(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施の形態1
以下、図面を参照して本発明の実施の形態1について説明する。まず、
図1を用いて、本発明の実施の形態1にかかるアンテナ取り付け部材を用いてアンテナを設置場所に設置した機構例について説明する。
図1の例では、設置場所は三脚3である。なお、設置場所は、三脚に限らず、ポール等でもよい。
図1の例では、アンテナ1は、アンテナ取り付け部材2に取り付けられている。また、アンテナ取り付け部材2は、三脚3に取り付けられている。なお、アンテナ1とアンテナ取り付け部材2との取り付け構造、及びアンテナ取り付け部材2と三脚3との取り付け構造は、どのような構造であってもよい。
【0014】
図2は、
図1のアンテナ1とアンテナ取り付け部材2と三脚3とを切り離した状態を示す図である。
【0015】
アンテナ1は、P2P無線通信装置のアンテナである。また、アンテナ1は、パラボラアンテナである。なお、アンテナ1は、オフセット型のパラボラアンテナでもセンターフィード型のパラボラアンテナでもよい。また、アンテナ1は、例えば、ミリ波にて無線通信を行うアンテナとして用いるものである。
【0016】
アンテナ1は、アンテナ本体11と、保持部12と、を備えている。アンテナ本体11は、保持部12に接続される。保持部12は、アンテナ取り付け部材2に取り付けられる。なお、保持部12は、アンテナ1の一部ではないこともある。すなわち、保持部12は、アンテナ1の一部、アンテナ取り付け部材2の一部、アンテナ1及びアンテナ取り付け部材2の一部ではない単体で存在するもの、のいずれの場合もあり得る。
【0017】
三脚3は、その上部に方向調整用の機構を備えている。当該方向調整用の機構とは、例えば、水平方向と垂直方向の2座標軸について調整が可能な機構である。この機構により、三脚3は、アンテナ1の方位角と仰角とを調整することができる。なお、三脚3の方向調整用の機構は、公知の機構であり、説明を省略する。
【0018】
続いて、
図3を用いて、本実施の形態1にかかるアンテナ取り付け部材2について説明する。アンテナ取り付け部材2は、照準器取り付け部材21と、調整機構22と、を備えている。
【0019】
照準器取り付け部材21は、例えば金属により構成されるものである。なお、照準器取り付け部材21は、金属以外のもので構成されてもよい。
【0020】
上述したように、三脚3は、その上部に方向調整用の機構を備えている。また、照準器取り付け部材21は、三脚3の上部に近い位置に配置されている。このため、照準器取り付け部材21と、三脚3の方向調整用の機構との位置関係は、特許文献1及び2における照準器と方向調整用の機構との位置関係よりも近いものとなる。
【0021】
調整機構22は、アンテナ取り付け部材2に対するアンテナ1の方向を調整するための調整機構である。
図3の例では、調整機構22は、アンテナ取り付け部材2に対するアンテナ1の水平方向を調整するための調整機構である。
【0022】
続いて、
図4を用いて、
図3のアンテナ取り付け部材2の具体例について説明する。アンテナ取り付け部材2は、照準器取り付け部材21と、調整機構22と、固設部23と、を備えている。
【0023】
図4の例では、照準器取り付け部材21は、その一部が機械的な照準器24を構成するものである。機械的な照準器24は、凸型の照星及び凹型の照門を有する機械的な照準器である。なお、後に実施の形態2にて説明するが、照準器取り付け部材は、その一部が機械的な照準器を構成するものに限らない。
【0024】
機械的な照準器24は、対向する無線通信装置を目視にて捕捉するための照準器である。アンテナ設置者は、機械的な照準器24を覗きながら三脚3の方向調整用の機構によりアンテナ1の方向を調整する。
【0025】
調整機構22は、支柱25と、ハンドル26と、を備える。調整機構22については、後に
図5を用いて詳述する。
【0026】
固設部23は、後に
図5を用いて説明するおねじ41〜44と螺合する4つのめねじにより構成される。
【0027】
続いて、
図5を用いて、
図4のアンテナ取り付け部材2の調整機構22について説明する。
図5の例では、保持部12には、保持部12を貫通する孔13〜17が設けられている。孔14〜16は、円弧状の孔である。また、孔13は、円形の孔であり、孔17は、長方形の孔である。孔13、孔14、孔15、孔16、孔17は、それぞれおねじ41、おねじ42、おねじ43、おねじ44、めねじ45用の孔である。
【0028】
保持部12とアンテナ取り付け部材2とは、おねじ41〜44と固設部23のめねじにより接続される。おねじ41は、調整機構22によるアンテナ1の水平方向を調整する際に支点となるねじである。おねじ41〜44と固設部23のめねじとの螺合をゆるめた状態では、おねじ42〜44及びめねじ45の保持部12に対する位置は、それぞれ孔14〜17の形状に沿って動かすことができる。
【0029】
支柱25は、めねじ45と螺合するおねじを備えている。ハンドル26を回転させると、支柱25のおねじとめねじ45との螺合位置が、支柱25の長手方向に変化する。これにより、保持部12は、おねじ41を支点として、アンテナ取り付け部材2に対して、孔14、孔15、孔16の円弧に沿って水平方向に回動する。また、この回動にともない、めねじ45は、孔17内で孔17の長手方向に動く。
【0030】
支柱25のおねじは、例えば外形が10mm、ピッチが1.5mmであるとする。この場合、ハンドル26を1周回すと、支柱25のおねじとめねじ45との螺合位置は、支柱25の長手方向に1.5mm変化する。この1.5mmの変化に応じて、保持部12と共にアンテナ本体11が、アンテナ取り付け部材2に対して、水平方向に回動するため、アンテナ1の水平方向を微調整することができる。なお、調整機構22による調整は、例えばアンテナ1による電波の受信レベルを用いて、受信レベルが最大となるように行う。
【0031】
なお、調整機構22による調整の際、おねじ41〜44と固設部23のめねじとの螺合はゆるめた状態である。しかし、このとき支柱25のおねじとめねじ45とは螺合されている。このため、調整機構22による調整の際、風等によりアンテナ1の方向が変更されることを防ぐことができる。
【0032】
なお、
図3〜
図5の例では、調整機構22が、アンテナ取り付け部材2に対するアンテナ1の水平方向を調整するものとして説明したが、これに限らない。調整機構22は、アンテナ取り付け部材2に対するアンテナ1の垂直方向を調整するための調整機構でもよいし、水平方向及び垂直方向を調整するための調整機構でもよい。
【0033】
以上のように、実施の形態1にかかるアンテナ取り付け部材2は、照準器取り付け部材21を備える構成としている。すなわち、実施の形態1にかかるアンテナ取り付け部材2では、照準器は、アンテナ1ではなく、アンテナ取り付け部材2に接続される構成である。また、三脚3等の設置場所の方向調整用の機構と照準器取り付け部材21との位置関係は近いものとなる。これにより、汎用のアンテナに用いることができ、照準器を覗きながら行う調整の操作性がよいアンテナ取り付け部材を提供することができる。
【0034】
また、実施の形態1にかかるアンテナ取り付け部材2は、アンテナ取り付け部材2に対するアンテナ1の方向を調整する調整機構22を備える構成としている。これにより、三脚3等のアンテナの設置場所の方向調整機能とは別に独立した方向調整機能を有するアンテナ取り付け部材を提供することができる。
【0035】
したがって、汎用のアンテナに用いることができ、照準器を覗きながら行う調整の操作性がよく、且つアンテナの設置場所の方向調整機能とは別に独立した方向調整機能を有するアンテナ取り付け部材を提供することができる。
【0036】
また、照準器取り付け部材21の照準器を用いて、設置場所の方向調整機能によりアンテナ1の向きをおおむね調整する粗調整を行い、アンテナ1による電波の受信レベルを用いて、調整機構22によりアンテナ1の向きを精度よく微調整することもできる。
【0037】
なお、照準器取り付け部材21は、その一部が機械的な照準器24を構成するような構造とすることもできる。これにより、アンテナ設置者は、照準器取り付け部材のみにより、対向する無線通信装置を目視にて捕捉することができる。
【0038】
実施の形態2
続いて、
図6及び
図7を用いて、本発明の実施の形態2にかかるアンテナ取り付け部材について説明する。
【0039】
まず、
図6について説明する。
図6のアンテナ取り付け部材5は、照準器取り付け部材51と、調整機構22と、固設部23と、を備えている。なお、調整機構22及び固設部23については、実施の形態1の調整機構22及び固設部23と同様であり、説明を省略する。
【0040】
照準器取り付け部材51は、その一部が機械的な照準器を構成するものではなく、光学的照準器が取り付けられる構造を備えるものである。
図6の例では、照準器取り付け部材51は、ライフルスコープ52が取り付けられる構造を備えている。このため、照準器取り付け部材51では、光学的照準器を用いることにより、照準器取り付け部材21における機械的な照準器24に比べ、対向する無線通信装置の捕捉をさらに高精度に行うことができる。
【0041】
次に、
図7について説明する。
図7のアンテナ取り付け部材6は、照準器取り付け部材61と、調整機構22と、固設部23と、を備えている。なお、調整機構22及び固設部23については、実施の形態1の調整機構22及び固設部23と同様であり、説明を省略する。
【0042】
照準器取り付け部材61は、照準器取り付け部材21及び照準器取り付け部材51の両方の特徴を備えている。すなわち、照準器取り付け部材61は、その一部が機械的な照準器24を構成するものであり、且つ光学的照準器が取り付けられる構造を備えるものである。このため、照準器取り付け部材61では、機械的な照準器による捕捉及び光学的照準器による捕捉の両方を行うことができる。
【0043】
以上のように、実施の形態2にかかるアンテナ取り付け部材は、光学的照準器が取り付けられる構造を備えている。これにより、機械的な照準器に比べ、対向する無線通信装置の捕捉をさらに高精度に行うことができる。また、実施の形態2にかかるアンテナ取り付け部材は、その一部が機械的な照準器を構成し、且つ光学的照準器が取り付けられる構造とすることもできる。これにより、機械的な照準器による捕捉及び光学的照準器による捕捉の両方を行うことができる。
【0044】
実施の形態3
続いて、
図8を用いて、本発明の実施の形態3にかかるアンテナ取り付け部材について説明する。
図8のアンテナ取り付け部材7は、照準器取り付け部材71と、調整機構22と、固設部23と、を備えている。なお、調整機構22及び固設部23については、実施の形態1の調整機構22及び固設部23と同様であり、説明を省略する。
【0045】
照準器取り付け部材71は、機械的な照準器24と、アーム部72と、を備えている。機械的な照準器24については、実施の形態1の機械的な照準器24と同様であり、説明を省略する。なお、
図8の例では、機械的な照準器24を備える構成としているが、これに限らず、光学的照準器が取り付けられる構造、又は機械的な照準器24を備え、且つ光学的照準器が取り付けられる構造としてもよい。
【0046】
アーム部72は、伸縮可能であり、且つ固定可能な構造を有する。アーム部72は、例えば、スライド構造により伸縮可能とすることができる。また、図示しないストッパ機構により、アーム部72の長さを、アンテナ設置者の所望の長さに固定可能とすることができる。
【0047】
以上のように、実施の形態3にかかるアンテナ取り付け部材7は、伸縮可能であり、且つ固定可能な構造を有するアーム部72を備えている。これにより、アンテナ本体11の大きさによらず、アンテナ本体11を外れる最短の位置に照準器が配置されるようにアーム部72の長さを設定することができる。したがって、汎用のアンテナがどのような大きさであっても、照準器を覗きながら行う調整の操作性がよいアンテナ取り付け部材を提供することができる。
【0048】
その他の実施の形態
例えば、アンテナ取り付け部材において、照準器取り付け部材の取り付け位置と、調整機構の取り付け位置とが、置換可能な構造としてもよい。これにより、右目と左目のどちらで照準器を覗きたいか、右手と左手のどちらで調整機構のハンドルを操作したいかによって、照準器取り付け部材の取り付け位置及び調整機構の取り付け位置を設定することができる。
【0049】
また、
図9に示すように、アンテナ取り付け部材8が、着脱ガイド82及び83を備えるようにしてもよい。着脱ガイド82及び83は、アンテナ取り付け部材8を三脚3等の設置場所へ取り付ける際及び取り外す際に使用される一対のレールである。当該一対のレールの形状と三脚3等におけるアンテナ取り付け部材8の取り付け箇所の形状とは、おすめすの関係とする。このため、おすめす形状を合わせることにより、アンテナ取り付け部材8の三脚3等に対する着脱を容易に行うことができる。
【0050】
また、
図9に示すように、照準器取り付け部材81と着脱ガイド82とを一体成形した構造としてもよい。
【0051】
また、
図9に示すように、アンテナ取り付け部材8が、アンテナ取り付けガイド84を備えるようにしてもよい。アンテナ取り付けガイド84は、アンテナ取り付け部材8に対する保持部12の取り付け位置を示すラインである。これにより、保持部12をアンテナ取り付け部材8に取り付ける際に、保持部12の位置決めが簡単にでき、組み立てを容易に行うことができる。なお、アンテナ取り付けガイド84は、アンテナ取り付け部材8において、掘り込みにより形成してもよい。
【0052】
以上、実施の形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施の形態によって限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。