(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の複数の実施形態に関して図面を参照して以下に説明する。ただし、本実施形態に関して前述した一従来例と同一の部分に関しては、同一の名称を使用して詳細な説明は省略する。
【0013】
[第1の実施形態]
図1は、本実施形態による電子機器の最小構成を示す図である。
この図が示すように、電子機器1Aは、筐体2と、複数の収容部3と、電子部品ユニット4と、ダミーカバー5と、を少なくとも備えていればよい。
【0014】
筐体2は、電子機器1Aの外殻をなす。
複数の収容部3は、筐体2に形成されている。各収容部3は、筐体2の外方に向かって開口する開口部6を有する。
【0015】
電子部品ユニット4は、ユニット本体7と、ユニットカバー8とを備える。ユニット本体7は、複数の収容部3のうちの少なくとも一つに収容される。ユニットカバー8は、開口部6に装着される。ユニットカバー8は、収容部3の内外を連通する第一連通開口8hを有する。
【0016】
ダミーカバー5は、電子部品ユニット4が収容された収容部3とは異なる他の収容部3の開口部6に装着される。ダミーカバー5は、収容部3の内外を連通する第二連通開口5hを有する。
【0017】
この電子機器1Aは、筐体2の複数の収容部3に、電子部品ユニット4と、ダミーカバー5とが装着される。電子部品ユニット4が装着された収容部3においては、収容部3内の熱は、ユニットカバー8に形成された第一連通開口8hを通して外部に放出される。ダミーカバー5が装着された収容部3においては、収容部3内の熱は、ダミーカバー5に装着された第二連通開口5hを通して外部に放出される。
電子部品ユニット4が装着されている収容部3では、第一連通開口8hのみを通して収容部3の外部に連通しているため、収容部3内における冷却風の流路抵抗が高まる。電子部品ユニット4が装着されていない収容部3において、ダミーカバー5を開口部6に装着することで、ダミーカバー5を装着しない場合に比較して流路抵抗を高めることができる。また、ダミーカバー5に第二連通開口5hを形成することで、流路抵抗が過度に高くなるのを抑えることができる。このようにして、電子部品ユニット4が収容された収容部3と、ダミーカバー5が装着された他の収容部3とで、圧力バランスを改善することができる。これにより、電子部品ユニット4が組み込まれた収容部3に対する冷却風の供給量が低下してしまうのを抑えることができる。その結果、筐体2内における電子部品ユニット4の冷却性を高めることが可能となる。
【0018】
なお、上記実施形態において、筐体2を、例えば箱状に図示したが、その形状、構成については他のいかなるものとしても良い。
また、電子部品ユニット4のユニット本体7は、いかなる構成、用途であってもよい。
さらに、電子部品ユニット4のユニットカバー8やダミーカバー5の、開口部6に対する固定構造については、何ら限定する意図はなく、様々な構成を採用可能である。
【0019】
[第2の実施形態]
図2は、本実施形態によるダミーカバーの最小構成を示す図である。
この図が示すように、ダミーカバー15は、カバー本体15aと、連通開口15hと、を少なくとも備えていればよい。
【0020】
ダミーカバー15は、電子機器1Bの筐体12に形成された複数の収容部13のうち、電子部品ユニット14が組み込まれた収容部13とは異なる他の収容部13の開口部16に装着可能である。
【0021】
カバー本体15aは、開口部16に装着される。連通開口15hは、カバー本体15aに形成されている。連通開口15hは、収容部13の内外を連通する。
【0022】
このダミーカバー15は、電子部品ユニット14が装着されていない収容部13に装着することで、ダミーカバー15を装着しない場合に比較し、収容部13における冷却風の流路抵抗を高めることができる。また、ダミーカバー15に連通開口15hを形成することで、流路抵抗が過度に高くなるのを抑えることができる。このようにして、電子部品ユニット14が収容された収容部13と、ダミーカバー15が装着された他の収容部13とで、圧力バランスを改善することができる。これにより、電子部品ユニット14が組み込まれた収容部13に対する冷却風の供給量が低下してしまうのを抑えることができる。その結果、筐体12内における電子部品ユニット14の冷却性を高めることが可能となる。
【0023】
なお、上記実施形態において、筐体12を、例えば箱状に図示したが、その形状、構成については他のいかなるものとしても良い。
また、電子部品ユニット14は、いかなる構成、用途のものであってもよい。
さらに、ダミーカバー15の開口部16に対する固定構造について、何ら限定する意図はなく、様々な構成を採用可能である。
【0024】
[第3の実施形態]
図3は、本実施形態による電子機器の構成を示す平面図である。
図4は、本実施形態による電子機器の構成を前後方向後方から見た図である。
図5は、本実施形態による電子機器の構成を示す側断面図である。
図3〜
図5に示すように、本実施形態の電子機器1Cは、筐体20と、電子部品ユニット50と、ダミーカバー80と、を備える。
【0025】
筐体20は、電子機器1Cの外殻をなす。筐体20は、中空箱状をなし、その内部に各種の電子部品等を収容する。筐体20は、底板21と、一対の側板22と、上板23(
図4、
図5参照)と、を備える。
以下の説明において、一対の側板22が対向する方向を幅方向Dw、底板21に直交する方向を上下方向Dv、幅方向Dwおよび上下方向Dvに直交する方向を前後方向Daとする。
【0026】
底板21は、筐体20の下面を形成する。底板21は、平面視矩形状をなしている。
一対の側板22は、筐体20の幅方向Dwの両側に設けられている。一対の側板22は、それぞれ、底板21の幅方向Dw両端部から上方に向かって立ち上がるように設けられている。
上板23は、底板21に対し、上下方向Dvに間隔をあけて設けられている。上板23は、一対の側板22上に設けられている。
【0027】
図6は、本実施形態による電子機器の筐体に設けられたスロットを示す斜視図である。
図7は、本実施形態による電子機器の筐体に設けられたスロットを、
図6とは異なる方向から見た斜視図である。
図3〜
図7に示すように、筐体20は、前後方向Daの一方の側の端部20aに、複数のスロット(収容部)30を有する。スロット30は、幅方向Dwに複数個が並べて設けられている。筐体20の端部20aには、幅方向Dwに間隔をあけて、複数の仕切壁25が設けられている。仕切壁25は、板状で、幅方向Dwに直交する鉛直面内に配置されている。仕切壁25は、その上下方向Dvの両端が、底板21と上板23とに接続されている。底板21及び上板23と、幅方向Dwで互いに隣り合う仕切壁25、又は側板22及び仕切壁25と、に囲まれて、スロット30が形成されている。各スロット30は、直方体状の空間である。
【0028】
各スロット30は、筐体20の外方に向かって開口する開口部36を有する。各開口部36は、筐体20の端部20aにおいて、前後方向Daの一方の側に向かって開口している。本実施形態において、筐体20は、例えば、3個のスロット30を備える。しかし、筐体20に備えるスロット30の数は、何ら限定するものではない。また、筐体20に、スロット30を上下方向Dvに複数段に積層して設けてもよい。
【0029】
各スロット30において、幅方向Dw一方の側(
図6、
図7において左方)の仕切壁25の上部には、幅方向Dwにおいてスロット30の内方に向かって突出する座部31が形成されている。座部31は、前後方向Daに直交する面内に設けられている。座部31には、前後方向Daに延びる雌ネジ部32が形成されている。
【0030】
係合突起38は、スロット30に設けられる。係合突起38は、後述する係合レバー70が係合可能である。係合突起38は、各スロット30において、幅方向Dw一方の側(例えば、
図6において左方)の仕切壁25に設けられている。係合突起38は、仕切壁25から、幅方向Dwに沿ってスロット30の内側に向かって突出するよう設けられている。係合突起38は、幅方向Dwに軸線を有する円柱状で、円周状に湾曲した外周面38fを有している。
【0031】
このようにして、スロット30は、開口部36の上下方向Dvの下端(一端)側に設けられた係合突起38と、開口部36の上下方向Dvの上端(他端)側に設けられた雌ネジ部32と、を備える。
【0032】
図3、
図5に示すように、筐体20において、各スロット30に対して前後方向Daの他方の側には、電子回路基板27が設けられている。電子回路基板27は、各スロット30に対応する位置に、受けコネクタ28を備える。受けコネクタ28は、後述するユニット本体60の接続コネクタ65が着脱可能に接続される。
【0033】
このような筐体20に設けられた複数のスロット30には、電子部品ユニット50またはダミーカバー80を装着可能となっている。
【0034】
図8は、本実施形態による電子機器を構成する電子部品ユニットを示す斜視図である。
図9は、本実施形態による電子機器を構成する他の種類の電子部品ユニットを示す斜視図である。
図3、
図5、
図8、
図9に示すように、電子部品ユニット50は、ユニット本体60と、ユニットカバー67と、係合レバー70と、を備える。
【0035】
ユニット本体60は、スロット30に対して着脱可能に設けられる。ユニット本体60は、ユニット筐体61と、回路基板(電子部品)62と、実装部品(電子部品)63と、接続コネクタ(電子部品)65と、を備える。
【0036】
ユニット筐体61は、少なくとも底板部61aを有する。本実施形態において、ユニット筐体61は、底板部61aと、側板部61bと、天板部61cと、を備える。
底板部61aは、平板状で、前後方向Daに長辺を沿わせた平面視長方形状である。底板部61aは、各スロット30内で底板21上に載置される。底板部61aは、幅方向Dwにおけるスロット30の開口幅よりも僅かに小さい幅寸法を有している。側板部61bは、底板部61aの幅方向Dwの一端から上方に向かって立ち上がって設けられている。天板部61cは、底板部61aの上方に平行に設けられている。天板部61cは、側板部61bの上端に接続されている。このようなユニット筐体61は、前後方向Daから見ると、略C字状をなしている。
【0037】
ユニット筐体61は、各スロット30に対し、底板21上に沿って、前後方向Daにスライド可能となっている。ユニット筐体61(ユニット本体60)は、各スロット30に対し、前後方向Daに沿って、筐体20の一方の側の端部20aから他方の側の端部20bに向かって挿入される。
以下の説明において、各スロット30に対してユニット筐体61(ユニット本体60)が挿入される方向を、挿入方向Diと称する。
【0038】
回路基板62は、板状で、幅方向Dwに直交する面内に配置されている。回路基板62は、幅方向Dwから側面視したときに、長方形状をなしている。回路基板62は、底板部61aと天板部61cとの間で、側板部61bと平行に固定されている。
【0039】
実装部品63は、各種の電気素子等からなり、回路基板62の表面に実装されている。実装部品63は、回路基板62の一面のみに実装しても良いし、両面に実装しても良い。ここで、回路基板62に実装する実装部品63の種類、用途、形状、数等について、何ら限定するものではない。
【0040】
接続コネクタ65は、回路基板62において、前後方向Daの他方の側(挿入方向Diの前方)に設けられている。接続コネクタ65は、各スロット30において、挿入方向Diの前方に設けられた電子回路基板27の受けコネクタ28に対し、前後方向Daに沿って着脱可能に接続される。
【0041】
ユニットカバー67は、ユニット本体60において、挿入方向Di後方の端部に設けられている。ユニットカバー67は、ユニット筐体61や回路基板62に、図示しないビス等によって固定されている。ユニットカバー67は、閉塞面部67aと、側面部67bと、を有する。
【0042】
閉塞面部67aは、前後方向Daに直交する面内に設けられている。閉塞面部67aは、スロット30の開口部36を閉塞する。閉塞面部67aには、上記のスロット30に設けられた座部31の雌ネジ部32に対応する位置に、ネジ挿通孔67h(
図6参照)が形成されている。
【0043】
側面部67bは、閉塞面部67aの幅方向Dwの一方の側から連続して、前後方向Daに沿って延びている。側面部67bは、幅方向Dwにおいて、ユニット筐体61の側板部61bとは反対側に設けられている。
【0044】
図8、
図9に示すように、ユニットカバー67には、必要に応じて、回路基板62に接続された各種のコネクタ69が、挿入方向Diの後方に向かって露出するよう設けられている。ユニットカバー67には、回路基板62に接続された各種のスイッチ、インジケーターランプ等を設けるようにしても良い。
これらのコネクタ69、スイッチ、インジケーターランプ(図示無し)等は、ユニット本体60に装備される電子部品等によって定まる電子部品ユニット50の機能に応じたものとすることができる。
【0045】
ユニットカバー67には、複数の第一連通開口68が形成されている。各第一連通開口68は、閉塞面部67aを前後方向Daに貫通して形成されている。
各第一連通開口68は、前後方向Daから見て例えば正方形状をなしている。各第一連通開口68は、正方形状に限らず、例えば六角形状等の多角形状、円形状、楕円形状等としてもよい。各第一連通開口68は、手指等が入らないように、定めされた開口寸法以下で形成するのが好ましい。
【0046】
係合レバー70は、ユニット本体60をスロット30に係合させる。係合レバー70は、レバー本体71と、拘束部材79と、を備える。
【0047】
レバー本体71は、レバー基部72と、レバー延出部73と、を一体に有している。
レバー基部72は、幅方向Dwに直交する面内において、上下方向Dvに沿って延びる帯板状をなしている。レバー基部72は、ユニットカバー67の側面部67bに沿うよう設けられている。レバー基部72は、上下方向Dvに延びている。レバー基部72の下端部は、側面部67bに、支軸74を介して回動自在に連結されている。支軸74は、レバー基部72の上下方向Dvの中間部よりも下方であって、レバー本体71(レバー基部72)の下端よりも所定寸法上方に設けられている。
【0048】
レバー延出部73は、レバー基部72の上端部から、幅方向Dwにおいてユニットカバー67の内側に延びるよう設けられている。レバー延出部73は、ユニットカバー67の閉塞面部67aに対し、挿入方向Diの後方側から突き当たる。
【0049】
レバー本体71は、上下方向Dvの下端部71bに、レバー係合溝78を備える。レバー係合溝78は、レバー基部72の下端から上方に向かって窪むように、半円弧状に形成されている。レバー係合溝78は、係合突起38に係合する。
【0050】
拘束部材79は、レバー本体71を筐体20に拘束する。
図5に示すように、拘束部材79は、ネジ部材からなり、レバー延出部73に形成されたネジ保持孔73hに、回動自在に支持されている。拘束部材79は、ユニットカバー67のネジ挿通孔67hに対応する位置に設けられている。拘束部材79は、レバー延出部73をユニットカバー67の閉塞面部67aに沿わせた状態で、ネジ挿通孔67hを通して、スロット30の座部31に設けられた雌ネジ部32に締結可能である。これにより、拘束部材79は、レバー本体71を拘束可能である。
【0051】
図10は、本実施形態による電子機器を構成する電子部品ユニットをスロットに挿入するときの状態を示す側面図である。
このような係合レバー70により、上記したような電子部品ユニット50が、スロット30に対して着脱される。
図10に示すように、電子部品ユニット50を、スロット30に装着するには、係合レバー70を、レバー本体71の上端部71aが下端部71bに対して挿入方向Di後方に突出して傾斜した状態とする。この状態で、電子部品ユニット50を、ユニットカバー67及び係合レバー70が設けられた側とは反対側の端部50aからスロット30内に挿入していく。すると、レバー本体71のレバー係合溝78が、係合突起38に挿入方向Di後方から突き当たる。さらに、レバー本体71の上端部71aを挿入方向Di前方に向かって押圧する。すると、
図6に示すように、レバー本体71が支軸74回りに回動し、レバー係合溝78に係合突起38が係合する。レバー本体71を押圧し続けると、係合突起38にレバー係合溝78が係合した状態で支軸74回りに回動するレバー本体71によって、ユニット本体60がスロット30内に押し込まれていく。すると、電子部品ユニット50の回路基板62に設けられた接続コネクタ65が、筐体20内に設けられた受けコネクタ28に接続される。
【0052】
この後、拘束部材79を、ネジ挿通孔67hを通して座部31に設けられた雌ネジ部32に締結させる。これにより、拘束部材79は、レバー本体71を拘束する。
【0053】
電子部品ユニット50をスロット30から引き抜くには、拘束部材79を緩めて雌ネジ部32との締結を解除した後、
図10に示すように、レバー本体71の上端部71aを挿入方向Di方向に引き出す。すると、係合突起38を中心としてレバー本体71が支軸74回りに回動する。これにより、接続コネクタ65と受けコネクタ28との接続が解除され、電子部品ユニット50がスロット30から引き出される。
【0054】
また、
図5、
図6、
図7に示すように、各スロット30において、幅方向Dw両側の仕切壁25には、それぞれ、電磁シールド部材90が設けられている。電磁シールド部材90は、ユニット本体60の側面と仕切壁25との間で、上下方向Dvに延びている。なお、ユニット本体60において、係合レバー70が設けられている側においては、電磁シールド部材90は、係合レバー70のレバー本体71に対し、挿入方向Diの前方に配置されている。
【0055】
図5、
図8、
図9に示すように、ユニット本体60の上面と下面とには、それぞれ、電磁シールド部材91が設けられている。電磁シールド部材91は、ユニット本体60の下面と底板21との間、ユニット本体60の上面と上板23との間で、それぞれ幅方向Dwに延びている。
【0056】
電磁シールド部材90、91は、電磁波を遮断する、導電性を有したシール材等からなる。電磁シールド部材90、91は、仕切壁25と電子部品ユニット50との隙間から、筐体20内の各種の電子部品から発せられる電磁波(電磁ノイズ)が筐体20の外部に漏出するのを抑える。
【0057】
図5に示すように、本実施形態では、互いに機能が異なる2種類の電子部品ユニット50A、50Bが、2つのスロット30に装着されている。
【0058】
図4、
図8に示すように、一方の電子部品ユニット50Aのユニットカバー67Aにおいては、例えば、コネクタ69Aがユニットカバー67Aの幅方向Dwの右側に配置されている。コネクタ69Aは、上下方向Dvに複数個が並べて設けられている。
また、一方の電子部品ユニット50Aにおいては、ユニットカバー67の幅方向Dw左側に、第一連通開口68Aが配置されている。第一連通開口68Aは、幅方向Dwに2列、上下方向Dvに例えば11個が配列されている。
【0059】
図4、
図9に示すように、他方の電子部品ユニット50Bのユニットカバー67Bにおいては、幅方向Dwに幅広のコネクタ69Bが、ユニットカバー67Bの幅方向Dwの中央部に配置されている。コネクタ69Bは、上下方向Dvに複数個が並べて設けられている。
また、他方の電子部品ユニット50Bにおいて、ユニットカバー67の上部と、幅方向Dw左側とに、第一連通開口68B、68Cが配置されている。ユニットカバー67の上部に配置された第一連通開口68Bは、例えば、幅方向Dwに6列、上下方向Dvに3個が配列されている。最も上方に位置する第一連通開口68Btは、ユニットカバー67の閉塞面部67aと、その上端面67tとに跨がるように開口している。
ユニットカバー67の幅方向Dw左側に配置された第一連通開口68Cは、ユニットカバー67の閉塞面部67aと側面部67bとが交差する角部に、上下方向Dvに例えば9個が配列されている。各第一連通開口68Bは、閉塞面部67aと側面部67bとに跨がるように開口している。
【0060】
ここで、一方の電子部品ユニット50Aに形成された複数個の第一連通開口68Aの総開口面積A1(第一連通開口68A一つあたりの開口面積×個数)は、他方の電子部品ユニット50Bに形成された複数個の第一連通開口68Bおよび68Cの総開口面積A2よりも大きい(A1>A2)。
このように、電子機器1Cには、総開口面積A1、A2が互いに異なる第一連通開口68A、68Bを
異なる2種類(複数種)の電子部品ユニット50A、50Bが組み込まれている。
【0061】
図4に示すように、ダミーカバー80は、電子部品ユニット50(50A、50B)が収容されたスロット30とは異なる他のスロット30の開口部36に装着される。換言すると、ダミーカバー80は、電子部品ユニット50(50A、50B)が収容されていないスロット30、いわゆる空きスロットの開口部36に装着される。
【0062】
図11は、本実施形態による電子機器のダミーカバーを示す斜視図である。
図12は、本実施形態による電子機器において、ダミーカバーが設けられたスロットの側断面図である。
図4、
図11、
図12に示すように、ダミーカバー80は、カバー本体81と、第二連通開口(連通開口)88と、を備える。
【0063】
カバー本体81は、閉塞面部82と、一対の側面部83A、83Bと、上面部84と、下面部85と、を有する。
【0064】
閉塞面部82は、前後方向Daに直交する面内に設けられている。閉塞面部82は、スロット30の開口部36を閉塞する。
【0065】
一対の側面部83A、83Bは、閉塞面部82の幅方向Dw両端部から連続して、前後方向Daに沿って延びている。
【0066】
上面部84は、閉塞面部82の上下方向Dvの上端部から連続して、前後方向Daに沿って延びている。下面部85は、閉塞面部82の上下方向Dvの下端部から連続して、前後方向Daに沿って延びている。
【0067】
閉塞面部82の幅方向Dw左側に位置する側面部83Aには、係合溝86が形成されている。係合溝86は、側面部83Aにおいて上下方向Dvの下端部に形成されている。係合溝86は、側面部83Aの下端から上方に向かって窪むように、半円弧状に形成されている。係合溝86は、係合レバー70に形成されたレバー係合溝78と同形状である。係合溝86は、係合突起38に係合する。
【0068】
また、閉塞面部82の幅方向Dw右側には、閉塞面部82から幅方向Dwに突出する係止突起89が形成されている。係止突起89は、ダミーカバー80を開口部36に装着したときに、側板22又は仕切壁25に突き当たることで、ダミーカバー80の前後方向における位置を規定する。
【0069】
閉塞面部82には、幅方向Dw一方の側の上部に、ネジ部材87が設けられている。ネジ部材87は、上記係合レバー70に設けられた拘束部材79と同様の部材である。ネジ部材87は、閉塞面部82に形成されたネジ保持孔82h(
図12参照)に回転自在に挿通されている。ネジ部材87は、上記のスロット30に設けられた座部31の雌ネジ部32に締結される。
【0070】
このようなダミーカバー80は、スロット30の開口部36に対して着脱可能である。
ダミーカバー80をスロット30に装着するには、
図12中に二点鎖線で示したように、ダミーカバー80を、上端部80aが下端部80bに対して挿入方向Di後方に突出して傾斜した状態とする。この状態で、ダミーカバー80を、スロット30内に挿入していき、係合溝86を係合突起38に係合させる。この状態で、ダミーカバー80の上端部80a側を挿入方向Di前方に引き起こして鉛直状態とする。このとき、閉塞面部82が座部31に突き当たるとともに、係止突起89が側板22又は仕切壁25に突き当たる。これにより、開口部36がダミーカバー80によって閉塞された状態となる。この後、ネジ部材87を、座部31に設けられた雌ネジ部32に締結させる。これにより、ダミーカバー80がスロット30の開口部36に装着される。
【0071】
ダミーカバー80をスロット30の開口部36から取り外すには、ネジ部材87を緩めて雌ネジ部32との締結を解除した後、ダミーカバー80の上端部80aを挿入方向Di方向後方に引き出す。これにより、係合突起38を中心としてダミーカバー80が回動し、係合溝86を係合突起38から離脱させることができる。これにより、ダミーカバー80をスロット30の開口部36から取り外すことができる。
【0072】
ダミーカバー80は、一対の側面部83A、83Bに、電磁シールド部材92を備える。電磁シールド部材92は、上下方向Dvに延びている。ダミーカバー80は、上面部84、下面部85に、電磁シールド部材93を備える。電磁シールド部材93は、幅方向Dwに延びている。これら電磁シールド部材93は、電磁シールド部材90、91と同様、電磁波を遮断する、導電性を有したシール材等からなる。電磁シールド部材93は、ダミーカバー80をスロット30の開口部36に装着したときに、スロット30の内周面との隙間から、筐体20内の各種の電子部品から発せられる電磁波(電磁ノイズ)が筐体20の外部に漏出するのを抑える。
【0073】
第二連通開口88は、カバー本体81の閉塞面部82に複数が形成されている。各第二連通開口88は、閉塞面部82を前後方向Daに貫通して形成されている。各第二連通開口88は、前後方向Daから見て、例えば正方形状をなしている。各第二連通開口88は、正方形状に限らず、例えば六角形状等の多角形状、円形状、楕円形状等としてもよい。各第二連通開口88は、手指等が入らないように、定めされた開口寸法以下で形成するのが好ましい。
【0074】
本実施形態において、第二連通開口88は、カバー本体81の幅方向Dw中央部に配置されている。第二連通開口88は、幅方向Dwに2列、上下方向Dvに9個が配列されている。なお、複数の第二連通開口88の配置、数、総開口面積等は、図示したものに限らず、適宜変更してもよい。
【0075】
ここで、ダミーカバー80に設けられた複数の第二連通開口88の総開口面積A3は、電子部品ユニット50の第二連通開口88(68A、68B)の総開口面積A1、A2に対し、予め定められた範囲内の比率に設定されている。
例えば、ダミーカバー80の第二連通開口88の総開口面積A3は、複数種の電子部品ユニット50のうち、最も総開口面積が大きな電子部品ユニット50Aにおける第一連通開口68Aの総開口面積A1よりも小さくするのが好ましい(A3<A1)。
また、ダミーカバー80の第二連通開口88の総開口面積A3は、複数種の電子部品ユニット50のうち、最も総開口面積が小さな電子部品ユニット50Aにおける第一連通開口68Bの総開口面積A2よりも大きくするのが好ましい(A3>A2)。
また、複数の第二連通開口88の総開口面積A3は、第一連通開口68(68A、68B)の総開口面積A1、A2の総開口面積A1、A2に対し、例えば、50〜120%となる範囲内に設定するのが好ましい。
【0076】
この電子機器1Cでは、筐体20の複数のスロット30に、電子部品ユニット50と、ダミーカバー80とが装着される。電子部品ユニット50が組み込まれたスロット30では、ユニットカバー67の第一連通開口68を通して、スロット30の内外が連通する。ダミーカバー80が装着されたスロット30では、第二連通開口88を通して、スロット30の内外が連通する。
筐体20には、冷却風を生成するファン(図示無し)が設けられている。ファン(図示無し)による冷却風は、筐体20内で挿入方向Diと反対向きに流れ、各スロット30に流入する。電子部品ユニット50(50A、50B)が装着されたスロット30においては、スロット30内の熱は、ユニットカバー67の第一連通開口68を通して筐体20の外部に放出される。ダミーカバー80が装着されたスロット30においては、スロット30内の熱は、ダミーカバー80に装着された第二連通開口88を通して筐体20の外部に放出される。
【0077】
電子部品ユニット50が装着されているスロット30では、第一連通開口68のみを通してスロット30の外部に連通しているため、スロット30内における冷却風の流れには流路抵抗が高まる。ダミーカバー80を装着することで、電子部品ユニット50が装着されていないスロット30において、ダミーカバー80を装着しない場合に比較して流路抵抗が高められる。また、ダミーカバー80に第二連通開口88を形成することで、流路抵抗が過度に高くなることが抑えられる。このようにして、電子部品ユニット50が収容されたスロット30と、ダミーカバー80が装着された他のスロット30とで、圧力バランスが改善される。これにより、電子部品ユニット50が組み込まれたスロット30に対する冷却風の供給量が低下することが抑えられる。
【0078】
このような電子機器1C、ダミーカバー80では、電子部品ユニット50が収容されたスロット30と、第二連通開口88を有するダミーカバー80が装着された他のスロット30とで、圧力バランスを改善することができる。これにより、電子部品ユニット50が組み込まれたスロット30に対する冷却風の供給量が低下してしまうのを抑えることができる。その結果、筐体20内における電子部品ユニット50の冷却性を高めることが可能となる。
【0079】
また、ダミーカバー80の第二連通開口88の総開口面積A3は、ユニットカバー67の第一連通開口68の総開口面積A1、A2に対し、予め定められた範囲内の比率に設定されている。
ダミーカバー80の第二連通開口88の総開口面積A3を、最も総開口面積が大きな第一連通開口68Aの総開口面積A1よりも小さくすると、ダミーカバー80が装着されたスロット30の流路抵抗(流路抵抗)が高まる。これにより、電子部品ユニット50が組み込まれたスロット30における冷却性を有効に高めることができる。また、ダミーカバー80の第二連通開口88の総開口面積A3を、最も総開口面積が小さな第一連通開口68Bの総開口面積A2よりも大きくすると、ダミーカバー80が装着されたスロット30の流路抵抗が過度に高くなるのを抑えることができる。このようにして、電子機器1Cの複数のスロット30における圧力バランスを、ダミーカバー80によって良好なものとすることができる。
【0080】
また、ダミーカバー80とスロット30の内周面との間に、電磁シールド部材92、93が設けられている。これにより、ダミーカバー80とスロット30の内周面との隙間から、電磁ノイズが外部に漏出するのを有効に抑えることができる。
【0081】
(実施形態の変形例)
なお、上記実施形態では、電子機器1Cに、総開口面積A1、A2が互いに異なる2種類の電子部品ユニット50A、50Bを組み込むようにした。
スロット30内の電子部品ユニット50の冷却性を高めるには、第一連通開口68の総開口面積がなるべく大きくなるようにするのが好ましい。しかし、各電子部品ユニット50に設ける第一連通開口68の配置、数、総開口面積等は、ユニットカバー67に設けられるコネクタ69、スイッチ、インジケーターランプ(図示無し)等の大きさ、個数、配置等の条件によって制限される場合もある。
電子機器1Cに組み込まれる電子部品ユニット50の第一連通開口68の総開口面積は、3種類以上であってもよいし、1種類のみであってもよい。
【0082】
電子機器1Cに組み込まれる複数種の電子部品ユニット50において、第一連通開口68の総開口面積が、同一(ほぼ同一)である場合、ダミーカバー80の第二連通開口88の総開口面積A3は、第一連通開口68の総開口面積以下とするのが好ましい。
【0083】
これにより、ダミーカバー80が開口部36に装着されたスロット30における流路抵抗が高められる。その結果、電子部品ユニット50が組み込まれた複数のスロット30において、冷却風量が増える。これにより、電子部品ユニット50が組み込まれたスロット30に対する冷却風の供給量が低下してしまうのを抑えることができる。その結果、筐体20内における電子部品ユニット50の冷却性を高めることが可能となる。
【0084】
また、ダミーカバー80における第二連通開口88の総開口面積A3は、他のスロット30に組み込まれる電子部品ユニット50における総開口面積に応じて、適宜変更することができる。例えば、ダミーカバー80に形成された第二連通開口88の一部を、蓋体等で塞ぎ、第二連通開口88の総開口面積A3を調整するようにしてもよい。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。