、対物レンズ24からコリメータレンズ29を介して導かれる眼底反射光を、リング状に整形するための光学素子である。リングレンズ30は、リング状のレンズ部と、遮光部と、を有している。また、受光絞り28及び撮像素子32が、眼底Efと光学的に共役な位置に配置される場合、リングレンズ30は、被検眼の瞳孔と光学的に共役な位置に配置される。撮像素子32では、リングレンズ30を介したリング状の眼底反射光(以下、リング像という)が受光される。撮像素子32は、受光したリング像の画像情報を、CPU71に出力する。その結果、CPU71では、表示部7でのリング像の表示、およびリング像に基づく屈折力の算出等が行われる。
【0037】
また、
図3に示すように、本実施例では、対物レンズ24と被検眼との間に、ダイクロイックミラー39が配置されている。ダイクロイックミラー39は、光源21から出射された光、および、光源21からの光に応じた眼底反射光を透過する。また、ダイクロイックミラー39は、後述の固視標呈示光学系40からの光束を被検眼に導く。更に、ダイクロイックミラー39は、後述のアライメント指標投影光学系50からの光の前眼部反射光を反射して、その前眼部反射光を観察光学系60に導く。
【0038】
図3に示すように、被検眼の前方には、アライメント指標投影光学系50が配置されている。アライメント指標投影光学系50は、主に、被検眼に対する光学系の位置合わせ(アライメント)に用いられる指標像を前眼部に投影する。アライメント指標投影光学系50は、リング指標投影光学系51と、指標投影光学系52と、を備える。リング指標投影光学系51は、被検者眼Eの角膜に拡散光を投影し、リング指標を投影する。リング指標投影光学系51は、本実施例の眼科装置1では、被検者眼Eの前眼部を照明する前眼部照明としても用いられる。指標投影光学系52は、被検眼の角膜に平行光を投影し、無限遠指標を投影する。
【0039】
視標呈示光学系40は、光源41、固視標42、リレーレンズ43、反射ミラー46の反射方向の光軸L4上に有している。固視標42は、他覚屈折力測定時に被検眼を固視させるために使用される。例えば、光源41によって固視標42が照明されることによって、被検眼に呈示される。
【0040】
光源41及び固視標42は、駆動機構48によって光軸L4の方向に一体的に移動される。光源41及び固視標42の移動によって、固視標の呈示位置(呈示距離)を変更してもよい。これによって、被検眼に雲霧をかけて屈折力測定を行うことができる。
【0041】
前眼撮影光学系60は、撮像レンズ61と、撮像素子62とを、ハーフミラー63の反射方向の光軸L3上に備える。撮像素子62は、被検眼の前眼部と光学的に共役な位置に配置される。撮像素子62は、リング指標投影光学系61によって照明される前眼部を撮像する。撮像素子62からの出力は、CPU71に入力される。その結果、撮像素子62によって撮像される被検眼の前眼部画像Iaが、表示部7に表示される(
図2参照)。また、撮像素子62では、アライメント指標投影光学系50によって被検眼の角膜に形成されるアライメント指標像(本実施例では、リング指標および無限遠指標)が撮像される。その結果、CPU71は、撮像素子62の撮像結果に基づいてアライメント指標像を検出できる。また、CPU71は、アライメント状態の適否を、アライメント指標像が検出される位置に基づいて判定できる。
【0042】
<コントローラ>
コントローラ80は、検者の操作による入力を受け付け、入力に基づく操作信号を眼科装置1に対して送信する。これによって、検者はコントローラ80の操作によって眼科装置1を操作することができる。コントローラ80は、例えば、第1入力部81と、第2入力部82と、ファンクションボタン83と、通信部84と、制御部87と、記憶部86等を備えてもよい。第1入力部81は、例えば、XY平面における方向(例えば、上下方向、左右方向、斜め方向など)を入力する。第1入力部81は、例えば、傾倒可能なスティックタイプの入力部であり、傾倒方向、傾倒量、傾倒速度などが入力されてもよい。第2入力部82は、例えば、Z軸における前後方向を入力する。第2入力部82は、例えば、オンとオフを入力するボタンである。本実施例の第2入力部82は、例えば、前進ボタン82aと、後退ボタン82bを備える。
図4に示すように、第1入力部81は、例えば、コントローラ80の面F1に配置される。面F1は、例えば、コントローラ80の上面である。第2入力部82は、例えば、コントローラ80の面F2に配置される。面F2は、例えば、コントローラ80の前面である。例えば、第1入力部81は、グリップ85が把持された状態において親指で操作される位置に設けられる。例えば、第2入力部82は、グリップ85が把持された状態において、人差し指または中指で操作される位置に設けられる。
【0043】
このように、第1入力部81と第2入力部82が互いに異なる面に配置されることによって、操作性が向上する。例えば、第1入力部81は親指で操作し、第2操作部82は人差し指と中指で操作することによって、検者は第1入力部81または第2入力部82から指を離さずに安定した保持状態で3次元的なアライメント操作を行える。これによって、例えば、検者はコントローラ80または自身の指を目視することが減り、被検者と検眼部2との位置確認に集中できる。また、検者はコントローラ80を手から落下させることが少なくなる。
【0044】
仮に第1入力部81と第2入力部82が同じ面(例えば、面F1)に配置されたとすると、第1入力部81と第2入力部82を親指で操作することになり、XY方向の操作とZ方向の操作において、第1入力部81と第2入力部82との間で指を移動させなければならない。
【0045】
第1入力部81は、例えば、眼科装置1におけるXY平面内の方向を入力する。例えば、本実施例の第1入力部81は、スティック81aの傾倒方向に応じて上下左右の4方向、または上下左右斜め方向の8方向の入力を受け付ける。もちろん、8方向以上の細かい方向入力を受け付けてもよい。例えば、制御部87は、第1入力部81からの入力信号に応じて、眼科装置1に検眼部2をXY方向に移動させるための信号を送信する。装置制御部70は、第1入力部81からの信号に応じて検眼部2を移動させる。第1入力部81は、例えば、検者の親指で操作しやすい位置に配置される。親指は、他の指と離れており上下左右方向に移動させ易いと考えられるため、第1入力部81は2次元方向に操作できるようにしてもよい。
【0046】
第2入力部82は、例えば、Z軸方向を入力する。例えば、第2入力部82は、前進スイッチ82aと後退スイッチ82bを備える。例えば、制御部87は、第2入力部82からの入力信号に応じて、眼科装置1に検眼部をZ軸方向に前進または後退させるための信号を送信する。装置制御部70は、第2入力部からの信号に応じて検眼部2を移動させる。例えば、装置制御部70は、前進スイッチ82aが押されると検眼部2を被検者に近づく方向に前進させ、後退スイッチ82aが押されると検眼部2を被検者から遠ざかる方向に後退させる。
【0047】
もちろん、第2入力部82は、前進スイッチ82aと後退スイッチ82bでなくともよい。例えば、第2入力部82は、レバーを備え、レバーの倒れた方向によってZ方向の移動が指示されてもよい。また、例えば、第2入力部82は、ローラーを備え、ローラーの回転方向に応じてZ方向の移動が指示されてもよい。
【0048】
なお、第1入力部81と第2入力部82は、それぞれコントローラ80の左右対称な位置に配置されてもよい。例えば、
図5に示すように、コントローラ80を上から見たときに中心線(対称軸)V1の位置に配置されてもよい。この場合、左右どちらの手でも操作し易い。なお、第2入力部82は、面F3に配置されてもよい。面F3は、例えば、下面である。
【0049】
なお、コントローラ80は、ファンクションボタン83を備えてもよい。ファンクションボタン83は、例えば、各入力部の機能を切り換えるための入力を受け付ける。ファンクションボタン83は、例えば、第1入力部81と同じ面に設けられてもよい。ファンクションボタン83は、例えば、面F1に設けられてもよい。ファンクションボタン83は、例えば、上面に設けられてもよい。ファンクションボタン83は、例えば、親指の付近に設けられてもよい。ファンクションボタン83は、例えば、第1入力部81を親指の腹で操作している状態で、第1関節によって操作可能な位置に設けられてもよい。例えば、ファンクションボタン83は、対称軸V1の位置に配置されてもよい。もちろん、ファンクションボタン83は、親指付近に無くてもよい。例えば、ファンクションボタン83は、人差し指や中指等の付近にあってもよい。ファンクションボタン83を押す場合は、両手を用いてもよい。
【0050】
例えば、制御部87は、ファンクションボタン83が押されることによって機能切換入力を受け付けると、第1入力部81または第2入力部82からの入力を、左右眼切換信号、顎台駆動信号等に変換してもよい。
【0051】
上記のように、ファンクションボタン83を備えることによって、ボタンの数を減らすことができ、また、同じボタンに複数の機能を割り当てることによって、指を他のボタンに移動させる手間を減少させるができる。
【0052】
例えば、装置制御部70は、ファンクションボタン83が押されているときに、第2入力部82によって方向が入力されると、顎台11を上下方向に移動させてもよい。例えば、装置制御部70は、ファンクションボタン83によって機能切換入力を受け付けている状態で、第2入力部82の前進ボタン32aが押されると顎台11を上方向に移動させ、後退ボタン82bが押されると顎台11を下方向に移動させてもよい。これによって、検者は、コントローラ80によって顎台11の高さを変更できる。
【0053】
例えば、装置制御部70は、ファンクションボタン83が押されているときに、第2入力部82の前進ボタン82aと後退ボタン82bが同時押しされた場合、測定対象眼の切り換えを行ってもよい。例えば、被検者の右眼を測定し終えた後、ファンクションボタンと前進ボタン82aと後退ボタン82bが同時に押された場合、装置制御部70は、駆動部4を駆動させ、被検者の左眼を測定する位置まで検眼部2を移動させる。このように、検者は、コントローラ80によって測定対象眼を容易に切り換えることができる。
【0054】
<制御方法>
続いて、コントローラ80の操作によって被検眼の測定を行う場合についての制御動作の一例を
図6に基づいて説明する。なお、コントローラ80は、予め眼科装置1との接続が行われているものとする。
【0055】
(S1:アライメント(1))
まず、検者は、検眼部2の測定光軸の位置を被検眼Eに対して調整する。例えば、検者は、コントローラ80の第1入力部81と第2入力部82を操作することによって、被検眼と検眼部2との相対的な位置を調整する。例えば、装置制御部70は、コントローラ80から受信した信号に応じて検眼部2を移動させる。例えば、検者によってスティック81aが傾倒されると、制御部87は、スティック81aの傾倒方向、傾倒角度等を検出し、眼科装置1に送信する。装置制御部70は、コントローラ80からの信号を受信し、スティック81aの傾倒方向、傾倒角度等に応じて、検眼部2をXY方向に移動させる。また、例えば、検者によって前進ボタン82aまたは後退ボタン81bが押されると、制御部87は、前進ボタン82aまたは後退ボタン82bからの信号を検出し、眼科装置1に送信する。装置制御部70は、コントローラ80からの信号を受信し、検眼部2をZ方向に前進または後退させる。なお、装置制御部70は、第1入力部81または第2入力部82の入力時間の長さに応じて検眼部2の移動速度を制御してもよい。
【0056】
なお、被検眼Eが検眼部2の可動範囲外に位置する場合、検者は、コントローラ80を操作し、顎台11の高さを調整してもよい。例えば、検者は、ファンクションボタン83を押しながら、前進ボタン82aまたは後退ボタン82bを押す。制御部87は、ファンクションボタン83と第2入力部82からの信号を検出すると、眼科装置1に顎台11の高さを調整するための信号を送信する。例えば、制御部87は、ファンクションボタン83と前進ボタン82aが押された場合、顎台11を上方向に移動させるための信号を眼科装置1に送信する。また、制御部87は、ファンクションボタン83と後退ボタン82bが押された場合、顎台11を下方向に移動させるための信号を眼科装置1に送信する。装置制御部70は、コントローラからの信号を受信すると、顎台駆動部12を駆動させ、顎台の高さを調整する。
【0057】
(S2:測定(1))
検者は、例えば、表示部7に表示された被検者の観察画像Iaを見ながら、眼科装置1と被検眼Eとの位置合わせを行う。アライメントが完了すると、検者は、スティック81aを押し込む。制御部87は、スティック81aが押し込まれたことを検出すると測定開始信号を眼科装置1に送信する。装置制御部70は、コントローラ80からの測定開始信号を受信すると、検眼部2による被検眼Eの測定を開始する。
【0058】
(S3:測定眼切換)
検者は、一方の眼を測定し終えると、他方の眼に対してアライメントを行う。この場合、検者は、例えば、コントローラ80の操作によって測定対象眼を左右で切り換えてもよい。例えば、右眼測定後に左眼を測定する場合、検者はファンクションボタン83を押しながら前進ボタン82aと後退ボタン82bを同時押しする。制御部87は、ファンクションボタン83と前進ボタン82aと後退ボタン82bからの入力信号を検出し、測定対象眼を右眼から左眼に切り換えるための信号を眼科装置1に送信する。例えば、コントローラ80からの信号を受信すると、装置制御部70は、駆動部4を駆動させ、検眼部2を右眼の測定位置から左眼の測定位置に移動させる。例えば、装置制御部70は、検眼部2を左方向に移動させる。このとき、装置制御部70は、右眼の測定位置に関する情報に基づいて、予測される左眼の位置に向けて検眼部2を移動させてもよいし、顔撮影部3によって取得した左眼の位置情報に基づいて検眼部2を移動させてもよい。
【0059】
(S4:アライメント(2))
測定対象眼の切り換えが完了すると、検者はコントローラを操作してもう一方の眼に対する検眼部2のアライメントを行う。例えば、検者は表示部7に表示された観察画像Iaを見ながらスティックを操作し、検眼部2をXY方向に移動させる。
【0060】
(S5:測定(2))
アライメントが完了すると、検者は、コントローラ80のスティック81aを押し込み、測定開始の操作を行う。制御部87は、スティック81aが押し込まれると、眼科装置1に測定開始信号を送信する。眼科装置1は、コントローラ80から測定開始信号を受信すると、検眼部2による被検眼の測定を開始する。このとき、装置制御部70は、コントローラ80から測定開始信号を受信した位置で被検眼を測定してもよいし、輝点の位置が所定の範囲内になるように検眼部2を移動させてから被検眼Eの測定を自動で開始するようにしてもよい。検者は、測定が完了すると、コントローラ80の操作によって測定結果をプリントアウトするための操作を行ってもよい。
【0061】
なお、以上の説明では、コントローラ80によって手動でアライメントを行ったが、手動アライメントと自動アライメントを併用してもよい。例えば、装置制御部70は、顔撮影部3によって得られた顔の画像から被検眼を検出し、検眼部2を自動で移動させて粗アライメントを行う。検眼部2が被検眼に近づくことによって、観察光学系60に被検眼Eの前眼部が検出されるようになると、装置制御部70は、被検眼Eの前眼部画像からアライメント輝点を検出し、その位置に基づいて検眼部2の微アライメントを行ってもよい。検者は、自動アライメントの実行中にコントローラ80を操作することによって、手動アライメントを行ってもよい。例えば、装置制御部70は、自動アライメントの実行中にコントローラ80からの信号を受信すると、アライメントモードを自動アライメントモードから手動アライメントモードに変更してもよい。このように、検者は、自動アライメント中に割り込んで手動アライメントを行ってもよい。なお、手動アライメントモードから自動アライメントモードに戻す場合、検者は、例えば、コントローラ80の操作によってアライメントモードを切り換えてもよい。例えば、検者はファンクションボタン83を押しながらスティック81aを所定の方向に傾倒させる操作を行ってもよい。装置制御部70は、コントローラ80からの信号を受信し、アライメントモードを切り換えてもよい。
【0062】
なお、コントローラ80が曲面の場合、第1入力部81の設けられる面F1と、第2入力部82の設けられる面F2は、各入力部の作動方向で規定されてもよい。例えば、
図7に示すように、スティック81aの傾倒角度が0°の軸O1に垂直な面、ボタンの押し込み方向の軸O2と垂直な面などで規定されてもよい。
【0063】
なお、
図8に示すように、コントローラ80は、指を挿入できる挿入部89を備えてもよい。例えば、コントローラ80は、ピストル型であり、上面に第1入力部81があり、挿入部89の内部に第2入力部82が備わっていてもよい。このように、指を挿入する挿入部89が設けられることによって、コントローラを落とすことが少なくなる。
【0064】
なお、コントローラ80と眼科装置1との接続は、有線であってもよいし、無線であってもよい。有線接続の場合は、例えば、コントローラ80と眼科装置1がケーブル等で繋がれることで接続される。無線接続の場合、コントローラ80と眼科装置1とのペアリング設定を行う。ペアリング設定を行う場合、例えば、検者は、コントローラ80のファンクションボタン83を押しながら、第1入力部81のスティック81aを押し込む。制御部87は、ファンクションボタン83とスティック81aが同時に押されると、ペアリングモードを実行してもよい。この場合、制御部87は、接続可能な眼科装置1にペアリングが可能であることを通知してもよい。眼科装置1は、通知を受け取ったコントローラとペアリングを行うようにしてもよい。これによって、検者は簡単にペアリングの設定を行える。
【0065】
なお、コントローラ80および眼科装置1は、RFIDによってペアリングを切り換えてもよい。例えば、眼科装置1の通信部78はICリーダーを備え、コントローラ80の通信部84はICタグを備えてもよい。この場合、例えば、眼科装置1はコントローラ80のICタグを読み取り、読み取られたICタグの情報に基づいてペアリングの設定を行ってもよい。例えば、眼科装置1は、ICリーダーの設けられた部分に、入力部(例えば、第1入力部81、第2入力部82、ファンクションボタン83など)の少なくともいずれかを押しながら所定距離(例えば、数センチ)まで近づけられた場合に、コントローラ80とペアリングするようにしてもよい。これによって、複数の眼科装置1でコントローラ80を兼用する場合、コントローラ80で操作する眼科装置1の選択切り換えが容易になる。
【0066】
なお、装置制御部70は、第1入力部81と第2入力部82とによって入力される方向を切り換えてもよい。例えば、装置制御部70は、ファンクションボタン83が押された状態で第1入力部が所定の方向に傾倒されると、第1入力部81と第2入力部82とで入力方向を切り換えてもよい。例えば、装置制御部70は、第1入力モードから第2入力モードに切り換えてもよい。例えば、装置制御部70は、第1入力部81の入力方向をXY方向からZX方向に切り換え、第2入力部82の入力方向をZ方向からY方向に切り換えてもよい。これによって、検者は、第1入力モードと第2入力モードのうちで好きなモードを選択できる。
【0067】
なお、眼科装置1は、例えば、コントローラ80を装着するための装着部13を備えてもよい。例えば、装着部13は、筐体6、基台5などに設けられてもよい。装着部13を備えることによって、コントローラを紛失したり、落下させたりすることを抑制できる。また、例えば、装着部13はコントローラ80を自立した状態で保持してもよい。これによって、コントローラを安定した姿勢で操作できる。なお、コントローラは、検者だけでなく被検者によって使用されてもよい。