(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数のピニオンギヤと、それぞれ対応する前記ピニオンギヤに挿通される複数のピニオンシャフトと、それぞれ前記複数のピニオンシャフトの対応する端部を支持する2枚の支持プレートと、それぞれ前記2枚の支持プレートに溶接されて両者を繋ぐ複数のブリッジプレートとを含むプラネタリキャリヤの製造方法であって、
前記支持プレートを直線状に延びる複数の辺部を含むように板材から打ち抜く打ち抜き工程であって、前記支持プレートを、何れか1つの前記辺部が1ショット前の前記支持プレートの打ち抜きにより前記板材に形成された抜き穴の前記辺部の何れか1つに対応した内面と平行に延在するように前記板材から打ち抜く打ち抜き工程と、
前記複数のブリッジプレートを前記2枚の支持プレートの対応する前記辺部に溶接する溶接工程と、
を含むプラネタリキャリヤの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、図面を参照しながら、本開示の発明を実施するための形態について説明する。
【0011】
図1は、本開示のプラネタリキャリヤ10を示す斜視図であり、
図2は、プラネタリキャリヤ10の平面図である。これらの図面に示すプラネタリキャリヤ10は、変速機に適用されるシングルピニオン式の遊星歯車に含まれるものであり、複数(本実施形態では、例えば3つ)のピニオンギヤPGと、それぞれ対応するピニオンギヤPGに挿通される複数(本実施形態では、例えば3本)のピニオンシャフトPSとを有する(
図1では、何れも図示省略)。更に、プラネタリキャリヤ10は、各ピニオンシャフトPSの一端を支持する1枚の第1支持プレート11と、各ピニオンシャフトPSの他端を支持する1枚の第2支持プレート12と、第1および第2支持プレート11,12を繋ぐ複数(本実施形態では、例えば3枚)のブリッジプレート15とを含む。
【0012】
第1支持プレート11は、鋼板等の金属板を打ち抜き加工(プレス加工)して形成されるものであり、平坦な外面および内面11i(
図1参照)と、プラネタリキャリヤ10の軸心と同軸に延びる円孔(貫通孔)11oと、当該円孔11oの周囲でそれぞれ直線状に延びる複数の辺部11eと、隣り合う辺部11e同士を繋ぐ複数のコーナー部11cとを有する。
【0013】
本実施形態において、第1支持プレート11は、ピニオンギヤPGおよびブリッジプレート15と同数すなわち3つの辺部11eを有する。各辺部11eの側面は、平坦に形成されており、コーナー部11cを介して隣り合う2つの辺部11eの側面同士のなす角度は、60°である。これにより、第1支持プレート11は、
図2に示すように、略正三角形状(多辺形状)の平面形状を有することになる。また、本実施形態において、第1支持プレート11は、各辺部11eの側面がプラネタリキャリヤ10を平面視した際に複数のピニオンギヤPG(歯先円)に外接する多辺形(三角形)Pl(
図2参照)の対応する辺部よりも径方向内側(円孔11o側すなわちプラネタリキャリヤ10の軸心側)に位置するように形成されている。更に、第1支持プレート11は、各辺部11eの側面がプラネタリキャリヤ10を平面視した際に複数のシャフト孔11hに外接する多辺形(三角形)の対応する辺部よりも径方向外側に位置するように形成されている。
【0014】
また、第1支持プレート11の各コーナー部11cには、ピニオンギヤPGに挿通されたピニオンシャフトPSの一端が差し込まれるシャフト孔11hが形成されている。更に、各シャフト孔11hの周囲には、シャフト孔11hに差し込まれたピニオンシャフトPSの一端をカシメるためのカシメ溝11gが形成されている。また、各コーナー部11cの側面には、対応する辺部11eの側面と滑らかに連続すると共に応力集中が緩和されるように面取り形状(R形状)が付与されている。
【0015】
第2支持プレート12も、鋼板等の金属板を打ち抜き加工(プレス加工)して形成されるものであり、平坦な外面および内面12i(
図1参照)と、プラネタリキャリヤ10の軸心と同軸に延びる円孔(貫通孔)12oと、当該円孔12oの周囲でそれぞれ直線状に延びる複数の辺部12eと、隣り合う辺部12e同士を繋ぐ複数のコーナー部12cとを有する。本実施形態において、第2支持プレート12は、上記第1支持プレート11と同一の構造を有する。すなわち、第2支持プレート12は、第1支持プレート11と同一の略正三角形状(多辺形状)の平面形状を有し、ピニオンギヤPGおよびブリッジプレート15と同数すなわち3つの辺部12eを含む。そして、第2支持プレート12も、各辺部12eの側面がプラネタリキャリヤ10を平面視した際に複数のピニオンギヤPGに外接する多辺形(三角形)Pl(
図2参照)の対応する辺部よりも径方向内側(円孔12o側すなわちプラネタリキャリヤ10の軸心側)に位置するように形成されている。また、第2支持プレート12も、各辺部12eの側面がプラネタリキャリヤ10を平面視した際に複数のシャフト孔12hに外接する多辺形(三角形)の対応する辺部よりも径方向外側に位置するように形成されている。
【0016】
更に、第2支持プレート12の各コーナー部12cには、ピニオンギヤPGに挿通されたピニオンシャフトPSの他端が差し込まれるシャフト孔12hが形成されており、各シャフト孔12hの周囲には、シャフト孔12hに差し込まれたピニオンシャフトPSの他端をカシメるためのカシメ溝(図示省略)が形成されている。また、各辺部12eの側面は、平坦に形成されており、各コーナー部12cの側面には、対応する辺部12eの側面と滑らかに連続すると共に応力集中が緩和されるように面取り形状(R形状)が付与されている。
【0017】
各ブリッジプレート15は、鋼板等の金属板の打ち抜き加工(プレス加工)により長方形状の平面形状を有する平板状すなわち薄肉の直方体状に形成されたものである。各ブリッジプレート15の一方の端面は、第1支持プレート11の対応する辺部11eの内面11iに当接させられると共に、当該第1支持プレート11の径方向外側から電子ビーム溶接あるいはレーザー溶接により当該辺部11eに接合される。また、各ブリッジプレート15の他方の端面は、第2支持プレート12の対応する辺部12eの内面12iに当接させられると共に、当該第2支持プレート12の径方向外側から電子ビーム溶接あるいはレーザー溶接により当該辺部12eに接合される。更に、各ブリッジプレート15は、
図2に示すように、複数のピニオンギヤPGに噛合することになるリングギヤの歯先円Ctよりも径方向内側(円孔11o,12o側すなわちプラネタリキャリヤ10の軸心側)に位置するように第1および第2支持プレート11,12に接合される。本実施形態において、各ブリッジプレート15は、外面が辺部11e,12eの側面と面一になるように第1および第2支持プレート11,12に接合される。ただし、各ブリッジプレート15は、外面が辺部11e,12eの側面よりも径方向内側に位置するように第1および第2支持プレート11,12に接合されてもよい。
【0018】
これにより、各ブリッジプレート15の一端が第1支持プレート11に溶接部WPを介して接合されると共に他端が第2支持プレート12に溶接部WPを介して接合され、それにより複数のブリッジプレート15によって第1支持プレート11と第2支持プレート12とが強固に繋がれる。このようにして第1および第2支持プレート11,12並びに複数のブリッジプレート15が組み立てられた後、第1および第2支持プレート11,12の間には、隣り合うブリッジプレート15の側面の間から複数のピニオンギヤPGが順番に配置される。更に、第1および第2支持プレート11,12のシャフト孔11h,12hおよびピニオンギヤPGにピニオンシャフトPSが順番に挿通され、各ピニオンシャフトPSの両端部がカシメられる。これにより、複数のピニオンギヤPGが第1および第2支持プレート11,12により回転自在に支持され、プラネタリキャリヤ10が完成する。なお、複数のピニオンギヤPGに噛合する図示しないサンギヤは、円孔11oまたは12oを介して第1および第2支持プレート11,12の間に配置され、当該サンギヤに固定されたシャフト(図示省略)は、円孔11oおよび12oの少なくとも何れか一方を貫通する。
【0019】
上述のように、プラネタリキャリヤ10では、各ブリッジプレート15の一端が第1支持プレート11に溶接されると共に他端が第2支持プレート12に溶接され、それにより複数のブリッジプレート15によって第1支持プレート11と第2支持プレート12とが繋がれる。これにより、プラネタリキャリヤ10の強度を良好に確保することが可能となる。また、各ブリッジプレート15は、第1および第2支持プレート11,12の対応する辺部11e,12eに溶接されるので、プラネタリキャリヤ10に回転方向の剪断力が作用した際、各溶接部WPには当該剪断力の分力が作用し、各溶接部WPに作用する剪断力は当該回転方向の剪断力よりも小さくなる。従って、プラネタリキャリヤ10では、回転方向の剪断力に対する強度をより向上させることができる。
【0020】
そして、かかるプラネタリキャリヤ10では、第1および第2支持プレート11,12並びにブリッジプレート15の平面形状を上述のように単純化することができる。より詳細には、第1および第2支持プレート11,12は、シンプルな略正三角形状(多辺形状)の平面形状を有し、各ブリッジプレート15、極めてシンプルな長方形状の平面形状を有する。これにより、
図3Aに示すように、所定数のプラネタリキャリヤ10を製造するために必要な第1支持プレート11、第2支持プレート12およびブリッジプレート15の母材である板材101,102,105のサイズ(表面積)を、複数の脚部を有するキャリヤプレートCPおよびベースプレートBPを含むプラネタリキャリヤを所定数だけ製造するのに必要な母材(板材)のサイズ(
図3B参照)に比べて大幅に小さくすることができる。
【0021】
すなわち、第1および第2支持プレート11,12は、
図3Aからわかるように、何れか1つの辺部11e,12eが1ショット前の第1または第2支持プレート11,12の打ち抜きにより板材101,102に形成された抜き穴101h,102hの辺部11e,12eの何れか1つに対応した内面101hi,102hiと平行に延在するように図示しないパンチおよびダイスによって板材101または102から打ち抜かれる。また、ブリッジプレート15は、
図3Aからわかるように、何れか1つの辺部が1ショット前のブリッジプレート15の打ち抜きにより板材105に形成された抜き穴105hの辺部の何れか1つに対応した内面と平行に延在するように図示しないパンチおよびダイスによって板材105から打ち抜かれる。これにより、キャリヤプレートCPおよびベースプレートBPに比べて、母材である板材101,102,105における抜き穴101h,102h,105h同士の間隔(送りさんの幅)を大幅に狭めることが可能となり、端材の量を大幅に削減することができる。
【0022】
この結果、プラネタリキャリヤ10では、第1および第2支持プレート11,12並びにブリッジプレート15の母材のサイズを小さくすると共に材料歩留まりを向上させて、材料コストを大幅に低減化することが可能となる。ここで、3つの脚部を有するキャリヤプレートCPをベースプレートBPに溶接する際の溶接箇所が3箇所となるのに対して、3枚のブリッジプレート15を第1および第2支持プレート11,12に溶接する際の溶接箇所は6箇所となるが、プラネタリキャリヤ10における材料コストの低減代は、溶接箇所の数が増加することによる加工コストの増加代よりも充分に大きい。この結果、プラネタリキャリヤ10では、強度を良好に確保しつつ、製造コストを極めて良好に低減化することが可能となる。
【0023】
更に、第1支持プレート11、第2支持プレート12およびブリッジプレート15をそれぞれ別工程で形成することで、第1支持プレート11、第2支持プレート12およびブリッジプレート15の素材や厚み等を互いに異ならせることも可能となる。なお、第1支持プレート11、第2支持プレート12およびブリッジプレート15は、それぞれ板材101,102または105から1枚ずつ打ち抜かれてもよく、複数枚(例えば、2枚)ずつ打ち抜かれてもよい。
【0024】
また、上記実施形態において、各ブリッジプレート15は、第1支持プレート11の対応する辺部11eの内面11iおよび第2支持プレート12の対応する辺部12eの内面12iに溶接部WPを介して接合される。これにより、各ブリッジプレート15を低背化することが可能となり、材料コストをより一層低減化することができる。このように各ブリッジプレート15が第1支持プレート11の内面11iと第2支持プレート12の内面12iとの間に配置される場合、各ブリッジプレート15の高さの精度を確保するために、打ち抜き加工(プレス加工)後のブリッジプレート15の両端面に切削加工が施される。この際、ブリッジプレート15は、薄肉の直方体状に形成されることから、複数のブリッジプレート15の一方の端面に対して一括して切削加工を施すと共に、他方の端面に対して一括して切削加工を施すことができる。そして、かかる切削加工に要するコストは、組付精度を確保するために上述のキャリヤプレートCPの脚部の端部やベースプレートBPの弓状孔の内周面に施される切削加工に比べて大幅に低い。従って、プラネタリキャリヤ10では、上記キャリヤプレートCPやベースプレートBPを含むプラネタリキャリヤに比べて、切削に要するコスト(加工コスト)をも低減化することが可能となり、それにより製造コストを低減化することができる。
【0025】
更に、上記実施形態のように、第1および第2支持プレート11,12の辺部11e,12eの数をブリッジプレート15と同数にすることで、第1および第2支持プレート11,12の平面形状をより単純化することが可能となる。更に、第1および第2支持プレート11,12の辺部11e,12eの数をピニオンギヤPGの数と同数にすることで、第1および第2支持プレート11,12の平面形状をより一層単純化することが可能となる。ただし、第1および第2支持プレート11,12の辺部11e,12eの数は、平面形状が複雑化しないのであれば、ブリッジプレート15の数よりも多くてもよく、ピニオンギヤPGの数と異なっていてもよい。
【0026】
また、上記実施形態において、第1および第2支持プレート11,12は、各辺部11e,12e(側面)がプラネタリキャリヤ10を平面視した際に複数のピニオンギヤPGに外接する多辺形(三角形)Plの対応する辺部よりも径方向内側に位置するように形成される。これにより、プラネタリキャリヤ10の強度を確保しつつ、第1および第2支持プレート11,12をコンパクト化して材料コストを低減化すると共に、プラネタリキャリヤ10を軽量化することが可能となる。ただし、第1および第2支持プレート11,12は、各辺部11e,12eの側面が上記多辺形Plの対応する辺部と重なり合うように形成されてもよい。
【0027】
更に、上記実施形態において、各ブリッジプレート15は、複数のピニオンギヤPGに噛合することになるリングギヤの歯先円Ctよりも径方向内側に位置するように第1および第2支持プレート11,12に接合される。これにより、複数のブリッジプレート15と複数のピニオンギヤPGに噛合するリングギヤとの干渉を無くすことが可能となる。
【0028】
また、上記実施形態において、第1および第2支持プレート11,12は、互いに同一の構造を有している。これにより、プラネタリキャリヤ10の製造等に際して部材の管理や取り扱いを容易にすることができるので、当該プラネタリキャリヤ10の製造コストをより一層低減化することが可能となる。ただし、第1および第2支持プレート11,12は、同一の平面形状を有していればよく、完全に同一の構造を有している必要はない。例えば、カシメ溝の位置等は、第1および第2支持プレート11,12とで異なっていてもよい。
【0029】
更に、プラネタリキャリヤ10の第1および第2支持プレート11,12の各辺部11e,12eには、
図4に示すように、ブリッジプレート15の一端または他端が嵌め込まれる凹部11r,12rが形成されてもよい。この場合、ブリッジプレート15の一端は、対応する辺部11eの凹部11rの内面に溶接部WPを介して接合され、ブリッジプレート15の他端は、対応する辺部12eの凹部12rの内面に溶接部WPを介して接合される。これにより、ブリッジプレート15を第1および第2支持プレート11,12に対して容易かつ精度よく位置決めして溶接作業を行うことが可能となる。
【0030】
図5は、本開示の他のプラネタリキャリヤ10Xを示す斜視図であり、
図6は、プラネタリキャリヤ10Xの平面図である。なお、プラネタリキャリヤ10Xの構成要素のうち、上述のプラネタリキャリヤ10と同一の要素については同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0031】
図5および
図6に示すプラネタリキャリヤ10Xも、変速機に適用されるシングルピニオン式の遊星歯車に含まれるものであり、複数(本実施形態では、例えば3つ)のピニオンギヤPGと、それぞれ対応するピニオンギヤPGに挿通される複数(本実施形態では、例えば3本)のピニオンシャフトPSとを有する(
図5では、何れも図示省略)。更に、プラネタリキャリヤ10Xは、各ピニオンシャフトPSの一端を支持する1枚の第1支持プレート11と、各ピニオンシャフトPSの他端を支持する1枚の第2支持プレート12と、第1および第2支持プレート11,12を繋ぐ複数(本実施形態では、例えば3枚)のブリッジプレート15Xとを含む。ブリッジプレート15Xは、上記ブリッジプレート15と同様の打ち抜き加工(プレス加工)により形成されるものである。
【0032】
かかるプラネタリキャリヤ10Xにおいて、各ブリッジプレート15Xの一端は、第1支持プレート11の対応する辺部11eの側面11s(
図5参照)に当接させられると共に、当該第1支持プレート11の軸方向外側から電子ビーム溶接あるいはレーザー溶接により当該辺部11eに接合される。また、各ブリッジプレート15Xの他端は、第2支持プレート12の対応する辺部12eの側面12sに当接させられると共に、当該第2支持プレート12の軸方向外側から電子ビーム溶接あるいはレーザー溶接により当該辺部12eに接合される。更に、各ブリッジプレート15Xは、
図6に示すように、複数のピニオンギヤPGに噛合することになるリングギヤの歯先円Ctよりも径方向内側(円孔11o,12o側すなわちプラネタリキャリヤ10Xの軸心側)に位置するように第1および第2支持プレート11,12に接合される。
【0033】
このように、プラネタリキャリヤ10Xでは、各ブリッジプレート15Xが第1支持プレート11の対応する辺部11eの側面11sおよび第2支持プレート12の対応する辺部12eの側面12sに溶接部WPを介して接合される。これにより、複数の脚部を有するキャリヤプレートCPおよびベースプレートBPを含むプラネタリキャリヤと同様に、プラネタリキャリヤ10Xの軸方向からブリッジプレート15Xを対応する辺部11e,12eに溶接することが可能となるので、既存の溶接設備を利用または改変して溶接作業を行うことができる。
【0034】
また、プラネタリキャリヤ10Xの各ブリッジプレート15Xには、
図7に示すように、第1支持プレート11の辺部11eが嵌め込まれる凹部15raと、第2支持プレート12の辺部12eが嵌め込まれる凹部15rbとが形成されてもよい。この場合、ブリッジプレート15Xの一端は、凹部15raに嵌め込まれた辺部11eの側面に溶接部WPを介して接合され、ブリッジプレート15Xの他端は、凹部15rbに嵌め込まれた辺部12eの側面に溶接部WPを介して接合される。これにより、ブリッジプレート15Xを第1および第2支持プレート11,12に対して容易かつ精度よく位置決めして溶接作業を行うことが可能となり、ブリッジプレート15Xの溶接に際して、第1および第2支持プレート11,12の間隔調整用の治具を省略することができる。
【0035】
なお、上述のプラネタリキャリヤ10,10Xは、シングルピニオン式の遊星歯車に含まれるものであって、何れも3つのピニオンギヤPGを有するものであるが、プラネタリキャリヤ10,10XにおけるピニオンギヤPGの数は、2つであってもよく、4つ以上であってもよい。
図8に、4つのピニオンギヤPGを有するシングルピニオン式の遊星歯車用のプラネタリキャリヤ10Yを示す。図示するように、プラネタリキャリヤ10Yは、各ピニオンシャフトPSの一端を支持する1枚の第1支持プレート11Yと、各ピニオンシャフトPSの他端を支持する1枚の第2支持プレート12Yと、第1および第2支持プレート11Y,12Yを繋ぐ4枚のブリッジプレート15Yとを含む。第1支持プレート11Yは、上記第1支持プレート11と同様の打ち抜き加工(プレス加工)により形成されるものであり、第2支持プレート12Yは、上記第2支持プレート12と同様の打ち抜き加工により形成されるものであり、ブリッジプレート15Yは、上記ブリッジプレート15と同様の打ち抜き加工により形成されるものである。
【0036】
プラネタリキャリヤ10Yの第1支持プレート11Yは、平坦な外面および内面と、プラネタリキャリヤ10Yの軸心と同軸に延びる円孔(貫通孔)11oと、当該円孔11oの周囲でそれぞれ直線状に延びる4つの辺部11eと、隣り合う辺部11e同士を繋ぐ4つのコーナー部11cとを有するものである。また、プラネタリキャリヤ10Yの第2支持プレート12Yは、第1支持プレート11Yと同一の構造(平面形状)を有する。従って、第2支持プレート12Yも、平坦な外面および内面と、プラネタリキャリヤ10Yの軸心と同軸に延びる円孔(貫通孔)と、当該円孔の周囲でそれぞれ直線状に延びる4つの辺部と、隣り合う辺部同士を繋ぐ4つのコーナー部とを有する(何れも図示省略)。
【0037】
かかるプラネタリキャリヤ10Yにおいても、第1および第2支持プレート11Y,12Yは、各辺部がプラネタリキャリヤ10Yを平面視した際に複数のピニオンギヤPGに外接する多辺形(四角形)の対応する辺部よりも径方向内側に位置するように形成される。また、各ブリッジプレート15Yは、複数のピニオンギヤPGに噛合することになるリングギヤの歯先円よりも径方向内側に位置するように第1および第2支持プレート11Y,12Yに接合される。
【0038】
更に、各ブリッジプレート15Yは、
図8において破線で示すように、第1支持プレート11Yの対応する辺部11eの内面および第2支持プレート12Yの対応する辺部の内面に溶接される。ただし、各ブリッジプレート15Yは、
図8において二点鎖線で示すように、第1支持プレート11Yの対応する辺部11eの側面および第2支持プレート12Yの対応する辺部の側面に溶接されてもよい。また、第1および第2支持プレート11Y,12Yの辺部の数は、平面形状が複雑化しないのであれば、ブリッジプレート15Yの数よりも多くてもよく、ピニオンギヤPGの数と異なっていてもよい。更に、第1および第2支持プレート11Y,12Yの辺部およびブリッジプレート15Yの一方には、他方が嵌め込まれる凹部が形成されてもよい。
【0039】
また、上述のプラネタリキャリヤ10,10Xおよび10Yは、何れもシングルピニオン式の遊星歯車に含まれるものであるが、本開示のプラネタリキャリヤは、ダブルピニオン式の遊星歯車に含まれるものであってもよい。
図9に、ダブルピニオン式の遊星歯車用のプラネタリキャリヤ10Zを示す。同図に示すプラネタリキャリヤ10Zは、図示しないサンギヤに噛合する第1ピニオンギヤPGaと当該第1ピニオンギヤPGaに噛合すると共に図示しないリングギヤに噛合する第2ピニオンギヤPGbとの組を3組有するものである。
【0040】
図9に示すように、プラネタリキャリヤ10Zは、各第1ピニオンギヤPGaに挿通されるピニオンシャフトPSaの一端および各第2ピニオンギヤPGbに挿通されるピニオンシャフトPSbの一端を支持する1枚の第1支持プレート11Zと、各第1ピニオンギヤPGaに挿通されるピニオンシャフトPSaの他端および各第2ピニオンギヤPGbに挿通されるピニオンシャフトPSbの他端を支持する1枚の第2支持プレート12Zと、第1および第2支持プレート11Z,12Zを繋ぐ3枚のブリッジプレート15Zとを含む。第1支持プレート11Zは、上記第1支持プレート11と同様の打ち抜き加工(プレス加工)により形成されるものであり、第2支持プレート12Zは、上記第2支持プレート12と同様の打ち抜き加工により形成されるものであり、ブリッジプレート15Zは、上記ブリッジプレート15と同様の打ち抜き加工により形成されるものである。
【0041】
プラネタリキャリヤ10Zの第1支持プレート11Zは、平坦な外面および内面と、プラネタリキャリヤ10Zの軸心と同軸に延びる円孔(貫通孔)11oと、当該円孔11oの周囲でそれぞれ直線状に延びる3つの辺部11eと、隣り合う辺部11e同士を繋ぐ3つのコーナー部11cとを有するものである。また、プラネタリキャリヤ10Zの第2支持プレート12Zは、第1支持プレート11Zと同一の構造(平面形状)を有する。従って、第2支持プレート12Zも、平坦な外面および内面と、プラネタリキャリヤ10Zの軸心と同軸に延びる円孔(貫通孔)と、当該円孔の周囲でそれぞれ直線状に延びる3つの辺部と、隣り合う辺部同士を繋ぐ3つのコーナー部とを有する(何れも図示省略)。すなわち、第1および第2支持プレート11Z,12Zは、互いに噛合する第1および第2ピニオンギヤPGa,PGbの組と同数の辺部を有する。
【0042】
かかるプラネタリキャリヤ10Zにおいても、第1および第2支持プレート11Z,12Zは、各辺部がプラネタリキャリヤ10Zを平面視した際に複数のピニオンギヤPGに外接する多辺形(四角形)の対応する辺部よりも径方向内側に位置するように形成される。また、各ブリッジプレート15Zは、複数のピニオンギヤPGに噛合することになるリングギヤの歯先円よりも径方向内側に位置するように第1および第2支持プレート11Z,12Zに接合される。更に、各ブリッジプレート15Zは、
図9において破線で示すように、第1支持プレート11Zの対応する辺部11eの内面および第2支持プレート12Zの対応する辺部の内面に溶接される。ただし、各ブリッジプレート15Zは、
図9において二点鎖線で示すように、第1支持プレート11Zの対応する辺部11eの側面および第2支持プレート12Zの対応する辺部の側面に溶接されてもよい。また、第1および第2支持プレート11Z,12Zの辺部の数は、平面形状が複雑化しないのであれば、ブリッジプレート15Zの数よりも多くてもよく、第1および第2ピニオンギヤPGa,PGbの組の数と異なっていてもよい。更に、第1および第2支持プレート11Z,12Zの辺部およびブリッジプレート15Zの一方には、他方が嵌め込まれる凹部が形成されてもよい。
【0043】
そして、上述のプラネタリキャリヤ10,10X,10Y,10Zを含む遊星歯車が適用される変速機は、有段変速機であってもよく、機械式無段変速機(前後進切換機構)であってもよく、ハイブリッドトランスミッションであってもよい。何れしても、上記プラネタリキャリヤ10,10X,10Y,10Zによれば、それを含む遊星歯車ひいては当該遊星歯車を含む変速機の製造コストを良好に低減化することが可能となる。ただし、上述のプラネタリキャリヤ10,10X,10Y,10Zは、変速機以外の装置に適用される遊星歯車に含まれてもよい。
【0044】
図10は、上記プラネタリキャリヤ10等の他の製造手順すなわち上記第1および第2支持プレート11,12の他の形成手順を説明するための説明図である。
図10に示す例では、第1支持プレート11と第2支持プレート12とが共通の板材103から同一工程で形成される。これにより、ダイセット等の数を減らしてプラネタリキャリヤ10等の製造設備を低コスト化することが可能となる。また、
図10の例においても、第1および第2支持プレート11,12は、何れか1つの辺部11e,12eが1ショット前の第1または第2支持プレート11,12の打ち抜きにより板材103に形成された抜き穴103hの辺部11e,12eの何れか1つに対応した内面103hiと平行に延在するように図示しないパンチおよびダイスによって板材103から打ち抜かれる。これにより、母材である板材103における抜き穴103h同士の間隔(送りさんの幅)を大幅に狭めることが可能となり、端材の量を大幅に削減することができる。更に、
図10の例において、第1および第2支持プレート11,12は、互いに対応する辺部11e,12e同士が平行に延在するように隣り合わせにして図示しないパンチおよびダイスによって板材103から一括して(各1枚ずつ)打ち抜かれる。これにより、第1および第2支持プレート11,12を効率よく製造することが可能となる。ただし、第1支持プレート11と第2支持プレート12とは、板材103から1枚ずつ順番に打ち抜かれてもよい。なお、
図10に示すような製造手順は、第1および第2支持プレート11Y,12Yや、第1および第2支持プレート11Z,12Zの製造に適用されてもよい。
【0045】
図11は、上記プラネタリキャリヤ10等の他の製造手順すなわち上記第1および第2支持プレート11,12の更に他の形成手順を説明するための説明図である。
図11の例では、第1支持プレート11と第2支持プレート12とブリッジプレート15とが共通の板材104から打ち抜かれる。これにより、ダイセット等の数を減らしてプラネタリキャリヤ10等の製造設備を低コスト化することが可能となる。また、
図11の例においても、第1および第2支持プレート11,12は、何れか1つの辺部11e,12eが1ショット前の第1または第2支持プレート11,12の打ち抜きにより板材104に形成された抜き穴104hの辺部11e,12eの何れか1つに対応した内面104hiと平行に延在するように図示しないパンチおよびダイスによって板材104から打ち抜かれる。これにより、母材である板材104における抜き穴104h同士の間隔(さんの幅)を大幅に狭めることが可能となり、端材の量を大幅に削減することができる。更に、ブリッジプレート15は、板材104の円孔(第1貫通孔)11oおよび円孔(第2貫通孔)12oに対応する部分や板材104の第1支持プレート11および第2支持プレート12に対応する部分の周辺から打ち抜かれる。これにより、板材104における抜き穴104hやブリッジプレート15の打ち抜きにより板材104に形成される抜き穴105h同士の間隔より一層狭めて端材の量をより一層削減すると共に、ダイセット等の数を減らしてプラネタリキャリヤ10等の製造設備をより低コスト化することが可能となる。なお、ブリッジプレート15は、第1および第2支持プレート11,12の打ち抜きに先立って板材104から打ち抜かれてもよく、第1および第2支持プレート11,12の少なくとも何れか一方とその周辺の所定数のブリッジプレート15とが板材104から一括して打ち抜かれてもよい。また、
図11に示すような製造手順は、第1および第2支持プレート11Y,12Yや、第1および第2支持プレート11Z,12Zの製造に適用されてもよい。
【0046】
以上説明したように、本開示のプラネタリキャリヤは、複数のピニオンギヤ(PG,PGa,PGb)と、それぞれ対応する前記ピニオンギヤ(PG,PGa,PGb)に挿通される複数のピニオンシャフト(PS,PSa,PSb)とを含むプラネタリキャリヤ(10,10X,10Y,10Z)において、前記複数のピニオンシャフト(PS,PSa,PSb)の各々の一端を支持する第1支持プレート(11,11Y,11Z)と、前記複数のピニオンシャフト(PS,PSa,PSb)の各々の他端を支持する第2支持プレート(12,12Y,12Z)と、それぞれ一端が前記第1支持プレート(11,11Y,11Z)に溶接部(WP)を介して接合されると共に他端が前記第2支持プレート(12,12Y,12Z)に溶接部(WP)を介して接合され、前記第1および第2支持プレート(11,11Y,11Z,12,12Y,12Z)を繋ぐ複数のブリッジプレート(15,15X,15Y,15Z)とを含むものである。
【0047】
本開示のプラネタリキャリヤでは、各ブリッジプレートの一端が第1支持プレートに溶接部を介して接合されると共に他端が第2支持プレートに溶接部を介して接合され、それにより複数のブリッジプレートによって第1支持プレートと第2支持プレートとが繋がれる。これにより、プラネタリキャリヤの強度を良好に確保することが可能となる。更に、かかるプラネタリキャリヤでは、第1および第2支持プレート並びにブリッジプレートの平面形状を単純化することができる。これにより、第1および第2支持プレート並びにブリッジプレートの母材のサイズを小さくすると共に材料歩留まりを向上させて、材料コストを低減化することが可能となる。そして、材料コストの低減代は、溶接箇所の数が増加することによる加工コストの増加代よりも充分に大きい。この結果、本開示のプラネタリキャリヤでは、強度を良好に確保しつつ、製造コストを良好に低減化することが可能となる。
【0048】
また、前記第1および第2支持プレート(11,11Y,11Z,12,12Y,12Z)は、直線状に延びる複数の辺部(11e,12e)と、隣り合う辺部(11e,12e)同士を繋ぐ複数のコーナー部(11c,12c)とをそれぞれ含んでもよく、前記複数のブリッジプレート(15,15X,15Y,15Z)の各々は、長方形状の平面形状を有すると共に、前記第1および第2支持プレート(11,11Y,11Z,12,12Y,12Z)の対応する前記辺部(11e,12e)に前記溶接部(WP)を介して接合されてもよい。このような多辺形状の第1および第2支持プレート並びに平板状のブリッジプレートを採用することで、第1および第2支持プレート並びにブリッジプレートの母材のサイズをより一層小さくすると共に材料歩留まりをより一層向上させることができる。この結果、プラネタリキャリヤの製造コストを大幅に低減化することが可能となる。加えて、第1および第2支持プレートの各辺部にブリッジプレートを溶接することで、プラネタリキャリヤの回転方向の剪断力に対するプラネタリキャリヤの強度をより向上させることができる。
【0049】
更に、前記第1および第2支持プレート(11,11Y,11Z,12,12Y,12Z)は、前記ブリッジプレート(15,15X,15Y,15Z)と同数の前記辺部(11e,12e)を含んでもよい。これにより、第1および第2支持プレートの平面形状をより単純化することが可能となる。
【0050】
また、前記第1支持プレートおよび前記第2支持プレート(11,11Y,11Z,12,12Y,12Z)は、互いに同一の平面形状を有してもよい。これにより、部材の管理や取り扱いを容易にすることができるので、プラネタリキャリヤの製造コストをより一層低減化することが可能となる。
【0051】
更に、前記第1および前記第2支持プレート(11,11Y,11Z,12,12Y,12Z)は、前記辺部(11e,12e)の各々が前記複数のピニオンギヤ(PG)に外接する多辺形(Pl)の対応する辺部と重なるか、あるいは該辺部よりも径方向内側に位置するように形成されてもよい。これにより、プラネタリキャリヤの強度を確保しつつ、第1および第2支持プレートをコンパクト化して材料コストを低減化すると共に、プラネタリキャリヤを軽量化することが可能となる。
【0052】
また、前記複数のブリッジプレート(15,15Y,15Z)の各々は、前記第1支持プレート(11,11Y,11Z)の対応する前記辺部(11e)の内面(11i)および前記第2支持プレート(12,12Y,12Z)の対応する前記辺部(12e)の内面(12i)に前記溶接部(WP)を介して接合されてもよい。これにより、ブリッジプレートを低背化することが可能となり、材料コストをより一層低減化することができる。
【0053】
更に、前記複数のブリッジプレート(15X,15Y,15Z)の各々は、前記第1支持プレート(11,11Y,11Z)の対応する前記辺部(11e)の側面(11s)および前記第2支持プレート(12,12Y,12Z)の対応する前記辺部(12e)の側面(12s)に前記溶接部(WP)を介して接合されてもよい。これにより、プラネタリキャリヤの軸方向からブリッジプレートを対応する辺部に溶接することが可能となるので、既存の溶接設備を利用または改変して溶接作業を行うことができる。
【0054】
また、前記辺部(11e,12e)および前記ブリッジプレート(15,15X,15Y,15Z)の一方には、他方が嵌め込まれる凹部(11r,12r,15ra,15rb)が形成されてもよい。これにより、ブリッジプレートを第1および第2支持プレートに対して容易かつ精度よく位置決めして溶接作業を行うことが可能となる。
【0055】
更に、前記複数のブリッジプレート(15,15X,15Y,15Z)の各々は、前記複数のピニオンギヤ(PG,PGa,PGb)に噛合するリングギヤの歯先円(Ct)よりも径方向内側に位置するように前記第1および第2支持プレート(11,11Y,11Z,12,12Y,12Z)に接合されてもよい。これにより、複数のブリッジプレートと複数のピニオンギヤに噛合するリングギヤとの干渉を無くすことが可能となる。
【0056】
また、前記プラネタリキャリヤ(10,10X,10Y)は、シングルピニオン式遊星歯車に含まれてもよく、前記第1および第2支持プレート(11,11Y,12,12Y)は、前記ピニオンギヤ(PG)と同数の辺部(11e,12e)を含んでもよい。
【0057】
更に、前記プラネタリキャリヤ(10Z)は、ダブルピニオン式遊星歯車に含まれてもよく、前記第1および第2支持プレート(11Z,12Z)は、互いに噛合する2つの前記ピニオンギヤ(PGa,PGb)の組と同数の辺部(11e,12e)を含んでもよい。
【0058】
また、前記プラネタリキャリヤ(10,10X,10Y,10Z)は、変速機の遊星歯車に含まれてもよい。これにより、上記プラネタリキャリヤを含む遊星歯車ひいては変速機の製造コストを良好に低減化することが可能となる。
【0059】
本開示のプラネタリキャリヤの製造方法は、複数のピニオンギヤ(PG,PGa,PGb)と、それぞれ対応する前記ピニオンギヤ(PG,PGa,PGb)に挿通される複数のピニオンシャフト(PS,PSa,PSb)と、それぞれ前記複数のピニオンシャフト(PS,PSa,PSb)の対応する端部を支持する2枚の支持プレート(11,11Y,11Z,12,12Y,12Z)と、それぞれ前記2枚の支持プレート(11,11Y,11Z,12,12Y,12Z)に溶接されて両者を繋ぐ複数のブリッジプレート(15,15X,15Y,15Z)とを含むプラネタリキャリヤ(10,10X,10Y,10Z)の製造方法であって、前記支持プレート(11,11Y,11Z,12,12Y,12Z)を直線状に延びる複数の辺部(11e,12e)を含むように板材(101,102,103,104)から打ち抜く打ち抜き工程を含み、前記打ち抜き工程は、前記支持プレート(11,11Y,11Z,12,12Y,12Z)を、何れか1つの前記辺部(11e,12e)が1ショット前の前記支持プレート(11,11Y,11Z,12,12Y,12Z)の打ち抜きにより前記板材(101,102,103,104)に形成された抜き穴(101h,102h,103h,104h)の前記辺部の何れか1つに対応した内面(101hi,102hi,103hi,104hi)と平行に延在するように前記板材(101,102,103,104)から打ち抜くものである。
【0060】
かかる方法によれば、板材における抜き穴同士の間隔を大幅に狭めることが可能となり、端材の量を大幅に削減することができる。この結果、材料歩留まりを向上させて材料コストを大幅に低減化しつつ、高い強度を有するプラネタリキャリヤを製造することが可能となる。
【0061】
また、前記2枚の支持プレートは、前記複数のピニオンシャフト(PS,PSa,PSb)の各々の一端を支持する第1支持プレート(11,11Y,11Z)と、前記複数のピニオンシャフト(PS,PSa,PSb)の各々の他端を支持する第2支持プレート(12,12Y,12Z)とを含んでもよく、前記第1支持プレート(11,11Y,11Z)、前記第2支持プレート(12,12Y,12Z)および前記ブリッジプレート(15,15X,15Y,15Z)をそれぞれ別工程で形成してもよい。これにより、第1支持プレート、第2支持プレートおよびブリッジプレートの素材や厚み等を互いに異ならせることが可能となる。
【0062】
更に、前記2枚の支持プレートは、前記複数のピニオンシャフト(PS,PSa,PSb)の各々の一端を支持する第1支持プレート(11,11Y,11Z)と、前記複数のピニオンシャフト(PS,PSa,PSb)の各々の他端を支持する第2支持プレート(12,12Y,12Z)とを含んでもよく、前記第1支持プレート(11,11Y,11Z)と前記第2支持プレート(12,12Y,12Z)とを同一工程で形成してもよい。これにより、ダイセット等の数を減らしてプラネタリキャリヤの製造設備を低コスト化することが可能となる。
【0063】
また、前記打ち抜き工程は、前記板材(103)から前記第1および第2支持プレート(11,11Y,11Z,12,12Y,12Z)を互いに対応する前記辺部(11e,12e)同士が平行に延在するように隣り合わせにして前記板材(103)から一括して打ち抜くものであってもよい。
【0064】
更に、前記2枚の支持プレートは、第1貫通孔(11o)を有すると共に前記複数のピニオンシャフト(PS,PSa,PSb)の各々の一端を支持する第1支持プレート(11,11Y,11Z)と、第2貫通孔(12o)を有すると共に前記複数のピニオンシャフト(PS,PSa,PSb)の各々の他端を支持する第2支持プレート(12,12Y,12Z)とを含んでもよく、前記打ち抜き工程は、前記板材(104)から前記第1および第2支持プレート(11,11Y,11Z,12,12Y,12Z)を打ち抜くと共に、前記板材(104)の少なくとも前記第1貫通孔(11o)および前記第2貫通孔(12o)に対応する部分から前記ブリッジプレート(15,15X,15Y,15Z)を打ち抜くものであってもよい。これにより、板材における抜き穴同士の間隔より一層狭めて端材の量をより一層削減すると共に、ダイセット等の数を減らしてプラネタリキャリヤの製造設備をより低コスト化することが可能となる。
【0065】
そして、本開示の発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本開示の外延の範囲内において様々な変更をなし得ることはいうまでもない。更に、上記発明を実施するための形態は、あくまで発明の概要の欄に記載された発明の具体的な一形態に過ぎず、発明の概要の欄に記載された発明の要素を限定するものではない。