(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0076】
比較的非毒性のモノマー出発材料を用いて製造された多用途の成形可能な生分解性および生体適合性のポリマーの必要性を満たすために、本出願は、これらのモノマーから調製されるさまざまなこのようなモノマーおよびポリマーを記載する。
【0077】
したがって、一態様において、本発明は、Lが−R1−A−R2−であり、Aが上記の種々の連結基のいずれか1つである式(I)の繰り返し構造単位を含むポリマーを提供する。当業者には、上記に例示したこれらの「A」基のいずれについても、表された基は示された式に限定されず、左と右との間で非対称である場合、その式の対応する鏡像も、そのような配置が公知の化学結合原理に違反しない場合には包含されることが理解されよう。例えば、以下の基が上記の式のいずれかに適合する場合、
【0085】
も包含する。類似の非対称性が存在する場合、同様の原理が本明細書に記載された式のいずれかまたはその一部に適用される。開示された式は単に例示としての役割を果たすものであり、限定することを意図するものではない。
【0086】
別の態様おいて、本発明は、Lが−R1−A−R2−であり、AおよびA
1が、それぞれAおよびA
1について上で定義されたさまざまな連結基のいずれかの任意の組み合わせであり得る上記の式(II)の繰り返し構造を含む、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリイミノカーボネート、ポリホスファゼンおよびポリホスホエステルなどのポリマーを提供する。同じ原理が、本明細書に記載のさまざまなモノマーおよび繰り返し構造単位の他の部分または置換基に適用される。
【0087】
本発明の別の態様は、重合してポリカーボネートまたはポリアリレートを形成することができるジフェノールモノマーを提供する。本発明のこの態様によって提供されるモノマーは、上記の式(III)の構造を有するジフェノール化合物であり、いくつかの実施形態において、ジフェノールモノマーは、チロシンまたはチロソールサブユニットを含有する。
【0088】
別の態様において、本発明は、式(Ia)の繰り返し構造を含むポリマーを提供する:
【0090】
(式中、
iおよびjはそれぞれ独立して、ゼロ(0)または1〜6から選択される整数であり;
X
1、X
2、y1およびy2は上記定義の通りであり;
Q
1およびQ
2は、出現ごとにそれぞれ独立して、水素、ハロゲンであるか、または隣接する2つのQ
1またはQ
2が結合を形成し;
L
3は酸素(O)または−NR
x−(式中、R
xは上記定義の通りである)であり;
Z
1は、水素、−C(O)OR
7または−C(O)NR
xR
y(式中、R
7、R
xおよびR
yは上記定義の通りである)であり;
Z
2は、水素、−N(R
x)C(=O)R
5または−N(R
x)COOR
6(式中、R
5、R
6およびR
xは上記定義の通りである)である)。
【0091】
別の態様において、本発明は、式(IIa)の繰り返し構造を含むポリマーを提供する:
【0093】
(式中、i、j、y1、y2、X
1、X
2、Q
1、Q
2、Z
1、Z
2、L
3およびA
1は上記定義の通りであり、kは0または1〜6の整数である)。
【0094】
別の態様において、本発明は、式(Ib)の繰り返し構造を含むポリマーを提供する:
【0096】
(式中、i、j、y1、y2、X
1、X
2、Z
1、Z
2およびL
3は上記定義の通りである)。
【0097】
別の態様おいて、本発明は、式(IIb)の繰り返し構造を含むポリマーを提供する:
【0099】
(式中、i、j、y1、y2、X
1、X
2、Z
1、Z
2、L
3およびA
1は上記定義の通りである)。
【0100】
一実施形態において、本発明は、有用なポリアリレートがチロソール由来のジフェノール化合物から調製できるという発見を組み込んでいる。例えば、一実施形態において、本発明は、式(IIc)の繰り返し構造を含むポリマーを提供する:
【0102】
(式中、i、j、y1、y2、X
1、X
2、ZおよびA
1は上記定義の通りである)。一実施形態において、Zは水素、−N(R
x)C(=O)R
5または−N(R
x)COOR
6(式中、R
5、R
6およびR
xは上記定義の通りである)である。
【0103】
別の態様おいて、本発明は、式(Ic)の繰り返し構造を含むポリマーを提供する:
【0105】
(式中、i、j、y1、y2、X
1、X
2、Z
1、Z
2およびL
3は上記定義の通りである)。
【0106】
別の態様おいて、本発明は、構造(IId)の反復単位を含むポリマーを提供する:
【0108】
(式中、i、j、y1、y2、X
1、X
2、Z
1、Z
2、L
3およびA
1は上記定義の通りである)。
【0109】
この態様のさまざまな実施形態において、A
1は、上記のA
1連結基のいずれか1つであり;iは1もしくは2であり;および/またはjは1もしくは2である。
【0110】
別の態様おいて、本発明は、構造(Id)の反復単位を含むポリマーを提供する:
【0112】
(式中、X
1、X
2、y1およびy2は上記定義の通りである)。一実施形態において、X
1およびX
2は独立してBrまたはIであり;y1およびy2は独立して0、1または2である。
【0113】
式(Id)の右側部分のフェノール種は、場合によりハロゲン化されたデスアミノチロシン(DAT)から誘導される。この種は、4−ヒドロキシ安息香酸(HBA)またはその異性体などの異なるヒドロキシ−アリールカルボン酸と交換することができる。X
1=X
2=ヨウ素(放射線不透過性を付与するのに特に有用である)であるこの変形例の好ましい実施形態において、式(Id)の繰り返し単位は、
【0116】
したがって、式(Ie)の繰り返し単位は、チロソールおよび4−ヒドロキシ安息香酸の場合によりハロゲン化されたジフェノールエステルを含み、有利な構造特性のポリマーまたはコポリマーを可能にする。特定の実施例において、y1=y2=2であり、高い放射線不透過性を有するポリマーまたはコポリマーを提供することができるテトラヨウ素化繰り返し単位を提供する。別の実施形態は、式(IIe)の繰り返し単位:
【0119】
別の態様おいて、本発明は、少なくとも第1のポリマー成分と第2のポリマー成分とを含む生体適合性ポリマー組成物を提供する。一実施形態において、第1のポリマー成分は、ある数(n)の上記の式(Ic)の第1の反復単位を含み、第2のポリマー成分は、式(IX)、式(X)、式(XI)および式(XII)からなる群から選択される式を有する繰り返し単位を含む:
【0121】
(式中、X
3、X
4、X
5、X
7、X
8、X
9、X
10、X
11、X
12およびX
13は独立してO、SおよびNR
11からなる群から選択され、式中、R
11は水素および1〜30個の炭素原子を含有するアルキル基から選択され;
Ar
1およびAr
2は、ハロゲン、ハロメチル、ハロメトキシ、メチル、メトキシ、チオメチル、ニトロ、スルホキシドおよびスルホニルからなる群から独立して選択される1〜4個の置換基で場合により置換されたフェニレン環であり;
R
12およびR
13はそれぞれ0〜10個の炭素原子を含有し、結合、場合により置換されたアルキレン、場合により置換されたヘテロアルキレン、場合により置換されたアルケニレンおよび場合により置換されたヘテロアルケニレンからなる群から独立して選択され;
式(XII)中の変数gおよびhは、それぞれ独立して、約1〜約500の範囲の整数であり;ならびに
DおよびD
1は、24個までの炭素原子を含有し、場合により置換されたアルキレン、場合により置換されたヘテロアルキレン、場合により置換されたアルケニレンおよび場合により置換されたヘテロアルケニレンからなる群から独立して選択されるか;
または式(IX)中のD、X
8およびX
9は、中間体HX
8−D−X
9Hがヒドロキシル末端キャップ化マクロマー、メルカプト末端キャップ化マクロマーもしくはアミノ末端キャップ化マクロマーを規定するように選択されるか;
または式(XI)中のD
1、X
3およびX
4は、中間体HX
3−D
1−X
4Hがヒドロキシル末端キャップ化マクロマー、メルカプト末端キャップ化マクロマーもしくはアミノ末端キャップ化マクロマーを規定するように選択される)。
【0122】
この態様の好ましい実施形態において、第1のポリマー成分は、上記の式(Id)の反復単位を含む。
【0123】
コポリマー
他の態様おいて、本発明は、本明細書に記載の任意の2以上の反復単位を含むコポリマーを提供する。例えば、一実施形態において、ポリマーは、式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(Ic)、式(Id)、式(Ie)、式(II)、式(IIb)、式(IIc)、式(IId)、式(IIe)、式(VII)、式(VIII)、式(VIIIa)、式(VIIIb)、式(VIIIc)、式(VIIId)、式(VIIIe)、式(IX)、式(X)、式(XI)、式(XII)、式(XIII)、式(XIV)、式(XV)、式(XVIa)、式(XVIb)、および式(XVIc)により表される反復単位の群から選択される2以上の反復単位を含む。
【0124】
別の実施形態において、ポリマーは、本明細書に記載の任意の2以上のモノマーの重合から生じる少なくとも2つの反復単位を含む。例えば、一実施形態において、ポリマーは、式(III)、式(IV)、式(IVa)(チロソール)、式(V)、式(VI)、チロシンエチルエステル(TE)、モノヨウ素化TE(ITE)、ジヨウ素化TE(I2TE)、デスアミノチロシン(DAT)、モノヨウ素化DAT(IDAT)、ジヨウ素化DAT(I2DAT)、HBA(すなわち、4−ヒドロキシ安息香酸)、モノヨウ素化HBA、ジヨウ素化HBA、デスアミノチロシルチロシンエチルエステル(DTE)、モノヨウ素化DTE(IDTE)、ジヨウ素化DTE(I2DTE)、N−デスアミノチロシルモノヨウ素化チロシンエチルエステル(DITE)、およびN−デスアミノチロシルジヨウ素化チロシンエチルエステル(DI2TE)により表されるモノマーの群から選択される2以上のモノマーの共重合から生じる2以上の反復単位を含む。特に好ましい反復単位としては、HBA、モノヨウ素化HBA、およびジヨウ素化HBAが挙げられる。
【0125】
例えば、実施形態は、以下の一般式(XIII):
【0127】
で表される、Lが−R1−A−R2−であり、R1およびR2が−(CH
2)
2−であり、Aが
【0131】
である式(II)の反復単位を含有するポリマーを提供する。
【0132】
一実施形態において、ポリマーは、チロソール反復単位および式(II)の反復単位を含むコポリマーである。このような反復単位を含むコポリマーの例は、以下の式(XIIIa)およびXIIIb):
【0135】
一実施形態において、ポリマーは、式(XIIIc):
【0138】
さらなる実施例において、式(XIII)、(XIIIb)、および(XIIIc)で示される構造は、このような各式の1または複数の例において、デスアミノチロシン(DAT)部分がHBA(例えば4−ヒドロキシ安息香酸)に置換された部分を有するとみなすことができ、それぞれ以下の式DAT(XIIId)、(XIIIe)および(XIIIf):
【0141】
一実施形態において、HBA部分を含むポリマーは、式:
【0144】
別の実施形態において、ポリマーは、式:
【0147】
当業者には、式(XIIIa)および(XIIIb)の反復単位を含有するポリマーが、チロソール反復単位と、Lが−R1−A−R2−であり、R1およびR2が−(CH
2)
2−であり、Aが
【0151】
である式(II)の反復単位を含有することが理解されよう。当業者には、式(XIIIb)について、X
1およびX
2がIであり、y1およびy2が2であり、R
4aが−(CH
2)
3−であることも理解されよう。
【0152】
当業者には、式(XIIIa)および(XIIIb)の2つの反復単位が、ポリマー分子中にさまざまな可能な配置で現れ得ることも理解されよう。例示として式(XIIIb)を用いると、理論に拘束されることを意図するものではないが、重合反応条件に依存して、PrD−ジI2DATカーボネートおよびチロソールカーボネート反復単位を任意の順序で配置することができる。すなわち、隣接する2つの単位は、「PrD−ジI2DAT−PrD−ジI2DAT」、「PrD−ジI2DAT−チロソール」または「チロソール−チロソール」を含むことができる。
【0153】
チロソールの非対称構造を考えると、その「ヘッド」(すなわち、「フェノキシ」部分)または「テール」(すなわち、「エチレンオキシ」部分)のいずれかを用いて、PrD−ジI2DAT単位と連結させることができる。チロソール自体から形成される任意の2つの隣接する単位は、「ヘッド−ヘッド」、「ヘッド−テール」および「テール−テール」のいずれかの配置にすることができる。式(XIIIb)を以下に再度示し(「ヘッド−テール」の例)、その後にヘッド−ヘッドの例を表す式(XIIIb’)を示す:
【0155】
特に、PrD−ジI2DATとチロソールとの混合物にトリホスゲンを添加する実施例12に記載の方法で重合反応を行うと、ポリ(PrD−ジI2DAT−co−チロソールカーボネート)生成物は主としてカーボネート(−OC(O)O−)リンカーを介して連結されたPrD−ジI2DATおよびチロソール反復単位をランダムな順序で有するポリマー分子で構成される。特に他のことが明記されない限り、上記の式(XIIIa)および(XIIIb)ならびに下記の式(XVIa)、(XVIb)および(XVIc)のような−[A]−[B]−で示された任意の反復単位は、本明細書に説明されるようなすべての可能な配置を包含する。
【0156】
別の類似の例において、ジヨウ素化HBAを含むジフェノールモノマーは、以下のチロシン部分:
【0158】
を有する「ヘッド−ヘッド」および「ヘッド−テール」の両方のカーボネートポリマー配置に配置される。
【0159】
本発明の他の態様において、ポリマーは天然に存在しない主鎖を含む。代替的におよび/またはさらに、ポリマーは、本明細書の実施例に記載の少なくとも1つのアミノ酸またはアミノ酸誘導体を含む主鎖を含み得る。
【0160】
本明細書に記載の反復単位を含むポリマーは、任意の数の他の反復単位と共重合させることができる。一実施形態において、式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(Ic)、式(Id)、式(II)、式(IIb)、式(IIc)、式(IId)、式(VII)、式(VIII)、式(VIIIa)、式(VIIIb)、式(VIIIc)、式(VIIId)、式(VIIIe)、式(IX)、式(X)、式(XI)、式(XII)および/または式(XIII)のいずれかの1または複数の反復単位を含むポリマーは、式(XIV):
【0162】
(式中、
式(XIV)中のBは、−O−((CHR)p−O)q−であり;
pおよびqは、それぞれ独立して、約1〜約100の範囲の整数であり;ならびに
A
1は、任意の他のA
1とは独立して、上記定義の通りである)
の反復単位をさらに含む。
【0163】
好ましい実施形態において、式(XIV)は、ポリエチレングリコール(PEG)反復単位(R=Hおよびp=2)、ポリプロピレングリコール(PPO)反復単位(p=2および隣接する2つのR’はそれぞれ=HおよびCH
3)および/またはポリ(トリメチレンカーボネート)(PTMC)反復単位(R=H、q=1、p=3およびA
1=
【0166】
本発明の種々のポリカーボネートおよびポリアリレートは、チロソールから誘導されるジフェノール化合物を出発物質として使用する。ポリカーボネートまたはポリアリレートの形成に適したチロソール由来のジフェノールモノマー化合物の例は、上記定義の式(III)によって表される構造を有する。
【0167】
ポリマーは加水分解して元のジフェノールと二酸を放出し、したがってモノマー出発物質が無毒性であれば無毒性の分解生成物を形成すると予想される。ポリアリレートに関連する毒物学的懸念は、チロソールから誘導されるジフェノールと、ホスゲンまたは代謝産物もしくは高度な生体適合性化合物のいずれかであるジカルボン酸とを使用することによって満たされる。
【0168】
したがって、本発明の別の態様は、本発明のポリマーから製造された成形品を提供する。
【0169】
前述に基づいて、本明細書に記載の生体適合性ポリマーの特定の実施形態において、A
1は、
【0171】
の構造を有する、出発物質ホスゲンから誘導されるカルボニル基である。この方法は、本質的に、ジオールをポリカーボネートに重合させる従来の方法である。適切なプロセス、関連する触媒および溶媒は、当技術分野で公知であり、例えばSchnell、Chemistry and Physics of Polycarbonates(Interscience、New York 1964)に教示されており、その教示は参照により本明細書に組み込まれる。本発明のポリカーボネートおよび他のホスゲン由来ポリマーを調製するための使用に適した他の方法は、米国特許第6,120,491号および第6,475,477号に開示されており、これらの開示は参照により組み込まれる。
【0172】
本明細書に記載のポリマーの別の実施形態において、A
1は、構造:
【0174】
を有する基であり、カルボン酸出発材料またはモノマーから誘導される反復単位である。ポリマーを形成するために使用されるモノマーがジフェノールである場合、4−(ジメチルアミノ)ピリジニウム−p−トルエンスルホネート(DPTS)を触媒として使用する米国特許第5,216,115号明細書に開示のカルボジイミド媒介プロセスにおいて、ジフェノールを脂肪族または芳香族ジカルボン酸と反応させることができる。米国特許第5,216,115号の開示は、参照により、特にこのような重合方法を説明する目的のために組み込まれる。このプロセスは、−O−C(=O)−R
8−C(=O)−O−結合を有するポリマーを形成する。R8は、出発物質として使用されるジカルボン酸が、重要な天然に存在する代謝産物または高度に生体適合性の化合物のいずれかであるように選択することができる。したがって、出発物質の脂肪族ジカルボン酸には、クレブスサイクルとして公知の細胞呼吸経路の中間体ジカルボン酸が含まれる。ジカルボン酸にはα−ケトグルタル酸、コハク酸、フマル酸およびオキサロ酢酸が含まれる(それぞれ、R
8は−CH
2−CH
2−C(=O)−、−CH
2−CH
2−、−CH=CH−および−CH
2−C=O)−であり得る)。
【0175】
さらに別の天然に存在する脂肪族ジカルボン酸はアジピン酸(R
8は−(CH
2)
4−である)であり、ビートジュース中に見出される。さらに別の生体適合性脂肪族ジカルボン酸はセバシン酸(R
8が−(CH
2)
8−である)であり、これは広範囲に研究されており、ポリ(ビス(p−カルボキシフェノキシ)プロパン−co−無水セバシン酸のLaurencin et al.,J.Biomed.Mater.Res.,24,1463−81(1990)による臨床評価の一部として非毒性であることが判明している。
【0176】
他の生体適合性脂肪族ジカルボン酸には、シュウ酸(R
8は結合である)、マロン酸(R
8は−CH
2−である)、グルタル酸(R
8は−(CH
2)
3−である)、ピメリン酸(R
8は−(CH
2)
5−である)、スベリン酸(R
8は−(CH
2)
6−である)、およびアゼライン酸(R
8は−(CH
2)
7−である)が挙げられる。したがって、R
8は、−(CH
2)
n−を表し、ここで包括的にnは0と8との間である。適切な芳香族ジカルボン酸は、テレフタル酸、イソフタル酸、およびビス(p−カルボキシフェノキシ)プロパンなどのビス(p−カルボキシフェノキシ)アルカンである。
【0177】
好ましいポリマーは、本明細書に記載の反復単位、例えば、式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(Ic)、式(Id)、式(Ie)、式(II)、式(IIb)、式(IIc)、式(IId)、式(IIe)、式(VII)、式(VIII)、式(VIIIa)、式(VIIIb)、式(VIIIc)、式(VIIId)、式(VIIIe)、式(IX)、式(X)、式(XI)、式(XII)、式(XIII)、式(XIV)、式(XV)、式(XVIa)、式(XVIb)、および式(XVIc)により表される反復単位の群から選択される反復単位を含む。好ましいポリマーは、ジカルボン酸、デスアミノチロシル−チロシンおよびポリ(アルキレングリコール)のハロゲン化(例えば、ヨウ素化または臭素化)された誘導体から選択される構造単位の誘導体の組み合わせを含有することができ、これらは、ステントを含む医療用デバイスの製造へのその使用に一致する望ましい物理機械的および物理化学的特性を示す。例えば、本発明の好ましい実施形態に従って記載されたステントは、(a)従来のX線透視法で見えるように十分に放射線不透過性であり、(b)動脈または周囲の組織内の医学的に関連するレベルの半径方向の圧縮をサポートするのに十分な強度であり、および/または(c)異なる期間、または治療薬の溶出のためのステントの存在を必要とする一連の用途のニーズを考慮して調整することができる望ましい再吸収プロファイルを有する。
【0178】
例えば、本発明の好ましい一実施形態によれば、均一なポリマー、コポリマーおよびそれらのブレンドを含む、本質的に放射線不透過性、生体適合性、生体吸収性のポリマーを含む医療用デバイスが開示され、該ポリマーは、1以上の反復単位式(XV):
【0180】
(式中、
X
1、X
2、y1、y2、L、BおよびA
1は、それぞれ独立して上記定義の通りであり;ならびに
a、bおよびcは、0〜1の範囲であり、正規化された合計はa+b+c=1である)
の1または複数の反復単位を含む。
【0181】
好ましくは、式(XV)のX
1、X
2、y1およびy2は、X
1およびX
2が、ポリマーを放射線不透過性にするのに有効な量で存在するように選択される。例えば、一実施形態において、式(XV)のy1とy2の和は少なくとも1である。別の実施形態において、式(XV)のBは、脂肪族直鎖または分枝のジオールまたはポリ(アルキレングリコール)単位である。
【0182】
好ましいコポリマーの例には、以下の式(XVIa)、(XVIb)および(XVIc)のものが含まれる:
【0184】
上記の式(XVIa)、(XVIb)および(XVIc)に示される特定の例のそれぞれにおいて、個々の例のハロゲン化部分はデスアミノチロシン(DAT)を含む。芳香族環のハロゲン化は、下記の実施例に記載されるように、および米国特許第6,475,477号に詳細に記載された従来の方法によって達成することができ、特にモノマーをハロゲン化する方法を説明する目的で、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。好ましいポリマーは、得られるポリマーを放射線不透過性にするために十分にハロゲン化されており、例えば、本明細書に記載の式のいずれかのy1およびy2は、独立して0,1,2,3または4であってもよい。芳香族環のハロゲン化が好ましい。一実施形態において、y1とy2の和は少なくとも1である。ポリマー中の種々の他の基、例えばチロソール部分もハロゲン化されていてもよい。
【0185】
本明細書中の本発明の態様は、上記の式(XVIa)、(XVIb)および(XVIc)のいずれかまたはすべてにおいて、デスアミノチロシン(DAT)基の1つまたは複数を、別のヒドロキシ−アリールカルボン酸、例えば4−ヒドロキシ安息香酸(HBA)またはその異性体と置換することができる。ハロゲン化HBAの場合、上記のようにハロゲン化の別のスキームを用いることができる。
【0186】
驚くべきことに、鎖間水素結合の減少が期待される反復単位中のアミド結合のエステル結合との置換後、さまざまな実施形態において、得られるポリマーはより高いガラス温度および溶融温度を有することが発見されている。チロソール由来のモノマーから調製された種々のポリマーが半結晶性であり、高強度の用途に適した機械的強度を有することも観察された。
【0187】
その他の好ましい実施形態
本発明の一態様は、式(XVIII)の反復単位を含む生体適合性ポリマーに関する:
【0189】
(式中、
jおよびkはそれぞれ独立して、0または1〜6から選択される整数であり、ただし、jおよびkが両方とも0ではなく;
X
1およびX
2はそれぞれ独立して、臭素(Br)またはヨウ素(I)であり、y1およびy2はそれぞれ独立して0、1、2、3または4であり;
L
1は、酸素(−O−)、−R
4−C(=O)−O−および−O−R
4a−O−C(=O)−(式中、R
4は、C
1−C
30アルキレン、C
2−C
30アルケニレン、C
2−C
30アルキニレン、C
1−C
30ヘテロアルキレン、C
2−C
30ヘテロアルケニレン、C
2−C
30ヘテロアルキニレン、C
6−C
30アリーレン、C
7−C
30アルキルアリーレン、C
8−C
30アルケニルアリーレン、C
8−C
30アルキニルアリーレン、およびC
2−C
30ヘテロアリーレンからなる群から選択され;R
4aは、C
1−C
30アルキレン、C
2−C
30アルケニレン、C
2−C
30アルキニレン、C
1−C
30ヘテロアルキレン、C
2−C
30ヘテロアルケニレン、C
2−C
30ヘテロアルキニレン、C
6−C
30アリーレン、C
7−C
30アルキルアリーレン、C
8−C
30アルケニルアリーレン、C
8−C
30アルキニルアリーレン、およびC
2−C
30ヘテロアリーレンからなる群から選択される)からなる群から選択され;
L
4は、結合、および場合により置換されたフェノキシ(−C
6H
4−O−)からなる群から選択され;
L
5は、結合および−CH
2−からなる群から選択され;
Q
2は、出現ごとに独立して、水素もしくはハロゲンであるか、または隣接するQが存在する場合、2つの隣接するQ
2は二重結合を形成するか、またはZ
2と隣接するQ
2とが二重結合を形成し;
Z
2は水素、−N(R
x)C(=O)R
5、−N(R
x)COOR
6、−C(O)OR
7もしくは−C(O)NR
xR
yであるか、またはZ
2と隣接するQ
2とは二重結合を形成し;
(式中、R
5、R
6、R
7、R
xおよびR
yは、出現ごとに独立して、水素、アルキル、アリール、アルキルアリール、アリールアルキル、ヘテロアルキルおよびヘテロアルキルアリールからなる群から選択され、非水素基は30個までの炭素原子を含有し、ヘテロアルキル基は、O、NおよびSから独立して選択される1〜10個のヘテロ原子を含有し、ヘテロアルキルアリール基は、O、NおよびSから独立して選択される1〜3個のヘテロ原子を含有する);ならびに
A
1は、
【0191】
からなる群から選択される
(式中、R
8は、結合、C
1−C
30アルキレン、C
2−C
30アルケニレン、C
2−C
30アルキニレン、C
1−C
30ヘテロアルキレン、C
2−C
30ヘテロアルケニレン、C
2−C
30ヘテロアルキニレン、C
7−C
30ヘテロアルキルアリーレン、C
8−C
30ヘテロアルケニルアリーレン、C
8−C
30ヘテロアルキニルアリーレン、C
7−C
30アルキルアリーレン、C
8−C
30アルケニルアリーレン、C
8−C
30アルキニルアリーレンおよびC
2−C
30ヘテロアリーレンから選択され、ならびに
R
9およびR
10はそれぞれ独立して、H、C
1−C
30アルキル、C
1−C
30ヘテロアルキル、C
2−C
30アルケニル、C
2−C
30アルキニル、C
2−C
30ヘテロアルケニル、およびC
2−C
30ヘテロアルキニルから選択される))。
【0192】
生体適合性ポリマーの一実施形態において、L
1は酸素であり、L
4は結合であり、式(XVIIIa)の反復単位を提供する:
【0194】
生体適合性ポリマーの一実施形態において、L
1は酸素であり、L
4は結合であり、Q2は水素であり、式(XVIIIb)の反復単位を提供する:
【0196】
生体適合性ポリマーの一実施形態において、L
5は結合であり、式(XVIIIc)の反復単位を提供する:
【0198】
生体適合性ポリマーの一実施形態において、j=k=1であり、L1は酸素であり、L4およびL
5はそれぞれ結合であり、Q
2およびZ
2はそれぞれ水素であり、式(XVIIId)の反復単位を提供する:
【0200】
式(XVIII)の反復単位を含む生体適合性ポリマーの一実施形態は、チロソール反復単位をさらに含み、式(XVIIIe)によって特徴付けられる:
【0202】
式(XVIII)の反復単位を含む生体適合性ポリマーの一実施形態は、チロソール反復単位をさらに含み、式(XVIIIf)によって特徴付けられる。
【0204】
式(XVIII)の反復単位を含む生体適合性ポリマーの一実施形態は、p−ヒドロキシベンゾイルチロソール反復単位をさらに含み、式(XVIIIg)によって特徴付けられる:
【0206】
式(XVIII)の反復単位を含む生体適合性ポリマーの一実施形態は、α−ヒドロキシ酸反復単位をさらに含み、式(XVIIIh)によって特徴付けられる:
【0208】
(式中、R
15=HまたはCH
3であり、r=1〜約300である)。
【0209】
式(XVIII)の反復単位を含む生体適合性ポリマーの一実施形態は、ヨウ素化チロソール反復単位をさらに含み、式(XVIIIi)によって特徴付けられる:
【0211】
本発明の関連する態様は、式(XIX)の反復単位を含む生体適合性ポリマーに関する:
【0213】
(式中、
jおよびkはそれぞれ独立して、0または1〜6から選択される整数であり、ただし、jおよびkが両方とも0ではなく;
X
1およびX
2はそれぞれ独立して、臭素(Br)またはヨウ素(I)であり、y1およびy2はそれぞれ独立して0、1、2、3または4であり;
L
1は、酸素(−O−)、−R
4−C(=O)−O−および−O−R
4a−O−C(=O)−(式中、
R4は、C
1−C
30アルキレン、C
2−C
30アルケニレン、C
2−C
30アルキニレン、C
1−C
30ヘテロアルキレン、C
2−C
30ヘテロアルケニレン、C
2−C
30ヘテロアルキニレン、C
6−C
30アリーレン、C
7−C
30アルキルアリーレン、C
8−C
30アルケニルアリーレン、C
8−C
30アルキニルアリーレン、およびC
2−C
30ヘテロアリーレンからなる群から選択され;R
4aは、C
1−C
30アルキレン、C
2−C
30アルケニレン、C
2−C
30アルキニレン、C
1−C
30ヘテロアルキレン、C
2−C
30ヘテロアルケニレン、C
2−C
30ヘテロアルキニレン、C
6−C
30アリーレン、C
7−C
30アルキルアリーレン、C
8−C
30アルケニルアリーレン、C
8−C
30アルキニルアリーレン、およびC
2−C
30ヘテロアリーレンからなる群から選択される)からなる群から選択され;
L
4は、結合、および場合により置換されたフェノキシ(−C
6H
4−O−)から選択され;
L
5は、結合および−CH
2−から選択され;
Q
2は、出現ごとに独立して、水素もしくはハロゲンであるか、または隣接するQが存在する場合、2つの隣接するQ
2は二重結合を形成するか、またはZ
2と隣接するQ
2とが二重結合を形成し;
Z
2は水素、−N(R
x)C(=O)R
5、−N(R
x)COOR
6、−C(O)OR
7もしくは−C(O)NR
xR
yであるか、またはZ
2と隣接するQ
2とは二重結合を形成する
(式中、R
5、R
6、R
7、R
xおよびR
yは、出現ごとに独立して、水素、アルキル、アリール、アルキルアリール、アリールアルキル、ヘテロアルキルおよびヘテロアルキルアリールからなる群から選択され、非水素基は30個までの炭素原子を含有し、ヘテロアルキル基は、O、NおよびSから独立して選択される1〜10個のヘテロ原子を含有し、ヘテロアルキルアリール基は、O、NおよびSから独立して選択される1〜3個のヘテロ原子を含有する))。
【0214】
生体適合性ポリマーの一実施形態において、L
1は酸素であり、L
4は結合であり、式(XIXa)の反復単位を提供する:
【0216】
生体適合性ポリマーの一実施形態において、L
1は酸素であり、L
4は結合であり、Q
2は水素であり、式(XIXb)の反復単位を提供する:
【0218】
生体適合性ポリマーの一実施形態において、L
5は結合であり、式(XIXc)の反復単位を提供する:
【0220】
生体適合性ポリマーの一実施形態において、j=k=1であり、L
1は酸素であり、L
4およびL
5はそれぞれ結合であり、Q
2およびZ
2はそれぞれ水素であり、式(XIXd)の反復単位を提供する:
【0222】
式(XVIII)、(XVIIIa−i)、(XIX)および(XIXa−d)の反復単位を含む上記ポリマーのいくつかの実施形態において、反復単位のフェニル基はパラ位にフェノール性酸素を有する。式(XVIII)、(XVIIIa−i)、(XIX)および(XIXa−d)の反復単位を含むポリマーのいくつかの実施形態において、L
4は結合であり、L
1は酸素であり、Q
2およびZ
2は両方とも水素である。式(XVIII)、(XVIIIa−i)、(XIX)および(XIXa−d)の反復単位を含むポリマーのいくつかの実施形態において、X
1およびX
2はヨウ素であり、y1およびy2の少なくとも1つはゼロではない。式(XVIII)、(XVIIIa−i)、(XIX)および(XIXa−d)の反復単位を含むポリマーのいくつかの実施形態において、X
1およびX
2はヨウ素であり、y1およびy2の少なくとも1つは2であり、該反復単位のフェニル基は、パラ位にフェノール性酸素を有する。
【0223】
式(XVIII)、(XVIIIa−i)、(XIX)および(XIXa−d)の反復単位を含むポリマーのいくつかの実施形態において、該ポリマーはポリカーボネートであり、場合によりヨウ素化チロソールの反復単位をさらに含む。
【0224】
いくつかの実施形態において、上記の生体適合性コポリマーのいずれかは、さらに、式:
【0226】
のチロソール反復単位を含む
(式中、A
1は、
【0228】
からなる群から選択され、
R
8は、結合、C
1−C
30アルキレン、C
2−C
30アルケニレン、C
2−C
30アルキニレン、C
1−C
30ヘテロアルキレン、C
2−C
30ヘテロアルケニレン、C
2−C
30ヘテロアルキニレン、C
7−C
30ヘテロアルキルアリーレン、C
8−C
30ヘテロアルケニルアリーレン、C
8−C
30ヘテロアルキニルアリーレン、C
7−C
30アルキルアリーレン、C
8−C
30アルケニルアリーレン、C
8−C
30アルキニルアリーレンおよびC
2−C
30ヘテロアリーレンから選択され、R
9およびR
10はそれぞれ独立して、H、C
1−C
30アルキル、C
1−C
30ヘテロアルキル、C
2−C
30アルケニル、C
2−C
30アルキニル、C
2−C
30ヘテロアルケニルおよびC
2−C
30ヘテロアルキニルから選択される)。いくつかの実施形態において、上記の生体適合性コポリマーのいずれかは、式:
【0230】
(式中、R
15はHまたはCH
3であり、rは1〜約300であり、A
1は上記の通りである)
の反復単位をさらに含む。
【0231】
いくつかの実施形態において、上記の生体適合性コポリマーのいずれかは、式:
【0233】
のマクロマーとのブロックコポリマーであることを特徴とする(式中、Bは−O−((CH
2)
p−O)
q−または−O−(CH
2CH(CH
3)−O)
q−であり;
pは1〜約6の範囲の整数であり、qは約5〜約3000であり、ならびに
A
1は上記の通りである)。
【0234】
いくつかの実施形態において、上記の生体適合性コポリマーのいずれかは、式:
【0236】
のp−ヒドロキシ安息香酸エステル反復単位をさらに含む(式中、X
1はBrおよびIから選択され、y1=0、1または2である)。
【0237】
本発明の別の態様は、場合によりヨウ素化されたチロシンまたは場合によりヨウ素化されたチロシンエステル反復単位と、HBA(ヒドロキシベンゾイド酸(benzoid acid))、モノヨウ素化HBAおよびジヨウ素化HBAからなる群から選択される第2の反復単位とを含む生体適合性ポリウレタンに関する。
【0238】
本発明の別の態様は、式(XX)を有するジフェノールモノマー化合物に関する:
【0240】
(式中、
jおよびkはそれぞれ独立して、0または1〜6から選択される整数であり、ただし、jおよびkが両方とも0ではなく;
X
1およびX
2はそれぞれ独立して、臭素(Br)またはヨウ素(I)であり、y
1およびy
2はそれぞれ独立して、0、1、2、3または4であり;
L
1は、酸素(−O−)、−R
4−C(=O)−O−および−O−R
4a−O−C(=O)−(式中、R
4は、C
1−C
30アルキレン、C
2−C
30アルケニレン、C
2−C
30アルキニレン、C
1−C
30ヘテロアルキレン、C
2−C
30ヘテロアルケニレン、C
2−C
30ヘテロアルキニレン、C
6−C
30アリーレン、C
7−C
30アルキルアリーレン、C
8−C
30アルケニルアリーレン、C
8−C
30アルキニルアリーレン、およびC
2−C
30ヘテロアリーレンからなる群から選択され;R
4aは、C
1−C
30アルキレン、C
2−C
30アルケニレン、C
2−C
30アルキニレン、C
1−C
30ヘテロアルキレン、C
2−C
30ヘテロアルケニレン、C
2−C
30ヘテロアルキニレン、C
6−C
30アリーレン、C
7−C
30アルキルアリーレン、C
8−C
30アルケニルアリーレン、C
8−C
30アルキニルアリーレン、およびC
2−C
30ヘテロアリーレンから選択される)から選択され;
L
4は、結合、および場合により置換されたフェノキシ(−C
6H
4−O−)から選択され;
L
5は、結合および−CH
2−から選択され;
Q
2は、出現ごとに独立して、水素もしくはハロゲンであるか、または隣接するQが存在する場合、2つの隣接するQ
2は二重結合を形成するか、またはZ
2と隣接するQ
2とが二重結合を形成し;
Z
2は水素、−N(R
x)C(=O)R
5、−N(R
x)COOR
6、−C(O)OR
7もしくは−C(O)NR
xR
yであるか、またはZ
2と隣接するQ
2とは二重結合を形成する
(式中、R
5、R
6、R
7、R
xおよびR
yは、出現ごとに独立して、水素、アルキル、アリール、アルキルアリール、アリールアルキル、ヘテロアルキルおよびヘテロアルキルアリールからなる群から選択され、非水素基は30個までの炭素原子を含有し、ヘテロアルキル基は、O、NおよびSから独立して選択される1〜10個のヘテロ原子を含有し、ヘテロアルキルアリール基は、O、NおよびSから独立して選択される1〜3個のヘテロ原子を含有する))。
【0241】
ジフェノール化合物の一実施形態において、フェノール性ヒドロキシ基はパラ位にあり、式(XXa)を有するジフェノール化合物を提供する:
【0243】
ジフェノール化合物の一実施形態において、L
5は結合である。ジフェノール化合物の一実施形態において、L
4およびL
5はそれぞれ結合であり、L
1は酸素であり、Z
2は水素であり、Q
2は水素である。ジフェノール化合物の一実施形態において、L
4およびL
5はそれぞれ結合であり、L
1は酸素であり、Z
2は水素であり、Q
2は水素であり、k=j=1である。ジフェノール化合物の一実施形態において、L
4およびL
5はそれぞれ結合であり、L
1は酸素であり、Q
2およびZ
2は両方とも水素であり、k=j=1であり、X
1およびX
2はヨウ素であり、y1およびy2の少なくとも1つはゼロではない。
【0244】
上記の生体適合性ポリマーのいずれか、および少なくとも1つの医薬として許容される担体、添加剤または賦形剤を含むポリマー組成物を調製することができる。いくつかの実施形態において、ポリマー組成物は、式(XVIII)、(XVIIIa−i)、(XIX)および(XIXa−d)の反復単位の1または複数を含有するポリマーを含む。
【0245】
医療用デバイスは、上記の生体適合性ポリマーのいずれかから製造することができる。いくつかの実施形態において、医療用デバイスは、式(XVIII)、(XVIIIa−i)、(XIX)および(XIXa−d)の反復単位の1または複数を含有する生体適合性ポリマーを含む。医療用デバイスは、生体適合性ポリマーに組み込まれた生物学的に活性な化合物をさらに含むことができる。いくつかの実施形態において、生物学的に活性な化合物は、化学療法剤、非ステロイド系抗炎症剤、ステロイド系抗炎症剤、および創傷治癒剤からなる群から選択することができる。特定の実施形態において、医療用デバイスはステントである。好ましくは、ステントは、上記の生体適合性ポリマーの任意の1または複数を含み、特に式(XVIII)、(XVIIIa−i)、(XIX)および(XIXa−d)の反復単位の1または複数を含む生体適合性ポリマーのうちの1または複数を含む。
【0246】
モノマーおよびポリマーの合成
本明細書に記載のポリマー(例えば、式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(Ic)、式(Id)、式(Ie)、式(II)、式(IIb)、式(IIc)、式(IId)、式(IIe)、式(VII)、式(VIII)、式(VIIIa)、式(VIIIb)、式(VIIIc)、式(VIIId)、式(VIIIe)、式(IX)、式(X)、式(XI)、式(XII)、式(XIII)、式(XIV)、式(XV)、式(XVIa)、式(XVIb)、式(XVIc)、式(XVIII)、(XVIIIa−i)、(XIX)および(XIXa−dにより表される反復単位の群から選択される反復単位を含むポリマーを含む)は、当技術分野において公知のさまざまな従来の反応により合成することができる。
【0247】
例えば、触媒としてDPTSを用いるカルボジイミド媒介直接ポリエステル化で、ジフェノールモノマー化合物を脂肪族または芳香族ジカルボン酸と反応させて、脂肪族または芳香族ポリアリレートを形成することができる。ポリアリレートを形成する重合に適したジカルボン酸の例は、式(XVII)の構造を有する:
【0249】
(式中、脂肪族ポリアリレートについては、R
14は、18個までの炭素原子、好ましくは2〜12個の炭素原子を含有する飽和および不飽和の、置換および非置換のアルキレンまたはアルキルアリーレン基から選択される。芳香族ポリアリレートについては、R
14は18個までの炭素原子、好ましくは6〜12個の炭素原子を含有するアリーレン基から選択される)。いくつかの実施形態において、R
14は、R
8についての上記定義の通りである。
【0250】
R
14は、好ましくは、出発物質として使用されるジカルボン酸が、重要な天然に存在する代謝産物または高度に生体適合性の化合物のいずれかであるように選択される。好ましい脂肪族ジカルボン酸出発物質の例は、本明細書中の他の場所に記載されている。
【0251】
ポリアリレートはまた、縮合剤としてアリールスルホニルクロライドを使用するHigashi et al.,J.Polym.Sci.:Polym.Chem.Ed.,21,3233−9(1983)により開示された方法によって、縮合剤としてジフェニルクロロホスフェートを使用するHigashi et al.,J.Polym.Sci.:Polym.Chem.Ed.,21,3241−7(1983)のプロセスによって、縮合剤として塩化チオニルおよびピリジンを使用するHigashi et al.,J.Polym.Sci.:Polym.Chem.Ed.,24,97−102(1986)のプロセスによって、または塩化チオニルおよびトリエチルアミンを使用するElias,et al.,Makromol.Chem.,182,681−6(1981)のプロセスによって調製することができる。好ましいポリエステル化手順は、縮合剤としてカルボジイミドカップリング試薬および特別に設計された触媒DPTSを利用するMoore et al.,Macromol.,23,65−70(1990)により開示された方法である。
【0252】
特に好ましいポリエステル化技術は、過剰のカルボジイミドカップリング試薬を利用するMooreの方法の改変である。この技術は、Mooreにより得られるものより大きな分子量を有する脂肪族ポリアリレートを生成する傾向がある。本質的に、ペプチド化学においてカップリング試薬として一般的に使用される任意のカルボジイミドは、好ましいポリエステル化プロセスにおいて縮合剤として使用することができる。このようなカルボジイミドは周知であり、Bodanszky、Practice of Peptide Synthesis(Springer−Verlag、New York、1984)に開示されており、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩、N−シクロヘキシル−N’−(2’−モルホリノエチル)カルボジイミド−メト−p−トルエンスルホネート、N−ベンジル−N’−3’−ジメチル−アミノプロピル−カルボジイミド塩酸塩、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノ−プロピル)−カルボジイミドメチオジド、N−エチルカルボジイミド塩酸塩などが挙げられる。好ましいカルボジイミドは、ジシクロヘキシルカルボジイミドおよびジイソプロピルカルボジイミドである。
【0253】
エステル化反応混合物は、一般に、ジフェノールとジカルボン酸の溶媒中で、正確に等モル量のジフェノールとジカルボン酸とを接触させることによって形成することができる。適切な溶媒としては、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、クロロホルム、四塩化炭素およびN−メチルピロリジノンが挙げられる。ポリエステル化反応を開始する前に、必ずしもすべての試薬を完全な溶液にする必要はないが、デスアミノチロシルチロシンエチルエステルおよびコハク酸のような難溶性のモノマーの重合は、溶媒の量を増加させると、典型的にはより分子量の大きいポリマーが得られる。反応混合物を穏やかに加熱して、反応物質の部分的な溶解を助けることもできる。
【0254】
ポリアリレートは、合成ポリマーの分野で一般的に使用されている公知の方法によって後処理して単離することができ、すべて組織適合性モノマーから誘導される、有益な物理的および化学的性質を有するさまざまな有用な物品を製造することができる。有用な物品は、押出成形、圧縮成形、射出成形などの従来のポリマー成形技術によって成形することができる。ポリアリレートから調製された成形品は、とりわけ、医療用インプラント用途のための分解性生体材料として有用である。このような用途としては、血管移植片およびステント、骨接合板、縫合糸、埋め込み型センサ、外科的癒着防止のための障壁、埋め込み型薬物送達デバイスおよび他の治療助剤および既知の期間内に無害に分解する物品としての成形品の使用が挙げられる。
【0255】
合成スキーム1〜4は、式(I)の反復単位を含有するポリマーの製造に有用な種々のタイプのフェノールモノマーの調製を例示する。当業者には、これらの合成スキームが、上記定義の−N(R
x)C(=O)R
5、−N(R
x)COOR
6、−COOR
7および/または−CONR
xR
yなどのペンダント側鎖を含有するフェノールモノマーの調製に容易に適合できることが理解されよう。
【0264】
当業者には理解されるように、スキーム3に示すように、チロソールまたは類似体とホスゲンまたはトリホスゲンとの反応は、用いる反応条件に応じて、カーボネート(−OC(O)O−)基により連結された3タイプの二量体(すなわち、「ヘッド−ヘッド」、「テール−テール」および「ヘッド−テール」)の混合物、および/または対応するポリマーを生じることがある。したがって、いくつかの実施形態において、本発明は、実施例17に例示するように、制御された条件下でこれらの特異的二量体およびポリマーの調製を提供する。
【0265】
合成スキーム1〜10において、X
1、X
2、y1、y2、R
4、R
4aおよびR
8は、上記定義の通りである。本明細書に記載のモノマーおよびポリマーのさまざまな実施形態において、R
4、R
4aおよびR
8は、それぞれ独立して、C
1−C
30アルキル、例えば、C
1−C
6アルキル、C
1−C
8アルキル、C
1−C
10アルキルなどである。当業者には、表された構造が対称的である場合に、変数(例えば、それぞれX
1およびX
2、ならびにy1およびy2)が本明細書に提供されるさまざまな式およびスキームにおいて交換可能に使用され得る範囲が理解されよう。したがって、X
1(およびX
2)はハロゲンであってよく、出現ごとに独立して、ヨウ素、臭素、塩素およびフッ素から選択することができる。好ましくは、ハロゲンは、ヨウ素または臭素である。ハロゲン化は、当技術分野で公知の従来の反応によって行うことができる。例えば、ヨウ素化は、銅塩の存在下で、KI、ICl、IF、ベンジルトリメチルアンモニウムジクロロヨードエートまたはI
2で処理することによってアリール環に対して実施することができる。同様に、鉄などの触媒の存在下で、臭素で処理することにより、アリール環に対して臭素化を行うことができる。他の臭素化試薬としては、HOBrおよびブロモアミドが挙げられる。上記の合成スキームは、例示目的で単純化されている。当業者に公知の類似の合成戦略、例えばスキーム5を使用して、多くの変種を得ることができる:
スキーム5
【0267】
酸とアルコールとのカップリングはまた、当技術分野で公知の従来の反応によっても実施することができる。反応物質の活性化には、EDCI、HBTU、HOBtなどを含む標準的なカップリング試薬を使用することができる。これらのポリマーの合成例は、以下の合成スキーム6〜9に例示されている:
スキーム6
【0275】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のポリマーはリンを含有する。これらのポリマーの汎用性は、の反応の多様性が知られているリン原子の汎用性から生じると思われる。その結合は、3p軌道または種々の3s−3pハイブリッドを伴うことができ、アクセス可能な軌道のためにspdハイブリッドも可能である。したがって、ポリ(ホスホエステル)の物理化学的特性は、R基またはR’基のいずれかを変化させることによって容易に変化させることができる。ポリマーの生分解性は、主として、ポリマー主鎖中の生理学的に不安定なホスホエステル結合に起因する。主鎖または側鎖を操作することにより、広範囲の生分解速度が達成可能である。
【0276】
当業者には理解されるように、モノマーが重合のための2つの同等または類似の反応性官能基を有する非対称構造を有する場合、形成されるポリマーは主にランダムな順序でモノマー単位を含有すると思われる。このような例としては、上記のスキーム6〜9に例示される重合反応が挙げられるが、これに限定されない。
【0277】
以下の合成スキーム10〜11は、それぞれポリ(ホスホネート)およびポリ(ホスフェート)の合成を例示する。
【0282】
スキーム10〜13において、XはClまたはBrであり、X
1、X
2、y1、y2、L、R
9およびR
10は上記定義の通りである。例えば、ポリ(ホスフェート)は、以下の合成スキーム12に従って、ホスホ二塩素酸塩とジオールとの間の脱塩酸により調製することができる。
【0285】
ポリ(ホスホネート)は、適切に置換された二塩化物とジオールとの間の同様の縮合によって調製することができる。
【0286】
ポリ(ホスファイト)は、グリコールから二段階縮合反応で調製することができる。20%モル過剰のジメチルホスファイトをグリコールとの反応に使用して、続いてオリゴマー中のメトキシホスホニル末端基を高温で除去することが好ましい。溶融重縮合の利点は、溶媒および多量の他の添加剤の使用を回避し、したがって精製をより直接的にすることである。適度に高分子量のポリマーを提供することもできる。重合は溶液中で行うこともできる。クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタンなどの塩素化有機溶媒を使用することができる。高分子量を達成するために、溶液重合は、好ましくは等モル量の反応物質、より好ましくは化学量論量の酸受容体またはルイス酸型触媒の存在下で行われる。有用な酸受容体としては、ピリジンまたはトリエチルアミンのような第3級アミンが挙げられる。有用なルイス酸型触媒の例としては、塩化マグネシウムおよび塩化カルシウムが挙げられる。生成物は、非溶媒中で沈殿させることによって溶液から単離することができ、酸性水溶液、例えば希HClで洗浄するなど、当業者に公知の従来技術によって精製されることによって塩酸塩を除去することができる。
【0287】
合成スキーム13に示すように、ハロゲン化フェノールモノマーを重合してポリイミノカーボネートを形成することもできる。
【0290】
ハロゲン化HBAを含むジフェノールエステルモノマー。
【0291】
I2DATをI
2チロソールPrD−ジI
2DATと反応させて四ヨウ素化ジフェノールエステルを生成するスキーム1の例とは異なり、3,5−ジヨード−4−ヒドロキシ安息香酸(I
2HBA)のカップリングを介してヨウ素化ジフェノールモノマー種を生成するための従来の方法は、DATと比較して芳香族酸部分の反応性が異なるために問題があり、ほとんど未反応の出発物質が残る。
【0292】
または、HBAのエステル化を達成するため、より高い温度などのより積極的な反応条件を使用すると、および/または硫酸触媒を用いてトルエン中で還流させると、より多くのエステル化が生じるが、環のかなりの脱ヨウ素化が生じる。この理由のために、スキーム14aおよび14bは、2段階プロセスを介して四ヨウ素化ジフェノールエステル(または他のハロゲンの組み合わせ)を生成するためのプロセスを示す。
【0293】
スキーム14aは、4−ヒドロキシ安息香酸とチロソールとの反応による非ハロゲン化ジフェノールエステルモノマーの生成を示す。使用される方法は、例えば4−ヒドロキシ安息香酸(HBA)をチロソールと共に、4−トルエンスルホン酸一水和物および1,2−ジクロロエタン(DCE)中で、還流下で加熱する工程を含み得る。別の方法はフィッシャー合成を含み、触媒量の硫酸とトルエンを用いて還流下で加熱する工程を含み得る。生成物は、4−ヒドロキシ安息香酸のチロソールエステル、またはチロシル(4−ヒドロキシベンゾエート)(本明細書ではBTyと略記する)である。
【0296】
スキーム14bは、チロシル(4−ヒドロキシベンゾエート)のジフェノールの構成環をヨウ素化する反応によるハロゲン化ジフェノールエステルモノマーの生成を示しており、例えばこの反応は、硫酸の存在下でヨウ素を用いてエタノール中で行うことができ、水性H
2O
2またはヨウ素酸カリウムが酸化剤として使用される。生成物は、3,5−ジヨードチロシル(4−ヒドロキシ−3,5−ジヨードフェニル)ベンゾエートである。
【0299】
ポリイミノカーボネートはポリカーボネートに構造的に関連している。ポリイミノカーボネートは、典型的にはポリカーボネート中のカルボニル酸素が占める場所にイミノ基を有する。したがって、ポリイミノカーボネートは、式:
【0302】
イミノカーボネート結合の包含は、ポリマーにかなりの程度の加水分解不安定性を付与することがある。ポリイミノカーボネートは、対応するポリカーボネートに似た望ましい機械的特性を有する。
【0303】
本明細書に記載の出発物質は、市販されており、公知であるか、または当技術分野で公知の方法によって調製することができる。さらに、本明細書に記載されていない出発物質も、市販されており、公知であるか、または当技術分野で公知の方法によって調製することができる。
【0304】
出発物質は、対応する置換基を有する所望の生成物を最終的に得るために、適切な置換基を有していてもよい。または、置換基を合成の任意の点で加えて、対応する置換基を有する所望の生成物を最終的に得ることができる。
【0305】
本明細書に例示される合成スキームは、好ましい実施形態の化合物を調製するために使用され得る方法を示している。当業者には、多くの異なる合成反応スキームを用いて、好ましい実施形態の化合物を合成できることが理解されよう。さらに、当業者には、多くの異なる溶媒、カップリング剤および反応条件を合成反応に用いて、同等の結果を得られることが理解されよう。
【0306】
当業者には、順序の変更が理解され、さらに、好ましい実施形態の化合物を作製するために、表記の類似の反応または上記のプロセスに適切に使用することができる公知の他の反応に由来する適切な反応条件の変更が認識されよう。
【0307】
好ましい実施形態の化合物の調製のための本明細書に記載の方法において、保護基の要件は、一般に、有機化学の当業者によってよく認識されており、したがって、適切な保護基の使用は本明細書においてスキームのプロセスに必然的に含まれるが、このような基は明確に例示されていなくてもよい。このような適切な保護基の導入および除去は、有機化学の分野において周知であり、例えば、T.W.Greene,“Protective Groups in Organic Synthesis”,Wiley(New York),1999を参照されたい。
【0308】
本明細書に記載の反応の生成物は、抽出、蒸留、クロマトグラフィーなどの従来の手段によって単離することができる。
【0309】
本明細書に記載の化合物の塩は、適切な塩基または酸を化学量論的当量の化合物と反応させることによって調製することができる。
【0310】
いくつかの実施形態において、ポリマーは、チロソール−生体活性部分を有するポリ(エーテルカーボネート)を含む。デスアミノチロシル−チロシンジペプチドを塩化メチレン中のPEGと組み合わせ、ホスゲンをトルエン中の溶液として添加することができる。反応は約9分で完了すると思われる。いくつかの実施形態において、この反応は1〜60分間行われる。一実施形態において、ポリマーは、ポリ(チロシンカーボネート)ペンダント生体活性部分基を含む。いくつかの実施形態において、ポリマーは、主鎖中に生体活性部分を有するポリ(エーテルカーボネート)チロシン−ジオールコポリマーを含む。いくつかの実施形態において、ポリマーは、ペンダント生体活性部分を有するポリ(エーテルカーボネート)チロシン−ジオールコポリマーを含む。いくつかの実施形態において、ポリマーは、ポリ(エーテルエステル)チロシン−生体活性部分−二酸コポリマーを含む。いくつかの実施形態において、ポリマーは、ポリ(イミノカーボネート)チロシン−生体活性部分−コポリマーを含む。いくつかの実施形態において、ポリマーは、ペンダントPEG基を有するポリ(イモノチロシン)を含む。
【0311】
別の態様において、本発明は、本明細書に記載のポリマーおよび/またはポリマー組成物を含む医療用デバイスを提供する。例えば、一実施形態は、本明細書に記載のポリマー組成物を含むステントを提供する。別の実施形態は、ステントを体内管腔内に展開する工程を含む、体腔を治療する方法を提供する。これらおよび他の実施形態は、以下にさらに詳細に説明される。
【0312】
定義
本明細書で使用される用語「生分解性」は、ポリマーが、四年以下(4年以下)の期間に低分子量オリゴマーに変換されるような、生理学的条件下での加水分解または酵素反応のために分子量が低下するポリマーの特性を指す。
【0313】
本明細書で使用される用語「オリゴマー」は、その分子量が元のポリマーの10%未満であるポリマーの加水分解生成物を指す。
【0314】
用語「アルキル」、「アルキレン」および類似の用語は、当業者に公知の通常の意味を有し、したがって、直鎖または分枝炭化水素鎖の完全に飽和した(二重または三重結合を含まない)炭化水素基を指すために使用することができる。例えば、一般式−C
nH
2n+1の末端アルキル基は、本明細書において「アルキル」基と呼ぶことができるが、例えば、一般式−(CH
2)
n−のような連結アルキル基は、本明細書において「アルキレン」基と呼ぶことができる。アルキル基は、1〜50個の炭素原子を有していてもよい(本明細書に現れるときは、「1〜50」などの数値範囲は、所定の範囲内の各整数を指し、例えば「1〜50個の炭素原子」は、1個の炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子等からなり、50個までの炭素原子を含むことができるが、本定義は数値範囲が指定されていない用語「アルキル」の出現も包含する)。アルキル基はまた、1〜30個の炭素原子を有する中程度のサイズのアルキルであってもよい。アルキル基は、1〜5個の炭素原子を有する低級アルキルであってもよい。これらの化合物のアルキル基は、「C
1−C
4アルキル」または類似の名称で表すことができる。単なる例として、「C
1−C
4アルキル」は、アルキル鎖中に1〜4個の炭素原子が存在することを示し、すなわち、アルキル鎖は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、sec−ブチル、およびt−ブチルからなる群から選択される。典型的なアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0315】
アルキル基は置換されていても、または非置換であってもよい。置換されている場合、置換基はアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリシクリル(heteroalicyclyl)、アラルキル、ヘテロアラルキル、(ヘテロアリシクリル)アルキル、ヒドロキシ、保護ヒドロキシル、アルコキシ、アリールオキシ、アシル、エステル、メルカプト、アルキルチオ、アリールチオ、シアノ、ハロゲン、カルボニル、チオカルボニル、O−カルバミル、N−カルバミル、O−チオカルバミル、N−チオカルバミル、C−アミド、N−アミド、S−スルホンアミド、N−スルホンアミド、C−カルボキシ、保護C−カルボキシ、O−カルボキシ、イソシアナト、チオシアナト、イソチオシアナト、ニトロ、シリル、スルフェニル、スルフィニル、スルホニル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、トリハロメタンスルホニル、トリハロメタンスルホンアミド、および一置換および二置換アミノ基を含むアミノならびにこれらの保護された誘導体から個別に独立して選択される1または複数の基である。置換基が「場合により置換された」と記載されているところでは、その置換基は上記の置換基の1つで置換されていてもよい。
【0316】
「アラルキル」は、置換基としてアルキレン基を介して連結されたアリール基である。アラルキルのアルキレンおよびアリール基は、置換されていても、または非置換であってもよい。例としては、ベンジル、置換ベンジル、2−フェニルエチル、3−フェニルプロピル、およびナフチルアルキルが挙げられるが、これらに限定されない。場合によっては、アルキレン基は低級アルキレン基である。アルキルアリール基は、置換されていても、または非置換であってもよい。
【0317】
上記のように、アルキル基は、他の基を一緒に連結していてもよく、その文脈においてアルキレン基と呼ぶことができる。したがって、アルキレン基は、その末端の炭素原子を介して分子フラグメントを連結するための結合を形成する、ビラジカルテザリング基である。例としては、メチレン(−CH
2−)、エチレン(−CH
2CH
2−)、プロピレン(−CH
2CH
2CH
2−)およびブチレン(−(CH
2)
4−)基が挙げられるが、これらに限定されない。アルキレン基は、置換されていても、または非置換であってもよい。
【0318】
用語「アルケニル」、「アルケニレン」および類似の用語は、当業者に公知の通常の意味を有し、したがって、直鎖または分枝炭化水素鎖中に1または複数の二重結合を含有するアルキルまたはアルキレン基を指すために使用することができる。アルケニル基は、非置換であっても、または置換されていてもよい。置換されている場合、置換基は、特に他のことが示されない限り、アルキル基の置換に関して上に開示したのと同じ基から選択することができる。
【0319】
「アミド」は、式−(R)
n−C(O)NHR’または−(R)
n−NHC(O)R’を有する化学部分であり、RおよびR’は、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール(環炭素を介して結合している)、およびヘテロアリシクリル(環炭素を介して結合している)であり、nは0または1である。アミドは、本発明の分子に結合したアミノ酸またはペプチド分子であってよく、それによってプロドラッグを形成してもよい。「アミド結合」は、2つの化学的部分を互いに連結するアミド基(−C(O)NH−)である。
【0320】
本明細書中に開示の化合物上の任意のアミン、ヒドロキシまたはカルボキシル側鎖は、エステル化またはアミド化することができる。この目的を達成するために使用される手順および特定の基は、当業者に公知であり、Greene and Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,3rd Ed.,John Wiley&Sons,New York,N.Y.,1999などの参照元に見出すことができ、当該文献は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0321】
本明細書で使用される場合、「アリール」は、炭素環(すべての炭素)環または完全に非局在化されたπ電子系を有する2以上の縮合環(2つの隣接する炭素原子を共有する環)を指す。アリール基の例としては、ベンゼン、ナフタレンおよびアズレンが挙げられるが、これらに限定されない。アリール基は置換されていても、または非置換であってもよい。置換されている場合、水素原子は、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリシクリル(heteroalicyclyl)、アラルキル、ヘテロアラルキル、(ヘテロアリシクリル)アルキル、ヒドロキシ、保護ヒドロキシル、アルコキシ、アリールオキシ、アシル、エステル、メルカプト、アルキルチオ、アリールチオ、シアノ、ハロゲン、カルボニル、チオカルボニル、O−カルバミル、N−カルバミル、O−チオカルバミル、N−チオカルバミル、C−アミド、N−アミド、S−スルホンアミド、N−スルホンアミド、C−カルボキシ、保護C−カルボキシ、O−カルボキシ、イソシアナト、チオシアナト、イソチオシアナト、ニトロ、シリル、スルフェニル、スルフィニル、スルホニル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、トリハロメタンスルホニル、トリハロメタンスルホンアミド、および一置換および二置換アミノ基を含むアミノならびにこれらの保護された誘導体から独立して選択される1または複数の基である置換基によって置き換えられている。置換されている場合、アリール基上の置換基は、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニルおよびヘテロシクリルを含む、アリール基に縮合した非芳香族環を形成することができる。
【0322】
本明細書で使用される場合、「ヘテロアルキル」は、1または複数の炭素原子がヘテロ原子、すなわち炭素以外の元素、限定するものではないが、窒素、酸素および硫黄で置換されているアルキル基を指す。
【0323】
用語「ヘテロアルキル」、「ヘテロアルキレン」および類似の用語は、当業者に公知の通常の意味を有し、したがって、アルキル基またはアルキレン基の主鎖中の1または複数の炭素原子が、窒素、硫黄および/または酸素などのヘテロ原子によって置換されている、本明細書に記載のアルキル基またはアルキレン基を指すために使用することができる。同様に、用語「ヘテロアルケニレン」は、アルキル基またはアルキレン基の主鎖中の1または複数の炭素原子が、窒素、硫黄および/または酸素などのヘテロ原子によって置換されている、アルケニルまたはアルケニレン基を指すために使用することができる。
【0324】
本明細書で使用される場合、「ヘテロアリール」は、1または複数の炭素原子がヘテロ原子、すなわち炭素以外の元素、限定するものではないが、窒素、酸素および硫黄で置換されているアリール基を指す。
【0325】
便宜上、簡潔にするために、「アルキル」、「アルケニル」、「アルキニル」、「アリール」、「ヘテロアリール」および「アルキルアリール」などの用語は、これらが、モノマーまたはポリマーのいずれかの分子の2つの部分を連結するために機能する場合、対応する連結基を指すために使用することができ、このことは当業者には容易に理解される。すなわち、このような場合、「アルキル」は「アルキレン」と解釈されるべきであり、「アルケニル」は「アルケニレン」と解釈すべきであり、「アリール」は「アリーレン」と解釈すべきである。
【0326】
「重原子」は、ポリマーに結合した場合、重原子を含有しないポリマーと比較して、イメージング技術によってポリマーを検出しやすくする原子である。多くのポリマーは、水素、炭素、窒素、酸素、ケイ素および硫黄のような比較的原子番号の小さい原子を含有するので、ほとんどの場合、重原子は17以上の原子番号を有する。好ましい重原子は35以上の原子番号を有し、臭素、ヨウ素、ビスマス、金、白金、タンタル、タングステンおよびバリウムが挙げられる。
【0327】
「炭化水素」は、完全に水素と炭素からなる有機化合物である。炭化水素の例としては、非置換アルキル基、非置換アリール基、および非置換アルキルアリール基が挙げられる。炭化水素中のアルキル基、アリール基またはアルキルアリール基への置換は、炭素および/または水素原子のみを含むであろう。
【0328】
本明細書で使用される場合、用語「マクロマー」、「マクロマー性」および同様の用語は、当業者に知られている通常の意味を有し、したがって、マクロマーを他のマクロマーまたはモノマーと共重合させることができるように選択された末端基で官能化されるオリゴマー物質またはポリマー物質を指すために使用することができる。多種多様なマクロマーおよびそれらを作製するための方法は、当業者には公知である。適切なマクロマーの例としては、ヒドロキシ末端キャップ化ポリ乳酸マクロマー、ヒドロキシ末端キャップ化ポリグリコール酸マクロマー、ヒドロキシ末端キャップ化ポリ(乳酸−co−グリコール酸)マクロマー、ヒドロキシ末端キャップ化ポリカプロラクトンマクロマー、ポリ(アルキレンジオール)マクロマー、ヒドロキシ末端キャップ化ポリ(アルキレンオキシド)マクロマーおよびヒドロキシ末端キャップ化ポリジオキサノンマクロマーが挙げられる。
【0329】
本明細書中で使用される場合、用語「ポリマー」、「ポリマー性」および同様の用語は、当業者に知られている通常の意味を有し、したがってホモポリマー、コポリマー(例えば、ランダムコポリマー、交互コポリマー、グラフトコポリマー)およびそれらの混合物を指すために使用することができる。ポリマーの繰り返し構造単位は、本明細書において反復単位とも呼ぶことができる。
【0330】
本明細書で使用される場合、用語「分子量」は、当業者に知られている通常の意味を有し、したがって、特定の分子量を有するポリマーについてのこの言及は、ダルトンの単位のポリマー分子量への言及として理解されよう。末端基分析(例えば、
1H NMRによる)および高圧サイズ排除クロマトグラフィー(HPSEC、ゲル浸透クロマトグラフィー、「GPC」としても知られている)のような、当業者に公知のさまざまな技術を使用して、ポリマー分子量を決定することができる。ある場合には、ポリマーの分子量は、「数平均」分子量(Mn)および/または「重量平均」分子量(Mw)という用語を用いて本明細書にさらに記載されており、これらの用語は両方とも同様にダルトンの単位で表され、当業者に知られている通常の意味を有する。
【0331】
特に他のことが示されていない限り、置換基が「場合により置換された」とみなされる場合、その置換基が、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリシクリル、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、メルカプト、アルキルチオ、アリールチオ、シアノ、ハロ、カルボニル、チオカルボニル、O−カルバミル、N−カルバミル、O−チオカルバミル、N−チオカルバミル、C−アミド、N−アミド、S−スルホンアミド、N−スルホンアミド、C−カルボキシ、O−カルボキシ、イソシアナト、チオシアナト、イソチオシアナト、ニトロ、シリル、トリハロメタン−スルホニル、および一置換および二置換アミノ基を含むアミノ、ならびにこれらの保護された誘導体から個別に独立して選択される1または複数の基で置換されていてもよい基であることを意味する。上記の置換基の保護誘導体を形成し得る保護基は、当業者に公知であり、上記のGreeneおよびWutsなどの参考文献に見出すことができる。
【0332】
用語「放射線不透過性(radiopaque)」、「放射線−不透過性(radio−opaque)、「放射線不透過性(radiopacity)」、「放射線不透過性(radio−opacity)」、「放射線不透過性(radiopacifying)」および同様の用語は、当業者に知られている通常の意味を有し、したがって、ポリマー組成物へ重原子を組み込み、医療イメージング技術(例えば、X線および/または蛍光透視法による)を使用して検出しやすくされているポリマー組成物を指すために使用することができる。このような組み込みは、混合によって、例えばバリウム塩または錯体などの放射線不透過性添加剤の有効量を混合することによって、および/またはポリマー組成物中の1または複数のポリマーに有効量の重原子を結合させることによって行うことができる。
【0333】
特定の構成では、ポリマー組成物は本質的に放射線不透過性であってもよい。用語「本質的に放射線不透過性」は、ポリマーを放射線不透過性にするために十分な数の重原子が共有結合またはイオン結合によって結合されたポリマーを指すために本明細書において使用される。この意味は当業者の理解と一致し、米国特許出願公開第2006/0024266号を参照されたく、当該特許出願は放射線不透過性ポリマー物質を説明する特定の目的を含む、あらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0334】
基が「場合により置換された」と記載されている場合はいつでも、その基は非置換であっても、または表記の置換基の1または複数で置換されていてもよい。同様に、「非置換であるか、または置換されている」と記載されるとき、基が置換されている場合、置換基は、1または複数の表記の置換基から選択することができる。
【0335】
特に他のことが示されていない限り、置換基が「場合により置換された」または「置換された」とみなされる場合、置換基が、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリシクリル(heteroalicyclyl)、アラルキル、ヘテロアラルキル、(ヘテロアリシクリル)アルキル、ヒドロキシ、保護ヒドロキシル、アルコキシ、アリールオキシ、アシル、エステル、メルカプト、シアノ、ハロゲン、カルボニル、チオカルボニル、O−カルバミル、N−カルバミル、O−チオカルバミル、N−チオカルバミル、C−アミド、N−アミド、S−スルホンアミド、N−スルホンアミド、C−カルボキシ、保護C−カルボキシ、O−カルボキシ、イソシアナト、チオシアナト、イソチオシアナト、ニトロ、シリル、スルフェニル、スルフィニル、スルホニル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、トリハロメタンスルホニル、トリハロメタンスルホンアミド、および一置換および二置換アミノ基を含むアミノならびにこれらの保護された誘導体から個別に独立して選択される1または複数の基で置換されていてもよい基であることを意味する。同様に、用語「場合により環ハロゲン化された」は、アリールおよび/またはヘテロアリール環上に1または複数の(例えば、1,2,3または4個の)ハロゲン置換基を場合により含有する基を指すために使用することができる。上記置換基の保護誘導体を形成し得る保護基は、当業者に公知であり、Greene and Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,3
rd Ed.,John Wiley&Sons,New York,NY,1999などの文献に見出すことができ、当該文献は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0336】
1または複数のキラル中心を有する本明細書に記載の化合物のいずれにおいても、絶対立体化学が明示されていない場合、各中心は独立してR−配置またはS−配置またはそれらの混合物であってもよいことが理解されよう。したがって、本明細書で提供される化合物は、鏡像異性的に純粋であっても、立体異性体混合物であってもよい。さらに、EまたはZとして定義され得る幾何異性体を生成する1または複数の二重結合を有する任意の化合物において、各二重結合は、独立してEまたはZ、それらの混合物であり得ることが理解されよう。同様に、すべての互変異性体も含まれることが意図されている。
【0337】
さまざまなヨウ素化化合物を特定するために、以下の略語が使用される。TEはチロシンエチルエステルを表し、DATはデスアミノチロシンを表し、DTEはデスアミノチロシルチロシンエチルエステルを表す。PTEは、ヒドロキシ−フェノキシ−1−オキソエチルチロシンエチルエステルを表す。Tyはチロソールを表す。DTEのホスゲン化によって得られたポリマーは、ポリ(DTEカーボネート)として表される。略語の前の「I」は、モノヨウ素化(例えば、ITEはモノヨウ素化TEを表す)を示し、略語の前のI
2はジヨウ素化を示す(例えば、I
2DATはジヨウ素化DATを表す)。DTEにおいて、「I」がDの前にある場合、それはヨウ素がDATにあることを意味し、「I」がDの後にある場合、それはチロシン環にヨウ素があることを意味する(例えばDI
2TEはチロシン環に2個のヨウ素原子を有するDTEを表す)。以下の図は、この命名法をさらに例示している。
【0339】
ヨウ素化DTEモノマーの一般構造
IDTE:X
1a=I、X
1b=H、X
2a=H、X
2b=H
I
2DTE:X
1a=I、X
1b=I、X
2a=H、X
2b=H
DI
2TE:X
1a=H、X
1b=H、X
2a=I、X
2b=I
IDITE:X
1a=I、X
1b=H、X
2a=I、X
2b=H
本明細書で使用される場合、最も一般的な形態において、「HBA」という略語は、ヒドロキシ安息香酸として知られているヒドロキシ−アリールカルボン酸部分のいずれかまたはすべてを指すことができ、モノヒドロキシ安息香酸の異なる異性体が3つあることわかっており:4−ヒドロキシ安息香酸(パラ−ヒドロキシ安息香酸、場合によってはPHBAと略記する)、3−ヒドロキシ安息香酸(メタ−ヒドロキシ安息香酸)および2−ヒドロキシ安息香酸(オルト−ヒドロキシ安息香酸またはサリチル酸)である。当業者には、各異性体の任意のさまざまな化学的および生物学的特性を正当に認識して、これらのいずれか1種が、ヒドロキシ安息香酸に関して本明細書に記載されている一般的なモノマーおよびポリマーの概念のさまざまなものに含まれていてもよいことが理解されよう。しかし、本明細書においてヒドロキシ安息香酸の最も典型的に好ましい例としては、4−ヒドロキシ安息香酸異性体が挙げられる。この理由から、特に他のことが示されない限り、ヒドロキシ安息香酸またはHBAという用語は、本明細書において一般に、3つの可能な異性体の中の好ましい例として4−ヒドロキシ安息香酸を指しうる。
【0340】
PTE、PTH、IPTE、I
2PTE、PI
2TEなどの場合、DAT−CH
2CH
2−基は−OCH
2−で置き換えられる。
【0341】
本明細書で使用される場合、任意の保護基、アミノ酸および他の化合物の略語は、特に他のことが示されない限り、それらの一般的な使用法、認識された略語、またはIUPAC−IUP Commission on Biochemical Nomenclature(Biochem.11:942−944(1972))に従う。
【0342】
本明細書で使用される場合、用語「ハロゲン原子」は、元素の周期表の第7欄の放射安定原子のいずれか1つ、例えばフッ素、塩素、臭素またはヨウ素を意味し、臭素およびヨウ素が好ましい。
【0343】
「エステル」という用語は、式−(R)
n−COOR’を有する化学部分であり、RおよびR’は、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール(環炭素を介して結合している)、およびヘテロアリシクリル(環炭素を介して結合している)であり、nは0または1である。「エステル結合」は、2つの化学的部分を互いに連結するエステル基である。
【0344】
本明細書で使用される場合、用語「精製された」、「実質的に精製された」および「単離された」は、本発明の化合物が天然の状態で通常会合している他の異種の化合物を実質的に含まない本明細書に開示の化合物を指し、したがって、本発明の化合物が、所与の試料の質量の少なくとも0.5重量%、1重量%、5重量%、10重量%、または20重量%、および最も好ましくは少なくとも50重量%または75重量%を構成することを指す。
【0345】
本明細書に記載のポリマーは、均質ポリマーとして、コポリマーとして、および/またはポリマーブレンドとして、本発明の好ましい態様に従って使用することができることが理解されよう。したがって、例えば、式(I)のポリマーに対する言及は、ホモポリマー、コポリマーまたはブレンドであり得る式(I)の反復単位を含むポリマーに対する言及であると理解されよう。同様に、別の例として、式(Ia)のポリマーに対する言及は、ホモポリマー、コポリマーまたはブレンドであり得る式(Ia)の反復単位を含むポリマーに対する言及であると理解されよう。
【0346】
本発明者らは、いかなる特定の操作理論にも拘束されることを望まないが、本発明者らは、本発明の医療用デバイスに関連する特性の有益な組み合わせが、該デバイスを作製する式(Ia)のポリマーの特定の特性に少なくとも部分的に起因すると考えている。
【0347】
本発明の好ましい実施形態により開示された生体吸収性の、本質的に放射線不透過性のステントは、例えばカテーテルを介した送達を一般に含む伝統的な用途においてみられるように、血管を一時的に治療するために使用することができる。
【0348】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される、少なくとも1つの臭素またはヨウ素置換芳香族環を有する十分量のモノマー開始物質から調製されたポリマー、例えば米国特許第6,475,477号の開示、ならびに同じ継続中で共同所有の米国特許出願第10/592,202号の開示に従って調製された放射線不透過性ジフェノール化合物から調製されるポリマーは放射線不透過性であり、当該文献両方の開示は、参照により本明細書に組み込まれる。本発明のヨウ素化および臭素化ジフェノールモノマーは、他のポリマー生体材料用の放射線不透過性、生体適合性非毒性添加剤として使用することもできる。
【0349】
本発明の臭素およびヨウ素置換芳香族モノマーは、過度の実験をすることなく本明細書で提供される指針を考慮すれば、当業者が容易に実施できる周知のヨウ素化および臭素化技術によって調製することができる。いくつかの実施形態において、本発明のハロゲン化芳香族モノマーを製造するハロゲン化芳香族化合物は、典型的には、オルト指向ハロゲン化を経て調製される。用語「オルト指向」は、フェノキシアルコール基に対するハロゲン原子の配向を示すために本明細書において使用される。
【0350】
本明細書に記載のポリマーは、ペンダント遊離カルボン酸基を有する式(III)のモノマーを重合することによって調製されるポリマーを含む。しかし、ペンダント遊離カルボン酸基を有するポリマーを、ペンダント遊離カルボン酸基を有する対応モノマーから遊離カルボン酸基とコモノマーとの交差反応なしに重合することは不可能である。したがって、ペンダント遊離カルボン酸基を有する本発明によるポリマーは、本発明のベンジルおよびtert−ブチルエステルモノマーのホモポリマーおよびコポリマーから調製される。
【0351】
ベンジルエステルホモポリマーおよびコポリマーは、同時係属中で共同所有の米国特許第6,120,491号明細書に開示されているパラジウム触媒水素化分解法によるベンジル基の選択的除去により、対応する遊離カルボン酸ホモポリマーおよびコポリマーに変換することができ、当該特許は参照により本明細書に組み込まれる。
【0352】
tert−ブチルエステルホモポリマーおよびコポリマーは、上記で参照した米国特許出願第10/592,202号明細書に開示されているアシドリシス(acidolyis)法によるtert−ブチル基の選択的除去により、対応する遊離カルボン酸ホモポリマーおよびコポリマーに変換することができ、当該特許は参照により本明細書に組み込まれる。
【0353】
重合後、本発明の好ましい実施形態によるポリマーの適切な後処理は、合成ポリマーの分野で一般的に使用されているさまざまな公知の方法のいずれかによって達成され、すべて組織適合性モノマーから誘導される有益な物理的および化学的性質を有するさまざまな有用な物品を製造することができる。有用な物品は、押出成形、圧縮成形、射出成形、溶剤キャスティング、スピンキャスティング、湿式紡糸、これらの2つ以上の組み合わせなどの従来のポリマー成形技術によって成形することができる。ポリマーから調製された成形品は、とりわけ、医療用インプラント用途のための分解可能な生体材料として有用である。このような用途としては、血管グラフトおよびステントとしての成形品の使用が挙げられる。
【0354】
本発明によるポリマーはまた、公知の方法に従って本発明のジフェノール化合物から調製することができるポリエーテル、ポリウレタン、ポリ(カルバメート)、ポリ(チオカーボネート)、ポリ(カルボジチオネート)およびポリ(チオカルバメート)を含む。
【0355】
本発明のポリマーとポリ(アルキレンオキシド)とのランダムコポリマーまたはブロックコポリマーは、米国特許第5,658,995号に開示の方法に従って調製することができ、その開示もまた参照により組み込まれる。ポリ(アルキレンオキシド)は、好ましくは、典型的には約10,000/単位未満の分子量を有するポリ(エチレングリコール)ブロック/単位である。より典型的には、ポリ(エチレングリコール)ブロック/単位は、約4000/単位未満の分子量を有する。分子量は、好ましくは約1000〜約2000/単位の間である。
【0356】
または、本発明のポリマーのブロックコポリマーは、以下の式を有するポリ(アルキレンオキシド)マクロマーを含む:
【0358】
(式中、Bは−O−((CH
2)
p−O)
q−または−O−(CH
2CH(CH
3)−O)
q−であり;
pは1〜約6、好ましくは1〜3の範囲の整数、より好ましくは2であり;
qは約5〜約3000、好ましくは約10〜約300、より好ましくは約20〜約200、さらにより好ましくは約50〜約100であり;
A
1は、
【0360】
からなる群から選択される
(式中、R
8は、結合、C
1−C
30アルキレン、C
2−C
30アルケニレン、C
2−C
30アルキニレン、C
1−C
30ヘテロアルキレン、C
2−C
30ヘテロアルケニレン、C
2−C
30ヘテロアルキニレン、C
7−C
30ヘテロアルキルアリーレン、C
8−C
30ヘテロアルケニルアリーレン、C
8−C
30ヘテロアルキニルアリーレン、C
7−C
30アルキルアリーレン、C
8−C
30アルケニルアリーレン、C
8−C
30アルキニルアリーレンおよびC
2−C
30ヘテロアリーレンから選択され、ならびにR
9およびR
10はそれぞれ独立して、H、C
1−C
30アルキル、C
1−C
30ヘテロアルキル、C
2−C
30アルケニル、C
2−C
30アルキニル、C
2−C
30ヘテロアルケニル、およびC
2−C
30ヘテロアルキニルから選択される))。
【0361】
ブロックコポリマー中のポリ(エチレングリコール)単位のモル分率は、ゼロより大きく1未満であり、典型的には包括的にゼロより大きく約0.5以下である。より好ましくは、モル分率は約0.25未満であり、さらに好ましくは約0.1未満である。より好ましいバリエーションにおいて、モル分率は、約0.001より大きく約0.08まで、最も好ましくは約0.025と約0.035の間で変化し得る。
【0362】
特に他のことが示されない限り、本明細書に報告されるモル分率は、ポリマー中のポリ(アルキレングリコール)および非グリコール単位の総モル量に基づく。
【0363】
重合後、本発明の好ましい実施形態によるポリマーの適切な後処理は、合成ポリマーの分野で一般的に使用されているさまざまな公知の方法のいずれかによって達成され、すべて組織適合性モノマーから誘導される有益な物理的および化学的性質を有するさまざまな有用な物品を製造することができる。有用な物品は、ポリマーの分解温度がガラス転移温度または結晶融解温度を上回る場合に押出および射出成形のような従来のポリマー熱成形技術によって成形することができ、または圧縮成形、射出成形、溶媒キャスティング、スピンキャスティング、湿式紡糸などの従来の非熱技術も使用することができる。2つ以上の方法の組み合わせを使用することができる。ポリマーから調製された成形品は、とりわけ、医療用インプラント用途のための分解可能な生体材料として有用である。
【0364】
当業者は、可変基の適切な選択により、上記化合物の実施形態が、デスアミノチロシルチロシン(DAT)またはヒドロキシフェニルアルケン酸などのヒドロキシフェニル−アルカン酸となり得ることを認識するであろう。式HX
3-D
1-X
4Hの化合物がジオールである場合、2つの化合物は、以下に一般的に例示するように酸触媒フィッシャーエステル化反応で反応させることができる:
【0366】
この反応は可逆的であるので、反応混合物から水を除去すると、平衡は右に移行する。水分除去は、通常、共沸蒸留によって達成されるが、当技術分野で公知の他の技術も同様に使用することができる。共沸蒸留が望ましい場合、反応に使用される溶媒は、水と共沸混合物を形成するように注意深く選択されることが好ましい。一般に、トルエン、ヘプタン、クロロホルム、テトラクロルエチレンなどの溶媒が好ましい。
【0367】
この反応の主な利点は、第1級および第2級アルコールが酸触媒下でカルボン酸とエステルを形成するが、フェノール性ヒドロキシ基はこれらの条件下では反応しないことである。したがって、3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸(DAT)および3−(3,5−ジヨード−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸(I2DAT)などの特定の化合物のカルボン酸基は第1級または第2級アルコールと反応するが、フェノール基は無傷のままである。前述の例は、上記のスキーム4に概略的に例示されており、さらに合成スキーム15に従う。
【0370】
スキーム15において、Xは上記定義のR
4aであってよい。本明細書に記載のポリマー組成物はまた、ポリエーテル、ポリエステル、ポリイミノカーボネート、ポリホスホエステルおよびポリホスファジンを含む。当業者は、本明細書で提供される指針によって知らされた慣習的な実験を用いて、これらのポリマーを調製することができる。ポリエステル(特にポリ(エステルアミド))は、米国特許第5,216,115号に開示のプロセスにより調製することができ、この開示は参照により本明細書に組み込まれ、特にこのようなプロセスを説明する目的で記載されている。ポリイミノカーボネートは、米国特許第4,980,449号に開示のプロセスにより調製することができ、この開示は参照により本明細書に組み込まれ、特にこのようなプロセスを説明する目的で記載されている。ポリエーテルは、米国特許第6,602,497号に開示のプロセスにより調製することができ、この開示は参照により本明細書に組み込まれ、特にこのようなプロセスを説明する目的で記載されている。
【0371】
医学的使用
組織適合性モノマーから好ましく誘導される、本明細書に記載のポリマー組成物のさまざまな実施形態を使用して、有益な物理的および化学的性質を有するさまざまな有用な物品を製造することができる。有用な物品は、ポリマーの分解温度がガラス転移温度または結晶融解温度を上回る場合に押出および射出成形のような従来のポリマー熱成形技術によって成形することができ、または圧縮成形、射出成形、溶媒キャスティング、スピンキャスティング、湿式紡糸などの従来の非熱技術も使用することができる。2つ以上の方法の組み合わせを使用することができる。ポリマーから調製された成形品は、とりわけ、医療用インプラント用途のための生体適合性、生分解性および/または生体吸収性の生体材料として有用である。
【0372】
一実施形態において、医療用デバイスはステントである。ステントは、多くの異なるタイプの形態を含み得ることが企図される。例えば、ステントは、拡張可能なステントであり得る。別の実施形態において、ステントは、シートステント、編組ステント、自己拡張ステント、織ステント、変形可能ステント、またはスライド−アンド−ロックステントの形態を有するように構成することもできる。ステント製造プロセスは、レーザ切断、エッチング、機械的切断、または他の方法を介してポリマーの押出シートを切断する工程、および得られた切断部分をステントに組み立てる工程などの二次元製造方法、または固体形態からのデバイスの三次元製造の方法をさらに含む。
【0373】
特定の他の実施形態において、ポリマーは、本明細書に記載のポリマーまたは金属などの別の材料のいずれかで作製された埋め込み型デバイス、特にステントの表面上のコーティングに形成される。このようなコーティングは、浸漬、スプレーコーティング、これらの組み合わせなどの技術を介してステント上に形成することができる。さらに、ステントは、少なくとも1つの繊維材料、硬化性材料、積層材料および/または織布材料から構成することができる。医療用デバイスはまた、ステントグラフトまたは塞栓療法に使用されるデバイスでもあり得る。
【0374】
本明細書に記載のポリマーの好ましい実施形態に関連する特性の非常に有益な組み合わせは、これらのポリマーが、ステント以外のさまざまな再吸収性医療用デバイス、特に、好ましくは放射線不透過性、生体適合性であり、さまざまな生体再吸収時間を有する埋め込み型医療用デバイスの製造における使用に十分適していることを意味する。例えば、ポリマーは、他の医療システム、例えば、筋骨格系または整形外科系(例えば、腱、靭帯、骨、軟骨骨格、平滑筋);神経系(例えば、脊髄、脳、眼、内耳);呼吸器系(例えば、鼻腔および鼻洞、気管、喉頭、肺);生殖器系(例えば、男性または女性の生殖器系);泌尿器系(例えば、腎臓、膀胱、尿道、尿管);消化器系(例えば、口腔、歯、唾液腺、咽頭、食道、胃、小腸、結腸);外分泌機能(胆道、胆嚢、肝臓、虫垂、直腸肛門管);内分泌系(例えば、膵臓/膵島、脳下垂体、副甲状腺、甲状腺、副腎および松果体);造血系(例えば、血液および骨髄、リンパ節、脾臓、胸腺、リンパ管)ならびに外被系(例えば、皮膚、毛髪、爪、汗腺、皮脂腺)に使用するための、治療剤を含む、および含まない再吸収性の埋め込み型デバイス、治療剤を含む、および含まないデバイス構成要素および/またはコーティングへの使用に適切である。
【0375】
したがって、本明細書に記載のポリマーは、創傷閉鎖デバイス、ヘルニア修復メッシュ、胃ラップバンド、薬物送達インプラント、心臓デバイスの埋め込み用エンベロープ、他の心臓血管用途用のデバイス、胆道ステントなどの非心臓血管ステント、食道ステント、膣ステント、肺−気管/気管支ステントなどの製造に使用することができる。
【0376】
さらに、再吸収性ポリマーは、埋め込み型の放射線不透過性ディスク、プラグ、および癌組織の切除および臓器切除などの組織切除の領域を追跡するために使用される他のデバイス、ならびに創傷閉鎖、組織の骨および/または軟骨への付着、出血(ホメオスタシス)の停止、卵管結紮、外科的癒着防止などへの使用に適したステープルおよびクリップの製造における使用に適している。出願人はまた、本明細書に記載のポリマーの好ましい実施形態が、医療用デバイス、特に埋め込み型医療用デバイス用のさまざまなコーティングの製造における使用に適していることを認識した。
【0377】
さらに、いくつかの好ましい実施形態において、本ポリマーは、前十字靭帯(ACL)、回旋腱板/回旋筋カップ(rotator cup)、および他の骨格変形の補正、予防、再建および修復を含む用途における使用のための、例えば、放射線不透過性生分解性スクリュー(干渉スクリュー)、放射線不透過性生分解性縫合アンカーなどを含むさまざまな再吸収性矯正装置の製造に有利に使用することができる。
【0378】
本明細書に記載のポリマーの好ましい実施形態から有利に形成され得る他のデバイスとしては、組織工学で使用するためのデバイスが挙げられる。適切な再吸収可能なデバイスの例としては、組織工学の足場および移植片(例えば、血管移植片、神経再生に使用される移植片またはインプラント)が挙げられる。再吸収性ポリマーはまた、内傷の閉鎖に使用するための有効なさまざまなデバイスを形成するために使用することができる。例えば、さまざまな外科手術、美容用途、および心臓創傷閉鎖に使用するための生分解性の再吸収性の縫合糸、クリップ、ステープル、有刺またはメッシュ縫合糸、埋め込み型臓器支持体などを形成することができる。
【0379】
歯科用に有用なさまざまなデバイスは、本明細書に記載の実施形態に従って有利に形成することができる。例えば、ガイドされた組織再生、義歯装着者の歯槽堤置換、および上顎−顔面骨の再生のためのデバイスは、外科医または歯科医が、このようなインプラントの配置および連続機能を単純なX線イメージングによって確認できるように、放射線不透過性であることにより利益を得ることができる。
【0380】
本明細書に記載のポリマーの好ましい実施形態はまた、腫瘍および血管奇形、例えば子宮筋腫、腫瘍を治療するための一時的および治療的な制限または血液供給の遮断(すなわち、化学塞栓療法)、出血(例えば、出血を伴う外傷時)および動静脈奇形、瘻孔および動脈瘤のための、カテーテルまたはシリンジを用いて送達される生体吸収性の本質的に放射線不透過性のポリマー性動脈塞栓療法製品の製造にも有用である。本明細書に記載のポリマーが使用され得る塞栓療法製品および製造方法の詳細は、米国特許出願公開第20050106119号に開示され、特にこのような製品および方法を説明する目的でその開示が参照により組み込まれる。塞栓療法治療法は、その性質により全身性ではなく局所的なものであり、製品は、送達および治療の蛍光透視による監視を可能にするために、本明細書に記載の放射線不透過性ポリマーから製造されることが好ましい。
【0381】
本明細書に記載のポリマーは、広範な種類の治療剤送達デバイスの製造においてさらに有用である。このようなデバイスは、例えば、医薬品(すなわち、薬物)を含む治療剤、および/または生体分子、遺伝物質、および処理された生物学的物質などを含む先に定義された生物剤とともに使用するように適合されてもよい。癌、血管内の問題、歯の問題、肥満、感染症などの治療における治療薬送達のためのデバイスを含む、治療剤を身体に送達することができる任意の数の輸送系を作製することができる。
【0382】
ポリマー材料を含む医療用デバイスは、意図された用途に応じて、1または複数の追加の成分、例えば、可塑剤、充填剤、結晶化核形成剤、防腐剤、安定剤、光活性化剤などを含むことができる。例えば、一実施形態において、医療用デバイスは、有効量の少なくとも1種の治療剤および/または磁気共鳴増強剤を含む。好ましい治療剤の非限定的な例としては、化学療法剤、非ステロイド系抗炎症剤、ステロイド系抗炎症剤、および創傷治癒剤が挙げられる。治療剤は、ポリマー材料と同時投与することができる。好ましい実施形態において、治療剤の少なくとも一部は、ポリマー材料内に含有される。別の実施形態において、治療剤の少なくとも一部は、医療用デバイスの表面のコーティング内に含有される。
【0383】
好ましい化学療法剤の非限定的な例としては、タキサン、タキシニン、タキソール、パクリタキセル、ジオキソルビシン、シスプラチン、アドリアマイシンおよびブレオマイシンが挙げられる。好ましい非ステロイド系抗炎症化合物の非限定的な例としては、アスピリン、デキサメタゾン、イブプロフェン、ナプロキセン、およびCox−2阻害剤(例えば、ロフェコキシブ(Rofexcoxib)、セレコキシブおよびバルデコキシブ)が挙げられる。好ましいステロイド系抗炎症化合物の非限定的な例としては、デキサメタゾン、ベクロメタゾン、ヒドロコルチゾン、およびプレドニゾンが挙げられる。1または複数の治療剤を含む混合物を使用してもよい。好ましい磁気共鳴増強剤の非限定的な例としては、炭酸ガドリニウム、酸化ガドリニウム、塩化ガドリニウム、およびこれらの混合物などのガドリニウム塩が挙げられる。
【0384】
医療用デバイス中に存在する追加の成分の量は、好ましくは、意図される用途に有効であるように選択される。例えば、治療剤は、好ましくは、医療用デバイスが投与または埋め込まれた患者において所望の治療効果を達成するのに有効な量で医療用デバイス中に存在する。このような量は、日常的な実験によって決定することができる。特定の実施形態において、所望の治療効果は生物学的応答である。一実施形態において、医療用デバイス内の治療剤は、少なくとも1つの生物学的応答、好ましくは血栓症、細胞接着、細胞増殖、炎症細胞の誘引、マトリックスタンパク質の沈着、血栓症の阻害、細胞接着の阻害、細胞増殖の阻害、炎症細胞の阻害、およびマトリックスタンパク質の沈着の阻害からなる群から選択される生物学的応答を促進するように選択される。医療用デバイス中の磁気共鳴増強剤の量は、放射線イメージングを容易にするのに有効な量であることが好ましく、日常的な実験によって決定することができる。
【0385】
本明細書で使用する用語「医薬品」は、特定の生理的(代謝)反応を刺激する疾患の緩和、治療または予防を意図した物質を包含する。本明細書で使用される用語「生物学的薬剤」は、生体系において構造的および/または機能的活性を保有する任意の物質を包含し、限定するものではないが、臓器、組織または細胞に基づく誘導体、細胞、ウイルス、ベクター、天然、および組換えおよび合成起源の、任意の配列およびサイズの核酸(動物、植物、微生物およびウイルス)、抗体、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、cDNA、癌遺伝子、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、リポタンパク質、糖タンパク質、脂質、炭水化物、多糖類、脂質、リポソーム、または他の細胞成分もしくは細胞小器官、例えば受容体およびリガンドが挙げられる。さらに、本明細書で使用される用語「生物学的薬剤」は、ウイルス、血清、毒素、抗毒素、ワクチン、血液、血液成分または誘導体、アレルゲン産物もしくは類似の産物、またはアルスフェナミンまたはヒトの疾患または損傷を予防、治療もしくは治癒に適用可能なその誘導体(または任意の3価有機ヒ素化合物)(公衆衛生法(42USC262(a))のセクション351(a)に基づく)。さらに、用語「生物学的薬剤」は、1)本明細書で使用される「生体分子」、天然または組換えの生物、抗体、組織または細胞株より産生され、精製された生物学的に活性なペプチド、タンパク質、炭水化物、ビタミン、脂質、もしくは核酸またはこのような分子の合成類似体を包含する;2)本明細書において使用される「遺伝物質」、核酸(デオキシリボ核酸(DNA)またはリボ核酸(RNA)のいずれか)、遺伝要素、遺伝子、因子、対立遺伝子、オペロン、構造遺伝子、調節遺伝子、オペレータ遺伝子、遺伝子相補体、ゲノム、遺伝コード、コドン、アンチコドン、メッセンジャーRNA(mRNA)、トランスファーRNA(tRNA)、リボソーム染色体外遺伝要素、細胞質遺伝子、プラスミド、トランスポゾン、遺伝子突然変異、遺伝子配列、エクソン、イントロンを包含する;および3)本明細書で使用される「処理された生物製剤」、操作された細胞、組織または器官など、を含むことができる。治療剤としてはまた、ビタミンまたはミネラル物質または他の天然成分を挙げることができる。
【0386】
血管系内に配置されたデバイス、例えばステントの場合、治療剤の量は、好ましくは、再狭窄または血栓症を抑制するために、またはステント留置された組織の他の状態に影響を及ぼす、例えば不安定プラークの治癒および/または破裂の予防、内皮化の刺激に十分な量である。(1または複数種の)薬剤は、本発明の好ましい実施形態に従って、抗増殖剤、抗炎症剤、抗マトリックスメタロプロテイナーゼ、および脂質低下剤、コレステロール改変剤、抗血栓剤および抗血小板剤からなる群から選択することができる。ステントのいくつかの好ましい実施形態において、治療剤は、該薬剤がポリマーと混合されるか、または当業者に公知の他の手段によって混合され、ステント内に含まれる。ステントの他の好ましい実施形態において、治療剤は、ステント表面上のポリマーコーティングから送達される。別の好ましい変形において、治療剤はポリマーコーティングを用いずに送達される。ステントの他の好ましい実施形態において、治療剤は、ステントの少なくとも1つの領域または1つの表面から送達される。治療剤は、ステントの少なくとも一部分において治療剤の送達に使用されるポリマーまたは担体に化学的に結合されてもよく、および/または治療剤は、ステント本体の少なくとも一部を構成するポリマーに化学的に結合されてもよい。好ましい一実施形態において、複数の治療剤を送達することができる。
【0387】
特定の実施形態において、本明細書に記載された前述のデバイスのいずれかは、(その任意の他の機能性に加えて)治療薬送達デバイスとしての使用に適合させることができる。治療剤、例えば生物学的または医薬として活性および/または受動的な薬剤が、ポリマーマトリックス内に物理的に包埋もしくは分散されているか、または本明細書に記載のポリマーと物理的に混合された、制御された治療薬送達システムを調製することができる。制御された治療剤送達システムはまた、生体吸収性ステントデバイス(本明細書に記載のポリマーの少なくとも1つを含む)のような埋め込み型医療用デバイスの表面に、コーティングとしてこれらポリマーを使用することなく治療薬を直接適用することによって、またはコーティングのための他のポリマーまたは物質の使用によって調製することができる。
【0388】
さらに治療剤送達化合物が、送達されるべき治療剤を、当業者に周知の従来の技術を用いて本明細書に記載のポリマーと物理的にブレンドすることによって形成することができる。この治療剤送達の実施形態について、ポリマーが治療剤の共有結合のためのペンダント基を有することは必須ではない。
【0389】
治療剤を含有する本明細書に記載のポリマー組成物は、それらがポリマーコンジュゲートの形態であるかポリマーと治療剤の物理的混合物の形態であるかにかかわらず、局所送達が望ましい用途、ならびに全身送達が望ましい状況に適している。ポリマーコンジュゲートおよび物理的混合物は、本質的に慣用であり当業者に周知の手順によって、それを必要とする患者の体内に埋め込むことができる。
【0390】
ポリアリレートはまた、予測可能な制御放出時間内に薬理学的または生物学的に活性な薬剤を放出するように分解する薬物送達インプラントに形成することができる。このような制御された薬物送達システムは、ペンダント側鎖としてポリマー鎖に活性薬剤を組み込むことによって、またはペンダント側鎖を架橋して、活性剤が物理的に埋め込まれた、または分散されたポリマーマトリックスを形成することによって調製することができる。制御された薬物送達システムインプラントは、ポリアリレートを生物学的または薬理学的に活性な薬剤と物理的に混合することによっても形成することができる。前述の手順は、本質的に従来のものであり、当業者に周知である。
【0391】
生物学的または薬理学的に活性な薬剤がポリマーマトリックス中に物理的に埋め込まれた、もしくは分散されているか、またはポリアリレート、と物理的に混合されている制御された薬物送達システムについては、適切な生物学的もしくは薬理学的活性薬剤は、原則として、長期にわたって繰り返し投与されなければならない任意の活性薬剤を含む。
【0392】
本明細書に記載の放射線不透過性の生体吸収性ポリマーを治療剤送達用途に使用する利点は、治療剤の放出のモニタリングの容易性および埋め込み型治療薬送達システムの存在である。ポリマーマトリックスの放射線不透過性は、共有結合したハロゲン置換基に起因するため、放射線不透過性のレベルは、埋め込み後の任意の所与の時点でインプラント部位に依然として存在する分解性治療剤送達マトリックスの残量に直接関係する。好ましい実施形態において、分解性治療薬送達システムからの治療薬放出速度は、ポリマー再吸収速速度と相関する。このような好ましい実施形態において、放射線不透過性の残存度の直接的定量測定により、担当医に、埋め込まれた治療薬送達システムからの治療薬放出のレベルをモニターする方法が提供される。
【0393】
本明細書の以下の非限定的な実施例は、本発明の特定の態様を例示する。特に他のことが示されない限り、すべての部およびパーセンテージはモルパーセントであり、特に他のことが示されない限り、すべての温度は摂氏温度である。すべての溶媒はHPLCグレードであり、他のすべての試薬は、分析グレードであり、特に他のことが示されない限り、受け取ったまま使用した。
【0394】
実施例
すべての試薬は市販の供給源から純粋な形態で購入し、受け取ったまま使用した。溶媒は「HPLC」または「ACS試薬」グレードであった。
【0395】
概して、ジフェノールモノマーを、溶媒のクロロホルムまたは1,2−ジクロロエタン中の触媒量の4−トルエンスルホン酸と共に還流することによって、チロソールとフェノール酸(例えば、デスアミノチロシン、3,5−ジヨードデスアミノチロシンまたはジカルボン酸(0.5当量))とのフィッシャーエステル化によって調製した。改変ディーン・スターク・トラップを使用して、形成された水を除去した。純粋な形態または適切な混合物としてのジフェノールモノマーを、トリホスゲンを用いて対応するポリカーボネートに重合させた。ポリマーをフィルムに圧縮成形した。フィルムの機械的特性を試験したところ、全体として高いモジュラス、引張強度および破断伸びを示した。さらなる詳細を、以下に提供する。
【0396】
[実施例1A]
4−ヒドロキシフェネチル3−(4−ヒドロキシフェニル)プロパノエート(DTy)および関連するジフェノールモノマーの合成
オーバーヘッドスターラ、および水より重質の溶媒のための改変ディーン・スターク・トラップを備えた500mLの丸底フラスコに、10g(72mmol)のチロソール、13g(78mmol)のデスアミノチロシン(DAT)、0.65g(3.4mmol)の4−トルエンスルホン酸一水和物、および200mLの1,2−ジクロロエタン(DCE)を添加した。水冷還流冷却器を改変ディーン・スターク・トラップの上に置き、フラスコの内容物を撹拌しながら加熱還流した。反応は、DCEより上の改変ディーン・スターク・トラップに約1.4mLの水が回収され、水の回収が本質的に停止するまで続けた(約4時間の還流)。反応混合物を室温に冷却し、粗生成物が灰白色結晶性固体として沈殿したら、これを100mLの酢酸エチルに溶解し、100mLずつ5%重炭酸ナトリウム溶液で2回洗浄した。硫酸マグネシウムで脱水した後、有機層を濃縮し、ヘキサンで沈殿させた。得られた白色結晶性固体を濾過により回収し、25℃の真空オーブン中で乾燥させた。生成物を、元素分析、HPLC、および
1H NMRによって特徴付けた。
【0398】
同様の手順を用いて、4’−(ヒドロキシフェネチル)−4−ヒドロキシフェニルアセテート(HPTy、L
1=L
4=結合、m=2、n=1、y1=y2=0である式(V)の化合物)を、デスアミノチロシンを4−ヒドロキシフェニル酢酸で置換することによって調製した。生成物を、hplcおよび
1H NMRによって特徴付けられた。
【0400】
同様の手順を用いて、4−ヒドロキシフェネチル2−(4−ヒドロキシフェノキシ)アセテート(L
1=結合、L
4=−O−、m=2、n=1、y1=y2=0である式(V)の化合物)を、デスアミノチロシンを2−(4−ヒドロキシフェノキシ)酢酸で置換することによって調製した。同様の結果が得られる。
【0402】
類似の手順を用いて、下記の構造(Z=−NH−C(O)−CH
3、X
1=1、y1=2、y2=0である式(VI)の化合物)を有するモノマーを、N−アセチルチロシンが1,2−ジクロロエタンよりも可溶性である溶媒または溶媒混合物を使用して、N−アセチルチロシンとジヨードチロソールとを反応させることによって調製した。同様の結果が得られる。
【0404】
類似の手順を用いて、下記の構造(Z=−NH−C(O)−CH
3、y1=y2=0である式(VI)の化合物)を有するモノマーを、N−アセチルチロシンが1,2−ジクロロエタンよりも可溶性である溶媒または溶媒混合物を使用して、N−アセチルチロシンとチロソールとを反応させることによって調製した。同様の結果が得られる。
【0406】
[実施例1B]
4−ヒドロキシ安息香酸(チロシル(4−ヒドロキシ−ベンゾエート)、BTy)のチロソールエステルの合成
ディーン・スターク・トラップおよびオーバーヘッドスターラを備えた250mLの丸底フラスコに、69.0g(0.5mol)のヒドロキシ安息香酸、66.3g(0.49mol)のチロソールおよび0.2gのSb
2O
3を添加する。フラスコを、オーバーヘッドスターラで撹拌しながら210℃に維持した油浴中で加熱する。固体混合物は溶融して透明液体となり、反応水は蒸留され、ディーン・スターク・トラップに回収される。水が止まると反応が停止した。反応混合物を室温に冷却した。固体の
1H NMRスペクトルは構造と一致する。生成物を再結晶により精製する。
【0408】
[実施例2A]
4−ヒドロキシフェネチル3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジヨードフェニル)−プロパノエート(I
2DTy)および関連化合物の合成
オーバーヘッドスターラ、および水より重質の溶媒のための改変ディーン・スターク・トラップを備えた500mLの丸底フラスコに、34.5g(0.250mol)のチロソール、102g(0.244mol)の3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジヨードフェニル)プロパン酸(I
2DAT)、4.76g(0.025mol)の4−トルエンスルホン酸一水和物、および500mLのDCEを添加した。水冷還流冷却器を改変ディーン・スターク・トラップの上に置き、フラスコの内容物を撹拌しながら加熱還流した。反応は、DCEより上の改変ディーン・スターク・トラップに約4.8mLの水が回収され、水の回収が本質的に停止するまで続けた。反応混合物を室温に冷却させ、粗生成物が灰白色の結晶として沈殿したらこれを乾燥させ、次いで350mLのテトラヒドロフラン(thf)に溶解した。この溶液に、1Lの5%重炭酸ナトリウム水溶液を撹拌しながら加え、10分間撹拌した後、層分離するまで放置した。最上層を除去し、廃棄した。底層を、500mLずつ5%重炭酸ナトリウム水溶液で2回洗浄した。I
2DTyは白色の結晶性固体として沈殿した。これを濾過により単離し、3×50mLの脱イオン水で洗浄した。生成物を真空下、40℃において24時間乾燥させ、元素分析、HPLC、および
1H NMRによって特徴付けた。
【0410】
同様の手順を用いて、4’−ヒドロキシフェネチル−2−(4−ヒドロキシ−3,5−ジヨードフェニル)アセテート(I
2HPTy)を、I
2DATを2−(4−ヒドロキシ−3−5−ジヨードフェニル)酢酸に置換することによって調製し、hplcおよび
1H NMRにより特徴付けた。
【0412】
同様の手順を用いて、4’−ヒドロキシ−3’、5’−ジヨードフェネチル−2−(4−ヒドロキシ−3,5−ジヨードフェニル)プロパノエートを、チロソールを4−(2−ヒドロキシエチル)−2,6−ジヨードフェノールに置換することによって調製した。
【0414】
[実施例2B]
3’、5’−ジヨードチロシル3,5−ジヨード(4−ヒドロキシベンゾエート)、(I4BTy)の合成
上記のように、ハロゲン化前駆体の反応による、ヒドロキシ安息香酸を含むハロゲン化ジフェノールモノマーの調製は、反応中のハロゲン損失のために問題がある。したがって、ハロゲン化反応において非ハロゲン化ジフェノールHBA−チロソールエステル前駆体を使用することにより、多重ハロゲン化モノマーが調製される。実施例1Bで調製したチロシル(4−ヒドロキシベンゾエート)、(BTy)を用いてもよい。
【0415】
方法1:チロシル(4−ヒドロキシベンゾエート)(64.6g、0.25mol)を95%エタノール250mLと共に加熱し、N
2雰囲気下で、オーバーヘッドスターラを備えた1Lの丸底フラスコ中で還流した。固体を部分的に溶解させ、懸濁液にヨウ素139.7g(0.55mol)を加えた。滴下漏斗を通して440mLの脱イオン水に溶解した39g(0.07mol)のヨウ素酸カリウムを反応混合物に15分間かけて添加した。反応混合物を激しく撹拌しながら2時間加熱還流した。次いで、反応混合物を室温に冷却した。ピンク色の沈殿物を濾過により単離し、10%Na
2S
2O
3溶液で洗浄した後、水で洗浄した。生成物を真空オーブン中で40℃において乾燥させた。生成物を再結晶により精製した。生成物を、
1H NMR、HPLC、および元素分析によって特徴付けた。
【0417】
方法2:500mLのフラスコ中で、17.1gのチロシル(4−ヒドロキシベンゾエート)、34gのヨウ素、100mLの95%エタノール、および9mLの硫酸の混合物をマグネチックスターラで撹拌し、水浴を用いて60℃に加熱した。これに21mLの30%H
2O
2水溶液を、滴下漏斗を用いて30分かけて添加した。30分間撹拌した後、混合物を冷却し、撹拌しながら400mLの水に加えた。沈殿物を濾過によって単離し、100mLずつ酢酸で2回、次いで100mLずつアセトンで2回洗浄した。生成物を真空オーブン中で40℃において乾燥させた。これを、
1H NMR、HPLC、および元素分析によって特徴付けた。
【0418】
[実施例3]
ジチロシルスクシネートの合成
オーバーヘッドスターラ、および水より重質の溶媒のための改変ディーン・スターク・トラップを備えた500mLの丸底フラスコに、25.0g(0.181mol)のチロソール、9.56g(0.088mol)のコハク酸、3.44g(18.1mmol)の4−トルエンスルホン酸一水和物、および200mLのDCEを添加した。水冷還流冷却器を改変ディーン・スターク・トラップの上に置き、フラスコの内容物を撹拌しながら加熱還流した。反応は、DCEより上の改変ディーン・スターク・トラップに約3.2mLの水が回収され、水の回収が本質的に停止するまで続けた。反応混合物を室温に冷却し、撹拌を続けた。沈殿した生成物を濾過により単離し、2×50mLのDCEで洗浄した。
1H NMRは残留PTSAおよびチロソールを示した。精製のために、固体を、オーバーヘッドスターラを用いて150mLの5%NaHCO
3水溶液と共に3時間撹拌した。生成物を濾過により単離し、3×50mLの脱イオン水で洗浄し、次いで真空オーブン中で50℃において24時間乾燥させた。生成物を真空下、40℃において24時間乾燥させ、元素分析、HPLCおよび
1H NMR分光法によって特徴付けた。
【0420】
[実施例4]
ジチロシルオキサレートの合成
オーバーヘッドスターラ、および水より重質の溶媒のための改変ディーン・スターク・トラップを備えた500mLの丸底フラスコに、25.0g(0.181mol)のチロソール、8.00g(0.088mol)のシュウ酸、3.44g(18.1mmol)の4−トルエンスルホン酸一水和物、および200mLの1,2−DCE(ジクロロエタン)を添加した。水冷還流冷却器を改変ディーン・スターク・トラップの上に取り付け、フラスコの内容物を撹拌しながら加熱還流した。反応は、DCEより上の改変ディーン・スターク・トラップに約3.2mLの水が回収され、水の回収が本質的に停止するまで続けた。反応混合物を室温に冷却し、撹拌を続けた。沈殿した生成物を濾過により単離し、2×50mLのDCEで洗浄した。精製のために、固体を、オーバーヘッドスターラを用いて150mLの5%NaHCO3水溶液と共に3時間撹拌した。生成物を濾過により単離し、3×50mLのDI(脱イオン)水で洗浄し、次いで真空オーブン中で50℃において24時間乾燥させた。生成物を真空下、40℃において24時間乾燥させ、元素分析、HPLCおよび
1H NMR分光法によって特徴付けた。
【0422】
[実施例5]
トリホスゲンを用いたDTyとHPTyとの重合
機械的スターラおよび液体添加装置を備えた500mLの3つ首丸底フラスコに、8.0g(0.035mol)のDTy、9.5g(0.12モル)のピリジン、70mLのジクロロメタン(DCM)を入れ、15分間撹拌して透明な溶液を得た。トリホスゲン(3.6g、0.036mol)を15mLのDCMに溶解し、この溶液を2〜3時間かけて反応フラスコに導入した。添加が完了した後、100mLの水を反応混合物に添加し、5分間撹拌した。層を分離させた後、上部の水層を除去し、廃棄した。上記の洗浄を、さらに100mLずつDI水で2回繰り返した。次いで、反応混合物を120mLのIPAで沈殿させた。得られたゲルを1Lの実験用ブレンダー中で150mLずつIPAと共に2回粉砕した。生成物を真空濾過により単離し、真空オーブン中で80℃において24時間乾燥させた。このポリマーは160KdaのHPSECポリスチレン換算分子量(移動相としてTHF)を有していた。このポリマーは半結晶質であり、Tgは51℃であり、Tmは181℃であった。220℃で圧縮成形すると、急速冷却すると透明であり、ゆっくり冷却すると半透明でなフィルムが得られた。引張弾性率、降伏点引張応力および破断伸びはそれぞれ210ksi、5ksiおよび500%であった。
【0423】
同様の手順を用いて、HPTy(実施例1に従って得られたような4’−ヒドロキシフェネチル−4−ヒドロキシフェニルアセテート)を重合して、HPSECポリスチレン当量Mwが140Kda、Tgが55℃のポリ(HPTyカーボネート)を得た。
【0424】
[実施例6]
トリホスゲンを用いたI
2DTyとI
2HPTyとの重合
機械的スターラおよび制御された液体添加装置を備えた500mLの3つ首丸底フラスコに、25g(0.046mol)のI
2DTy、14.3g(0.181mol)のピリジン、200mLのDCMを入れ、15分間撹拌して透明な溶液を得た。トリホスゲン(5.1g、0.052molのホスゲン)を20mLのDCMに溶解し、この溶液を反応フラスコに2〜3時間かけて加えた。添加が完了した後、250mLの水を反応混合物に添加し、5分間撹拌した。層を分離させた後、上部の水層を除去し、廃棄した。洗浄を、さらに250mLずつDI水で2回繰り返した。次いで、反応混合物を350mLのIPAで沈殿させた。得られたゲルを1Lの実験用ブレンダー中で200mLずつIPAと共に2回粉砕した。生成物を真空濾過により単離し、真空オーブン中で80℃において24時間乾燥させた。このポリマーは、HPSECポリスチレン換算分子量176Kda(移動相としてTHF)およびガラス転移温度(Tg)112℃を有していた。205℃での圧縮成形により均一な透明フィルムを得、引張弾性率、降伏点引張応力および破断伸びがそれぞれ230ksi、9.2ksiおよび220%を示した。同様の手順を用いて、(実施例2に従って得られた)I
2HPTyを重合して、ポリ(I
2HPTyカーボネート)を得た。
【0425】
[実施例7]
ポリ(I
2DTy−co−10重量%PEG2Kカーボネート)の調製
機械的スターラおよび液体添加装置を備えた250mLの3つ首丸底フラスコに、9.0g(0.017mol)のI
2DTy、1.01gのPEG2000、5.4g(0.068mol)のピリジン、および65mLのDCMを入れ、15分間撹拌して透明な溶液を得た。トリホスゲン(2.0g、0.020mol)を10mLのDCMに溶解し、この溶液を2〜3時間かけて反応フラスコに導入した。添加が完了した後、100mLの水を反応混合物に添加し、5分間撹拌した。層を分離させた後、上部の水層を除去し、廃棄した。洗浄を、さらに100mLずつDI水で2回繰り返した。次いで、反応混合物を100mLのIPAで沈殿させた。得られたゲルを1Lの実験用ブレンダー中で150mLずつIPAと共に2回粉砕した。生成物を真空濾過により単離し、真空オーブン中で50℃において乾燥させた。このポリマーは、HPSECポリスチレン換算分子量250Kda(移動相としてTHF)およびガラス転移温度(Tg)64℃を有し、205℃における圧縮成形により透明なフィルムを得た。降伏点引張応力、引張弾性率および破断伸びはそれぞれ7.1ksi、235ksiおよび350%であった。
【0426】
[実施例8]
ポリ(I
2DTy−co−5重量%PEG2Kカーボネート)の調製
機械的スターラおよび液体添加装置を備えた250mLの3つ首丸底フラスコに、10g(0.019mol)のI
2DTy、0.535gのPEG2000、5.9ml(0.073mol)のピリジン、および62mLのDCMを入れ、15分間撹拌して透明な溶液を得た。トリホスゲン(2.1g、0.021molのホスゲン)を10mLのDCMに溶解し、この溶液を2〜3時間かけて反応フラスコに導入した。添加が完了した後、100mLの水を反応混合物に添加し、5分間撹拌した。層を分離させた後、上部の水層を除去し、廃棄した。洗浄を、さらに100mLずつDI水で2回繰り返した。次いで、反応混合物を100mLのIPAで沈殿させた。得られたゲルを1Lの実験用ブレンダー中で150mLずつIPAと共に2回粉砕した。生成物を真空濾過により単離し、真空オーブン中で50℃において乾燥させた。このポリマーはHPSECポリスチレン換算分子量200Kda(移動相としてTHF)およびガラス転移温度(Tg)84℃を有した。205℃での圧縮成形により均一な透明フィルムを得、引張弾性率、降伏点引張応力および破断伸びがそれぞれ232ksi、8.2ksiおよび70%を示した。
【0427】
[実施例9]
ポリ(I
2DTy−co−10重量%PTMC5Kカーボネート)の調製
機械的スターラおよび液体添加装置を備えた250mLの3つ首丸底フラスコに、9.0g(0.017mol)のI
2DTy、1.00gのMnが5000のポリ(トリメチレンカーボネート)(PTMC5K)、5.5ml(0.068mol)のピリジン、および65mLのDCMを入れ、15分間撹拌して透明な溶液を得た。トリホスゲン(1.9g、0.019molのホスゲン)を10mLのDCMに溶解し、この溶液を2〜3時間かけて反応フラスコに導入した。添加が完了した後、100mLの水を反応混合物に添加し、5分間撹拌した。層を分離させた後、上部の水層を除去し、廃棄した。洗浄を、さらに100mLずつDI水で2回繰り返した。次いで、反応混合物を100mLのIPAで沈殿させた。得られたゲルを1Lの実験用ブレンダー中で150mLずつIPAと共に2回粉砕した。生成物を真空濾過により単離し、真空オーブン中で50℃において乾燥させた。このポリマーは、HPSECポリスチレン換算分子量250Kda(移動相としてTHF)およびガラス転移温度(Tg)101℃を有した。205℃での圧縮成形により均一な透明フィルムを得、引張弾性率、降伏点引張応力および破断伸びがそれぞれ201ksi、7.4ksiおよび120%を示した。
【0428】
[実施例10]
ポリ(I
2DTy−co−5重量%PTMC5Kカーボネート)の調製
機械的スターラおよび液体添加装置を備えた250mLの3つ首丸底フラスコに、10g(0.019mol)のI
2DTy、0.53gのPTMC5K、5.9ml(0.073mol)のピリジン、および65mLのDCMを入れ、15分間撹拌して透明な溶液を得た。トリホスゲン(2.1g、0.021molのホスゲン)を10mLのDCMに溶解し、この溶液を2〜3時間かけて反応フラスコに導入した。添加が完了した後、100mLの水を反応混合物に添加し、5分間撹拌した。層を分離させた後、上部の水層を除去し、廃棄した。洗浄を、さらに100mLずつDI水で2回繰り返した。次いで、反応混合物を100mLのIPAで沈殿させた。得られたゲルを1Lの実験用ブレンダー中で150mLずつIPAと共に2回粉砕した。生成物を真空濾過により単離し、真空オーブン中で50℃において乾燥させた。ポリマーは、HPSECポリスチレン換算分子量225Kda(移動相としてTHF)およびガラス転移温度(Tg)106℃を有した。205℃での圧縮成形により均一な透明フィルムを得、引張弾性率、降伏点引張応力および破断伸びがそれぞれ266ksi、8.4ksiおよび185%を示した。
【0429】
[実施例11]
1,3−プロパンジオールとI
2DAT(PrD−ジI2DAT)とのジエステルの合成
オーバーヘッドスターラ、ディーン・スターク・トラップおよび温度計を備えた500mLの丸底フラスコに、3.04g(0.040mol)の1,3−プロパンジオール、33.8g(0.081mol)の3,5−ジヨードデスアミノチロシルチロシンエチルエステル(I
2DAT)、0.76g(4.0mmol)のp−トルエンスルホン酸、および200mLの1,2−ジクロロエタンを添加した。フラスコを、オーバーヘッドスターラで撹拌しながら加熱マントルを用いて、1,2−ジクロロエタンおよび水がディーン・スターク・トラップに蒸留されるよう加熱した。水の回収が停止するまで加熱を続けた(約1.45mLの水を回収した)。反応混合物を50℃に冷却し、次いで蒸発乾固させた。残留物にアセトニトリル175mLを加え、室温で4時間撹拌した。分離した結晶性固体を濾過により単離し、アセトニトリルで洗浄した。灰白色の粗生成物を回収し、乾燥させた。
【0430】
上記で得られた粗製PrD−ジI2DAT(HPLCにより純度98%)を、200rpmのオーバーヘッドスターラを用いて175mLのアセトニトリルと共に4時間撹拌した。生成物はほぼ無色の粉末として沈殿し、HPLCにより約98〜99%の純度を示した。さらなる精製のために、生成物をアセトニトリル(10mL/g)に溶解し、Norit(10mgのNorit/生成物1g)と共に撹拌した。熱い溶液を濾過してNoritを除去し、次いで再結晶のために氷水浴で冷却し、無色の粉末が得られ(HPLCにより純度>99.5%)。生成物を真空オーブン中で40℃において乾燥させた。生成物は融点が88℃(DSCによる)であり、元素分析および
1H NMRスペクトルは構造と一致していた。シリカゲルカラムクロマトグラフィーによりさらに精製することができる。
【0431】
[実施例12]
ポリ(PrD−ジI
2DAT−co−10重量%チロソールカーボネート)の調製
機械的スターラおよび液体添加装置を備えた1Lの3つ首丸底フラスコに、25g(0.029mol)のPrD−ジI
2DAT、2.78g(0.020mol)のチロソール、15.4ml(0.19mol)のピリジン、および170mLのDCMを入れ、15分間撹拌して透明な溶液を得た。トリホスゲン(5.4g、0.055molのホスゲン)を20mLのDCMに溶解し、この溶液を2〜3時間かけて反応フラスコに導入した。添加が完了した後、200mLの水を反応混合物に添加し、5分間撹拌した。層を分離させた後、上部の水層を除去し、廃棄した。洗浄を、さらに200mLずつDI水で2回繰り返した。次いで、反応混合物を300mLのIPAで沈殿させた。得られたゲルを1Lの実験用ブレンダー中で200mLずつIPAと共に2回粉砕した。生成物を真空濾過により単離し、真空オーブン中で80℃において乾燥させた。ポリマーは、HPSECポリスチレン換算分子量200Kda(移動相としてTHF)およびガラス転移温度(Tg)90℃を有した。ポリマーの
1H NMRスペクトルは構造と一致した。205℃での圧縮成形により均一な透明フィルムを得、引張弾性率、降伏点引張応力(σ)および破断伸びがそれぞれ260ksi、9.7ksiおよび220%を示した。同様の手順を用いて、5%および15%のチロソールとのコポリマーを以下のように調製した:
【0433】
当業者には理解されるように、トリホスゲンは反応物質PrD−ジI
2DATとチロソールとの混合物にゆっくりと添加されるので、ポリ(PrD−ジI
2DAT−co−チロソールカーボネート)生成物は主としてカーボネート(−OC(O)O−)リンカーを介して連結されたランダムな順序のPrD−ジI
2DATおよびチロソール単位を有するポリマー分子で構成される。すなわち、隣接する2つの単位は、PrD−ジI
2DATとPrD−ジI
2DAT、PrD−ジI
2DATとチロソール、またはチロソールとチロソールを含むことができる。チロソールの非対称構造を考えると、「ヘッド」(すなわち、「フェノキシ」部分)または「テール」(すなわち、「エチレンオキシ」部分)のいずれかを用いて、PrD−ジI
2DAT単位と連結させることができる。チロソール自体から形成される任意の2つの隣接する単位は、「ヘッド−ヘッド」、「ヘッド−テール」または「テール−テール」のいずれかの配置にすることができる。この実施例では、理論に拘束されことを意図するものではないが、PrD−ジI
2DATがモル過剰で使用されたので、ポリマー分子は、互いに連結した「チロソール−カーボネート−チロール」単位の長いストリングを大量に含有しないと思われる。一方、反応混合物中のPrD−ジI
2DATに対してチロソールの過剰量が多い場合、チロソールは互いに連結する機会がより多く、このような連結の比較的長いストリングを得ると思われる。
【0434】
[実施例13]
ポリ(チロソールカーボネート)
機械的スターラおよび液体添加装置を備えた500mLの3つ首丸底フラスコに、10g(0.073mol)のチロソール、24ml(0.298mol)のピリジン、200mLのDCMを入れ、15分間撹拌して透明な溶液を得た。トリホスゲン(7.7g、0.078molのホスゲン)を25mLのDCMに溶解し、この溶液を2〜3時間かけて反応フラスコに導入した。添加が完了した後、250mLの水を反応混合物に添加し、5分間撹拌した。層を分離させた後、上部の水層を除去し、廃棄した。洗浄を、さらに250mLずつDI水で2回繰り返した。次いで、反応混合物を300mLのIPAで沈殿させた。得られたゲルを1Lの実験用ブレンダー中で200mLずつIPAと共に2回粉砕した。生成物を真空濾過により単離し、真空オーブン中で60℃において乾燥させた。このポリマーは、HPSECポリスチレン換算分子量126Kda(移動相としてTHF)およびガラス転移温度(Tg)58℃を有した。195℃での圧縮成形により均一な透明フィルムを得、引張弾性率、降伏点引張応力および破断伸びがそれぞれ191ksi、5ksiおよび450%を示した。
【0435】
[実施例14]
低分子量ポリ(炭酸チロソール)
機械的スターラおよび液体添加装置を備えた250mLの3つ首丸底フラスコに、10g(0.073mol)のチロソール、22ml(0.277mol)のピリジン、60mLのDCMを入れ、15分間撹拌して透明な溶液を得た。トリホスゲン(7.0g、0.071molのホスゲン)を25mLのDCMに溶解し、この溶液を2〜3時間かけて反応フラスコに導入した。添加が完了した後、100mLの0.2MのHCl水溶液を反応混合物に添加し、5分間撹拌した。層を分離させた後、上部の水層を除去し、廃棄した。洗浄を、さらに100mLずつ0.2MのHCl水溶液で3回繰り返した。次いで、反応混合物を無水硫酸マグネシウムで脱水し、次いで100mLのヘキサンで沈殿させた。得られた粘稠な油を、生成物が固化して白色固体になるまで200mLの新鮮なヘキサンと共に撹拌した。生成物をガラス皿に移し、真空オーブン中で60℃において乾燥させた。このポリマーは、HPSECポリスチレン換算のMw7500daおよびMn5700da(移動相としてTHF)およびガラス転移温度(Tg)48℃を有した。この方法を用いて、750da〜40,000daの範囲のMwを有する多数のオリゴマーおよびポリマーを調製した。
【0436】
[実施例15]
マルチブロックポリ(PrD−ジI
2DAT−co−10重量%チロソールカーボネート)の調製
機械的スターラおよび液体添加装置を備えた1Lの3つ首丸底フラスコに、25g(0.029mol)のPrD−ジI
2DAT、2.78g(0.49mmol)のMnが5700daのオリゴ(チロソールカーボネート)、15.4ml(0.19mol)のピリジン、および170mLのDCMを入れ、15分間撹拌して透明な溶液を得た。トリホスゲン(3.3g、0.055 0.034molのホスゲン)を20mLのDCMに溶解し、この溶液を2〜3時間かけて反応フラスコに導入した。添加が完了した後、反応混合物を15分間撹拌した。粘稠な反応混合物に200mLの水を加え、5分間撹拌した。層を分離させた後、上部の水層を除去し、廃棄した。洗浄を、さらに200mLずつDI水で2回繰り返した。次いで、反応混合物を300mLのIPAで沈殿させた。得られたゲルを1Lの実験用ブレンダー中で200mLずつIPAと共に2回粉砕した。生成物を真空濾過により単離し、真空オーブン中で80℃において乾燥させた。ポリマーは、HPSECポリスチレン換算分子量200Kda(移動相としてTHF)およびガラス転移温度(Tg)90℃を有した。ポリマーの
1H NMRスペクトルは構造と一致した。このポリマーの
1H NMRスペクトルは、実施例13で得られたランダムコポリマーとは有意に異なり、チロソール反復単位のブロック性を示している。
【0437】
[実施例16]
ポリ(PrD−ジI
2DAT−co−10重量%DTyカーボネート)の調製
機械的スターラおよび液体添加装置を備えた1Lの3つ首丸底フラスコに、25g(0.029mol)のPrD−ジI
2DAT、2.78g(0.010mol)のDTy、15.4ml(0.19mol)のピリジン、および170mLのDCMを入れ、15分間撹拌して透明な溶液を得た。トリホスゲン(4.3g、0.044molのホスゲン)を20mLのDCMに溶解し、この溶液を2〜3時間かけて反応フラスコに導入した。添加が完了した後、200mLの水を反応混合物に添加し、5分間撹拌した。層を分離させた後、上部の水層を除去し、廃棄した。洗浄を、さらに200mLずつDI水で2回繰り返した。次いで、反応混合物を300mLのIPAで沈殿させた。得られたゲルを1Lの実験用ブレンダー中で200mLずつIPAと共に2回粉砕した。生成物を真空濾過により単離し、真空オーブン中で80℃において乾燥させた。このポリマーは、HPSECポリスチレン換算分子量200Kda(移動相としてTHF)およびガラス転移温度(Tg)95℃を有した。ポリマーの
1H NMRスペクトルは構造と一致した。205℃での圧縮成形により均一な透明フィルムを得、引張弾性率、極限引張応力および破断伸びがそれぞれ280ksi、10ksiおよび200%を示した。
【0438】
[実施例17]
チロソールまたは類似体系交互ポリカーボネートの調製
テール−テール、ヘッド−ヘッド、および/またはヘッド−テールの構成の規則的な配列を有する交互ポリマーが開示される。これらのポリマーは、テール−テール、ヘッド−ヘッド、および/またはヘッド−テール構成の特定の順序を有さないランダムポリマーとは明らかに異なる。具体的には、チロソールから誘導されるポリカーボネートは以下に示すような3タイプのカーボネート結合:芳香族−芳香族(ヘッド−ヘッドとも呼ばれる)、混合芳香族−脂肪族(ヘッド−テールとも呼ばれる)、および脂肪族−脂肪族(テール−テールとも呼ばれる)を有する:
【0440】
H−H、H−TまたはT−T主鎖連結のランダム配列を有するポリマーは、主鎖連結の規則的な配列を有するポリマーとは明らかに異なる特性を有することができる。
【0441】
H−H結合とT−T結合との規則的な交互配列を有する交互ポリマーを作製するために、モノマーをそれ自体と反応させて二量体を形成させた。次に、二量体を重合反応に供した。この実施例では、脂肪族ジチロソールカーボネートおよび脂肪族チロソールクロロホルメートをポリカーボネート合成のためのモノマーとして使用した。脂肪族ジチロソールカーボネートは、脂肪族カーボネート結合の柔軟性および立体的な接近可能性のために、酵素切断部位を導入する。反応工程を以下に概説する。
【0442】
(A)チロソールクロロホルメートの合成
【0444】
チロソールを、不活性雰囲気下でオーバーヘッドスターラを備えた三首フラスコに入れた。シリンジから無水テトラヒドロフランを加え、混合物を撹拌しながら溶液を得た。溶液を氷/水浴で絶えず冷却した。トリホスゲンを無水テトラヒドロフランに溶解し、反応容器に滴下した。脂肪族チロソールクロロホルメートを1時間かけて得た。ほとんどの溶媒を蒸発させて後処理に備えた。残留物を溶解するために塩化メチレンを添加し、過剰のチロソールを濾別した。溶液を氷/水浴中で冷却した。冷却した脱イオン水を添加して、反応中に蓄積したHClの大部分を除去した。2つの層を分離し、有機相を硫酸マグネシウムで脱水した。溶媒を蒸発させ、真空下で乾燥させた後、脂肪族チロソールクロロホルメートを油状物として得た。
【0445】
(B)脂肪族ジチロソールカーボネートの合成
【0447】
脂肪族チロソールクロロホルメート(A)とチロソールとを窒素雰囲気下に無水テトラヒドロフランに溶解し、氷/水浴で冷却した。1当量のピリジンを、シリンジポンプを用いて12時間にわたって滴下した。次に溶媒を蒸発させ、残留物を塩化メチレンに溶解した。有機相を希HClで4回、5%(w/v)重炭酸塩水溶液で4回、塩水で2回洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで脱水した。乾燥後、ジチロソールカーボネートが白色固体として得られた。
【0448】
(C)交互カーボネート結合配列を有するポリ(チロソールカーボネート)の合成
【0450】
脂肪族ジチロソールカーボネートを窒素雰囲気下で塩化メチレンに溶解する。トリホスゲンを塩化メチレンに溶解し、反応混合物に滴下する。トリホスゲン添加後、数時間かけてピリジンを反応混合物に滴下する。交互のカーボネート結合配列を有するポリ(チロソールカーボネート)は、標準的な後処理手順によって得られる。
【0451】
(D)カーボネート結合制御されたポリチロソールの合成
【0453】
ジチロソールカーボネート(x当量)およびチロソールカーボネート(y当量)を無水テトラヒドロフランに溶解し、ドライアイス/イソプロパノール浴中で冷却する。ピリジンを工程1において数時間かけて滴下する。次いで、無水テトラヒドロフランに溶解したトリホスゲンを反応混合物に滴下する。制御されたカーボネート結合の組成を有するポリ(チロソールカーボネート)は、標準的な後処理手順によって得られる。
【0454】
当業者には、本発明の精神から逸脱することなく、多くのさまざまな変更を行うことができることが理解されよう。したがって、本明細書に記載された本発明のさまざまな実施形態は例示的なものに過ぎず、本発明の範囲を限定するものではないことを明確に理解されたい。
【0455】
[実施例18]
ポリ(PrDI
2DAT−co−9%チロソール−co−1%PEG1Kカーボネート)の調製
機械的スターラおよび液体添加装置を備えた1Lの3つ首丸底フラスコに、45g(51mmol)のPrD−ジI
2DAT、4.5g(33mol)のチロソール、0.5g(0.50mmol)のPEG1000、25g(320mmol)のピリジン、および305mLのDCMを入れ、15分間撹拌して透明な溶液を得た。トリホスゲン(8.6g、87mmolのホスゲン)を32mLのDCMに溶解し、この溶液を2〜3時間かけて反応フラスコに導入した。添加が完了した後、反応混合物を135mLのTHFおよび15mLの水の混合物でクエンチした。350mLの水を反応混合物に添加し、5分間撹拌した。層を分離させた後、上部の水層を除去し、廃棄した。洗浄を、さらに350mLずつDI水で2回繰り返した。次いで、反応混合物を500mLのアセトンで沈殿させた。得られたゲルを500mLのIPAと共に撹拌し、ゲルが微粒子に分散した。粒子を2回粉砕し、濾過により単離し、真空オーブン中で80℃において乾燥させた。ポリマーは、Mw400Kda、ガラス転移温度(Tg)92℃を有した。ポリマーの
1H NMRスペクトルは構造と一致した。190℃での圧縮成形により均一な透明フィルムを得、引張弾性率、降伏点引張応力および破断伸びがそれぞれ240ksi、9.1ksiおよび106%を示した。
【0456】
[実施例19]
ポリ(I
2DTy−co−10%チロソールカーボネート)の調製
機械的スターラおよび液体添加装置を備えた1Lの3つ首丸底フラスコに、45g(0.084mol)のI
2DTy、5g(0.036mol)のチロソール、35.5g(0.45mol)のピリジン、および300mLのDCMを入れ、15分間撹拌して透明な溶液を得た。トリホスゲン(12.3g、0.125molのホスゲン)を32mLのDCMに溶解し、この溶液を2〜3時間かけて反応フラスコに導入した。添加が完了した後、反応混合物を135mLのTHFおよび15mLの水の混合物でクエンチした。350mLの水を反応混合物に添加し、5分間撹拌した。層を分離させた後、上部の水層を除去し、廃棄した。洗浄を、さらに350mLずつDI水で2回繰り返した。次いで、反応混合物を600mLのIPAで沈殿させた。得られたゲルを4Lの高速ブレンダー中で2回粉砕した。得られた沈殿物を濾過により単離し、真空オーブン中で80℃において乾燥させた。ポリマーは、Mw318Kda、ガラス転移温度(Tg)100℃を有した。ポリマーの
1H NMRスペクトルは構造と一致した。190℃での圧縮成形により、均一な透明フィルムを得た。同様の手順を用いて、15%のチロソールを含むコポリマーを調製した。ポリマーの特性を以下に示す:
【0458】
[実施例20]
エチレングリコールを開始剤として使用するPLLAジオール(EGPLLAD7K)の調製。
【0459】
250mLの丸底フラスコに1.29g(0.02mol)のエチレングリコール、1.44g(3.6mmol)のSn(II)オクトエートおよび144.1g(1.0mol)のL−ラクチドを移した。大きな卵形の撹拌棒をフラスコに導入した。フラスコを窒素の陽圧下に維持し、次いで110℃に維持した油浴に浸漬し、1時間加熱した後、ラクチドが融解した。温度を140℃に上げ、撹拌しながら4時間加熱した。次いでフラスコを油浴から取り出し、室温に冷却した。フラスコに350mLのDCMを加え、一晩撹拌してポリマーを溶解した。ポリマー溶液を1Lのヘプタンに撹拌しながらゆっくりと加えた。ポリマーを白色結晶性粉末として沈殿させ、これを濾過により単離した。沈殿物を250mLのアセトニトリルで洗浄して、未反応のラクチドを除去した。生成物を真空オーブン中で40℃において24時間乾燥させた。DSCはTgが47℃であり、融点は134℃(5J/g)および148℃(15.5J/g)であった。同様に、エチレングリコールの代わりに1,3−プロパンジオールを開始剤として用いてPrDPLLAD7Kを調製した。
【0460】
[実施例21]
ポリ(PrD−ジI
2DAT−co−50%EGPLLAD7Kカーボネート)の調製。
【0461】
機械的スターラおよび液体添加装置を備えた1Lの3つ首丸底フラスコに、30g(0.034mol)のPrD−ジI
2DAT、30g(0.004mol)のEGPLLAD7K、11.4g(0.145mol)のピリジン、および360mLのクロロホルムを入れ、15分間撹拌して透明な溶液を得た(個の溶液はわずかに濁っていた)。トリホスゲン(3.96g、0.04molのホスゲン)を12mLのクロロホルムに溶解し、この溶液を2〜3時間かけて反応フラスコに導入した。添加が完了した後、反応混合物を135mLのTHFおよび15mLの水の混合物でクエンチした。350mLの水を反応混合物に添加し、5分間撹拌した。層を分離させた後、上部の水層を除去し、廃棄した。洗浄を、さらに350mLずつDI水で2回繰り返した。次いで、反応混合物を700mLのIPAで沈殿させた。得られたゲルを4Lのブレンダー中で550mLと共に2回粉砕した。生成物を濾過により単離し、真空オーブン中で80℃において乾燥させた。ポリマーの
1H NMRスペクトルは構造と一致した。得られた50%EGPLLADポリマーの190℃での圧縮成形により、均一な透明フィルムを得た。
【0462】
同様の手順を用いて、20%および65%のEGPLLADを含有するコポリマーも調製した。3種のポリマーサンプルの物理的性質を以下に示す。異なる物理的性質を有する他のポリマーは、本明細書で提供されるガイダンスによって知らされる日常の実験、例えばコモノマー含量、ポリマー分子量およびフィルム調製手順の適切な選択によって、調製することができる。
【0464】
[実施例22]
ポリ(I
2DTy−co−50%EGPLLAD7Kカーボネート)の調製。
【0465】
機械的スターラおよび液体添加装置を備えた1Lの3つ首丸底フラスコに、25g(0.046mol)のI
2DTy、25g(0.004mol)のEGPLLAD、14.8g(0.19mol)のピリジン、および305mLのDCMを入れ、15分間撹拌して透明な溶液を得た。トリホスゲン(5.19g、0.053molのホスゲン)を15mLのDCMに溶解し、この溶液を2〜3時間かけて反応フラスコに導入した。添加が完了した後、反応混合物を135mLのTHFおよび15mLの水の混合物でクエンチした。350mLの水を反応混合物に添加し、5分間撹拌した。層を分離させた後、上部の水層を除去し、廃棄した。洗浄を、さらに350mLずつDI水で2回繰り返した。次いで、反応混合物を600mLのIPAで沈殿させた。得られたゲルを4Lの高速ブレンダーで2回粉砕した。得られた沈殿物を濾過により単離し、真空オーブン中で80℃において乾燥させた。ポリマーのガラス転移温度(Tg)は100℃であった。ポリマーの
1H NMRスペクトルは構造と一致した。190℃での圧縮成形により、均一な透明フィルムを得た。45%および60%のEGPLLADを含むコポリマーも、同様の手順を用いて調製し、特徴付けた。ポリマーの特性を以下の表に示す。同様の手順を用いて、I
2DTEおよびポリグリコリド−ジオール(PGAD)を含むコポリマーを、上記の重合においてPLLADをPGADに置き換えることによって調製することができる。
【0467】
[実施例23]
ポリ(I
2DTy−co−50%DTyカーボネート)の調製。
【0468】
機械的スターラおよび液体添加装置を備えた1Lの3つ首丸底フラスコに、25g(0.046mol)のI
2DTy、25g(0.087mol)のDTy、43g(0.55mol)のピリジン、および305mLのDCMを入れ、15分間撹拌して透明な溶液を得た。トリホスゲン(14.2g、0.143molのホスゲン)を43mLのDCMに溶解し、この溶液を2〜3時間かけて反応フラスコに導入した。添加が完了した後、反応混合物を135mLのTHFおよび15mLの水の混合物でクエンチした。350mLの水を反応混合物に添加し、5分間撹拌した。層を分離させた後、上部の水層を除去し、廃棄した。洗浄を、さらに350mLずつDI水で2回繰り返した。次いで、反応混合物を600mLのIPAで沈殿させた。得られたゲルを4Lの高速ブレンダーで2回粉砕した。得られた沈殿物を濾過により単離し、真空オーブン中で80℃において乾燥させた。ポリマーのガラス転移温度(Tg)は68℃であった。170℃での圧縮成形により均一な透明フィルムを得、引張弾性率、降伏点引張応力および破断伸びがそれぞれ195ksi、4.3ksiおよび473%を示した。同様の手順を用いて、ポリ(I
2DTy−co−20%DTyカーボネート)を調製した。
【0469】
[実施例24]
(4−(2−ヒドロキシエチル)2,6−ジヨードフェノール)の合成。
【0471】
チロソールのヨウ素化は、140mLの95%エタノール中の27.6g(0.2モル)のチロソールに200mLのKICl
2溶液(2M)を添加し、得られた溶液を1時間撹拌することによって行った。400mLの水で処理すると、油が分離し、これを100mLの2%チオ硫酸ナトリウム溶液と共に2時間撹拌した。得られた茶色の固体をエタノールに溶解し、木炭で処理し、濾過した。純粋なジヨードチロソール(4−(2−ヒドロキシエチル)2,6−ジヨードフェノール)が収率65%で得られ、hplcおよびNMRによって特徴付けた。
【0472】
[実施例25]
4−ヒドロキシフェネチル3−(4−(4−ヒドロキシフェノキシ)フェニル)−プロパノエートの合成。
【0474】
オーバーヘッドスターラ、および水より重質の溶媒のための改変ディーン・スターク・トラップを備えた500mLの丸底フラスコに、10g(72mmol)のチロソール、30g(78mmol)のデスアミノチロニン、0.65g(3.4mmol)の4−トルエンスルホン酸一水和物、および200mLの1,2−ジクロロエタン(DCE)を添加した。水冷式還流冷却器を改変ディーン・スターク・トラップの上に置き、フラスコの内容物を撹拌しながら加熱還流する。反応は、DCEより上の改変ディーン・スターク・トラップに約1.4mLの水が回収され、水の回収が本質的に停止するまで続ける(約4時間の還流)。反応混合物を室温に冷却し、粗生成物を100mLの酢酸エチルに溶解し、100mLずつ5%重炭酸ナトリウム溶液で2回洗浄する。硫酸マグネシウムで脱水した後、有機層を濃縮し、ヘキサンで沈殿させる。得られた白色結晶性固体を濾過により回収し、真空オーブン中で25℃において乾燥する。生成物は、元素分析、hplcおよび
1H NMRにより特徴付けられる。
【0475】
当業者には、本発明の精神から逸脱することなく、多くのさまざまな変更が可能であることが理解されよう。したがって、本明細書に記載された本発明のさまざまな実施形態および実施例は、例示的なものに過ぎず、本発明の範囲を限定する意図のものではない。