(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ローパスフィルタ効果を得る第1の撮影モードと、前記ローパスフィルタ効果を得ない第2の撮影モードと、前記ブラケット撮影を行うブラケット撮影モードの少なくとも1つを設定する第1の設定手段と、
前記第1の撮影モードにおいて、前記ローパスフィルタ効果が異なる少なくとも2つのモードを設定する第2の設定手段と、
を有し、
前記ブラケット撮影モードでは、前記ローパスフィルタ効果が異なる少なくとも2回のLPFオン撮影を行った後に、LPFオフ撮影を行う、
ことを特徴とする請求項1に記載の撮影装置。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1〜
図10を参照して、本発明による撮影装置をデジタル一眼レフカメラ10に適用した実施形態について説明する。
【0032】
図1に示すように、デジタルカメラ10は、カメラ本体20と、このカメラ本体20に着脱可能な交換式レンズ鏡筒30とを有している。
【0033】
交換式レンズ鏡筒30は、被写体側(
図1中の左側)から像面側(
図1中の右側)に向かって順に、撮影レンズ(撮影光学系、移動部材、振れ補正部材)32と、絞り(図示せず)とを有している。また、交換式レンズ鏡筒30は、撮影レンズ32のフォーカス駆動情報及びレンズ位置情報、並びに絞り(図示せず)の開口径情報などの各種情報を記憶したレンズCPU34を有している。交換式レンズ鏡筒30をカメラ本体20に装着した状態では、マウント接点(図示せず)を介して、レンズCPU34が記憶した各種情報が、カメラ本体20のカメラCPU100によって読み込まれる。なお、
図1では、撮影レンズ32が2枚のレンズからなるように描いているが、実際の撮影レンズ32は、例えば、固定レンズ、変倍時に移動する変倍レンズ、フォーカシング時に移動するフォーカシングレンズなどの3枚以上のレンズを含むことができる。
【0034】
カメラ本体20は、被写体側(
図1中の左側)から像面側(
図1中の右側)に向かって順に、可動ミラー(クイックリターンミラー)40と、シャッタ45と、イメージセンサ(移動部材、振れ補正部材)50とを有している。可動ミラー40の上方にはペンタプリズム41が設けられており、このペンタプリズム41の出射面側に接眼レンズ42が設けられている。
【0035】
可動ミラー40は、ミラー保持枠(図示せず)にミラー本体(図示せず)を固定してなり、ミラーボックス(図示せず)の内部に、回動軸40Xを中心にして回動自在に支持されている。可動ミラー40は、カメラCPU100による制御の下、ミラー駆動部43によって、
図1中に実線で示すミラーダウン位置と破線で示すミラーアップ位置との間で、回動軸40Xを中心として回動駆動される。可動ミラー40は、ミラーダウン位置にあるとき、撮影レンズ32から入射した被写体光をペンタプリズム41側に向けて反射する。可動ミラー40で反射された被写体光はペンタプリズム41によって正立像に変換されて接眼レンズ42から観察することができる。可動ミラー40は、ミラーアップ位置にあるとき、撮影レンズ32から入射した被写体光をシャッタ45とイメージセンサ50の側に通過させる。
【0036】
シャッタ45は、先幕と後幕の2枚のシャッタ膜で構成され、カメラCPU100による制御の下、シャッタ駆動部46によって、先幕と後幕を所定の時間差で走行させることにより、イメージセンサ50側に被写体光を通過させる。シャッタ45の先幕と後幕を走行させる所定の時間差によって露光時間が決定される。
【0037】
イメージセンサ50は、カメラCPU100による制御の下、イメージセンサ駆動制御部51によって駆動制御される。可動ミラー40がミラーアップ位置にあるとき、撮影レンズ32から入射してシャッタ45を通過した被写体光による被写体像がイメージセンサ50の受光面上に形成される。イメージセンサ50の受光面上に形成された被写体像は、マトリックス状に配置された多数の画素によって、電気的な画像信号に変換され、画像データとして、イメージセンサ駆動制御部51を介してカメラCPU100に出力される。カメラCPU100は、イメージセンサ50から入力した画像データに所定の画像処理を施して、これをLCD(表示部、警告部)60に表示し、画像メモリ65に記憶する。ここで画像メモリ65は、USBケーブルを介してPC等の外部機器に画像データを出力可能なメモリ、あるいはデジタルカメラ10(カメラ本体20)に挿脱自在なフラッシュメモリ等のメモリカードを意味しており、例えばライブビュー中に受光画像をLCD60に表示処理するための一時記憶を行うDRAM等の一時記憶メモリ(揮発性メモリ)を意味するものではない。
【0038】
図1ないし
図3に示すように、イメージセンサ50は、撮影光学系の光軸Zと直交するX軸方向とY軸方向(直交二方向)に移動可能に像振れ補正装置(駆動機構)70に搭載されている。像振れ補正装置70は、カメラ本体20のシャーシなどの構造物に固定される固定支持基板71と、イメージセンサ50を固定した、固定支持基板71に対してスライド可能な可動ステージ72と、固定支持基板71の可動ステージ72との対向面に固定した磁石M1、M2、M3と、固定支持基板71に可動ステージ72を挟んで各磁石M1、M2、M3と対向させて固定した、各磁石M1、M2、M3との間に磁気回路を構成する磁性体からなるヨークY1、Y2、Y3と、可動ステージ72に固定した、前記磁気回路の磁界内において電流を受けることにより駆動力を発生する駆動用コイルC1、C2、C3を有し、駆動用コイルC1、C2、C3に交流駆動信号を加えることにより、固定支持基板71に対して可動ステージ72(イメージセンサ50)が光軸直交平面内で駆動するようになっている。駆動用コイルC1、C2、C3に加える交流駆動信号は、カメラCPU100による制御の下、振れ補正駆動制御部73によって生成される。
【0039】
本実施形態では、磁石M1、ヨークY1及び駆動用コイルC1からなる磁気駆動手段と、磁石M2、ヨークY2及び駆動用コイルC2からなる磁気駆動手段(2組の磁気駆動手段)とがイメージセンサ50の長手方向(水平方向、X軸方向)に所定間隔で配置され、これにより可動ステージ72をY方向に駆動することができる。また、磁石M3、ヨークY3及び駆動用コイルC3からなる磁気駆動手段(1組の磁気駆動手段)がイメージセンサ50の長手方向と直交する短手方向(鉛直(垂直)方向、Y軸方向)に配置され、これにより可動ステージ72をX方向に駆動することができる。
【0040】
さらに固定支持基板71には、各駆動用コイルC1、C2、C3の近傍(中央空間部)に、磁石M1、M2、M3の磁力を検出して可動ステージ72(イメージセンサ50)の光軸直交平面内の位置を示す位置検出信号を検出するホールセンサH1、H2、H3が配置されている。ホールセンサH1、H2により可動ステージ72(イメージセンサ50)のY軸方向位置及び傾き(回転)が検出され、ホールセンサH3により可動ステージ72(イメージセンサ50)のX軸方向位置が検出される。カメラCPU100は、振れ補正駆動制御部73を介して、ジャイロセンサ(図示せず)が検出したカメラ本体20の光軸直交平面内の振れを示す振れ検出信号と、ホールセンサH1、H2、H3が検出したイメージセンサ50の光軸直交平面内の位置を示す位置検出信号とに基づいて、像振れ補正装置70によってイメージセンサ50を光軸直交平面内で駆動する。これにより、イメージセンサ50上への被写体像の結像位置を変位させて、手振れに起因する像振れを補正することができる。本実施形態ではこの動作を「イメージセンサ50の像振れ補正動作(像振れ補正駆動)」と呼ぶ。
【0041】
本実施形態の像振れ補正装置70は、撮影光学系の光軸Zと直交する平面内において所定軌跡を描くようにイメージセンサ50をLPF駆動して、被写体光束をイメージセンサ50の検出色の異なる複数の画素に入射させることにより、光学的なローパスフィルタ効果(以下、LPF効果と呼ぶことがある)を与える。本実施形態ではこの動作を「イメージセンサ50のローパスフィルタ動作(LPF駆動)」と呼ぶ。
【0042】
本実施形態の像振れ補正装置70は、イメージセンサ50をその像振れ補正動作範囲(像振れ補正駆動範囲)の中央位置で保持する「イメージセンサ50の中央保持動作(中央保持駆動)」を実行する。例えば、「イメージセンサ50の像振れ補正動作(像振れ補正駆動)」と「イメージセンサ50のローパスフィルタ動作(LPF駆動)」がともにオフの場合には、「イメージセンサ50の中央保持動作(中央保持駆動)」のみをオンにして撮影が行われる(像振れ補正を行わなくても中央保持は行う)。
【0043】
「イメージセンサ50の像振れ補正動作(像振れ補正駆動)」、「イメージセンサ50のローパスフィルタ動作(LPF駆動)」及び「イメージセンサ50の中央保持動作(中央保持駆動)」は、これらの合成動作(合成駆動)として像振れ補正装置70によって実現される態様、あるいは、これらのいずれか1つの動作(駆動)のみが単独で像振れ補正装置70によって実現される態様が可能である。
【0044】
図4を参照して、像振れ補正装置70が、撮影光学系の光軸Zを中心とする回転対称な円形軌跡を描くようにイメージセンサ50をLPF駆動して、該イメージセンサ50によってLPF効果を得るためのLPF動作について説明する。同図において、イメージセンサ50は、受光面にマトリックス状に所定の画素ピッチPで配置された多数の画素50aを備え、各画素50aの前面にベイヤ配列のカラーフィルタR、G、Bのいずれかが配置されている。各画素50aは、前面のいずれかのカラーフィルタR、G、Bを透過して入射した被写体光線の各色成分(色帯域)の光を光電変換し、その強さ(輝度)に応じた電荷を蓄積する。
【0045】
露光中にイメージセンサ50を所定の円形軌跡を描くようにLPF駆動すると、各カラーフィルタR、G、B(画素50a)の中央に入射した被写体光線(光束)が、4個のカラーフィルタR、G、B、Gに均等に入射するので、光学的なローパスフィルタと同等の効果が得られる。つまり、どのカラーフィルタR、G、B、G(画素50a)に入射した光線も、必ずその周辺のカラーフィルタR、G、B、G(画素50a)に入射するので、恰も光学的なローパスフィルタを光線が通過したのと同等の効果(LPF効果)が得られるのである。
【0046】
さらに、イメージセンサ50の駆動範囲、すなわちイメージセンサ50が描く円形軌跡の半径を段階的に切り替えることで、イメージセンサ50によるLPF効果の大小を段階的に切り替えることができる。イメージセンサ50が描く円形軌跡の半径を長くすることでLPF効果を大きくすることができ、イメージセンサ50が描く円形軌跡の半径を短くすることでLPF効果を小さくすることができる。表1に示すように、本実施形態では、イメージセンサ50の駆動範囲ならびにLPF効果を「OFF」、「TYPE1(小)」、「TYPE2(大)」の3段階で切り替えることができる。イメージセンサ50の駆動範囲ならびにLPF効果が「OFF」とは、イメージセンサ50をLPF駆動することなく(ただし像振れ補正駆動を行うことはある)、従ってLPF効果が得られない状態を意味する。なお、本実施形態では、イメージセンサ50の画素ピッチPに対して、「TYPE1(小)」であるときにイメージセンサ50が描く円形軌跡の半径が{π/(4×21/2)}Pであり、「TYPE2(大)」であるときにイメージセンサ50が描く円形軌跡の半径が(π/4)Pであるものとする。
【表1】
【0047】
カメラ本体20の背面には、LCD60が設けられている。LCD60は、ライブビューモード(撮影待機モード)におけるライブビュー画像のリアルタイム表示、撮影画像(静止画像、動画像、その他の各種画像)の再生表示、デジタルカメラ10の各種設定の確認及び変更等を行うための表示を行う。またLCD60は、デジタルカメラ10による撮影モードの1つであるローパスセレクタに関する各種設定の確認及び変更等を行う表示を行う。
【0048】
カメラ本体20の背面には、デジタルカメラ10の各種設定の確認及び変更等を行うための操作スイッチ(第2の切り替え手段)80が設けられている。操作スイッチ80を操作することによって、絞り値、シャッタスピード、ISO感度、ストロボ、セルフタイマ等の各種設定を行うことができる。また、操作スイッチ80を操作することによって、デジタルカメラ10の撮影モードとして、バルブ撮影モード、連写撮影モード、露出ブラケット撮影モード、多重露光撮影モード、ミラーアップ撮影モード、自動撮影モード(シーン認識や露出値を自動で決定)、動画撮影モード及びライブビューモードの少なくとも1つを含む他の撮影モードの設定のオンオフを切り替えることができる。カメラ本体20の上面には、デジタルカメラ10による撮影を行うためのシャッタレリーズボタン85が設けられている。
【0049】
なお、操作スイッチ80とは別に、バルブ撮影モード、自動撮影モード及び動画撮影モード等を設定するためのモードダイヤル(図示せず)を設け、その他の撮影モードを操作スイッチ80によって設定可能にする態様も可能である。
【0050】
操作スイッチ80は、デジタルカメラ10による撮影モードの1つであるローパスセレクタに関する各種設定の確認及び変更等を行うためのローパスセレクタ操作スイッチ(第1の切り替え手段)82を有している。ローパスセレクタ操作スイッチ82は、操作スイッチ80とは別個のスイッチとして設けられていてもよいし、操作スイッチ80による機能の一部として実現されていてもよい。ローパスセレクタ操作スイッチ(第1の切り替え手段)82と操作スイッチ(第2の切り替え手段)80は、それぞれ別個独立して、デジタルカメラ10の撮影モードを設定可能である。
【0051】
ローパスセレクタ操作スイッチ82は、デジタルカメラ10による撮影モードの1つであるローパスセレクタを、「OFF」、「TYPE1」、「TYPE2」、「LPFブラケット」のいずれかに設定することができる。
図5は、LCD60に表示されたローパスセレクタのモード選択画面を示している。同図の例では、「ローパスセレクタ」の項目から分岐して、「OFF」、「TYPE1」、「TYPE2」、「LPFブラケット」のアイコンが上から下に向かって順に並んでおり、これら4つのアイコンのいずれかをローパスセレクタ操作スイッチ82によって選択および設定することができる。
【0052】
カメラCPU100は、ローパスセレクタ撮影制御部(ブラケット撮影手段)110を有している。ローパスセレクタ撮影制御部110は、ローパスセレクタ操作スイッチ82によって設定されたローパスセレクタのモードに応じた撮影を実行するように、カメラ本体20内の各構成要素を制御する。ローパスセレクタ撮影制御部110による撮影制御は、例えば、撮影者によるシャッタレリーズボタン85の押下をトリガーとして実行される。
【0053】
ローパスセレクタ撮影制御部110は、ローパスセレクタのモードが「OFF」に設定されているときは、イメージセンサ50の駆動範囲ならびにLPF効果を上記表1の「OFF」に設定して、像振れ補正装置70によりイメージセンサ50をLPF駆動することなく光学的なローパスフィルタ効果を得ない状態でイメージセンサ50による画像信号を記録する(得る)LPFオフ撮影を実行する。ただし、像振れ補正装置70によるイメージセンサ50の像振れ補正駆動を行うことはある。
【0054】
ローパスセレクタ撮影制御部110は、ローパスセレクタのモードが「TYPE1」に設定されているときは、イメージセンサ50の駆動範囲ならびにLPF効果を上記表1の「TYPE1(小)」に設定して、像振れ補正装置70によりイメージセンサ50をLPF駆動させて光学的なローパスフィルタ効果を得た状態でイメージセンサ50による画像信号を記録する(得る)LPFオン撮影を実行する。
【0055】
ローパスセレクタ撮影制御部110は、ローパスセレクタのモードが「TYPE2」に設定されているときは、イメージセンサ50の駆動範囲ならびにLPF効果を上記表1の「TYPE2(大)」に設定して、像振れ補正装置70によりイメージセンサ50をLPF駆動させて光学的なローパスフィルタ効果を得た状態でイメージセンサ50による画像信号を記録する(得る)LPFオン撮影を実行する。
【0056】
ローパスセレクタ撮影制御部(ブラケット撮影手段)110は、ローパスセレクタのモードが「LPFブラケット」に設定されているときは、以下の3回の撮影を連続して実行することにより3枚の撮影画像を得る「LPFブラケット撮影」を実行する。
1回目の撮影において、ローパスセレクタ撮影制御部110は、イメージセンサ50の駆動範囲ならびにLPF効果を上記表1の「OFF」に設定して、像振れ補正装置70によりイメージセンサ50をLPF駆動することなく光学的なローパスフィルタ効果を得ない状態でイメージセンサ50による画像信号を記録する(得る)LPFオフ撮影を実行する。ただし、像振れ補正装置70によるイメージセンサ50の像振れ補正駆動を行うことはある。
2回目の撮影において、ローパスセレクタ撮影制御部110は、イメージセンサ50の駆動範囲ならびにLPF効果を上記表1の「TYPE1(小)」に設定して、像振れ補正装置70によりイメージセンサ50をLPF駆動させて光学的なローパスフィルタ効果を得た状態でイメージセンサ50による画像信号を記録する(得る)LPFオン撮影を実行する。
3回目の撮影において、ローパスセレクタ撮影制御部110は、イメージセンサ50の駆動範囲ならびにLPF効果を上記表1の「TYPE2(大)」に設定して、像振れ補正装置70によりイメージセンサ50をLPF駆動させて光学的なローパスフィルタ効果を得た状態でイメージセンサ50による画像信号を記録する(得る)LPFオン撮影を実行する。
このように、ローパスセレクタ撮影制御部110は、最初の1回目の撮影において、LPFオフ撮影を実行し、その後の2、3回目のLPFオン撮影において、イメージセンサ50の駆動量および光学的なローパスフィルタ効果を段階的に大きくしながら2回の撮影を実行する。
以上の「LPFブラケット撮影」によって得られた3枚の撮影画像は、LCD60に表示され、画像メモリ65に記憶される。
【0057】
別の態様では、ローパスセレクタ撮影制御部(ブラケット撮影手段)110は、上述の1回目−3回目の撮影の順番を逆にして実行することができる。
1回目の撮影において、ローパスセレクタ撮影制御部110は、イメージセンサ50の駆動範囲ならびにLPF効果を上記表1の「TYPE2(大)」に設定して、像振れ補正装置70によりイメージセンサ50をLPF駆動させて光学的なローパスフィルタ効果を得た状態でイメージセンサ50による画像信号を記録する(得る)LPFオン撮影を実行する。
2回目の撮影において、ローパスセレクタ撮影制御部110は、イメージセンサ50の駆動範囲ならびにLPF効果を上記表1の「TYPE1(小)」に設定して、像振れ補正装置70によりイメージセンサ50をLPF駆動させて光学的なローパスフィルタ効果を得た状態でイメージセンサ50による画像信号を記録する(得る)LPFオン撮影を実行する。
3回目の撮影において、ローパスセレクタ撮影制御部110は、イメージセンサ50の駆動範囲ならびにLPF効果を上記表1の「OFF」に設定して、像振れ補正装置70によりイメージセンサ50をLPF駆動することなく光学的なローパスフィルタ効果を得ない状態でイメージセンサ50による画像信号を記録する(得る)LPFオフ撮影を実行する。ただし、像振れ補正装置70によるイメージセンサ50の像振れ補正駆動を行うことはある。
このように、ローパスセレクタ撮影制御部110は、最初の1、2回目のLPFオン撮影において、イメージセンサ50の駆動量および光学的なローパスフィルタ効果を段階的に小さくしながら2回の撮影を実行し、その後の3回目の撮影において、LPFオフ撮影を実行することができる。
以上の「LPFブラケット撮影」によって得られた3枚の撮影画像は、LCD60に表示され、画像メモリ65に記憶される。
【0058】
カメラCPU100は、表示制御部(拡大表示制御部、比較表示制御部)120を有している。この表示制御部120は、LPFオン撮影によって得たLPFオン撮影画像、及び/又は、LPFオフ撮影によって得たLPFオフ撮影画像の、LCD60への表示を制御する。
【0059】
表示制御部(拡大表示制御部)120は、LCD60にLPFオン撮影画像、及び/又は、LPFオフ撮影画像の一部を拡大表示させる機能を有している。
【0060】
表示制御部(拡大表示制御部)120は、LCD60にLPFオン撮影画像、及び/又は、LPFオフ撮影画像を拡大表示させるとき、当該LPFオン撮影画像、及び/又は、LPFオフ撮影画像を強制的に等倍表示させることができる。
あるいは、表示制御部120は、LCD60にLPFオン撮影画像、及び/又は、LPFオフ撮影画像を拡大表示させる場合において、当該LPFオン撮影画像、及び/又は、LPFオフ撮影画像が等倍表示されていないときに、例えば、「等倍表示しないとモアレや偽色の有無の確認が正確に行えません」といった等倍表示を促すための警告をLCD(警告部)60に表示させることができる。併せて、同様の警告を図示しないスピーカー(警告部)から音声により発生させてもよい。あるいは、同様の警告をLED点灯や振動により発生させてもよい。本実施形態では、撮影レンズ32の一部をなすレンズまたはイメージセンサ50を光軸直交方向に駆動して防振を行っているので、その防振ユニットを揺らしたり駆動端点にぶつけたりして振動を発生させれば、部品点数が増えることはない。
ちなみに、LPFオン撮影画像、及び/又は、LPFオフ撮影画像を等倍表示しないと、モアレや偽色の有無が正確に行えない理由は次の通りである。すなわち、縮小表示だと、画素を間引いて表示することになり、モアレや偽色の出方が変わったり出なくなったりすることがあるからである。これに対し、LPFオン撮影画像、及び/又は、LPFオフ撮影画像を等倍表示すれば、撮影者がモアレや偽色の発生状況を正確に判断することが可能になる。
このように、撮影者が操作ボタンを操作することにより、LCD60にLPFオン撮影画像、及び/又は、LPFオフ撮影画像を等倍表示させることができ、撮影者は、等倍表示されたLPFオフ撮影画像によってモアレや偽色の発生状況を正確に把握し、等倍表示されたLPFオン撮影画像によってモアレや偽色の除去効果を正確に確認することができる。
【0061】
表示制御部(拡大表示制御部)120は、LCD60にLPFオン撮影画像を拡大表示させるとき、当該LPFオン撮影画像を強制的に等倍表示させ、LCD60にLPFオフ撮影画像を拡大表示させるとき、当該LPFオフ撮影画像を等倍表示に限定することなく拡大倍率を可変しながら拡大表示させることができる。
【0062】
図6に示すように、表示制御部(拡大表示制御部)120は、LCD60に拡大表示させる撮影画像が切り替えられたとき、その切り替えの前後に亘って、撮影画像の対応する同一部分を拡大表示させる。撮影画像の切り替えは、例えば、LPF動作が「TYPE1(小)」のLPFオン撮影画像とLPF動作が「TYPE2(大)」のLPFオン撮影画像との間の切り替え、及び、LPF動作が「OFF」のLPFオフ撮影画像とLPF動作が「TYPE1(小)」または「TYPE2(大)」のLPFオン撮影画像との間の切り替えを含む。
図6は前者の例を示している。
これにより、撮影者が、LPFブラケット撮影によって得た複数枚の画像を拡大して見比べるときに、モアレや偽色の除去状態を確認しやすくなる。
【0063】
図7に示すように、表示制御部(比較表示制御部)120は、LCD60に、LPFオン撮影によって得たLPFオン撮影画像とLPFオフ撮影によって得たLPFオフ撮影画像を比較可能に並べて表示させる。これにより、撮影者は、解像度やコントラストを極限まで向上させた撮影画像(LPFオフ撮影画像)とモアレや偽色の発生を防止した撮影画像(LPFオン撮影画像)とを同時に見比べることができる。なお、
図7では、2枚の撮影画像を比較可能に並べて表示しているが、3枚以上の撮影画像を比較可能に並べて表示する態様も可能である。
【0064】
図8のフローチャートを参照して、本発明によるデジタルカメラ10の第1の動作(撮影方法)について説明する。同図の例では、ローパスセレクタのモードが「OFF」、「TYPE1」、「TYPE2」、「LPFブラケット」のいずれかに設定されているものとする。
【0065】
ローパスセレクタのモードが「OFF」に設定されている場合において、シャッタレリーズボタン85が押下されたとき(ステップS1:YES、ステップS2:「OFF」)、ローパスセレクタ撮影制御部110は、イメージセンサ50をセンター位置に保持して振れ補正駆動を開始し(ステップS3)、LPF動作なしでLPFオフ撮影を実行し(ステップS4)、イメージセンサ50をセンター位置に保持して振れ補正駆動を終了する(ステップS5)。ステップS4で撮影した1枚の撮影画像は、LCD60に表示され、画像メモリ65に記憶される(ステップS17)。
【0066】
ローパスセレクタのモードが「TYPE1」に設定されている場合において、シャッタレリーズボタン85が押下されたとき(ステップS1:YES、ステップS2:「TYPE1」)、ローパスセレクタ撮影制御部110は、イメージセンサ50をセンター位置に保持して振れ補正駆動を開始し(ステップS6)、半径{π/(4×21/2)}Pの円形軌跡を描くようにイメージセンサ50をLPF駆動してLPF効果を得た状態でLPFオン撮影を実行し(ステップS7)、イメージセンサ50をセンター位置に保持して振れ補正駆動を終了する(ステップS8)。ステップS7で撮影した1枚の撮影画像は、LCD60に表示され、画像メモリ65に記憶される(ステップS17)。
【0067】
ローパスセレクタのモードが「TYPE2」に設定されている場合において、シャッタレリーズボタン85が押下されたとき(ステップS1:YES、ステップS2:「TYPE2」)、ローパスセレクタ撮影制御部110は、イメージセンサ50をセンター位置に保持して振れ補正駆動を開始し(ステップS9)、半径(π/4)Pの円形軌跡を描くようにイメージセンサ50をLPF駆動してLPF効果を得た状態でLPFオン撮影を実行し(ステップS10)、イメージセンサ50をセンター位置に保持して振れ補正駆動を終了する(ステップS11)。ステップS10で撮影した1枚の撮影画像は、LCD60に表示され、画像メモリ65に記憶される(ステップS17)。
【0068】
ローパスセレクタのモードが「LPFブラケット」に設定されている場合において、シャッタレリーズボタン85が押下されたとき(ステップS1:YES、ステップS2:「LPFブラケット」)、ローパスセレクタ撮影制御部110は、イメージセンサ50をセンター位置に保持して振れ補正駆動を開始し(ステップS12)、LPF動作なしでLPFオフ撮影を実行し(ステップS13)、半径{π/(4×21/2)}Pの円形軌跡を描くようにイメージセンサ50をLPF駆動してLPF効果を得た状態でLPFオン撮影を実行し(ステップS14)、半径(π/4)Pの円形軌跡を描くようにイメージセンサ50をLPF駆動してLPF効果を得た状態でLPFオン撮影を実行し(ステップS15)、イメージセンサ50をセンター位置に保持して振れ補正駆動を終了する(ステップS16)。ステップS13、S14、S15でブラケット撮影した3枚のブラケット撮影画像は、LCD60に表示され、画像メモリ65に記憶される(ステップS17)。
【0069】
図9のフローチャートを参照して、本発明によるデジタルカメラ10の第2の動作(撮影方法)について説明する。同図の例は、ライブビューモード(撮影待機モード)中にシャッタレリーズボタン85を押下することにより撮影を実行する場合を示している。
【0070】
デジタルカメラ10がライブビューモード(撮影待機モード)に設定されると(ステップS1’:YES)、ローパスセレクタ撮影制御部110は、イメージセンサ50をセンター位置に保持して振れ補正駆動を開始する(ステップS2’)。このライブビューモード中、像振れ補正装置70は、イメージセンサ50の振れ補正駆動のみを行ってLPF駆動を行わない。
【0071】
ライブビューモード中にシャッタレリーズボタン85が押下されると(ステップS3’:YES)、ライブビューモードの設定が解除され、ローパスセレクタ撮影制御部110は、ローパスセレクタのモードに応じた撮影動作を実行させる(ステップS4’:「OFF」、「TYPE1」、「TYPE2」、「LPFブラケット」)。
【0072】
ローパスセレクタのモードが「OFF」に設定されている場合において、シャッタレリーズボタン85が押下されたとき(ステップS3’:YES、ステップS4’:「OFF」)、ローパスセレクタ撮影制御部110は、像振れ補正装置70により像振れ補正駆動のみを行ってLPF動作を行わない状態でLPFオフ撮影を実行する(ステップS5’)。ステップS5’で撮影した1枚の撮影画像は、LCD60に表示され、画像メモリ65に記憶される(ステップS6’)。
【0073】
ローパスセレクタのモードが「TYPE1」に設定されている場合において、シャッタレリーズボタン85が押下されたとき(ステップS3’:YES、ステップS4’:「TYPE1」)、ローパスセレクタ撮影制御部110は、像振れ補正装置70により像振れ補正駆動とともに半径{π/(4×21/2)}Pの円形軌跡を描くようにイメージセンサ50をLPF駆動してLPF効果を得た状態でLPFオン撮影を実行する(ステップS7’)。ステップS7’で撮影した1枚の撮影画像は、LCD60に表示され、画像メモリ65に記憶される(ステップS6’)。
【0074】
ローパスセレクタのモードが「TYPE2」に設定されている場合において、シャッタレリーズボタン85が押下されたとき(ステップS3’:YES、ステップS4’:「TYPE2」)、ローパスセレクタ撮影制御部110は、像振れ補正装置70により像振れ補正駆動とともに半径(π/4)Pの円形軌跡を描くようにイメージセンサ50をLPF駆動してLPF効果を得た状態でLPFオン撮影を実行する(ステップS8’)。ステップS8’で撮影した1枚の撮影画像は、LCD60に表示され、画像メモリ65に記憶される(ステップS6’)。
【0075】
ローパスセレクタのモードが「LPFブラケット」に設定されている場合において、シャッタレリーズボタン85が押下されたとき(ステップS3’:YES、ステップS4’:「LPFブラケット」)、ローパスセレクタ撮影制御部110は、像振れ補正装置70により像振れ補正駆動のみを行ってLPF動作を行わない状態でLPFオフ撮影を実行し(ステップS9’)、像振れ補正装置70により像振れ補正駆動とともに半径{π/(4×21/2)}Pの円形軌跡を描くようにイメージセンサ50をLPF駆動してLPF効果を得た状態でLPFオン撮影を実行し(ステップS10’)、像振れ補正装置70により像振れ補正駆動とともに半径(π/4)Pの円形軌跡を描くようにイメージセンサ50をLPF駆動してLPF効果を得た状態でLPFオン撮影を実行する(ステップS11’)。ステップS9’、S10’、S11’でブラケット撮影した3枚のブラケット撮影画像は、LCD60に表示され、画像メモリ65に記憶される(ステップS6’)。
【0076】
ローパスセレクタによる撮影が完了して、デジタルカメラ10がライブビューモードに設定される(復帰する)と(ステップS12’:YES)、イメージセンサ50がセンター位置に保持されて振れ補正駆動が終了する(ステップS13’)。
【0077】
図10のフローチャートを参照して、本発明によるデジタルカメラ10の第3の動作(撮影方法)について説明する。同図の例は、ローパスセレクタ操作スイッチ(第1の切り替え手段)82と操作スイッチ(第2の切り替え手段)80がそれぞれ別個独立してデジタルカメラ10の撮影モードを設定している場合を示している。
【0078】
ローパスセレクタのモードが「OFF」に設定されている場合において、シャッタレリーズボタン85が押下されたとき(ステップS1”:YES、ステップS2”:「OFF」)、ローパスセレクタ撮影制御部110は、イメージセンサ50をセンター位置に保持して振れ補正駆動を開始し(ステップS3”)、LPF動作なしでLPFオフ撮影を実行し(ステップS4”)、イメージセンサ50をセンター位置に保持して振れ補正駆動を終了する(ステップS5”)。ステップS4”で撮影した1枚の撮影画像は、LCD60に表示され、画像メモリ65に記憶される(ステップS19”)。
【0079】
ローパスセレクタのモードが「TYPE1」に設定されている場合において、シャッタレリーズボタン85が押下されたとき(ステップS1”:YES、ステップS2”:「TYPE1」)、ローパスセレクタ撮影制御部110は、イメージセンサ50をセンター位置に保持して振れ補正駆動を開始し(ステップS6”)、半径{π/(4×21/2)}Pの円形軌跡を描くようにイメージセンサ50をLPF駆動してLPF効果を得た状態でLPFオン撮影を実行し(ステップS7”)、イメージセンサ50をセンター位置に保持して振れ補正駆動を終了する(ステップS8”)。ステップS7”で撮影した1枚の撮影画像は、LCD60に表示され、画像メモリ65に記憶される(ステップS19”)。
【0080】
ローパスセレクタのモードが「TYPE2」に設定されている場合において、シャッタレリーズボタン85が押下されたとき(ステップS1”:YES、ステップS2”:「TYPE2」)、ローパスセレクタ撮影制御部110は、イメージセンサ50をセンター位置に保持して振れ補正駆動を開始し(ステップS9”)、半径(π/4)Pの円形軌跡を描くようにイメージセンサ50をLPF駆動してLPF効果を得た状態でLPFオン撮影を実行し(ステップS10”)、イメージセンサ50をセンター位置に保持して振れ補正駆動を終了する(ステップS11”)。ステップS10”で撮影した1枚の撮影画像は、LCD60に表示され、画像メモリ65に記憶される(ステップS19”)。
【0081】
ローパスセレクタのモードが「LPFブラケット」に設定されている場合において、シャッタレリーズボタン85が押下されたとき(ステップS1”:YES、ステップS2”:「LPFブラケット」)、ローパスセレクタ撮影制御部110は、操作スイッチ(第2の切り替え手段)80によって、デジタルカメラ10の撮影モードとして、バルブ撮影モード、連写撮影モード、露出ブラケット撮影モード、多重露光撮影モード及びミラーアップ撮影モードのいずれかが設定されているか否かを判定する(ステップS12”、ステップS13”)。
【0082】
判定の結果、操作スイッチ(第2の切り替え手段)80によって、バルブ撮影モード、連写撮影モード、露出ブラケット撮影モード、多重露光撮影モード及びミラーアップ撮影モードのいずれかが設定されているときは(ステップS12”:YES、ステップS13”:YES)、ローパスセレクタ撮影制御部110は、操作スイッチ(第2の切り替え手段)80による撮影モードの設定を優先する。そしてローパスセレクタ撮影制御部110は、ローパスセレクタのモードを強制的に「OFF」に設定して、上記ステップS3”、S4”、S5”、S19”において、操作スイッチ(第2の切り替え手段)80により設定された撮影モードでの撮影を実行する。
【0083】
判定の結果、操作スイッチ(第2の切り替え手段)80によって、バルブ撮影モード、連写撮影モード、露出ブラケット撮影モード、多重露光撮影モード及びミラーアップ撮影モードのいずれも設定されていないときは(ステップS12”:NO、ステップS13”:NO)、ローパスセレクタ撮影制御部110は、LPFブラケット撮影を実行する。すなわち、ローパスセレクタ撮影制御部110は、イメージセンサ50をセンター位置に保持して振れ補正駆動を開始し(ステップS14”)、LPF動作なしでLPFオフ撮影を実行し(ステップS15”)、半径{π/(4×21/2)}Pの円形軌跡を描くようにイメージセンサ50をLPF駆動してLPF効果を得た状態でLPFオン撮影を実行し(ステップS16”)、半径(π/4)Pの円形軌跡を描くようにイメージセンサ50をLPF駆動してLPF効果を得た状態でLPFオン撮影を実行し(ステップS17”)、イメージセンサ50をセンター位置に保持して振れ補正駆動を終了する(ステップS18”)。ステップS15”、S16”、S17”でブラケット撮影した3枚のブラケット撮影画像は、LCD60に表示され、画像メモリ65に記憶される(ステップS19”)。
【0084】
図10のフローチャートでは、ローパスセレクタ操作スイッチ(第1の切り替え手段)82によって「LPFブラケット撮影モード」が設定されており、且つ、操作スイッチ(第2の切り替え手段)80によって、バルブ撮影モード、連写撮影モード、露出ブラケット撮影モード、多重露光撮影モード及びミラーアップ撮影モードのいずれかが設定されているときに、操作スイッチ(第2の切り替え手段)80による撮影モードの設定を優先している。
これに対し、同様の場合に、ローパスセレクタ操作スイッチ(第1の切り替え手段)82による「LPFブラケット撮影モード」の設定を優先する態様も可能である。この態様では、操作スイッチ(第2の切り替え手段)80による撮影モードの設定を受け付けず、またはこれを無効とする。この態様におけるデジタルカメラ10の動作は、
図8、
図9のフローチャートに示した動作と同じである。
【0085】
このように、本実施形態では、ローパスセレクタ撮影制御部(ブラケット撮影手段)110が、像振れ補正装置(駆動機構)70によりイメージセンサ(移動部材、振れ補正部材)50をLPF駆動させて光学的なローパスフィルタ効果を得た状態でイメージセンサ50による画像信号を得るLPFオン撮影と、像振れ補正装置(駆動機構)70によりイメージセンサ(移動部材、振れ補正部材)50をLPF駆動することなく光学的なローパスフィルタ効果を得ない状態でイメージセンサ50による画像信号を得るLPFオフ撮影と、を含む複数回の撮影を実行する。これにより、高価な光学ローパスフィルタを使用することなく、解像度やコントラストを極限まで向上させた撮影画像とモアレや偽色の発生を防止した撮影画像とを同時に得ることができ、撮影者の撮影趣向に柔軟に対応することができる。
【0086】
以上の実施形態では、イメージセンサ50を「移動部材、振れ補正部材」として、このイメージセンサ50を光軸直交平面内でLPF駆動する態様を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、撮影レンズ(撮影光学系)32の少なくとも一部をなすレンズを「移動部材、振れ補正部材」として、このレンズを交換式レンズ鏡筒30内に設けたボイスコイルモータ(駆動機構)によって光軸直交平面内でLPF駆動する態様も可能である。あるいは、イメージセンサ50と撮影レンズ(撮影光学系)32の少なくとも一部をなすレンズの双方を「移動部材、振れ補正部材」として、これらを光軸直交平面内でLPF駆動する態様も可能である。いずれの態様であっても、イメージセンサ50上への被写体像の結像位置を変位させて像振れを補正するとともに、被写体光束をイメージセンサ50の検出色の異なる複数の画素に入射させて光学的なローパスフィルタ効果を得ることができる。
【0087】
以上の実施形態では、像振れ補正動作及びLPF動作を実行するために、像振れ補正装置(駆動機構)70を介してイメージセンサ(移動部材、振れ補正部材)50を光軸直交平面内で駆動する場合を例示して説明したが、イメージセンサ(移動部材、振れ補正部材)50を駆動する方向はこれに限定されず、撮影光学系の光軸と異なる方向であればよい。
【0088】
以上の実施形態では、イメージセンサ50が描く所定軌跡を、撮影光学系の光軸Zを中心とする回転対称な円形軌跡とした場合を例示して説明したが、これに限定されず、例えば、撮影光学系の光軸Zを中心とする回転対称な正方形軌跡、あるいは、撮影光学系の光軸Zと直交する平面内における直線往復移動軌跡としてもよい。
【0089】
また、イメージセンサ50を、撮影光学系の光軸Zと直交する平面内において、水平方向と垂直方向のいずれか一方向あるいはその両方向に駆動(微小振動)させてもよい。これにより、例えば、水平方向と垂直方向の一方向にのみ空間周波数が高い箇所がある被写体に対して、解像度の劣化を最大限に抑制しつつ、モアレや偽色を軽減した画像を得ることができる。さらに、イメージセンサ50を駆動(微小振動)させる量(強弱)をその方向毎に個別設定可能にしてもよい。これにより、各方向で個別にモアレや偽色の除去効果を設定することができ、より撮影者の意図に合致した画像を得ることが可能になる。
【0090】
以上の実施形態では、像振れ補正装置(駆動機構)70の構成として、固定支持基板71に磁石M1、M2、M3及びヨークY1、Y2、Y3を固定し、可動ステージ72に駆動用コイルC1、C2、C3を固定した場合を例示して説明したが、この位置関係を逆にして、可動ステージに磁石及びヨークを固定し、固定支持基板に駆動用コイルを固定する態様も可能である。
【0091】
以上の実施形態では、カメラ本体20と交換式レンズ鏡筒30を着脱可能(レンズ交換可能)とした態様を例示して説明したが、これらを一体化してレンズ交換不能とする態様も可能である。
【0092】
以上の実施形態では、本発明の撮影装置を、可動ミラー(クイックリターンミラー)40を有するデジタル一眼レフカメラ10に適用した場合を例示して説明した。しかし、本発明の撮影装置は、可動ミラー(クイックリターンミラー)を省略した、いわゆるミラーレスタイプのデジタルカメラにも同様に適用可能である。
【0093】
以上の実施形態では、イメージセンサ50の駆動範囲ならびにLPF効果を「OFF」、「TYPE1(小)」、「TYPE2(大)」の3段階で切り替える場合を例示して説明したが、イメージセンサ50の駆動範囲ならびにLPF効果をもっと大まかに又はもっと詳細に設定する態様も可能である。例えば、イメージセンサ50の駆動範囲ならびにLPF効果を「OFF」と「ON」の2段階で切り替える態様、イメージセンサ50の駆動範囲ならびにLPF効果を「OFF」、「TYPE1」、「TYPE2」、「TYPE3」、「TYPE4」、「TYPE5」、「TYPE6」の7段階(数字が大きい方がイメージセンサ50の駆動範囲ならびにLPF効果が大きいものとする)で切り替える態様も可能である。
【0094】
以上の実施形態では、LPFオン撮影において、光学的なローパスフィルタ効果を段階的に大きく又は小さくしながら複数回の撮影を実行する場合を例示して説明した。しかし、LPFオン撮影において、光学的なローパスフィルタ効果を段階的に異ならせながら複数回の撮影を実行すればよく、必ずしも、光学的なローパスフィルタ効果を段階的に大きく又は小さくしながら複数回の撮影を実行しなくてもよい。
【0095】
以上の実施形態では、ローパスセレクタのモードが「LPFブラケット」に設定されている場合において、シャッタレリーズボタン85が1回押下されたときに、「LPFブラケット撮影」を行って3枚の撮影画像を得るようになっているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、ローパスセレクタのモードが「LPFブラケット」に設定されている場合において、シャッタレリーズボタン85が長押しされている間にだけ、「LPFブラケット撮影」を継続して行う態様も可能である。この態様では、シャッタレリーズボタン85を長押しする時間が長いほど、「LPFブラケット撮影」により得られる撮影画像の枚数が多くなり、シャッタレリーズボタン85を長押しする時間が短いほど、「LPFブラケット撮影」により得られる撮影画像の枚数が少なくなる。
【0096】
本発明は、以上の実施形態の「LPFブラケット撮影」と従来の「露出ブラケット撮影」を掛け合わせて実施する態様も可能である。例えば、露出量を「±0」、「+1」、「−1」の3段階で変化させる露出ブラケット撮影と、LPF動作を「OFF」、「TYPE1」の2段階で変化させるLPFブラケット撮影を掛け合わせることで、以下の6枚(種類)の撮影画像を一度に得ることができる。
・露出量「±0」かつLPF動作「OFF」
・露出量「±0」かつLPF動作「TYPE1」
・露出量「+1」かつLPF動作「OFF」
・露出量「+1」かつLPF動作「TYPE1」
・露出量「−1」かつLPF動作「OFF」
・露出量「−1」かつLPF動作「TYPE1」
さらに、露出量を「±0」、「+1」、「−1」の3段階で変化させる露出ブラケット撮影と、LPF動作を「OFF」、「TYPE1」、「TYPE2」の3段階で変化させるLPFブラケット撮影を掛け合わせることで、以下の9枚(種類)の撮影画像を一度に得ることができる。
・露出量「±0」かつLPF動作「OFF」
・露出量「±0」かつLPF動作「TYPE1」
・露出量「±0」かつLPF動作「TYPE2」
・露出量「+1」かつLPF動作「OFF」
・露出量「+1」かつLPF動作「TYPE1」
・露出量「+1」かつLPF動作「TYPE2」
・露出量「−1」かつLPF動作「OFF」
・露出量「−1」かつLPF動作「TYPE1」
・露出量「−1」かつLPF動作「TYPE2」