(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
火山噴出物堆積鉱物から礫分を除去した残部を、循環式風力選別機及び吹上式風力選別機から選ばれる少なくとも一種の風力選別機に供給して、粗粒分と、粗粒分以外とに二分し、
該粗粒分を、水平方向から所定の角度で傾斜させた多孔板を振動させつつ下方から多孔板に向けて送風するエアテーブル式の比重差選別装置に供給して、該多孔板の上端から選別されたものを細骨材として回収することを特徴とする火山噴出物堆積鉱物の乾式分離方法。
火山噴出物堆積鉱物から礫分を除去した残部を供給して粗粒分と粗粒分以外とに選別する、循環式風力選別機及び吹上式風力選別機から選ばれる少なくとも一種の風力選別機と、
該循環式風力選別機又は吹上式風力選別機により選別された粗粒分が供給され、水平方向から所定の角度で傾斜させた多孔板を振動させつつ下方から多孔板に向けて送風するエアテーブル式の比重差選別装置と、を備え、
該比重差選別装置が、前記多孔板の上端から細骨材を選別することを特徴とする火山噴出物堆積鉱物の乾式分離装置。
【背景技術】
【0002】
従来、コンクリート用細骨材として、川砂、海砂のような天然砂が用いられていたが、川砂は、長年にわたる乱掘の結果、枯渇をきたしており、また海砂の採取が環境破壊につながるためその採取が制限されている。よって、コンクリート用細骨材は、一部を輸入に頼らざるを得ない事態が生じている。海砂の依存度の高い西日本では、特に深刻であり、天然砂に代わるべき原料の入手が緊急の課題となっている。
【0003】
ところで、シラスは、南九州に広く分布する火山噴出物堆積鉱物の1種であって、大量に入手可能な資源であることから、シラスをコンクリート用の骨材として活用できれば天然砂の代りになり得る。特に、川砂などの無塩砂は、コンクリート、特に鉄筋コンクリートの長寿命化に寄与するため、塩分の混入が避けられない海砂よりも付加価値が高いが、川砂の採取は、淡水生物や水生植物などの生態系の破壊をもたらし、環境負荷が大きい。シラスは、陸上にある約3万年前の火砕流堆積物であり無塩なので、シラスから取り出された細骨材は、無塩砂として付加価値が高い。
【0004】
コンクリート用細骨材として、普通シラス、すなわち、南九州のシラス台地を形成するもので、天然のままで加工されていないシラスを用いる場合の最大の課題は、鹿児島県土木部が監修した「シラスを細骨材として用いるコンクリートの施工マニュアル(案)」(2006年発行)によれば、シラス中に極めて多くの微粒分が含まれていることにある。普通シラス中の粒径0.150mm以下の微粒分の含有量は、20〜40%の範囲であり、平均で30%程度と、天然砂に比べて異常に多くなっている。微粒分が多いのは、水による淘汰作用を受けた川砂などと異なり、普通シラスが水の淘汰作用を受けていない巨大な火砕流堆積物であるということに由来する。土木学会「コンクリート標準示方書」には、普通砂の場合は粒径0.150mm以下の粒子含有量を10%以下とし、砕砂及び高炉スラグ砕砂については同含有量を15%以下とすることができるとしているから、普通シラスをそのままでは普通砂に用いることはできない。仮に、粒径0.150mm以下の微粒分を大量に含む細骨材を用いた場合は、まだ固まらないフレッシュコンクリートの流動性が阻害され、単位水量の増大につながる。このため、粒径0.150mm以下の微粒分を、望ましくは砕砂と同じ15%以下、少なくとも15%未満にまで除去する必要があるが、その除去には多大の経費を要し、コスト高になるために、これまで実現できなかった。
【0005】
すなわち、シラスから粒径0.150mm以下の微粒分を除去するには、乾式ふるい分け法と湿式ふるい分け法があるが、前者をシラスが未乾燥のままで行うと、含まれる水分が粒子同士の接着を保持する働きをしたり、ふるい過程で振動により水分がしみ出してくる場合があることから、微粒分は凝集したり粗粒子に付着したまま、ふるいの網にも付着してしまい、ふるいが目詰まりを起こして微粒分の除去が不可能となる。そのため、ふるい分けに先立って乾燥する必要があるが、それには多大のエネルギー消費を伴う上に長い処理時間を必要とし、実用化の上で大きな障害となるのを免れない。また、後者の湿式ふるい分け法は、大量の水を用いなければならない上に、整粒後に乾燥処理を行う必要があるため、前者と同様の不利を伴う。
【0006】
シラスを整粒する際のもう一つの課題として、除去された粒径0.150mm以下の微粒分、すなわち不要残分の処分の問題がある。JIS−A1204「土の粒度試験方法」によれば、粒径2〜4.75mmが細礫分、粒径0.850〜2mmが粗砂分、粒径0.250〜0.850mmが中砂分、粒径0.075〜0.250mmが細砂分、粒径0.005〜0.075mmがシルト分、粒径0.005mm以下が粘土分と規定されている。したがって、粒径0.150mm以下の微粒分は、粒度分布が広く、細砂分の一部とシルト分と粘土分とが混在していることになり、付加価値も低く、その用途が無い。そのシルト分と粘土分のうち、特に粘土分は、粒子が細かく水中で沈降し難いので、濁ったまま川や海に流すことができず、ため池でコストのかさむ凝集剤を使って沈降速度を高めて沈殿分離したものを廃棄処分しなければならず、その処分費用も無視できない。また、その上澄液の排水も凝集剤の成分が混入しているので、自然環境への放流は、環境上も好ましくない。一度、水に浸された粘土分やシルト分と粘土分の凝集体は、乾燥過程で、凝固してしまい、利用する場合に、単粒子に分散させて用いたくても、単粒子に分散しにくいので、たとえ混和材などに用いようとしても凝集構造が邪魔をして、本来有する可能性のあるポゾラン効果を発現し難い。更に、凝集剤の成分が混入している場合には、混和材としての効果が低減する。
【0007】
所望の粒度に整えることを整粒というが、普通シラスを整粒して上記のように粒径0.150mmを基準に2分割した場合に、その一方が製品として有用であっても、他方の不要残分が発生して、その処分費用を製品に転嫁することになるため、価格競争で不利になる。また、整粒による分割数が少ないと、自ずと粒度幅が広いものとなり、付加価値が低くなるので、採算が合わなかった。
【0008】
したがって、吉田シラスや加久藤シラスのような、水による天然の淘汰作用を受けて粒度が細かく揃っている資源量の極めて少ないシラスは例外として、シラス台地を形成する普通シラスについては、工業的には整粒すると採算がとれないのが現状であった。
【0009】
普通シラスの整粒方法に関して、第一サイクロンないし第四サイクロンとバグフィルタとを組み合わせて、第一サイクロンで細骨材、第二サイクロンで粗砂分及び中砂分、第三サイクロンで中砂分及び細砂分、第四サイクロンで細砂分及びシルト分、バグフィルタで粘土分を、それぞれ回収する方法がある(特許文献1)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献1に記載の整粒方法は、煩雑で多量の熱エネルギーの消費を伴う原料シラス又は製品の乾燥処理や、大量の水を使用する水簸処理を行うことなく、火山噴出物堆積鉱物から所望の粒度に整えられた付加価値の高い整粒物を、簡単かつ効率的に、多種類にて同時に大量生産することが可能である。しかしながら、普通シラスを原料に、第一サイクロンで回収される細骨材は、そのままではJIS A5308の「砂」で規定する密度2.5g/cm
3以上のものの収率が低く、収率を高めるために更なる改良が求められていた。
【0012】
本発明は、従来の普通シラスの整粒方法の改良を図り、密度が2.5g/cm
3以上の細骨材の収率を高めることができる火山噴出物堆積鉱物の乾式分離方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者は、火山噴出物堆積鉱物、例えば普通シラスから、粒径の大きな礫分を取り除いたのち、特定の風力選別機と特定の比重差選別装置とを組み合わせた装置により乾式分離することで、密度が2.5g/cm
3以上の細骨材の収率を高めることができることを見出し、この知見に基づいて本発明をなすに至った。
【0014】
本発明の火山噴出物堆積鉱物の乾式分離法は、火山噴出物堆積鉱物から礫分を除去した残部を、循環式風力選別機及び吹上式風力選別機から選ばれる少なくとも一種の風力選別機に供給して、粗粒分と、粗粒分以外とに二分し、
該粗粒分を、水平方向から所定の角度で傾斜させた多孔板を振動させつつ下方から多孔板に向けて送風するエアテーブル式の比重差選別装置に供給して、該多孔板の上端から選別されたものを細骨材として回収することを特徴とする。
【0015】
本発明の火山噴出物堆積鉱物の乾式分離法においては、上記多孔板の下端から選別されたものを軽石として回収することができ、また、上記多孔板から吹き上げられたものを更にサイクロン式分級機で細粒と微粉とに選別することができる。また、上記多孔板の目開きは0.1〜0.25mmであることは好ましく、上記粗粒分以外を、更にサイクロン式分級機で細粒と微粉とに選別することは好ましい。
【0016】
本発明の火山噴出物堆積鉱物の乾式分離装置は、火山噴出物堆積鉱物から礫分を除去した残部を供給して粗粒分と粗粒分以外とに選別する、循環式風力選別機及び吹上式風力選別機から選ばれる少なくとも一種の風力選別機と、
該循環式風力選別機又は吹上式風力選別機により選別された粗粒分が供給され、水平方向から所定の角度で傾斜させた多孔板を振動させつつ下方から多孔板に向けて送風するエアテーブル式の比重差選別装置と、を備え、
該比重差選別装置が、上記多孔板の上端から細骨材を選別することを特徴とする。
【0017】
本発明の火山噴出物堆積鉱物の乾式分離装置においては、上記多孔板の下端から軽石を選別することができ、また、多孔板から吹き上げられたものを細粒と微粉とに選別するサイクロン式分級機を更に備えることができる。また、上記多孔板の目開きが0.1〜0.25mmであることは好ましく、上記粗粒分以外を、細粒と微粉とに選別するサイクロン式分級機を更に備えることは好ましい。
【0018】
本発明の細骨材の製造方法は、上記記載の本発明の火山噴出物堆積鉱物の乾式分離方法により細骨材を得ることを特徴とする。
本発明の軽石の製造方法は、上記記載の本発明の火山噴出物堆積鉱物の乾式分離方法により軽石を得ることを特徴とする。
本発明の細粒の火山ガラス材の製造方法は、上記記載の本発明の火山噴出物堆積鉱物の乾式分離方法により細粒の火山ガラス材を得ることを特徴とする。
本発明の微粉の火山ガラス材の製造方法は、上記記載の本発明の火山噴出物堆積鉱物の乾式分離方法により微粉の火山ガラス材を得ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、密度が2.5g/cm
3以上の細骨材の収率を従来の整粒方法に比べて高めることができる。また、大量の原料を処理して、所望の粒度、密度に整えられた高品位の回収物を、多種類にて得ることもできる。例えば、普通シラスを乾式分離して細骨材と、軽石と、細粒の火山ガラス材と、微粉の火山ガラス材とを回収することができる。軽石は軽量骨材として、細粒の火山ガラス材はパーライト原料又はシラスバルーン原料として、微粉の火山ガラス材は混和材原料又はポゾラン効果を有する混和材又はポゾラン効果を有する混合セメント原料として、付加価値の高いものをそれぞれ回収することができ、普通シラスの有効活用が図られる。上記火山ガラス材は、水硬性石灰やセメントの原料のほか陶磁器原料としても利用できる。換言すれば、本発明は、普通シラス等の火山噴出物堆積鉱物を乾式分離することにより細骨材や、軽量骨材や、パーライトや、パーライト原料又はシラスバルーン原料や、混和材原料又はポゾラン効果を有する混和材又はポゾラン効果を有する混合セメント原料、水硬性石灰原料、セメント原料、陶磁器原料を製造することができる製造方法である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面に従って、本発明の火山噴出物堆積鉱物の乾式分離方法、乾式分離装置、細骨材及び火山ガラス材の製造方法の実施形態を、火山噴出物堆積鉱物の一種である普通シラスを原料に用いた例で説明する。
【0022】
(実施形態1)
本発明の火山噴出物堆積鉱物の乾式分離方法及び装置の一実施形態を説明する。
図1は、本発明の乾式分離方法に用いて好適な乾式分離装置の一例を示す概略図である。本発明の乾式分離装置で分離される火山噴出物堆積鉱物は、例えば普通シラスである。よって、火山噴出物堆積鉱物について普通シラスの例で以下説明する。
図1に示す乾式分離装置1は、風力選別機11と、比重差選別装置21とを備えている。
【0023】
この風力選別機11は、送風機で風を送りつつ選別コラムに被選別物を投入し、その風速より浮遊速度が大きいものと小さいものとを分離する装置である。選別コラムとは、円形又は四角又は長方形の菅内の断面積を一定にした空間で、風の脈流を極力少なくした一定速度の上昇気流で、粒子の浮遊速度の違いを利用して選別する部分を指す。一般に、風力選別機には循環式風力選別機、吹上式風力選別機、吸引式風力選別機等があり、本発明の乾式分離方法は、粗粒分と、粗粒分以外とに二分し得る風力選別機であれば、基本的にはその種類を問わず用いることができる。もっとも、風力選別機のうち、吸引式風力選別機は、吹上式風力選別機の約2倍の動力が必要であり、乾式分離のコストが増すおそれがある。その一方で、循環式風力選別機及び吹上式風力選別機は、共に送風に多翼扇のシロッコファンが用いられていて、このシロッコファンは、脈流の少ない気流を選別コラムに生じさせることができるので、高精度の選別が可能である。したがって、本発明における風力選別機は、循環式風力選別機及び吹上式風力選別機から選ばれる少なくとも一種の風力選別機としている。なお、本発明における循環式風力選別機又は吹上式風力選別機の送風ファンは、シロッコファンに限定されるものでなく、脈流の少ない気流を発生させる装置であればよい。また、選別コラム内での気流の均一な面速度を実現する整流装置を付属した送風ファンでもよい。
【0024】
図1に示す本実施形態の風力選別機11は循環式風力選別機の例である。循環式風力選別機は、シロッコファン11aで送風され、選別コラム11bと拡散室11cとの循環経路を有する選別機である。一般に、被選別物が選別コラムと拡散室とで循環経路を有しない吹上式風力選別機と比べて、循環式風力選別機は、動力を少なくできるので、コストの面では本発明の乾式分離方法に用いて好ましい。循環式風力選別機は、内蔵するシロッコファンで外気を導入しない密閉型と内蔵するシロッコファンで外気を導入する外気導入型とがあり、本発明では密閉型と外気導入型のいずれも用いることができる。
図1は、密閉型の循環式風力選別機の例を示している。
【0025】
礫分を除去した普通シラスの残部を供給口11dから風力選別機11に定量供給して、粗粒分と、粗粒分以外とに二分し、粗粒分を第1の排出口11eから排出し、粗粒分以外を第2の排出口11fから排出する。風力選別機11に供給される前に除去される礫分は、およそ粒径5mm超のものであることが、風力選別機11の操業能率、操業安定性の観点から好ましい。具体的には、図示した乾式分離装置において、普通シラスは、ベルトフィーダ3aからふるい4aに供給され、ふるい4aにより、粒径5mm超の礫分が、ふるい上として除去され、残部がふるい下としてベルトフィーダ5aによって風力選別機11に供給される。図示した例では、粒径5mm超の礫分の除去のためにふるい4aを用いているが、ふるい4aの代わりに、原料である普通シラスの粒径を5mm以下に粉砕する機械を用いることもできる。また、5mm以下に粉砕する機械を用いて粉砕することにより、普通シラスに含まれる軽石の内部が露出し、分離されて回収された軽石製品の白色度が向上するという利点もある。粉砕された軽石が回収された、小さな軽石や火山ガラス粒子は、軽石粒子内部のガラス表面が露出しており、焼成して膨張発泡させて製造した発泡軽石や、概ね0.15mm以上のパーライト同等品や、概ね0.15mm以下のシラスバルーンの白色度が、粉砕工程を経ていない軽石や火山ガラス粒子起源の発泡軽石やパーライト相当品やシラスバルーン相当品に比べて白色度が高くなるという利点がある。
【0026】
原料をふるい4aで礫分を分離する前に、原料の含水率を概ね2%以下に低減することにより、本実施形態の乾式分離方法及び乾式分離装置を効率よく実施することができる。例えば、原料の含水率の低減は、例えば乾燥機による強制乾燥が考えられる。この強制乾燥により多大なコストを費やして含水率を概ね2%未満に乾燥させなくても、太陽光の差し込む屋内に数cm敷き詰めて数日以上放置して、一定間隔をおいて天地返しをして乾燥させるなど、別の経済的な乾燥手段により原料をある程度乾燥させ、原料の普通シラスの含水率を概ね2%以下に低減することにより、本実施形態の乾式分離方法及び乾式分離装置を効率よく実施することができる。ここで、原料の普通シラスの含水率が2%を超す場合でも、本実施形態の乾式分離方法及び乾式分離装置を実施することができるが、十分に乾燥した普通シラスの原料に比べて、分離効率は低減し、原料の普通シラスの含水率が多いほど、それらの分離効率は低減する。
【0027】
風力選別機11による粗粒分と、粗粒分以外とに二分する選別は、シロッコファン11aによる風速を、回転数等で調整することにより行うことができる。ここにおいて、粗粒分以外とは、粒径が略0.30mm未満のものであり、粗粒分とは、粗粒分以外よりも粒径が大きいもの、具体的には略0.3mm以上のもの、より具体的には粒径略0.30〜5mmのものである。つまり、風力選別機11は、礫分が除去された普通シラスを、粒径が略0.30mmを基準として、それ以上を粗粒に、それ未満を粗粒分以外とに二分するように風速等を調整する。そうすれば、細骨材になり得る成分の略全量が粗粒分に含まれると共に、普通シラスに含まれている微細粒の大半を、上記細骨材になり得る成分から分離することができる。なお、風力選別機11によって、普通シラスを粒径が略0.30mm未満のものと、略0.30mm以上のものに厳密に分級する必要はなく、粗粒分に略0.30mm未満のものが多少含まれていてもよい。特に0.30mm未満でも比重の大きい重鉱物は、粗粒分に分配されやすく、細骨材成分として有効である。風力選別機11では完全に粒径選別することは不可能であり、粗粒分にもわずかな微細粒が混入する。粗粒分に含まれる略0.30mm未満の微細粒は、後述する比重差選別装置21により分離される。要するに風力選別機11は、後述する比重差選別装置21の分離効率を向上させるためと、多孔板の目詰まりを防止するために、微細粒の大半を普通シラスから除去する処理に活用している。
【0028】
風力選別機11により選別された粗粒分は、ベルトフィーダ6を経由して後述する比重差選別装置21に供給される。風力選別機11による粗粒分の回収量に比べて比重差選別装置21の選別能力が大きい場合、風力選別機11による粗粒分を一旦貯蔵し、比重差選別装置21に別ラインで供給することもできる。
【0029】
また、
図2に、変形例の乾式分離装置2で示すように、風力選別機11による粗粒分の回収量と、比重差選別装置21の選別能力とを同じにすることにより、ベルトフィーダ6を省略することもできる。
【0030】
粗粒分には、細骨材になり得る成分の略全量が含まれているので、風力選別機11により選別された粗粒分以外は、普通シラスから細骨材を回収するという観点からは必ずしも必要な分ではない。もっとも粗粒分以外は火山ガラス材からなり、細粒と微粉を分離してこれらを有効活用するために、後述するサイクロン式分級機で分級することができる。
【0031】
図1に示す乾式分離装置は、エアテーブル式の比重差選別装置21を備えている。比重差選別装置21は、多孔板21a及び振動装置21gを有し、水平方向から所定の角度で傾斜させた多孔板21aを振動装置21gにより振動させつつ下方から多孔板21aに向けて風胴21h内の送風ファン21bにより送風するエアテーブル式の比重差選別装置である。比重差選別装置21の原理を
図3に示す模式図を用いて説明する。
【0032】
多孔板21aは、水平方向から所定の角度で傾斜している。また多孔板21aの上面は断面が波形又は鋸刃状の凹凸を有し、その凹凸の高低差は、おおよそ3〜10mmである。また多孔板21aには所定形状の孔を多数有している。多孔板21aは、偏心クランクによる振動装置21gにより下手側から上手側に向けてサイクロイド又はそれに近似した曲線状に送り出してすぐ引っ込めるような独特の前後長±3〜7mmの独特な振動運動が可能であり、波形又は鋸刃状の凹部に引っかかった重比重分を上方に押し出す力を加えることが可能になっている。振動装置21gにより多孔板21aを振動させつつ多孔板21aの孔に向けて風胴21h内の送風ファン21bにより送風可能になっている。多孔板21aの上面に複数比重粉粒の混合物が供給されると、比重の重たい粉粒(
図3中黒丸印で示す)は、多孔板21aの上面の波形又は鋸刃状の凹凸に引っ掛かりつつ、振動装置21gによる多孔板21aの振動により多孔板21aの上手に向かって移動する。比重の軽い粉粒は多孔板21aの孔を通した気流により舞い上がる。舞い上がった比重の軽い粉粒のうち、比較的比重が重たい粒(
図3中白丸印で示す)は多孔板21aの下手に向かって移動する。舞い上がった比重の軽い粉のうち、比較的比重が軽い粉(
図3中点で示す)は気流に乗って比重差選別装置21外に搬送される。
【0033】
したがって、比重差選別装置21に、風力選別機11で選別された粗粒分を供給して、多孔板21aを振動させつつ下方から多孔板21aに向けて送風することにより、多孔板21aの上手側の端部から重比重分を、下手側の端部から軽比重分を選別することができる。また、多孔板21aに供給された粗粒分のうち風力選別機で選別しきれずに粗粒分に付着したりして混入した粒度が小さいもの(以下「集塵分」という。)は、送風により多孔板21aから浮上する。なお、多孔板21aの目開きを0.1〜0.25mm、好ましくは0.15mmに調整して、粗粒分のうち、多孔板21aの孔を通って落下するものがないようにしている。目開きが0.1〜0.25mmであると、粒径略0.30〜5mmの粗粒分の普通シラスの粒が詰まりにくいので、多孔板21aの目詰まりによる処理能力の低下を抑制することができる。本発明の乾式分離処理方法及び装置は、風力選別機11により微細粒が予め分離された粗粒分を多孔板21aで処理するため、普通シラスに含まれる微細粒による多孔板21aの目詰まりが抑制されている。
【0034】
多孔板21aは、普通シラスのうち密度2.5g/cm
3以上のものを重比重分として選別するように作業条件を設定する。作業条件の設定は、例えば時間当たりの原料供給量、送風量、多孔板21aの傾斜角度、多孔板21aの孔の大きさ、孔の形状、孔の数、多孔板の凹凸の形状、多孔板21aの振動数、排出口21eに係る吸出風量等の少なくとも一つを調整することにより行う。この排出口21eの吸出風量を調整するために、菅路7Aに流量調節弁を設置して吸出風量の調整を行うことも有効である。また、細骨材と軽石を、稼働中にそれぞれ連続回収するために、排出口21c及び排出口21dの連結部分にロータリーバルブ又はロッカーバルブをそれぞれに設置することも有効である。
【0035】
多孔板21aで選別された重比重分を、比重差選別装置21の排出口21cから排出させて回収する。回収された重比重分は、密度2.5g/cm
3以上である。この重比重分は、JIS A5308の「砂」で規定する密度2.5g/cm
3以上を満たし、そのまま細骨材として使用することができる。
【0036】
多孔板21aで選別された軽比重分を、比重差選別装置21の排出口21dから排出させる。排出された軽比重分は、粒径0.3mm以上の軽石を含んでいる。この粒径0.3mm以上の軽石は、軽量骨材として有用である。
【0037】
多孔板21aから浮上した集塵分を、比重差選別装置21の排出口21eに接続する管路7Aを経てサイクロン式分級機22に導く。また、先に風力選別機11で選別した粗粒分以外を、その風力選別機11の排出口11fから周囲の空気と共に吸引して管路17を経由してサイクロン式分級機22に導く。
なお、その風力選別機11の排出口11fとサイクロン式分級機22とを、管路17により直結してもよい。
図2に示すように、風力選別機11の排出口11fを菅路17に直結する場合は、菅路17への吸引量を調整するための流量調節弁17aを設置し、吸引量を調整することで、風力選別機11の分離効率を維持することができる。
【0038】
図1、
図2に示すサイクロン式分級機22は、比重差選別装置21からの集塵分と、風力選別機11からの粗粒分以外とを、細粒と、細粒以外の微粉とに分級する。細粒は、粒径が0.05〜0.30mmである。なお、サイクロン式分級機22により分級された細粒の粒径の値0.05〜0.30mmは、概略値である。
【0039】
サイクロン式分級機22の下方に接続する管路には、2個の開閉弁22bを有している。図示した乾式分離装置の作業中に、細粒はサイクロン式分級機22の下方に接続する管路内に堆積する。この細粒を稼働中に連続回収するために、まず上側の開閉弁22bを開いて下側の開閉弁22bを閉じ、これにより細粒を上側の開閉弁22bと下側の開閉弁22bとの間に落下させ、次に上側の開閉弁22bを閉じて下側の開閉弁22bを開き、これにより上側の開閉弁22bと下側の開閉弁22bとの間の細粒を回収する。ここで、開閉弁22bの代わりに同じ機能を有するロータリーバルブ又はロッカーバルブを用いることもできる。
【0040】
回収された細粒は、粒径0.3mm未満の主に火山ガラスである。特に火山噴出物堆積鉱物が本実施形態のようにシラスである場合には、粒径0.3mm未満の火山ガラス材は、加熱により発泡するので、パーライト原料又はシラスバルーン原料として有用である。また、粒径0.3mm未満の火山ガラス材を粉砕することにより混和材として用いることができる。
【0041】
サイクロン式分級機22のオーバーフロー分として、細粒以外の微粉を、管路17Iを経由してバグフィルタ16に導く。バグフィルタ16は、微粉を回収する。微粉は、粒径が0.05mm以下である。なお、微粉の粒径の値0.05mm以下は、概略値である。微粉は、主に火山ガラスよりなり、ポゾラン効果を有する混合セメント原料、より具体的には混和材又はその原料として有用である。ここで、バグフィルタ16の部分は、電気集塵装置に取り替えても同様に機能する。このバグフィルタ回収分の微粉を、稼働中に連続回収するためにバグフィルタ16の下に開閉弁16bを設置している。開閉弁16bは、上記開閉弁22bと同様な機能を有する。開閉弁16bの代わりに同じ機能を有するロータリーバルブ又はロッカーバルブを用いることもできる。
【0042】
バグフィルタ16には排気ブロワ18が接続され、バグフィルタ16のろ布を通過した気流は、排気ブロワ18で排気Jとして排出される。
【0043】
図1に示した本実施形態の乾式分離方法及び乾式分離装置によれば、風力選別機11と比重差選別装置21との組み合わせにより、普通シラスを重比重分と軽比重分と細粒と微粉とに分離することができる。重比重分は、実質的に密度2.5g/cm
3以上の細骨材に相当するから、重比重分を回収することにより密度が2.5g/cm
3以上の細骨材を高い収率で得ることができる。また、副次的に普通シラスに含まれている火山ガラス材を、軽石、細粒及び微粉に分級することができ、それぞれの用途に活用することができる。
【0044】
火山ガラス材を3種類に分ける必要性は、軽石は軽量骨材として利用できること、細粒と微粉は、適する用途が異なることである。細粒は、そのまま焼成してシラスバルーンやパーライトの原料に、粉砕すると混和材や水硬性石灰やセメント原料、陶磁器原料に利用できる。微粉は、粒径が細かすぎてシラスバルーンの原料に適さない代わりに、粉砕しなくても混和材や水硬性石灰やセメント原料、陶磁器原料に利用できる。後者の2種類の得意とする利用分野について、混和材の性能評価を行った結果、細粒を粉砕したものの方が、粉砕していない微粉よりもポゾラン効果が優れていることを確認している。また、水硬性石灰の原料や陶磁器原料としては、微粉が細粒よりも適している。
【0045】
以上のことから、普通シラスを細骨材成分と火山ガラス材に選別し、更に火山ガラス材を軽石と細粒と微粉に選別することが、普通シラスを工業資源化するために必要であり、それを実現するために風力選別機と比重差選別機を組み合わせた本発明を見出すに至った。
【0046】
従来技術では、普通シラスの整粒に関して、2006年発行の「シラスを細骨材として用いるコンクリートの施工マニュアル(案)」でも、実用上、普通シラスの整粒が困難である理由が記載され、粒径0.15mm以下の集塵分を除去しない普通シラスの利用方法を提案していることからも、普通シラスの整粒は採算が合わないものであることが半ば常識化していたが、本発明により、低コストで高付加価値の整粒物を同時に多種類生産できた。
【0047】
(実施形態2)
本発明の火山噴出物堆積鉱物の乾式分離方法及び装置の一実施形態を、
図4を用いて説明する。
図4は、本発明の乾式分離方法に用いられる乾式分離装置3の一例を示す概略図である。
図4において、先に図面を用いて説明したのと同じ部材については同一符号を付しており、以下では重複する説明を省略する。
【0048】
図4に示す乾式分離装置3は、風力選別機11の粗粒分以外を、その風力選別機11の排出口11fから周囲の空気と共に吸引して管路17を経て第1のサイクロン式分級機22Aに導き、比重差選別装置21の多孔板21aから浮上した集塵分を、比重差選別装置21の排出口21eに接続する管路7Aを経て第2のサイクロン式分級機22Bに導く。なお、その風力選別機11の排出口11fとサイクロン式分級機22Aとを、管路17により直結してもよい。直結する場合は、菅路17への吸引量を調整するための流量調節弁17aを設置し、吸引量を調整することで、風力選別機11の分離効率を維持することができる。サイクロン式分級機22A、22Bは、既に説明したサイクロン式分級機22と同様の構造とすることができる。
【0049】
風力選別機11において、選別コラム11bで気流の脈流を少なくするためには、サイクロン式分級機22に繋がる菅路17への吸気量を高精度に制御する必要がある。また、比重差選別装置21における分離性能は、排出口21eに係る吸出風量にも影響を受けることが分かっている。そこで、風力選別機11と比重差選別装置21とでそれぞれ独立してサイクロン式分級機22A、22Bとバグフィルタ16A、16B及び排気ブロワ18A、18Bが操作できれば、高精度な比重分離が可能となる。そこで、本実施形態は、
図1の比重差選別装置21に、サイクロン式分級機22Bとバグフィルタ16Bと排気ブロワ18Bを1セット追加している。これにより、高精度な選別、分離が可能となる。
【0050】
(実施形態3)
本発明の火山噴出物堆積鉱物の乾式分離方法及び装置の一実施形態を、
図5を用いて説明する。
図5は、本発明の乾式分離方法に用いられる乾式分離装置4の一例を示す概略図である。
図5において、先に図面を用いて説明したのと同じ部材については同一符号を付しており、以下では重複する説明を省略する。
【0051】
本実施形態の乾式分離装置は、風力選別機が外気導入型の循環式風力選別機12である点で、密閉型の循環式風力選別機11を用いていた実施形態1、2とは相違している。シロッコファン11aにより外気を導入することから、循環式風力選別機12は原料供給口12d及び排出口12eに、それぞれロッカーバルブ12gが配置されている。
本実施形態のように、風力選別機として外気導入型の循環式風力選別機12を用いていても先に述べた実施形態と同様に本発明の効果が得られる。
なお、
図5は、サイクロン式分級機22とバグフィルタ16が一セットの例を示しているが、先に
図4に示したように、サイクロン式分級機22Bとバグフィルタ16Bと排気ブロワ18Bを1セット追加して、合計2セットとしてもよい。
【0052】
(実施形態4)
本発明の火山噴出物堆積鉱物の乾式分離方法及び装置の一実施形態を、
図6を用いて説明する。
図6は、本発明の乾式分離方法に用いられる乾式分離装置5の一例を示す概略図である。
図6において、先に図面を用いて説明したのと同じ部材については同一符号を付しており、以下では重複する説明を省略する。
【0053】
本実施形態の乾式分離装置5は、風力選別機がシロッコファン13aを有する吹上式風力選別機13である点で、密閉型の循環式風力選別機11を用いていた実施形態1、2とは相違している。
本実施形態のように、風力選別機として吹上式風力選別機13を用いていても、先に述べた実施形態と同様に本発明の効果が得られる。
【0054】
(細骨材)
本発明の火山噴出物堆積鉱物の乾式分離方法により得られた重比重分は、密度が2.5g/cm
3以上であり、細骨材に使用することができる。
なお、本発明の方法により得られた重比重分が、細骨材として従来公知の川砂や海砂と相違する点は、重比重分は、水棲生物の痕跡が無いことである。指標生物の水生植物又はプランクトン、微生物、貝類、両生類、甲殻類、魚の卵、鱗などの痕跡が全くないのが、本発明で得られる細骨材(砂)であり、水棲生物や植物の生態系の環境を破壊せずに環境負荷が少ないという利点を有している。シラスは、山砂の一種であるが、火砕流堆積物が天然の水で移動せず、入戸火砕流の発生した約3万年間前から陸上に整然と堆積し、一度も水の淘汰作用を受けていない、乱されていない状態で750億立方メートルという莫大な量存在している。これに対して鹿児島の川砂や海砂は、シラス台地が降雨による浸食と河川、海岸の水の作用で、淘汰されてシラス中の磁鉄鉱、長石、石英、角閃石、輝石などの重鉱物粒子を中心に川底又は海底に堆積したものであり、粘土分や微粉分は流失して環境に拡散してしまっている。よって噴出起源は一緒であるが、生態系の環境負荷への影響が異なる。このような生態系の痕跡が有るか無いかを、生物学的又は植物学的に判定すれば、違いが明確である。
【0055】
また、従来公知の海砂は、軽石を少し含む場合があり、塩分を含んでいるのに対して、本発明の方法により得られた細骨材(砂)は、約3万年前に地表に堆積した火砕流堆積物を乾式分離して得た重比重分である塩分を含まない無塩砂であり、塩分の有無でも海砂との違いは明確である。
更に、従来公知の川砂との違いは、淡水生物、淡水植物の痕跡があるかないかで、本発明の「砂」か否かの違いは明確である。
本発明の方法で得られた細骨材だけでなく、軽石や火山ガラス、微粉も同様な違いで判別できる。
【0056】
(火山ガラス材)
また、本発明の火山噴出物堆積鉱物の乾式分離方法により細骨材を分離して得られた残余の火山ガラス材は、比重差選別装置、サイクロン式分級機及び集塵機によって粒径別に0.3mm超え、0.05mm〜0.3mm、0.05mm未満の3種に分離することができる。このうち0.3mm超えのものは軽量骨材として使用でき、0.05mm〜0.3mmのものはパーライト(JIS A5007相当)原料又はシラスバルーン原料として使用することができ、又は粉砕して混和材として使用でき、0.05mm未満のものは、混和材として又は更に粉砕して超微細な混和材して使用できる。0.05mm〜0.3mmのものを更に粉砕した混和材や、0.05mm未満のものを更に粉砕した混和材は、よりポゾラン効果を有している。これらの粒径の火山ガラス材の粉砕をする装置は、振動ミルを例示することができる。振動ミルの他、ローラミル、JETミル、ビーズミルなどの各種ミルを用いることもできる。
火山ガラス材のうち微粉回収用のバグフィルタによって回収された粒径0.05mm未満のものは、密度が2.30g/cm
3以上であり、かつ、強熱減量が3.5%以下である。
【0057】
また、上述した混和材、すなわち、火山噴出物堆積鉱物を本発明に従う乾式分離方法により分離して得られた粒径0.05mm未満のもの、分離して得られた粒径0.05mm〜0.3mmのものを粉砕したもの、得られた粒径0.05mm未満のものを更に粉砕して超微細にしたものと、ポルトランドセメントを混合した混合セメントは、普通セメントより耐海水性、耐温泉性、耐化学薬品性、緻密性、長期耐久性に優れ、また、ポゾラン効果を有している。混合セメントは、火山ガラス材とポルトランドセメント又はセメントクリンカーとを混合したものを粉砕して製造した方が、2種類の粒子同士が均一に混合して乾燥し、更に、メカノケミカル反応と微粉末化の効果により反応性が高まり、より高強度を発現する混合セメントとなる。混合セメントに用いるために、粒径0.05mm〜0.3mmの火山ガラス材を粉砕したり、粒径0.05mm未満の火山ガラス材を更に粉砕して超微細にしたりするときの粉砕をする装置は、振動ミルを例示することができる。振動ミルの他、ローラミル、JETミル、ビーズミルなどの各種ミルを用いることもできる。上記の火山ガラス材は、水硬性石灰やセメントの原料のほか陶磁器原料としても利用できる。
【0058】
本発明の火山噴出物堆積鉱物の乾式分離方法により細骨材を分離して得られた残余の火山ガラス材であって、分離された粒径0.05mm以上の火山ガラス材を、そのまま又は粉砕した後、焼成膨張させてパーライトを得ることができる。粒径0.05mm以上の火山ガラス材は、火山ガラス材のうちバグフィルタ16により回収された粒径0.05mm以下の微粉を除いた分であり、具体的には、比重差選別装置21の軽比重分の軽石や、サイクロン式分級機22のアンダーフロー分の細粒などである。軽石を焼成発泡することにより、軽量骨材よりも軽量化した、大粒のJIS A5007相当の軽石「パーライト」になる。
【0059】
この粒径0.05mm以上の火山ガラス材は、必要に応じて粉砕してもよい。更に、0.105mm以上のものを原料に使用してパーライトを得るように、0.105mm以上と0.105mm未満とを、ふるい分け等の選別手段により選別してもよい。
【0060】
分離された粒径0.05mm以上の火山ガラス材をそのまま、又は粉砕した後、焼成することにより膨張させて、パーライトが得られる。火山ガラス材は、火炎中又は高温雰囲気下の焼成で膨張・発泡し、平均粒径が1.5倍ほど増加する。例えば、0.105mmの火山ガラス材は焼成により膨張して粒径0.15mm程になる。焼成により得られたパーライトは、JIS A5007に規定する粒度を満たしたパーライトである。
パーライトを得る際の焼成は、静置式竪型炉や水平回転炉(ロータリーキルン)を用いることができる。
【0061】
本発明の火山噴出物堆積鉱物の乾式分離方法により細骨材を分離して得られた残余の火山ガラス材のうちの粒径0.05mm以上のものを、そのまま又は粉砕した後、焼成膨張させて得られたパーライトは、発泡しない重比重分の結晶質(磁鉄鉱、長石、石英、輝石、角閃石など)が、取り除かれた高純度火山ガラスであるため、不良品となる無駄な結晶質に焼成時にエネルギーを加えるロスを無くして、化石燃料を効率よく使って無駄のないパーライトが製造できる。また、不良品の混入が最小限なので、JIS A5007相当の「パーライト」製品としての品質が向上する。更に、焼成炉として例えば移動が容易で、構造が簡単で、低コストである静置式竪型炉を用いることができ、この静置式竪型炉の直下バーナーの火炎の上から、高純度火山ガラス材(0.105mm以上又は軽石)を直接流し込むだけの簡単な方法で、JIS A5007相当のパーライトが製造できる。また更に、僅かに含まれる重比重物(結晶鉱物)や未発泡(発泡の程度が小さい)の火山ガラス原料などの不良品は、焼成炉の直火バーナーの下に重力分離されるので、排気ガスとともにサイクロンで回収されるシラスパーライト製品の品質が向上する竪型炉との組み合わせ効果が、より発揮できる。
【実施例】
【0062】
次に、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
【0063】
(実施例1)
図1に示した実施形態1の装置及び方法を用い、原料の火山噴出物堆積鉱物である普通シラスとしては、鹿児島県鹿屋市串良町に産出する串良シラスを屋内で1週間乾燥させたもの(含水率0.3%、29.16kg)を目の開き5mmのふるい4aで選別したもの(28.46kg)を用いた。
【0064】
この普通シラスを密閉型の循環式風力選別機11により粒径0.3mm以上の粗粒分の14.80kgと、粗粒分以外の13.66kgとに選別した。作業条件は、礫分を除去した普通シラスの供給速度が56.9kg/h、循環式風力選別機11のシロッコファン11aの回転数142rpm、風速2.20m/s、風量9.76m
3/minであった。
【0065】
粗粒分をエアテーブル式の比重差選別装置21により重比重分と、軽比重分と、集塵分とに選別した。作業条件は、粗粒分の供給速度が88.8kg/h、多孔板の孔径が0.15mm(100メッシュ)、振動させる偏心クランクの回転速度が520rpm、送風ファンの流量を28m
3/min、多孔板の傾きを12.7°とした。また多孔板21aの上面は断面が波形の凹凸を有していた。
【0066】
比重差選別装置21の重比重分は、排出口21cから排出され、5.82kgを回収した。風力選別機11に投入前の普通シラス28.46kgに対する重比重分のその質量百分率は20.5%であった。また、重比重分の比重は2.66g/cm
3であり、細骨材として利用可能であった。
【0067】
比重差選別装置21の軽比重分は、排出口21dから排出され、6.26kgを回収した。風力選別機11に投入前の普通シラスに対する軽比重分の質量百分率は22.0%であった。軽比重分は粒径0.3〜5mm、比重1.90g/cm
3の軽石であった。
【0068】
比重差選別装置21の集塵分は、排出口21eから排出された。集塵分は管路7Aを経てサイクロン式分級機22により分級してから、アンダーフロー分の細粒を13.06kg回収した。細粒の比重は2.37g/cm
3であった。風力選別機11に投入前の普通シラスに対する細粒の質量百分率45.9%であった。
また、サイクロン式分級機22のオーバーフロー分を、管路7Iを経てバグフィルタ16に導いて微粉を0.57kg回収した。微粉は、密度2.37g/cm
3であった。風力選別機11に投入前の普通シラスに対する微粉の質量百分率は2.0%であった。
なお、比重差選別装置21の多孔板上の残留分が2.72kg、装置内に滞留した未回収分が0.03kgであった。