特許第6773348号(P6773348)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6773348角度調整機構、卓上機器及び角度調整機構の組み立て方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6773348
(24)【登録日】2020年10月5日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】角度調整機構、卓上機器及び角度調整機構の組み立て方法
(51)【国際特許分類】
   H04M 1/02 20060101AFI20201012BHJP
   F16C 11/04 20060101ALI20201012BHJP
   F16C 11/10 20060101ALI20201012BHJP
【FI】
   H04M1/02 A
   F16C11/04 F
   F16C11/10 A
【請求項の数】9
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2019-166021(P2019-166021)
(22)【出願日】2019年9月12日
【審査請求日】2019年9月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】國井 優
【審査官】 石井 則之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−221896(JP,A)
【文献】 特開2005−77573(JP,A)
【文献】 特開2005−101246(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 11/00−11/12
G09F 9/00
H04M 1/02−1/23
H05K 5/00−5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示器が取り付けられるベース部材と、
前記ベース部材を下から支持し、前記ベース部材の回転動作に連動して上下に移動する支持部材と、
前記ベース部材を回転可能に連結する回転軸を有するマウント部材と、
弾性材料で形成され、前記マウント部材に取り付けられ、摩擦力によって前記支持部材の上下運動を抑制する抑制部材と、
を有し、
前記抑制部材には、前記支持部材の一部が挿入される穴が設けられており、前記穴において前記支持部材との間に前記摩擦力が発生し、
前記支持部材は、前記ベース部材の回転動作に伴って前記抑制部材に設けられた穴を摺動することで上下に移動し、前記ベース部材の回転動作が停止すると前記摩擦力によって移動を停止するように構成されている、
角度調整機構。
【請求項2】
前記支持部材は、前記抑制部材に設けられた穴に挿入されて前記穴を摺動する摺動棒を有し、
前記摺動棒の外径は、前記摺動棒が挿入されていない状態の前記穴の内径よりも大きく、
前記支持部材は、前記ベース部材が前記回転軸の周りに回転することに伴って前記摺動棒が前記穴を摺動することで上下に移動する、
請求項1に記載の角度調整機構。
【請求項3】
前記支持部材は、前記ベース部材に設けられた係合溝に係合する係合部をさらに有し、
前記係合部が前記係合溝の下面によって上方向に押圧されることで前記支持部材は上方向に移動し、前記係合部が前記係合溝の上面によって下方向に押圧されることで前記支持部材は下方向に移動する、
請求項2に記載の角度調整機構。
【請求項4】
前記支持部材はT字形状に形成されており、前記摺動棒が前記T字形状の縦棒に対応し、前記係合部が前記T字形状の横棒に対応する、
請求項3に記載の角度調整機構。
【請求項5】
前記係合部は、円柱形状に形成されている、
請求項3又は4に記載の角度調整機構。
【請求項6】
前記抑制部材は、前記穴が形成されている方向から見て、前記穴が形成されている領域とは異なる領域で、前記マウント部材と接触している、
請求項1から5のいずれか1項に記載の角度調整機構。
【請求項7】
前記支持部材の前記穴を摺動する部分には、前記支持部材の摺動方向に沿って均等な間隔で、摺動する部分の軸方向から見て互いに対称な位置に、溝が形成されている、
請求項1から6のいずれか1項に記載の角度調整機構。
【請求項8】
表示器と、
前記表示器の角度を調整する請求項1乃至7の何れか1項に記載の角度調整機構と、
前記角度調整機構が前記マウント部材に介して取り付けられる機器本体と、
を有することを特徴とする、卓上機器。
【請求項9】
表示器が取り付けられるベース部材を回転可能に連結する回転軸を有するマウント部材に、前記ベース部材を下から支持し前記ベース部材の回転動作に連動して上下に移動する支持部材の上下運動を摩擦力によって抑制し弾性部材で形成された抑制部材を取り付け、
前記支持部材の一部を前記抑制部材に設けられた穴に挿入し、
前記ベース部材を前記マウント部材に組み付け、
前記表示器を前記ベース部材に固定する、
角度調整機構の組み立て方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、角度調整機構、卓上機器及び角度調整機構の組み立て方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、電子機器本体に回転軸によって回転可能に連結された表示部を有する電子機器を開示している。電子機器は、表示部と、表示部の角度を保持するための摺動部と、摺動部と圧接して摩擦力を得る摩擦部とを有する。摩擦部は、弾性力を有する材料で形成され、摺動部に形成した摺動面を圧接してその摩擦力により表示部の角度を保持するように配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3117629号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1にかかる電子機器の構造では、摩擦部の反発力が、摺動部と、摩擦部が取り付けられているカバーとに加わる。これにより、摩擦部の反発力による負荷が、回転軸に伝わることとなる。ここで、一般的に、回転軸は径が小さいため、剛性が弱い。したがって、摩擦部の反発力により、回転軸が変形するおそれがある。このように、特許文献1にかかる電子機器の構造では、摩擦部の反発力により、周囲の部品に影響を及ぼすおそれがある。したがって、特許文献1にかかる電子機器の構造では、品質が安定しないおそれがある。
【0005】
本開示の目的は、このような課題を解決するためになされたものであり、安定した品質を実現することが可能な角度調整機構、卓上機器及び角度調整機構の組み立て方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示にかかる角度調整機構は、表示器が取り付けられるベース部材と、前記ベース部材を下から支持し、前記ベース部材の回転動作に連動して上下に移動する支持部材と、前記ベース部材を回転可能に連結する回転軸を有するマウント部材と、弾性材料で形成され、前記マウント部材に取り付けられ、摩擦力によって前記支持部材の上下運動を抑制する抑制部材と、を有し、前記抑制部材には、前記支持部材の一部が挿入される穴が設けられており、前記穴において前記支持部材との間に前記摩擦力が発生し、前記支持部材は、前記ベース部材の回転動作に伴って前記抑制部材に設けられた穴を摺動することで上下に移動し、前記ベース部材の回転動作が停止すると前記摩擦力によって移動を停止するように構成されている。
【0007】
また、本開示にかかる卓上機器は、機器本体と、表示器と、前記表示器の角度を調整する角度調整機構と、を有し、前記角度調整機構は、前記表示器が取り付けられるベース部材と、前記ベース部材を下から支持し、前記ベース部材の回転動作に連動して上下に移動する支持部材と、前記機器本体に取り付けられ、前記ベース部材を回転可能に連結する回転軸を有するマウント部材と、弾性材料で形成され、前記マウント部材に取り付けられ、摩擦力によって前記支持部材の上下運動を抑制する抑制部材と、を有し、前記抑制部材には、前記支持部材の一部が挿入される穴が設けられており、前記穴において前記支持部材との間に前記摩擦力が発生し、前記支持部材は、前記ベース部材の回転動作に伴って前記抑制部材に設けられた穴を摺動することで上下に移動し、前記ベース部材の回転動作が停止すると前記摩擦力によって移動を停止するように構成されている。
【0008】
また、本開示にかかる角度調整機構の組み立て方法は、表示器が取り付けられるベース部材を回転可能に連結する回転軸を有するマウント部材に、前記ベース部材を下から支持し前記ベース部材の回転動作に連動して上下に移動する支持部材の上下運動を摩擦力によって抑制し弾性部材で形成された抑制部材を取り付け、前記支持部材の一部を前記抑制部材に設けられた穴に挿入し、前記ベース部材を前記マウント部材に組み付け、前記表示器を前記ベース部材に固定する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、安定した品質を実現することが可能な角度調整機構、卓上機器及び角度調整機構の組み立て方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】卓上機器を示す図である。
図2】実施の形態1にかかる角度調整機構を正面から見た斜視図である。
図3】実施の形態1にかかる角度調整機構の分解図である。
図4】実施の形態1にかかる支持部材を示す斜視図である。
図5】実施の形態1にかかる抑制部材を示す斜視図である。
図6】実施の形態1にかかる角度調整機構を背面から見た斜視図である。
図7】実施の形態1にかかるベース部材に設けられた案内リブの詳細を示す図である。
図8】実施の形態1にかかるマウント部材に設けられた案内溝の詳細を示す図である。
図9】案内リブが案内溝に挿入された状態を示す図である。
図10】実施の形態1にかかる角度調整機構の詳細を示す図である。
図11】実施の形態1にかかる角度調整機構の組み立て方法を示すフローチャートである。
図12】実施の形態1にかかる角度調整機構によって表示器が回転した状態を示す図である。
図13】実施の形態1にかかる角度調整機構によって表示器が回転した状態を示す図である。
図14図13における支持部材及び抑制部材の断面の拡大図である。
図15】比較例にかかる角度調整機構を示す斜視図である。
図16】比較例にかかる角度調整機構の詳細を示す図である。
図17】比較例にかかる弾性部材を示す斜視図である。
図18】比較例にかかる角度調整機構の、弾性部材の近傍を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(本開示にかかる実施の形態の概要)
本開示の実施形態の説明に先立って、本開示にかかる実施の形態の概要について説明する。まず、表示器の角度を調整可能な角度調整機構を有する卓上機器について説明する。
【0012】
図1は、卓上機器1を示す図である。卓上機器1は、LCD(liquid crystal display)等の表示器2と、機器本体4と、角度調整機構10とを有する。角度調整機構10は、表示器2が取り付けられるベース部材6を有する。
【0013】
角度調整機構10は、機器本体4に対する表示器2の角度(チルト角度)を調整可能である。この角度調整機構10は、角度が無段階で調整される所謂フリーストップ機能を有している。このフリーストップ機能により、ユーザが手動で表示器2を任意の角度で調整し、その角度で表示器2が保持されることとなる。具体的には、ユーザは、表示器2が取り付けられたベース部材6を手動で回転させることができる。そして、ユーザが手を止めると、そのときの角度(傾き)で表示器2(ベース部材6)が静止するように構成されている。
【0014】
ここで、一般的に、表示器2の角度を調整する機構として、トルクヒンジが使用されることがある。しかしながら、トルクヒンジは高価である。また、トルクヒンジの組み立てには手間がかかる。したがって、角度調整機構としてトルクヒンジを採用しない方法も望まれる。
【0015】
次に、軽量化及びコスト削減を目的として、トルクヒンジを用いないでフリーストップ機能を実現する方法の一例について簡単に説明する。機器本体4に対して表示器2(ベース部材6)が回転すると、ベース部材6と、機器本体4側の部材(後述するマウント部材)とが摺動する。この摺動面にシリコンラバー部材を挟み込み、シリコンラバー部材を圧縮させることで、シリコンラバー部材とベース部材6との間に摩擦力が発生する。ユーザは、その摩擦力に抗して、表示器2(ベース部材6)を手動で回転させることができる。そして、ユーザが手を止めると、上述した摩擦力により、表示器2(ベース部材6)が静止する。
【0016】
このようにシリコンラバー部材を圧縮させると、シリコンラバー部材には、シリコンラバー部材が元の形状に戻ろうとする弾性力(反発力)が発生する。この力により、ベース部材6と機器本体4側の部材との間に、互いに離れようとする反発力が発生する。これにより、シリコンラバー部材の周囲の部品(モールド部品)に負荷が掛かるおそれがある。
【0017】
そのため、ベース部材6を回転可能とする回転軸といった、剛性の弱い箇所が変形するおそれがある。さらに、表示器2(ベース部材6)を回転させようとする力(回転力)にバラつきがでて、ユーザが上手く角度調整を行うことができなくなるおそれがある。このように、摺動面にシリコンラバー部材を挟み込む方法では、表示器の角度を保持するための摩擦力により周囲の部品に影響を及ぼすため、品質が安定しなくなるおそれがある。
【0018】
一方、本開示にかかる角度調整機構は、後述するように、ベース部材と、ベース部材を下から支持する支持部材と、ベース部材を回転可能に連結する回転軸を有するマウント部材と、抑制部材とを有する。支持部材は、ベース部材の回転動作(チルト動作)に連動して上下に移動する。抑制部材は、弾性材料で形成され、マウント部材に取り付けられ、摩擦力によって支持部材の上下運動を抑制する。抑制部材には、支持部材の一部が挿入され摺動する穴が設けられており、この穴において支持部材との間に摩擦力が発生する。支持部材は、ベース部材の回転動作に伴って抑制部材に設けられた穴を摺動することで上下に移動し、ベース部材の回転動作が停止すると摩擦力によって移動を停止するように構成されている。
【0019】
このような構成により、抑制部材による摩擦力による影響は、支持部材のみに掛かり、周囲の部品に及ぶことが抑制される。したがって、本開示にかかる角度調整機構は、上記の構成により、表示器の角度を保持するための摩擦力による周囲の部品に対する影響を抑制することが可能である。さらに、トルクヒンジを使用しないので、構造が簡単であり、製造コストを抑制することができる。このように、本開示にかかる角度調整機構は、簡単な構造により、安定した品質を実現することが可能である。
【0020】
(実施の形態1)
以下、実施形態について、図面を参照しながら説明する。説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略、及び簡略化がなされている。また、各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0021】
図2は、実施の形態1にかかる角度調整機構10を正面から見た斜視図である。また、図3は、実施の形態1にかかる角度調整機構10の分解図である。上述したように、角度調整機構10は、図1に示した卓上機器1に搭載され得る。つまり、実施の形態1にかかる卓上機器1は、角度調整機構10と、機器本体4と、表示器2とを有する。なお、図1に示した卓上機器1は電話機であるが、実施の形態1にかかる角度調整機構10が搭載される卓上機器1は、電話機に限られない。角度調整機構10が搭載される卓上機器1は、表示器2を有する任意の機器であってもよい。
【0022】
図2及び図3に示すように、角度調整機構10は、ベース部材20と、マウント部材30と、支持部材40と、抑制部材50とを有する。ベース部材20は、図1に示したベース部材6に対応する。ベース部材20は、表示器2を取り付け可能である。表示器2は、ネジ12によってベース部材20に固定され得る。
【0023】
マウント部材30は、機器本体4に取り付けられる。言い換えると、機器本体4は、角度調整機構10がマウント部材30に介して取り付けられる。マウント部材30は、ベース部材20を回転可能に連結する回転軸16を有している。回転軸16は、ベース部材20に設けられた軸受穴20aに挿入される。これにより、図2の矢印Aで示すように、表示器2が取り付けられたベース部材20は、回転軸16の周りに回転する。このようにして、表示器2及びベース部材20は、一体となって、機器本体4に対してチルト動作を行うことができる。
【0024】
支持部材40は、ベース部材20を下から支持する。支持部材40は、ベース部材20の回転動作(チルト動作)に連動して上下に移動する。詳しくは後述する。抑制部材50は、例えばシリコンラバー等の弾性材料で形成されている。抑制部材50は、マウント部材30の収容部32に収容される。抑制部材50は、摩擦力によって支持部材40の上下運動を抑制する。詳しくは後述する。なお、本実施の形態において、「上方向」は、厳密に真上方向を意味するわけではない。同様に、「下方向」は、厳密に真下方向を意味するわけではない。
【0025】
図4は、実施の形態1にかかる支持部材40を示す斜視図である。支持部材40は、摺動棒42と、2つの係合部44とが一体となって形成されている。支持部材40は、これらの構成部分により、T字形状に形成されている。好ましくは、支持部材40は、モールド材料で形成されている。例えば、支持部材40は、ABS樹脂又はアクリル樹脂で形成されている。また、好ましくは、巨視的には、摺動棒42の周囲には、均等な間隔で縦方向に溝が形成されている。例えば、後述する図9で示されるように、摺動棒42の周囲には、均等な間隔で8本の溝が形成されている。一方、微視的には、摺動棒42の表面は、光沢を有する程度に滑らかに加工されていることが好ましい。また、好ましくは、係合部44は、円柱形状に形成されている。
【0026】
図5は、実施の形態1にかかる抑制部材50を示す斜視図である。抑制部材50には、領域R1に穴52が設けられている。穴52には、支持部材40の一部である摺動棒42が挿入される。ここで、摺動棒42の外径は、摺動棒42が挿入されていない状態の穴52の内径よりも大きい。上述したように、抑制部材50は弾性材料で形成されているので、穴52に摺動棒42を挿入する際は、穴52を拡げるようにして、摺動棒42が圧入される。これにより、穴52において抑制部材50と摺動棒42(支持部材40)との間に、摩擦力を容易に発生させることができる。
【0027】
また、抑制部材50は、穴52が形成されている方向から見て領域R1とは異なる領域R2に、突起54を有する。この突起54がマウント部材30の収容部32の溝32aに係合させることで、抑制部材50がマウント部材30に固定される。ここで、突起54は、穴52の近傍つまり領域R1にまで達していない。つまり、穴52の横には突起54が形成されていない。これにより、後述する図10で示されるように、抑制部材50がマウント部材30に固定されたときに、穴52の周囲において、抑制部材50はマウント部材30に接していない。
【0028】
また、収容部32の上面には、抑制部材50が収容されたときに穴52と対向する位置に、穴32bが形成されている。摺動棒42は、穴32bを貫通し、抑制部材50の穴52に挿入される。支持部材40が抑制部材50に取り付けられた状態については、図10を用いて後述する。
【0029】
図6は、実施の形態1にかかる角度調整機構10を背面から見た斜視図である。図3に示すように、ベース部材20には、案内リブ24が形成されている。また、マウント部材30には、案内溝34が形成されている。図6に示すように、案内リブ24が案内溝34に挿入される。そして、案内リブ24が案内溝34を摺動することで、回転軸16を中心とした表示器2(ベース部材20)のチルト動作が安定して行われ得る。
【0030】
図7は、実施の形態1にかかるベース部材20に設けられた案内リブ24の詳細を示す図である。図8は、実施の形態1にかかるマウント部材30に設けられた案内溝34の詳細を示す図である。図9は、案内リブ24が案内溝34に挿入された状態を示す図である。図9は、マウント部材30の底面側から見た図である。図7に示すように、2つの案内リブ24の間には、長穴26が形成されている。また、図9に示すように、抑制部材50及び支持部材40は、2組の案内リブ24及び案内溝34の間に位置している。
【0031】
案内リブ24が案内溝34の穴34aに挿入されると、案内リブ24のツメ24aが、穴34aの壁面によって壁部24b側に押圧される。さらに案内リブ24が案内溝34の穴34aに挿入されると、ツメ24aは元に戻る。これにより、ツメ24aが穴34aの壁面に引っ掛かって、案内リブ24が穴34aから抜けなくなる。この状態で、扇形形状に形成された壁部24bが、ガイド部34bを摺動する。
【0032】
ここで、案内溝34は、円弧状に湾曲した形状となっている。具体的には、案内溝34は、2つの回転軸16を結ぶ仮想線までの距離を曲率半径とする滑らかな曲面に形成されている。また、図7に示すように、案内リブ24も同様に、案内溝34を滑らかに摺動できるように、円弧状に湾曲した滑らかな曲面に形成されている。これにより、表示器2(ベース部材20)を手動で動かす際に、回転軸16を中心としたチルト動作が滑らかに行われ得る。
【0033】
図10は、実施の形態1にかかる角度調整機構10の詳細を示す図である。図10は、支持部材40が抑制部材50の穴52に圧入されている状態を示す図である。図3及び図10に示すように、ベース部材20には、2つの係合溝22が形成されている。係合溝22は、上面22aと下面22bとによって形成されている。
【0034】
また、ベース部材20の2つの係合溝22の間には、長穴26が形成されている。摺動棒42は、長穴26に挿入される。これにより、摺動棒42は、支持部材40が上下に移動しても、ベース部材20に接触しない。したがって、ベース部材20は、摺動棒42の動きを妨げない。
【0035】
支持部材40の摺動棒42が長穴26に挿入された状態で、支持部材40の係合部44は、それぞれ、係合溝22に係合される。このように、係合部44が係合溝22に引っ掛かることにより、表示器2(ベース部材20)の回転(チルト動作)に連動して、支持部材40が動作する。具体的には、マウント部材30に対するベース部材20の角度が小さい状態からその角度が大きくなるようにユーザが表示器2を起こすように動かすと、係合部44が、係合溝22の下面22bによって上方向に押圧される。これにより、支持部材40は、抑制部材50との間の摩擦力に抗して、穴52に沿って上方向に移動する。一方、マウント部材30に対するベース部材20の角度が大きい状態からその角度が小さくなるようにユーザが表示器2を寝かすように動かすと、係合部44が、係合溝22の上面22aによって下方向に押圧される。これにより、支持部材40は、抑制部材50との間の摩擦力に抗して、穴52に沿って下方向に移動する。
【0036】
このように、摺動棒42が抑制部材50の穴52に挿入(圧入)されているので、表示器2(ベース部材20)が回転(チルト動作)すると、支持部材40は、穴52に沿って上下に移動することとなる。さらに、表示器2(ベース部材20)の回転(チルト動作)が停止すると、抑制部材50が穴52を縮めようとする圧縮力に起因する摩擦力によって、支持部材40の動作が抑制される。したがって、支持部材40は、表示器2が停止した角度で静止するように、ベース部材20を支持する。このようにして、実施の形態1にかかる角度調整機構10は、表示器2の角度(傾き)を手動で可変可能なフリーストップ機能を実現する。
【0037】
さらに、上述したように、摺動棒42の表面は滑らかに加工されているので、ユーザが手動で表示器2(ベース部材20)を回転(チルト動作)させた場合に、支持部材40は、容易に上下に移動することができる。つまり、ユーザが表示器2(ベース部材20)を回転(チルト動作)させるときには、摩擦力に抗して容易に移動させることができる。一方、ユーザが表示器2(ベース部材20)の回転を停止させたときには、摩擦力によって支持部材40の移動が抑制されるので、表示器2(ベース部材20)がその停止したときのチルト角度で静止し得る。つまり、この摩擦力は、表示器2及びベース部材20の自重よりも大きい。
【0038】
また、図10の矢印Bで示すように、摺動棒42は、抑制部材50によって、その全周において、押し潰される方向に、圧縮力を受ける。言い換えると、摺動棒42は、抑制部材50によって、その全周において、摺動棒42によって拡げられた穴52を縮めようとする方向、つまり穴52に挿入された摺動棒42を締め付ける方向に、圧縮力を受ける。このように、弾性材料である抑制部材50による圧縮力(反発力)は、支持部材40の摺動棒42のみに掛かる。したがって、抑制部材50による反発力によって、周囲の部品に負荷が掛かることが抑制される。したがって、実施の形態1にかかる角度調整機構10は、表示器2の角度を保持するための摩擦力による周囲の部品に対する影響を抑制することができる。
【0039】
そして、支持部材40(摺動棒42)は、比較的剛性の強いモールド部品で形成されている。したがって、抑制部材50の圧縮力によって支持部材40が変形する可能性は極めて低い。また、支持部材40が弾性材料ではなく剛性の強いモールド部品で形成されているので、支持部材40によるベース部材20に対する反発力は、ほとんど発生しない。そして、表示器2及びベース部材20の自重は、全て支持部材40に掛かる。このように、抑制部材50の反発力は支持部材40のみに掛かって他の部材には伝達されず、支持部材40は反発力をほとんど発生させないので、ベース部材20には負荷がほとんど掛からない。したがって、回転軸16等の周囲の部品に負荷が掛かることが抑制される。
【0040】
さらに、図5に示すように、抑制部材50の突起54は、穴52の周囲には形成されていない。言い換えると、穴52が形成されている方向から見て、抑制部材50において穴52が形成されている領域と、突起54が形成されている領域とは、異なっている。さらに言い換えると、抑制部材50は、穴52が形成されている方向から見て、穴52が形成されている領域とは異なる領域で、マウント部材30と接触している。
【0041】
これにより、上述したように、穴52の周囲において抑制部材50がマウント部材30に接しないようにしつつ、抑制部材50をマウント部材30に固定することができる。すなわち、抑制部材50の穴52に支持部材40を圧入すると、穴52の内側だけでなく外側も変形し得る。そのため、抑制部材50の周囲にも反発力が発生し得る。一方、実施の形態1においては、穴52の周囲において抑制部材50がマウント部材30に接していないので、抑制部材50の外側に発生し得る反発力が、マウント部材30に伝達されることを抑制することができる。したがって、抑制部材50の周囲に発生し得る反発力によって、周囲の部品に影響を及ぼすことを抑制することができる。
【0042】
また、上述したように、摺動棒42の周囲には、均等な間隔で縦方向に溝が形成されている。言い換えると、支持部材40の穴52を摺動する部分には、支持部材40の摺動方向に沿って均等な間隔で、摺動する部分の軸方向から見て互いに対称な位置に、溝が形成されている。摺動棒42がこのように形成されていることで、摺動棒42が抑制部材50の穴52の内壁と接する箇所を対称な位置に絞り込むことで、摺動棒42に掛かる力(反発力)の偏りを抑制することができる。すなわち、摺動棒42は、穴52の内壁と接する箇所に反発力が掛かるので、反発力が掛かる箇所を全周において対称な位置に限定することで、摺動棒42に掛かる反発力の偏りを抑制することができる。これにより、ユーザが表示器2を回転させる際に、摺動棒42の上下移動がスムーズになる。したがって、ユーザはスムーズに表示器2を回転させることができる。
【0043】
次に、角度調整機構10の組み立て手順について説明する。
図11は、実施の形態1にかかる角度調整機構10の組み立て方法を示すフローチャートである。まず、マウント部材30に抑制部材50を取り付ける(ステップS12)。具体的には、マウント部材30の収容部32に、抑制部材50を挿入する。次に、抑制部材50に支持部材40を取り付ける(ステップS14)。具体的には、抑制部材50の穴52に、支持部材40の一部である摺動棒42を挿入(圧入)する。
【0044】
次に、ベース部材20をマウント部材30に組み付ける(ステップS16)。具体的には、支持部材40の摺動棒42を長穴26に貫通させつつ、支持部材40の係合部44をベース部材20の係合溝22に引っ掛ける。また、マウント部材30に設けられた回転軸16をベース部材20に設けられた軸受穴20aに挿入する。さらに、ベース部材20に設けられた案内リブ24を、マウント部材30に設けられた案内溝34に挿入する。最後に、表示器2をベース部材20に固定する(ステップS18)。具体的には、表示器2をベース部材20に嵌合し、ベース部材20の背面からネジ12を締結する。
【0045】
次に、角度調整機構10の動作について説明する。
図12及び図13は、実施の形態1にかかる角度調整機構10によって表示器2が回転した状態を示す図である。図12は、角度調整機構10の斜視図を示す。図13は、角度調整機構10の側面図を示し、矢印Cで示す二点鎖線で囲まれた箇所は、支持部材40及び抑制部材50の断面を示す。また、図14は、図13における支持部材40及び抑制部材50の断面の拡大図である。
【0046】
また、図12及び図13の(A)は、マウント部材30(機器本体4)に対するベース部材20(表示器2)の角度が最も小さい状態(状態A)を示す図である。つまり、図12及び図13の(A)は、機器本体4に対して表示器2が最も寝ている状態を示す図である。また、図12及び図13の(C)は、マウント部材30(機器本体4)に対するベース部材20(表示器2)の角度が最も大きい状態(状態C)を示す図である。つまり、図12及び図13の(C)は、機器本体4に対して表示器2が最も起き上がった状態を示す図である。また、図12及び図13の(B)は、状態Aと状態Cとの間の状態(状態B)を示す図である。
【0047】
状態Aにおいて、ユーザが手動で表示器2(ベース部材20)を上方向に回転させることで、状態Bとなる。ここで、上述したように、支持部材40の係合部44が係合溝22に引っ掛かっており、係合溝22の下面22bが係合部44を上方向に押圧するので、状態Aから状態Bに移行すると、支持部材40は、上方向に移動している。このとき、支持部材40は、抑制部材50の反発力(抑制部材50との間の摩擦力)により、表示器2及びベース部材20の自重を受けても、下方向に落ちることが抑制される。したがって、状態Bで示したような角度で、表示器2の傾きが保持される。
【0048】
また、状態Bにおいて、ユーザが手動で表示器2(ベース部材20)をさらに上方向に回転させることで、状態Cとなる。この場合も同様に、支持部材40は、上方向に移動している。また、支持部材40は、抑制部材50の反発力(抑制部材50との間の摩擦力)により、表示器2及びベース部材20の自重を受けても、下方向に落ちることが抑制される。したがって、状態Cで示したような角度で、表示器2の傾きが保持される。このようにして、ユーザが手動で表示器2(ベース部材20)を上方向に回転させた場合に、任意の角度となるように、表示器2の傾きを調整することができる。
【0049】
一方、状態Cにおいて、ユーザが手動で表示器2(ベース部材20)を下方向に回転させることで、状態Bとなる。ここで、上述したように、支持部材40の係合部44が係合溝22に引っ掛かっており、係合溝22の上面22aが係合部44を下方向に押圧するので、状態Cから状態Bに移行すると、支持部材40は、下方向に移動している。このとき、支持部材40は、抑制部材50の反発力(抑制部材50との間の摩擦力)により、表示器2及びベース部材20の自重を受けても、下方向に落ちることが抑制される。したがって、状態Bで示したような角度で、表示器2の傾きが保持される。
【0050】
また、状態Bにおいて、ユーザが手動で表示器2(ベース部材20)をさらに下方向に回転させることで、状態Aとなる。この場合も同様に、支持部材40は、下方向に移動している。また、支持部材40は、抑制部材50の反発力(抑制部材50との間の摩擦力)により、表示器2及びベース部材20の自重を受けても、下方向に落ちることが抑制される。したがって、状態Aで示したような角度で、表示器2の傾きが保持される。このようにして、ユーザが手動で表示器2(ベース部材20)を下方向に回転させた場合に、任意の角度となるように、表示器2の傾きを調整することができる。
【0051】
また、実施の形態1にかかる支持部材40は、T字形状に形成されている。そして、T字形状の縦棒が摺動棒42に対応し、T字形状の横棒が係合部44に対応する。このように、支持部材40をT字形状に形成することで、表示器2の動作を妨げないようにすることができる。具体的には、図13に示すように表示器2(ベース部材20)の動作に連動して支持部材40が上下する際に、支持部材40とベース部材20との接触ポイントが大きく変化すると、表示器2を回転させるのに必要な荷重が大きく変化する可能性がある。したがって、操作性が悪化するおそれがある。
【0052】
一方、支持部材40をT字形状に形成することで、支持部材40が上下する際に、支持部材40とベース部材20とが接触する箇所の範囲を一定とすることができる。したがって、表示器2を回転させるのに必要な荷重が大きく変化することを抑制することができる。したがって、T字形状という簡単な構造により、良好な操作性を実現できる。さらに、係合部44の形状を円柱状にすることで、支持部材40が上下する際に、支持部材40とベース部材20との接触ポイントが不連続に変化することを抑制することができる。したがって、表示器2を回転させるのに必要な荷重が不連続に変化することを抑制することができる。したがって、さらに良好な操作性を実現できる。
【0053】
(比較例)
次に、比較例について説明する。比較例にかかる角度調整機構は、ベース部材とマウント部材との間の摺動面にシリコンラバー部材が挟み込まれている点で、実施の形態1にかかる角度調整機構10と異なる。
【0054】
図15は、比較例にかかる角度調整機構90を示す斜視図である。図16は、比較例にかかる角度調整機構90の詳細(図15の楕円で囲まれた部分)を示す図である。比較例にかかる角度調整機構90は、表示器2が取り付けられるベース部材920と、マウント部材930と、弾性部材940とを有する。ベース部材920は、マウント部材930に設けられた回転軸916に回転可能に連結されている。また、ベース部材920は、実施の形態1にかかる案内リブ24と実質的に同様の構造を有する。また、マウント部材930は、実施の形態1にかかる案内溝34と実質的に同様の構造を有する。
【0055】
図17は、比較例にかかる弾性部材940を示す斜視図である。図18は、比較例にかかる角度調整機構90の、弾性部材940の近傍を示す断面図である。弾性部材940は、円柱形状に形成されている。また、弾性部材940は、例えばシリコンラバーで形成されている。弾性部材940は、ベース部材920とマウント部材930との間の摺動面910に挟み込まれる。弾性部材940がベース部材920とマウント部材930とによって圧縮されることで、弾性部材940と、ベース部材920及びマウント部材930との間に摩擦力が発生する。この摩擦力によって、ユーザは、表示器2(ベース部材920)の傾きが任意の角度となるように調整することができる。つまり、ユーザが手動で表示器2(ベース部材920)を回転させる際、弾性部材940による摩擦力に抗してベース部材920が動作する。そして、表示器2(ベース部材920)の回転を停止すると、弾性部材940による摩擦力によって、ベース部材920の傾きがその停止したときの傾きで保持される。
【0056】
ここで、弾性部材940が圧縮されるので、図16及び図18の矢印Dで示すように、ベース部材920とマウント部材930とを離す方向に、弾性部材940による反発力が発生する。これにより、ベース部材920とマウント部材930とを連結している回転軸916に、図16の矢印Eで示すように負荷が掛かる。ここで、一般的に、回転軸916は細いため剛性が弱い。このような剛性の弱い部品に負荷が掛かると、その部品が変形するおそれがある。そのため、比較例にかかる角度調整機構90では、表示器の角度を保持するための摩擦力により周囲の部品に影響を及ぼすおそれがある。さらに、表示器2を回転させようとする力(回転力)にバラつきがでて、ユーザが上手く角度調整を行うことができなくなるおそれがある。したがって、比較例にかかる角度調整機構90では、品質が安定しなくなるおそれがある。
【0057】
これに対し、上述した実施の形態1にかかる角度調整機構10は、弾性部材である抑制部材50による反発力は、支持部材40の摺動棒42のみに掛かるように構成されている。これにより、抑制部材50による反発力は、周囲の部品に伝達されない。つまり、抑制部材50による摩擦力による影響は、支持部材40のみに掛かり、周囲の部品に及ぶことが抑制される。したがって、実施の形態1にかかる角度調整機構10は、表示器の角度を保持するための摩擦力による周囲の部品に対する影響を抑制することができる。さらに、表示器2を回転させようとする力(回転力)のバラつきを抑制することができる。したがって、実施の形態1にかかる角度調整機構10は、比較例にかかる角度調整機構90と比較して、安定した品質を実現することが可能となる。
【0058】
(変形例)
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、支持部材40は、T字形状でなくてもよい。表示器2の回転に連動して上下することが可能であれば、任意の形状であってもよい。例えば、支持部材は、棒の上部が広がった傘形状(釘やボルトのような形状)でもよい。しかしながら、支持部材40をT字形状とすることで、上述したように、簡単な構造で、良好な操作性を実現できる。
【0059】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
表示器が取り付けられるベース部材と、
前記ベース部材を下から支持し、前記ベース部材の回転動作に連動して上下に移動する支持部材と、
前記ベース部材を回転可能に連結する回転軸を有するマウント部材と、
弾性材料で形成され、前記マウント部材に取り付けられ、摩擦力によって前記支持部材の上下運動を抑制する抑制部材と、
を有し、
前記抑制部材には、前記支持部材の一部が挿入される穴が設けられており、前記穴において前記支持部材との間に前記摩擦力が発生し、
前記支持部材は、前記ベース部材の回転動作に伴って前記抑制部材に設けられた穴を摺動することで上下に移動し、前記ベース部材の回転動作が停止すると前記摩擦力によって移動を停止するように構成されている、
角度調整機構。
(付記2)
前記支持部材は、前記抑制部材に設けられた穴に挿入されて前記穴を摺動する摺動棒を有し、
前記摺動棒の外径は、前記摺動棒が挿入されていない状態の前記穴の内径よりも大きく、
前記支持部材は、前記ベース部材が前記回転軸の周りに回転することに伴って前記摺動棒が前記穴を摺動することで上下に移動する、
付記1に記載の角度調整機構。
(付記3)
前記支持部材は、前記ベース部材に設けられた係合溝に係合する係合部をさらに有し、
前記係合部が前記係合溝の下面によって上方向に押圧されることで前記支持部材は上方向に移動し、前記係合部が前記係合溝の上面によって下方向に押圧されることで前記支持部材は下方向に移動する、
付記2に記載の角度調整機構。
(付記4)
前記支持部材はT字形状に形成されており、前記摺動棒が前記T字形状の縦棒に対応し、前記係合部が前記T字形状の横棒に対応する、
付記3に記載の角度調整機構。
(付記5)
前記係合部は、円柱形状に形成されている、
付記3又は4に記載の角度調整機構。
(付記6)
前記抑制部材は、前記穴が形成されている方向から見て、前記穴が形成されている領域とは異なる領域で、前記マウント部材と接触している、
付記1から5のいずれか1項に記載の角度調整機構。
(付記7)
前記支持部材の前記穴を摺動する部分には、前記支持部材の摺動方向に沿って均等な間隔で、摺動する部分の軸方向から見て互いに対称な位置に、溝が形成されている、
付記1から6のいずれか1項に記載の角度調整機構。
(付記8)
機器本体と、
表示器と、
前記表示器の角度を調整する角度調整機構と、
を有し、
前記角度調整機構は、
前記表示器が取り付けられるベース部材と、
前記ベース部材を下から支持し、前記ベース部材の回転動作に連動して上下に移動する支持部材と、
前記機器本体に取り付けられ、前記ベース部材を回転可能に連結する回転軸を有するマウント部材と、
弾性材料で形成され、前記マウント部材に取り付けられ、摩擦力によって前記支持部材の上下運動を抑制する抑制部材と、
を有し、
前記抑制部材には、前記支持部材の一部が挿入される穴が設けられており、前記穴において前記支持部材との間に前記摩擦力が発生し、
前記支持部材は、前記ベース部材の回転動作に伴って前記抑制部材に設けられた穴を摺動することで上下に移動し、前記ベース部材の回転動作が停止すると前記摩擦力によって移動を停止するように構成されている、
卓上機器。
(付記9)
前記支持部材は、前記抑制部材に設けられた穴に挿入されて前記穴を摺動する摺動棒を有し、
前記摺動棒の外径は、前記摺動棒が挿入されていない状態の前記穴の内径よりも大きく、
前記支持部材は、前記ベース部材が前記回転軸の周りに回転することに伴って前記摺動棒が前記穴を摺動することで上下に移動する、
付記8に記載の卓上機器。
(付記10)
前記支持部材は、前記ベース部材に設けられた係合溝に係合する係合部をさらに有し、
前記係合部が前記係合溝の下面によって上方向に押圧されることで前記支持部材は上方向に移動し、前記係合部が前記係合溝の上面によって下方向に押圧されることで前記支持部材は下方向に移動する、
付記9に記載の卓上機器。
(付記11)
前記支持部材はT字形状に形成されており、前記摺動棒が前記T字形状の縦棒に対応し、前記係合部が前記T字形状の横棒に対応する、
付記10に記載の卓上機器。
(付記12)
前記係合部は、円柱形状に形成されている、
付記10又は11に記載の卓上機器。
(付記13)
前記抑制部材は、前記穴が形成されている方向から見て、前記穴が形成されている領域とは異なる領域で、前記マウント部材と接触している、
付記8から12のいずれか1項に記載の卓上機器。
(付記14)
前記支持部材の前記穴を摺動する部分には、前記支持部材の摺動方向に沿って均等な間隔で、摺動する部分の軸方向から見て互いに対称な位置に、溝が形成されている、
付記8から13のいずれか1項に記載の卓上機器。
(付記15)
表示器が取り付けられるベース部材を回転可能に連結する回転軸を有するマウント部材に、前記ベース部材を下から支持し前記ベース部材の回転動作に連動して上下に移動する支持部材の上下運動を摩擦力によって抑制し弾性部材で形成された抑制部材を取り付け、
前記支持部材の一部を前記抑制部材に設けられた穴に挿入し、
前記ベース部材を前記マウント部材に組み付け、
前記表示器を前記ベース部材に固定する、
角度調整機構の組み立て方法。
【符号の説明】
【0060】
1 卓上機器
2 表示器
4 機器本体
10 角度調整機構
12 ネジ
16 回転軸
20 ベース部材
20a 軸受穴
22 係合溝
22a 上面
22b 下面
24 案内リブ
24a ツメ
24b 壁部
26 長穴
30 マウント部材
32 収容部
32a 溝
32b 穴
34 案内溝
34a 穴
34b ガイド部
40 支持部材
42 摺動棒
44 係合部
50 抑制部材
52 穴
54 突起
【要約】
【課題】安定した品質を実現することが可能な角度調整機構を提供する。
【解決手段】角度調整機構10は、ベース部材20と、ベース部材20を下から支持する支持部材40と、ベース部材20を回転可能に連結する回転軸16を有するマウント部材30と、抑制部材50とを有する。支持部材40は、ベース部材20の回転動作に連動して上下に移動する。抑制部材50は、弾性材料で形成され、マウント部材30に取り付けられ、摩擦力によって支持部材40の上下運動を抑制する。抑制部材50には、支持部材の一部が挿入され摺動する穴52が設けられており、この穴52において支持部材40との間に摩擦力が発生する。
【選択図】図10
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18