特許第6773363号(P6773363)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6773363-臓器線維化抑制組成物 図000003
  • 特許6773363-臓器線維化抑制組成物 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6773363
(24)【登録日】2020年10月5日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】臓器線維化抑制組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/9066 20060101AFI20201012BHJP
   A61K 31/12 20060101ALI20201012BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20201012BHJP
【FI】
   A61K36/9066
   A61K31/12
   A61P1/16
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-140650(P2016-140650)
(22)【出願日】2016年7月15日
(65)【公開番号】特開2018-8912(P2018-8912A)
(43)【公開日】2018年1月18日
【審査請求日】2019年4月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】306019030
【氏名又は名称】ハウスウェルネスフーズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100118773
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 節
(74)【代理人】
【識別番号】100130443
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 真治
(72)【発明者】
【氏名】内尾 隆正
(72)【発明者】
【氏名】東 洋平
(72)【発明者】
【氏名】川▲崎▼ 健吾
(72)【発明者】
【氏名】室山 幸太郎
(72)【発明者】
【氏名】室▲崎▼ 伸二
【審査官】 鳥居 福代
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−160841(JP,A)
【文献】 Jpn. Pharmacol. Ther.(薬理と治療),2016年 4月,Vol.44, No.4,pp.593-602
【文献】 Life Sciences,2005年,Vol.77,pp.890-906
【文献】 Bioorganic & Medicinal Chemistry,2001年,Vol.9,pp.909-916
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 36/00−36/9068
A61K 31/00−31/327
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クルクミン含有量が0.5重量%以下であるウコン(Curcuma longa)抽出物を含有し、且つ、クルクミンが別途配合されていないことを特徴とする、非アルコール性の肝線維化抑制組成物。
【請求項2】
前記ウコン抽出物が、水溶性ウコン抽出物を含有する、請求項1に記載の線維化抑制組成物。
【請求項3】
前記ウコン抽出物がビサクロンを含有する、請求項1又は2に記載の線維化抑制組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、臓器の線維化を抑制するための組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
臓器の線維化は臓器を構成する組織の各所にコラーゲンなどの線維成分が過剰に蓄積した状態を指し、臓器の線維化は臓器不全に共通の病態である。たとえば、心筋に線維化が生じたときには心臓の働きに異常が起き、呼吸困難や心悸亢進などの症状が出現し、また、関節リウマチにおける骨の萎縮や変性、肝臓全体の線維化を示す肝硬変の病態なども、結合組織が線維化した例としてよく知られている。肝臓の線維化はウイルス感染、薬剤の過剰投与、糖質や脂質の過剰摂取によって誘導され、線維化が進行すると肝硬変、肝がん、肝不全に移行することが明らかになっている(非特許文献1及び2)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】J Clin Invest. 2005 Feb;115(2):209-18
【非特許文献2】Jpn. J. Clin. Immunol. 2009;32(3):160-67
【非特許文献3】日本内科学会雑誌 第103巻 臨時増刊号・2015年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
肝硬変や肝不全への(進展)を予防するために肝臓の線維化を抑制することは重要であるが、肝臓の線維化に対する特異的かつ効果的な治療薬は存在しない(非特許文献3)。また、肝臓以外の臓器の線維化についても有効な抑制手段は存在しない。
【0005】
そこで本発明は、臓器の線維化を抑制するための有効な手段を提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ウコン抽出物を摂取することで臓器の線維化が顕著に抑制されることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち本発明は以下の発明を包含する。
(1)ウコン抽出物を含有することを特徴とする、臓器線維化抑制組成物。
(2)前記ウコン抽出物が、水溶性ウコン抽出物を含有する、(1)に記載の臓器線維化抑制組成物。
(3)前記ウコン抽出物がビサクロンを含有する、(1)又は(2)に記載の臓器線維化抑制組成物。
(4)臓器線維化が肝線維化である(1)〜(3)のいずれかに記載の臓器線維化抑制組成物。
(5)肝線維化が非アルコール性の肝線維化である(4)に記載の臓器線維化抑制組成物。
【発明の効果】
【0007】
本発明の組成物を摂取することにより臓器の線維化を抑制することが可能である。
本発明の組成物は、食品の成分であるウコン抽出物を有効成分としているため、ヒト又は他の動物による継続的な摂取又は投与での安全性が高いと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1はシリウスレッド染色した対照群、0.02%ウコン抽出物群、0.08%ウコン抽出物群の肝組織像である。
図2図2は対照群、0.02%ウコン抽出物群、0.08%ウコン抽出物群の肝臓組織中の肝線維化面積率(シリウスレッド陽性面積率)を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の組成物は、少なくともウコン抽出物を含有することを特徴とする。
本発明の組成物は、ウコン抽出物以外の成分を含んでも良い。
本発明の組成物は、一実施形態では、ウコン抽出物からなる。
本発明の組成物は、少なくとも1種の他の成分とともに製剤化されることができる。
【0010】
本発明において、「含有する」とは、混合状態又は併存状態を含む。併存状態とは、使用前はそれぞれが分離されているが併存した組み合わせ状態にあって、使用時に混合して使用する状態をいう。
【0011】
<ウコン抽出物>
本発明においてウコン抽出物とは、ショウガ科ウコン属の植物に由来する植物原料の抽出溶媒による抽出物(ウコンエキス)をいう。ウコン抽出物は、抽出溶媒による抽出により得られた溶媒抽出物に限らず、溶媒抽出物を更に、カラムクロマトグラフィー等で分画精製したものをも包含する。本発明で用いるウコン抽出物は、抽出操作(分画精製を行う場合は分画精製操作も含む)の完了した抽出液、抽出液から溶媒を部分的に除去した濃縮物、或いは、抽出液から溶媒を除去した乾燥物の形態であることができる。抽出物からの溶媒の除去は、加熱及び/又は減圧等により溶媒を揮発することにより行うことができる。これらの加熱、減圧の方法は特に限定されず、例えば従来公知の方法を使用することができる。
【0012】
前記植物原料としては、ショウガ科ウコン属の植物であるCurcuma longa(ウコン)、Curcuma aromatica、Curcuma zedoaria、Curcuma phaeocaulis、Curcuma kwangsiensis、Curcuma wenyujin、及び/又は、Curcuma xanthorrhizaの根茎等が挙げられる。これらの根茎は土中から採取したものを使用してよく、根茎の適当な部位を原型のまま、あるいは適当な寸法又は形状にカットしたもの、あるいは粉砕物の形態にしたものを使用することができる。これらの植物原料は適宜乾燥されたものであってよい。
【0013】
植物原料からのウコン抽出物の抽出方法は特に限定されず、従来公知の方法を使用することができる。抽出溶媒としては、水及び親水性有機溶媒からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。水及び親水性有機溶媒からなる群から選択される少なくとも1種の抽出溶媒としては、水、親水性有機溶媒、水と親水性有機溶媒の混合溶媒のいずれであってもよい。親水性有機溶媒は複数種の親水性有機溶媒の混合溶媒であってもよい。「水」とは熱水も包含する。親水性有機溶媒としては少なくとも1種のアルコール(複数種のアルコールの混合溶媒であってもよい)が挙げられ、アルコールとしては、特に限定されないが、エタノールが好ましい。
【0014】
本発明において、水と親水性有機溶媒との混合溶媒の混合比は特に限定されないが、例えば重量比で90:10〜10:90の範囲が好ましく、80:20〜50:50の範囲がより好ましい。抽出する際の温度は、特に限定されない。
【0015】
水溶性ウコン抽出物は、ウコン植物原料から、抽出溶媒として水及び親水性有機溶媒からなる群から選択される少なくとも1種を用いて抽出することにより得ることができる。水溶性ウコン抽出物を得るための抽出溶媒は、水を含む抽出溶媒であることが好ましく、本明細書に記載の抽出溶媒のうち特に、水、又は、水と親水性有機溶媒の混合溶媒であることがより好ましい。水溶性ウコン抽出物は、単独で用いてもよいし、1種以上の他の成分と組み合わせて本発明に用いてもよい。他の成分は、溶媒、賦形剤、生理活性成分等が挙げられ、後述するウコン色素のような疎水性の成分であってもよい。他の成分と組み合わせる前の段階において、水溶性ウコン抽出物は、常温(例えば20℃)において、水及び親水性有機溶媒からなる群から選択される少なくとも1種(特に水)に可溶であることが好ましく、具体的には、常温(例えば20℃)において、水及び親水性有機溶媒からなる群から選択される少なくとも1種(特に水)に1重量%以上の濃度(ウコン抽出物は乾燥物換算)で溶解することが好ましい。
【0016】
前記抽出溶媒として水及び親水性有機溶媒からなる群から選択される少なくとも1種を用いて抽出された水溶性ウコン抽出物は、抽出溶媒として酢酸エチル等の疎水性有機溶媒を用いて抽出されたウコン抽出物と比較して、水溶性のより高い化合物が含有されているものである。従って、これらの抽出物は、含有される成分組成が互いに明らかに異なるものである。
【0017】
本発明において、ウコン抽出物としては、上述のようにして得られたウコン根茎の抽出物をそのまま使用することができるし、該ウコン根茎の抽出物を、溶媒、賦形剤、生理活性成分等の他の成分と組み合わせた形態で使用することもできる。例えば、ウコン抽出物として、水溶性ウコン抽出物を含むウコン抽出物を用いる実施形態において、水溶性ウコン抽出物としては、水溶性ウコン抽出物を適当な溶媒中に溶解又は懸濁した液状物、水溶性ウコン抽出物とデキストリン等の賦形剤とを組み合わせた組成物、水溶性ウコン抽出物と後述するウコン色素と賦形剤とを組み合わせた組成物等の各種形態のものを使用することができる。
【0018】
本発明に用いるウコン抽出物は、好ましくは、ビサクロンを含むことを特徴とする。水溶性ウコン抽出物は、水溶性のビサクロンを含むため好ましい。ビサクロンは、ウコン抽出物全量に対して好ましくは0.15重量%以上含有される。ウコン抽出物中のビサクロンの量は、ウコン抽出物を酢酸エチルと混合し、遠心分離して得られた上澄み液から酢酸エチルを減圧留去後、アセトニトリルに溶解した液を分析サンプルとして、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)に付すことにより求めることができる。
【0019】
本発明においてビサクロンとは、ビサボラン型セスキテルペン類に分類される化合物であり、下記の平面構造式を有する化合物又はその塩を意味する。ビサクロンは平面構造式中*印で示した位置に不斉炭素を有し、そのため数種の光学異性体が存在するが、本明細書におけるビサクロンとはそのいずれの光学異性体も包含する概念である。
【0020】
【化1】
【0021】
本発明で用いるウコン抽出物は好ましくはクルクミン含有量が0.5重量%以下であり、より好ましくはクルクミンを含有しない。
【0022】
<臓器線維化抑制組成物>
「臓器線維化」とは、臓器を構成する組織の各所にコラーゲンなどの線維成分が過剰に蓄積した状態を指し、臓器の線維化は臓器不全に共通の病態である。たとえば、肝臓の線維化は、ウイルス感染、薬剤の過剰投与、糖質や脂質の過剰摂取によって生じる。「非アルコール性の肝線維化」とは、アルコール以外、特に脂肪が要因となる肝線維化を指す。臓器線維化の抑制が望まれる臓器としては、肝臓、心臓、肺、腎臓、膵臓、胃、腸管(小腸、大腸、結腸等)、血管、骨髄、筋肉、皮膚、眼等が挙げられる。本発明の臓器線維化抑制組成物は、好ましくは、肝臓、心臓、肺、腎臓、膵臓、胃、腸管(小腸、大腸、結腸等)、血管、骨髄、筋肉、皮膚及び眼から選択される1以上の臓器での線維化を抑制するための組成物である。
【0023】
肝線維化は、肝臓組織において、シリウスレッド染色などの手段でコラーゲンを染色することで観察することができる。
【0024】
本発明において「臓器線維化抑制組成物」は、臓器の線維化を抑制するために用いられる組成物を指す。本発明の臓器線維化抑制組成物は、任意の経路で摂取又は投与される組成物であり、好ましくは経口又は経鼻による摂取又は投与用の組成物であり、より好ましくは経口による摂取又は投与用の組成物であり、医薬品(ヒト又は非ヒト動物用)、飲食品、飼料、食品添加剤、健康食品、サプリメント、飼料添加剤等の任意の態様であることができる。本発明の、臓器線維化抑制組成物が対象とする動物は、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ等の哺乳動物であり、特に好ましくはヒトである。
【0025】
本発明の臓器線維化抑制組成物はウコン抽出物自体であってもよいし、ウコン抽出物と少なくとも1種の他の成分とを組み合わせた形態であってもよい。
【0026】
本発明の臓器線維化抑制組成物におけるウコン抽出物の含有量は、本発明の臓器線維化抑制組成物の1日の摂取又は投与量当たり、好ましくはヒト1人、特に成人1人に対する1日の摂取又は投与量当たり、ウコン抽出物をビサクロンとして例えば40μg〜24,000μg、好ましくは180μg〜8,000μg、より好ましくは250μg〜3,300μgとなるように含有することが、非アルコール性の肝線維化などの臓器線維化を抑制する作用を効果的に得られる点で好ましい。本発明の臓器線維化抑制組成物は、対象動物、特にヒト、特に成人に対して、ウコン抽出物がビサクロンとして例えば0.7μg/kg体重/日〜400μg/kg体重/日、好ましくは3μg/kg体重/日〜133μg/kg体重/日、より好ましくは4μg/kg体重/日〜55μg/kg体重/日の量で投与又は摂取されるように含有する。ここで「1日の摂取又は投与量」とは、経口又は経鼻による、好ましくは経口による、摂取又は投与の場合に、典型的には、本発明の臓器線維化抑制組成物の量として0.1g〜500gである。本発明の臓器線維化抑制組成物は、継続的に摂取又は投与して用いてもよいし、必要時に摂取又は投与して用いてもよい。
【0027】
<製剤化>
上記の通り、本発明の臓器線維化抑制組成物は、ウコン抽出物と、他の成分1種又は2種以上とを含むことができる。当該他の成分としては、特に限定されないが、好ましくは、医薬品(ヒト又は非ヒト動物用)、飲食品、飼料、食品添加剤、健康食品、サプリメント、飼料添加剤等の、経口又は経鼻による摂取又は投与において許容される成分である。他の成分としては、例えば、果糖ブドウ糖液糖、デキストリン、酸味料、ビタミン類、増粘剤、ウコン色素、イノシトール、香料、環状オリゴ糖、甘味料、ミネラル、酸化防止剤、乳化剤等や、後述する各種組成物の具体例に関して言及する他の成分が挙げられる。
【0028】
酸味料としては、クエン酸、リンゴ酸、グルコン酸、酒石酸、或いはこれらの塩等が挙げられる。
【0029】
ビタミン類としては、ナイアシン、ビタミンB1、ビタミンB6、ビタミンC、ビタミンE等が挙げられる。
【0030】
増粘剤としては、ジェランガム、キサンタンガム、ペクチン、グアーガム等の増粘多糖類が挙げられる。
【0031】
ウコン色素は、ウコンの根茎部分より、温時エタノールで、熱時油脂若しくはプロピレングリコールで、又は室温時〜熱時ヘキサン若しくはアセトンで抽出して得られるものであり、主にクルクミンを含むことが好ましい。前記組成物におけるウコン色素の量は、一回の摂取又は投与量当たり、好ましくは1回の経口摂取又は投与量当たり、クルクミンが約3mg〜50mg、より好ましくは約5mg〜40mg、特に好ましくは約6mg〜30mgとなる量のウコン色素が配合されるのがよい。
【0032】
ミネラルとしては、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。
酸化防止剤としては、ビタミンC、酵素処理ルチン等が挙げられる。
甘味料としては、果糖、ブドウ糖、液糖等の糖類、はちみつ、スクラロース、アセスルファムカリウム、ソーマチン、アスパルテーム等の高甘味度甘味料が挙げられる。
【0033】
ウコン抽出物と少なくとも1種の他の成分とを含む本発明の組成物は、好ましくは、経口又は経鼻による摂取又は投与用に製剤化された組成物であり、より好ましくは経口による摂取又は投与用に製剤化された組成物である。ここで、経口又は経鼻による摂取又は投与用に製剤化された組成物は、医薬品(ヒト又は動物用)、飲食品、飼料、食品添加剤、健康食品、サプリメント、飼料添加剤等の各種形態であることができる。
【0034】
本発明の臓器線維化抑制組成物の形状は、特に限定されず、例えば、液体状、流動状、ゲル状、半固形状、又は固形状などの何れの性状であってもよい。
【0035】
本発明の臓器線維化抑制組成物を医薬品として用いる場合には、ウコン抽出物と、製剤用添加物等の製薬学的に許容される少なくも1種の他の成分とを含む医薬組成物の形態で製剤化されていることが好ましい。医薬組成物は、例えば、カプセル剤、錠剤(糖衣錠もしくは腸溶錠等のコーティング錠又は多層錠を含む)、散剤もしくは顆粒剤等の経口固形製剤の形態をとっていてもよいし、経口液体製剤の形態をとっていてもよいし、注射剤や点滴剤、坐剤等の非経口製剤の形態をとっていてもよい。これら製剤は、自体公知の方法により製造することができる。
【0036】
カプセル剤、錠剤、散剤もしくは顆粒剤等の固形製剤に通常使用されている製剤用添加物としては、例えば、賦形剤(例えば、乳糖、白糖、ブドウ糖、デンプン、結晶セルロース等)、結合剤(例えば、デンプン糊液、ヒドロキシプロピルセルロース液、カルメロース液、アラビアゴム液、ゼラチン液、アルギン酸ナトリウム液等)、崩壊剤(例えば、デンプン、カルメロースナトリウム、炭酸カルシウム等)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム等)、界面活性剤(例えば、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等)、増粘剤(例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール等)等が挙げられるが、これらに限定されない。錠剤又は顆粒剤は、コーティング剤(例えば、ゼラチン、白糖、アラビアゴム、カルナバロウ、酢酸フタル酸セルロース、メタアクリル酸コポリマー、ヒドロキシプロピルセルロースフタレート、カルボキシメチルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等)等で剤皮を施してもよい。カプセル剤は、ハードカプセルの他、マイクロカプセル又はソフトカプセル等であってもよい。固形製剤は、従来公知の方法により製造することができる。
【0037】
液体製剤には、例えば、糖類(例えば、ショ糖、ソルビット、果糖等)、グリコール類(例えばポリエチレングリコール、プロピレングリコール等)、分散又は増粘剤(例えば、ゼラチン、アラビアゴム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール等)、乳化剤(例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等)、溶解補助剤(例えば、アラビアゴム、ポリソルベート80等)、pH調整剤(例えば、クエン酸、クエン酸三ナトリウム等)、防腐剤(例えば、パラオキシ安息香酸エステル類等)等を配合してもよい。
【0038】
本発明の臓器線維化抑制組成物が飲食品である場合には、該飲食品は、ウコン抽出物と、食品衛生上許容される添加物、通常の食品原料等の飲食品として許容される少なくとも1種の他の成分とを含む形態とすることができる。本発明の臓器線維化抑制組成物が食品添加剤である場合には、該食品添加剤は、ウコン抽出物と、食品衛生上許容される添加剤等の食品添加剤として許容される少なくとも1種の他の成分とを含む形態とすることができる。
【0039】
前記飲食品や食品添加剤は、ウコン抽出物と食品衛生上許容される少なくとも1種の添加剤とが、例えば、カプセル剤、錠剤(糖衣錠等のコーティング錠又は多層錠、あるいは口中崩壊剤等を含む)、散剤もしくは顆粒剤等の固形組成物の形態に製剤化されたものであってもよいし、液体組成物の形態に製剤化されたものであってもよい。該添加剤としては、例えば賦形剤(例えば、乳糖、デキストリン、コーンスターチ、結晶セルロース等)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル等)、崩壊剤(例えば、カルボキシメチルセルロースカルシウム、無水リン酸水素カルシウム、炭酸カルシウム等)、結合剤(例えば、デンプン糊液、ヒドロキシプロピルセルロース液、アラビアゴム液等)、溶解補助剤(例えば、アラビアゴム、ポリソルベート80等)、甘味料(例えば、砂糖、果糖、ブドウ糖液糖、ハチミツ、アスパルテーム等)、着色料(例えば、β−カロテン、食用タール色素、リボフラビン等)、保存料(例えば、ソルビン酸、パラオキシ安息香酸メチル、亜硫酸ナトリウム等)、増粘剤(例えば、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム等)、酸化防止剤(例えば、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、アスコルビン酸、トコフェロール等)、香料(例えば、ハッカ、ストロベリー香料等)、酸味料(例えば、クエン酸、乳糖、DL−リンゴ酸等)、調味料(例えば、DL−アラニン、5’−イノシン酸ナトリウム、L−グルタミン酸ナトリウム等)、乳化剤(例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等)、pH調整剤(例えば、クエン酸、クエン酸三ナトリウム等)、ビタミン類、ミネラル類、アミノ酸類、色素等が挙げられる。該固形組成物は、常法に従って製造することができる。また、液体組成物は、上記の経口投与に適する医薬品としての液体製剤と同様にして製造することができる。
【0040】
前記飲食品としては、例えば、菓子類(例えば、ガム、キャンディー、キャラメル、チョコレート、クッキー、スナック菓子、ゼリー、グミ、錠菓等)、麺類(例えば、そば、うどん、ラーメン等)、乳製品(例えば、ミルク、アイスクリーム、ヨーグルト等)、調味料(例えば、味噌、醤油等)、スープ類、飲料(例えば、ジュース、コーヒー、紅茶、茶、炭酸飲料、スポーツ飲料等)をはじめとする一般食品や栄養補助食品(例えば、栄養ドリンク等)等が挙げられる。なお、食品には、食品添加剤を含む食品も包含される。
【0041】
本発明の臓器線維化抑制組成物が健康食品である場合には、該健康食品は、ウコン抽出物と、食品衛生上許容される添加物、通常の健康食品原料等の健康食品として許容される少なくとも1種の他の成分とを含む形態とすることができる。健康食品とは、保健、健康維持・増進等の目的とした食品組成物を意味し、認可された特定機能性食品や、特定機能性食品の認可のないいわゆる健康食品が含まれる。前記健康食品は、例えば、液体又は半固形、固形の製品であって、クッキー、せんべい、ゼリー、ようかん、ヨーグルト、まんじゅう等の菓子類、清涼飲料、栄養飲料、スープ等が挙げられる。また、そのままお湯や水に溶かして飲用しても良い。これらの液体又は半固形、固形の製品は、常法に従って製造することができる。
【0042】
本発明の臓器線維化抑制組成物がサプリメントである場合には、該サプリメントは、ウコン抽出物と、食品衛生上許容される添加物、通常のサプリメント用原料等のサプリメントとして許容される少なくとも1種の他の成分とを含む形態とすることができる。サプリメントとは、栄養素等を補うための栄養補助食品、栄養機能食品等を意味するだけではなく、健康の保持・回復・増進等のために役立つ機能等を有する健康補助食品、健康機能食品等をも意味する。このようなサプリメントの形状としては、例えば、タブレット状、丸状、カプセル(ハードカプセル、ソフトカプセル、マイクロカプセルを含む)状、粉末状、顆粒状、細粒状、トローチ状、液状(シロップ状、乳状、懸濁状を含む)等が挙げられる。これらは、常法に従って製造することができる。
【0043】
本発明の臓器線維化抑制組成物が飼料である場合には、該飼料は、ウコン抽出物と、一般的な飼料添加物、飼料用原料等の飼料として許容される少なくとも1種の他の成分とを含む形態とすることができる。本発明の臓器線維化抑制組成物が飼料添加剤である場合には、該飼料添加物は、ウコン抽出物と、一般的な飼料添加物等の飼料添加物として許容される少なくとも1種の他の成分とを含む形態とすることができる。
【実施例】
【0044】
本発明を以下の実験結果に基づき具体的に説明するが本発明はこれらによって限定されるものではない。
【0045】
<目的>
・肝線維化の動物モデルとして、マウスに、メチオニンを少量添加したメチオニン・コリン欠乏高脂肪食を与えるものがある(Int J Exp Pathol. 2013 ;94(2):93−103)。
当該モデルを用いて、ウコン抽出物が肝線維化を抑制することができるかどうかを検討した。
【0046】
<材料等>
1)ウコン抽出物の調製
ウコン抽出物は、ウコン(Curcuma longa)の根茎部分を水にて抽出し、得られた抽出液を減圧加熱乾燥して水分を除去することにより調製した。
【0047】
ウコン抽出物中のビサクロンの量は、ウコン抽出物と酢酸エチルを混合し、遠心分離して得られた上澄み液から酢酸エチルを減圧留去後、アセトニトリルに溶解した液を分析サンプルとして、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)に付すことにより求めた。HPLCは以下の条件で行なった。
カラム:Thermo ODS HYPERSIL(登録商標) 250mm×φ4.6mm(サーモサイエンティフィック社製)
移動相:65%アセトニトリル(20min)⇒80%アセトニトリル(5min)⇒65%アセトニトリル(10min)
流速:0.7ml/min
温度:40℃
検出波長:242nm
その結果、ウコン抽出物中のビサクロンの量は約0.15質量%以上、クルクミンの量は0.5重量%以下であることを確認した。
【0048】
<方法>
マウスに肝臓の線維化を誘導する飼料としてメチオニン0.05%、コリン不含の高脂肪食を用いた。この飼料をC57BL/6Jマウス(雄性、6週齢)に2週間与えた後、ウコン抽出物を0%(対照群、n=6)、0.02%(ビサクロンとして80 μg/kg/day、n=6)、0.08%(ビサクロンとして320 μg/kg/day、n=6)となるように配合した上述の肝臓の線維化を誘導する飼料をさらに8週間与えた後、肝臓を摘出して病理標本を作製し、肝組織の線維化部位を染色するためシリウスレッド染色を行った。
【0049】
<結果1:シリウスレッド染色>
肝臓の線維化部分を染色し、染色面積(線維化が起こっている部分)を定量化して、線維化の程度を評価した。
【0050】
シリウスレッド染色の結果を図1、2に示す。図1は各群の肝臓組織像の写真である。図1において矢印は肝線維化領域を指す。図2は、各群のシリウスレッド陽性面積率(各n=6)を示す。シリウスレッド陽性面積率は、染色した肝臓標本の観察領域の面積あたりの、染色された領域の面積の割合(%)である。
【0051】
ウコン抽出物0.02%群とウコン抽出物0.08%群のシリウスレッド陽性面積率は対照群と比較してどちらも有意に低く、ウコン抽出物が肝臓の線維化を抑制することが示唆された。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明の組成物は臓器の線維化を抑制する作用を有するため、ヒト又は動物において臓器の線維化を抑制する用途において有用である。
図1
図2