(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記採点手段は、設定した前記鬼門及び裏鬼門と、物件の玄関、トイレ、浴室又は台所の配置とを用いて点数を採点することを特徴とする請求項7に記載の採点システム。
前記採点手段は、動線に関係する複数の要素間の距離又は配置を用いて、前記物件の生活動線の点数を採点することを特徴とする請求項1乃至12の何れか1項に記載の採点システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の家屋評価計算処理装置は、固定資産税および不動産取得税の基礎となる家屋評価のための計算処理を効率よく行うための装置であり、家屋の資産的な価値を評価するものである。しかし、家屋の資産的な価値は、家屋の売買や相続等においては重要視されるが、実際の家屋の住み心地とは相関しておらず、物件探しにおける居住性の評価として妥当なものではない。また、家屋評価のために、複数種類の評点パターンファイルから対象物件に該当するものを選択する必要があり、家屋の建築メーカ、品質などの詳細な情報が判別している実際の物件を対象とするものであり、部屋探しなどで気軽に利用できるものではない。
【0007】
また、特許文献2では、入居物件情報を非入居物件情報と比較して相対評価するものであり、絶対的な評価を得ることはできない。また、ユーザは、物件情報として、住所、コスト、広さ、築年数、通勤・通学先の住所、日当たり、静かさ、立地、最寄りの駅までの所要時間などを入力する必要があり、具体的な物件の情報を多数必要とすること、及び、日当たり、静かさなどの主観的な情報も入力する必要がある。このため、部屋探しの段階で利用するためには、ある程度、実際の物件を実地で確認し、物件情報を入力する必要がある点において、気軽に利用できるものではない。さらに、特許文献2では、ユーザの希望する条件に基づいて物件を評価するものであり、客観的なものではなく、主観的な評価であった。
【0008】
そもそも日常生活において建築物に関わる機会は少なく、引っ越し、新築、建築物のリフォームの際などに物件情報として間取り図に接することはあるが、建築についての専門的な知識や経験などが無ければ、間取り図から完成された実際の物件における住み心地を予想することは難しかった。また、住み心地については人によって感覚が異なることから客観的な評価が難しいという点でも問題であった。
【0009】
本発明は、物件選び、新築又はリフォームの際に利用可能な情報を取得するために、物件の間取り図から間取りのレイアウトに起因する項目を比較的容易に可視化して、客観的な評価を可能とする採点システム及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述した課題を解決するため、本発明の採点システムは、物件の間取り図の画像から前記物件の間取りのレイアウトに起因する評価項目の点数を採点する採点システムであって、物件の間取り図の画像を含む間取り情報を取得する間取り取得手段と、前記間取り情報に含まれる間取り図の画像から間取り図を構成する要素を判別する判別手段と、前記間取りのレイアウトに起因する評価項目の採点基準が記憶された記憶手段と、前記判別手段で判別した前記間取り図を構成する要素を少なくとも用いて、前記記憶手段に記憶された採点基準に基づいて、前記物件の間取りのレイアウトに起因する評価項目の点数を採点する採点手段とを有することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の採点システムは、物件の間取り図の画像から前記物件の間取りのレイアウトに起因する評価項目の点数を採点する採点システムであって、ユーザ端末とネットワークを介して接続されたサーバと、前記間取りのレイアウトに起因する評価項目の採点基準が記憶された記憶手段とを有し、前記サーバは、前記ユーザ端末から送信された前記物件の間取り図の画像を含む間取り情報を取得し、前記間取り情報に含まれる間取り図の画像から間取り図を構成する要素を判別する判別手段として機能し、判別した前記間取り図を構成する要素を少なくとも用いて、前記記憶手段に記憶された採点基準に基づいて、前記物件の間取りのレイアウトに起因する評価項目の点数を採点する採点手段として機能することを特徴とする。
【0012】
さらに、上記の採点システムにおいて、前記間取りのレイアウトに起因する評価項目は、風水等、明るさ(採光)、風通し、収納力又は生活動線の一つ又は複数であることが好ましい。
【0013】
さらに、上記の採点システムにおいて、前記採点システムは、物件に対する方位を特定する方位特定手段を有し、前記採点手段は、前記間取り図を構成する要素及び前記方位特定手段で特定した物件に対する方位を少なくとも用いて、前記物件の間取りのレイアウトに起因する評価項目の点数を採点してもよい。加えて、前記間取り情報は、間取り図に対する方位を特定する方位特定情報を含み、前記方位特定手段は、前記方位特定情報に基づいて間取り図に対する方位を特定してもよい。加えて、前記方位特定情報は、前記間取り情報に含まれる間取り図の画像に対して方位を特定することにより入力されてもよい。
【0014】
さらに、上記の採点システムにおいて、前記判別手段は、前記物件の間取り図の中心となる位置を判別し、前記採点手段は、判別した前記物件の中心となる位置に対して、前記方位特定手段で特定した物件に対する方位を用いて、鬼門及び裏鬼門を設定し、前記物件の風水等の点数を採点してもよい。加えて、前記採点手段は、設定した前記鬼門及び裏鬼門と、物件の玄関、トイレ、浴室又は台所の配置とを用いて点数を採点することを特徴とする請求項7に記載の採点システム。
【0015】
さらに、上記の採点システムにおいて、前記判別手段は、前記物件の窓又は吹き抜けを判別し、前記採点手段は、判別した前記物件の窓の寸法又は吹き抜けの有無を用いて、前記物件の明るさ(採光)の点数を採点してもよい。
【0016】
さらに、上記の採点システムにおいて、前記判別手段は、前記物件の窓を判別し、前記採点手段は、判別した前記物件の窓の配置を用いて、前記物件の風通しの点数を採点してもよい。
【0017】
さらに、上記の採点システムにおいて、前記判別手段は、前記物件の収納を判別し、前記採点手段は、判別した前記物件の収納面積を用いて、前記物件の収納力の点数を採点してもよい。加えて、前記間取り情報は、前記物件の種別を含み、前記記憶手段は、前記物件の種別に応じた採点基準が記憶され、前記採点手段は、判別した前記物件の収納面積を用いて、前記物件の種別に応じた採点基準に基づいて、前記物件の収納力の点数を採点してもよい。
【0018】
さらに、上記の採点システムにおいて、前記採点手段は、動線に関係する複数の要素間の距離又は配置を用いて、前記物件の生活動線の点数を採点してもよい。加えて、前記複数の要素間の距離又は配置は、前記物件の大きさに応じて正規化されていてもよい。
【0019】
さらに、上記の採点システムにおいて、前記間取り情報は、前記物件の階数に応じた数の間取り図の画像を含むことが好ましい。
【0020】
また、本発明のプログラムは、物件の間取り図の画像を含む間取り情報を取得するステップと、前記間取り情報に含まれる間取り図の画像から間取り図を構成する要素を判別するステップと、前記判別手段で判別した前記間取り図を構成する要素を少なくとも用いて、採点基準に基づいて、前記物件の間取りのレイアウトに起因する評価項目の点数を採点するステップと、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、間取り図の画像から物件の間取りのレイアウトに起因する評価項目の点数を採点することが可能であり、間取りのレイアウトに起因する評価項目を可視化することにより、間取りのレイアウトを客観的に評価することができる。ユーザは、物件選び、新築又はリフォームの際に、間取りのレイアウトに起因する居住性や、風水、家相などを参考として利用することができる。このように、本発明によれば、専門知識のない初心者にも住み心地の指標を把握することができる。また、物件についての間取り図があれば、比較的容易に客観的な評価を取得できるので、物件選びを気軽に行うことができる。その他の効果については、発明を実施するための形態において述べる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[概要]
図1は、本発明の採点システム1の全体構成の一例を示す概略図である。
図1の採点システム1は、物件の間取り図の画像を含む間取り情報を少なくとも使用して間取りのレイアウトに起因する評価項目を採点するシステムである。間取りのレイアウトに起因する評価項目とは、間取りのレイアウトが評価に影響するものであり、物件選択、新築又はリフォームの際に考慮される情報となりうるものである。例えば、間取りのレイアウトに起因する評価項目としては、物件の風水、家相(以下、風水と家相を併せて風水等という)のようにレイアウトから運勢や吉凶を判定する思想に関する項目や、明るさ(採光)、風通し、収納力、生活動線などのレイアウトに基づく物理的な居住性、快適性に関する項目を含む。採点システム1は、間取り取得手段2、判別手段3、採点手段4、出力手段5及び記憶手段6を含んでいる。さらに、採点システム1は、必要に応じて方位特定手段7を含んでいる。
図1においては、判別手段3、採点手段4及び方位特定手段7は一つのプロセッサ8によって実現されるが、各手段は、複数のプロセッサで機能の一部を分担して実現しもよい。採点システム1は、間取り取得手段2が物件の間取り図の画像を含む間取り情報を取得し、判別手段3が取得した間取り情報に基づいて間取り図を構成する要素の少なくとも一部を判別し、採点手段4が間取り図を構成する要素と必要に応じて方位特定手段7で特定した方位又は/及びその他の情報とに基づいて物件に関する風水等、明るさ(採光)、風通し、収納力、生活動線などのレイアウトに起因する評価項目の少なくとも一つについて採点し、出力手段5が採点手段4の採点結果を出力する。記憶手段6には、間取り取得手段2で取得した間取り情報、判別手段3で判別した各要素、採点手段4での採点結果、方位特定手段7で特定した方位などが、対応する物件(複数の階数を有する場合はその階ごとでもよい)に関連付けて記憶されてもよい。また、記憶手段6には、判別手段3において画像情報から各要素を判別するための基礎となる要素認識情報、採点手段4において使用可能な採点基準情報などが記憶されていてもよい。
【0024】
物件とは、少なくとも間取りを備えた建築物又はその一部であり、集合住宅(アパート、マンション、連続建て住宅、長屋を含む)の住戸、戸建(その一部を含む)などが例示される。物件の種別、用途は、賃貸、新築、リフォーム、リノベーション、住宅用、店舗用などを含み、特に限定されるものではない。
【0025】
間取り情報とは、少なくとも物件の間取り図の画像を含む情報であり、間取り図の画像に加えて、その他の情報を含んでいてもよい。その他の情報としては、物件の種別情報、物件の階数の情報、物件に対する方位の情報、物件又は物件の要素の形状、寸法又は面積の情報、物件の立地、周囲の自然環境などの物件に関する具体的な情報も、ユーザに入力させる物件に配置する家具、備品に関する情報、物件とは直接関係のないユーザの性別、生年月日を含む。物件が複数の階数を有する場合、階数ごとに間取り図の画像を作成することが好ましい。これは複数の階の間取り図が一つの画像内に含まれる場合は、判別手段3において、複数の間取り図が別の階のものであるか、同じ階の離れであるかを区別することが難しく、採点ミスとなる可能性がある。このため、間取り情報は、物件の階数に応じた数の間取り図の画像を含むことが好ましい。その場合、階ごとの複数の間取り図の画像を当該物件に関連付けることが好ましい。例えば、3階建ての戸建(物件ID:A)の場合、1階の間取り図の画像を含む第1の間取り情報(間取りID:A−1)と、2階の間取り図の画像を含む第2の間取り情報(間取りID:A−2)と、3階の間取り図の画像を含む第3の間取り情報(間取りID:A−3)とを作成し、間取りIDに物件IDのAを含ませることで一つの物件Aに関連付けられた3つの間取り情報を作成できる。3つの間取り情報は、階数に応じた3枚の間取り図の画像を有している。なお、3枚の間取り図の画像を一つの間取り情報としてもよい。
【0026】
間取り図を構成する要素とは、間取り図に表記された物件の要素であり、例えば、壁、扉、窓、廊下、ホール、階段、吹き抜け、部屋(書斎、寝室)、収納(納戸(Service room:S)、クローゼット(Closet:CL)、ウォークインクローゼット(Walk In Closet:WIC、WINCL、WCL)を含む)、ロフト(小屋裏、屋根裏)、玄関、勝手口、トイレ(Water Closet:WC)、リビング、浴室(浴槽)、洗面所(洗面台)、台所(キッチン、シンク、コンロ)、冷蔵庫置き場(Refrigerator:R)洗濯機置き場(Washing Machine:W)、中庭、車庫、ベランダ(バルコニー、テラス)などの要素、さらに、これらの要素から求まる各要素間の距離(現実の距離ではなく画像における相対的な距離)、各要素の面積(現実の面積ではなく画像における相対的な面積)、複数の要素や物件全体の形状、寸法又は面積(現実の寸法又は面積ではなく画像における相対的な寸法又は面積)、物件の中心などの要素も含む。本発明において取得される物件の要素は、少なくとも間取り図の画像を判別することにより取得される要素を含み、間取り図の画像から判別された情報に加えて、間取り情報に含まれる画像以外の情報を利用して要素の一部を取得してもよいし、間取り情報とは別に入手した情報から要素の一部を取得してもよい。取得する物件の要素は、上記例示したものに限定されない。また、取得する物件の要素は、少なくとも採点手段4での採点に必要な範囲で要素を取得すればよく、すべての要素を取得する必要はない。ただし、採点に不要な要素であっても、採点とは別目的で使用するために取得してもよい。例えば、物件の検索用の情報として要素を取得してもよい。
【0027】
採点システム1は一つの情報処理装置によって実現されてもよいし、複数の情報処理装置によって実現されてもよい。情報処理装置としては、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、PDA(Personal Digital Assistant)、多機能携帯電話(スマートフォン、i−phone(登録商標))、サーバなどを採用することができる。例えば、情報処理装置であるパーソナルコンピュータに、間取り情報を記憶した記憶媒体(例えばUSBメモリ、半導体メモリ、CD、DVD、HDD、オンラインストレージなど)を接続し、間取り情報を取得し、間取り情報に基づいて判別、採点し、ディスプレイに採点結果を表示してもよい。また、例えば、ユーザが所持する情報処理装置である多機能携帯電話(ユーザ端末)において撮影した間取り情報を他の情報処理装置であるサーバにネットワークを介して送信し、サーバにおいて判別、採点した採点結果をユーザ端末にネットワークを介して送信するように構成してもよい。
【0028】
間取り取得手段2は、少なくとも物件の間取り図の画像を含む間取り情報を取得するための手段であり、例えば、間取り図を撮像して間取り情報の少なくとも一部を取得する情報処理装置に接続された画像入力手段(例えば、カメラ、ビデオ、スキャナーなど)、間取り情報が記憶された記憶媒体を接続する接続手段(例えば、USB端子、メモリースロット、光学ドライブ、有線通信手段、無線通信手段など)、間取り図の画像を作成又は切り取る画像処理ソフトを含む。間取り取得手段2は、間取り図の画像に情報を追加できる入力手段を有していてもよい。例えば、間取り図を撮像した画像を表示し、画像上に方位を特定するための情報(方位特定情報)を入力可能とし、間取り図に対する方位を特定できるようにしてもよい。また、間取り取得手段2は、間取り情報の一部として、物件の種別(例えば、戸建、集合住宅、リフォームなど)、物件の階数の情報、物件又は物件の要素の形状、寸法又は面積の情報、物件に配置する家具、備品などのその他の情報を入力できるようにしてもよい。方位特定情報としては、回転可能な方位記号を表示して物件に対する方位に合わせて方位記号を回転させて入力してもよいし、特定の方位から反対の方位(例えば、南から北)へと直線や矢印を入力してもよい。
【0029】
判別手段3は、間取り情報に基づいて物件の要素の少なくとも一部を判別するものであり、少なくとも間取り図の画像から物件の要素の一部を判別する。判別手段3としては、例えば、各種の画像認識ソフトを用いることができる。画像認識ソフトによって間取り図の画像から、壁、扉、窓、吹き抜け、部屋、収納、玄関、勝手口、トイレ、リビング、浴室、洗面所、台所、冷蔵庫置き場、洗濯機置き場、階段、車庫、ベランダなどを判別し、さらに、これらの要素から求まる各要素間の距離(現実の距離ではなく画像における相対的な距離)、各要素の面積(現実の面積ではなく画像における相対的な面積)、複数の要素や物件全体の形状、寸法又は面積(現実の寸法又は面積ではなく画像における相対的な寸法又は面積)、物件の中心などの要素などを判別する。また、間取り図が方位記号を含む場合には、判別手段3によって間取り図の画像から方位を判別することが可能であり、判別手段3が方位特定手段7としても機能する。
【0030】
方位特定手段7は、物件に対する方位を特定する手段であり、間取り情報から方位を特定することが好ましいが、間取り情報とは別の情報から方位を特定してもよい。間取り図に方位記号も記載されていれば、間取り図の画像から方位を判別することができ、判別手段3が方位特定手段7として機能する。また、間取り図の画像とは別に、間取り情報に間取り図に対する方位を特定する方位特定情報が含まれる場合は、方位特定手段7は、方位特定情報を取得して方位を特定する。また、方位特定手段7は、間取り情報以外から間取り図に対する方位を特定してもよい。例えば、物件の住所から、物件を含む地図情報を取得し、間取り図から把握できる物件の形状と、地図情報に示されている建物の形状とから方位を特定してもよい。
【0031】
採点手段4は、少なくとも判別手段3で判別した要素の一部を使用して物件に関する風水等、明るさ(採光)、風通し、収納力、生活動線などの間取りのレイアウトに起因する評価項目の一つ又は複数を採点する。採点手段4は、各評価項目(風水等、明るさ(採光)、風通し、収納力、生活動線)に応じて必要とされる物件の要素を抽出し、抽出した要素を各評価項目の採点基準に基づいて採点する。抽出される要素は、判別手段3で間取り図の画像から判別された要素が含まれていればよく、間取り図の画像から判別された情報に加えて、間取り情報に含まれる画像以外の情報を利用して取得した要素を含んでいてもよいし、間取り情報とは別に入手した情報から取得した要素を含んでいてもよい。各評価項目の採点基準については、様々な設定が可能であり、特に限定されるものではないが、間取り情報から取得される要素のみから採点可能であることが好ましい。採点は、プラスの採点基準に該当する要件による加点方式でもよいし、マイナスの採点基準に該当する要件による減点方式でもよいし、加点及び減点を併用した方式でもよい。また、点数は、全ての物件で規定された最高点である満点を定めてもよいし、満点を決めずに加点の要素が増えれば最高点が更新される方式でもよい。後述するように、その他の情報としてユーザに点数に影響するアイテムを入力させる場合には、満点を定めずに物件の間取り図、アイテムの種類、アイテムの配置次第で最高点を更新することが可能であり、物件やアイテムの配置によって高得点を目指すゲームに採点システムを利用することもできる。また、点数について、統計的に、平均的な物件の数が多く、平均から外れるほど物件の数が少なくなる傾向があるため、評価と点数を一定の比率の関係式とすると、ほとんどの物件が平均点前後の点数となってしまうため差別化できない。このため、点数に差が出るように、評価と点数とを一定の比率の関係とせずに、平均的な評価付近における数値の変位に対する点数の変位を大きくしたり、複数の換算式を使用したり、物件の種別に応じて換算式を変更したりすることが好ましい。また、点数は、風水等の思想に関する項目や、居住性、快適性に関する項目に関するものであり、これらを考慮して高い点又は低い点に配点を偏らせてもよい。採点結果については、点数として出力してもよいし、点数の範囲によって等級(A、B、Cなど)に区分して等級を出力してもよいし、点数及び等級の両方を出力してもよい。また、採点手段4は、複数の評価項目を採点した場合に、各評価項目の採点結果(個別結果)だけではなく、すべての評価項目を総括した総合結果を算出してもよい。例えば、各個別結果として20点満点で採点し、5項目の総合評価として各個別結果の合計点を100点満点で採点したり、個別結果を20点満点で採点し、5項目の総合評価として各個別結果の合計点をA(70〜100点)、B(60〜69点)、C(50〜59点)、D(40〜49点)、E(0〜39点)の5段階(各等級の点数範囲は一例)で評価したりしてもよい。以下、各評価項目の採点基準の一例を挙げるが、下記の採点基準に限定されるものではない。
【0032】
風水は、気の流れを物の位置で運勢や吉凶を制御する思想であり、様々な流派や解釈があるところ、本発明においては、特定の流派や解釈に限定されるものではなく、間取りの各要素が配置された方位に基づいて評価される。また、家相も、方角と間取りとの組み合わせで運勢や吉凶を判定する思想であり、中国古代の陰陽五行説に基づく方位説に由来する。風水等の評価基準としては、まず間取り図において方位の中心を決定し、中心に対して各要素がどの方位に配置されているかによって評価する。さらに、場合によっては、方位として、通常の方位だけではなく、ユーザの生年月日、性別などから本命卦(誕生日等によって異なる個別の吉凶方位)を特定し、特定した本命卦を使用してもよい。方位の中心としては、例えば、2本の対角線の交点を中心としてもよいし、最長の対角線の半分の位置(中点)を中心としてもよい。対角線は、間取り図の全体が四角形であれば、そのまま対向する頂点を連結することで求まるが、間取り図の全体形状が多角形の場合は、3分の1程度の張り(凸部)や欠け(凹部)を無視して、できるだけ四角形に近づけた概形(概略の形状)を求め、概形の対向する頂点を連結することで求めることができる。概形も多角形で対角線が3本以上となった場合は、複数の対角線の中から、頂点を共有せずに、より長い2本の対角線を選び、その交点を中心としてもよいし、最長の対角線を選び、その中点を中心としてもよい。また、その他の中心の求め方を採用してもよい。各要素の配置の採点については、例えば、方位の中心に対して鬼門と裏鬼門(一般的には北東と南西)を設定し、風水等としては鬼門及び裏鬼門への配置を避けるべき要素が鬼門又は裏鬼門に配置されている場合に減点したり、配置されていなかった場合に加点してもよい。一般的に、風水等では、玄関、トイレ、浴室、台所などを鬼門又は裏鬼門に配置するのは避けられており、これらの要素が方位の中心に対して北東又は南西の方位に配置されていた場合は風水等の評価を下げ、配置されていない場合は評価を上げればよい。また、各要素の配置の評価の他の例として、ユーザの生年月日、性別などから本命卦を特定し、特定した本命卦に基づいて方位の中心に対する吉方位及び/又は凶方位を設定し、風水等としては吉方位に配置すべき要素が配置されている場合に加点し、及び/又は、凶方位に配置すべき要素が配置されている場合に減点してもよい。例えば、ある風水等の流派では、玄関、リビング、寝室などは吉方位に配置することが好ましく、トイレ、浴室、台所などの水回りは凶方位に配置することが好ましいとされており、これらの要素が対応する方位に配置されていた場合は風水等の評価を上げ、配置されていない場合は評価を下げてもよい。また、各要素の配置の評価の他の例として、物件の中心に対してある要素(例えば玄関)が配置されている方位を基準として、吉方位及び/又は凶方位を設定し、他の要素(例えばトイレ、玄関、車庫など)が配置されている方位で評価してもよい。この場合には方位を特定する必要が無く、方位特定手段が無くても風水等の評価を行うことが可能である。なお、風水等の評価として、各要素の評価の点数を同じにしてもよいし、要素によって点数を変えてもよい。
【0033】
明るさ(採光)は、外部から物件内に取り入れ可能な自然光についての評価である。基本的な明るさの採点基準としては、窓が大きい場合や吹き抜けがあれば点数を高くする。窓の大きさは、間取り図において窓が配置された壁の寸法に対する当該窓の寸法の割合(窓の寸法/壁の寸法)で算出することができる。また、窓の向きによって点数を変えてもよく、例えば、南側の窓を基準として、東西に配置された窓は点数を0.75倍とし、北側の窓は点数を0.5倍として重みを変えてもよい。さらに、物件に複数の部屋がある場合には、部屋ごとに明るさを採点し、合計を正規化(合計点/部屋の数)して物件の点数としてもよい。また、物件の中に窓を備えていない部屋があった場合には減点してもよい。採点の簡便化のため、特定の方位についての窓(例えば南向きの窓)の大きさで明るさを評価してもよく、その場合には、特定の方位の窓を備えていない部屋があれば減点してもよい。吹き抜けについては、窓の大きさとは別の採点基準で評価してもよい。例えば、吹き抜けがあれば無条件で満点とし、無い場合には、物件の南側の全幅に対する南側に面した窓の寸法の割合(南向きの窓の寸法/南側の全幅)で採点し、さらに、物件の中に南側の窓を備えていない部屋があった場合には減点し、物件全体の明るさを採点してもよい。
【0034】
風通しは、外部から物件内への空気の通気しやすさに関する評価である。基本的な風通しの採点基準としては、物件内又は物件の各部屋内で通気可能な窓の組み合わせの数、各窓の大きさ、配置などと、場合によってはその間の障害物の有無、種類、大きさなどによって評価する。例えば、ある窓に対して通気可能な窓が、対面する方位に配置されていれば大きく加点し、対面以外の他の方位に配置されていれば小さく加点し、間に扉や仕切りがある場合や通気可能な窓が小さい場合には減点する。一つの窓に対して複数の窓の組み合わせが存在する場合、例えば、ある窓に対して、対面した窓と対面以外の方位に配置された窓がある場合、点数の高い対面した窓の点数のみを採用し、他の窓の存在は無視してもよいし、対面した窓の点数に加えて他の窓の点を加点してもよい。物件全体の点数の合計を正規化(合計点/通気可能な窓の組み合わせの数)して物件の点数として風通しを評価してもよい。また、物件の階数などに応じて同じ構成であっても点数を変えてもよい。採点の簡便化のため、部屋内での窓の組み合わせのみを採点し、部屋間の通気については無視してもよい。例えば、物件の部屋ごとに点数の最も高い窓の組み合わせを採点し、それを正規化(合計点/部屋の数)して物件の点数としてもよい。
【0035】
収納力は、収納面積に関する収納率の評価であり、基本的な収納力の評価基準としては、物件の総面積に対する収納面積の割合である収納率(=収納面積/総面積)で評価できる。収納率が多ければ評価が高く、少なければ評価が低くなるが、建物の種別(戸建又は集合住宅)などに応じて同じ収納率であっても点数を変えてもよい。例えば、戸建の標準的な収納率は13%程度であり、集合住宅であるマンションの標準的な収納率は8〜10%程度であるので、物件の収納率が13%だった場合、物件が戸建であれば標準的な収納力と評価されるが、物件が集合住宅であれば高い収納力と評価される。標準的な収納率の物件は数が多いため、統計的には標準的な収納率が収納率の平均値に近くなるが、標準的な収納率は、多数の物件で採用されており、標準的な収納率であれば、ある程度の満足度が得られることから、住み心地としては100点満点中の50点ではなく、より高い点数(例えば、80点)として評価されることが好ましい。また、収納力は、収納面積だけで評価してもよいし、収納面積と収納の数とから評価してもよい。例えば、収納力として、収納面積当たりの点数を設定して採点してもよいし、それに加えて収納の数が一つ増えるごとに加点してもよい。この収納面積だけで評価する場合、満点を設定して満点以上の点数は無視してもよいし、満点を設定せずに最高点が更新されるようにしてもよい。
【0036】
生活動線は、物件内における人の生活における動きを示す動線に関する評価であり、炊事、洗濯、掃除などの家事に関する家事動線、出勤や登校などの外出準備に関する通勤動線、トイレの位置に関する衛生動線、又は来客時に関する来客動線を含む。基本的な生活動線の評価としては、動線に関係する複数の要素間の距離又は配置に基づいて判断される。要素間の距離としては、各要素の中心と中心の間の距離でもよいし、要素間の最短距離でもよい。要素間の配置とは、要素間における動線を阻害する他の要素(壁、扉、仕切り)の有無、3つ以上の要素を連結した線分の形状(例えば、3つの要素で構成される三角形の形状、4つの要素で構成される四角形の形状など)や大きさ、別々の階に配置されている場合などが含まれる。さらに、要素間の距離又は配置は、物件の大きさに応じて正規化(要素間の距離又は配置/物件の大きさ)することが好ましい。物件の大きさとしては、例えば対角線の長さを基準としてもよい。対角線は、間取り図の全体が四角形であれば、そのまま対向する頂点を連結することで求まるが、間取り図の全体形状が多角形の場合は、3分の1程度の張り(凸部)や欠け(凹部)を無視して、できるだけ四角形に近づけた概形(概略の形状)を求め、概形の対向する頂点を連結することで求めることができる。
【0037】
家事動線の場合は、例えば、台所又は冷蔵庫置き場、洗濯機置き場、玄関又は勝手口、ベランダなどの中から選択された2つ以上の要素間の距離又は配置に基づいて採点してもよい。例えば、生活動線として、物件の対角性の長さに対する台所又は冷蔵庫置き場と洗濯機置き場との距離の割合を採点基準とし、割合が小さいほど、すなわち台所又は冷蔵庫置き場と洗濯機置き場とが近いほど家事動線の評価を高くしてもよい。また、家事動線の評価としては、物件の対角性の長さに対する台所又は冷蔵庫置き場と玄関又は勝手口との距離の割合、又は洗濯機置き場とベランダとの距離の割合を採点基準としてもよいし、複数の点数を合計したり、正規化してもよい。さらに、要素間に阻害する他の要素がある場合や要素が異なる階に配置されている場合には減点してもよい。
【0038】
通勤動線の場合は、例えば、台所又は冷蔵庫置き場、洗面所、浴室、リビングなどの中から選択された2つ以上の要素間の距離又は配置に基づいて採点してもよい。外出準備としては、例えば、冷蔵庫置き場を含む台所での調理、洗面所又は浴室での身支度、リビングでの食事や休憩などがあり、これらの要素間で自由に移動が可能な回遊動線とすることが好ましいとされている。通勤動線の採点としては、例えば、台所又は冷蔵庫置き場、洗面所又は浴室及びリビングの3か所を連結した線分の三角形の形状と大きさで採点してもよい。
【0039】
衛生動線の場合は、例えば、トイレ、台所、洗面所又は浴室、リビングなどの中から選択された2つ以上の要素間の距離又は配置に基づいて採点してもよい。トイレの配置は、使用頻度が高く各部屋から行きやすいことが求められるが、一方で、衛生面、音、悪臭などの点から台所やリビングからは距離を置くことが求められ、同時に使用できないことから洗面所と同一室内ではなく別々に設置することが望まれている。衛生動線の採点としては、例えば、トイレと、台所、洗面所又は浴室又はリビングとの距離又は配置に基づいて採点してもよい。
【0040】
来客動線の場合は、例えば、玄関、リビング、洗面所、浴室などの中から選択された2つ以上の要素間の距離又は配置に基づいて採点してもよい。来客の際は、玄関からリビングに移動するが、その間にプライベートな部分を隠すことが望まれる。特に、洗面所、浴室などについては訪問客からは見えない配置とすることが好ましい。来客動線の採点としては、例えば、物件の対角性の長さに対する玄関とリビングとの距離の割合、又は玄関とリビングとを連結する線分に対する洗面所、浴室などの配置に基づいて採点してもよい。
【0041】
出力手段5は、採点手段4の採点結果を出力するものであり、例えば、表示装置、プリンタ、記憶媒体を接続する接続手段(例えば、USB端子、メモリースロット、光学ドライブ、有線通信手段、無線通信手段など)などを含む。出力手段5は、各評価項目を頂点とする正多角形に個別の点数を表記するレーダーチャートによって採点結果を出力してもよい。出力手段5は、個別の評価項目のレーダーチャートに加えて、総合得点又は等級を併記してもよい。さらに、出力手段5は、採点結果に対するコメントを出力してもよい。コメントは、例えば、高得点の項目又は低い点の項目の指摘や、改善点などである。また、出力手段5は、採点結果以外の情報を出力してもよく、間取り取得手段2で取得した間取り情報又は間取り図の画像を出力してもよい。
【0042】
記憶手段6は、間取り取得手段2で取得した間取り情報、判別手段3で判別した各要素、採点手段4での採点結果、方位特定手段7で特定した方位などが、対応する物件(複数の階数を有する場合はその階ごとでもよい)に関連付けて記憶されてもよい。また、記憶手段6には、判別手段3において画像情報から要素を判別するための基礎となる要素認識情報、採点手段4において使用可能な採点基準情報などが記憶されていてもよい。
【0043】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、本発明は、以下の例に限定されるものではない。
【0044】
[採点システムの構成]
図2は、本発明の採点システムの具体的な構成の一例を示す図である。
図2に示すように、採点システム11は、採点結果を提供するためのサーバ12と、サーバ12とネットワーク16を介して接続された複数のユーザ端末13、14、15とを備えている。サーバ12は、プロセッサ121と、ハードディスク122とを備えており、プロセッサ121が判別手段、方位特定手段及び採点手段として機能し、ハードディスク122が記憶手段として機能する。
【0045】
ユーザ端末13、14、15は、それぞれ物件の採点を依頼するユーザが使用する情報処理装置である。ユーザ端末13は、多機能携帯電話であり、カメラとタッチパネル式のディスプレイとを備えており、カメラで撮影した間取り画像をタッチパネル式のディスプレイに表示して方位特定情報をタッチパネルで入力して間取り情報を作成し、サーバに送信可能である。ユーザ端末14は、ノートパソコンであり、ディスプレイとキーボードとを備えており、インターネットで検索した間取り画像をディスプレイ上で加工して間取り情報としてサーバに送信可能である。ユーザ端末15は、デスクトップパソコンであり、ディスプレイと図示しない入力手段(マウス、キーボード)とを備えており、さらにスキャナー151が接続されており、スキャナー151で間取り図を取り込み、ディスプレイ上で加工して間取り情報としてサーバに送信可能である。ユーザ端末13、14、15は、それぞれ間取り取得手段及び出力手段として機能する。
【0046】
図3は、サーバ12における間取り情報入力処理のフローチャートであり、
図4〜
図5は、ユーザ端末13のディスプレイに表示された画面の一例である。S31において、サーバ12のプロセッサ121(以下、単にサーバという)は、ユーザ端末13がネットワーク16を介してサーバ12にアクセスすると、アクセスしたユーザ端末13のディスプレイにスタート画面を表示させる。
図4(A)は、採点システムのスタート画面の一例であり、「スタート」ボタンが表示されており、ユーザが「スタート」ボタンを操作すると処理が開始される。S32において、サーバ12は、ユーザ端末13から物件の種別を取得する。
図4(B)は、ユーザ端末13のディスプレイに表示された物件の種別の入力画面の一例であり、「集合住宅」、「戸建住宅」、「リフォーム」のボタンが物件の種別として選択可能に表示されており、ユーザがボタンを選択することにより、選択した種別が入力される。図では「戸建住宅」が選択されている。S33において、サーバ12は、ユーザ端末13から物件の階数を取得する。
図4(C)は、ユーザ端末13のディスプレイに表示された物件の階数の入力画面の一例であり、「1階のみ」、「2階あり」、「3階あり」のボタンが物件の階数として選択可能に表示されており、ユーザがボタンを選択することにより、選択した階数が入力される。図では「2階あり」が選択されている。
【0047】
S34において、サーバ12は、ユーザ端末13から間取り図の画像を取得する。間取り図の画像を入力する際に、複数の階数の間取り図において位置合わせのために、共通する位置を特定する位置合わせのマークをユーザ端末13のディスプレイに表示させてもよい。
図5(A)は、1階の間取り図の入力画面であり、ユーザ端末のカメラの画像とともに、直交する2直線で構成された位置合わせマーク51及び階数がディスプレイに表示されている。ユーザは、ユーザ端末13のカメラによって、各階の間取り図において位置が共通する部材(例えば階段)が位置合わせマーク51に合うように間取り図の向きを調整して撮影し、間取り図の画像を入力する。ユーザ端末13は、間取り画像撮像時において、撮像した画像から不要な部分を削除して必要となる間取り画像のみに画像処理する機能を有することが好ましい。特に、階数ごとに間取り図を入力する必要があるが、物件情報の間取り図は、紙面の削減のために近接して間取り図が配置されていることがあり、画像のトリミング処理として、四角形のトリミング領域によって切り取るだけではなく、フリーハンドでトリミング領域を指定して切り取り可能な画像処理機能を有することが好ましい。S35において、サーバ12は、取得した物件の階数に基づいて、次の階の有無を特定し、次の階があれば(S35のYes)、S34に戻り、ユーザ端末13から次の階の間取り図の画像を取得する。
図5(B)は、2階の間取り図の入力画面であり、位置合わせマーク51及び階数が表示されており、1階と同様に、位置合わせマーク51に階段の角を合わせた2階の間取り図の画像が入力される。S35において、入力した間取り図の画像が最後の階であり、次の階がなければ(S35のNo)、次の処理に進む。S36において、サーバ12は、ユーザ端末13から方位特定情報を取得する。
図5(C)は、方位特定情報の入力画面であり、すでに入力された当該物件のいずれかの階数の間取り図の画像とともに、方位記号52がディスプレイに表示されている。ユーザは、実際の物件に対する方位に合わせて方位記号52の向きを調整して決定することで、物件の間取りに対する方位特定情報を入力できる。また、
図3〜5には記載していないが、サーバ12は、方位特定情報を取得する処理の前後において、間取り図の画像に対して、玄関、台所、トイレなどの要素の位置を特定する要素特定処理を行ってもよい。これは、ユーザに対して、玄関、台所、トイレなどの要素の位置を画像上で特定させ、その特定された座標を要素特定情報として取得する。これらの情報は、間取り情報としてユーザ端末13からサーバ12に送信される。なお、物件の階数については、S33の処理で特定する方法以外にも、間取り図の枚数で階数を特定してもよい。この場合は、例えば間取り図の画像を入力した後に、次の階の有無をユーザに確認し、ユーザから次の階なしと入力されたら、それまでに入力された画像の枚数で物件の階数を特定することができる。
【0048】
表1は、間取り情報入力処理で入手した間取り情報について、物件単位の情報を格納した物件テーブルであり、表2は、間取り情報について、階数単位の情報を格納した階数テーブルである。
【0051】
表1の物件テーブルには、物件ID、ユーザID、種別、総階数、方位が格納され、表2の階数テーブルには、物件ID、間取りID、該当階、間取り画像が格納され、いずれもハードディスク122に記憶されている。物件IDは、物件を一意に特定する識別情報であり、間取り情報入力処理の開始時又は終了時に付与され、その入力処理で入力された情報すべてに紐づけられる。ユーザIDは、ユーザ又はユーザ端末を一意に特定する識別情報であり、間取り情報入力処理を入力したユーザ又はユーザ端末のユーザIDが格納される。種別及び総階数は、間取り情報入力処理で取得した物件の種別及び階数が格納される。方位は、物件に対する方位であり、取り情報入力処理で取得した方位特定情報が格納される。方位は、基準線に対する角度や基準点からの座標で表すことができ、例えば、画像のX軸(横軸)を基準線として北の向きを角度で特定してもよいし、画像の中心を基準点として北の向きを基準点からの座標で特定してもよい。表1では、角度で方位を特定している。間取りIDは、間取り画像を一意に特定する識別情報であり、間取り画像の取得時などに付与される。表2の階数テーブルでは、物件IDを格納しており、この点で間取りIDと紐付けられているが、間取りIDの一部に物件IDを含ませており、間取りID自体でも紐づけられている。なお、表1と表2のようにテーブルを分離せず、一つのテーブルで管理することもできるし、さらにテーブルを細分化することもできる。また、他の情報をテーブルに格納してもよい。
【0052】
図6は、サーバ12における採点、判別処理のフローチャートである。S61において、サーバ12は、判別する対象となる物件を選択し、S62において、対象物件の間取り情報を取得する。対象物件が複数の階数を有し、複数の間取り情報が含まれる場合は、そのうちの1つを選択して取得する。S63において、サーバ12は、取得した間取り情報から物件の要素及び方位を判別する。サーバ12は、画像認識ソフトによって間取り図の画像から少なくとも物件の要素の一部を判別し、さらに、間取り図が方位記号を含む場合には間取り図の画像から方位も判別してもよい。また、サーバ12は、間取り情報に含まれるその他の情報から物件の要素及び方位を判別してもよい。S64において、サーバ12は、対象物件において、未処理の階の間取り情報の有無を判定し、未処理の階があれば(S64のYes)、S62に戻り、未処理の階の間取り情報を取得し、S63において物件の要素及び方位を判別する。物件の方位については、階ごとに物件の方位を判別してもよいし、前の階と同じ方位を援用してもよい。未処理の階がなくなれば(S64のNo)、対象物件の判別処理を終了して次の処理に進む。
【0053】
S65において、サーバ12は、物件の評価項目(風水等、明るさ(採光)、風通し、収納力、生活動線)の一つを選択し、S66において、選択された評価項目に必要となる物件の要素を抽出し、選択された評価項目の採点基準に基づいて物件を採点する。抽出される要素は、判別手段3で間取り図の画像から判別された要素が含まれていればよく、間取り図の画像から判別された情報に加えて、間取り情報に含まれる画像以外の情報を利用して取得した要素を含んでいてもよいし、間取り情報とは別に入手した情報から取得した要素を含んでいてもよい。S67において、サーバ12は、対象物件において、未採点の評価項目の有無を判定し、未採点の評価項目があれば(S67のYes)、S65に戻り、未採点の評価項目を選択し、S66において、選択された評価項目に必要となる物件の要素を抽出し、選択された評価項目の採点基準に基づいて物件を採点する。採点する評価項目は、採点システムにおいて予め設定されていてもよいし、ユーザが評価項目を選択可能にしてもよい。未採点の評価項目がなくなれば(S67のNo)、S68において、サーバ12は、採点結果をユーザ端末のディスプレイに出力して処理を終了する。なお、S63で判別した要素及び方位をハードディスク122に記憶してもよいし、S66で採点した採点結果をハードディスク122に記憶してもよい。
【0054】
[採点基準及び採点の例]
以下、各評価項目の採点基準について例示し、具体的な評価項目の採点方法について説明する。ただし、本発明の採点基準、採点方法は以下の例に限定されるものではない。表3は、物件の風水等の採点基準の一例である。
【0056】
表3の採点基準によれば、玄関とトイレの配置と鬼門の方位だけで求まるので、必要な要素が少なく比較的簡単に採点ができる。複数の階数の物件の場合は、各階での風水等の合計を採点個所で平均すればよい。
図7は、風水等の採点を説明するための図であり、
図7(A)は1階の間取り図であり、
図7(B)は2階の間取り図である。
図7の間取り図によれば、1階には玄関71とトイレ72が配置され、2階にはトイレ73が配置されている。間取り図には方位記号74が記載されているが、まず、間取り図における方位の中心を求めるため、間取り図の左下の張りの部分75(網掛け)を無視して、全体の形状を略四角形とみなし、その対角線76(点線)の交点を中心Cとした。中心Cに方位記号74a、74bの中心を配置すると、北東の鬼門77(北に対して時計回りに30度〜60度の範囲)と南西の裏鬼門78(北に対して時計回りに210度〜240度の範囲)の方位が特定される。
図7(A)から、玄関71もトイレ72も鬼門77及び裏鬼門78に入っていないため、1階の点数は100点となり、
図7(B)から、トイレ73も鬼門77及び裏鬼門78に入っていないため、2階の点数は50点となる。物件全体の風水等の評価として、合計点/採点個所という式を採用すれば(100点+50点)/3カ所=50点となり、合計点/階数という式を採用すれば(100点+50点)/2階=75点となる。なお、鬼門及び裏鬼門の角度範囲は一例にすぎず、特に限定されるものではない。
【0057】
表4は、物件の明るさの採点基準の一例である。
【0059】
表4の明るさの採点基準では、第1の基準として、吹き抜けの有無を判定する。吹き抜けを有する場合は100点が加点される。次に、吹き抜けが無い場合には、第2の基準として、間取り図における南側の全幅(TW)に対する南向きの窓の寸法の合計(WW)の割合(WW/TW)で採点する。上記採点基準では、南側の全幅が窓の場合(WW/TW=1)に100点とし、南側の全幅の半分が窓の場合(WW/TW=0.5)に80点とし、南側に窓がない場合(WW/TW=0)に0点とする。
図8は、それ以外の割合WW/TW(横軸)と点数(縦軸)との関係を示すグラフである。このように明るさの点数は、割合(WW/TW)が0〜0.5の範囲では「点数=160×割合」という式で求まり、割合(WW/TW)が0.5〜1の範囲では「点数=40×割合+60」という式で求まる。換算式として、割合(WW/TW)と点数とを正比例の関係とした「点数=100×割合」という一律の式を採用してもよいが、この場合、最頻値付近に点数が集中し、評価に差が出にくくなる。これは、割合(WW/TW)の分布は一般的な正規分布に従うと推測され、偏差値50の平均的な割合の場合の確率密度が最大となり、割合の差が少ない物件が大半を占め、結局点数の差も少なくなる。このため、閾値(今回は割合=0.5)を設けて異なる換算式を採用することにより、割合の差が僅かでも点数の差を大きくしたり、割合の差が大きくても点数の差を小さくすることができる。さらに、表4の採点基準では採用していないが、第3の基準として、第1の基準又は第2の基準の点数から、南に面した窓が無い部屋があれば−10点/部屋として減点してもよい。
【0060】
図9〜10は、具体的な間取り図における明るさを評価した例を示す図である。
図9〜
図10において、間取り図の上が北である。
図9は、吹き抜け91、92を有する物件の例であり、(A)は1階、(B)は2階の間取り図である。
図9の物件は、1階には2階に通じる吹き抜け91を有しているため、1階の点数は100点となる。2階も吹き抜け92を有しているので100点の加点となる。物件全体としては1階も2階も100点であり、平均も100点((100点+100点)/2)となる。
【0061】
図10は、吹き抜けが無い物件の例であり、(A)は1階、(B)は2階の間取り図である。
図10の物件は吹き抜けが無いため、南側の全幅(TW)に対する南向きの窓の寸法の合計(WW)の割合(WW/TW)で採点すると、1階には南向きの窓として窓1001及び窓1002があり、画面上における窓の寸法がWW1は0.9、WW2は0.9であり、画面上における南側の全幅TWが4.5であるから、割合(WW1+WW2)/TWは約0.4となる。2階についても、窓1003及び窓1004の寸法WW1及びWW2はいずれも0.9であり、南側の全幅TWが4.5であるから、割合(WW1+WW2)/TWは約0.4となる。その結果、
図10の物件では、1階と2階の平均も約0.4の割合となり、
図8から割合0.4の点数は64点となる。
【0062】
表5は、物件の明るさの採点基準の他の一例である。
【0064】
表5の明るさの採点基準では、間取り図における物件の全周に対する窓の寸法の合計の割合(X)で採点する。窓の寸法は、物件の外部に面した窓の寸法を対象とし、それらの寸法を合計する。物件の全周は、外周の合計である。表5においては、割合(X)の範囲に対して点数を段階的に設定しているが、
図11に示すように割合(X)の数値に対して点数を連続的に変更するようにしてもよい。
図11は、割合(X)(横軸)と点数(縦軸)との関係を示すグラフである。
【0065】
表6は、物件の風通しの採点基準の一例である。
【0067】
表6の風通しの採点基準では、第1の基準として、対面方向の窓の有無を判定する。ある窓について、対面方向に窓がある場合は100点が加点されるが、途中に扉がある場合や一方の窓が小さい場合は10点減点される。さらに、対面方向の窓に加えて同じ部屋に対面以外の方向にも窓がある場合は10点加点される。ただし一つの風通しの点数は100点を超えた場合は100点とする。次に、対面方向に窓がなく、同じ部屋に対面方向以外に窓がある場合は70点が加点されるが、一方の窓が小さい場合は10点減点される。最後に対面方向にも、それ以外の方向にも対向する窓が無い場合でも60点が加点される。風通しは、少なくとも部屋に配置された各窓について評価する。一つの部屋に複数の窓が存在し、窓によって風通しの点数が異なる場合は、最高の点数がその部屋の点数となる。各部屋の風通しの点数を算出し、合計の点数を部屋の数で割った平均が物件の風通しの点数と評価する。
【0068】
図12及び
図13は、具体的な間取り図における風通しを評価した例を示す図である。
図12は、3階建ての物件であり、(A)は1階、(B)は2階、(C)は3階の間取り図である。1階には部屋はないので風通しについては評価しない。2階には2つの部屋1201、1202があり、部屋1201には、2つの窓1201a及び窓1201bがあり、部屋1202には、2つの窓1202a及び窓1202bがある。部屋1201の窓1201aについてみると、対面方向に窓1202aがあるので100点が加点されるが、間に扉1206があるので10点減点される。さらに、同じ部屋1201内に対面以外の方向に窓1201bがあるので+10点され、窓1201aの風通しは100点となる。一方、部屋1201の窓1201bについてみると、対面には窓はないが、同じ部屋1201内には対面以外の方向に窓1201aがあるので70点となる。結果として、部屋1201の風通しの点数はより高い100点となる。部屋1202では、窓1202aが、対面方向に扉1206を介して窓1201aがあり(100点−10点=90点)、さらに同じ室内に対面以外の方向に窓1201bがあり(+10点)、合計100点となる。窓1202bは対面方向に窓はなく、室内の窓1202aがあるので70点となるから、部屋1202の風通しもより点数の高い100点となる。3階の部屋1203、1204、1205は、いずれも室内に対面以外の方向の窓があるだけなので70点となる。物件全体の風通しは、(100点+100点+70点+70点+70点)/5部屋で82点となる。
【0069】
図13は、2階建ての物件であり、(A)は1階、(B)は2階の間取り図である。1階には、部屋1301があり、部屋1301には3つの窓1301a、1301b、1301cがある。窓1301a及び窓1301cは、同じ部屋で対面しているため、100点となる。さらに、同じ部屋に窓1301bがあり+10点となるが、100点を超えないので、窓1301a及び窓1301cの風通しの点数は100点である。窓1301bは、対面方向に窓1301dがあるので100点であるが、間に扉1304があり10点減点され、窓1301dが小さいのでさらに10点減点され80点となる。これに同じ部屋に対面以外の方向の窓1301a及び窓1301cがあるので20点加算され、窓1301bの風通しの点数は100点となる。部屋1301の風通しの点数はいずれの窓でも100点となる。2階の部屋1302には、3つの窓1302a、1302b、1302cがある。窓1302a及び1302cは同じ部屋で対面しているので100点であり、窓1302bは、対面方向に窓1303aがあるので100点であり、間にある2枚の扉1305、1306により20点減点されるが、同じ部屋に対面以外の方向の窓1302a及び窓1302cがあるので20点加算され、窓1302bの風通しの点数は100点となる。部屋1302の3つの窓1302a、1302b、1302cはいずれも100点であり部屋自体の評価も100点となる。部屋1303については、窓1303aが対面方向に窓1302bがあるので100点であり、間にある2枚の扉1305、1306で20点減点されるが、同じ部屋に対面以外の方向の窓1303bがあるので10点加算され、窓1303aの風通しの点数は90点となる。別の窓1303bは、同じ部屋に対面以外の方向の窓1303aがあるので70点となる。このため、部屋1303の風通しの点数は、より高い90点である。物件全体の風通しは、(100点+100点+90点)/3部屋で97点となる。
【0070】
表7は、物件の風通しの採点基準の他の一例である。
【0072】
表7は、より簡便な風通しの採点基準であり、同室内における窓の組み合わせだけで評価するので、採点手段の処理の負担を減らすことができる。この採点基準では物件の部屋ごとに採点する。第1に、同室内において対面する壁に一対の窓が配置されている場合には100点が加点され、その部屋の採点を終了する。第2に、同室内において対面以外の他の壁に一対の窓が配置されている場合には70点が加点され、その部屋の採点を終了する。第3に、同室内において他の壁に窓が配置されていない場合(同じ壁に複数の窓が配置されている場合を含む)は50点が加点される。仮に、窓が無い部屋があった場合には0点又は減点とすればよい。各部屋の風通しの点数を算出し、合計の点数を部屋の数で割った平均が物件の風通しの点数と評価する。
【0073】
図14は、具体的な間取り図における風通しを評価した例を示す図であり、間取り図は
図13と同じである。
図14(A)の1階には、部屋1401があり、部屋1401には3つの窓1401a、1401b、1401cがある。窓1401a及び窓1401cは、同じ部屋で対面する壁に配置されているため、100点となり、部屋1401についての採点は終了する。窓1401bは、窓1401a及び窓1401cの組み合わせがあるので無視される。
図14(B)の2階の部屋1402には、3つの窓1402a、1402b、1402cがある。窓1402a及び1402cは同じ部屋で対面する壁に配置されているので100点であり、部屋1402の採点が終了する。部屋1403については、窓1403a及び窓1403bがあり、窓1403aと窓1403bとは隣り合う壁に配置されており、対面以外の他の壁に配置されているため70点となり、部屋1403の採点が終了する。物件全体の風通しは、(100点+100点+70点)/3部屋で90点となる。このように、表7の採点基準においても風通しの採点として妥当な範囲内の結果が得られた。
【0074】
収納力の採点基準は、収納面積/総面積の割合(%)であり、収納率とも呼ばれる。
図15は、収納率と点数との関係を示すグラフであり、(A)は戸建住宅におけるグラフであり、(B)は集合住宅におけるグラフである。
図15(A)では、戸建住宅の標準的な収納率である13%のときに80点となっており、収納率が0%から13%の範囲では「点数=80/13×収納率」という式で求まり、収納率が13%から20%の範囲では「点数=20/7×収納率+300/7」という式で求まり、収納率が20%以上の場合は100点となる。
図15(B)では、集合住宅の標準的な収納率である10%のときに80点となっており、収納率が0%から10%の範囲では「点数=8×収納率」という式で求まり、収納率が10%から15%の範囲では「点数=4×収納率+40」という式で求まり、収納率が15%以上の場合は100点となる。このように、標準的な収納率の時に80点としたが、標準的な収納率は、多数の物件で採用されており、ある程度の満足度が得られることから、住み心地としては50点ではなく、より高い点数(ここでは80点)の評価とした。
【0075】
表8は、物件の家事動線(生活動線)の採点基準の一例である。
【0077】
表8の家事動線の採点基準では、第1の基準として、台所と洗濯機置き場とが同じ階に配置されているか否かを判定する。同じ階に配置されている場合は、間取りの対角線の距離(DL)に対する台所から洗濯機置き場までの距離(CW)の割合(CW/DL)で採点する。上記採点基準では、台所から洗濯機置き場までの距離(CW)が、対角線の距離(DL)の2割以下の場合(CW/DL≦0.2)に100点とし、対角線の距離(DL)の半分の場合(CW/DL=0.5)に50点とし、対角線の距離(DL)以上の場合(CW/DL≧1.0)に0点とする。
図16は、割合CW/DL(横軸)と点数(縦軸)との関係を示すグラフである。このように家事動線の採点は、割合(CW/DL)が0〜0.2の範囲では「点数=100」となり、0.2〜0.5の範囲では「点数=(−500/3)×割合+400/3」という式で求まり、割合(CW/DL)が0.5〜1の範囲では「点数=−100×割合+100」という式で求まる。0.2〜1.0の範囲の換算式として、割合(CW/DL)と点数とを換算する一律の式を採用してもよいが、この場合、明るさの採点基準と同様に、最頻値付近に点数が集中し、点数に差が出にくくなる。このため、閾値(今回は割合=0.5)を設けて異なる換算式を採用することにより、割合の差が僅かでも点数の差を大きくしたり、割合の差が大きくても点数の差を小さくすることができる。なお、第1の基準で台所と洗濯機置き場とが同じ階に配置されていないと判断された物件は、第2の基準に示すように0点となる。
【0078】
図17は、具体的な間取り図における家事動線を採点した例を示す図である。
図17(A)の物件では、画面上における間取り図の対角線の長さDLは6.9であり、台所1601から洗濯機置き場1602までの距離CWは3.4であるから、割合(CW/DL)は約0.5となる。このため、
図17(A)の家事動線の点数は50点である。
図17(B)の物件では、画面上における間取り図の対角線の長さDLは8.4であり、台所1603から洗濯機置き場1604までの距離CWは1.9であるから、割合(CW/DL)は約0.2となる。このため、
図17(B)の家事動線の点数は100点である。
【0079】
表9は、総合評価の評価基準の一例である。総合評価は、複数の評価項目の結果の合計点で評価する。
【0081】
表9の総合評価の評価基準では、合計点を100点満点で正規化したとき、すなわち合計点/項目数で求めた正規化した合計点で評価する。A〜Eの5段階の等級で評価しているが、点数の範囲は均等ではなく、A評価とE評価が広くなっている。これは、複数の評価項目で平均的に高評価な物件や、低評価な物件は少ないため、A評価とE評価の点数範囲を広くしている。換言すれば、頻度が高い40点〜69点の範囲を3段階に細分化して総合評価に差が出やすくしている。
【0082】
図18は、ユーザ端末13のディスプレイに表示された評価結果の一例であり、評価結果は、
図6のS68においてサーバ12からユーザ端末13に送信される。
図18に示すように、ディスプレイには、「72点/100点」と100点満点に正規化された合計点と、「Aランク」という評価が表示されている。その下には、5つの評価項目を頂点とする正五角形のレーダーチャートによって個別評価が表示されている。各項目の点数は、総合評価に合わせて各20点満点に変換されている。
【0083】
[実施例1]
図19は、集合住宅であるワンルームマンションの物件1900における採点箇所を示す間取り図である。
図19に示す間取り図の画像から、判別手段によって、少なくとも物件の壁、玄関1901、トイレ1902、部屋1903、その窓1903a、台所1904、洗濯機置き場1905、収納1906、1907、1908及び方位記号1909が画像認識される。方位記号1909を認識することにより物件の方位を特定し、物件の中心に方位記号1910の中心を配置して、物件1900の向きと鬼門1911及び裏鬼門1912の方位とを特定する。まず、玄関1901及びトイレ1902が、鬼門1911及び裏鬼門1912の範囲に含まれていないので、表3から物件の風水等の採点は100点となる。次に、物件1900には吹き抜けが無いので、物件の南側の全幅TWに対する南向きの窓の寸法の合計(WW)の割合(WW/TW)を採点すると、特定した方位によれば、物件の南側は図面の上方となり、南向きの窓が存在しない(WW=0)。したがって、割合(WW/TW)は0となり、表4から明るさの採点は0点となる。物件の風通しについては、物件の部屋1903には窓1903aがあり、他には物件に窓が無いので、表6から物件の風通しの採点は60点となる。収納力については、物件の総面積が22.33であるのに対し、収納1906、1907、1908の面積の合計は1.22であるから、収納率は5.5%(1.22/22.33×100)となり、
図15(B)から物件の収納力の採点は55点となる。家事動線について、画面上における間取り図の対角線の長さDLは10.1であり、台所1904から洗濯機置き場1905までの距離CWは3.5であるから、割合(CW/DL)は約0.35となる。このため、表8から物件の家事動線の採点は75点となる。
【0084】
図20は実施例1の採点結果である。上記で求められた点数をそれぞれ評価項目の数で割り、合計点が100点満点となるように換算する。5項目のため、採点結果は、風水等:100点が20点となり、明るさ:0点が0点のまま、風通し:60点が12点となり、収納力:55点が11点となり、家事動線:57点が15点となる。合計点数は57点であり、表9から総合評価はCとなる。総合評価及び個別結果に加えてコメントを付加してもよく、例えば、「風水は最高ですが、収納力と明るさが不足です」と高得点の項目や低い点の項目を指摘してもよい。
【0085】
[実施例2]
図21は、戸建住宅の物件2100における採点箇所を示す間取り図である。
図21に示す間取り図の画像から、判別手段によって、少なくとも物件の壁、玄関2101、トイレ2102、2103、部屋2111〜2114、その窓2111a〜2114b、台所2104、洗濯機置き場2105及び収納(黒塗りの部分)が画像認識される。物件の中心を特定するため、間取り図の全体形状から張り(凸部)や欠け(凹部)を無視した略四角形2120(点線)を作成し、その対角線2121と対角線DLとの交点を中心とした。間取り情報に含まれている方位特定情報から物件の方位を特定し、物件の中心に方位記号2122の中心を配置して、物件2100の向きと鬼門2123及び裏鬼門2124の方位とを特定する。玄関2101及びトイレ2102は鬼門2123の範囲に含まれているので、表3から物件の風水等の採点は0点となる。なお、トイレ2103については鬼門にも裏鬼門にも配置されていないが、トイレ2102が鬼門2123に配置されているため採点の対象とはならない。次に、物件2100には吹き抜けが無いので、物件の南側の全幅TWに対する南向きの窓の寸法の合計(WW)の割合(WW/TW)を採点すると、特定した方位2122によれば、物件の南側は図面の下方となり、南向きの窓として3つの窓2111a、2111c、2114bが存在する。その寸法WW1、WW2、WW3の合計WWは6.3であり、南側の全幅TWは10.9であるので割合(WW/TW)は0.58となり、表4から明るさの採点は83点となる。
【0086】
物件の風通しについては、物件の部屋2111には窓2111a〜dがあり、表6から、窓2111aは、対面方向に窓2112aがあるので100点が加点されるが、間に扉が2枚あるので20点減点され、窓2112aが小さいことから10点減点される。さらに、同じ部屋2111内に対面以外の方向に窓2111b及び窓2111dがあるので20点加算され、窓2111aの風通しは90点(100−20−10+20)となる。その他の窓2111c〜dは対面に窓がないので70点となるので、部屋2111の風通しの点数はより高い90点となる。部屋2112では、窓2112aが対面方向に2枚の扉を介して窓2111aがあり(100点−20点)、同室内に窓2112bがあるが(+10点)、窓2112aが小さいことから(−10点)、窓2112aは80点となる。窓2112bは対面以外に小さい窓2112aがあるので60点(70点−10点)となる。このため、部屋2112の風通しの点数はより高い80点となる。部屋2113及び2114については、いずれも同室内に対面する窓があるので100点となる。平均すると92.5点((90+80+100+100)/4)となり、これが物件2100の風通しの採点となる。
【0087】
収納力については、物件の総面積が162.3であるのに対し、黒塗り部分の収納の合計面積が16.6であるので、収納率は10%(16.6/162.3×100)となり、
図15(A)から物件の収納力の採点は62点となる。家事動線について、画面上における間取り図の対角線の長さDLは168であり、台所2104から洗濯機置き場2105までの距離CWは38であるから、割合(CW/DL)は約0.2となる。このため、表8から物件の家事動線の採点は100点となる。
【0088】
図22は実施例2の採点結果である。上記で求められた点数をそれぞれ評価項目の数で割り、合計点が100点満点となるように換算する。5項目のため、採点結果は、風水等:0点が0点のまま、明るさ:83点が17点となり、風通し:93点が19点となり、収納力:62点が12点となり、家事動線:100点が20点となる。合計点数は68点であり、表9から総合評価はBとなる。総合評価及び個別結果に加えてコメントを付加してもよく、例えば、「風水を気にする方は玄関位置を変えましょう」、「開運アイテムを置きましょう」などの点数の低い評価項目についての改善点を指摘してもよい。
【0089】
[実施例3]
本実施例では、その他の情報としてユーザにアイテム(家具、備品を含む)を入力させ、それを採点に利用した実施例である。
図23は、ユーザ端末2301のディスプレイ2302であり、ディスプレイ2302上には間取り図の画像2311が表示されており、その下方にアイテム欄2312が表示され、アイテム欄2312内に複数のアイテムが表示されている。
図23では、アイテムとして、水晶2321、盛り塩2322、お札2323などの風水等に影響するアイテムが表示されているが、アイテムはこれに限定されるものではなく、家具、インテリアなどでもよい。アイテムは、サーバから提供されてもよく、無条件で提供されても、条件付きで提供されてもよい。例えば、基本アイテムについては無条件で提供し、より効果の高いアイテムについては条件(例えば、課金、一定回数以上サービス利用、アンケート協力など)を満たしたユーザに提供してもよい。ユーザは各アイテムを選択し、間取り図の画像2311の好きな位置に移動させることが可能であり、運気を向上させるためにアイテムを好きな場所に配置する。ユーザ端末2301は、選択されたアイテムと配置された間取り図の画像2311上の座標を間取り情報に含めてサーバに送信する。サーバの採点手段は、選択されたアイテムと、その配置に応じて加点又は減点し、風水等の採点にアイテムの影響を反映させる。なお、アイテムとして家具を配置させた場合に、例えば、窓の位置との関係で、明るさ又は風通しの採点に影響させてもよいし、動線との関係で、家事動線の採点に影響させてもよい。 なお、上記実施の携帯における評価内容及び採点方法は、単なる一例であって、種々変更が可能である。
【解決手段】採点システム1において、間取り取得手段2が物件の間取り図の画像を含む間取り情報を取得し、プロセッサ8の判別手段3が取得した間取り情報に基づいて間取り図を構成する要素の少なくとも一部を判別し、採点手段4が間取り図を構成する要素と必要に応じて方位特定手段7で特定した方位又は/及びその他の情報とに基づいて物件に関する風水等、明るさ(採光)、風通し、収納力、生活動線などのレイアウトに起因する評価項目の少なくとも一つについて採点し、出力手段5が採点手段4の採点結果を出力する。記憶手段6が間取り取得手段2で取得した間取り情報、判別手段3で判別した各要素、採点手段4での採点結果及び方位特定手段7で特定した方位などを、対応する物件に関連付けて記憶する。