特許第6773318号(P6773318)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6773318ポンプ装置及びポンプ装置を搭載した作業車
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6773318
(24)【登録日】2020年10月5日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】ポンプ装置及びポンプ装置を搭載した作業車
(51)【国際特許分類】
   A62C 27/00 20060101AFI20201012BHJP
   F04B 53/16 20060101ALI20201012BHJP
【FI】
   A62C27/00 503
   F04B53/16 D
【請求項の数】11
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-165635(P2016-165635)
(22)【出願日】2016年8月26日
(65)【公開番号】特開2017-70720(P2017-70720A)
(43)【公開日】2017年4月13日
【審査請求日】2019年8月13日
(31)【優先権主張番号】特願2015-201325(P2015-201325)
(32)【優先日】2015年10月9日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000192073
【氏名又は名称】株式会社モリタホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100098545
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100087745
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 善廣
(74)【代理人】
【識別番号】100106611
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 幸史
(74)【代理人】
【識別番号】100189717
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 貴章
(72)【発明者】
【氏名】高宮 偉光
(72)【発明者】
【氏名】元野 等
【審査官】 村山 禎恒
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭59−167552(JP,U)
【文献】 特開平08−280836(JP,A)
【文献】 特開2001−037902(JP,A)
【文献】 特開昭53−006910(JP,A)
【文献】 実開平07−039857(JP,U)
【文献】 特開2003−093534(JP,A)
【文献】 特開昭51−051197(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3031994(JP,U)
【文献】 特開2003−093533(JP,A)
【文献】 特開2015−097561(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C 2/00−99/00
F04B 53/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸水ホースを接続する吸水口と、
吐水ホースを接続する吐水口と、
前記吸水口からポンプのポンプ吸入口までを接続する吸水配管と、
前記ポンプのポンプ吐出口に接続する逆流防止弁と、
前記逆流防止弁から前記吐水口までを接続する吐水配管と
を備えたポンプ装置であって、
前記吸水配管を、前記吸水口側の通路断面積よりも前記ポンプ側の通路断面積が大きいディフューザ継手とし
前記吸水口として、車輌の一方の側面に配置される第1吸水口と、前記車輌の他方の側面に配置される第2吸水口とを有し、
前記ポンプ吸入口のポンプ吸入口仮想法線ベクトルと、前記第1吸水口の吸水口仮想法線ベクトルとが第1の角度以下となり、前記ポンプ吸入口仮想法線ベクトルと、前記第2吸水口の吸水口仮想法線ベクトルとが第4の角度以下となるように、前記ポンプと前記吸水口とを配置し、
前記吸水配管を、前記吸水口に一端を接続する第1吸水配管部と、前記ポンプ吸入口に一端を接続する直管の第2吸水配管部とで構成し、
前記第1吸水配管部を曲管とし、一端を2股に分岐させ、分岐した一方の前記第1吸水配管部を前記第1吸水口に接続し、分岐した他方の前記第1吸水配管部を前記第2吸水口に接続し、
前記第1吸水配管部の他端と前記第2吸水配管部の他端とを接続したことを特徴とするポンプ装置。
【請求項2】
消火栓に接続される中継口を備え、
前記中継口に一端を接続する中継配管の他端を、開閉バルブを介して前記第2吸水配管部に接続したことを特徴とする請求項に記載のポンプ装置。
【請求項3】
前記吸水口を、前記ポンプ吸入口の位置以下の高さとしたことを特徴とする請求項1又は請求項に記載のポンプ装置。
【請求項4】
前記吐水口として、車輌の一方の側面に配置される第1吐水口及び第2吐水口と、前記車輌の他方の側面に配置される第3吐水口及び第4吐水口とを有し、
前記逆流防止弁の第1吐出口から前記第1吐水口までを接続する第1吐水配管と、前記逆流防止弁の第2吐出口から前記第3吐水口までを接続する第2吐水配管は、途中に分岐を有しないことを特徴とする請求項1から請求項のいずれかに記載のポンプ装置。
【請求項5】
前記第1吐出口の第1吐出口仮想法線ベクトルと、前記第1吐水口の第1吐水口仮想法線ベクトルとが第2の角度以下となるように、前記第1吐出口と前記第1吐水口とを配置し、
前記第2吐出口の第2吐出口仮想法線ベクトルと、前記第3吐水口の第3吐水口仮想法線ベクトルとが第3の角度以下となるように、前記第2吐出口と前記第3吐水口とを配置した
ことを特徴とする請求項に記載のポンプ装置。
【請求項6】
前記逆流防止弁が、
前記ポンプ吐出口に接続する弁吸入口と、
前記弁吸入口を閉塞する弁体と、
前記第1吐出口、前記第2吐出口、及び前記弁吸入口と連通して前記弁体が移動できる空間を形成する弁本体と
を有し、
前記弁吸入口を前記弁本体の下方に配置し、
前記第1吐出口及び前記第2吐出口を前記弁本体の側方に配置し、
前記弁体を前記弁本体の上方に配置した
ことを特徴とする請求項又は請求項に記載のポンプ装置。
【請求項7】
前記吐水配管に排気弁を設け、
前記排気弁を前記吐水口に近接させたことを特徴とする請求項1から請求項のいずれかに記載のポンプ装置。
【請求項8】
前記吐水口が吐水コックによって形成され、
前記吐水コックに、エアー管の一端を接続し、
前記エアー管の他端を前記排気弁に接続したことを特徴とする請求項に記載のポンプ装置。
【請求項9】
請求項1から請求項のいずれかに記載のポンプ装置を搭載した作業車であって、
車輌後輪の車軸よりも後方の位置で、前記吸水ホースが巻かれて装着され、
前記吸水口を、前記車輌後輪よりも後方の位置に配置したことを特徴とするポンプ装置を搭載した作業車。
【請求項10】
請求項1から請求項のいずれかに記載のポンプ装置を搭載した作業車であって、
切り替えによって車輌走行又は前記ポンプの回転に用いる駆動源と、
前記駆動源の駆動力を変更する操作手段と、
吐水開始待機時の吐水圧を設定する制御手段と
を備え、
前記制御手段では、吐水開始待機時には、車輌走行に用いる場合のアイドリング回転数よりも高い回転数で前記駆動源を回転させることを特徴とするポンプ装置を搭載した作業車。
【請求項11】
請求項1から請求項のいずれかに記載のポンプ装置を搭載した作業車であって、
切り替えによって車輌走行又は前記ポンプの回転に用いる駆動源と、
前記駆動源の駆動力を変更する操作手段と、
前記吐水ホースの一端側に接続する吐水口の開閉動作を検出する第1センサと、
前記吐水ホースの他端側の通水を検出する第2センサと、
前記操作手段での指示によって前記駆動源を回転させるとともに、前記指示の情報を記憶する制御手段と
を備え、
前記制御手段では、前記第1センサが前記吐水口の開閉動作を検出してから前記第2センサが前記通水を検出するまでの前記操作手段での前記情報を記憶し、記憶した前記情報を出力することを特徴とするポンプ装置を搭載した作業車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に消防車に設けられるポンプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図10及び図11に比較例としてのポンプ装置を示す。図10は同ポンプ装置の側面図、図11は同ポンプ装置の上面図である。
図10に示すように、ポンプ装置130は、ポンプ吸入口131及びポンプ吐出口132を有するポンプ133と、吸水口121からポンプ吸入口131までを接続する吸水配管125と、ポンプ吐出口132に接続する逆流防止弁140と、逆流防止弁140から吐水口122までを接続する吐水配管126とを備えている。
図11に示すように、一般的に、吸水口121は車輌両側面にそれぞれ1つ、吐水口122は車輌両側面にそれぞれ2つ設けられる。
比較例に示すように、吸水口121がポンプ吸入口131よりも高い位置にあり、吸水口121から水平方向に吸入された流体が、その後鉛直方向に流れるような吸水配管125では通水抵抗が大きい。
また、逆流防止弁140と車輌の一方の側面に設けられる吐水口122をつなぐ吐水配管126は、途中で2分岐させているために通水抵抗が大きい。
特許文献1は、水源からの迅速な吸水を図り、放水までの時間を短縮することを目的とし、吸水配管及び吐水配管の双方に真空ポンプを設けることを提案している。
また、特許文献2及び特許文献3には、吸水配管及び吐水配管の経路構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−28085号公報
【特許文献2】特開2001−87408号公報
【特許文献3】特開平8−280836号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、いずれの特許文献においても、吸水配管及び吐水配管の構造や配置には着目されておらず、吐水配管は比較例で説明した構成と同様に2分岐させたものである。
消防車のポンプ装置にあっては、一刻も早い放水が重要であり、また、一刻を争う状況では、特定の吐水口で短時間での吐水が行えることも重要である。
【0005】
そこで本発明は、吸水配管における通水抵抗を低減でき、キャビテーション性能を向上でき、放水開始までの時間を短縮できるポンプ装置を提供することを目的とする。
また本発明は、真空引きする対象空間を小さくし、真空引きの時間を短縮でき、揚水時間を短縮できるポンプ装置を提供することを目的とする。
また本発明は、特定の吐水口では多くの水量を早く吐水できるポンプ装置を提供することを目的とする。
また本発明は、吸水に要する作業時間の短縮を図れるポンプ装置を搭載した作業車を提供することを目的とする。
また本発明は、吐水口から吐水ホース先端までの通水時間を短縮できるポンプ装置を搭載した作業車を提供することを目的とする。
また本発明は、作業者の技能向上を図れるポンプ装置を搭載した作業車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の本発明のポンプ装置は、吸水ホースを接続する吸水口と、吐水ホースを接続する吐水口と、前記吸水口からポンプのポンプ吸入口までを接続する吸水配管と、前記ポンプのポンプ吐出口に接続する逆流防止弁と、前記逆流防止弁から前記吐水口までを接続する吐水配管とを備えたポンプ装置であって、前記吸水配管を、前記吸水口側の通路断面積よりも前記ポンプ側の通路断面積が大きいディフューザ継手とし、前記吸水口として、車輌の一方の側面に配置される第1吸水口と、前記車輌の他方の側面に配置される第2吸水口とを有し、前記ポンプ吸入口のポンプ吸入口仮想法線ベクトルと、前記第1吸水口の吸水口仮想法線ベクトルとが第1の角度以下となり、前記ポンプ吸入口仮想法線ベクトルと、前記第2吸水口の吸水口仮想法線ベクトルとが第4の角度以下となるように、前記ポンプと前記吸水口とを配置し、前記吸水配管を、前記吸水口に一端を接続する第1吸水配管部と、前記ポンプ吸入口に一端を接続する直管の第2吸水配管部とで構成し、前記第1吸水配管部を曲管とし、一端を2股に分岐させ、分岐した一方の前記第1吸水配管部を前記第1吸水口に接続し、分岐した他方の前記第1吸水配管部を前記第2吸水口に接続し、前記第1吸水配管部の他端と前記第2吸水配管部の他端とを接続したことを特徴とする
求項記載の本発明は、請求項に記載のポンプ装置において、消火栓に接続される中継口を備え、前記中継口に一端を接続する中継配管の他端を、開閉バルブを介して前記第2吸水配管部に接続したことを特徴とする。
請求項記載の本発明は、請求項1又は請求項に記載のポンプ装置において、前記吸水口を、前記ポンプ吸入口の位置以下の高さとしたことを特徴とする。
請求項記載の本発明は、請求項1から請求項のいずれかに記載のポンプ装置において、前記吐水口として、車輌の一方の側面に配置される第1吐水口及び第2吐水口と、前記車輌の他方の側面に配置される第3吐水口及び第4吐水口とを有し、前記逆流防止弁の第1吐出口から前記第1吐水口までを接続する第1吐水配管と、前記逆流防止弁の第2吐出口から前記第3吐水口までを接続する第2吐水配管は、途中に分岐を有しないことを特徴とする。
請求項記載の本発明は、請求項に記載のポンプ装置において、前記第1吐出口の第1吐出口仮想法線ベクトルと、前記第1吐水口の第1吐水口仮想法線ベクトルとが第2の角度以下となるように、前記第1吐出口と前記第1吐水口とを配置し、前記第2吐出口の第2吐出口仮想法線ベクトルと、前記第3吐水口の第3吐水口仮想法線ベクトルとが第3の角度以下となるように、前記第2吐出口と前記第3吐水口とを配置したことを特徴とする。
請求項記載の本発明は、請求項又は請求項に記載のポンプ装置において、前記逆流防止弁が、前記ポンプ吐出口に接続する弁吸入口と、前記弁吸入口を閉塞する弁体と、前記第1吐出口、前記第2吐出口、及び前記弁吸入口と連通して前記弁体が移動できる空間を形成する弁本体とを有し、前記弁吸入口を前記弁本体の下方に配置し、前記第1吐出口及び前記第2吐出口を前記弁本体の側方に配置し、前記弁体を前記弁本体の上方に配置したことを特徴とする。
請求項記載の本発明は、請求項1から請求項のいずれかに記載のポンプ装置において、前記吐水配管に排気弁を設け、前記排気弁を前記吐水口に近接させたことを特徴とする。
請求項記載の本発明は、請求項に記載のポンプ装置において、前記吐水口が吐水コックによって形成され、前記吐水コックに、エアー管の一端を接続し、前記エアー管の他端を前記排気弁に接続したことを特徴とする。
請求項記載の本発明は、請求項1から請求項のいずれかに記載のポンプ装置を搭載した作業車であって、車輌後輪の車軸よりも後方の位置で、前記吸水ホースが巻かれて装着され、前記吸水口を、前記車輌後輪よりも後方の位置に配置したことを特徴とする。
請求項10記載の本発明は、請求項1から請求項のいずれかに記載のポンプ装置を搭載した作業車であって、切り替えによって車輌走行又は前記ポンプの回転に用いる駆動源と、前記駆動源の駆動力を変更する操作手段と、吐水開始待機時の吐水圧を設定する制御手段とを備え、前記制御手段では、吐水開始待機時には、車輌走行に用いる場合のアイドリング回転数よりも高い回転数で前記駆動源を回転させることを特徴とする。
請求項11記載の本発明は、請求項1から請求項のいずれかに記載のポンプ装置を搭載した作業車であって、切り替えによって車輌走行又は前記ポンプの回転に用いる駆動源と、前記駆動源の駆動力を変更する操作手段と、前記吐水ホースの一端側に接続する吐水口の開閉動作を検出する第1センサと、前記吐水ホースの他端側の通水を検出する第2センサと、前記操作手段での指示によって前記駆動源を回転させるとともに、前記指示の情報を記憶する制御手段とを備え、前記制御手段では、前記第1センサが前記吐水口の開閉動作を検出してから前記第2センサが前記通水を検出するまでの前記操作手段での前記情報を記憶し、記憶した前記情報を出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明のポンプ装置によれば、吸水配管における通水抵抗を低減でき、キャビテーション性能を向上でき、放水開始までの時間を短縮できる。
また本発明のポンプ装置によれば、真空引きする対象空間を小さくし、真空引きの時間を短縮でき、揚水時間を短縮できる。
また本発明のポンプ装置によれば、特定の吐水口では多くの水量を早く吐水できる。
また本発明のポンプ装置を搭載した作業車によれば、吸水に要する作業時間の短縮を図れる。
また本発明のポンプ装置を搭載した作業車によれば、吐水口から吐水ホース先端までの通水時間を短縮できる。
また本発明のポンプ装置を搭載した作業車によれば、作業者の技能向上を図れる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施例によるポンプ装置を搭載した消防車の側面図
図2】同消防車の上面図
図3】同消防車に搭載したポンプ装置の上面図
図4】同ポンプ装置の側面図
図5】同ポンプ装置の後方面図
図6】同ポンプ装置の前方面図
図7】同ポンプ装置に用いる逆流防止弁の上面図
図8】同逆流防止弁の側断面図
図9】同消防車の制御を示すブロック図
図10】比較例としてのポンプ装置の側面図
図11】同ポンプ装置の上面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の第1の実施の形態によるポンプ装置は、吸水配管を、吸水口側の通路断面積よりもポンプ側の通路断面積が大きいディフューザ継手とし、吸水口として、車輌の一方の側面に配置される第1吸水口と、車輌の他方の側面に配置される第2吸水口とを有し、ポンプ吸入口のポンプ吸入口仮想法線ベクトルと、第1吸水口の吸水口仮想法線ベクトルとが第1の角度以下となり、ポンプ吸入口仮想法線ベクトルと、第2吸水口の吸水口仮想法線ベクトルとが第4の角度以下となるように、ポンプと吸水口とを配置し、吸水配管を、吸水口に一端を接続する第1吸水配管部と、ポンプ吸入口に一端を接続する直管の第2吸水配管部とで構成し、第1吸水配管部を曲管とし、一端を2股に分岐させ、分岐した一方の第1吸水配管部を第1吸水口に接続し、分岐した他方の第1吸水配管部を第2吸水口に接続し、第1吸水配管部の他端と第2吸水配管部の他端とを接続したものである。本実施の形態によれば、吸水配管における通水抵抗を低減でき、キャビテーション性能を向上でき、放水開始までの時間を短縮できる。
なお、吸水配管の曲がりが少ないほど通水抵抗が低減されるため、「第1の角度」は0度に近いほうがよく、少なくとも90度以下とすることが好ましい。
【0010】
発明の第の実施の形態は、第の実施の形態によるポンプ装置において、消火栓に接続される中継口を備え、中継口に一端を接続する中継配管の他端を、開閉バルブを介して第2吸水配管部に接続したものである。本実施の形態によれば、開閉バルブを閉塞して吸水配管から中継配管を切り離すことで真空引きする対象空間を小さくできるため、真空引きの時間を短縮でき、揚水時間を短縮できる。
【0011】
本発明の第の実施の形態は、第1又はの実施の形態によるポンプ装置において、吸水口を、ポンプ吸入口の位置以下の高さとしたものである。本実施の形態によれば、吸水配管における通水抵抗を更に低減できる。
【0012】
本発明の第の実施の形態は、第1から第の実施の形態によるポンプ装置において、吐水口として、車輌の一方の側面に配置される第1吐水口及び第2吐水口と、車輌の他方の側面に配置される第3吐水口及び第4吐水口とを有し、逆流防止弁の第1吐出口から第1吐水口までを接続する第1吐水配管と、逆流防止弁の第2吐出口から第3吐水口までを接続する第2吐水配管は、途中に分岐を有しないものである。本実施の形態によれば、第1吐水口だけを接続する第1吐水配管、及び第3吐水口だけを接続する第2吐水配管は、途中で分岐させていないため、途中で分岐させて第2吐水口又は第4吐水口と接続した場合と比較して、通水抵抗を小さくできる。したがって、少なくとも第1吐水口及び第3吐水口を用いた場合には、途中で分岐を有する吐水配管に接続された吐水口を用いた場合よりも多くの水量を早く吐水できる。
【0013】
本発明の第の実施の形態は、第の実施の形態によるポンプ装置において、第1吐出口の第1吐出口仮想法線ベクトルと、第1吐水口の第1吐水口仮想法線ベクトルとが第2の角度以下となるように、第1吐出口と第1吐水口とを配置し、第2吐出口の第2吐出口仮想法線ベクトルと、第3吐水口の第3吐水口仮想法線ベクトルとが第3の角度以下となるように、第2吐出口と第3吐水口とを配置したものである。本実施の形態によれば、第1吐水配管及び第2吐水配管の長さを短くできるとともに、曲り箇所が少ない配管にできるため、通水抵抗を更に低減できる。
【0014】
本発明の第の実施の形態は、第又は第の実施の形態によるポンプ装置において、逆流防止弁が、ポンプ吐出口に接続する弁吸入口と、弁吸入口を閉塞する弁体と、第1吐出口、第2吐出口、及び弁吸入口と連通して弁体が移動できる空間を形成する弁本体とを有し、弁吸入口を弁本体の下方に配置し、第1吐出口及び第2吐出口を弁本体の側方に配置し、弁体を弁本体の上方に配置したものである。本実施の形態によれば、通水抵抗を低減できる配管接続とすることができる。
【0015】
本発明の第の実施の形態は、第1から第の実施の形態によるポンプ装置において、吐水配管に排気弁を設け、排気弁を吐水口に近接させたものである。本実施の形態によれば、吐水配管内のエアー溜まりを取り除き通水性を向上でき、通水時間を短縮できる。
【0016】
本発明の第の実施の形態は、第の実施の形態によるポンプ装置において、吐水口が吐水コックによって形成され、吐水コックに、エアー管の一端を接続し、エアー管の他端を排気弁に接続したものである。本実施の形態によれば、吐水コック内に残留しているエアー溜まりも取り除くことができるため、通水性を更に向上できる。
【0017】
本発明の第の実施の形態は、第1から第の実施の形態によるポンプ装置を搭載した作業車において、車輌後輪の車軸よりも後方の位置で、吸水ホースが巻かれて装着され、吸水口を、車輌後輪よりも後方の位置に配置したものである。本実施の形態によれば、吸水口及び吸水ホースがともに車輌後方に位置するため、吸水に要する作業時間の短縮を図れる。
【0018】
本発明の第10の実施の形態は、第1から第の実施の形態によるポンプ装置を搭載した作業車において、切り替えによって車輌走行又はポンプの回転に用いる駆動源と、駆動源の駆動力を変更する操作手段と、吐水開始待機時の吐水圧を設定する制御手段とを備え、制御手段では、吐水開始待機時には、車輌走行に用いる場合のアイドリング回転数よりも高い回転数で駆動源を回転させるものである。本実施の形態によれば、吐水開始待機時の吐水圧を、駆動源を車輌走行に用いる場合のアイドリング回転数による圧力よりも高く設定することで、通水速度を速くでき、吐水口から吐水ホース先端までの通水時間を短縮できる。
【0019】
本発明の第11の実施の形態は、第1から第の実施の形態によるポンプ装置を搭載した作業車において、切り替えによって車輌走行又はポンプの回転に用いる駆動源と、駆動源の駆動力を変更する操作手段と、吐水ホースの一端側に接続する吐水口の開閉動作を検出する第1センサと、吐水ホースの他端側の通水を検出する第2センサと、操作手段での指示によって駆動源を回転させるとともに、指示の情報を記憶する制御手段とを備え、制御手段では、第1センサが吐水口の開閉動作を検出してから第2センサが通水を検出するまでの操作手段での情報を記憶し、記憶した情報を出力するものである。本実施の形態によれば、吐水に要する時間を客観的にかつ正確に測定でき、操作手段での情報を出力することで、作業者の技能向上を図れる。
【実施例】
【0020】
以下本発明の一実施例によるポンプ装置を搭載した作業車について説明する。
図1は本実施例によるポンプ装置を搭載した消防車の側面図、図2は同消防車の上面図である。
本実施例による消防車は、車両フレーム10上に、乗車キャビン11とポンプ装置30とを搭載している。
ポンプ装置30は、車両両側面にそれぞれ吸水口21、吐水口22、中継口23を備えている。吸水口21には、吸水ホース24が接続されており、この吸水ホース24を用いて池やプールなどの貯水源から吸水を行う。吐水口22には、図示しない吐水ホースを接続する。中継口23には、図示しない中継ホースによって消火栓に接続する。
吸水口21は、車輌側面で、車輌後輪12よりも後方の位置に配置している。
吸水ホース24は、車輌後輪12の車軸13よりも後方の位置で、車輌側面に巻かれて装着される。
吸水口21及び吸水ホース24をともに車輌後方に位置させることで、吸水に要する作業時間の短縮を図れる。
ポンプ装置30には、吐水圧を変更する操作手段51が設けられている。操作手段51は、例えばエンジンへの燃料供給量を変更するスロットルである。
【0021】
図3から図6は同消防車に搭載したポンプ装置を示し、図3は同ポンプ装置の上面図、図4は同ポンプ装置の側面図、図5は同ポンプ装置の後方面図、図6は同ポンプ装置の前方面図である。
【0022】
ポンプ装置30は、ポンプ吸入口31及びポンプ吐出口32を有するポンプ33と、吸水口21からポンプ吸入口31までを接続する吸水配管25と、ポンプ吐出口32に接続する逆流防止弁40と、逆流防止弁40から吐水口22までを接続する吐水配管26とを備えている。
ポンプ装置30は、吸水口21として、車輌の一方の側面に配置される第1吸水口21Lと、車輌の他方の側面に配置される第2吸水口21Rを有している。
吸水口21は、吸水コック21Cによって形成されている。吸水コック21Cは吸水口21の開閉を行う。
また、ポンプ装置30は、吐水口22として、車輌の一方の側面に配置される第1吐水口22LF及び第2吐水口22LBと、車輌の他方の側面に配置される第3吐水口22RF及び第4吐水口22RBとを有している。
吐水口22は、吐水コック22Cによって形成されている。吐水コック22Cは吐水口22の開閉を行う。
また、ポンプ装置30は、中継口23として、車輌の一方の側面に配置される第1中継口23Lと、車輌の他方の側面に配置される第2中継口23Rを有している。
中継口23は、中継コック23Cによって形成されている。中継コック23Cは中継口23の開閉を行う。
【0023】
ポンプ33と吸水口21とは、ポンプ吸入口31のポンプ吸入口仮想法線ベクトル31NVと、第1吸水口21Lの吸水口仮想法線ベクトル21LNVとが第1の角度以下となるように配置し、ポンプ吸入口仮想法線ベクトル31NVと、第2吸水口21Rの吸水口仮想法線ベクトル21RNVとが第4の角度以下となるように配置している。
吸水配管25の曲がりが少ないほど通水抵抗が低減されるため、第1の角度及び第4の角度は0度に近いほうがより好ましいが、配置寸法の制約等により吸水配管25を曲げざるを得ない場合には、通水抵抗が極力少なくなるように、出来る限り滑らかな曲げR(曲げ半径を大きく)とすればよい。したがって、第1の角度及び第4の角度は0度以上90度以下とすることが好ましい。本実施例においては、ポンプ33と吸水口21とは、ポンプ吸入口31のポンプ吸入口仮想法線ベクトル31NVと、第1吸水口21Lの吸水口仮想法線ベクトル21LNVとが90度の角度を有するように配置し、ポンプ吸入口仮想法線ベクトル31NVと、第2吸水口21Rの吸水口仮想法線ベクトル21RNVとが90度の角度を有するように配置している。
【0024】
吸水配管25は、吸水口21側の通路断面積よりもポンプ吸入口31側の通路断面積が大きいディフューザ継手としている。吸水配管25をディフューザ継手とすることで、吸水配管25における通水抵抗を低減でき、キャビテーション性能を向上でき、放水開始までの時間を短縮できる。
吸水配管25は、吸水口21に一端を接続する第1吸水配管部25Aと、ポンプ吸入口31に一端を接続する第2吸水配管部25Bとで構成し、第1吸水配管部25Aの他端と第2吸水配管部25Bの他端とを接続している。第1吸水配管部25Aは鋳造によって成形する。第1吸水配管部25Aの他端と第2吸水配管部25Bの他端とはフランジ接続とする。上述のとおり、吸水配管25は曲がりが少ないほうがより好ましいが、本実施例においては、配置寸法の制約上、第1吸水配管部を曲管とし、第2吸水配管部を直管としている。
第1吸水配管部25Aの一端は2股に分岐し、分岐した一方の第1吸水配管部25ALを第1吸水口21Lに接続し、分岐した他方の第1吸水配管部25ARを第2吸水口21Rに接続している。
一方の第1吸水配管部25ALは、第1吸水口21L側の通路断面積よりもポンプ吸入口31側の通路断面積が大きく、他方の第1吸水配管部25ARは、第2吸水口21R側の通路断面積よりもポンプ吸入口31側の通路断面積が大きい。
【0025】
逆流防止弁40は、第1吐出口41、第2吐出口42、及び第3吐出口43を有している。
吐水配管26は、第1吐水配管26A、第2吐水配管26B、及び第3吐水配管26Cとで構成している。
第1吐水配管26Aは、第1吐出口41から第1吐水口22LFまでを接続する。第2吐水配管26Bは、第2吐出口42から第3吐水口22RFまでを接続する。第3吐水配管26Cは、第3吐出口43から第2吐水口22LB及び第4吐水口22RBまでを接続する。第1吐水配管26A及び第2吐水配管26Bは途中に分岐を有さない。
本実施例によれば、第1吐水口22LFだけを接続する第1吐水配管26A、及び第3吐水口22RFだけを接続する第2吐水配管26Bは、途中で分岐させていないため、第2吐水口22LB及び第4吐水口22RBを接続する第3吐水配管26Cと比較して、通水抵抗を小さくできるため、第2吐水口22LB又は第4吐水口22RBを用いた場合よりも第1吐水口22LF及び第3吐水口22RFを用いた場合には、多くの水量を早く吐水できる。
【0026】
第1吐出口41と第1吐水口22LFとは、第1吐出口41の第1吐出口仮想法線ベクトル41NVと、第1吐水口22LFの第1吐水口仮想法線ベクトル22LFNVとが第2の角度以下となるように配置している。吐水配管26の曲がりが少ないほど通水抵抗が低減されるため、第2の角度は0度に近いほうがより好ましいが、配置寸法の制約等により吐水配管26を曲げざるを得ない場合には、通水抵抗が極力少なくなるように、出来る限り滑らかな曲げR(曲げ半径を大きく)とすればよい。したがって、第2の角度は0度以上45度以下とすることが好ましく、0度以上30度以下とすることがより好ましい。本実施例においては、第1吐出口41と第1吐水口22LFとは、第1吐出口41の第1吐出口仮想法線ベクトル41NVと、第1吐水口22LFの第1吐水口仮想法線ベクトル22LFNVとが30度以下の角度を有するように配置している。第1吐出口41と第1吐水口22LFとをこのように配置することで、第1吐水配管26Aの長さを短くできるとともに、曲り箇所が少ない配管にできるため、通水抵抗を更に低減できる。
第2吐出口42と第3吐水口22RFとは、第2吐出口42の第2吐出口仮想法線ベクトル42NVと、第3吐水口22RFの第3吐水口仮想法線ベクトル22RFNVとが第3の角度以下となるように配置している。第3の角度は第2の角度と同様に0度以上45度以下とすることが好ましく、0度以上30度以下とすることがより好ましい。本実施例においては、第2吐出口42と第3吐水口22RFとは、第2吐出口42の第2吐出口仮想法線ベクトル42NVと、第3吐水口22RFの第3吐水口仮想法線ベクトル22RFNVとが30度以下の角度を有するように配置している。第2吐出口42と第3吐水口22RFとをこのように配置することで、第2吐水配管26Bの長さを短くできるとともに、曲り箇所が少ない配管にできるため、通水抵抗を更に低減できる。
【0027】
中継配管27は、中継口23と吸水配管25とを接続する。中継配管27は、一端を中継口23に接続し、他端を開閉バルブ28を介して第2吸水配管部25Bに接続している。
本実施例によれば、開閉バルブ28を閉塞して吸水配管25から中継配管27を切り離すことで真空引きする対象空間を小さくできるため、真空引きの時間を短縮でき、揚水時間を短縮できる。
【0028】
第1吐水配管26A、第2吐水配管26B、及び第3吐水配管26Cには、排気弁29を設けている。排気弁29は、急速排気弁が好ましく、第1吐水口22LF、第2吐水口22LB、第3吐水口22RF、及び第4吐水口22RBにそれぞれ近接させて設けている。吐水配管26に排気弁29を設けることで、吐水配管26内のエアー溜まりを取り除くことができるため、通水性を向上でき、通水時間を短縮できる。
【0029】
第1吐水口22LFを形成する吐水コック22Cには、エアー管29aの一端を接続し、エアー管29aの他端を、第1吐水配管26Aに設けた排気弁29に接続している。
また、第3吐水口22RFを形成する吐水コック22Cには、エアー管29aの一端を接続し、エアー管29aの他端を、第2吐水配管26Bに設けた排気弁29に接続している。
本実施例のようにエアー管29aを用いて、吐水コック22Cと排気弁29とを接続することで、吐水コック22C内に残留しているエアー溜まりも取り除くことができるため、通水性を更に向上できる。
【0030】
図4に示すように、本実施例では、吸水口21とポンプ吸入口31とを同じ高さとしている。吸水口21を、ポンプ吸入口31の位置以下の高さとすることで、通水抵抗を更に低減できる。
【0031】
図7及び図8は同ポンプ装置に用いる逆流防止弁を示し、図7は同逆流防止弁の上面図、図8は同逆流防止弁の側断面図である。
逆流防止弁40は、ポンプ吐出口32に接続する弁吸入口44と、弁吸入口44を閉塞する弁体45と、第1吐出口41、第2吐出口42、第3吐出口43、及び弁吸入口44と連通して弁体45が移動できる空間Sを形成する弁本体46とを有している。
弁吸入口44は弁本体46の下方に配置し、第1吐出口41、第2吐出口42、及び第3吐出口43は弁本体46の側方に配置し、弁体45は弁本体46の上方に配置している。
ポンプ吐出口32から流体圧が加わっている状態では、図示のように弁体45は、上方に位置し、空間Sによって、第1吐出口41、第2吐出口42、第3吐出口43、及び弁吸入口44が連通している。
ポンプ吐出口32から流体圧が加わらない状態では、弁体45は空間S内で下方に移動して弁吸入口44を閉塞することで、第1吐出口41、第2吐出口42、及び第3吐出口43から弁吸入口44に流体が逆流することを防止する。
本実施例による逆流防止弁40によれば、ポンプ33を逆流防止弁40の下方に配置し、第1吐出口41、第2吐出口42、及び第3吐出口43に吐水配管26を接続することで、通水抵抗を低減できる配管接続とすることができ、特に第1吐出口41に接続する第1吐水配管26A、及び第2吐出口42に接続する第2吐水配管26Bでの通水抵抗を低減できる。
【0032】
図9は同消防車の制御を示すブロック図である。
本実施例による消防車は、切り替えによって車輌走行又はポンプ33の回転に用いる駆動源52と、駆動源52の駆動力を変更する制御手段60とを備えている。駆動源52には、車両に搭載しているエンジンが用いられる他、電動モータを用いてもよい。
制御手段60は、吐水開始待機時の吐水圧をあらかじめ設定して記憶する設定圧記憶手段61と、吐水開始待機時には設定圧記憶手段61に記憶した吐水圧、吐水開始以降には操作手段51からの指示による吐水圧となるように駆動源52に回転数指示を出力する回転数指示手段62とを備えている。
設定圧記憶手段61に記憶する吐水圧は、駆動源52を車輌走行に用いる場合のアイドリング回転数による圧力よりも高く設定している。
従って、制御手段60は、吐水開始待機時には、車輌走行に用いる場合のアイドリング回転数よりも高い回転数で駆動源52を回転させる。
本実施例によれば、吐水開始待機時の吐水圧を、駆動源52を車輌走行に用いる場合のアイドリング回転数による圧力よりも高く設定することで、通水速度を速くでき、吐水口22から吐水ホース先端までの通水時間を短縮できる。
なお、吐水開始待機時に設定圧記憶手段61に記憶した吐水圧(ポンプ回転数)に達した場合には、表示手段53の「設定」LED灯が点滅するようにし、この点滅しているときに吐水開始すれば効率のよい放水が可能であることを操作員等に知らせるようにしてもよい。表示手段53としてLED灯を用いる場合には、表示手段53は、点滅に代えて点灯や消灯による表示、又は点滅や点灯における発光色の変更による報知とすることができる。また、操作員等に知らせる手段としては、LED灯による報知の他、表示手段53の液晶における表示、音、又は操作手段51の振動等であってもよい。また、吐水開始待機時に設定圧記憶手段61に記憶した吐水圧(ポンプ回転数)に達していない場合に、表示手段53の「設定」LED灯が点滅するようにし、この点滅しているときに吐水開始すれば効率のわるい放水になることを操作員等に知らせるようにしてもよい。
【0033】
本実施例による消防車は、吐水ホースの一端側に接続する吐水口22(吐水コック22C)の開閉動作を検出する第1センサ71と、吐水ホースの他端側の通水を検出する第2センサ72と、吐水配管26内の圧力を検出する吐水圧検出センサ73とを備えている。第1センサ71は、吐水口22(吐水コック22C)の開閉動作を検出することで通水を判断する。
また、第1センサ71は、吐水ホースの一端側の通水を検出するセンサであってもよく、この場合に第1センサ71は、吐水口22に接続する吐水ホースの端部に設ける他に、吐水口22を形成する吐水コック22Cや、この吐水コック22C近傍の吐水配管26に設けてもよい。
第2センサ72は、第1センサ71で通水を検出する吐水ホースに、又は吐水ノズルを接続する吐水ホースの端部に設ける他に、吐水ノズルに設けてもよい。
【0034】
制御手段60は、時間を計測する計時手段63と、計時手段63で計測する時間とともに操作手段51からの指示の情報を記憶する指示情報記憶手段64とを備えている。
制御手段60では、第1センサ71が通水を検出してから第2センサ72が通水を検出するまでの操作手段51での情報を指示情報記憶手段64に記憶し、記憶した情報を表示手段53に出力する。
【0035】
本実施例によれば、吐水に要する時間を客観的にかつ正確に測定でき、操作手段51での情報を出力することで、作業者の技能向上を図れる。
なお、本実施例では設定圧記憶手段61には、吐水開始待機時の設定吐水圧を記憶させた場合を説明したが、吐水開始以降の設定上限吐水圧を記憶し、吐水圧検出センサ73で検出される検出吐水圧が、設定上限吐水圧を越えないように、回転数指示手段62ではフィードバック制御してもよい。フィードバック制御によって吐水圧の異常上昇を防止することでキャビテーション性能を向上させることができる。また、このフィードバック制御に代えて、吐水圧検出センサ73で検出される検出吐水圧が、設定上限吐水圧になると、所定量又は既定値まで回転数を低下させる指示を回転数指示手段62から指示することもできる。または、操作手段51からの指示により吐水開始以降に設定圧記憶手段61に記憶した吐水圧(ポンプ回転数)に達した場合には、表示手段53の「設定」LED灯が点滅するようにし、この点滅によって吐水圧の異常上昇状態であることを操作員等に知らせるようにしてもよい。
また、吐水コック22Cの開放を第1センサ71で検出した後の放水開始時には、所定量又は既定値まで回転数を低下させる指示を回転数指示手段62から指示し、その後は、吐水圧検出センサ73で検出される検出吐水圧が、設定上限吐水圧を越えないように、回転数指示手段62によってフィードバック制御することもできる。または、吐水開始以降に操作手段51からの指示により設定圧記憶手段61に記憶した吐水圧(ポンプ回転数)に達した場合には、表示手段53の「設定」LED灯が点滅するようにし、この点滅によって設定上限吐水圧であることを操作員等に知らせるようにしてもよい。
【0036】
ここで、吐水コック22Cの開放後、吐水ホースの先端に取り付けた吐水ノズルから放水するまでの間における表示手段53での表示方法の他の実施例について説明する。
操作手段51がエンコーダ式のスロットルであり、スロットルの回転方向と回転量に応じて駆動源52の回転数が変化する場合には、ポンプ33の実際の回転数を操作手段51の操作によっては把握できない。
この場合のスロットル(操作手段)51は、例えばスロットル51を時計方向に回せば駆動源52の回転数が増加し、スロットル51を時計方向に回し続ければ、回転数が増加し続けるが、スロットル51を回さなければ、その時点の回転数を維持するものである。従って、駆動源52の回転数を低下させるには、スロットル51を反時計方向に回し、スロットル51を回し続ければ、回転数が低下し続ける。
このようなスロットル51では、駆動源52、すなわちポンプ33の実際の回転数を操作手段51では把握できないため、ポンプ33の回転数を増加しすぎることでキャビテーションを起こす可能性がある。
この場合には、ポンプ33の回転数を回転数検出手段74で検出し、回転数検出手段74で検出した検出回転数を、あらかじめキャビテーションを起こさない適正回転数として記憶している設定回転数と比較し、検出回転数が設定回転数を超えていないこと、又は検出回転数が設定回転数を超えたことを、表示手段72で表示する。
表示手段72で、吐水コック22Cの開放後、吐水ホースの先端に取り付けた吐水ノズルから放水するまでの間、ポンプ33の回転数が設定回転数を超えていないこと、又はポンプ33の回転数が設定回転数を超えたことを表示することで、吐出ノズルから放水されるまでの間でのキャビテーションを防止することができる。
【0037】
本発明によるポンプ装置30は、吸水配管25を、吸水口21側の通路断面積よりもポンプ33側の通路断面積が大きいディフューザ継手としたことで、吸水配管25における通水抵抗を低減でき、キャビテーション性能を向上でき、放水開始までの時間を短縮できる。
また、本発明によるポンプ装置30を搭載した作業車は、車輌後輪12の車軸13よりも後方の位置で、吸水ホース24が巻かれて装着され、吸水口21を、車輌後輪12よりも後方の位置に配置したことで、吸水口21及び吸水ホース24がともに車輌後方に位置するため、吸水に要する作業時間の短縮を図れる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、例えば消防車に用いられるポンプ装置に適している。
【符号の説明】
【0039】
21 吸水口
22 吐水口
23 中継口
24 吸水ホース
25 吸水配管
25A 第1吸水配管部
25B 第2吸水配管部
26 吐水配管
26A 第1吐水配管
26B 第2吐水配管
26C 第3吐水配管
27 中継配管
28 開閉バルブ
29 排気弁
30 ポンプ装置
31 ポンプ吸入口
32 ポンプ吐出口
33 ポンプ
40 逆流防止弁
41 第1吐出口
42 第2吐出口
43 第3吐出口
44 弁吸入口
45 弁体
46 弁本体
51 操作手段
52 駆動源
53 表示手段
60 制御手段
61 設定圧記憶手段
62 回転数指示手段
63 計時手段
64 指示情報記憶手段
71 第1センサ
72 第2センサ
73 吐水圧検出センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11