(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6773361
(24)【登録日】2020年10月5日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】気分状態改善剤
(51)【国際特許分類】
A61K 36/9066 20060101AFI20201012BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20201012BHJP
A61P 25/22 20060101ALI20201012BHJP
A61P 25/24 20060101ALI20201012BHJP
A61K 31/12 20060101ALI20201012BHJP
A23L 33/105 20160101ALI20201012BHJP
【FI】
A61K36/9066
A61P25/00
A61P25/22
A61P25/24
A61K31/12
A23L33/105
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-80165(P2015-80165)
(22)【出願日】2015年4月9日
(65)【公開番号】特開2016-199491(P2016-199491A)
(43)【公開日】2016年12月1日
【審査請求日】2018年2月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】306019030
【氏名又は名称】ハウスウェルネスフーズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100118773
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 節
(74)【代理人】
【識別番号】100130443
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 真治
(72)【発明者】
【氏名】川▲崎▼ 健吾
(72)【発明者】
【氏名】室山 幸太郎
(72)【発明者】
【氏名】室▲崎▼ 伸二
【審査官】
金子 亜希
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−207877(JP,A)
【文献】
特開2014−208600(JP,A)
【文献】
国際公開第2014/106860(WO,A1)
【文献】
特表2014−518241(JP,A)
【文献】
中国特許出願公開第103130629(CN,A)
【文献】
Biological and Pharmaceutical Bulletin,2006年,29(5),938-944
【文献】
Journal of Enthnopharmacology,2002年,83,161-165
【文献】
臨床精神医学,2000年,29(8),935-943
【文献】
体力科学,2014年,63(6),590
【文献】
News Release,ハウス食品グループ本社株式会社,2015年 3月30日
【文献】
Food Style 21,2014年 8月 1日,18(8),63-66
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 36/9066
A23L 33/105
A61K 31/121
A61P 25/00
A61P 25/22
A61P 25/24
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を抽出溶媒として用いて抽出された水溶性ウコン抽出物を含有することを特徴とする、健康なヒトを対象とする気分状態改善剤であって、前記ウコン抽出物がヒト1人に対する1日の摂取量当たり40μg以上24,000μg以下のビサクロンを含有し、前記ウコン抽出物中のクルクミン含有量が0.5重量%以下である、前記気分状態改善剤(ただし二日酔いによる気分状態の悪化の改善剤、並びに、スファランサス インディクス(Sphaeranthus indicus)、コリウス アロマティカス(Coleus aromaticus)、シサス クアドラングラリス(Cissus quadrangularis)、マンゴスチン(Garcinia mangostana)、スイカ(Citrullus lanatus)、カミメボウキ(Ocimum sanctum)及びタマラニッケイ(Cinnamomum tamala)由来の抽出物又は画分から選択される1種以上を更に含有するものを除く)。
【請求項2】
水を抽出溶媒として用いて抽出された水溶性ウコン抽出物を含有することを特徴とする、ヒトを対象とする気分状態改善用の飲食品組成物、食品添加剤組成物、健康食品組成物又はサプリメント組成物であって、前記ウコン抽出物がヒト1人に対する1日の摂取量当たり40μg以上24,000μg以下のビサクロンを含有し、前記ウコン抽出物中のクルクミン含有量が0.5重量%以下である、前記組成物(ただし二日酔いによる気分状態の悪化の改善剤、並びに、スファランサス インディクス(Sphaeranthus indicus)、コリウス アロマティカス(Coleus aromaticus)、シサス クアドラングラリス(Cissus quadrangularis)、マンゴスチン(Garcinia mangostana)、スイカ(Citrullus lanatus)、カミメボウキ(Ocimum sanctum)及びタマラニッケイ(Cinnamomum tamala)由来の抽出物又は画分から選択される1種以上を更に含有するものを除く)。
【請求項3】
水を抽出溶媒として用いて抽出された水溶性ウコン抽出物を含有することを特徴とする、ヒトを対象とする健康な気分状態の維持又は増進のための健康食品組成物又はサプリメント組成物であって、前記ウコン抽出物がヒト1人に対する1日の摂取量当たり40μg以上24,000μg以下のビサクロンを含有し、前記ウコン抽出物中のクルクミン含有量が0.5重量%以下である、前記組成物(ただし二日酔いによる気分状態の悪化の改善剤、並びに、スファランサス インディクス(Sphaeranthus indicus)、コリウス アロマティカス(Coleus aromaticus)、シサス クアドラングラリス(Cissus quadrangularis)、マンゴスチン(Garcinia mangostana)、スイカ(Citrullus lanatus)、カミメボウキ(Ocimum sanctum)及びタマラニッケイ(Cinnamomum tamala)由来の抽出物又は画分から選択される1種以上を更に含有するものを除く)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気分状態を改善することができる気分状態改善剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒト等の動物における気分(感情ともいう)の悪化は、肉体的な疲労や精神的なストレスが複雑に組み合わされて生じる現象であり、明確な原因は明らかではない。気分状態は、「疲労」、「緊張−不安」、「抑うつ−落ち込み」、「怒り−敵意」、「活気」、「混乱」の各項目を、POMS(Profile of Mode Status)テストによりスコアで表し、該スコアに基づいて算出される「総合的な気分の障害」(TMD、Total Mood Disturbance)により客観的に表すことができる(非特許文献1)。
【0003】
特許文献1では、ウコン含有成分は、カルニチンパルミトイル転移酵素(CPT)活性を亢進する作用、脂肪肝改善作用、血中中性脂肪低減作用、抗疲労作用、抗ストレス作用、身体疲労軽減作用等を有することが開示されている。
【0004】
特許文献2では、オルニチン又はその塩と、ウコン、発酵ウコンエキス、及びクルクミンからなるグループから選ばれる1又は2以上の成分とを含有する、アルコール性疲労改善剤が開示されている。
【0005】
特許文献3では、クルクミンを含む体力増強剤が開示されている。
特許文献4では、アスタキサンチンとクルクミンからなる活性酸素抑制剤が開示されている。
【0006】
特許文献5では、クルクミン、大豆レシチン、及びミルクシスル種子のエキスからなるA群の少なくとも1種と、アムラエキス、小麦ふすま、茶葉エキス、及びセサミエキスからなるB群の少なくとも1種と、ザクロ種子のエキス、ジンジャーエキス、大豆イソフラボン、ウィザニア根のエキス、並びにバコパ・モンニエリ葉及び/又は茎のエキスからなるC群の少なくとも1種とを含有する組成物が、栄養剤組成物、酸化ストレス低下剤、老化防止剤、滋養強壮剤などとして有効であることが開示されている。
【0007】
しかしながら上記の特許文献1〜5では、いずれにも、ウコン又はウコン抽出物を経口摂取又は投与することにより被験者の気分状態が改善できるかどうかということは一切示唆されていない。
【0008】
特許文献6では、回遊魚の抽出物(鰹抽出物等)を経口摂取又は投与した被験者では、「総合的な気分の障害」(TMD)のスコアが低下すること、すなわち気分状態が改善されることが開示されている。しかしながら回遊魚の抽出物は特有の味を有するため、適用範囲が限られるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−133272号公報
【特許文献2】特開2011−105698号公報
【特許文献3】特開2007−314440号公報
【特許文献4】特開2014−19660号公報
【特許文献5】特開2013−1666号公報
【特許文献6】国際公開WO2005/087022
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】横山和仁編著、POMS短縮版 手引と事例解説(2005年1月28日出版)、金子書房
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
気分状態を改善するための手段として十分に満足できるものは知られていない。そこで本発明は気分状態を改善することができる気分状態改善剤を提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ウコン抽出物を摂取することで気分状態が顕著に改善されること、並びに、ウコン抽出物による気分状態改善作用は、特許文献1等に記載の疲労改善作用とは異質な作用であることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち本発明は以下の発明を包含する。
(1)ウコン抽出物を含有することを特徴とする、気分状態改善剤。
(2)前記ウコン抽出物が、水及び親水性有機溶媒からなる群から選択される少なくとも1種を抽出溶媒として用いて抽出された水溶性ウコン抽出物である、(1)に記載の気分状態改善剤。
(3)前記ウコン抽出物がビサクロンを含有する、(1)又は(2)に記載の気分状態改善剤。
(4)少なくとも1種の他の成分とともに経口又は経鼻による摂取又は投与用の形態に製剤化されている、(1)〜(3)のいずれかに記載の気分状態改善剤。
【発明の効果】
【0013】
本発明の気分状態改善剤又は気分状態改善剤を含む組成物を摂取することにより気分状態を改善することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の気分状態改善剤は、少なくともウコン抽出物を含有することを特徴とする。
本発明の気分状態改善剤は、ウコン抽出物以外の成分を含んでも良い。
本発明の気分状態改善剤は、一実施形態では、ウコン抽出物からなる。
本発明の気分状態改善剤は、少なくとも1種の他の成分とともに製剤化されることができる。
【0015】
本発明において、「含有する」とは、混合状態又は併存状態を含む。併存状態とは、使用前はそれぞれが分離されているが併存した組み合わせ状態にあって、使用時に混合して使用する状態をいう。
【0016】
<ウコン抽出物>
本発明においてウコン抽出物とは、ショウガ科ウコン属の植物に由来する植物原料の抽出溶媒による抽出物(ウコンエキス)をいい、必要に応じてさらに加熱及び/又は減圧等により抽出溶媒を揮発し、乾燥させたものであってもよい。これらの加熱、減圧、乾燥の方法は特に限定されず、例えば従来公知の方法を使用することができる。
【0017】
前記植物原料としては、ショウガ科ウコン属の植物であるCurcuma longa(ウコン)、Curcuma aromatica、Curcuma zedoaria、Curcuma phaeocaulis、Curcuma kwangsiensis、Curcuma wenyujin、及び/又は、Curcuma xanthorrhizaの根茎等が挙げられる。これらの根茎は土中から採取したものを使用してよく、根茎の適当な部位を原型のまま、あるいは適当な寸法又は形状にカットしたもの、あるいは粉砕物の形態にしたものを使用することができる。これらの植物原料は適宜乾燥されたものであってよい。
【0018】
植物原料からのウコン抽出物の抽出方法は特に限定されず、従来公知の方法を使用することができる。抽出溶媒としては、水及び親水性有機溶媒からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、水、親水性有機溶媒、水と親水性有機溶媒の混合溶媒等が挙げられる。親水性有機溶媒は複数種の親水性有機溶媒の混合溶媒であってもよい。「水」とは熱水も包含する。親水性有機溶媒としては少なくとも1種のアルコール(複数種のアルコールの混合溶媒であってもよい)が挙げられ、アルコールとしては、特に限定されないが、エタノールが好ましい。
【0019】
本発明において、親水性有機溶媒と水との混合溶媒の混合比は特に限定されないが、例えば重量比で10:90〜90:10の範囲が好ましく、20:80〜50:50の範囲がより好ましい。抽出する際の温度は、特に限定されない。
【0020】
前記抽出溶媒として水及び親水性有機溶媒からなる群から選択される少なくとも1種を用いて抽出されたウコン抽出物は、抽出溶媒として酢酸エチル等の疎水性有機溶媒を用いて抽出されたウコン抽出物と比較して、水溶性のより高い化合物が含有されているものである。従って、これらの抽出物は、含有される成分組成が互いに明らかに異なるものである。
【0021】
本発明では抽出溶媒として水及び親水性有機溶媒からなる群から選択される少なくとも1種を用いて抽出されたウコン抽出物を「水溶性ウコン抽出物」と称することがある。
【0022】
本発明において、ウコン抽出物としては、上述のようにして得られたウコン根茎の抽出物をそのまま使用することができるし、該ウコン根茎の抽出物を、さらに、希釈、濃縮、乾燥等の処理を施したものを使用することもできる。希釈、濃縮、乾燥等の方法は、従来公知の方法を使用することができる。
【0023】
本発明に用いるウコン抽出物は、好ましくは、ビサクロンを含むことを特徴とする。ビサクロンは、ウコン抽出物全量に対して好ましくは0.15重量%以上含有される。ウコン抽出物中のビサクロンの量は、ウコン抽出物を酢酸エチルと混合し、遠心分離して得られた上澄み液から酢酸エチルを減圧留去後、アセトニトリルに溶解した液を分析サンプルとして、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)に付すことにより求めることができる。
【0024】
本発明においてビサクロンとは、ビサボラン型セスキテルペン類に分類される化合物であり、下記の平面構造式を有する化合物又はその塩を意味する。ビサクロンは平面構造式中*印で示した位置に不斉炭素を有し、そのため数種の光学異性体が存在するが、本明細書におけるビサクロンとはそのいずれの光学異性体も包含する概念である。
【0026】
本発明で用いるウコン抽出物は好ましくはクルクミン含有量が0.5重量%以下であり、より好ましくはクルクミンを含有しない。
【0027】
<気分状態改善剤>
本発明の気分状態改善剤がヒトを対象とする場合、「気分状態」とは、典型的には、「疲労」、「緊張−不安」、「抑うつ−落ち込み」、「怒り−敵意」、「活気」、「混乱」の各項目を、POMS短縮版テスト(非特許文献1)により、標準化したスコア(T得点)で表し、「疲労」、「緊張−不安」、「抑うつ−落ち込み」、「怒り−敵意」、「混乱」の5項目の前記スコアの合計値から、「活気」の前記スコアを引いて得られる、「総合的な気分の障害」(TMD)で表される気分の状態を指す。そして、「気分状態改善」とは本発明の気分状態改善剤を投与又は摂取しない対照試験と比較して、前記「総合的な気分の障害」(TMD)が低下することを指し、より好ましくは、前記「総合的な気分の障害」(TMD)から「疲労」の前記スコアを引いた値が低下することを指す。換言すれば、本発明の気分状態改善剤は、好ましくは、ヒト(例えば成人)において、POMS短縮版テスト(非特許文献1)により求められる前記TMDを改善する(前記TMDのスコアの値を低下させる)作用を有し、より好ましくは、前記TMDのスコアから、POMS短縮版テスト(非特許文献1)により求められる「疲労」の前記スコアを引いた値を低下させる作用を有する。本発明の気分状態改善剤は、好ましくは、ヒトにおいて、「緊張−不安」、「抑うつ−落ち込み」、「怒り−敵意」及び「混乱」からなる群から選択される少なくとも1つを含む好ましくない気分、より好ましくは、「緊張−不安」、「抑うつ−落ち込み」、「怒り−敵意」及び「混乱」の組合せからなる好ましくない気分を改善する気分状態改善剤として使用することができる。
【0028】
本発明の気分状態改善剤におけるウコン抽出物の含有量は、特に限定されないが、例えば、本発明の気分状態改善剤の1日の摂取又は投与量当たり、好ましくはヒト1人、特に成人1人に対する1日の摂取又は投与量当たり、ウコン抽出物をビサクロンとして好ましくは40μg以上24,000μg以下、より好ましくは180μg以上、最も好ましくは250μg以上、より好ましくは12,000μg以下、最も好ましくは5,000μg以下となるように含有することが、気分状態改善作用を効果的に得られる点で好ましい。ここで「1日の摂取又は投与量」とは、経口又は経鼻による、好ましくは経口による、摂取又は投与の場合に典型的には、本発明の気分状態改善剤が他の成分と組み合わされた組成物の量として0.1g〜500gである。本発明の気分状態改善剤は、継続的に摂取又は投与して用いてもよいし、必要時に摂取又は投与して用いてもよい。
【0029】
本発明の気分状態改善剤を、ヒト等の動物に投与する経路は特に限定されないが、好ましくは経口又は経鼻経路であり、より好ましくは経口経路である。
【0030】
本発明の気分状態改善剤はヒト又は他の動物にそのまま摂取又は投与してもよいし、少なくとも1種の他の成分とともに製剤化されて得られる各種組成物の形態で摂取又は投与してもよい。
【0031】
<製剤化>
本発明の気分状態改善剤が少なくとも1種の他の成分とともに製剤化された組成物は気分状態改善作用を有する組成物であり、より好ましくは気分状態改善用組成物である。ここで「気分状態改善」は上述の通りである。
【0032】
前記組成物は、本発明の気分状態改善剤以外の他の成分1種又は2種以上を、さらに含む。他の成分としては、特に限定されないが、好ましくは、医薬品(ヒト又は動物用)、飲食品、飼料、食品添加剤、健康食品、サプリメント、飼料添加剤等の、経口又は経鼻による摂取又は投与において許容される成分である。他の成分としては、例えば、果糖ブドウ糖液糖、デキストリン、酸味料、ビタミン類、増粘剤、ウコン色素、イノシトール、香料、環状オリゴ糖、甘味料、ミネラル、酸化防止剤、乳化剤等や、後述する各種組成物の具体例に関して言及する他の成分が挙げられる。
【0033】
酸味料としては、クエン酸、リンゴ酸、グルコン酸、酒石酸、或いはこれらの塩等が挙げられる。
【0034】
ビタミン類としては、ナイアシン、ビタミンB1、ビタミンB6、ビタミンC、ビタミンE等が挙げられる。
【0035】
増粘剤としては、ジェランガム、キサンタンガム、ペクチン、グアーガム等の増粘多糖類が挙げられる。
【0036】
ウコン色素は、ウコンの根茎部分より、温時エタノールで、熱時油脂若しくはプロピレングリコールで、又は室温時〜熱時ヘキサン若しくはアセトンで抽出して得られるものであり、主にクルクミンを含むことが好ましい。前記組成物におけるウコン色素の量は、一回の摂取又は投与量当たり、好ましくは1回の経口摂取又は投与量当たり、クルクミンが約3mg〜50mg、より好ましくは約5mg〜40mg、特に好ましくは約6mg〜30mgとなる量のウコン色素が配合されるのがよい。
【0037】
ミネラルとしては、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。
酸化防止剤としては、ビタミンC、酵素処理ルチン等が挙げられる。
【0038】
甘味料としては、果糖、ブドウ糖、液糖等の糖類、はちみつ、スクラロース、アセスルファムカリウム、ソーマチン、アスパルテーム等の高甘味度甘味料が挙げられる。
【0039】
本発明の気分状態改善剤と少なくとも1種の他の成分とを含む前記組成物は、好ましくは、経口又は経鼻による摂取又は投与用に製剤化された組成物であり、より好ましくは経口による摂取又は投与用に製剤化された組成物である。ここで、経口又は経鼻による摂取又は投与用に製剤化された組成物は、医薬品(ヒト又は動物用)、飲食品、飼料、食品添加剤、健康食品、サプリメント、飼料添加剤等の各種形態であることができる。
【0040】
前記組成物の形状は、特に限定されず、例えば、液体状、流動状、ゲル状、半固形状、又は固形状などの何れの性状であってもよい。
【0041】
前記組成物を医薬品として用いる場合には、本発明の気分状態改善剤と、製剤用添加物等の製薬学的に許容される少なくも1種の他の成分とを含む医薬組成物の形態で製剤化されていることが好ましい。医薬組成物は、例えば、カプセル剤、錠剤(糖衣錠もしくは腸溶錠等のコーティング錠又は多層錠を含む)、散剤もしくは顆粒剤等の経口固形製剤の形態をとっていてもよいし、経口液体製剤の形態をとっていてもよいし、注射剤や点滴剤、坐剤等の非経口製剤の形態をとっていてもよい。これら製剤は、自体公知の方法により製造することができる。
【0042】
カプセル剤、錠剤、散剤もしくは顆粒剤等の固形製剤に通常使用されている製剤用添加物としては、例えば、賦形剤(例えば、乳糖、白糖、ブドウ糖、デンプン、結晶セルロース等)、結合剤(例えば、デンプン糊液、ヒドロキシプロピルセルロース液、カルメロース液、アラビアゴム液、ゼラチン液、アルギン酸ナトリウム液等)、崩壊剤(例えば、デンプン、カルメロースナトリウム、炭酸カルシウム等)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム等)、界面活性剤(例えば、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等)、増粘剤(例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール等)等が挙げられるが、これらに限定されない。錠剤又は顆粒剤は、コーティング剤(例えば、ゼラチン、白糖、アラビアゴム、カルナバロウ、酢酸フタル酸セルロース、メタアクリル酸コポリマー、ヒドロキシプロピルセルロースフタレート、カルボキシメチルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等)等で剤皮を施してもよい。カプセル剤は、ハードカプセルの他、マイクロカプセル又はソフトカプセル等であってもよい。固形製剤は、従来公知の方法により製造することができる。
【0043】
液体製剤には、例えば、糖類(例えば、ショ糖、ソルビット、果糖等)、グリコール類(例えばポリエチレングリコール、プロピレングリコール等)、分散又は増粘剤(例えば、ゼラチン、アラビアゴム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール等)、乳化剤(例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等)、溶解補助剤(例えば、アラビアゴム、ポリソルベート80等)、pH調整剤(例えば、クエン酸、クエン酸三ナトリウム等)、防腐剤(例えば、パラオキシ安息香酸エステル類等)等を配合してもよい。
【0044】
本発明の気分状態改善剤と少なくとも1種の他の成分とを製剤化して得られた組成物が飲食品である場合には、該飲食品は、本発明の気分状態改善剤と、食品衛生上許容される添加物、通常の食品原料等の飲食品として許容される少なくとも1種の他の成分とを含む形態とすることができる。本発明の気分状態改善剤と少なくとも1種の他の成分とを製剤化して得られた組成物が食品添加剤である場合には、該食品添加剤は、本発明の気分状態改善剤と、食品衛生上許容される添加剤等の食品添加剤として許容される少なくとも1種の他の成分とを含む形態とすることができる。
【0045】
前記飲食品や食品添加剤は、本発明の気分状態改善剤と食品衛生上許容される少なくとも1種の添加剤とが、例えば、カプセル剤、錠剤(糖衣錠等のコーティング錠又は多層錠、あるいは口中崩壊剤等を含む)、散剤もしくは顆粒剤等の固形組成物の形態に製剤化されたものであってもよいし、液体組成物の形態に製剤化されたものであってもよい。該添加剤としては、例えば賦形剤(例えば、乳糖、デキストリン、コーンスターチ、結晶セルロース等)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル等)、崩壊剤(例えば、カルボキシメチルセルロースカルシウム、無水リン酸水素カルシウム、炭酸カルシウム等)、結合剤(例えば、デンプン糊液、ヒドロキシプロピルセルロース液、アラビアゴム液等)、溶解補助剤(例えば、アラビアゴム、ポリソルベート80等)、甘味料(例えば、砂糖、果糖、ブドウ糖液糖、ハチミツ、アスパルテーム等)、着色料(例えば、β−カロテン、食用タール色素、リボフラビン等)、保存料(例えば、ソルビン酸、パラオキシ安息香酸メチル、亜硫酸ナトリウム等)、増粘剤(例えば、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム等)、酸化防止剤(例えば、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、アスコルビン酸、トコフェロール等)、香料(例えば、ハッカ、ストロベリー香料等)、酸味料(例えば、クエン酸、乳糖、DL−リンゴ酸等)、調味料(例えば、DL−アラニン、5’−イノシン酸ナトリウム、L−グルタミン酸ナトリウム等)、乳化剤(例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等)、pH調整剤(例えば、クエン酸、クエン酸三ナトリウム等)、ビタミン類、ミネラル類、アミノ酸類、色素等が挙げられる。該固形組成物は、常法に従って製造することができる。また、液体組成物は、上記の経口投与に適する医薬品としての液体製剤と同様にして製造することができる。
【0046】
また、本発明の気分状態改善剤又は該気分状態改善剤を含む組成物を、飲食品に配合することによって、飲食品を製造することができる。そのような飲食品としては、例えば、菓子類(例えば、ガム、キャンディー、キャラメル、チョコレート、クッキー、スナック菓子、ゼリー、グミ、錠菓等)、麺類(例えば、そば、うどん、ラーメン等)、乳製品(例えば、ミルク、アイスクリーム、ヨーグルト等)、調味料(例えば、味噌、醤油等)、スープ類、飲料(例えば、ジュース、コーヒー、紅茶、茶、炭酸飲料、スポーツ飲料等)をはじめとする一般食品や栄養補助食品(例えば、栄養ドリンク等)等が挙げられる。なお、食品には、食品添加剤を含む食品も包含される。
【0047】
本発明の気分状態改善剤と少なくとも1種の他の成分とを製剤化して得られた組成物が健康食品である場合には、該健康食品は、本発明の気分状態改善剤と、食品衛生上許容される添加物、通常の健康食品原料等の健康食品として許容される少なくとも1種の他の成分とを含む形態とすることができる。健康食品とは、保健、健康維持・増進等の目的とした食品組成物を意味し、認可された特定機能性食品や、特定機能性食品の認可のないいわゆる健康食品が含まれる。前記健康食品は、例えば、液体又は半固形、固形の製品であって、クッキー、せんべい、ゼリー、ようかん、ヨーグルト、まんじゅう等の菓子類、清涼飲料、栄養飲料、スープ等が挙げられる。また、そのままお湯や水に溶かして飲用しても良い。これらの液体又は半固形、固形の製品は、常法に従って製造することができる。
【0048】
本発明の気分状態改善剤と少なくとも1種の他の成分とを製剤化して得られた組成物がサプリメントである場合には、該サプリメントは、本発明の気分状態改善剤と、食品衛生上許容される添加物、通常のサプリメント用原料等のサプリメントとして許容される少なくとも1種の他の成分とを含む形態とすることができる。サプリメントとは、栄養素等を補うための栄養補助食品、栄養機能食品等を意味するだけではなく、健康の保持・回復・増進等のために役立つ機能等を有する健康補助食品、健康機能食品等をも意味する。このようなサプリメントの形状としては、例えば、タブレット状、丸状、カプセル(ハードカプセル、ソフトカプセル、マイクロカプセルを含む)状、粉末状、顆粒状、細粒状、トローチ状、液状(シロップ状、乳状、懸濁状を含む)等が挙げられる。これらは、常法に従って製造することができる。
【0049】
本発明の気分状態改善剤と少なくとも1種の他の成分とを製剤化して得られた組成物が飼料である場合には、該飼料は、本発明の気分状態改善剤と、一般的な飼料添加物、飼料用原料等の飼料として許容される少なくとも1種の他の成分とを含む形態とすることができる。本発明の気分状態改善剤と少なくとも1種の他の成分とを製剤化して得られた組成物が飼料添加剤である場合には、該飼料添加物は、本発明の気分状態改善剤と、一般的な飼料添加物等の飼料添加物として許容される少なくとも1種の他の成分とを含む形態とすることができる。
【0050】
本発明の気分状態改善剤と少なくとも1種の他の成分とを製剤化して得られた組成物が、上記で挙げたような経口又は経鼻による摂取又は投与用組成物、好ましくは経口による摂取又は投与用組成物である場合には、該組成物は、例えば、1日の摂取又は投与量当たり、好ましくはヒト1人、特に成人1人に対する1日の摂取又は投与量当たり、ウコン抽出物をビサクロンとして好ましくは40μg以上24,000μg以下、より好ましくは180μg以上、最も好ましくは250μg以上、より好ましくは12,000μg以下、最も好ましくは5,000μg以下となるように含有することが、気分状態改善作用を効果的に得られる点で好ましい。ここで「1日の摂取又は投与量」とは典型的には、0.1g〜500gである。本発明の組成物は、継続的に摂取して用いてもよいし、必要時に摂取して用いてもよい。
【0051】
本発明の気分状態改善剤と少なくとも1種の他の成分とを製剤化して得られた組成物が錠剤である場合には、該錠剤は、5錠あたりで、ウコン抽出物をビサクロンとして好ましくは40μg以上24,000μg以下、より好ましくは180μg以上、最も好ましくは250μg以上、より好ましくは12,000μg以下、最も好ましくは5,000μg以下となるように含有する。
【実施例】
【0052】
本発明を以下の実験結果に基づき具体的に説明するが本発明はこれらによって限定されるものではない。
【0053】
<材料等>
1)ウコン抽出物の調製
ウコン抽出物は、ウコン(Curcuma longa)の根茎部分を水にて抽出し、得られた抽出液を減圧加熱乾燥して水分を除去することにより調製した。
【0054】
ウコン抽出物中のビサクロンの量は、ウコン抽出物と酢酸エチルを混合し、遠心分離して得られた上澄み液から酢酸エチルを減圧留去後、アセトニトリルに溶解した液を分析サンプルとして、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)に付すことにより求めた。HPLCは以下の条件で行なった。
カラム:Thermo ODS HYPERSIL(登録商標)250mm×φ4.6mm(サーモサイエンティフィック社製)
移動相:65%アセトニトリル(20min)⇒80%アセトニトリル(5min)⇒65%アセトニトリル(10min)
流速:0.7ml/min
温度:40℃
検出波長:242nm
【0055】
その結果、ウコン抽出物中のビサクロンの量は約0.15質量%以上、クルクミンの量は0.5重量%以下であることを確認した。
【0056】
2)被験食品
被験食品1は、5錠あたりウコン抽出物をビサクロンとして400μg含有する錠剤である。被験食品2は、5錠あたりウコン抽出物をビサクロンとして2,400μg含有する錠剤である。各被験食品は、ウコン抽出物、賦形剤、着色料及び製造用剤(微粒二酸化ケイ素、ショ糖脂肪酸エステル)を混合した後、打錠して錠剤としたものである。プラセボ食品は、上記被験食品のウコン抽出物を賦形剤に置換して調製された錠剤である。
【0057】
3)気分状態の評価方法
POMS(Profile of Mode Status)短縮版では、「疲労」、「緊張−不安」、「抑うつ−落ち込み」、「怒り−敵意」、「活気」、「混乱」の各項目に関連する所定数の質問に対して被験者が0〜4点の範囲で自らの状態を評価した結果を、前記各項目について合計して前記各項目の素点を求め、当該素点を、標準化したスコア(T得点)に換算して表す。前記素点又は標準化したスコアが大きいほど、各項目の程度が大きいことを表す。標準化したスコアは、文献付表の気分プロフィール換算表から算出した(非特許文献1)。「総合的な気分の障害」(TMD、Total Mood Disturbance)とは総合的な気分状態を表す指標であり、「疲労」、「緊張−不安」、「抑うつ−落ち込み」、「怒り−敵意」、「混乱」の5項目のスコアの合計値から、「活気」のスコアを引いて得られる値である。
【0058】
<試験と結果>
年齢20歳以上65歳未満の男女で、ほぼ毎日飲酒する習慣がある方を対象として、被験食品1、被験食品2、もしくはプラセボ食品を1日1回、5錠を夕食前に8週間摂取させた。事前検査の結果から、試験参加に適格と判断された被験者48名を選択し、各群16名ずつ3群に無作為に割り付け、摂取を開始した。摂取期間は8週間とし、摂取前、摂取4週目、8週目および摂取終了後4週目にPOMS短縮版によるアンケート調査を行った。表1〜4に、結果の平均値と標準偏差およびstudentのt検定による有意差検定の結果を示した。表1に示したように、プラセボ群では、摂取前と比較し摂取4週目と摂取後4週目において、「総合的な気分の障害」のスコアの有意な増加が認められ、摂取8週目において増加傾向が認められた。表2に示したように、被験食品1摂取群の摂取前から摂取4週目の変化量は、プラセボ群と比較し、有意に低値を示し、被験食品2摂取群の摂取前から摂取4週目の変化量は、プラセボ群と比較し、低値傾向を示したことから、被験食品の摂取による「総合的な気分の障害」の改善が示された。表3に示したように、プラセボ群では、摂取前と比較し摂取8週目において、「疲労」のスコアの有意な増加が認められた。表4に示したように、被験食品1摂取群および被験食品2摂取群の摂取前から摂取8週目の変化量は、プラセボ群と比較し、有意に低値を示し、被験食品の摂取による「疲労」の改善が示された。
【0059】
被験食品1および被験食品2による「総合的な気分の障害」のスコアの改善は、「疲労」のスコアの改善のみによるものではなく、他の評価項目(「緊張−不安」、「抑うつ−落ち込み」、「怒り−敵意」、「活気」、「混乱」)のスコアの改善によるものであることは、「総合的な気分の障害」のスコアから「疲労」のスコアを差し引いた差のスコア(以下、「差のスコア」という)が、被験食品1摂取群および被験食品2摂取群において有意に改善していることから明らかとなった。表5には、前記差のスコアの、各試験群の摂取前、摂取4週目、摂取8週目、摂取後4週目の各時点での値を示す。表6には、各試験群の前記差のスコアに関して、摂取4週目、摂取8週目、摂取後4週目の各時点での値の、摂取前の値からの変化量を示す。表5に示すように、プラセボ群では、摂取前と比較し摂取4週目において、前記差のスコアの有意な増加が認められ、摂取後4週目において増加傾向が認められた。プラセボ群で、試験開始による何らかの心理的負担があったと考えられる。また、表6に示すように被験食品1摂取群の摂取前から摂取4週目の前記差のスコアの変化量は、プラセボ群と比較し、有意に低値を示し、被験食品2摂取群の摂取前から摂取4週目の前記差のスコアの変化量は、プラセボ群と比較し、低値傾向を示した。これらの結果から、被験食品の摂取により「総合的な気分の障害」−「疲労」のスコアが改善することが明らかとなった。
【0060】
【表1】
【0061】
【表2】
【0062】
【表3】
【0063】
【表4】
【0064】
【表5】
【0065】
【表6】
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明の気分状態改善剤は気分状態改善作用を有するため、ヒト又は動物において気分を改善する用途において有用である。