特許第6773358号(P6773358)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トレックス・セミコンダクター株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6773358-スイッチング電源回路 図000002
  • 特許6773358-スイッチング電源回路 図000003
  • 特許6773358-スイッチング電源回路 図000004
  • 特許6773358-スイッチング電源回路 図000005
  • 特許6773358-スイッチング電源回路 図000006
  • 特許6773358-スイッチング電源回路 図000007
  • 特許6773358-スイッチング電源回路 図000008
  • 特許6773358-スイッチング電源回路 図000009
  • 特許6773358-スイッチング電源回路 図000010
  • 特許6773358-スイッチング電源回路 図000011
  • 特許6773358-スイッチング電源回路 図000012
  • 特許6773358-スイッチング電源回路 図000013
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6773358
(24)【登録日】2020年10月5日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】スイッチング電源回路
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20201012BHJP
【FI】
   H02M3/155 H
【請求項の数】5
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2020-107358(P2020-107358)
(22)【出願日】2020年6月22日
【審査請求日】2020年7月20日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】506334171
【氏名又は名称】トレックス・セミコンダクター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128532
【弁理士】
【氏名又は名称】村中 克年
(72)【発明者】
【氏名】勝島 要介
【審査官】 栗栖 正和
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−116336(JP,A)
【文献】 特開2014−207820(JP,A)
【文献】 特開2010−004653(JP,A)
【文献】 特開2008−061433(JP,A)
【文献】 特開2015−089167(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2019/0081546(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0273772(US,A1)
【文献】 特開2018−133980(JP,A)
【文献】 特開2019−054566(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/155
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力電圧が印加される入力端子とコイルの一方の端子との間に接続された第1のスイッチング素子と、接地電位と前記一方の端子との間に接続された第2のスイッチング素子と、前記接地電位と前記コイルの他方の端子との間に接続された第3のスイッチング素子と、出力端子と前記他方の端子との間に接続された第4のスイッチング素子とを有するスイッチング回路と、
所定の基準電圧と、前記出力端子の電圧である出力電圧を表わすフィードバック電圧とを比較して両者の差を表わす誤差を増幅して誤差電圧を生成する誤差増幅回路と、
前記コイルに流れるコイル電流を検出するコイル電流検出回路と、
前記コイル電流に基づく電圧、前記誤差電圧および所定のランプ電圧に基づき前記コイル電流が最小となるバレーを検出するバレー検出回路、または前記コイル電流が最大となるピークを検出するピーク検出回路と、
前記バレーを表わすバレー検出信号または前記ピークを表わすピーク検出信号と、あらかじめ設定しておいたタイミング信号に基づき前記スイッチング素子の切替制御を行うためのスイッチング信号を、制御周期を規定するクロック信号に基づき生成して前記スイッチング回路の前記各スイッチング素子をオン・オフ制御することにより前記スイッチング回路に所定の昇降圧動作を行わせるスイッチ制御部とを有するとともに、
さらに前記スイッチ制御部は、
前記第1のスイッチング素子を介して前記一方の端子に流れる入力電流のピークが零から漸増し、予め設定した設定値に達するまでの時間であるピーク電流の設定値到達時間を検出するとともに、前記設定値到達時間と、前記スイッチング回路の各スイッチング素子をPWM制御する際の前記第1のスイッチング素子のオン時間とを比較し、前記設定値到達時間がPWM制御時の第1のスイッチング素子のオン期間を超えた場合には前記PWM制御から前記設定値到達時間に基づくPFM制御に制御モードを変更して前記第1のスイッチング素子を制御するように構成したものであることを特徴とするスイッチング電源回路。
【請求項2】
入力電圧が印加される入力端子とコイルの一方の端子との間に接続された第1のスイッチング素子と、接地電位と前記一方の端子との間に接続された第2のスイッチング素子と、前記接地電位と前記コイルの他方の端子との間に接続された第3のスイッチング素子と、出力端子と前記他方の端子との間に接続された第4のスイッチング素子とを有するスイッチング回路と、
所定の基準電圧と、前記出力端子の電圧である出力電圧を表わすフィードバック電圧とを比較して両者の差を表わす誤差を増幅して誤差電圧を生成する誤差増幅回路と、
前記コイルに流れるコイル電流を検出するコイル電流検出回路と、
前記コイル電流に基づく電圧、前記誤差電圧および所定の第1のランプ電圧に基づき前記コイル電流が最大となるピークを検出する第1のピーク検出回路と、
前記第1のピーク検出回路でオン・デューティの最大値が検出された後に動作して前記第1のランプ電圧のピーク電圧と等しいか、または前記ピーク電圧を超える電圧をボトム電圧として前記第1のランプ電圧に重畳して得る第2のランプ電圧に基づき前記コイル電流が最大となるピークを検出する第2のピーク検出回路と、
前記ピークを表わす第1および第2のピーク検出信号に基づき前記スイッチング素子の切替制御を行うためのスイッチング信号を、制御周期を規定するクロック信号に基づき生成して前記スイッチング回路の各スイッチング素子をオン・オフ制御することにより前記スイッチング回路に所定の昇降圧動作を行わせるスイッチ制御部とを有するとともに、
さらに前記スイッチ制御部は、
前記第1のスイッチング素子を介して前記一方の端子に流れる入力電流のピークが零から漸増し、予め設定した設定値に達するまでの時間であるピーク電流の設定値到達時間を検出するとともに、前記設定値到達時間と、前記スイッチング回路の各スイッチング素子をPWM制御する際の前記第1のスイッチング素子のオン時間とを比較し、前記設定値到達時間がPWM制御時の第1のスイッチング素子のオン期間を超えた場合には前記PWM制御から前記設定値到達時間に基づくPFM制御に制御モードを変更して前記第1のスイッチング素子を制御するように構成したものであることを特徴とするスイッチング電源回路。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載するスイッチング電源回路において、
前記コイルの前記他方の端子と前記接地電位との間に第5のスイッチング素子を接続し、前記スイッチ制御部が、前記第1〜第4のスイッチング素子の全部、または前記第1および第4のスイッチング素子をオフ状態にした場合には、前記第5のスイッチング素子がオン状態になるように制御することを特徴とするスイッチング電源回路。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか一つに記載するスイッチング電源回路において、
前記スイッチ制御部は、入力ピーク電流センス回路として第6のスイッチング素子、LX1センス回路、コンデンサおよび計時部を有し、
前記第6のスイッチング素子は、前記入力端子と前記LX1センス回路との間に接続されて前記第1のスイッチング素子に同期してオン・オフ制御され、
前記LX1センス回路は、その一端側が前記コイルの一方の端子に接続されるとともに、他端側が前記第6のスイッチング素子と前記コンデンサの一端側に接続されて前記コイルの一方の端子と等価の電位を生成し、
前記コンデンサは、他端側が接地されて一端側に前記コイルに流れるピーク電流を電圧変換したピーク電圧を生成して該ピーク電圧の情報を表すピーク電圧信号を生成し、
前記計時部は、あらかじめ定めた基準時点から前記ピーク電圧信号が生成されるまでの間の時間を計測するとともに、前記ピーク電圧の生成に伴い前記コンデンサに蓄積した電荷を接地に放電してリセットするように構成したものであることを特徴とするスイッチング電源回路。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか一つに記載するスイッチング電源回路において、
前記コイル電流検出回路で検出する前記コイル電流の逆流を検出した後、PFM制御を開始し、前記フィードバック電圧が所定値を下回った場合に前記スイッチ制御部による前記スイッチング回路のPFM制御を解除するPFM比較器を有することを特徴とするスイッチング電源回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスイッチング電源回路に関し、特に昇降圧のDC/DCコンバータ回路に適用して有用なものである。
【背景技術】
【0002】
昇降圧のスイッチング電源回路として特許文献1や特許文献2に開示するスイッチング電源回路が公知となっている。かかる特許文献1および特許文献2に開示するスイッチング電源回路は、入力電圧が印加される入力端子とコイルの一方の端子との間に接続された第1のスイッチング素子と、接地電位と前記一方の端子との間に接続された第2のスイッチング素子と、前記接地電位と前記コイルの他方の端子との間に接続された第3のスイッチング素子と、出力端子と前記他方の端子との間に接続された第4のスイッチング素子とを有するH型構造のスイッチング回路を有しており、このスイッチング回路の前記第1〜第4のスイッチング素子を、スイッチ制御部で適宜オン・オフ動作させることにより出力端子に所定の一定電圧を得るように構成したものである。
【0003】
ここで、特許文献1に開示するスイッチング電源回路では、コイル電流が最小となるバレーに基づきスイッチ制御部による第1〜第4のスイッチング素子のオン・オフ制御を行っている。一方、特許文献2に開示するスイッチング電源回路では、コイル電流が最大となるピークに基づきスイッチ制御部による第1〜第4のスイッチング素子のオン・オフ制御を行って、直流入力電圧を昇圧または降圧して所定の直流出力電圧を得ている。
【0004】
かかる特許文献1および特許文献2に開示するスイッチング電源回路は、重負荷または軽負荷のいずれの場合でもPWM制御で動作させている。このため、負荷電流が一定値以下の軽負荷時にはスイッチングによる損失が大きくなり効率が低下するという課題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018−133980(特許6211726)号公報
【0006】
【特許文献2】特開2019−054566(特許6295397)号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記従来技術に鑑み、低ESRのコンデンサを負荷容量に利用でき、しかも数MHz以上の発振周波数においても安定動作が可能で、かつ高い負荷安定度が得られ、昇降圧動作により出力電圧を高精度に一定に保持することができるばかりでなく、PWM制御からPFM制御への自動切替モードを追加することで微小負荷においても高効率のスイッチングによる昇降圧動作が可能になるようにしたスイッチング電源回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成する本発明の第1の態様は、
入力電圧が印加される入力端子とコイルの一方の端子との間に接続された第1のスイッチング素子と、接地電位と前記一方の端子との間に接続された第2のスイッチング素子と、前記接地電位と前記コイルの他方の端子との間に接続された第3のスイッチング素子と、出力端子と前記他方の端子との間に接続された第4のスイッチング素子とを有するスイッチング回路と、
所定の基準電圧と、前記出力端子の電圧である出力電圧を表わすフィードバック電圧とを比較して両者の差を表わす誤差を増幅して誤差電圧を生成する誤差増幅回路と、
前記コイルに流れるコイル電流を検出するコイル電流検出回路と、
前記コイル電流に基づく電圧、前記誤差電圧および所定のランプ電圧に基づき前記コイル電流が最小となるバレーを検出するバレー検出回路、または前記コイル電流が最大となるピークを検出するピーク検出回路と、
前記バレーを表わすバレー検出信号または前記ピークを表わすピーク検出信号と、あらかじめ設定しておいたタイミング信号に基づき前記スイッチング素子の切替制御を行うためのスイッチング信号を、制御周期を規定するクロック信号に基づき生成して前記スイッチング回路の前記各スイッチング素子をオン・オフ制御することにより前記スイッチング回路に所定の昇降圧動作を行わせるスイッチ制御部とを有するとともに、
さらに前記スイッチ制御部は、
前記第1のスイッチング素子を介して前記一方の端子に流れる入力電流のピークが零から漸増し、予め設定した設定値に達するまでの時間であるピーク電流の設定値到達時間を検出するとともに、前記設定値到達時間と、前記スイッチング回路の各スイッチング素子をPWM制御する際の前記第1のスイッチング素子のオン時間とを比較し、前記設定値到達時間がPWM制御時の第1のスイッチング素子のオン期間を超えた場合には前記PWM制御から前記設定値到達時間に基づくPFM制御に制御モードを変更して前記第1のスイッチング素子を制御するように構成したものであることを特徴とする。
【0009】
本発明の第2の態様は、
入力電圧が印加される入力端子とコイルの一方の端子との間に接続された第1のスイッチング素子と、接地電位と前記一方の端子との間に接続された第2のスイッチング素子と、前記接地電位と前記コイルの他方の端子との間に接続された第3のスイッチング素子と、出力端子と前記他方の端子との間に接続された第4のスイッチング素子とを有するスイッチング回路と、
所定の基準電圧と、前記出力端子の電圧である出力電圧を表わすフィードバック電圧とを比較して両者の差を表わす誤差を増幅して誤差電圧を生成する誤差増幅回路と、
前記コイルに流れるコイル電流を検出するコイル電流検出回路と、
前記コイル電流に基づく電圧、前記誤差電圧および所定の第1のランプ電圧に基づき前記コイル電流が最大となるピークを検出する第1のピーク検出回路と、

前記第1のピーク検出回路でオン・デューティの最大値が検出された後に動作して前記第1のランプ電圧のピーク電圧と等しいか、または前記ピーク電圧を超える電圧をボトム電圧として前記第1のランプ電圧に重畳して得る第2のランプ電圧に基づき前記コイル電流が最大となるピークを検出する第2のピーク検出回路と、
前記ピークを表わす第1および第2のピーク検出信号に基づき前記スイッチング素子の切替制御を行うためのスイッチング信号を、制御周期を規定するクロック信号に基づき生成して前記スイッチング回路の各スイッチング素子をオン・オフ制御することにより前記スイッチング回路に所定の昇降圧動作を行わせるスイッチ制御部とを有するとともに、
さらに前記スイッチ制御部は、
前記第1のスイッチング素子を介して前記一方の端子に流れる入力電流のピークが零から漸増し、予め設定した設定値に達するまでの時間であるピーク電流の設定値到達時間を検出するとともに、前記設定値到達時間と、前記スイッチング回路の各スイッチング素子をPWM制御する際の前記第1のスイッチング素子のオン時間とを比較し、前記設定値到達時間がPWM制御時の第1のスイッチング素子のオン期間を超えた場合には前記PWM制御から前記設定値到達時間に基づくPFM制御に制御モードを変更して前記第1のスイッチング素子を制御するように構成したものであることを特徴とする。
【0010】
本発明の第3の態様は、
第1または第2の態様に記載するスイッチング電源回路において、
前記コイルの前記他方の端子と前記接地電位との間に第5のスイッチング素子を接続し、前記スイッチ制御部が、前記第1〜第4のスイッチング素子の全部、または前記第1および第4のスイッチング素子をオフ状態にした場合には、前記第5のスイッチング素子がオン状態になるように制御することを特徴とする。
【0011】
本発明の第4の態様は、
第1〜第3の態様のいずれか一つに記載するスイッチング電源回路において、
前記スイッチ制御部は、入力ピーク電流センス回路として第6のスイッチング素子、LX1センス回路、コンデンサおよび計時部を有し、
前記第6のスイッチング素子は、前記入力端子と前記LX1センス回路との間に接続されて前記第1のスイッチング素子に同期してオン・オフ制御され、
前記LX1センス回路は、その一端側が前記コイルの一方の端子に接続されるとともに、他端側が前記第5のスイッチング素子と前記コンデンサの一端側に接続されて前記コイルの一方の端子と等価の電位を生成し、
前記コンデンサは、他端側が接地されて一端側に前記コイルに流れるピーク電流を電圧変換したピーク電圧を生成して該ピーク電圧の情報を表すピーク電圧信号を生成し、
前記計時部は、あらかじめ定めた基準時点から前記ピーク電圧信号が生成されるまでの間の時間を計測するとともに、前記ピーク電圧の生成に伴い前記コンデンサに蓄積した電荷を接地に放電してリセットするように構成したものであることを特徴とする。
【0012】
本発明の第5の態様は、
第1〜第4のいずれか一つに記載するスイッチング電源回路において、
前記コイル電流検出回路で検出する前記コイル電流の逆流を検出した後、PFM制御を開始し、前記フィードバック電圧が所定値を下回った場合に前記スイッチ制御部による前記スイッチング回路のPFM制御を解除するPFM比較器を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば第1のスイッチング素子を介してコイルの一方の端子に流れる入力電流のピークが零から漸増し、予め設定した設定値に達するまでの時間であるピーク電流の設定値到達時間を検出するとともに、第1のスイッチング素子のオン期間を決定するようにしたので、一定条件以下での負荷電流の場合には、自動的にPFM制御モードでスイッチング素子のオン・オフ制御を行わせることができる。
【0014】
この結果、微小負荷においても高効率のスイッチングによる昇降圧動作が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1の実施の形態に係るスイッチング電源回路(バレー検出方式)を示すブロック図である。
図2図1に示すスイッチング電源回路が内蔵する入力ピーク電流センス回路部分を抽出して詳細に示すブロック図である。
図3図2に示す入力ピーク電流センス回路の機能を説明するための各部の波形図である。
図4】第1の形態に係るスイッチング電源回路における降圧(Buck)動作時のPFM比較器の動作概略を示す波形図である。
図5】第1の形態に係るスイッチング電源回路における昇圧(Boost)動作時のPFM比較器11の動作概略を示す波形図である。
図6】第1の形態に係るスイッチング電源回路における昇降圧動作時のタイミング信号との関係における動作概略を示す波形図である。
図7】第1の形態に係るスイッチング電源回路における昇降圧動作時のバレー検出信号Comp_outおよびタイミング信号TでPWM制御のDutyを抽出する際の動作概略を示す波形図である。
図8】第1の形態に係るスイッチング電源回路における昇降圧動作時におけるDutyの時間調整時の動作概略を示す波形図である。
図9】本発明の第2の実施の形態に係るスイッチング電源回路(ピーク検出方式)を示すブロック図である。
図10】第2の形態における入力ピーク電流センス回路の機能を説明するための各部の波形図である。
図11】本発明の第3の実施の形態に係るスイッチング電源回路(ピーク検出方式)を示すブロック図である。
図12】第3の形態における機能を説明するための各部の波形を示す波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。なお、各図において同一部分には同一番号を付し、重複する説明は省略する。
【0017】
<第1の実施の形態>
図1は本発明の実施の形態に係るスイッチング電源回路を示すブロック図である。本形態ではコイル電流が最小となるバレーに基づきスイッチ制御部6により第1〜第4のスイッチング素子SW1〜SW4のオン・オフ制御を行う。
【0018】
図1に示すように、出力電圧VOは帰還抵抗FR1,FR2で分圧して誤差増幅回路1の非反転入力端子に入力される。誤差増幅回路1の反転入力端子には、基準電圧発生回路2で生成され、あらかじめ設定した基準電圧Vref1が入力される。かくして誤差増幅回路1では基準電圧Vref1と、帰還抵抗FR1,FR2で分圧した出力電圧VOとを比較して両者の差である誤差を増幅し、誤差電圧Verrとして出力する。
【0019】
バレー検出回路Iには、コイルLを流れるコイル電流ILに基づく電圧VLおよび誤差電圧Verrが供給される。そして、これら電圧VLおよび誤差電圧Verrに基づきコイル電流ILが最小となるバレーを検出してバレー検出信号Comp_outを生成する。
【0020】
ここで、本形態における電圧VLは、コイル電流検出回路4で実測するコイル電流ILに基づき生成される。また、本形態におけるバレー検出回路Iは、加算回路3、比較回路5およびRAMP波形生成回路9からなる。加算回路3では、コイル電流ILを表わす電圧VLを誤差増幅回路1の出力である誤差電圧Verrに加算して加算出力電圧Vaddを生成する。
【0021】
比較回路5の非反転入力端子には、鋸歯状のランプ電圧が入力されるとともに、その反転入力端子には加算回路3の出力である加算出力電圧Vaddが入力される。ランプ電圧VRAMは、発振回路7が生成する一定周波数のクロック信号CLKをトリガとしてRAMP波形形成回路9が生成する電圧で、時間の経過とともに漸増する。この結果、比較回路5では、ランプ電圧VRAMが加算回路3の加算出力電圧Vaddを下回った時点、すなわちコイル電流ILが最も小さな値となる時点を表すバレー検出信号Comp_outを生成し、このバレー検出信号Comp_outをスイッチ制御部6に出力する。バレー検出信号Comp_outは、HiおよびLoの二つの状態を表す2値の状態信号である。
【0022】
スイッチ制御部6は、クロック信号CLKに基づきあらかじめ設定された経過時間(後に詳述する)の経過を表すタイミング信号およびバレー検出信号Comp_outの状態変化によりスイッチング回路8のスイッチング素子SW1,SW2,SW3,SW4のオン・オフを制御する。
【0023】
ここで、「あらかじめ設定された経過時間の経過を表すタイミング信号」は、次のようにして設定する。
【0024】
一般的なPWM動作の場合、降圧のスイッチング電源回路では、入力電圧VIN/出力電圧VOの情報から算出されるオン・デューティ(OnDuty)は、出力電圧VO=入力電圧VIN×D(=ton/(ton+toff))の関係がある。
【0025】
また、一般的なPWM動作の場合、昇圧のスイッチング電源回路では、出力電圧VO=入力電圧VIN×(1/(1−D))の関係がある。
【0026】
つまり、入出力の条件で降圧時、昇圧時のオン・デューティは計算できるため、入出力条件の任意の値で昇降圧動作をさせるための「タイミング信号」を設定することができる。
【0027】
上述の如きスイッチ制御部6によるスイッチング回路8のオン・オフ制御により、適宜降圧モード、昇降圧モードおよび昇圧モードが切替わり、出力電圧VOが一定(基準電圧Vref)になるように制御される。なお、比較回路5の出力であるバレー検出信号Comp_outは、通常Loであり、バレーポイントの検出によりHiとなる。
【0028】
さらに、本形態おけるスイッチ制御部6は、入力ピーク電流センス回路10を内蔵している。この入力ピーク電流センス回路10は、図2に当該部分を抽出して詳細に示すように、スイッチング素子SW1を介してコイルLの一方の端子LX1に流れる入力電流ILX1が零から漸増し、予め設定した設定値に達するまでの時間である設定値到達時間T1(図3参照;以下同じ)を検出するとともに、前記設定値到達時間T1と、PWM制御時のスイッチング素子SW1のオン時間(OnDuty)とを比較し、長い方に合わせてスイッチング素子SW1のオン期間(OnDuty)を決定する。かくして、本形態に係るスイッチング電源では、設定値到達時間T1がPWM制御時のスイッチング素子SW1のオン期間を超えた場合には設定値到達時間T1に基づきPWM制御からPFM制御に制御モードが変更される。
【0029】
さらに詳言すると、本形態における入力ピーク電流センス回路10は、第6のスイッチング素子SW6、LX1センス回路12、コンデンサCIPKおよび計時部13を有する。ここで、第6のスイッチング素子SW6は、入力端子VINとLX1センス回路12との間に接続され、第1のスイッチング素子SW1と同一のスイッチング信号で同期してオン・オフ制御される。かくして、第6のスイッチング素子SW6の出力側に端子LX1の電位を表す電圧信号VLX1を得る。この電圧信号VLX1はコイルLの一方の端子LX1と等価または比例する電位とする。
【0030】
LX1センス回路12は、その一端側がコイルLの一方の端子LX1に接続されるとともに、他端側が第6のスイッチング素子SW6とコンデンサCIPKとの間に接続されている。一方、入力側がLX1センス回路12に接続されているコンデンサCIPKの出力側は接地されている。かくして、コンデンサCIPKの入力側に流入する入力電流ILX1を電圧変換したピーク電圧を表すピーク電圧信号VIPKを生成する。計時部13は、あらかじめ定めた基準時点(ピーク電圧信号VIPK=0v)からピーク電圧信号VIPKの電圧が設定値SV(図3参照;以下同じ)に達するまでの設定値到達時間T1を計測する。その後、設定値到達時間T1の情報をスイッチ制御部6の論理処理部に供給し、所定のスイッチング制御を行わせる。ここで、計時部13およびスイッチ制御部6の論理処理部における所定の計時処理の終了後に、第7のスイッチング素子SW7をオンする。このことによりコンデンサCIPKに蓄積した電荷を第7のスイッチング素子SW7を介して放電することによりリセットすることができる。
【0031】
かかる入力ピーク電流センス回路6により、通常時にはPWM制御でオン・オフ制御されるスイッチング回路8が、軽負荷の場合にはPFM制御でオン・オフ制御される。さらに詳言すると、図3に示すように、クロック信号CLK((a)参照。以下同じ)の立上りをトリガとしてRAMP波形形成回路9によりランプ電圧VRAMが生成される((b)参照)。このランプ電圧VRAMと加算出力信号Vaddとを比較回路5で比較し、ランプ電圧VRAM=加算出力信号Vaddとなった時点、すなわちコイル電流ILのバレー(最小値)が検出された時点で比較回路5からバレー検出信号Comp_outが送出され((b)参照)、これに伴い、ランプ電圧VRAMの立下りでPWM制御時のスイッチング素子SW1のオン・デューティ(OnDuty)を決定する((c)参照)。
【0032】
ここで、PWM制御時のオン・デューティ(OnDuty)の期間であるオン時間T2における入力電流ILX1に基づくピーク電圧VIPKが設定値SVよりも小さい場合((d)参照)には、入力ピーク電流センス回路10で検出する設定値到達時間T1がオン時間T2よりも長くなる((e)参照)。すなわち、クロック信号CLKが(設定値到達時間T1−オン時間T2=調整時間δ)だけズレる((f)参照)。
【0033】
この結果、オン時間調整後のオン・デューティ(OnDuty)は(PWM制御時のオン・デューティ(OnDuty)+調整時間δ)を新たなオン・デューティ(OnDuty)としてPFM制御によりスイッチング素子SW1のオン時間が規定される((g)参照)。この結果、PWM制御に代わりPFM制御によりスイッチング素子SW1〜SW4の制御が行われる。かくして軽負荷であっても高効率のスイッチング制御を行うことができる。
【0034】
図1に示すスイッチング回路8は、4個のスイッチング素子SW1〜SW4とコイルLとをH型に組み合わせて形成してある。さらに詳言すると、スイッチング素子SW1は電源電圧である入力電圧VINが印加される入力端子INとコイルLの一方の端子LX1との間に接続され、スイッチング素子SW2は接地電位と一方の端子との間に接続され、スイッチング素子SW3は接地電位とコイルLの他方の端子LX2との間に接続され、スイッチング素子SW4は出力端子OUTと他方の端子LX2との間に接続されている。かくして各スイッチング素子SW1〜SW4はスイッチ制御部6が送出するスイッチング信号でオン・オフ制御される。
【0035】
本形態に係るスイッチングスイッチング電源回路において降圧、昇降圧および昇圧の各モードにおけるスイッチング素子SW1〜SW4のオン・オフ状態は次のようになる。
【0036】
1)降圧時
第1のスイッチング素子SW1および第4のスイッチング素子SW4をオン状態とすることにより、あらかじめ設定してあるオン・デューティ期間、入力端子INから第1のスイッチング素子SW1、コイルL、第4のスイッチング素子SW4を介してコイル電流ILが流れ、出力端子OUTに所定の出力電圧VOを得る。
一方、オン・デューティ期間の終了に同期して、第1のスイッチング素子SW1をオフ状態とし、第2のスイッチング素子SW2をオン状態とすることでコイルLに蓄積されたエネルギを接地に放出する。
ここで、第4のスイッチング素子SW4をオン状態のままにしておけば、コイルLに蓄積されたエネルギを放出した後、出力端子OUT、第4のスイッチング素子SW4、コイルLおよび第2のスイッチング素子SW2を介して電流が逆流する。
【0037】
2)昇圧時
第1のスイッチング素子SW1および第3のスイッチング素子SW3をオン状態とすることにより、あらかじめ設定してある所定期間、入力端子INから第1のスイッチング素子SW1、コイルL、第3のスイッチング素子SW3を介してコイル電流ILを流す。この結果、コイルLに所定の電圧の電荷が蓄積される。
その後、第1のスイッチング素子SW1はオン状態のままで、第3のスイッチンング素子SW3をオフ状態とするとともに、第4のスイッチング素子SW4をオン状態とする。この結果、入力電圧VINにコイルLに蓄積された電圧が重畳されて昇圧された出力電圧VOを出力端子OUTに得る。
そして、コイルLに蓄積されたエネルギを放出し終わった後、出力端子OUT、第4のスイッチング素子SW4、コイルLおよび第1のスイッチング素子SW1を介して電流が逆流する。
【0038】
3)昇降圧時
入力電圧VINよりも出力電圧VOが小さい場合には、上記降圧時と同態様のスイッチング制御が行われる。一方、入力電圧VINよりも出力電圧VOが大きい場合には、上記昇圧時と同態様のスイッチング制御が行われる。
【0039】
上述の如くスイッチング回路8を構成するスイッチング素子SW1〜SW4は基本的には4個あれば本発明で予定している所望の機能を発揮し得るが、本形態のように、コイルLの他方の端子LX2と接地電位との間に第5のスイッチング素子SW5を接続しても良い。そして、第5のスイッチング素子SW5は、スイッチ制御部6で第1〜第4のスイッチング素子SW1〜SW4の全部、または第1および第4のスイッチング素子SW1,SW4をオフ状態にした場合に、オン状態になるように制御する。この結果、コイルLに蓄積されたエネルギを第5のスイッチング素子SW5を介して接地に放電することができる。かくして、前記エネルギに起因する高電圧の発生等、有害な現象の発生を良好に抑止し得る。
【0040】
出力端子OUTには平滑用のコンデンサCが接続されている。本形態ではコンデンサCとしてセラミックコンデンサ等の低ESRのコンデンサを利用できる。
【0041】
PFM比較器11は、コイル電流検出回路4が検出するコイル電流ILにより動作するとともに、その非反転入力端子にPFM制御用の基準電圧Vref2が、反転入力端子にフィードバック電圧Vfbがそれぞれ供給されている。かくして、コイル電流検出回路4で検出するコイル電流ILの逆流を検出した後、PFM制御を開始する一方、フィードバック電圧Vfbが所定値(基準電圧Vref2)を下回った場合に、図4(g)に示すような反転信号が生成され、スイッチ制御部6によるスイッチング回路8のPFM制御を解除するように構成してある。この結果、PWM制御時のオン時間T2よりも設定値到達時間T1が長くなっても、コイル電流検出回路4が再度逆流を検出するまで、通常のPWM制御を行う。
【0042】
図4は降圧(Buck)動作時のPFM比較器11の動作概略を示す波形図、図5は昇圧(Boost)動作時のPFM比較器11の動作概略を示す波形図である。両図において、(a)はクロック信号CLK、(b)はコイル電流IL、(c)は端子LX1の電圧VLX1、(d)は端子LX2の電圧VLX2、(e)は逆流動作が検出され、すべてのスイッチング素子SW1〜SW4をオフにするスイッチング信号、(f)はフィードバック電圧Vfb、(g)はフィードバック電圧Vfbが所定の基準電圧Vref2を下回ったときに出力されるPFM比較器11の出力信号である反転信号である。
【0043】
図6図8は本発明に係るスイッチング電源回路における降圧動作時(A)および昇圧動作時(B)の動作態様の概略を示す波形図である。
【0044】
ここで、図6は、「予め設定したタイミング(t,t)」の一例を示している。同図(c)に示すように、本例のタイミングt,tは、降圧モードの場合、バレー検出信号Comp_outのオフ期間に存在するとともに、昇圧モードの場合はバレー検出信号Comp_outのオン期間に存在するパルス信号であるタイミング信号Tの前縁であるHエッジをt1、後縁であるLエッジをtとするものである。本例では降圧時にタイミングtを利用し、昇圧時にタイミングtを利用して所定の切替を行っている。なお、本形態に示すタイミングt,tはこれに限るものではない。例えば、各々ワンショットパルスで生成することもできる。
【0045】
図6中(a)はクロック信号CLK、(b)はバレー検出信号Comp_out、(c)はタイミング信号T、(d)は一方の端子電圧VLX1、(e)は端子電圧VLX2、(f)はコイル電流ILの波形をそれぞれ示す。
【0046】
図7は本形態に係るスイッチング電源回路における昇降圧動作時のバレー検出信号Comp_outとタイミング信号Tに基づき生成するPWM制御のデューティを示すものである。図7(d)に当該デューティを規定するスイッチング信号の波形を示す。同図に示すように、図7に示す波形図は、端子電圧VLX1と同一波形である。
【0047】
図7中(a)はクロック信号CLK、(b)はバレー検出信号Comp_out、(c)はタイミング信号T、(d)は第1のスイッチング信号SW1、(e)はコイル電流ILの波形をそれぞれ示す。
【0048】
図8はPWM制御とともにオン時間調整機能を有する本形態におけるDutyの時間調整、すなわち入力ピーク電流センス回路10の機能を加味した場合の各部の動作概略を示す波形図である。当該Dutyの時間調整機能は、図3に基づいて先に詳細に説明したが、PWM制御時に図6(d)に示すようなデューティを有するスイッチング信号は、図8(e)に示すように入力信号ILX1が設定値SVに達するまでの時間を計測し、この時間を加味してスイッチング素子SW1のオン時間を調整することで図8(f)に示すようなデューティとすることで実質的なPFM制御に移行するようになっている。すなわち、負荷がある程度軽くなると、PFM制御に移行して効率的な運転を行い得る。
【0049】
<第2の実施の形態>
図9は本発明の第2の実施の形態に係るスイッチング電源回路を示すブロック図である。本形態ではコイル電流ILが最大となるピークに基づきスイッチ制御部6で第1〜第4のスイッチング素子SW1〜SW4のオン・オフ制御を行う。そこで、本形態では第1の実施の形態におけるバレー検出回路Iに代えてピーク検出回路IIを設けている。
【0050】
ピーク検出回路IIには、コイルLを流れるコイル電流ILに基づく電圧VLおよび誤差電圧Verrが供給される。そして、これら電圧VLおよび誤差電圧Verrに基づきコイル電流ILが最大となるピークを検出してピーク検出信号Comp_outを生成する。
【0051】
本形態におけるピーク検出回路IIは、加算回路3、比較回路15およびRAMP波形生成回路9からなる。加算回路3では、コイル電流ILを表わす電圧VLを誤差増幅回路1の出力である誤差電圧Verrに加算して加算出力電圧Vaddを生成する。ここで、比較回路15では、第1の実施の形態における比較回路5とは逆に、その非反転入力端子に加算出力電圧Vaddが入力されるとともに、反転入力端子にランプ電圧VRAMが入力される。また、誤差増幅回路14の入力も第1の実施の形態における誤差増幅回路1とは逆に非反転入力端子に基準電圧Vref1が、反転入力端子にフィードバック電圧Vfbが供給されている。その他の構成は図1に示す第1の実施の形態に係るスイッチング電源回路と同じである。すなわち、本形態におけるスイッチ制御部6にも第1の実施の形態と同様の入力ピーク電流センス回路10が内蔵されている。このため、設定値到達時間T1とPWM制御時のオン・デューティに基づくオン時間T2とを比較し、両者の差に応じてオン・デューティを調整する機能も第1の実施の形態と同様に有している。
【0052】
この結果、本形態においても入力ピーク電流センス回路6により、通常時にはPWM制御でオン・オフ制御されるスイッチング回路8が、軽負荷の場合にはPFM制御でオン・オフ制御される。すなわち、図10に示すように、クロック信号CLK((a)参照。以下同じ)の立上りをトリガとしてRAMP波形形成回路9によりランプ電圧VRAMが生成される((b)参照)。このランプ電圧VRAMと加算出力信号Vaddとを比較回路15で比較し、ランプ電圧VRAM=加算出力信号Vaddとなった時点、すなわちコイル電流ILのピーク(最大値)が検出された時点で比較回路5からバレー検出信号Comp_outが送出され((b)参照)、これに伴いオン・デューティ(OnDuty)を決定する((c)参照)。
【0053】
ここで、PWM制御時のオン・デューティ(OnDuty)の期間であるオン時間T2における入力電流ILX1に基づくピーク電圧VIPKが設定値SVよりも小さい場合((d)参照)には、入力ピーク電流センス回路10で検出する設定値到達時間T1がオン時間T2よりも長くなる((e)参照)。すなわち、クロック信号CLKが(設定値到達時間T1−オン時間T2=調整時間δ)だけズレる((f)参照)。
【0054】
この結果、オン時間調整後のオン・デューティ(OnDuty)は(PWM制御時のオン・デューティ(OnDuty)+調整時間δ)を新たなオン・デューティ(OnDuty)としてPFM制御によりスイッチング素子SW1のオン時間が規定される((g)参照)。この結果、PWM制御に代わりPFM制御によりスイッチング素子SW1〜SW4の制御が行われる。かくして本形態においても、軽負荷の高効率のスイッチング制御を行うことができる。
【0055】
<第3の実施の形態>
従来のピーク検出回路を用いた降圧のスイッチング電源を駆動させる場合において、入力電圧VINと出力電圧VOとが近接してくるとオン・デューティが広くなってくる。そして、遂には入力電圧VINと出力電圧VOとがほぼ同一の電圧となる。この場合、オン・デューティは最大オン・デューティ状態となる。かかる最大オン・デューティ状態では加算出力電圧Vaddとランプ電圧VRAMは交叉することがなくなる。
【0056】
このため、比較回路15は反転信号を出力することがなくなる。したがって、かかる最大オン・デューティ状態において入力電圧VINが出力電圧VOを下回ると、出力電圧VOは入力電圧VINに追従し電圧降下が起こり、設定された所定の出力電圧VOを維持できなくなるという問題を生起する。
【0057】
かかる問題を解消する実施の形態として第3の実施の形態を提案する。上記の問題を解決するため、昇降圧機能を有するスイッチング電源回路では昇圧モードに移行する必要があるが、本形態では次に示すような態様で昇圧モードに移行する。具体的には、最大オン・デューティとなった比較回路の出力信号を利用して昇圧モードへ移行する。
【0058】
すなわち、第2の実施の形態ではスイッチ制御部6で、あらかじめ設定した信号により昇降圧動作をしていたが、本形態では最大オン・デューティを表す比較回路の信号をトリガーとして昇圧動作を行う。具体的には、本形態におけるピーク検出回路IIIは、第1および第2の2個のピーク検出回路15A,15Bを有しており、最大オン・デューティが検出された後は、ピーク検出回路15Bの一方に供給される第2のランプ電圧VRAM2は第1のランプ電圧VRAM1に重畳したものとなっている。
【0059】
ここで、本形態におけるスイッチ制御部6はDuty判定部16を内蔵しており、このDyty判定部16が、第1のピーク検出信号Comp_out1に基づき第1のピーク検出回路15Aがオン・デューティが最大値に達したことを検出するようになっている。最大オン・デューティーが検出されたのちには、第2のピーク検出回路15Bを動作させ、第1のランプ電圧VRAM1に第2のランプ電圧VRAM2が重畳されるようにしている。
【0060】
かくして第1および第2のピーク検出回路15A,15Bは、それぞれコイル電流ILに基づく電圧VL、誤差電圧Verrおよび所定の第1および第2のランプ電圧VRAM1,VRAM2に基づきそれぞれコイル電流ILが最大となるピークを検出し、これをそれぞれ表す第1のピーク検出信号Comp_out1,Comp_out2としてスイッチ制御部6に出力する。
【0061】
ここで、本形態におけるスイッチ制御部6はDuty判定部16を内蔵しており、このDyty判定部16が、第1のピーク検出信号Comp_out1に基づき第1のピーク検出回路15Aがオン・デューティの最大値を検出した後に第2のピーク検出回路15Bを動作させ、第1のランプ電圧VRAM1に第2のランプ電圧VRAM2が重畳されるようにしている。この結果、第2のピーク検出回路15Bは、第1のピーク検出回路15Aでオン・デューティの最大値が検出された後に動作して第1のランプ電圧のピーク電圧と等しい電圧をボトム電圧として、その上に第2のランプ電圧VRAM2が重畳された比較信号となる。
【0062】
なお、上述の如く第1のランプ電圧VRAM1に第2のランプ電圧VRAM2を重畳する場合、第1のランプ電圧VRAM1のピーク電圧に第2のランプ電圧VRAM2のボトム電圧が等しくなるようにすることは必須ではない。第2のランプ電圧VRAM2のボトム電圧が第1のランプ電圧VRAM1のピーク電圧を超えるように設定してあれば良い。
【0063】
かかる本形態における作用を各部の波形を示す図12を追加してさらに詳細に説明する。図12中、(a)中の実線は入力信号VIN、点線は出力信号を示す。同図は、点Pで実線と点線が交差しており、この点Pが最大オン・デューティーを示している。(b)はクロック信号CLK、(c)は重畳された第1のランプ電圧VRAM1と第2のランプ電圧VRAM2とを示しており、図12(c)に点線で示すレベルが第2のランプ電圧VRAM2のボトムである。さらに、(d)が降圧Dutyを、(e)が昇圧Dutyをそれぞれ示している。
【0064】
図12を参照すれば明らかな通り、最大オン・デューティーを示す点Pに至るまでは、(c)に示す通り、第1のランプ電圧VRAM1のみを用いて所定のピーク検出を行っているが、最大オン・デューティーである点Pを過ぎてからは、第1のランプ電圧VRAM1の最大値をボトムとして重畳された値が第2のランプ電圧VRAM2となる。
【0065】
この結果、最大オン・デューティーを過ぎても良好に必要な昇圧が行われる。
【符号の説明】
【0066】
I バレー検出回路
II,III ピーク検出回路
1 誤差増幅回路&#8195;
2 基準電圧発生回路
3 加算回路
4 コイル電流検出回路
5 比較回路
6 スイッチ制御部
7 発振回路
8 スイッチング回路
9 RAMP波形生成回路
L コイル
IL コイル電流
VL 電圧
Comp_out バレー検出信号
V0 出力電圧
FR1,FR2 帰還抵抗
Vref 基準電圧
Verr 誤差電圧
Vadd 加算出力電圧
VRAM ランプ電圧
CLK クロック信号
Comp_out バレー検出信号
SW1,SW2,SW3,SW4 スイッチング素子





【要約】      (修正有)
【課題】微小負荷においても高効率のスイッチングによる昇降圧動作が可能になるスイッチング電源回路を提供する。
【解決手段】スイッチング素子SW1〜SW4およびコイルLからなるスイッチング回路8と、基準電圧Vref1とフィードバック電圧Vfbとの差である誤差に基づき誤差電圧Verrを生成する誤差増幅回路1と、コイル電流ILを検出するコイル電流検出回路4と、コイル電流ILが最小となるバレーを検出するバレー検出回路Iと、各スイッチング素子SW1〜SW4のオン・オフ制御によりスイッチング回路8に所定の昇降圧動作を行わせるスイッチ制御部6と、を有する。さらにスイッチ制御部6は、入力電流ILX1のピークが零から漸増し、設定値到達時間T1がPWM制御時の第1のスイッチング素子SW1のオン期間T2を超えた場合にはPWM制御から設定値到達時間T1に基づくPFM制御に制御モードを変更する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12