(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数の足場部材のうち前記柵部を備える前記足場部材以外の前記足場部材は、前記搬送装置の走行時に、前記収容部に積み重ねられた状態で収容される、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のストッカ。
前記搬送装置は、前記走行スペースを走行する走行部と、前記走行部から上下方向に設けられかつ平面視において外周の一部が弧状のマストと、前記マストに沿って昇降する移載部と、を備える、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のストッカ。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。ただし、本発明はこの形態に限定されない。また、図面においては実施形態を説明するため、一部分を大きくまたは強調して記載するなど適宜縮尺を変更して表現している。以下の各図において、XYZ座標系を用いて図中の方向を説明する。このXYZ座標系においては、水平面に平行な平面をXY平面とする。このXY平面において搬送装置1の走行方向をX方向と表記し、水平方向のうちX方向に直交する方向をY方向と表記する。また、XY平面に垂直な方向はZ方向と表記する。X方向、Y方向及びZ方向のそれぞれは、図中の矢印の方向が+方向であり、矢印の方向とは反対の方向が−方向であるとして説明する。
【0015】
[実施形態]
図1及び
図2は、実施形態に係るストッカの一例を概念的に示す図である。
図1は+Z側から見た上面図である。
図2は−Y側から見た正面図である。
【0016】
本実施形態のストッカSは、例えば、半導体工場などに設けられ、半導体ウエハを収容したFOUP、あるいはレチクルなどの加工用部材を収容したレチクルポッドなどの物品Fを保管する。本実施形態の搬送装置1は、スタッカクレーンである。ストッカSは、外部に対して隔離可能な内部空間を有する。ストッカSは、ストッカSの外部と内部空間とで物品Fが受け渡される入出庫ポート(図示せず)を備えている。ストッカSは、搬送装置1、保管棚2、扉3、一対のレール4、足場部材5、及び収容部6を備える。
【0017】
保管棚2は、ストッカSの内部に配置され、物品Fを収容する。保管棚2は、複数設けられる。各保管棚2は、搬送装置1の移動方向(X方向)に対する交差方向(Y方向)の両側(+Y側及び−Y側)に配置されている。各保管棚2は、複数の棚板及び縦板を備え、複数の物品Fを収容可能である。
【0018】
搬送装置1は、ストッカS内の走行スペースSPを走行し物品Fを搬送する。走行スペースSPは、+Y側及び−Y側の保管棚2の間に設けられている。搬送装置1は、走行部8(
図2参照)、マスト9、及び移載部10を備える。
【0019】
図2の走行部8は、軌道11(図示せず)に沿って走行する。軌道11は、ストッカS内の上部(図示せず)及び下部に設けられている。上部及び下部の軌道11は、それぞれ、+Y側及び−Y側の保管棚2の間に設けられる。上部及び下部の軌道11は、それぞれ、X方向と平行な方向に配置される。上部及び下部の軌道11の−X側には、走行部8の走行を規制するストッパ12が設けられる。ストッパ12は、走行部8の走行範囲を規制する。走行部8は、例えば電動モータなどの走行駆動部、減速機、駆動輪、エンコーダなどを有する。駆動輪は、軌道11に接するように配置され、減速機を介して電動モータ(走行駆動部)の出力軸に接続される。電動モータの出力軸の回転が減速機を介して駆動輪に伝えられ、駆動輪の回転により走行部8が走行する。走行駆動部(電動モータ)は、回転型のモータでもよいし、リニアモータでもよい。
【0020】
上部のおよび下部の走行部8の間には上下方向(鉛直方向)に延びるマスト9が設けられている。マスト9は、上部の走行部8および下部の走行部8と一体となって移動する(
図2参照)。マスト9は、
図1に示すように、上方から見て(平面視において)、円形の一部の形状であり、外周の一部が弧状である。マスト9は、上方から見て、略半円形状の一部が切り欠かれた形状の切り欠き部9aを備え、C字状の形状である。マスト9は、回転支持部(図示せず)を介して、走行部8に対して鉛直方向と平行な所定の回転軸を中心に回転可能に支持され、電動モータなどの回転駆動部(図示せず)の駆動により回転する(
図1参照)。マスト9は、回転する際、マスト9の円弧状の外周9bの軌道が、上方から見て略円状の軌道となる。マスト9は、物品Fを移載する際、物品Fが移載先の方向に向くように回転する。マスト9は、+Y側の保管棚2に物品Fを搬送する場合、
図1の実線に示すように、物品Fが+Y側に向くように回転する。また、マスト9は、−Y側の保管棚2に物品Fを搬送する場合、
図1の1点鎖線に示すように、物品Fが−Y側に向くように回転する。
【0021】
移載部10は、物品Fを所定の位置に移載する。移載部10は、昇降台14、及び移載装置15を備える。昇降台14は、マスト9の切り欠き部9aに配置される(
図1参照)。昇降台14をマスト9の切り欠き部9aに配置する場合、装置のサイズをコンパクトにすることができる。昇降台14は、マスト9に沿って昇降する(
図2参照)。昇降台14は、マスト9に設けられる鉛直方向に延びるガイド16に案内される。昇降台14は、ワイヤなどの吊り下げ部材によって、上方から吊り下げられている。搬送装置1は、吊り下げ部材を駆動する昇降駆動部(図示せず)を備えている。この昇降駆動部は、吊り下げ部材の繰り出しあるいは巻取を行う。昇降台14は、昇降駆動部が吊り下げ部材を巻き取ると、マスト9に案内されて上昇する。また、昇降台14は、昇降駆動部が吊り下げ部材を繰り出すと、マスト9に案内されて下降する。
【0022】
移載装置15は、物品Fを移載する。移載装置15は、昇降台14に設けられている。移載装置15は、昇降台14の昇降とともに昇降する(
図2参照)。移載装置15は、アーム部18と、保持部19と、回転駆動部20を備える(
図1参照)。アーム部18は、伸縮アームである。アーム部18は、2つのアームが関節を介して接続された構造である。アーム部18は、2つのアームが関節で折り曲がることで、水平方向に伸縮可能である。アーム部18は、その基端側が回転駆動部20に接続されている。アーム部18の先端側には、物品Fを位置決めして保持する保持部19が回転可能に接続されている。移載装置15は、
図1の実線に示すように、移載先へ物品Fを渡す際に、移載先に対してアーム部18が伸長して、保持部19上の物品Fを移載先の上方に配置する。そして、昇降台14が下降することによって、保持部19から移載先へ物品Fを渡す。また、移載装置15が保管棚2などの移載元から物品Fを受け取る際に、保持部19は、移載元に配置された物品Fに対してアーム部18が伸びて、物品Fの底面の下に配置される。そして、移載装置15は、昇降台14が上昇することによって、保持部19が物品Fをすくい上げる。そして、移載装置15は、
図1の点線に示すように、保持部19上に物品Fが保持された状態でアーム部18が縮み、物品Fを昇降台14の上で保持する。
【0023】
上記のように、搬送装置1は、走行スペースSPを走行する走行部8と、走行部8から上下方向に設けられかつ平面視において外周の一部が弧状のマスト9と、マスト9に沿って昇降する移載部10と、を備えるので、物品Fを効率よく移載することができる。
【0024】
ところで、ストッカSは、作業者Uによるメンテナンス作業が行われることがある。作業者Uは、メンテナンス作業を行う際、ストッカS内とストッカSの外を区画する扉3からストッカS内にアクセスする。作業者Uによるメンテナンス作業は、ストッカS内の高所で行われることがある。ストッカS内の高所でのメンテナンス作業は、高所作業用の足場を設置して行われる。
【0025】
本実施形態のストッカSは、
図2に示すように、所定の高さごとに、ストッカSの最上部の近傍まで、扉3、作業用足場SCを設置する足場設置機構22、及び床面24を備える。足場設置機構22は、一対のレール4、足場部材5(パレット)、及び収容部6を備える。各高さに設けられる床面24には、はしご(図示せず)が設けられており、作業者Uは、はしごを使って、各高さの床面24に移動することができる。このように、本実施形態のストッカSは、所定の高さごとに足場を設置することができるので、高所の各場所におけるメンテナンス作業を容易に実施できる。
【0026】
一対のレール4は、
図2に示すように、足場部材5を支持しガイドする。一対のレール4は、
図1に示すように、走行スペースSPを挟んで水平方向(X方向)に平行に延在する。一対のレール4は、後に説明する収容部6の内部からストッカSの+X側の端部まで伸びている。この構成により、収容部6内からストッカSの+X側の端部との間において、足場部材5の移動及び設置ができる。
【0027】
図3は、収容部及び扉の部分を示す斜視図である。一対のレール4は、
図3に示すように、ストッカS内から扉3の直下を通り収容部6まで延びて配置される。扉3の直下には、開口部26が設けられている。開口部26は、一対のレール4及び足場部材5を、ストッカSの外部と内部とを通すために用いられる。開口部26のY方向の幅及びZ方向の高さは、足場部材5が開口部26を通過可能な間隔に設定される。扉3の直下に一対のレール4及び足場部材5が通過可能な開口部26が設けられる場合、扉3を閉めた状態で足場部材5をストッカS内に設置することができる。この場合、足場部材5をストッカS内に設置する作業中に、扉3から作業者UがストッカS内に進入するのを規制することができる。なお、開口部26には、開口部26を開閉可能なカバー(図示せず)が設けられている。開口部26は、足場部材5を設置しないときにはカバーで閉じられる。また、開口部26は、足場部材5を設置するときには、カバーが開けられて開口される。
【0028】
図4は、扉を開けた状態で、ストッカの外側からストッカの内部を見た図である。一対のレール4は、ストッカS内において、保管棚2の内部における一部分に配置される。一対のレール4は、+Y側及び−Y側の保管棚2の内部に配置される。また、足場部材5も、そのY側の両端が、+Y側及び−Y側の保管棚2の内部に配置される。このように、一対のレール4及び足場部材5の少なくとも一部が+Y側及び−Y側の保管棚2の内部に配置される場合、+Y側の保管棚2と−Y側の保管棚2との間を、足場部材5で隙間なく覆うことができる。この場合、この隙間からの落下物を確実に防止することができる。
【0029】
また、一対のレール4は、それぞれ、足場部材5の上下方向の移動、及び水平方向(Y方向)の移動を規制する。この場合、足場部材5を確実に支持及びガイドすることができる。一対のレール4は、それぞれ、レール4の長手方向(−X方向)と直交する面(YZ平面)の断面がC字状である。一対のレール4は、C字状の断面に足場部材5の車輪5bが嵌まり込むことにより、足場部材5の上下方向の移動、及び水平方向(Y方向)の移動を規制する。
【0030】
図2の説明に戻り、足場部材5を説明する。足場部材5は、複数設けられる。各足場部材5は、矩形板状であり、複数の足場部材5を配列することで、一体的な作業用足場SCが形成される。各足場部材5は、複数の車輪5bを備え(
図5参照)、一対のレール4に沿って走行(移動)可能である。複数の車輪5bは、
図1に示すように、足場部材5の+Y側及び−Y側の側部(側面)に4つ設けられている。
【0031】
図2に示すように、複数の足場部材5のうち少なくとも1つは、柵部28を備える。柵部28は作業者Uの移動を規制する。以下の説明において、柵部28を備える足場部材5を柵付足場部材5Aと称す。柵付足場部材5Aは、搬送装置1による物品Fの搬送時を含む搬送装置1の走行時に、扉3に対してストッカS内側でありかつ走行スペースSP(X方向)に対して扉3側の位置に配置される(
図1参照)。柵付足場部材5Aは、開口部26(
図3参照)を介してストッカS内とストッカS外とを跨いで配置され、かつ柵部28がストッカS内側に配置される(
図2に実線で示す柵付足場部材5A参照)。この構成により、柵付足場部材5Aは、搬送装置1の走行範囲からはずれたデッドスペースDSに配置される。柵付足場部材5Aを上記の位置に配置する場合、
図4に示すように、扉3を開けたときに、扉3の近傍に柵部28が起立している状態となる。このように、柵付足場部材5Aが扉3に対してストッカS内側でありかつ走行スペースSPに対して扉3側の位置に配置される場合、あるいは柵付足場部材5Aが、開口部26を介してストッカS内とストッカS外とを跨いで配置され、かつ柵部28がストッカS内側に配置される場合、作業用足場SCが形成されていない状態で作業者UがストッカSの扉3を開いたときに、扉3に対してストッカS内側に柵部28が起立しているので、扉3から作業者UがストッカS内に進入するのを規制することができる。また、柵付足場部材5Aは、開口部26を介してストッカS内とストッカS外とを跨いで配置され、かつ柵部28がストッカS内側に配置され、さらにデッドスペースDSに配置されるので、搬送装置1の走行を妨げずに柵付足場部材5Aを配置することができる。また、柵付足場部材5Aは、
図2に点線で示すように、作業用足場SCを形成する際に、一対のレール4に先頭で流し込まれる。作業用足場SCの形成については、後に動作の部分において説明する。
【0032】
柵部28について説明する。
図4に示すように、柵部28は足場部材5に起立して設けられる。柵部28は、上端が開口部26(
図3参照)の上端よりも高く形成される。柵部28は、複数の支柱28a、及び複数の水平部28bを備える。各支柱28aは、足場部材5から上方に延びており、それぞれ、Y方向と平行な方向に並んで配置される。各水平部28bは、Y方向と平行な方向に延びている。各水平部28bは、複数の支柱28a間に配置され、複数の支柱28aを連結する。複数の水平部28bのうち最上部の水平部28bは、足場部材5に乗った作業者Uの腰の位置より高く設定される(
図2参照)。柵部28が、足場部材5から上方に延びる複数の支柱28aと、複数の支柱28a間に配置される複数の水平部28bとを備え、最上部の水平部28bは、足場部材5に乗った作業者Uの腰の位置より高く設定される場合、複数の支柱28a及び複数の水平部28bによって柵部28の剛性を向上させることができ、さらに最上部の水平部28bが作業者Uの腰の位置より高いので、作業者Uに対して有効な柵部28として機能させることができる。なお、柵部28は、JIS、OSHA(Occupational Safety and Health Administration)のなどの規格を満たすように構成されている。また、本実施形態では、柵付足場部材5Aは、柵部28を安定して支持するため、前方(+X側)の車輪5bが足場部材5よりも前方に突出して設けられ、車輪5bと車輪5bとの間の間隔(ホイールベース)が、足場部材5よりも長めに設定される(
図1参照)。
【0033】
また、柵付足場部材5Aは、
図1に示すように、切り欠き部29を備える。切り欠き部29は、搬送装置1側(+X側)に設けられる。切り欠き部29は、マスト9の形状に対応した形状である。切り欠き部29には、マスト9の一部が入り込む。切り欠き部29は、
図1に示すように、搬送装置1が最も扉3に近接する位置(−X側の位置)に移動して回転動作を行う場合においても、マスト9の可動領域が切り欠き部29に配置され、マスト9に干渉しないように構成されている。上記のように、複数の足場部材5のうちマスト9に近接する足場部材5に切り欠き部29が設けられる場合、切り欠き部29にマスト9の一部を入り込ませることにより、外周の一部が弧状のマスト9に対して足場部材5を近接して配置することができる。この構成により、マスト9と足場部材5との隙間が小さくなるので、この隙間からの落下物を減少させることができる。
【0034】
足場部材5の連結について説明する。
図5(A)は、足場部材5を示す−Y方向から見た側面図である。
図5(B)及び(C)は、連結部材の動作を示す図である。
図5(D)は、複数の足場部材が連結した状態を示す図である。各足場部材5は、それぞれ、足場部材5と足場部材5とを連結する連結部材30を備える。連結部材30は、足場部材5の走行方向側(+X側)に突出する一対の突出フック31、及び一対の係合ピン32を備える。一対の突出フック31は、足場部材5の−Y側及び+Y側の側面に設けられる。各突出フック31の下方には、下方から上方に向けて延びる切り欠き部31aが形成される。各突出フック31は、先端から切り欠き部31aの開口端までは傾斜しており、この傾斜が傾斜部31bとなっている。一対の係合ピン32は、足場部材5の走行方向と反対側(−X側)の部分の−Y側及び+Y側の側面に設けられる。
【0035】
足場部材5の連結動作について説明する。2台の足場部材5を連結する場合、
図5(B)に示すように、前方(+X側)に配置される足場部材5に対して、後方から他の足場部材5を押し当てることにより、後方の足場部材5の突出フック31が前方の足場部材5の係合ピン32に当接し、さらに、傾斜部31b介して突出フック31が係合ピン32に乗り上げていき、そして、
図5(C)に示すように、係合ピン32が切り欠き部31aに係合する。この構成により、2台の足場部材5が連結される。そして、上記の連結動作を繰り返すことにより、
図5(D)に示すように、複数の足場部材5が連結される。
【0036】
図2の説明に戻り、収容部6は、複数の足場部材5を収容する。収容部6は、扉3に対してストッカS外側の近傍に設けられる。複数の足場部材5のうち柵付足場部材5A以外の足場部材5は、搬送装置1の走行時に、収容部6に積み重ねられた状態で収容される。この場合、複数の足場部材5を効率よく保管することができる。一対のレール4は、収容部6の内部まで延びて配置され、収容部6と接続されている。収容部6に収容された複数の足場部材5は、使用の際に、収容部6からレール4に直接流し込むことができる。また、作業用足場SCの形成に用いられた複数の足場部材5は、収容の際に、一対のレール4から直接収容部6に収容することができる。このように、一対のレール4が収容部6と接続されるので、容易かつ簡単に作業用足場SCを形成することができ、また、容易に複数の足場部材5を収容することができるので、作業者Uの負担を軽減することができる。
【0037】
次に、ストッカSの動作に基づいて、実施形態に係る作業用足場の形成方法について説明する。
図6は、作業用足場の形成方法の一例を示すフローチャートである。
図7から
図9は、ストッカSの動作を示す図である。作業用足場の形成方法は、ストッカSにおいて作業用足場を形成する方法である。
【0038】
ストッカSでは、
図6のステップS1において、搬送装置1の走行時に、複数の足場部材5のうち柵付足場部材5A以外の足場部材5を収容部6に収容し、柵付足場部材5Aを、開口部26(
図3参照)を介してストッカS内とストッカS外とを跨いで配置し、かつ柵部28をストッカS内側に配置する。複数の足場部材5のうち柵付足場部材5A以外の足場部材5は、例えば、
図2に示すように収容部6に積み重ねられた状態で収容される。この構成により、複数の足場部材5を効率よく保管することができる。
図7(A)に示すように、柵付足場部材5Aは、一対のレール4における、扉3に対してストッカS内側でありかつ走行スペースSPに対して扉3側の位置に配置される。この構成により、柵付足場部材5Aは、作業用足場SCにおいて先頭の足場部材5となる。また、柵付足場部材5Aを上記の位置に配置する場合、作業用足場SCが形成されていない状態で作業者UがストッカSの扉3を開いた場合に、扉3に対してストッカS内側に柵部28が起立しているので、扉3から作業者UがストッカS内に進入するのを規制することができる。また、柵付足場部材5Aは、搬送装置1の走行時に、上記の位置に配置されるので、搬送装置1の走行時に、扉3から作業者UがストッカS内に進入するのを確実に規制することができる。
【0039】
ストッカSでは、作業者Uによるメンテナンスなどの作業が必要となることがある。この際、作業が必要な場所に作業用足場SCを形成する。作業用足場SCの形成は、搬送装置1の停止時に行われる。作業用足場SCの形成に先立ち、
図6のステップS2において、搬送装置1を退避させ、停止させる。例えば、
図7(B)に示すように、搬送装置1を、ストッカSの+X側の端部に移動(退避)させ、停止させる。なお、搬送装置1は+X側の端部に移動させなくてもよい。例えば、搬送装置1を移動させる位置は、メンテナンスの場所に応じて設定されてもよい。
【0040】
続いて、
図6のステップS3において、搬送装置1の停止時に、柵付足場部材5Aの次に、収容部6から順次ストッカS内の一対のレール4に開口部26を通って足場部材5を流し込む。例えば、
図8(A)に示すように、収容部6から1つの足場部材5をレール4に流し込み、
図5(A)から(C)に示すように前方(+X側)の柵付足場部材5Aに押し当てることで、
図5(D)に示すように前方の柵付足場部材5Aと連結させる。前方の柵付足場部材5Aとの連結が完了した後、順次、一対のレール4に足場部材5を流し込み、上記した前方の足場部材5との連結を繰り返す。この構成により、
図8(B)に示すように、作業用足場SCが形成される。また、上記のように、作業用足場SCは、搬送装置1の停止時に形成されるので、作業用足場SCを形成する際における、足場部材5と搬送装置1との接触を抑制することができる。
【0041】
上記のように形成された作業用足場SCは、
図9に示すように、柵付足場部材5Aの切り欠き部29にマスト9の一部を入り込ませることにより、外周の一部が弧状のマスト9に対して足場部材5を近接して配置することができる。この構成により、マスト9と足場部材5との隙間が小さくなるので、この隙間からの落下物を減少させることができる。また、本実施形態では、柵部28は、一対のレール4に先頭で流し込まれる柵付足場部材5Aに設けられるので、柵部28を先頭に備える作業用足場SCを容易に形成することができ、さらに作業用足場SCを形成しないときに、扉3に対してストッカS内側の近傍に柵部28を配置することができる。また、本実施形態では、柵付足場部材5Aが扉3に対してストッカS内側に配置されるので、柵付足場部材5Aが扉3の直下の開口部26を通過するときに生じる干渉を回避することができる。
【0042】
以上のように、本発明のストッカS、及び作業用足場の形成方法によれば、柵部28を備える足場部材5(柵付足場部材5A)が、開口部26を介してストッカS内とストッカS外とを跨いで配置され、かつ柵部28がストッカS内側に配置されるので、作業者Uは、この柵部28を備える足場部材5に次いで、他の足場部材5を収容部6から順次レール4に流し込むことにより容易かつ簡単に作業用足場SCを形成することができ、作業者Uの負担を軽減することができる。また、作業用足場SCが形成されていない状態で作業者UがストッカSの扉3を開いた場合に、扉3に対してストッカS内側に柵部28が起立しているので、扉3から作業者UがストッカS内に進入するのを規制することができる。
【0043】
以上、実施形態について説明したが、本発明は、上述した説明に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。例えば、上記した実施形態では、搬送装置1がスタッカクレーンであるとして説明したが、搬送装置1はスタッカクレーンでなくてもよく、任意の搬送装置を用いることができる。また、上記した実施形態では、物品FがFOUPであるとして説明したが、物品FはFOUP以外でもよい。なお、ストッカSは、半導体分野以外の設備にも適用可能である。
【0044】
なお、上記した実施形態では、搬送装置1のマスト9が、平面視において外周の一部が弧状である例を説明したが、マスト9の形状は任意である。例えば、マスト9の形状は、上方から見て、略矩形状(正方形を含む)でもよいし、不定形でもよい。
【0045】
なお、上記した実施形態では、柵部28を備える足場部材5(柵付足場部材5A)が、扉3の内側でありかつ走行スペースSP(X方向)に対して扉3側の最も近い位置に配置される例を説明したが、柵部28を備える足場部材5の位置は、この位置に限定されない。例えば、搬送装置1の走行時に、ストッカS内側において、柵部28を備える足場部材5と扉3との間に複数の足場部材5が設けられてもよい。
【0046】
なお、上記した実施形態では、柵部28を備える足場部材5(柵付足場部材5A)が、複数の足場部材5のうち、搬送装置1に対して最も近接する位置に配置される例を示したが、柵部28を備える足場部材5の位置は、この位置に限定されない。例えば、搬送装置1の走行時に、ストッカS内側において、柵部28を備える足場部材5と搬送装置1との間に複数の足場部材5が設けられてもよい。
【0047】
なお、上記した実施形態では、柵部28を備える足場部材5(柵付足場部材5A)が、切り欠き部29を備える例を説明したが、切り欠き部29を備える足場部材5は、柵付足場部材5Aでなくてもよい。例えば、切り欠き部29を備える足場部材5は、複数の足場部材5のうちマスト9に近接する足場部材5であって、柵部28を備えない足場部材5でもよい。また、足場部材5は、切り欠き部29を備えなくてもよい。例えば、搬送装置1あるいはマスト9の形状が上方から見て、矩形状の場合、切り欠き部29を備えなくてもよい。
【0048】
なお、上記した実施形態では、柵部28を備える足場部材5(柵付足場部材5A)が、一対のレール4に先頭で流し込まれる例を説明したが、柵部28を備える足場部材5は、一対のレール4に、先頭以外の任意の位置で流し込まれてもよい。例えば、柵部28を備える足場部材5は、先頭から2番目から5番目のいずれかの位置で流し込まれてもよい。 また、法令で許容される限りにおいて、日本特許出願である特願2017−032048、及び本明細書で引用した全ての文献、の内容を援用して本文の記載の一部とする。