【実施例】
【0031】
以下、本発明を実施例を挙げて詳しく説明する。しかし、これら実施例は本発明をより具体的に説明するためのものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
【0032】
実施例1.シクンシ抽出物の製造
市販されるシクンシを購入して粉砕した後、300gを70%のエタノール3Lに入れ、超音波抽出機を用いて1時間にわたって3回超音波抽出した。抽出液をワットマンNo.2(150mmΦ)濾過紙で濾過して不溶性物質を除去した後、冷却コンデンサが取り付けられた濃縮装置で40℃で減圧濃縮した。減圧濃縮された抽出物の溶媒を完全に除去するため、精製水500mLを入れて懸濁させた後、凍結乾燥機を用いて80.51gの抽出物を収得した(収率:26.84%)。
【0033】
実施例2.動物モデル
10週齢の雄ウィスターラット(中央実験動物)を1週間順化させた後、前立腺肥大誘導群は、テストステロンプロピオネート(TestosteronePropionate、TP)3mg/kgの皮下注入を4週間実施して、モデルを製作した。TP注入の1時間前に実施例1で製造したシクンシ抽出物150mg/kgの経口投与を4週間実施した。陽性対照群には、前立腺肥大症治療剤として使用されている5α−還元酵素抑制剤であるフィナステリド(Finasteride;10mg/kg)を同様の方法で投与した。
【0034】
統計学的分析
統計学的分析はANOVAで行った。##P<0.01、#P<0.05は、正常群(NC)と比較したときに有意差がある場合を示し、**P<0.01、*P<0.05は、前立腺肥大症誘発群(BPH)と比較したときに有意差がある場合を示した。
【0035】
実施例3.前立腺重量の測定
【0036】
動物を屠殺した後、各群(正常群:NC、前立腺肥大症誘発群:BPH、前立腺肥大症誘発群+シクンシ抽出物投与群:BPH+シクンシ、前立腺肥大症誘発群+フィナステリド投与群:BPH+フィナステリド)から前立腺を摘出し、その重量を測定した。
【0037】
図1は、前立腺肥大症動物モデルにおける、シクンシ抽出物処理による前立腺重量の変化を示した図である。
図1に示されたように、TPで前立腺肥大症を誘発した群(BPH)より、シクンシ抽出物を投与した群(BPH+シクンシ)で前立腺の重量が有意に減少し、現在前立腺肥大症治療剤として使用されているフィナステリドと同等の効果を奏した。
【0038】
実施例4.前立腺のDHTの変化
前立腺の発生、成長及び維持に必須であるジヒドロテストステロン(DHT)の変化を測定するため、4週間の薬物投与後、屠殺時に分離した前立腺組織からタンパク質を分離した。タンパク質抽出用であるRIPAバッファー(20mMTris−HCl、150mM NaCl、1mMNa2EDTA、1mM EGTA、1%NP−40、1% デオキシコール酸ナトリウム、2.5mM ピロりん酸ナトリウム、1mMβ−グリセロりん酸、1mM Na
3VO
4、1μg/mlロイペプチン(米国、Cell−Signaling社))に、前立腺を入れて均質化した後、均質液を1400rpmで15分間遠心分離し、上澄液を収集した。タンパク質分析キット(Bio−Radprotein assay kit、Bio−Rad、米国)を用いて分離したタンパク質の濃度を測定した後、上澄液からDHTの含量を測定するため、DHTに特異的に反応するELISAキット(Cayman、米国)を使用し、メーカーの方法に従って前立腺内のDHT含量を測定した。測定した値は、定量的タンパク値に基づいて換算した後、統計学的な分析を行って差異を比較した。
【0039】
図2は、前立腺肥大症動物モデルにおける、シクンシ抽出物処理による前立腺のDHTの変化を示した図である。
図2に示されたように、前立腺肥大症を誘発するDHTの濃度がシクンシ抽出物を投与した群で有意に減少することを確認した。
【0040】
実施例5.血中テストステロンの測定
前立腺肥大症動物モデルのテストステロンの数値を確認するため、実験終了後に分離した血液を12,000rpmで20分間遠心分離した後、上澄液を採取してELISAキット(Cayman、米国)を用いて血清からテストステロンの数値を測定した。
【0041】
図3は、前立腺肥大症動物モデルにおける、シクンシ抽出物処理による血中テストステロンの数値を示した図である。
図3に示されたように、シクンシ抽出物を投与した群で有意にテストステロンの数値が減少した。
【0042】
実施例6.前立腺の組織病理学的変化
実験終了後、摘出した前立腺を10%中性緩衝ホルマリンで24時間固定し、パラフィン包埋(paraffinembedding)した。包埋した組織を厚さ4μmに薄切して切片を製作した後、ヘマトキシリン(Sigma−Aldrich、米国)とエオシンY(Sigma−Aldrich)で染色し、封入液で封じ込んで光学顕微鏡で検鏡した。
【0043】
図4は、前立腺肥大症動物モデルにおいて、シクンシ抽出物の処理による前立腺の組織病理学的変化を示した図である。
図4に示されたように、前立腺肥大症誘発群では上皮細胞の高さと数が大きく上昇したが、シクンシ抽出物投与群では、上皮細胞の過増殖が減少することが観察できた。
【0044】
実施例7.血中ALT及びASTの測定
前立腺肥大症動物モデルにおけるシクンシ抽出物の毒性の有無を確認するため、実験終了後に分離した血液を12,000rpmで20分間遠心分離し、上澄液を採取して、血清から一般的な肝毒性指標であるALT(alaninetransaminase)とAST(aspartate transaminase)の数値を測定した。
【0045】
図5は、前立腺肥大症動物モデルにおける、シクンシ抽出物処理による毒性の有無を確認した結果を示した図である。
図5に示されたように、ALT及びASTともに正常群と比較したとき、前立腺肥大症誘発群及びシクンシ抽出物投与群の何れからも有意な変化は観察されなかった。
【0046】
結果の解釈
上述した実施例によれば、ウィスターラットにテストステロンプロピオネート(TP)を4週間の皮下注射して前立腺肥大症を誘発し、同時にシクンシ抽出物及び前立腺肥大症治療剤として使用中のフィナステリドを4週間経口投与した。薬物投与の終了後、次のような変化を測定した。
【0047】
(1)屠殺したラットの前立腺を採取して重量を比べた結果、TPで前立腺肥大症を誘発した群と比較して、シクンシ抽出物を投与した群では前立腺の重量が減少することが確認でき、前立腺肥大症治療剤であるフィナステリドを投与した群と同等の効果を奏した。
(2)また、薬物投与後、前立腺肥大症を誘発するジヒドロテストステロン(DHT)の変化を比べた結果、シクンシ抽出物を投与した群でDHTの数値が有意に減少し、フィナステリドと同等の効果を奏した。
(3)前立腺の組織病理学的分析の結果、前立腺肥大症誘導群で観察された上皮細胞の過増殖(hyperplasia)がシクンシ抽出物の投与により減少した。
【0048】
したがって、本発明のシクンシ抽出物は前立腺重量の減少、前立腺肥大症誘発因子であるDHTの減少、及び前立腺上皮細胞の過増殖の抑制といった効果を奏することで、前立腺肥大症に対する効果的な治療剤として使用することができる。
【0049】
以下、本発明の組成物のための製造例を例示する。
製造例1.医薬製剤の製造
1−1.散剤の製造
本発明の実施例1の抽出物2g
乳糖1g
上記の成分を混合して気密布に充填して、散剤を製造した。
【0050】
1−2.錠剤の製造
本発明の実施例1の抽出物100mg
トウモロコシ澱粉100mg
乳糖100mg
ステアリン酸マグネシウム2mg
上記の成分を混合した後、通常の錠剤の製造方法に従って打錠して、錠剤を製造した。
【0051】
1−3.カプセル剤の製造
本発明の実施例1の抽出物100mg
トウモロコシ澱粉100mg
乳糖100mg
ステアリン酸マグネシウム2mg
上記の成分を混合した後、通常のカプセル剤の製造方法に従ってゼラチンカプセルに充填して、カプセル剤を製造した。
【0052】
製造例2.食品の製造
2−1.菓子及び粉食の製造
本発明の実施例1の抽出物0.5〜5.0重量部を小麦粉に添加し、その混合物を用いてパン、ケーキ、クッキー、クラッカー及び麺類を製造して健康増進用食品を製造した。
【0053】
2−2.乳製品の製造
本発明の実施例1の抽出物5〜10重量部を牛乳に添加し、この牛乳を用いてバター及びアイスクリームのような多様な乳製品を製造した。
【0054】
製造例3.飲料の製造
本発明の実施例1の抽出物1000mg
クエン酸1000mg
オリゴ糖100g
梅濃縮液2g
タウリン1g
精製水を加えて全体900ml
通常の健康飲料製造方法で、上記の成分を混合し、約1時間85℃で撹拌加熱した後、製造された溶液を濾過し、2リットルの滅菌容器に充填して密封滅菌した後、冷蔵保管し、本発明の健康食品の製造に使用した。
【0055】
以上、本発明を望ましい実施例を挙げて説明した。本発明が属する技術分野で通常の知識を持つ者であれば、本発明がその本質的な特性から逸脱しない範囲で変形された形態に具現できることを理解できるであろう。したがって、開示された実施例は限定的な観点ではなく、説明的な観点で考慮されねばならない。本発明の範囲は上述した説明ではなく、特許請求の範囲に示され、それと同等な範囲内の差異は何れも本発明に含まれると解釈されねばならない。